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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

社会的ネットワークからみた中国における産業集積 の形成と変容に関する経済地理学的研究 : 温州地域 と温州出身者によるアパレル産業を事例として

端木, 和経

https://doi.org/10.15017/2534513

出版情報:九州大学, 2019, 博士(学術), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 端木 和経 論 文 名

社会的ネットワークからみた中国における産業集積の形成と変容に 関する経済地理学的研究-温州地域と温州出身者によるアパレル産 業を事例として-

論文調査委員 主 査 九州大学 准教授 阿部康久 副 査 九州大学 准教授 宮地英敏

副 査 九州大学 講師 ヒェラルド コルナトウスキ 副 査 九州大学 准教授 與倉 豊

副 査 下関市立大学 教授 飯塚 靖

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は1980年代以降に産業集積の形成・発展が顕著にみられた中国浙江省温州地域と他地域に 移動した温州地域出身者を事例として、アパレル産業集積の形成と変容のあり方について、同郷者 である取引先との社会的ネットワークの役割や、その限界・制約に注目して検討したものである。

調査方法として、温州のアパレル企業経営者31人へのインタビュー調査と、それ以外の経営者74 人へのアンケート調査のほか、業界団体関係者らへのインタビュー調査と資料・統計の収集・分析 を行っている。その研究結果として、産業集積の形成期には、温州地域や温州出身の経営者らは相 互支援を行いながら、生産や販売面で分業を行うことができ、地縁・血縁に基づく社会的ネットワ ークを有する同郷者による小規模事業者の集積が拡大していった。これに対して、このような温州 地域の企業の特色とされていた起業や事業継続・拡大の手法は、現在では変容しつつある点も明ら かになった。具体的には、これまで温州企業の特徴として地域産業発展の原動力とみなされてきた 同郷者による社会的ネットワークの存在が、逆に発展の制約条件に転化する場合や、同郷者間での 社会的ネットワーク自体が弱体化する場合もあることが明らかになった。また、一部の企業では既 存の社会的ネットワークを活かしながらもそれを再編させ、新たな社会的ネットワークを構築して いる例もみられた。このような温州地域のアパレル産業集積の変容を、Markusen(1996)が示した4 つの産業集積地域の類型に当てはめて検討すると、「マーシャル型産業集積」の特徴を持つ地域から、

地域外の部品・原材料業者等の取引先企業とも強い関係を持つ企業によって構成されているという 点で「ハブ・アンド・スポーク型産業集積」に変容しつつあるとしている。

2019年8月3日午後3時から5時まで九州大学西新プラザにて公開審査を実施した。論文調査委 員から先行研究の内容理解や本論文との関係性・位置づけに関する質問のほか、本研究で論じきれ なかった点として、企業間の社会的ネットワークが弱体化していく中で、一部の企業ではどのよう なメカニズムにより大規模化がなされているのかという点について質問が出された。端木氏は、こ れらの質問に対して真摯に回答し調査委員の理解を得ることを試みていた。以上のやり取りの結果 として、同論文に対する調査委員の評価として、中国の中でも、改革開放後に起業する人が多くみ られたことで全国的にも注目されている温州の企業家を対象とした丹念なフィールドワークに基づ いた調査と考察を行っている点については、調査委員からも高い評価を受けることができた。先行 研究に対する論文のオリジナリティとして、従来の理論的あるいは実証的研究の中で議論されてき

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た「マーシャル型産業集積」の意義や機能についての論考に一定の貢献をすることができる結論を 提示しているとみることができるという意見も出された。

以上の点から本提出論文は、論文調査委員全員一致で博士(学術)の学位授与に値する論文であ ると認めるものである。

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