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[書評] 本山幸彦著『明治前期学校成立史』

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[書評] 本山幸彦著『明治前期学校成立史』

著者 本山 幸彦

雑誌名 教育科学セミナリー

巻 22

ページ 85‑85

発行年 1990‑12‑15

URL http://hdl.handle.net/10112/00019490

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本山幸彦著

『明治前期学校成立史』

臨川書店(1990.11)

理由もあって、本書は学界から戦後の中等教育 史研究の草分けだとの評価をうけ、広く研究者 に利用されることになった。

しかし、本書が出た頃は中等学校史など、教 育史学界の関心の外にあり、当時、 「図書新 聞」か何かで書評をして下さった土屋忠雄氏か ら、本書の標題を把えて「羊頭狗肉」だとのお 叱りをうけたくらいだった。中等教育史研究は、

まだ学界では「狗肉」にすぎなかったといえよう。

本書の執筆者のほとんどが、当時、京都大学 大学院教育学研究科の学生で、私の担当した教 育史セミナーの報告が、ここに収録された論文 の基礎史料となっている。

本書が今回復刻されることになったのは、今、

なお、新しい研究者の方々に刺激を与えている にも拘らず、すでに市場から姿を消した本書を 求める声が、あち、こちで聞かれたからである。

(本山幸彦)

本書は1965年未来社から出版された同名の書 物の復刻版である。 「学校成立史」といっても、

内容は明治初年の中学校成立の事情を、全国か ら九県を事例に選んで分析したものである。

明治初年の中学校設立の原動力は、初等教育 のように国家ではなく、 「学制」の教育に満足 できない旧藩士族が自己の子弟のため、彼ら自 身の力で教育機関をつくろうとする、きわめて 地方的、自主的なものであった。国家はむしろ こうした旧特権階級の自主的な各地方における 中学校設立の運動を抑制し、画一的な枠の中に 閉じ込めようという政策をとっていた。

本書の意図は国家の画一的な教育政策と、地 方の自主的な教育要求との対抗関係の解明を軸 に、政治史を背景とする教育史の新しい分野を 開拓したいというにあった。そして、日本教育 史の世界では、本書が多少の刺激を与えたのか も知れないが、本書の出版以後、急速に中等教 育史の研究が盛んになった。そんな研究史上の

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