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H23 シラバス作成の手引き 国立大学法人 北海道教育大学 大学教育開発センター |ホーム

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北 海 道 教 育 大 学

シ ラ バ ス 作 成 の 手 引 き

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はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

1.『シラバス作成の手引き』の使い方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

2.シラバスとポリシーについて

 ⑴シラバスの定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5  ⑵シラバスの機能・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5  ⑶ポリシーについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6  ⑷学士課程教育について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7  ⑸シラバスの構造について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

3.シラバス作成のための一般的な注意点

 ⑴受講者の視点を重要視する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10  ⑵教育上の目的を認識し,それに基づいて授業における目標を明示する・・・・ 10  ⑶授業計画をたてる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11  ⑷評価する方法を明示する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12  ⑸コースパケットを作る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

4.実際の情報の入力について

 ⑴記入するにあたっての一般的注意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14  ⑵具体的記入方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

5.参考資料

 ⑴高等教育を巡る社会状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19  ⑵高等教育を巡る本学の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20  ⑶本学の各課程における人材の養成に関する目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21  ⑷教育目標について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22  ⑸授業計画について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24  ⑹成績評価について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

6.シラバス例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28

7.シラバス作成 Q&A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

8.関連するURL等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

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 大学教育開発センターと教育改革室では,皆さんのシラバス作成の一助になるよう に「シラバス作成の手引き」を作成いたしました。この手引きをお使いになり,新し い視点を取り入れたシラバス作成がスムーズに進むことを期待しています。

 以下に,この手引きを作成するにあたって留意した点などをまとめてみました。

 シラバスを書くにあたって最初に目を向けなければならないことは,21世紀に入っ て大学は教育に関して大きな変化が求められ,そのことがシラバス作成にも大きな影 響を与えているということです。

 その最たるものは,「専門家である教員のもとで学生が知識を習う大学」から,「身 につけた知識から何ができるようになるかを目指す教育を行う大学」,つまり「何を 知っているか」ではなく,「何ができるようになったかが問われる学生中心(Student・ -irst)の大学」に変わらなければならないということです。

 このことはとりもなおさず,大学の教育は,「学部教育」から「学士課程教育」に変 わることが求められているということを意味します。

 このために本学では,学則に「人材養成に関わる規則」を制定し,そこから導かれ た課程,専攻(コース)のディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシー(暫定 版)をこの3月に策定する予定になっています。なお,策定されたポリシーは大学教 育開発センターのホームページに掲載する予定になっています。

 従って,シラバス作成においてもこの視点が大変重要になりますが,その中で従来 にも増して強く求められる具体的な視点は,教員間での協議に基づいてディプロマ・ ポリシーを満足するように「各授業の到達目標」を設定していくことです。従来,授 業の中身に直接触れる「授業の到達目標」に関わって,教員間の協議はあまり活発に は行われてこなかった実情があると思います。

 ポリシーに基づいた教育を行うためには教員間での協働が重要なキーになると考え られます。

 教員間の協議の方法については,決まった形はありません。5つのキャンパスをも つ本学の特徴として,大きな枠は同じであったとしても,現場を担っている各キャン パスに任されている部分も多々あります。恒常的委員会であるカリキュラム委員会を 中心にして,学士力プロジェクトのために設けられている統括教育コーディネータや

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専攻から選ばれている教育コーディネータを含めて柔軟な組織作りが必要になると考 えられます。その場合,教養教育あるいは教職科目を担う組織が必要になるかもしれ ません。教員中心から学生中心の教育を志向していく方向に舵を取らなければならな いとしたら,それは大きな変革であり,そのための受け皿を工夫していくことが求め られます。

 この「手引き」は,そのような観点を取り入れながら書かれていますが,このよう な認識の浸透がまだ不十分かもしれませんので,皆さんにとっては「教員間の協議に 基づく到達目標」を十分満足のいく形で設定することは幾分困難が伴うかもしれませ ん。是非,教員間の協議を始められるよう期待して止みません。

 内容については,多くの先生方には自明のことも数多く含まれています。その場合 は読み飛ばして頂いて結構です。

 皆さんの便宜を図るために「シラバス作成の手引きの使い方」を最初に挙げるよう にしました。とりあえずまずここを読んでください。

 次いでポリシーに基づいたシラバスの機能と構造及びその背景などについて書かれ ています。これは少し深く内容を知って頂く内容になっています。その後にシラバス を書くのに必要な大枠として,教育目標や授業計画及び成績評価などの考え方につい て書かれています。

 次に実際の入力方法についての一般的な注意事項と具体的な記入方法について書か れています。ここが直接的に役立つ場所です。その後に参考資料等が記載される構成 になっています。

 最後に「シラバス作成 Q&A」と高等教育に関するURLを入れました。この章は, ワークショップで皆さんから出された疑問に対してお答えする内容になっています。  この他に,所々に読み物を配置してあります。参考にして下さい。

 シラバスはこれからの大学の教育の中心的役割を担う重要な機能をもっています。 この冊子が皆さんの充実したシラバス作成に役立てばこの上ないよろこびです。

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1.『シラバス作成の手引き』の使い方

 この手引きには,シラバス作成の作業手続きのみならず,大学教育をめぐる全国的 な動向や学外のFD関連機関の紹介など,先生方それぞれのFD活動にお役に立てる ような内容を盛り込んでおります。その点では,すべてのページに目を通していただ ければ幸いですが,ご多忙を極めている先生方には,おそらく「気になる部分をつま み食い」という読み方が最も現実的ではないかと思われます。

選択肢1:「実際の情報の入力」から読む

 ベテランの先生方をはじめ,とにかく時間がないけれども,シラバス作成を急がな ければならない先生方におすすめの方法です。重点的に記述を見直したい欄について は,関連するコラムや参考資料の該当箇所をその都度ご覧いただければ幸いです。  ちなみに,シラバス作成・修正の作業時は,ワープロソフト等で下書きを推敲し, 文章がほぼ完成してから大学教育情報システムに「コピー&ペースト」で入力される ことをおすすめします。大学教育情報システムは一定時間で接続がリセットされます ので,長い時間をかけて入力していると途中で内容が消えてしまいます。ご注意くだ さい。

選択肢2:最初から順番に読む

 少々時間がかかりますが,本学に赴任されて間もない先生,新任の先生方におすす めの読み方です。シラバスをめぐる状況,特に高等教育の国際的・全国的な動向から みたシラバスの今日的位置づけ等について,全体像をある程度見渡していただける構 成になっていると思います。

 なお,内容的に関連する事項については,手引き内で相互に参照ページを掲載して おりますので,関連づけて該当ページをご覧いただければ,シラバスをめぐる今日的 状況をより立体的に把握することができると思われます。また,この手引きの内容を 越えて,さらに発展的な問題意識から様々な情報に当たってみたい場合には,参考文 献の欄もご活用ください。

選択肢3:巻末のQ&Aから読む

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ポリシーに基づいたシラバスの機能と構造について

ポリシーの概略及びポリシーに基づいたシラバスの考え方と機能,構造について 概略を説明し,ポリシー,学士課程教育についても簡単に述べます。

(1)シラバスの定義

 シラバスは,「授業前に学生に配布され(提示され),授業で扱う内容,授業の進め 方,評価の仕方など授業の全体像を示す文書」と定義されます。

 教育の3要素である「授業の目標,授業計画,成績評価」は,必ず書かれていなけ ればいけません。

(2)シラバスの機能

シラバスには下に示すように多様な機能があります。

1)契約書としてのシラバス

  シラバスに書かれている内容は,教員と学生との間の約束,いわば契約になり ます。教員は授業を実施するにあたり,シラバスに書かれている内容を学生に保 証します。学生にとっては,シラバスに書かれている内容が権利であると同時に 義務でもあるので,書かれていることの履行(宿題やレポートの提出あるいは注 意事項の遵守)が求められます。

2)カリキュラム全体に一貫性をもたせる資料としてのシラバス

  「はじめに」にも書いたように,教員間の協議に基づいて授業の到達目標が設定 されると,ディプロマ・ポリシーに基づきカリキュラムに一貫性が出てきます。 学生は,身につけなければならない資質,能力を知り,シラバスに基づいて授業 を系統的に受講する資料として使います。

3)授業選択ガイドとしてのシラバス

  授業科目の選択の機会がある場合は,その基準としてシラバスは機能します。

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学生にとっては,自分の興味や関心,学力の程度などに見合った内容かどうかを 判断する材料になります。従来から言われているシラバスの機能です。

4)授業の展開を知り,予習や復習に活用する文書としてのシラバス

  15回の授業全体の中で,今回の授業はその中のどこに位置づいているのかを確 認し,授業の目的や到達目標及び成績評価の方法を知り,そのために努力し,あ るいは宿題を前もって準備するために使われます。

5)授業の雰囲気を伝える文書としてのシラバス

  学生は必ずしも楽勝科目を求めてはいません。丁寧かつ詳細な内容を書くこと で,しっかりと計画された授業を印象づけることができます。シラバスから授業 はすでに始まっていると考えてください。

(3)ポリシーについて

 グローバル化・ユニバーサル化の時代を迎えて,大学はポリシーに基づいて教育を行 うことが求められています。教育に関するポリシーは,大学の教育の基本方針を示す もので,ディプロマ・ポリシー(DP),カリキュラム・ポリシー(CP),アドミッショ ン・ポリシー(AP)の3種類があります。これらは学則に定められている人材養成の 規則から導かれます。

1)ディプロマ・ポリシー(DP)

 大学は,教育上の社会的な機能を持っており,そのことは大学の人材養成に関す る目的として学則等で社会的に明示されています。

 各課程や専攻では,その目的から導かれる人材養成像(学位授与の方針)が示さ れ,この方針のもとに大学の教育は行われる必要があります。この学位授与の方針 がディプロマ・ポリシー(DP)といわれるものです。

2)カリキュラム・ポリシー(CP)

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3)アドミッション・ポリシー(AP)

 ディプロマ・ポリシー(DP)にふさわしい人材を募集する考え方をアドミッショ ン・ポリシー(AP)といいます。

4)本学の現状と今後の課題

 本学では平成22年3月段階で,ディプロマ・ポリシー(DP)暫定版が決められて います。このディプロマ・ポリシー(DP)暫定版は,人材養成の規則及び現行のカ リキュラムを参考にして作成されました。

 また,平成23年3月には,ディプロマ・ポリシー(DP)完成版及びカリキュラ ム・ポリシー(CP)暫定版が策定される予定です。

 さらに平成24年3月には,カリキュラム・ポリシー(CP)完成版を策定すること になっています。

 中教審答申(1999年,「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」)で 求められた「入学者受け入れ方針の明示」に基づいたアドミッション・ポリシー (AP)は各専攻毎に決められていますが,ディプロマ・ポリシー(DP)に基づいた

アドミッション・ポリシー(AP)はまだ決まっていません。

(4)学士課程教育について

 そもそも学部や講座とは,当該分野の学問を担うもので,教員と学生が同居する修 練の場であったと考えられます。ここには必ずしも学位の質を保証する仕組みは存在 しているとは言えません。

 学位の質を保証するものとして教育を考えた場合,「学部教育」ではなく,「学士課 程教育」を考えなければならないと述べたのは,2008年に公表された中教審答申「学 士課程教育の構築に向けて」でした。そこでは,グローバル化・ユニバーサル化の時 代を迎え,これからの教育では,「何を知っているか」ではなく,「何ができるように なったかが問われなければならない。」と述べています。そのためには,ここに述べた 3つのポリシー(DP,CP,AP)が有機的に結合した質の高い「学士課程教育」を実 現していくことが肝要になります。

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ラバスの中の「到達目標」として示されます。

 学生は,個別の授業科目を受講し,そこで課される到達目標を達成することで単 位を修得します。最終的に4年間の授業で身につけた資質・能力が人材養成の目的 (DP)を達成していると認められて卒業が認定されることになります。

 このことは,各授業科目が「その教育課程(専攻・コース)におけるどの人材養成 関わる資質・能力を育成するものなのか」が問われることを意味しています。

 平成23年2月段階では,ディプロマ・ポリシー(暫定版)だけが確定しています。 ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシー暫定版は間もなく策定される予定 になっており,Web上で公開される予定になっていますので,各授業で養成する資 質・能力を検討する際の(参考)資料として下さい。

*ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシー暫定版については,近く大学教 育開発センターのWeb上で公開する予定です。

(5)シラバスの構造について

 全てのシラバスは,教育の3要素といわれる「授業の目標」,「授業計画」,「成績評 価」からなります。

 「目標」を立て,それを達成するために「授業計画」が作られ,目標がどの程度達成 されたかどうかを「評価」することがシラバスには書かれなければなりません。従っ てこれらの間には密接な関係があり,互いの内容に齟齬が無いようにしなければなり ません。

 「授業の目標」,「授業計画」,「成績評価」については,参考資料(4)「教育目標に ついて」,(5)「授業計画について」,(6)「成績評価について」で詳しく解説してい ます。

コラム:DP・CP と授業科目(特に専攻等に共通する科目)の関係

 専攻・コースを単位として検討されている DP と CP ですが,教養科目や教職に関する科目等の全専攻・コー スに共通する部分との折り合いをどのようにつけるかが今後の課題になると考えられます。伊田個人の見解とし ては,共通する科目への意味づけが専攻・コースによって異なってくる可能性も十分にありうると思います。あ る専攻では,教養科目を文字通りの教養(行動する教養)の修得をねらいとして捉えるかもしれませんし,また ある専攻では,特定の教養科目を専攻講義科目につながる基礎段階として(時に発展段階として)連続性を持た せて捉えるかもしれません。

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 この外に,授業に関する情報提供という観点から,実際のシラバスには以下の欄が あります。

 科目番号,授業科目名,授業科目名(英語),単位数,開講期,曜日・時限,授業形 態,担当教員,授業内容,授業の位置づけ,授業の目標,到達目標,授業計画,成績 評価,教職チェックリスト,テキスト,参考文献,オフィス・アワー,備考欄

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教育の3要素(授業の目標,授業計画,成績評価)を中心に 一般的な注意事項を述べます。

(1)受講者の視点を重要視する

 授業は,授業者と受講者で成り立っていますが,学生中心の大学(student-irst)で あることが前提になりますから,受講者が求めている内容を大学(授業者)が提供す る関係にありますので,受講者の視点が重要視されます。

 また,現在の大学は,誰でもが入学してくる時代(ユニバーサル化の時代)ですか ら,必ずしも勉学に対して意欲が高い学生ばかりとは限りません。

 また,学力について,もばらつきが大きいと考えるべきです。まず,学生に授業に 対して心を開いてもらうなどの配慮が必要になりますが,シラバスを書くにあたって も,受講生に対するいろいろな配慮が必要です。

1)学生が分るような平易かつ具体的な言葉を使って書くことが重要になります。 2)学生中心の表現で書きます。「・・を教える」,「・・を理解させる」ではなく,

「・・を学ぶ」,「・・を身につける」などです。

3)成績評価方法等を工夫して,学生の実態を押さえてください。

(2)教育上の目的を認識し,それに基づいて授業における目標を明示する

 大学は,各課程や専攻の目的に応じてディプロマ・ポリシー(DP)を策定し,それ に基づき教育課程(カリキュラム)を作り,各授業の中で,学生に対して目標に応じ た資質・能力が身に付くように教育を行います。具体的には,シラバスの中に「一般 目標」と「到達目標」を設定します。

 一般目標ではその授業で育てたい総括的な資質・能力について述べます。到達目標 は一般目標を,具体的に個別の目標に分けて,達成の程度が分かるように行為動詞を 用いて表します。

 学生は,授業における到達目標を達成することによって,一定の資質・能力を身に つけることになります。このことが,その授業の「単位を取得した」ということを意

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味します。

 授業の目標(一般目標と到達目標)はディプロマ・ポリシーを実現するように,全 体を教員間の協議に基づいて決め,それらを各教員がたがいに了解した上で,分担す る必要があります。

*詳細は,参考資料(4)「教育目標について」,「北海道教育大学の各課程における教 育目標」をご覧ください。

(3)授業計画をたてる

 最終的な授業の目標は,学んだことが実際の生き方や態度に反映され,資質・能力が ステップアップすることです。そこに到達できるように授業方略を考える必要がありま す。ここでいう資質・能力はディプロマ・ポリシーに述べられている内容を示します。  従って授業計画もディプロマ・ポリシーを実現する(授業の到達目標を達成する)た めにあるものと考えてください。

 到達目標によっては,定期試験で評価することが難しく授業時間内で評価する必要が ある場合もあると思いますので,評価を意識して授業計画を立てる必要があります。  また,単位の実質化が求められていますので,宿題を出す場合などは授業計画の中で 予告しておくことが望ましいです。

 学生の質が多様化した昨今においては,一方的に話す講義スタイルの授業方略だけ では多くの学習者の意欲を引き出すことは難しいと考えられます。

 養成したい資質・能力を実現するための適切な授業の方略(討論の奨励,少人数 チーム学習,問題解決学習,事例学習など)を組み合わせることにより,学生の自主 性を引き出すとともに多様な資質・能力を育成することが可能になると考えられてい ます。

 その中でも,本学は,「学生参加型の授業」を重要な授業形態と考え,その普及に努 めてきています。

 「学生参加型の授業」については,「参加型授業・の実現に向けて」や「大学教育開発 センターを中心・としたFD活動の再構築」を参照してください。

(14)

(4)評価する方法を明示する

 評価は,到達目標に対する達成度で評価します。評価は,正確・公平かつ厳密に行 われなければなりません。

 成績評価は,その授業で何を評価するかを明らかにする「評価規準」(具体的には到 達目標として示される)とどのような方法で評価するかを示す「評価方法」,到達度を 測る基準である「評価基準」からなります。

 評価規準は,知識や技能,興味や関心,思考や判断などが観点になります。知識や 技能だけに偏らないようにしてください。

 評価方法は,評価の観点に応じて,定期試験,小テスト,宿題,授業態度,レポー ト,課題発表,討論等を適切に組み合わせて行います。

 評価基準は授業実施者によって異なることはやむを得ませんが,できるだけ教員間 で協議をして大きな違いが出ないようすることが望ましいです。

 出席に関しては,単位制度を考えれば,原則として全ての時間の出席を求めること になりますが,欠席した場合の対応について明記しておく必要があります。

*評価に関する詳細は,参考資料(6)「成績評価」をご覧ください。

なお,成績評価については次のような問題点が指摘されています。 コラム:授業展開の即興性 vs. 厳格なシラバス

 授業は学生との相互作用によって展開される“ナマモノ”で,その場での即興的な(成り行きによる)授業展 開によって教育効果が高められることも十分にあると思います。いわゆる“学生参加型”の授業であれば一層こ のことは重要になるでしょうし,きっと多くの教員がそうしたことを実感しているのではないかと思います。時 に,このような即興的展開の重要性と,「きっちりしたシラバス」の作成とが矛盾するように見えるかもしれま せん。「契約書としてのシラバス」という捉え方が,このような即興性を許さないかのように受け止められるこ とも一般的にはあるだろうと思います。

 しかしながら,シラバスは“時刻表”のような存在であり,即興的な展開(脱線)によって生じる計画とのズ レが明確になり,どこで“回復運転”を行うかを探る手がかりになると考えれば,むしろ即興性とシラバスが相 互に意味を持ちうるという発想が可能だと思います。もちろん,契約書としてのシラバスという側面を考慮して, どの程度の脱線をしているか,それが受講生にとってどのくらいメリットのあることかといった説明がなされな ければなりませんが,最終的に到達目標が達成されるような展開に持ち込むための即興性はむしろ必要とさえ言 えるかもしれません。

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  ・評価について教員が十分理解していない。

  ・明確に設定された目標に基づかない評価をする場合がある。

  ・知識や理解の評価が重要視され,関心や態度の評価があまり行われない。   ・教員によりばらつきが多い。

 成績評価に関しては,学則に基づいた取り扱い要項「成績の評価方法及び履修登録 単位数の上限並びに修学指導等に関する取扱要項」で,次のように定められています ので,このような問題が指摘されないように十分配慮してください。

(5)コースパケットを作る

 シラバスを補うものとしてコースパケットがあります。コースパケットとは,学生が 随時必要とするさまざまな教材をひとまとめにしたものです。これを作ることにより授 業計画がより明確になり,自分も学生も授業について見通しを立てやすくなります。

コースパケットには,次のようなものが含まれます。

・学生が予習したり授業中に使用するための教材(論文のコピー,図表,その他の 資料など)

 ・課題(練習問題,レポートの指示と執筆のための参考資料)  ・練習問題のヒントや解答・

 これらを学期が始まる前に選定し,作成したシラバスと連繋させてひとまとめにし たものを開講時に配付します。

 パケットは小冊子の形にする,袋詰めにするなど,さまざまな形態が考えられます。  多人数の学生を相手にする場合やパケットの量が多くなる場合などは,原稿を作っ ておき,各自に自分の分をコピーさせる,大学教育情報システムのクラスプロファイ ルにある授業課題のアップロード機能を活用するなど工夫してください。

成績の評価方法及び履修登録単位数の上限並びに修学指導等に関する取扱要項(抜粋)

第3 成績の評価は,各授業科目の教育目標に対する学修者の到達度を見るため,講義,実験,実習,演習,実 技等の授業形態に応じた適切な評価方法及び評価基準に基づき行う。

 2 成績の評価は,学期の途中においても適宜行い,その結果を学修者にフィードバックすることにより,目 標への到達度を高められるよう配慮しなければならない。

 3 成績の評価方法は,小テスト及び定期試験,課題レポート,発表及び討論,提出作品,授業への参加態 度,予習・復習等の自主的学修態度,出欠席の状況等多様な要素を組み合わせて行い,期末試験のみで評価 を行う等偏重することのないように行うものとする

(16)

 シラバスはウェブ上で作成します。北海道教育大学ホームページの中の(http:// www.hokkyodai.ac.jp)学内専用ページから,大学教育情報システムにログインするこ とで,シラバス画面に入ることができます。入るためには,User・IDとPasswordが必 要です。不明の場合は各校の担当者にご相談ください。

 学外からは別途申込みが必要ですが,https://eis-web.sap.hokkyodai.ac.jpとURLを入 力することで接続することができます。詳しくは大学教育情報システム操作説明書の 28ページに記載されています。

(1)記入するにあたっての一般的な注意事項

1)各項目は備考欄を除いて全て記入してください。

2)具体的かつ平易な文章で記入して,できるだけ略記しないでください。

3)リンク先や他シラバス等を参照(「○○参照」,「○○同様」等)させることな く,必ず当該科目のシラバス上で完結させてください。

4)初回講義時に講義内容等を配布する場合であっても,「初回講義に配布」等とは しないで,全項目を必ず記入してください。

4.実際の情報の入力について

科 目 番 号

評価方法

(17)

(2)具体的記入方法

 前ページの表にある表中の番号に応じた注意書きと最後のページにある記入例も参 考にして記入してください。

 ◆はその欄の内容を示します。◇は記入する時の注意事項です。

1,2,4,5,6,8・欄は担当する授業科目を開くと既に記入されています。

3(英語科目名欄)は,各自が記入してください。同じ科目名の場合は教員間の調整 が望ましいです。

7(授業形態欄)は,講義,演習,実験,実習等の別を記入します。

9(授業内容欄)は,ここを読むだけで授業の大枠が分かるように書いてください。

10(授業の位置づけ欄)は,

◆課程・専攻(コース)のディプロマ・ポリシーとの関係を示します。

◇23年度はディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシー暫定版での運用とな りますので入力しないでください。

11(授業の目標欄)は,

◆授業の一般的目標を書きます。一般目標ではその授業で育てたい総括的な資質・ 能力について述べます。

◇知識や技能等の学習がなぜ重要か,それらがどのように利用され,それによって 学習者のニーズがどのように満たされるかなどの視点を押さえてください。

◇学生を主語にして総括的な概念をもつ動詞を用い,分かりやすく書いてください。 ◇知識・理解等の面ばかりでなく,興味や関心,態度,あるいは技能的な面も配慮

してください。

◇関連するコース,分野,グループ等で協議して記入することが望まれます。 ◇ここで述べる一般目標は,下欄の「到達目標」で身につけることが求められてい

る具体的な資質・能力と密接なつながりをもちます。

(18)

12(到達目標欄)は,

◆上の欄で述べた一般目標が実現されるように,授業を通して学生に求める個別具 体的に達成してほしい目標を書きます。

◇具体的には,上の欄で述べた一般目標を知識・理解,興味や関心,態度,あるい は技能的な視点から分類します。

◇分類された視点を,視点毎に学生を主語にして観察可能な行動を具体的に表す行 為動詞で書きます。

◇行為動詞で示された内容を測る場面を想定しておいてください。(このことは成績 評価につながります。)

◇「理解する」のような概念的な動詞はできるだけ使わないでください。 ◇知識・理解や思考・判断の面に偏らないようにしてください。

◇関連するコース,分野,グループ等で協議して記入することが望まれます。 ◇到達目標は評価と密接な関係がありますので,成績評価欄と齟齬のないように注

意してください。

*到達目標については,参考資料(4)「教育目標について」をご覧ください。

13(授業計画欄)は,

◆15週にわたり授業の順にしたがって授業計画を記入します。

◇半期で15回分の授業を確保してください。定期試験は15回の中に入りませんが, 15回目に試験を実施する場合は,単位制度の実質化を図る観点から,試験のみと せずに授業を含む計画にしてください。

◇授業内容・授業の進め方等が分かるように,できる限り詳細に記入してください。 ◇(「具体的な授業内容は初回のガイダンスで発表する」といった記載はしないで, コラム:多様性と標準性の調和

 「多様性」とは,担当教員の専門分野・得意分野に関わる内容,“十八番”とでも呼べるような教授法によって 生み出されるものと思われます。特に選択の専攻科目等ではこの「多様性」が授業の質を高め,各授業の特徴, 専門性の高さ,オリジナリティといった側面につながると考えられます。

 それに対して「標準性」とは,いわゆる“ミニマム・エッセンシャルズ”“オーソドックス”と呼ばれる内容 を備えているかどうかを問題にする概念です。教員養成課程の場合,具体的には,教育職員免許法において言及 されている事項,教員採用試験の頻出事項が「標準性」を判断する目安になると思われます。学部の必修科目(特 に実践教育科目)では,この標準性を満たすことが最低条件として求められるはずです。

(19)

何時,何をするかが分かるように書いてください。)

◇その回で特に学生に求めることがある場合は,ここで記入し事前に準備をさせます。 ◇15週にわたる授業計画として記入することが難しい場合は,複数回まとめて記入・

項目立てをして記入するなど適宜な方法により記入しても構いませんが,授業内 容等を的確に表すよう,できる限り詳細に記入してください。

◇複数教員が担当する授業科目については,各週・項目ごとの担当教員を(  ) を付して記入してください。

◇成績評価を適宜行えるように計画を立てることが求められます。特に,知識・理 解や思考・判断以外の評価は,授業中に行う場合が多いと思います。到達目標に 応じて成績評価ができるよう,また,成績評価欄記載事項と矛盾することの無い よう,授業計画の中に評価方法を入れておいてください。

*授業計画については,参考資料(5)「授業計画について」をご覧ください。

14(成績評価欄)は,

◆到達目標がどの程度達成されたかを測る方法と基準を示します。

◇成績評価は公正かつ厳密であることが求められますので,上記の到達目標に対す る到達度で評価をします。

◇到達目標に対する達成度を基に評価方法及び評価基準を記入してください。 ◇評価方法については,定期試験,小テスト,課題レポート,授業での発表,提出

作品,授業態度等多様な方法を組み合わせて評価するようにしてください。

◇評価基準を明記することが難しい場合は,何らかの方法で学生に周知してください。 ◇期末試験のみで評価を行うことは避けてください。

◇なるべく各評価項目の評価比率も記入してください。

◇学生に選択の余地のないクラス指定を行う同一科目については,当該科目の評価 方法,評価基準を統一してください。

◇出席については,原則として全ての授業に出ることが求められますが,やむを得 ない理由で欠席した場合の取り扱いについて,適切に記述してください。

*成績評価については学則に規定がありますので,その内容を必ず確認をしてくだ さい。

*成績評価については,参考資料(6)「成績評価について」をご覧ください。

15(教職チェックリスト欄)は,

(20)

係能力」,「教育への使命感や責任感,教育的愛情」について,その授業で求める チェックリスト項目を示します。

◇適切なチェックリストをプルダウンメニュで選んでください。

*チェックリストについては別途配布される資料(学び続ける教師をめざして,ス テップアップ・チェックリスト,2010年度改定版)を参照してください。

16(テキスト欄)は,

◆ある場合は,それに関する情報を付加して必ず記入してください。 ◇無い場合も必ず「なし」と記入してください。

17(参考文献欄)は,

◆ある場合は,それに関する情報を付加して必ず記入してください。 ◇無い場合も必ず「なし」と記入してください。

18(オフィスアワー欄)は,

◆週の特定の曜日・時間帯(1時間半以上),場所をあらかじめ指定してください。 ◇事前連絡を条件にしないでください。

◇指定できない場合であっても,対応方法については必ず記入してください。

19(備考欄)は,

◇履修条件・履修制限例,連絡事項,参考事項,受講学生に望むこと等を必要に応 じて記入します。

(21)

参考資料として,以下のものが記載してあります。必要に応じて利用してください。

(1)高等教育を巡る社会状況,(2)高等教育を巡る本学の状況, (3)本学の各課程における人材の養成に関する目的,

(4)教育目標について,(5)授業計画について, (6)成績評価について

(1)高等教育を巡る社会状況

 21世紀を迎え「知識基盤社会の到来」が叫ばれ,他方では18歳人口の半数以上が大 学に進学するようになり大学の国際化も相まって学位の質保証が求められるようにな りました。

 これらは制度的には中教審答申「学士課程教育の構築に向けて(平成20年12月)」や大 学設置基準の改定(平成20年4月)で具体化されており,社会情勢の変化としてばかり でなく法的にも裏付けられており,これからの大学の教育に大きな影響を与えています。  勿論,北海道教育大学も例外ではなく,「北海道教育大学における人材の養成に関する 目的等に関する規則」が平成20年末に制定されました。このように大学を巡る社会の情勢 は大きく変化しており,その変化はシラバス作成に関しても大きな影響を与えています。

 このような背景の中で平成20年4月に改正された大学設置基準のうち,シラバスに 関わる主な改正点は以下のとおりです。

 ここに示すように(教育研究上の目的の公表等,授業の方法・内容,授業計画の明 示)や(成績評価基準等の明示等)は,義務化され認証評価の対象になっています。  これらは,シラバスの作成は勿論のこと,成績評価の基準等をシラバス上に記する ことが求められていることを意味します。

5.参考資料

大学設置基準抜粋(省令)

(教育研究上の目的の公表等)

第二条の二  大学は,学部,学科又は課程ごとに,人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的を学則等 に定め,公表するものとする。

(成績評価基準等の明示等)

第二十五条の二  大学は,学生に対して,授業の方法及び内容並びに一年間の授業の計画をあらかじめ明示する ものとする。

(22)

(2)高等教育を巡る本学の状況

 このような背景のもとで,本学では,平成22年度からスタートした第2期中期目標・ 中期計画の中で,「入学者受け入れの方針,学位授与の方針,教育課程編成・実施の方 針を確立し,明確な成績評価基準に基づいた教育を実施し,学位を授与する。」という 方針を掲げました。これは,まさしく大学としてシラバス作成に直接的にかかわる大 きな新しい方針の作成を掲げたということであり,「ポリシーに基づいた教育を行う」 ことを宣言したことになります。

 これからのシラバスは,従来の「授業に関する情報提供」という視点から,「学位授 与に関する大学と学生の間の一種の契約に相当する」機能を主体としてもつものに変 化してくるということを意味しています。

 一方,この中期目標・中期計画を先取りする形で,本学は平成21年度「教育研究特 別経費」(概算要求)の<「カリキュラム開発チーム」による教員養成課程の「学士 力」を保証するカリキュラム開発プロジェクト>(以下,「学士力プロジェクト」と略 称)を計画・実行してきています。

 平成21年度においては,「学士力プロジェクト」を遂行する全学の組織として「カ リキュラム開発チーム」を設置し,教員養成課程,人間地域科学課程,芸術課程,ス ポーツ教育課程における学位の質を保証するために,「北海道教育大学教育学部におけ る学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー,DP)暫定版」を作成しました。

 ここでは各課程は勿論のこと,各専攻(岩見沢校においてはコース)段階でディプ ロマ・ポリシーを作成していますので,これからは,各専攻(コース)レベルでDPに 従った授業計画を立て,それに基づいて,個々の学生がディプロマ・ポリシーを満足 できるように(学位授与の方針を満足して卒業するように)教育を行う必要が出てき ます。

コラム 中教審答申におけるシラバスの位置づけ

 中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて(答申)」(平成20年12月24日)の中で,シラバスについて 記述されている部分がありますので(p.21),抜粋して紹介します。

シラバスに関しては,国際的に通用するものとなるよう,以下の点に留意する。 ・各科目の到達目標や学生の学修内容を明確に記述すること

・準備学習の内容を具体的に指示すること ・成績評価の方法・基準を明示すること

(23)

(3)本学の各課程における人材の養成に関する目的

 学則に定められている人材養成に関する規則は以下のとおりです。

1)教員養成課程

  現代の学校教育現場の多様な課題に対応できる豊か人間性,幅広い教養,知 性並びに専門的能力を持ち,子どもを深く理解し,北海道の地域特性を活かし た教育実践を創造的に展開できる教員を養成する。

2)人間地域科学課程

  人間科学及び地域科学を中心とする学際的な専門分野に関する深い知識と幅 広い教養を身につけ,自ら行動し情報を発信する能力を持って地域社会及び国 際社会に貢献できる人材を養成する。

3)芸術課程

  諸芸術分野についての実践的,理論的探究に基づく広い視野及び高い専門能 力を培い,各自が展開する芸術活動を通して地域社会及び国際社会に貢献でき る人材を養成する。

4)スポーツ教育課程

  スポーツ競技能力の向上,スポーツの科学的な研究及びアウトドア活動を通 して,高度に専門的な指導者又は地域のスポーツ振興を担う人材を養成する。  特に2点目はハードルが高いかもしれません。現時点では3点目と4点目をクリアすることが最も身近な課題 でしょうか。特に4点目に関しては,各大学のシラバスの書式(フォーマット)にも改善の余地がありそうです。 日本では長らく「授業概要」等の形式でコンパクトに冊子化されていた歴史があると思います。その時は1ペー ジに数科目が掲載されていた大学もあるでしょうが,もともとのシラバスは,1科目につき数ページを費やして 詳細な授業計画を記したものであるようです。現状では,ちょうどその中間に位置づけられるような,1科目1 ページの分厚い冊子かウェブページで閲覧する形式が主流になっているでしょうか。まさに上記の4点目にある コースカタログに近い状態です。

 ただ,学修内容の明確な記述や準備学習の具体的指示を丁寧に盛り込んでいくと,それは当該科目の教材すべ てということになり,冊子化されていれば「コースパケット」と呼ばれます。よって,コースカタログとコース パケットの中間に位置する(両者をつなぐ)のがシラバスということになりそうです。

コースカタログ(授業概要) < シラバス < コースパケット

(24)

(4)教育目標について

1)教育目標は,中教審答申「学士課程の構築に向けて」の中で,「学士力」として 以下のように述べられています。これは参考として述べられたものであり,この ようにする必要は必ずしもありません。

a.知識・理解・

 ▽多文化・異文化に関する知識の理解・(外国などの文化を理解する・)  ▽人類の文化,社会と自然に関する知識の理解

b.汎用的技能・

 ▽コミュニケーションスキル  ▽数量的スキル・

 ▽情報リテラシー・  ▽論理的思考力  ▽問題解決力 c.態度・志向性・

 ▽自己管理力  ▽チームワーク、リーダーシップ  ▽倫理観・  ▽市民としての社会的責任  ▽生涯学習力・

d.統合的な学習経験と創造的思考力

2)Bloomの教育目標分類学では、教育目標は、次の3領域に分類されています。 これらは、初等・中等教育において使われている目標の基本で、大学において も大変参考になる考え方です。

a.認知的領域・(cognitive・domain):知識や理解に関わる領域

 思い出したり記憶したりすることから始まり、次第に、解釈をしたり覚え た知識を使い問題解決する能力まで高まることが期待されます。

b.情意的領域(afective・domain):興味、関心や態度や習慣に関わる領域  興味・関心領域の「受け入れる」段階から始まり、それが分り行動に反映 され、内面的に深化させ、その人の生きる態度にまで影響が及ぶことが期待 されます。

c.精神運動的領域・(psychomotor・domain):技能や表現と関わる領域

 最初は真似ることから始まり、次第に上手になり、意識しなくてもできる ようになることが期待されます。

(25)

偏った授業展開がなされる傾向がありましたが、知識基盤社会を迎え、また生涯学 習時代に入りますので、これからは興味・関心や態度・習慣を目標とする情意的領 域を重視した教育が求められてきます。

3)教育目標を設定する場合、高すぎる目標設定は効果がありません。

a.現実的であること、  b.理解可能であること、  

c.測定可能であること、  d.行動的であること、  e.達成可能なこと が必要です。

概念的なもの(一般目標)と具体的なもの(到達目標)に分けると分かり易く なります。

4)教育目標の表現として、以下の点を注意すると書きやすくなります。

a.一般目標の記述(授業の目的と考えてもよい) ・主語を学習者にする。

・学習の結果如何なることができるようになるかを含む文章で書く。

・知識や技能の学習がなぜ重要か:それらがどのように利用されるか,それ によって学習者のニーズがどのように満たされるかを明らかにする。(目的 を明記する:「・・・・するために」)

・次に示すような複雑な概念や総括的な概念をもつ動詞を用いて表す。    知る、認識する、考える、理解する、感ずる、判断する、評価する、    位置付ける、考察する、使用する、実施する、適用する、示す、    創造する、身につける等

・必要な目標分類(認知・態度・技能)を総括的に含める。 ・「・・・・のために」・を文頭に使いまとめてもよい。 b.到達目標の記述

・一般目標と関連して、観察可能な具体的な動詞で到達レベルも分かるよう に記載する。

・一般目標を達成するために何ができるようになればよいかを具体的な言葉 で書く。

(26)

・認知的領域、情意的領域、精神運動的領域を分けて書く。 ・1つの一般目標に対して数個以上の到達目標が設定できる。

・学習者に要求される個別的観察可能な能力(行動)とそのテスト場面を設 定する。

・「理解する」のような概念的言葉でなく、下に述べる観察可能な行動を具体 的に表す行為動詞で表現する。

   述べる、説明する、比較する、関係づける、一般化する、適用する    公式化する、評価する、表現する、系統立てる、参加する、配慮する    模倣する、工夫する、応える、測定する等

・一つの授業で全ての観点の到達目標を設定する必要はない。

(5)授業計画について

 授業回数は試験を除いて15回分を確保してください。15回目に試験を実施する場合 は、単位制度の実質化を図る観点から、試験のみとせずに授業を含む計画にしてくだ さい。(中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて(答申)」(平成20年12月24日) において、「講義であれば1単位当たり最低でも15時問の確保が必要とされる。これに は定期試験の期間を含めてはならない。」との解釈がなされています。)

 授業計画は、各教員によって異なるのが普通ですから一概に述べることはできませ んが、授業を行うにあたっては以下の視点が大事になります。

 このうち、1)と2)が授業計画を書く上で特に重要になります。

 3)についても、どの授業時でどの到達目標を見るか必要に応じて記載してください。

1)「学生はどの程度の予備知識をもっているだろうか」(習熟度) 2)「学生はどのくらい授業を分かっているだろうか」(理解度)

3)「学生はどのくらい知識や関心等をもつようになっただろうか」(到達度)

1)については、到達目標が高すぎたり逆に低すぎると、意欲をもって勉学に励ま なくなる傾向がありますので配慮が必要です。

 最初の授業で小テストなどを行い実態の把握に努め、授業計画を修正する必要が ある場合(どのレベルから始めるかなど)もあります。

  また、受講するのに必要な予備知識をシラバスに明示しましょう。

(27)

2)理解度は常に把握しましょう。そのために小テスト、討論、宿題等を課してく ださい。学生が「自分は以前より進化した」と意識させることは授業を行う上で 極めて重要になります。

   講義形式の授業は、「多数に限られた時間で知識を伝えることができる」メリッ トがありますが、個人の習熟度や理解度に合わせることが難しく、またいわゆる 「知識のはがれおち」が起きやすいです。

   参加型の授業は、「学生が主体的に考えるきっかけをつくり、能動的、積極的学 習の動機づけが考えられますが、「多くを伝えられない、時間がかかる、テーマ設 定が難しい」などのデメリットもあります。授業の目的に合わせて使い分けてく ださい。両方を併用するやり方もあります。

3)到達度は最後に見るのではなく、15回の授業時間全てで測定することを原則と することを学生に伝えてください。従って全ての授業時間の出席が求められるこ とも伝えます。

 また、授業に関する学生との約束事をこの欄で明示して守らせるようにしてくださ い。例えば、プリント等は自己責任で保管する。紛失した(休んだ)場合は、自分で 借りてコピーすること。レポート、宿題等の提出期限は厳守することなどです。

(6)成績評価について 1)成績評価の意味

  評価とは、基本的には、教育活動が効果的に行われたかどうかの判断を行う作 業で、その結果は、次の教育活動へフィードバックされるという継続的なもので あることが求められます。

  決して合否を決めるためだけのものではないとお考えください。

2)評価の種類

  評価は目的によって、次の三種類があります。

(28)

 授業の最初に実施し、指導を行う前の時点での学習者の学力やレディネス を診断するための評価です。この情報を基に授業内容の修正を行います。授 業をするにあたって最初に行うことが望ましい評価と考えられます。

b.・形成的評価・

 それまでの指導内容を学習者がどの程度理解したか、習得しているか否か、 もし習得していないなら、それを習得するのに何をしなければならないかを 判定するための評価をいいます。したがって、成績評価の資料とはしないの が原則です。

 その結果は、学習者が学習を矯正するため、また教師が教授方法を矯正し 学習指導の指針を得るためのフィードバック資料となります。

 形成的評価を行いながら授業を行うと、後ろで述べる総括的評価が良くな るばかりでなく、いわゆる「知識の剥がれ落ち」を防ぐことが期待できます。 c.・総括的評価・

 達成された学習成果の程度を総括的に把握する評価でその授業が終了した 時期に定期試験として行われるのが普通です。

 総括的評価は、到達目標に対する到達度で行います。

 実際には、学生が学習の結果として目標のどのレベルまで到達したかを試 験し、学業成績を求めることにあります。したがって、目標,特に行動目標 の表現は、試験の評価規準をあらわすことになります。

 しかし、知識や技能以外の観点などは定期試験で評価することが難しいと 考えられ、授業中に発表会を評価したり、宿題やレポートを課して評価した りすることもこれからは重要になります。

 したがって、学生の習得度を理解するために診断的評価を行い、適宜形成的評 価を行うことを通して授業改善を行いながら、必要に応じて授業中に評価を行い、 最終的に成績評価を行うことが望まれます。

3)評価規準と評価基準

  評価規準とは、どういうことを評価するかという意味で、到達目標に具体的に 表されます。・シラバスに明示することが必要です。

(29)

4)評価方法

  評価方法とは、どのような方法で評価するかを示し、小テスト、定期試験、課 題レポート、発表及び討論、提出作品、授業への参加態度、予習・復翌等の自主 的学修熊度などが対象になります。目的に応じて選択してください。

  採用した評価方法が、到達目標の何に対応し成績にどのように反映されるか、 また評価の割合をあらかじめシラバスに明記しておくことが望ましいです。

  認定評価(公開していない基準、教員の頭の中にある満足のいく成果)で評価 することは、評価に対する信頼性を失わせ望ましくありません。

5)評価時期

  診断的評価は、初回授業時に行います。

  形成的評価は、授業の途中に行い授業の改善に活かしてください。

  総括的評価は学期末の定期試験時に行いますが、それ以外に、評価の目的に応 じて適宜評価時期を設定します。このことは、シラバスに明示し、確実に実施し ます。

コラム:FD再考

 京大高等教育研究開発推進センター長の田中毎実(たなか・つねみ)先生が,日本私立大学協会の教育学術新 聞(平成20年4月16日号 http://www.shidaikyo.or.jp/newspaper/online/2312/3_4.html)に興味深い ことを書かれています。特に以下の部分が印象的でした。(下線は伊田)

 外部から見れば、「何か教員が目を輝かせながら、熱心にFD活動に取り組んでいる」ことを期待するのかも しれませんが、FDが派手に見えることは絶対にありません。

(中略)

 FDは、「教員が動くスイッチがどこかにある」というような、簡単な話ではありません。文部科学省から言 われたから、これだけやっていればいいというものでもありません。

(30)

参考のため、化学(仮想の科目です)のシラバス記入例を記載します。 主に一般目標と到達目標及び成績評価及びそれを担保する授業計画を

示すためのシラバスであるとお考えください。

(31)

成績評価

オフィス アワー 教職チェック

(32)

 平成22年の夏から秋にかけて各キャンパスで実施された「シラバスワークショップ 2010」において,先生方からご回答いただいたアンケートの自由記述から,シラバス 作成に関する質問を抜粋しました。

シラバスの「授業の目標」と「到達目標」を別の欄に分ける必要があるのでしょう か?違いは理解できますが、分けて書こうとすると両者の関連についても書かなけれ ばならないので、かなり冗長になってしまいます。

・ 教育評価学の中では,仮説実験授業の提唱者として有名な板倉聖宜氏が「方向 目標」と「到達目標」という用語で区別しています。

  「授業の目標」はまさに「方向目標」であり,一般的・抽象的・理念的な目標が 記述される枠です。授業期間中に身につけてほしい内容の方向性を示すと考える こともできますが,その先には,学期終了後もその方向でさらに学び続けてほし いという願いが含まれることもあるものだと考えられます。

  それに対して「到達目標」は,当該科目の期間中に到達することが期待される 水準を意識した具体的目標を記述する枠ということになります。「期間中」という のは,まさに学期末までに成績評価を行うことと関係しており,目標の到達度に 応じて評価するという点で,到達目標と成績評価は常にセットで考えなければな らないものです。到達目標の性質上,観点ごとに箇条書きとした方が明快に表現 しやすいかもしれません。

  このような視点から,「授業の目標」と「到達目標」を書き分けていただければ よいかと思います。書き方としては,両者の関連を明記するのか,内容からして 関連性が自明であるとみなすのかによって変わってきますが,読み手にとって理 解可能である限り,冗長と思われる部分はコンパクトにまとめられてもよいと考 えられます。

関連ページ

2.シラバス作成のための一般的注意点(2)教育上の目的を認識し,それに基づ いて授業における目標を明示する……p.10

3.実際の情報の入力について……p.14(授業の目標欄)……p.15(到達目標欄) ……p.15 〜 16

4.参考資料(4)教育目標について……p.22

(33)

本学のシラバスの項目は多様であり、記入するだけで大きな労力を要します。項目に ついて見直し精選をお願いしたい。

・ 確かに相当の労力を要するものだと思われます。成績評価にまで関わる性質上, 短い文章であっても細心の注意を払って表現を選択しなければならず,思いのほ か時間がかかります。一方で,その労力が実際の授業展開に生かされたり,受講 生の理解を促進したりする効果も期待できます。1回で完成度の高いシラバスを 作成するというよりは,数年間かけてマイナーチェンジを繰り返したり,あるい は自分の担当科目の中から今年度の重点科目を1つ決めて毎年1科目ずつ集中的 に改善を図ったりするなどの方策もありうるかと思います。

  シラバスの項目・様式については,高等教育の国際的・全国的動向,全学的な 取り組み等,多様な要因の中で議論され,形を変えていくものと思われます。現 状としては,精選よりはむしろ精緻化の流れが強い状況ですが,将来的には流れ が変わることも考えられます。あくまで想像の範囲を出ませんが,例えば,シラ バスとコースパケットの役割分化が進んで,精緻化された部分がコースパケット に引き継がれ,シラバスは項目精選の方向に転換されるという可能性も考えられ ないわけではないと思われます。その意味で,長期的な視点からも,費やした労 力が無駄になることはなく,次のステップに生かされていくものと考えられます。

関連ページ

2.シラバスとポリシーについて……p.5 5.参考資料(1)(2)……p.19 〜 21

出口保証という観点でシラバスを精緻化することに反対はしませんが、明確である、 分かりやすい、という点も重要な点ではないかと思います。1科目数ページにわたる ようなシラバスを学生が本当に読むのか疑問に思います。簡潔に提示することも大切 だと思いますので、A4一枚超えるようなシラバスがいいのかどうかは検討の余地が あるのではないでしょうか。

(34)

される簡易なシラバスとは別に,授業で使用する教材の一部として,精緻なシラ バスを用意するのも一案かと思います。

関連ページ

2.シラバスとポリシーについて(2)シラバスの機能……p. 5〜6

コンピュータに入れる際、入力可能な時間が決められています。あれは何とかならな いのでしょうか、先日も2回も消えてしまいがっかりしました。

・ システムの設定上,一定時間が経過すると接続がリセットされるようです。お 手数ですが,シラバス作成の際には,あらかじめワープロソフト等で文章を作成 し,完成後に「コピー&ペースト」でオンライン登録されることをおすすめしま す。ワープロのファイルがあれば,初回授業時に受講生へ配布する際に,追加情 報を掲載して加工したり,授業通信のフォーマットに合わせてプリントアウトし たりするのにも便利です。

関連ページ

4.実際の情報の入力について……p.14

この間の授業時数確保、単位の実質化の大合唱を聞いていると、All work and no play makes Jack a dull boy. という諺を思い出します。教員となることを希望して いる学生たちのhumanity を深く静かに傷つけているのではないかと心配になります。 講義、教員によるinformalな教育、学生の自主的な活動、休暇の過ごし方etc含めた 大学生活の全体のあり方、その中での教育、形成作用の全体のありようを改めて我々 が考えなおす必要を感じています。

・ 形式主義に陥れば,そのような危惧が現実のものとなるかもしれません。しか しながら,現状としては「目標の不明確さ」「形式の不在」「自主性尊重という名 の自由放任」によって深く静かに傷つけられてきた学生たちの姿の方が問題であ るように思います。「授業で学生が雑に扱われているように感じる」「2年生の終 わりを迎えても,何かを学んだという実感のある授業がほとんどない」といった 声も聞こえてきます。

参照

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