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共感覚的色彩イメージを用いた音楽知覚操作

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Academic year: 2021

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共感覚的色彩イメージを用いた音楽知覚操作

Operation of music perception used Color images like Synesthesia

1W070092-1 大西 楓子 指導教員 菅野 由弘 教授

OHNISHI Fuko Prof. KANNO Yoshihiro

概要:本研究では、 「音を聴くと色が見える」と言ったような共感覚の一種である「色聴」をテーマにし、非色聴 者でも共感覚的な色彩イメージを保持しているかを調査した。そしてその共通性を探り、それを用いて音楽知覚 操作を行い、 「色の見える音楽」の制作を狙いとした。音楽の要素から音色、音高、テンポ、調性の

4

つを抽出し、

それらの変化によってイメージする色彩がどのように変化するかをアンケート調査によって調べた。その結果、

音色、テンポ、調性の変化において色彩イメージの有意な差が見られたため、それを用いて音楽知覚操作用の音 楽を

2

種類用意した。1 つ目は音色とテンポ条件、2 つ目は音色と調性条件から理想色の色相・彩度・明度の値の 範囲を定め、アンケート実験を行った。その結果、半分以上の被験者が理想色値の範囲内の色を選択した。これ により、音楽要素の組み合わせにより音楽による色彩イメージの操作を行うことができた。

キーワード:共感覚、色聴、音楽と色彩、音楽知覚

Keywords: synesthesia, color-hearing, music and color, music perception

1.はじめに

共感覚者は 2000 人に 1 人とも言われ、その中 でも音楽に色を感じる色聴という感覚の持ち主 がほとんどであるようだ。この色聴に関して興味 を持ち、色聴者に限らず音楽に色を感じることが できるのではないかと思い、研究を始めた。

本研究では、音楽の要素の中でも、特に色彩と 関係が深いと思われる「音色」や「調性」等を変 化させることで、人々が感じる色彩イメージがど のように変化するかを調査し、その共通性を探る こと、そしてそれによって特定の色彩を感じさせ る音楽を制作し、音楽知覚操作を行うことが狙い である。

2.アンケート調査

色聴者と非色聴者の脳内構造の違いは明らか になっていないが、fMRI を用いた研究(*1 では、

色聴者は音楽聴取時に大脳左半球を優先的に使 用しており、感覚的ではなく分析的に音楽情報を 処理しているのではないかと推測できる。そのた め、非色聴者が色彩をイメージする際も、音楽の 要素を分析し、その情報によってイメージが変化 していくと考える。本アンケートでは、非色聴者 が簡単に分析できるよう、音楽を要素ごとに変化 させたものを聴かせ、そのイメージに合う色を選 択してもらった。

[1] 音色変化による色彩イメージ調査

・ 被験者

90

名(男性

53

名 女性

37

名)

・ 実験期間

2010.10/1〜10/31

・ 刺激 音色の違う

7

種類の音楽(20 秒程度)

(ブラス、シンセサイザー、ヴィブラフォン、

ギター、ストリングス、ボイス、ピアノ)

[2]音高・テンポ変化による色彩イメージ調査

・ 被験者

79

名(男性

43

名 女性

36

名)

・ 実験期間

2010.12/14〜2011.1/10

・ 刺激 基準音楽、音高変化

(1

オクターブ高

)

、 テンポ変化(テンポ倍)

[3]調性変化による色彩イメージ調査

・ 被験者

79

名(男性

43

名 女性

36

名)

・ 実験期間

2010.12/14〜2011.1/10

・ 刺激 調性

A、D、E♭、B♭

・ 方法 [2]と同様。

[1]から[3]は、色の選びやすさや音楽の聴きやす さを配慮し、全てインターネット上でのアンケー トを行った。

3.結果と考察

[1]音色変化において、選ばれる色彩の色相・彩

度・明度は変化し、また検定の結果その差は有意

であることがわかった。この差は、音色ごとの倍

(2)

2

音成分の量や、基音と倍音の関係性から生じるも のであると考察している。

[2]音高変化においては、差は見られたものの 有意ではなかった。しかし、音が高くなるにつ れ明度が高くなる傾向があり、これは先行研究 結果と一致する。またテンポ変化にテンポが倍 の速さになった時に黄の割合が高くなり、これ は検定の結果有意であると言えた。

[3]調性変化においては、有意な変化はほとん ど見られなかったが、#系の調性は青、♭系の 調性は橙の選択率が高い傾向にあった。被験者 の少なさが要因であると考える。

3.音楽知覚操作

上の結果から有意であった情報を使用し、音楽 知覚操作のために 2 種類の音楽を用意した。

全て の条件を組み合わせることは困難であるため、

大きな有意差の出た音色による色彩イメージ と、テンポまたは調性の色彩イメージの結果を 組み合わせることにした。音高に関しては、有 意な結果が見られなかったため、実験では使用 しないことにする。実験のやり方はアンケート と同様である。各条件の設定の仕方は、色相、

彩度、明度における色の系統や値が最も近いも のを組み合わせて設定する。

メロディーと伴奏 に関してはアンケート時と変更はない。

■音楽 4-1 音色とテンポによる知覚操作

音色がシンセサイザーの時とテンポを 192 した時の値が近いため 2 条件を組み合わせた 音楽で実験を行った。その結果、理想色相値(18

~89)を選んだ被験者が60%を占め、彩度や明 度も理想値範囲内だった。よって音色とテンポ の融合により知覚操作が行えたと考えられる。

3-1 音楽知覚操作結果1

■音楽 4-2 音色と調性による知覚操作

音色がボイスの時と調性を E♭にした時の色 (音楽 3-3 の場合は有意な結果が青緑のみのた )と明度の値が近いことがわかる。また彩度 の値も比較的低いため、これにより、2つの条 件を組み合わせた音楽実験を行った。その結果、

被験者の 52%が理想色相値(162~233)の色彩 を選び、さらに彩度も明度も理想値範囲内であ った。これにより、知覚操作が行えたと考察で きる。

3-2 音楽知覚操作結果2

4.結論

本研究の狙い通り、まずは人々の音楽聴取時の 共感覚的色彩イメージの共通性を見出すことが できた。音色、音高、テンポ、調性の中でも特に 音色は、変化に伴い人々の色彩イメージも大きく 変化した。この差は音色それぞれの倍音成分に関 わるという考察もできた。

そして、その共通性から「特定の色を感じさせ る音楽」を制作することができた。特に音色とテ ンポによる知覚操作では、理想色に近い結果を得 ることができた。本研究で

は単色のみの色彩イ メージを調査したが、実際に色聴者の話を聴く と、その色が音楽と共に動的に変化しているよ うである。色彩イメージの動的変化を用いれば、

映像や照明と音楽の融合にも活用できると考 えられる。音楽を聴くだけでなく楽しむ一つの 要因として、色彩イメージを活用していくこと を今後の課題としたい。

(*1

高橋理宇眞、藤澤隆史、長田典子、

杉尾武志、井口征士(2006) fMRIによる 共感覚の計測 ̶色聴者の音楽聴取時の脳活 動̶』

参照

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