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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

論文内容の要旨

ストロークにおけるアームプルでは,早期プルスルーフェイズから中期プルスルーフェイズにおいて,

肩関節伸展や内旋を行う筋の高い筋活動が報告されている.また,肩関節に疼痛のある選手は内旋筋力 が低いため,肩関節内旋筋力の改善にも注意を向ける必要があることも報告されている.このように,推 進局面である早期プルスルーフェイズから中期プルスルーフェイズで高い活動を示す伸展や内旋を行う 筋の筋力低下は,推進力に影響を与える可能性がある.そのため,クロールスイミング選手の競技復帰の ためのリハビリテーションにおいて,肩関節伸展および内旋筋力の評価が必要であり,この評価で用い られる筋力測定は,推進力に関係のある測定方法が望まれる.しかしながら,これまで,推進力の指標で あるスイミングパワーと肩関節伸展筋力や内旋筋力の関係は,十分に検討されておらず,クロールスイ ミング選手のための肩関節筋力の臨床的評価法は明らかにされていない.

そこで本研究は,クロールスイミング選手のための肩関節筋力の臨床的評価法を示すことを目的とし,

二つの研究課題を設定した.研究課題1では,臨床で実施可能な肩関節筋力測定方法を提示するために,

(本 籍) 粟

礼(滋賀県)

類 博 士(スポーツ科学)

号 甲 第 32 号

日 平成

31

2019

)年

3

19

学位授与の要件 大阪体育大学大学院学位規程第4条第1項該当

研 究 科 名 スポーツ科学研究科(博士後期課程)スポーツ科学専攻

論 文 題 目 フロントクロールスイミング選手のための肩関節筋力の臨床的 評価

審 査 委 員 主 査 教 授 森

副 査 教 授 下

教 授 岡

(2)

【調査1】により,検者が徒手的に抵抗を加えない肩関節最大外転位伸展筋力測定と肩関節外転外旋位内 旋筋力測定の検者内および検者間信頼性を検討した.研究課題 2 では,その測定方法がフロントクロー ルスイミング選手のスイミングパワーと関係があるかを確認するために,【調査 2】でアームスイミング におけるスイミングパワー(最大スイミングパワーおよびパワー速度比)と肩関節外転位での肩関節筋 力(伸展および内旋筋力)の関係を検討し,【調査 3】でフロントクロールスイミングにおけるスイミン グパワー(最大スイミングパワーおよびパワー速度比)と肩関節外転位での肩関節筋力(伸展および内旋 筋力)の関係を検討した.

その結果,【調査 1】により,肩関節最大外転位伸展力測定,肩関節外転外旋位内旋力測定ともに検者 内および検者間信頼性が高く,検者内および検者間測定誤差も軽度の誤差であるため,簡便かつ信頼性 の高い測定方法であることが明らかとなった.【調査2】において,利き手側内旋筋力(r = 0.85)が,ア ームスイミングの最大スイミングパワーと最も高い相関関係を示し,伸展非対称性がパワー速度比と高 い負の相関関係にあることが示された(r = −0.728).一方,【調査3】において,利き手側伸展筋力(r = 0.844)が,フロントクロールスイミングの最大スイミングパワーと最も高い相関関係を示し,パワー速 度比と筋力非対称性は有意な相関関係が示されなかった.

肩の痛みは,スイミング選手で最も頻繁に起こる整形外科的傷害であり,過去に選手の肩関節筋力を 低下させることが報告されている.推進局面で高い活動を示す筋の筋力低下は,推進力に影響を与える 可能性があるため,リハビリテーションにおいて,肩関節筋力の評価が必要である.【調査 3】で明らか になった肩関節最大外転位伸展筋力がフロントクロールスイミングの最大スイミングパワーとの相関関 係は,リハビリテーション期間中に,最大外転位での伸展筋力測定を用いて,フロントクロールスイミン グ選手の筋力評価に活用できる可能性を示している.また,【調査 2】で示された肩関節外転外旋位内旋 筋力とアームスイミングの最大スイミングパワーの相関関係や,肩関節最大外転位伸展筋力の非対称性 とパワー速度比の相関関係も,肩関節外転外旋位内旋筋力の測定や肩関節最大外転位伸展筋力非対称性 の測定が,アームプルに対する筋力評価に活用できる可能性を示している.

本研究の測定方法は,高い信頼性を有し,最大スイミングパワーやパワー速度比と高い相関関係のあ る筋力を評価できることが示された.臨床において測定を実施するために,簡便であることは重要な要 件の一つである.本研究の測定方法は,床面が硬く,伏臥位をとることができる環境があれば実施可能で あり,検者が抵抗に関与しないため,臨床経験のない学生においても高い信頼性が得られた.つまり,こ れらの測定方法は,信頼性が高く,フロントクロールスイミング選手の最大スイミングパワーやパワー 速度比と高い相関関係を持つデータを,簡便に得ることができる臨床的有用性を持った方法である可能 性を示している.したがって,本研究の測定方法は,フロントクロールスイミング選手のための肩関節筋 力の臨床的評価法として,受傷したフロントクロールスイミング選手の競技復帰のためのリハビリテー ションに貢献できる可能性があると考えられる.

(3)

審査結果の要旨

(論文審査)

1.論文要旨

水泳競技において最も頻度の高い傷害部位は肩であり,競技力向上に大きな問題となっている。肩の傷 害時には肩関節周囲筋の筋力低下をきたすため,競技復帰のためのリハビリテーションには肩関節周囲 筋筋力の改善が求められ,その評価で用いられる筋力測定は,競技動作における筋活動の違いからも実 際の動きに近い簡便な測定方法が望ましい。しかし,そのような筋力測定は,行われてこなかった。本研 究は水泳クロール選手のための測定方法を見出し,その信頼性およびスイミングパワーとの関係を検討 したものである。

その結果,本研究で検討した筋力測定方法は,リハビリテーションを行う上で信頼性と相関関係が示さ れ,簡便に肩関節周囲筋力を評価できる臨床的有用性の高い方法であることが示唆された。

この研究は,効果的にリハビリテーションを進め,評価するために,重要な知見と考えられる。

2.論文審査の要旨

口頭試問において,0.1 秒を争う高度な競技レベルの評価ではなく,今回の目的は肩の傷害により機 能が高度に落ちた選手の簡易評価が目的であることが説明され,さらに評価に必要ないくつかの実験の データも示された。また,表現についての指摘がなされたが,所属する学会ではよく用いられる表現で 関連論文や学会誌でも同様の表現が認められていた。

競技動作に関連したリハビリテーションにおける筋力評価方法を考慮したことは意義深いと考えられ る。

(最終試験)

提出された論文および関連する事柄について口頭試問を行った結果、博士の学位を授与する基準を満 たしていると判断され、合格とした。

参照

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