九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
生体高分子ゲルの転移過程における環境効果に関す る研究
金谷, 晴一
九州大学工学応用理学
https://doi.org/10.11501/3075449
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
σ
生体高分子ゲルの転移過程における 環境効果に関する研究
平 成 6 年 1 月
金 谷 晴 一
目次
第 l章 序 論
1 ‑ 1
本研究の背景・・1 ‑ 1 ‑ 1
ゲル・1 ‑ 1 ‑ 2
加圧処理によるタンパク質のゲル化‑1 ‑ 1 ‑ 3
生体高分子と水‑1 ‑ 1 ‑ 4
ゲルのガラス化・‑1 ‑ 2
本研究の目的・1 ‑ 3
本論文の構成・・‑2
・2
・5
・
5
・7
‑9
・
9
第
2
章 試 料 及 び 測 定 方 法 ・2 ‑ 1
緒 言2 ‑ 2
試 料2 ‑ 2 ‑ 1
筋原線維タンパク質アクトミオ.シン2 ‑ 2 ‑ 1 ‑ 1
アクトミオシンの物性2 ‑ 2 ‑ 1 ‑ 2
アクトミオシンの加熱ゲル化過程2 ‑ 2 ‑ 2
卵白2 ‑ 2 ‑ 2 ‑ 1
卵白の物性2 ‑ 2 ‑ 2 ‑ 2
卵白のゲjレ化過程2 ‑ 3
光学的測定2 ‑ 3 ‑ 1
光散乱の理論2 ‑ 3 ‑ 2
時間分解濁度スペクトル測定2 ‑ 4
重量・体積同時測定2‑5 時間分解小角X散乱実験・・・・・
2‑6 走査型電子顕微鏡による形態観察 2‑7 広角X線回折実験・・
1 i η L nUつ‑vnJつノ
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門 / 門 / 勺 i Q U Q J Q υ Q υ Q υ Q U
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L n L q d q J A
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第3章 筋 原 線 維 タ ン パ ク 質 の ゲ ル 化 過 程 ・
3 ‑ 1
緒 言3 ‑ 2
実 験3 ‑ 2 ‑ 1
試料の調製3 ‑ 2 ‑ 2
時間分解濁度スペクトル測定セル3 ‑ 2 ‑ 2 ‑ 1
加熱セル3 ‑ 2 ‑ 2 ‑ 2
低圧領域の加圧セjレ3 ‑ 2 ‑ 2 ‑ 3
高圧領域の加圧セル3 ‑ 2 ‑ 3
走査型電子顕微鏡による形態観察3 ‑ 3
結果及び考察3 ‑ 3 ‑ 1
加熱処理によるゲル化過程勺J
A 斗AせA‑にJにd勺i門/ハUハUハUハUA生A斗 A q A斗 ・
4 4 A性A斗A
性 に
υ民
υF hυ Fh υ
3 ‑ 3 ‑ 1 ‑ 2 T ' g
の決定・. • . • .3 ‑ 3 ‑ 1 ‑ 3 T ' g
に対するpHとN a C l
濃度の影響・3 ‑ 3 ‑ 1 ‑ 4
温度ジャンプ実験3 ‑ 3 ‑ 2
加圧処理によるゲノレ化過程3 ‑ 3 ‑ 3
走査型電子顕微鏡による形態観察3 ‑ 4
結論. 5 3
・
5 5
・
5 8 . 6 3
・
6 9
・
6 9
第 4章 筋原線維タンパク質のゲルーガラス様転移における溶媒効果. .
. 7 5 4 ‑ 1
緒 言 ・ . . . . • • • . . .. 7 6 4 ‑ 2
実 験 ・ . . . . • . . . • • . . .. 7 6 4 ‑ 2 ‑ 1
試 料 の 調 製 ・ . . . . • • . . . . • . .. 7 6 4 ‑ 2 ‑ 2
測 定 . . . • . . . • . . . • . .. 7 7 4 ‑ 3
結 果 及 び 考 察 . . . . • • . . . •. 7 7 4 ‑ 4
結 論 . . • . . . .. .・・・・・・・・8 2
第 5章 卵白のゲルイヒ過程・. . • . . . . • . . • . . . • • • . . .
. 8 3 5 ‑ 1
緒 言 ・ . . . . • . . .・・・・・・・・8 4 5 ‑ 2
実 験 ・ . . . . .. .・・・・・・・・8 4 5 ‑ 2 ‑ 1
試 料 の 調 製 ・ . . . . • . . . • .. ...・・・8 4 5 ‑ 2 ‑ 2
時 間 分 解 濁 度 ス ペ ク ト ル 測 定 . . • .. .. . . ・ ・ ・ ・8 4 5 ‑ 3
実 験 結 果 . . . . • . . . • . . • • • • • . . . . •. 8 5 5 ‑ 3 ‑ 1
温 度 変 化 ・ . . . . • . . . • • . . . .・・・・8 5 5 ‑ 3 ‑ 2
温 度 ジ ャ ン プ 実 験 ・ . . . . • .・・・・・・・・・・8 8 5 ‑ 3 ‑ 3
圧 力 ジ ャ ン プ 実 験 ・ . . . . • .・・・・・・・・・・8 8 5 ‑ 4
考 察 ・ . . . . • . . .・・・・・・・・9 4 5 ‑ 4 ‑ 1
加 圧 に よ る タ ン パ ク 質 の 変 性 ・ . • . • • . . • . . .・・・・9 4 5 ‑ 4 ‑ 2
実 験 結 果 の 考 察 ・ . . . . • . . • . . . •. 9 9 5 ‑ 5
結論・. . . . . • . . . .・・・・・・・1 0 6
第
6
章 卵 白 の ゲ ル ー ガ ラ ス 様 転 移 と 変 性 処 理 ・ . . . . • .1 0 7
6 ‑ 1
緒言・ .. . . .・・・・・・・・1 0 8
6 ‑ 2
実験・. . . • • • • . • • • . • • . . • • • • • • • • • • • •1 0 8
6 ‑ 2 ‑ 1
試料の調製・. . . . .. ...・・1 0 9
6 ‑ 2 ‑ 2
測定・. . . • . . . . • . . • . . • . . • . .・・・・・・1 0 9
6 ‑ 3
実験結果・. . . . • . . . .. , .・・・・・・1 0 9
6 ‑ 3 ‑ 1
濁度・重量同時測定・.. . . . • • . .・・・・・・・・・1 0 9
6 ‑ 3 ‑ 2
巨視的物性測定・・. . . . .・・・・・・・・・・1 1 5
6 ‑ 3 ‑ 3
時間分解小角X
線 散 乱 実 験 ・ . . . . .. ....・・・・・1 1 5
6 ‑ 3 ‑ 4
走査型電子顕微鏡による形態観察・. . ...・・1 1 8
6 ‑ 3 ‑ 5
広角X
線 回 折 実 験 ・ . ...・・・・・・・・・・1 2 7
6‑4 考察・・・
6‑5 結論・・
第7章 卵白のゲルーガラス様転移における溶媒効果 7‑1 緒言・・
7‑2 実 験 . • .
7‑2‑1 試 料 の 調 製 . . 7‑2‑2 測 定 ‑
7‑3 結果及び考察・・
7‑3‑1 試料のVTRイ メ ー ジ
7‑3‑2 走査型電子顕微鏡による形態観察‑
7‑3‑3 広角X線回折実験 7‑3‑4 重量・体積同時測定・
7‑4 結論・・
第
8
章 総 括 参考文献 発表論文リスト口頭発表リスト
本論文の各章と発表論文の関係 謝 辞
. 127
・129 . 134
・135
・135 . 135
・136
・136 . 136
・138
・138 . 138
・150 . 152 . 156 . 159 . 162 . 167 . 169
第 l 章
序 論
1‑1 本 研 究 の 背 景
生 体 高 分 子 の ゲ ル 化 、 及 び 最 近 認 識 し 始 め ら れ た ガ ラ ス 化 と い っ た 物 性 変 化 の 研 究 は 、 医 学 ・ 生 物 学 と 物 理 学 の 境 界 領 域 で あ る。例 え ば 、 医 学 の 分 野 で は 、 血 液 の 凝 固1)や人工筋肉としてのアクチュエータ:2)等、また、生物学の 分 野 で は 、 微 生 物 ・ 酵 素 の 固 定 等 が あ げ ら れ る 。 一方、物理学の分野では、
ゲ ル の 構 造3‑8)及 び レ オ ロ ジ ‑ 的 性 質9,10)に つ い て 様 々 な 研 究 が な さ れ て い る 。 さ ら に 応 用 上 は 、 高 分 子 工 業 の 分 野 で は 、 衝 撃 緩 衝 材 や コ ン タ ク ト レ ン ズ 、 衛 生 用 品 の 開 発11)等 が あ げ ら れ 、 ま た 食 品 工 業 の 分 野 で は 、 食 品 の 機 能 的 特 性 で あ る 「 硬 さ
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軟 ら か さ 」 と い っ た テ ク ス チ ャ や 保 水 性 に つ い て の 研 究 が 活 発 に な さ れ て い る 12)。 特 に 、 こ う し た 生 体 高 分 子 に お け る ゲjレ化及びガラス 化 と い っ た 転 移 現 象 に お け る 環 境 効 果 を 調 べ る 事 は 、 そ の 機 構 解 明 を 可 能 と す る ば か り か 、 医 療 、 食 品 等 の 分 野 で の 応 用 に 著 し い 進 展 が 期 待 さ れ る 。こ こ で は 本 研 究 の 内 容 に 深 く 関 係 す る ゲ ル 及 び ガ ラ ス に つ い て そ の 概 要 を 以下に述べる。
1‑1‑1 ゲル
ゲルは、 「 あ ら ゆ る 溶 液 に 不 溶 の 三 次 元 網 目 構 造 を も っ 高 分 子 及 び そ の 膨 潤 体 」 と 定 義 さ れ て い る13)。 ゲ ル の 網 目 構 造 を 膨 潤 さ せ て い る 溶 媒 が 、 水 で あ
る か 有 機 物 質 で あ る か に よ っ て 大 き く ハ イ ド ロ ゲ ル と オ ル ガ ノ ゲ ル に 分 類 さ れ る 。 我 々 の 身 の 回 り に あ る ほ と ん ど の ゲ ル は ハ イ ド ロ ゲ ル で あ り 、 ゆ で 卵 、
こ ん に ゃ く 等 多 く の 食 品 や 吸 水 性 高 分 子 が こ れ に 当 た る 。 一方 、 オ ル ガ ノ ゲ ル に は 、 衝 撃 吸 収 材 な ど の シ リ コ ン オ イ ル を 溶 媒 と す る ゲ ル 等 が あ る 。
Table1‑1に ゲ ル の 分 類 を 示 す11)。
高 分 子 間 の 水 素 結 合 や ク ー ロ ン カ あ る い は 配 位 結 合 に よ っ て 橋 架 け 形 成 を す る も の を 物 理 ゲ ル と 呼 び ¥ 寒 天 、 ゼ ラ チ ン 等 、 天 然 に 存 在 す る ゲ ル の 多 く
はこの様に合成される。
ま た 、 生 体 を 構 成 し て い る 大 部 分 も ゲ ル で あ り 、 構 成 物 質 は 多 糖 類 と タ ン パ ク 質 に 分 類 で き 、 こ れ ら は 生 体 内 で 、 皮j討 を 始 め 角 膜 や 硝 子 体 、 軟 骨 等 の 組 織 の 構 成 因 子 と な っ て い る 。 一 方 、 生 体 か ら 取 り 出 し た 天 然 由 来 の 高 分 子 物 質 を 用 い て 人 工 的 に 作 る ゲ ル を 天 然 高 分 子 ゲ ル と 呼 ぶ 。 主 な ゲ ル 形 成 能 を
T a b l e 1 ‑ 1.ゲルの分類
11)固相一液相 ハ イ ド ロ ゲ ル 水
オルガノゲル 有機溶媒 リポゲル 油性溶煤
構成する相 アルコゲル アルコール
と溶媒 固相一気相 キセロゲル こフこ'c左メ~
、
アエロゲル 二7工'cニ左メ言'"
国相‑固相 ポリマーゲル ポリマー ゲルゴム ポリマー
天然ゲル タンパク質ゲル、多糖ゲル、生きているゲ ル、再構成されたゲル
構成高分子 合成ゲル 有機高分子ゲル、無機ゲル
ハイ ブリッドゲル 多糖と合成高分子、タンパク釘と合成高分 子
網目の形成 共有結合
分子間結合 クーロン力 水素 結 合 配 位 結 合
大きさ ミクロゲル 分子内橋架け構造
マクロゲル 分子間橋架け構造 (通常のゲル)
T a b l e 1 ‑ 2 .
ゲルイヒ能を持つ天然高分子11)多 糖 類
非 電 解 質
電 解 質
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カラギーナン プロテオグリカン グリコプロテイン ラ ン ダ ム コ イ ル 一 一 ゼ ラ チ ン
球 状 タ ン パ ク 質 タンパク質系
アクチン チュープリン ヘ モ グ ロ ビ ンS
インスリン フィブリン 卵 白 ア ル ブ ミ ン 血 清 ア ル ブ ミ ン
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天 然 高 分 子 ゲ ル を 構 成 す る 網 目 は 、 生 体 高 分 子 と 同 様 に 多 糖 類 と タ ン パ ク 質 に 大 別 で き る 。 多 糖 類 は 高 分 子 量 に な る と 橋 架 け 点 を 導 入 し な く て も 分 子 同 士 が か ら み 合 っ て ゲ ル 化 す る 。 こ れ ら の ゲ ル は 食 品 の 増 粘 剤 、 ゲ ル 化 剤 と
し て 食 品 工 業 の 分 野 に お い て 広 く 用 い ら れ る 。
1‑1‑2 加 圧 処 理 に よ る タ ン パ ク 質 の ゲ ル 化
1914年、 Bridgmanに よ り 加 圧 処 理 に よ っ て タ ン パ ク 質 が ゲ ル 化 す る と い う 事 が 報 告 さ れ た14)。 そ の 後 、 最 近 の 高 圧 技 術 の 進 歩 に よ り 、 多 く の 工 業 分 野 で 高 圧 が 利 用 さ れ る 様 に な っ て き た が 、 医 学 ・ 薬 学 ・ 生 物 学 ・ 食 品 科 学 等 い わ
ゆ る バ イ オ サ イ エ ン ス へ の 高 圧 利 用 は 、 ま だ 未 開 拓 の 分 野 と し て 残 さ れ て い る。
し か し 、 高 圧 下 で の 生 物 現 象 に 対 す る 関 心 は 世 界 的 に 高 く 圧 と 食 品 及 び バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー に 関 す る シ ン ポ ジ ウ ム 等 が 数 多 く 行 わ れ 、 こ の 分 野 の 研 究 の 発 展 を 伺 い 知 る 事 が で き る15・17)。 そ し て 、 す で に 果 実 ジ ャ ム の 加 工 と 汁 の 味 の 改 良 で 実 用 化 に 成 功 し て い る18)。加熱処理と異なり、高圧処埋では食 品 素 材 の 栄 養 素 や 風 味 を 損 な う 事 な く 加 工 ・ 殺 菌19)が可能である。
1‑1‑3 生 体 高 分 子 と 水
食 品 等 の 生 体 高 分 子 ゲ ル の 主 要 な 構 成 成 分 は 水 で あ り 、 食 品 の 物 性 や 機 能 を 決 定 す る 重 要 な 因 子 と な っ て い る20)。 特 に 、 高 圧 下 に お い て は 、 水 は 圧 力 媒 体 と し て だ け で な く 、 水 素 結 合 、 疎 水 結 合 、 静 電 的 相 互 作 用 の 改 変 を 通 し て 、
タ ン パ ク 質 や 多 糖 類 の 構 造 と 機 能 に 影 響 を お よ ぼ し て い る21)。 そ れ ゆ え 、 食 品 系 へ の 圧 力 の 作 用 機 構 を 理 解 す る た め に は 、 生 体 高 分 子 と 水 の 相 互 作 用 、 す
な わ ち 水 和 に 対 す る 知 識 が 必 要 と な る 。
タ ン パ ク 質 等 の 生 体 高 分 子 が 水 に 接 触 す る と 、 図1‑1に 示 す 様 な 、 い わ ゆ る 水 和 層 が 形 成 さ れ る 。 こ の 水 和 層 は タ ン パ ク
1 1
に 強 く 結 合 し た 水 ( 不 凍 水 (non‑freezing water)) と 弱 く 結 合 し た 水 ( 結 合 水(boundwater))の2
層 か ら 成 り 立 っ て い る22)。 不 凍 水 は 主 と し て 電 離 基 や 極 性 基 に 直 接 配 向 し た 水 で 、 そ の熱運動は強く束縛されており、回転の相関時間'tcは10・7秒のオーダーである。一 方 、 結 合 水 は 、 不 凍 水 と の 水 素 結 合 に よ り あ る 程 度 配 向 し た 水 で 、τcは10・9秒
自由水 ( F r e eWater)
結合水 (BoundWater) L
t 水和層 不凍水 ( N o n ‑ F r e e z i n gWater) )
図 1 ‑ 1.タンパク 質 界 面 に お け る 各 種 の 水 の 分 類
の オ ー ダ ー で あ る 。 更 に そ の 外 側 に 通 常 の バ ル ク 水 と 同 様 な 自 由 水 ( (free water); 't c~10-12秒)がとりまいている。これらの水和水の量、構造、性質は、
温 度 、 圧 力 、 添 加 物 等 熱 力 学 的 因 子 に よ り 影 響 を 受 け る が 、 当 然 、 圧 力 効 果 に対しては水和水の体積と圧縮率が問題となる。
一 般 に タ ン パ ク 質 が 変 性 す る と 、 分 子 内 部 の ア ミ ノ 酸 残 基 が 露 出 し 溶 媒 と 接 触 す る 様 に な る た め 水 和量 は 増 加 し 、 モ ル 体 積 が 減 少 す る 。 ま た 、 タ ン パ
ク 質 分 子 同 士 の 会 合 で は 脱 水 和が 起 こ り 、 モ ル 体 積 は 増 加 す る 。 従 っ て 、 比 較 的 低 圧 下 で は タ ン パ ク 質 の 変 性 が 促 進 さ れ る 結 果 、 会 合 反 応 は 抑 制 さ れ 、 す な わ ち 解 離 現 象 が 起 こ る と 考 え ら れ る 。 し か し な が ら 、 よ り 高 圧 下 に お い
て は 、 疎 水 結 合 に 対 す る 圧 力 効 果 の 反 転 に よ り 会 合 が 促 進 さ れ る21。)
1‑1‑4 ゲ ル の ガ ラ ス 化
ガラス窓、やガラス瓶等の様に、身のまわりにあるガラスを見ると、 一般 的
に 、 透 明 で 、 も ろ く 、 加 熱 に よ り 流 動 す る と 考 え ら れ る。ガラスの↑
t l i f t
として以下の様に定義されている。狭い定義として、 『溶融物を結晶化する事な
く冷却して得られる無機物質j23)が あ げ ら れ る が 、 最 近 、 非 品 賃 金 属 及 び 非 自 質 高 分 子 等 、 こ の 定 義 に 合 わ な い が ガ ラ ス と よ ん で 当 然 だ と 思 わ れ る 物 質 が 数多くある。そこで、広い定義として、 『ガラス転移現象を示す非品質固体
J
23)がある。
最近、 Takushiら は 、 白 濁 し た 卵 白 ゲ ル (ゆで卵)が、乾燥雰囲気中で硬く 透 明 に な り 、 ガ ラ ス の 様 な 状 態、(以 降 ガ ラ ス様状態と呼ぶ)に変化し、逆に、
ガラス様状態、の卵白を精製水に浸すと膨潤して 再 び ゲ ル に な る と い う 事 を 報 告した24)。図1・2は 、 ゆ で 卵 と 、 そ れ を 一 月 程 度 冷 蔵 庫 で 保 存 し た も の の 写 真 で あ る 。 こ の ゲ ル ー ガ ラ ス 様 転 移 に お て 、 濁 っ た 軟 ら か い 試 料 が 収 縮 し 、 硬
く透明になる(図1̲325)) と い う 事 か ら 、 内 部 構 造 に 大 き な 変 化 が 生 じ て い る という事が示唆された。Takushiらは、ゆで 卵 の 白 味 の 乾 燥 過 程 に お け る 重 亘 変 化 の 測 定 を 行 い 、 転 移 過 程 は 2段 階で あ る と 報 告 し た 。 彼 ら は 、 第 一 段 階 が ゲ ル 中 の 弱 い 相 互 作 用 を 受 け た 水(freewater)の 脱 水 過 程 で あ り 、 第二 段 階 が ネ ッ ト ワ ー ク に 強 い 束 縛 を 受 け た 水(boundwater)で あ ろ う と 結 論 し た26)。 さ ら に 、 力 学 的 性 質 の 時 間 分 解 測 定 か ら 、 乾 燥 過 程 に お い て 、 弾 性 率 及 び 弾 性 損 失 の 時 間 変 化 が 、 通 常 の ガ ラ ス 転 移 に お け る 温 度 変 化 と 非 常 に 類 似 し た 振 る 舞 い を 示 し て い る 事 が 観 測 さ れ た27)。 し か し な が ら 、 その 物 性 に 関 す る そ
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の 他 の 研 究 は 皆 無 で あ る と い っ て 良 い 。
1・2 本 研 究 の 目 的
前 節 で 述 べ た 様 に 、 生 体 高 分 子 の ゲ ル 化 、 及 び 最 近 認 識 し 始 め ら れ た ガ ラ ス 化 と い っ た 物 性 変 化 の 研 究 は 、 医 学 ・ 生 物 学 と 物 理 学 の 境 界 領 域 で あ り 、 応 用 上 は 、 特 に 食 品 加 工 の 分 野 に お い て 、 テ ク ス チ ャ ー や 栄 養 素 の 制 御 等 大 変 重 要 で あ る 。 特 に 、 食 品 加 工 に お い て 、 通 常 の 熱 処 理 に 対 し て 、 生 の フ レ
ー ノ て ー を 保 っ た ま ま 食 品 化 出 来 る と い う 利 点 か ら 、 加 圧 処 理 が 最 近 注 目 を 集 め て い る 。 現 在 ま で ゲ ル 状 態 で の 静 的 な 物 性 測 定 は 広 く 研 究 さ れ て お り 、 ネ ッ ト ワ ー ク 中 の 自 由 水 が 非 常 に 大 き な 役 割 を 果 た し て い る と 考 え ら れ て い る が 、 変 成 途 中 の 過 程 が 生 成 物 の 物 性 に 大 き な 影 響 を 与 え る の は 明 ら か で あ る に も か か わ ら ず 、 そ の 動 的 機 構 及 び ネ ッ ト ワ ー ク と 白 雨 水 の 相 互 作 用 に 関 す る研究はほとんど行われていない。
こ の 様 な 状 況 を 背 景 に 、 様 々 な 加 工 条 件 に よ る 生 体 高 分 子 の ゲ ル 化 及 ぴ ガ ラ ス 化 と い う 転 移 現 象 に お け る ネ ッ ト ワ ー ク と 白 雨 水 の 相 互 作 用 の 変 化 に つ い て 種 々 の 物 性 の 時 間 分 解 観 察 を 行 い 、 変 性 環 境 が 物 性 変 化 のdynamicsに及 ぼ す 影 響 と い う 新 し い 観 点 か ら 観 察 を 行 っ た 。
ま た 、 本 研 究 で の 対 象 物 質 と し て 、 筋 原 線 維 タ ン パ ク
1 1
ァ ク ト ミ オ シ ン 及 び 卵 白 を 選 ん だ が 、 そ の 選 択 理 由 と し て は 、 ま ず 、 最 も ポ ピ ュ ラ ー な 生 体 高 分 子 で あ り 、 特 に 食 品 と し て 幅 広 く 利 用 さ れ て い る 点 、 次 に 、 生 ( ゾ ル 状 態 、 ) で は 、 透 明 で あ る が 、 ゲ ル 化 に よ り 白 濁 す る と い う 事 か ら 、 変 性 過 程 に お い て 著 し い 物 性 変 化 が 期 待 さ れ る と い う 点 が あ げ ら れ る 。変 成 環 境 と 自 由 水 と の 相 関 関 係 を 明 ら か に す る 事 に よ り 、 三 次 元 ネ ッ ト ワ ー ク 形 成 の 制 御 、 お よ び 生 命 復 活 現 象 が 解 明 で き れ ば 、 医 療 機 械 の 分 野 で 大 変 注 目 を 集 め て い る マ イ ク ロ ア ク チ ュ エ ー タ に 対 応 す る 新 規 物 質 の 創 成 や 移 植 臓 器 等 の 保 存 等 へ の 応 用 が 可 能 と な る で あ ろ う 。
1‑3 本 論 文 の 構 成
本 論 文 は 序 論 を 含 め て
8
章 よ り 構 成 さ れ る 。第 l章 ( 本 章 ) で は 、 本 研 究 の 背 景 及 び 目 的 に つ い て 述 べ た 。
第
2
章 で は 、 研 究 に 用 い た 試 料 及 び 時 間 分 解 観 察 を 行 う た め の 種 々 の 測 定 手 段 と 、 そ の 原 理 に つ い て 述 べ る 。第 3章 で は 、 筋 原 線 維 タ ン パ ク 質 ア ク ト ミ オ シ ン ( ミ オ シ ンB)の ゲ ル 化 過 程 に お い て 加 熱 及 び 加 圧 と い う 処 理 法 の 違 い が ゲ ル 化 過 程 に ど の 様 な 影 響 を 及 ぼ す か に つ い て 、 濁 度 ス ペ ク ト ル 測 定 を 行 い 、 得 ら れ た 結 果 か ら 環 境 の 効 果 が 生 成 物 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 す る 。
第 4章 で は 、 乾 燥 に よ る ア ク ト ミ オ シ ン ゲjレ の ガ ラ ス 化 に お け る 溶 媒 効 果 に つ い て 、 重 量 及 び 体 積 の 同 時 測 定 を 行 い 、 乾 燥 過 程 に お け る 溶 媒 の 効 果 に ついて考察する。
第 5章 で は 、 代 表 的 な 生 体 高 分 子 の 一 種 で あ る 卵 白 に つ い て 、 温 度 及 び 庄 力 を パ ラ メ ー タ と し て そ の ゲ ル 化 に お け る 動 的 機 構 の 変 化 に つ い て 観 測 を 行 い 、 加 熱 及 び 加 圧 処 理 を 併 用 し て 行 っ た と き の ゲ ル 化 過 程 に つ い て 検 討 す る 。
第 6章 で は 、 加 熱 及 び 加 圧 処 理 に よ り ゲ ル 化 し た 卵 白 の 乾 燥 過 程 に 関 し 、 巨 視 的 物 性 測 定 と し て 、 重 量 ・ 体 積 の 同 時 測 定 を 行 い 、 微 視 的 構 造 変 化 測 定
と し て 時 間 分 解 小 角 X線 散 乱 実 験 を 行 い 、 加 熱 ゲ ル 及 び 加 圧 ゲ ル の 乾 燥 過 程 に お け る ゲ ル ネ ッ ト ワ ー ク と 自 由 水 と の 相 互 作 用 に つ い て 比 較 す る 。
第 7章 で は 、 ゲ ル ー ガ ラ ス 様 転 移 に お い て 、 ゲ ル の 主 要 二 成 分 の一つ で あ る ゲ ル 中 の 溶 媒 の 効 果 に つ い て 検 討 す る 。
第
8
章 で は 、 本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 を 総 括 す る 。第 2 章
試 料 及 び 測 定 方 法
2‑1 緒 言
まず始めに、本研究で用いた試料の一般的な物'I~I: について述べる。次に本 研 究 で は 転 移 過 程 に お け る 動 的 機 構 を 解 明 す る た め 種 々 の 時 間 分 解 観 察 を 行
っ た の で 、 そ の た め の 種 々 の 測 定 手 段 と そ の 原 理 に つ い て 述 べ る。
通 常 の 生 体 試 料 の 物 性 測 定 は 電 子 顕 微 鋭 観 察3・6)や 、 電 気 泳 動 法 な ど で あ り
0)、 こ の 方 法 で は 試 料 を 測 定 し や す い 様 に 加 工 す る の で ( 例 え ば 急 速 乾 燥 や 金 の 蒸 着 、 着 色 等 ) 、 試 料 本 来 の 物 性 を 測 定 す る た め に は 完 全 で は な い 。 ま た 、 時 間 分 解 測 定 も 困 難 で あ る 。 従 っ て 、 試 料 の 物 性 を で き る だ け 損 な わ ず 自 然 の 状 態 で 観 察 す る に は 非 接 触 で な け れ ば な ら な い 。 そ こ で 、 光 及 びX線を プ ロ ー ブ と し た 非 接 触 時 間 分 解 観 察 法 を 採 用 し た 。
2‑3で は 、 時 間 分 解 濁 度 ス ペ ク ト ル 測 定 に つ い て 述 べ る 。 白 色 平 行 光 を 試 料 に 照 射 し 、 そ の 透 過 光 を 光 フ ァ イ パ に よ り 分 光 光 度 計 内 に 導 く 事 に よ り 、 広 い 波 長 領 域 の ス ペ ク ト ル デ ー タ を 瞬 時 に 得 る 事 が で き る 。 更 に 、 データ解 析 に よ り 、 特 に 光 散 乱 の 波 長 依 存 性 よ り 散 乱 体 の 大 き さ の 変 化 を 算 定 す る 方 法 を述べる。
重量・体積の同時測定を行うため、
2 ‑ 4
で述べる様に、CCD( c h a r g e ‑ c o u p l e d d e v i c e )
カメラ、VTR
、 フ レ ー ム メ モ リ ー ・ ボ ー ド 、 電 子 天 秤 等 に よ り 構 築 した 系 を 新 規 に 製 作 し 、 更 に 密 度 変 化 ( 重 量 / 体 積 ) を 算 出 し た 。
2‑5で は 、 転 移 過 程 に お け る 構 造 変 化 測 定 と し て 、 時 間 分 解 小 角X線 散 乱 実 験 を 高 エ ネ ル ギ 一 物 理 学 研 究 所 放 射 光 実 験 施 設
BL‑IOC
に お い て 行 い 、 得 ら れ たデータから、G u i n i e r
プ ロ ッ ト に よ り ク ラ ス タ ー ・ サ イ ズ の 見 積 り を 行 う 方 法を述べる。ま た 、 変 性 途 中 の 動 的 機 構 と 得 ら れ た 物 質 の 物 性 と の 相 関 を 解 明 す る た め に 、 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 (SEM)に よ る ( 静 的 ) 形 態 観 察 (2‑6)及 び 広 角X線 回 折 実 験 に よ る ( 静 的 ) 微 視 的 構 造 観 察 (2‑7)も併せて行った。
2‑2 試 料
本 研 究 で 用 い た 試 料 は 、 最 も 代 表 的 な 生 体 高 分 子 で あ る 筋 原 線 維 タ ン パ ク 質 及 び 卵 白 で あ る 。 以 下 に 述 べ る 試 料 に つ い て の 基 本 的 な 物 性 を 基 に し て 、
の 効 果 と い う 新 し い 着 眼 点 に 立 ち 非 接 触 時 間 分 解 観 察 に よ り そ の 解 明 を 行 つ た。
2‑2・1 筋 原 線 維 タ ン パ ク 質 ア ク ト ミ オ シ ン
2‑2‑1‑1 ア ク ト ミ オ シ ン の 物 性
ま ず 初 め に 、 筋 原 線 維 を 構 成 し 筋 収 縮 と そ の 制 御 に 関 与 す る 主 な 構 造 タ ン パ ク 質 の 一 覧 をTable2‑1に示す31)。 こ れ ら の タ ン パ ク 質 の 特 徴 は 自 己 集 合 あ る い は 他 の タ ン パ ク 質 分 子 と 結 合 し て 特 有 の 超 分 子 構 造 を 形 成 す る 事 で あ る 。
筋 原 線 維 の 全 タ ン パ ク 質 重 量 の44%を 占 め て い る ミ オ シ ン ( 分 子 量 約
500,000) は 、 長 さ 約160nmで、細長い胴体(尾部)に二つ の 頭 が つ い て い る 双 頭 構 造 を し て い る 。 筋 原 線 維 タ ン パ ク 質 の220/0を 占 め て い る ア ク チ ン ( 分 量 約42,000) は 、 径 が 約5nmで、ある (0‑ア ク チ ン と 呼 ば れ て い る ) 。 図2‑1に 示 す 様 に 生 理 的 条 件 下 で は 、 ミ オ シ ン は 、 頭 部 を 失 き 出 し た 形 で フ ィ ラ メ ン
ト を つ く り 真 ん 中 を 中 心 に 双 極 性 の ら せ ん 構 造 を と っ て い る 。 ま た ア ク チ ン 分 子 は ら せ ん 状 に 重 合 し て フ ィ ラ メ ン ト (F‑ア ク チ ン と 呼 ば れ て い る ) に な
っている31) 。 こ れ ら フ ィ ラ メ ン ト の 滑 り に よ り 筋 肉 の 収 縮 ・ 弛 緩 が 起 こ る32)。 通 常 筋 肉 か ら 抽 出 し た も の を 、 ア ク ト ミ オ シ ン ま た は 、 ミ オ シ ン Bと呼び、
ア ク チ ン お よ び ミ オ シ ン 分 子 の 他 に 、 調 節 タ ン パ ク 質 ( ト ロ ポ ミ オ シ ン 、 ト ロ ポ ニ ン 等 ) 及 び 骨 格 タ ン パ ク 質 を 少 量 含 ん で い る 。
2‑2‑1‑2 ア ク ト ミ オ シ ン の 加 熱 ゲ ル 化 過 程
ア ク ト ミ オ シ ン は 加 熱 に よ っ て ゲ ル 化 す る 事 が 知 ら れ て い る の で 、 ゲ ル 形 成 能 天 然 高 分 子 で あ る 。 ア ク ト ミ オ シ ン の ゲ ル 化 過 程 に お い て は 、 ミ オ ン ン 分 子 が 主 に 寄 与 し て い る と 言 わ れ て い る33)。 そ し て 加 熱 に よ り 分 子 運 動 が 激 し
く な り 弱 い 共 有 結 合 が ひ き ち ぎ ら れ て ゲ ル 化 す る 。 ま た ゲ ル 化 過 程 は こ の 場 合 不 可 逆 過 程 で あ る 。 図2‑2に ア ク ト ミ オ シ ン の 加 熱 ゲ ル 形 成 反 応 を 表 す 模 式 図 を 示 す33)。 そ の 各 段 階(A)~(D) では、以下の現象が起こっていると考えられ る。
(A) 加 熱 前 、 遊 離 の ミ オ シ ン 分 子 及 び ミ オ シ ン 分 子 と 結 合 し た ア ク チ ン フ イ
T a b l e 2 ‑ 1 . 筋 原 線 維 構 成 タ ン パ ク 質
31)名 称 分 子 量 組 成
局 在 機 能
(0/0 )
収縮タンパク質
ミオシン 500.000 43 A帯 ATP分解
アクチン 42,000 22 I帯 他のアクチンと結合、
ミオンンと結合
調節タンパク質
トロポミオシン 66,000 5 I帯 アクチン、 トロポニンと結合 トロポニン 70,000 5 I帯 カルンウム調節
M‑タンパク質 165,000 2 M線 ミオンンを束ねる
c ‑
タンパグ質 135,000 2 A帯 ミオシンと結合αーアクチニン 190,000 2 I帯 アクチンをゲル化 s‑アクチニン 67,000 ー つ アクチンの末端因子
骨格タンパク質
コネクチン 2,800,000 10 A,I帯 ミオシンを Z線に連結
A帯 及 びI帯とは、筋線維の構造単位である筋原線維 中 で 主 と し て ミ オ シ ン で 構 成されている部分及びアクチンで構成されている部分の名称。またM線 はA帯 の中央にあり、ここでミオシンフィラメントが束ねられている。
F ‑ A c t i n
A c t i n 分 子42 個
40nm
Myosin F i l a m e n t
ふ\金\金\占l~ ーヱ0)0 J o J ‑ o J ‑ o
0
ぢ σ ぢ σ ぢ σ ぢ σ ぢ一下、¥守¥号、
Myosin 分子 ' " ' ‑ 3 0 0 個
図 2 ‑ 1.アクチン及びミオシンの分子モデル
31)( A )
B
( C )
(D)
図2 ‑ 2 . アクトミオシンのゲル化モデル
33)ラメントは、分散している。
(B) 遊 離 ミ オ シ ン の 分 子 頭 部 聞 の 凝 集 反 応 が 起 こ る 。
(C) ミ オ シ ン 分 子 の 尾 部 聞 の 架 橋 形 成 が 起 こ る 。
( D )
網 目 構 造 が 形 成 さ れ る 。 ( ゲ ル 化 )2‑2‑2 卵白
2‑2‑2‑1 卵 白 の 物 性
卵白の主要なタンパク質は、 Ovalbumin、Ovotransferrin(Conalbumin) Ovomucoid、Lysozyme及び、Globulinで あ る が 、 現 在 で は 少 な く と も 12種 類 そのうち同名称、で異種のものを数えると 15種 類 以 上 の タ ン パ ク 質 が 見 出 さ れ ている(Table2‑2)34)0 Ovalbuminは 、 卵 白 タ ン パ ク 伎 の 約540/0を 占 め る タ ン パ ク 質 で 、 電 気 泳 動 的 に
3
成 分 に 分 け ら れ 分 子 量 は そ れ ぞ れ 約46,000で 等 し い が 、 タ ン パ ク 質 に 結 合 し て い る リ ン 酸 基 の 数 が 異 な る 。 Ovalbuminの 全 一 次 構 造は、 m‑RNAの塩基配列等)5)に よ り 決 定 さ れ た 。 こ の 結 果 に よ れ ばOvalbuminは385個 の ア ミ ノ 酸 か ら な る 分 子 量42,699のl本 鎖 ポ リ ペ プ チ ドl本 の 糖 鎖 か ら できている。また、 l分子当たり l個 のS‑S結合と4伺 のSH基 を 持 っ て い て 、 こ れらのうち3個のSH基は未変性の状態、ではSH基 試 薬 と 弱 く 反 応 す る が 、 変 性 すると4個のSH基 の 全 て が 反 応 性 に 富 む も の と な る 。 ま た 二 次 構 造 に つ い て は、 αーヘリックス、 β構 造 と ラ ン ダ ム コ イ ル が そ れ ぞ れ300/0と370/0である。
2‑2‑2‑2 卵 白 の ゲ ル 化 過 程
卵 白 の 主 要 タ ン パ ク 質 はOvalbuminで あ り 、 自 然 の 状 態 で は 分 子 内 水 素 結 合 及 び 疎 水 結 合 に よ り 、 疎 水 性 ア ミ ノ 酸 残 基 を 内 部 に し て 糸 ま り 状 の 構 造 を 作
っていると考えられている。
ま ず 加 熱 に よ り 、 タ ン パ ク 質 分 子 のBrown運 動 が 盛 ん に な り 、 高 次 構 造 が ほ ど け て 疎 水 性 ア ミ ノ 酸 残 基 が 表 面 に 露 出 し て く る ( 変 性 ) 。 分 子 は こ れ ら 疎 水 基 の 疎 水 結 合 に よ っ て 会 合 し 始 め る 。 構 造 の 中 に あ っ た 遊 離 のSH基も、
T a b l e 2 ‑ 2 . 鶏卵卵白タンパク質3‑t )
名 称 分子量 来
1 1
成(0/0) 等電点 炭水化物 の含量(0/0) オボアルブミン 46,000 54 4.5‑‑‑4.8 3 オボ、トランスフェリン 76,600‑‑‑86,000 12‑‑‑13 6.05 ‑‑‑6.6 2(コンアルブミン)
オ ボ ム コ イ ド 28,000 11.0 3.9‑‑‑4.3 22 オボグロプリンG2 36,000"""'45,000 4.0 5.5 つ オボグロプリンG3 向上 4.0 5.8 つ
リゾチーム 14,300"""'17,000 3.4"""'3.5 10.5‑‑11.0
。
(オボグロプリンG1)
オボムシン つ 1.5"""'2.9 つ つ フラボ、フ。ロテイン 32,000‑‑‑36,000 0.8 3.9"""'4.1 14
オ ボ マ ク ロ グ ロ プ リ ン 760,000"""'900,000 0.5 4.5‑‑‑4.7 9 オ ボ グ リ コ プ ロ テ イ ン 24,400 0.5 """'1.0 3.9 16 オボ、インヒピター 44,000 ~49 ,000 0.1"""'1.5 5.1‑‑‑5.2 6 アピジン 68.300 0.05 9.5"""'10.0 8 ノてノてインインヒピター 12,700 0.1 つ つ
加熱により活性化され、 SH基 同 士 が 反 応 し てS‑S結 合 が で き る 。 長 く 伸 び た 分 子 鎖 同 士 の 絡 み 合 い も 起 こ り や す く な る 。 そ れ で も な お 、 分 子 の 表 面 に 親 水 性 の 解 離 基(‑COO‑) が 十 分 残 っ て い る の で 、 タ ン パ ク 質 分 子 は 相 互 に 連 な っ て 三 次 元 の 構 造 を 作 り な が ら そ の 内 部 に 水 分 子 を 取 り 込 ん で ゲ ル 化 す る 様 に なる。
図2‑3に 示 す 様 に 、 凝 集 体 の 形 成 機 構 は ま ず 、 加 熱 処 理 に よ り Ovalbumin分 子 の 構 造 が ほ ど け て 、 分 子 量
400
万 以 上 の 凝 集 体 が 疎 水 結 合 に よ り 生 成 す る 第 一 段 階 と 、 分 子 表 面 に 露 出 し た 遊 離SH基 の 反 応 に よ り 、 凝 集 体 が 会 合 し 、 分 子 量3
,500
万 ま で に な る 第 二 段 階 が あ る36)。2・3 光 学 的 測 定
2‑3‑1 光 散 乱 の 理 論37)
本 研 究 に お い て 濁 度 測 定 か ら 得 ら れ る デ ー タ を 解 析 す る 場 合 の よ り ど こ ろ となる光散乱の理論について述べる。
媒 質 中 を 強 度10の 光 が 通 過 す る と き に 散 乱 が 起 こ る と 、 透 過 光 強 度Iは 、 光 路長をdとすると、
1 = 1 0 叫 ( 一 τ d )
(2‑1)で 表 さ れ る 。 こ こ で で は 濁 度(turbidity)で あ る 。 上 記 の 式 をLambert‑Beerの 式 という 38)
。
図
2 ‑ 4 ‑ ( a )
に小さな粒子(径<入/2 0 )
で の 散 乱 機 構 の 概 念 図 を 示 すo xyz空 間 内 に 散 乱 体 積VのN個 の 等 方 性 の 小 さ な 同 ー の 散 乱 粒 子 が 含 ま れ て い る と す る 。 こ こ へ 振 動 数ω。の垂直偏光単色光束(真空中の波長入。)がy軌 に そ っ て 入 射 さ れ ( 入 射 光 の 波 動 ベ ク ト ル kO)偏 光 面 は 平 面yzに平行であるとすると、そ の 入 射 光 の 電 場 は
E=Ao仰 [‑i(ωt‑ko
め
( 2 ‑ 2 )
オボアルブミン
加熱
年
│疎水結合│
M w 4 6 . 0 0 0
可溶性凝集体
SH
、~ .....̲(可溶性凝集体
)nSH lSH 基の酸化│
S ‑ S 結合
4 , 000 ,000~ ~
3 5
,000
,000
図
2 ‑ 3 . オボアルブミンの熱変性
36)( a ) ( b )
粒 径
入 一
> 加
Z
川 、 7
x
8: 散乱角
散乱体 単一d i p o l e d i p o l e の集合 内部干渉効果 ない ある
散乱光強度の
等方的 非等方的 角度依存性
波長依存性 入 ‑4 入 ‑ α
( 2 壬
α三 玉 4 )
図 2 ‑ 4 . 光散乱の概念図
である。散乱光は波動ベクト jレksの方向で距離し離れた受光部で検出される。
ここでrを基準粒子の位置ベクトルとする。
q=ko‑ks
(2‑3)と定義すれば、散乱角0との間に次式が得られる。
I q l = q = ( や ) 討 n ( ! }
(2‑4)一 つ の 散 乱 粒 子 が電場Eの作用を うけると 、そ の 粒 子 に は 次 に 表 さ れ る 双 極 子
( d i p o l e ) P
が誘起きれる。p=αE
(2‑5)ここに
α
は分極率( p o l a r i z a b i l i t y )
で、等 方 性 粒 子 で は ス カ ラ ー で あ る が 非 等 方 粒子ではテンソルである。平面x z
上では入射光は同位相であるが、 一般 に 基 準粒子より rj離れたj番目の粒子は異なっ た 位 相 の 振 動 双 佳 子 が 誘 起 さ れ て い る 。 そ の 結 果 、 異 な っ た 粒 子 か ら 散 乱 さ れ た 光 は光 路 差 に も と ず く 位相差を 持 っ て 受 光 部 に 入 る 事 に な る 。 散 乱 角 度一定では、 時間 tに受光部に入る総 和 の 散 乱 光 の 電 場Esは次の様に表される。こ の時、散 乱 体 積V中の散乱粒子濃 度 は 充 分 希 薄 で あ り 、 散 乱 光 が 別 の 粒子 に 当 た る 事 に よ っ て 生 ず る 多 重 散 乱( m u l t i p l e s c a t t e r i n g )
の効果は無視できる とする。Es= 日j=~A 仲川iq.rlt)] 叫(- i ω 。 い
P( i k s . L )
(2‑6)散 乱 光 強 度Isは受光部に入る散乱光の電場の時 間 平 均 と し て 次 式 で 表 さ れる 。
I s = ¥ E * s . E s ) ( 2 ‑ 7 )
ここでE*Sは複素共役
( c o m p l e xc o n j u g a t e )
で あ り 、 <・・>は時間平均を表す。充分希薄であって、 N個の小さな粒 子 が 互 い に 運 動 も 位 置 も 相 関 を 持 た ないと すれば、式
( 2 ‑ 7 )
は簡単にな って次の様に表される。Is=
何
j.A.i!
= NA2 (2‑8)Aは双極子Pと関係 づ け ら れ 、 最 終 的 に 次 式 に な る 。
弘一n一
・ ・ E
a‑
AV一
L
A一 ︐
C
α
一ω ウ劃一
一 一 一
A (2‑9)
ここで、中zは 一 般 に 散 乱 波 動 ベ ク ト jレksと入射光の電場 の 方 向Zと の な す 角 で あ り、 cは 光 速 を 表 す 。 ま た 、 入 射 光 と 散 乱 光 の 比 は 次 の 様 に 求 め ら れ る 。
Is ̲
A
2一ω4α2sin弘一 16π4α2sin弘
前;-E; 一九2 一 λ~L2 (2‑10)
同 様 に 水 平 偏 光 がy軸 に そ っ て 入 射 さ れ れ ば 全 く 同 じ 様 に
Is 16π4α2 sin <px
NIo
ー は
L2 (2 ‑1 1 )ここで、<Txはksと 入 射 光 の 電 場 のX方 向 の な す 角で あ る 。 自 然 光 (unpolarized light)が 入 射 さ れ た 場 合 は 式(2‑10)と(2‑11)か ら 次 のRayleighの式を得る。
T n ̲ 4 、
三=21τ=r 1 + cos2
8 1
:L N:α210λ峠L..G ¥ J ' 畠 (2 ‑12)
ここで、Niはi種の分子数、 αiはi種 分 子 の 分極 ネ で あ る。
一 つ の 粒 子 が 光 の 波 長 よ り 小 さ い 場 合 ( 入 /20程 度 以 下 ) に は 、 散 乱 体 は 単 ー で あ る と 見 な さ れ 粒 子 の 電 荷 重 心 も 光 の 電 場 と 同 じ 様 に 振 動 す る 。 従 っ て 、 分 極 率αのN個 の 同 種 粒 子 が 存 在 し た と き、
}: Njα2i=Nα2 (2 ‑13)
と な る 。 入 射 光 が 自 然 光 で 、 体 積Vの中にN伺 の 粒 子 が 分 散 し て い て 、 そ れ ら が 独 立 に 入 射 光 を 散 乱 す る と き 、 体 積Vか ら 充 分 遠 方Lで の 散 乱 角Oにおける 単 位 体 積 当 り の 散 乱 光 強 度18は、波長入入射光強度10とすると
。 =b4MM2 叫
(2‑14)
で与えられる。
式(2‑14)か ら 明 ら か な 様 に 、 散 乱 光 強 度 は 波 長 の4乗 に 逆 比 例 す る と い う 事 が判る
( R a y l e i g h
散乱)39)。
し か し な が ら 粒 子 が 波 長 に 比 べ 大 き く な る と 、 粒 子 内 部 の 何 々 の 散 乱 体 か ら の 散 乱 に よ り 光 路 差 即 ち 位 相 差 が 現 れ 互 い に 干 渉 し 合 う 様 に な る 。 図2‑4‑(b) の 模 式 図 で 示 し た 様 に こ の 現 象 を 散 乱 光 の 内 部 干 渉 の 効 果 と 呼 ぶ 。 内 部 干 渉 効 果 に よ り 散 乱 光 強 度 は 、 散 乱 角0の 方 向 で は 直 進 方 向 に 比 べ て 弱 く な り 角 度 依 存 性 が 非 対 称 に な る 。 即 ち 散 乱 光 強 度 の 波 長 依 存
t l :
が変化するわけである。従 っ て 、 大 き な 粒 子 の サ イ ズ を 光 散 乱 の 理 論 に よ っ て 見 積 る 場 合 は 、 単 に 一 方 向 の 散 乱 を 測 定 す る ( 例 え ば90度 散 乱 ) だ け で は 不 十 分 で あ り 、 散 乱 角 の 角 度 依 存 性 を 測 定 す る か 、 あ る い は 角 度 一 定 で 散 乱 光 強 度 の 波 長 依 存 性 を 測 定する必要がある。
一般に高分子の分野では、コロイド粒子の慣性半径をレーザ、等の単色光を 用 い て そ の 散 乱 光 強 度 の 角 度 依 存 性 か らZimプ ロ ッ ト 等 に よ り 算 出 し て い る
40,41 )。しかし、通常用いられているこの方法では、測定に時聞がかかるため、
本 研 究 で 用 い た 手 法 で あ る 短 時 間 の 時 間 分 解 測 定 が 困 難 で あ り 、 ま た 測 定 装 置 が 大 が か り に な る た め 、 例 え ば あ る 角 度 範 囲 で 光 を 取 り 出 す 窓 が 必 要 で あ っ た り 、 ま た 簡 単 に 外 場 を 変 え る 事 が 難 し い と い う 欠 点 が あ る 。 従 っ て 、 透 過 光 の 波 長 依 存 性 に 注 目 し 、 散 乱 光 強 度 の 波 長 依 存
t
l:を関数とした最も単純な近似である
R a y l e i g h ‑ G a n s
散 乱 理 論42,43)による解析を用いた。R a y l e i g h ‑ G a n s
散 乱 に よ る と 、 散 乱 体 が 半 径a
の 球 の 場 合 、 全 散 乱 光 強 度Isca は、散乱断面積をCscaとすると、ぞ =
Csca=
jta
21m‑1F q ( x )
(2‑15)で あ る 。 こ こ でmは散乱体の媒質に対する屈折半比である。
I
m‑1I (
1のとき、q
( x ) = ~
X4f
G( u r
(1+c判
ω d 8G(
←会
(sinu ‑ u
cosu )
、ヲ匹 、~ ~ずも
l‑ l‑ ¥、、
u=2x 叫~)
x‑k ‑‑ .a‑ZEa ~.-λ
で あ る 。 ま たaは散乱体の半径、 kは 波 数 (2π/入)を示す。
(2 ‑16)
パラメータmに つ い て は 、 ゲ ル 化 の 初 期 段 階 で は 著 し い 変 化 は 無 い と 仮 定 す る と、 Ray1eigh‑Gansの 散 乱 メ カ ニ ズ ム に よ れ ば 、 球 の 散 乱 断 面 積 は 、 式(2‑16) で 与 え ら れ る 。 こ こ で0、 入 は 、 散 乱 角 と 光 の 波 長 を 示 す 。 波 長 依 存 量 はq(x)
に含まれる。
上 で 述 べ た 式 を 数 値 的 に 計 算 す る 事 に よ り 得 ら れ た 、 Inq対lnxの プ ロ ッ ト を図2‑5に 示 す 。 そ の 関 係 は ほ ぼ 直 線 で 近 似 可 能 で あ り 、 ま たlnq =0付近で、
1n q値のInx依 存 性 は 著 し い 傾 き の 変 化 を 示 し て い る 。 こ の 様 子 を よ り 明 確 に す る た め に 、 図2‑6に、 d[lnq]/d[lnx]イ直(=Exponent α)を、 lnxに女すしてプロ
ットした。
ところで tは 、 言 い 換 え る と 消 光 度 即 ち 消 光 断 面 積 (Cext) に対応している。
Csca ~ま吸光断面積 (C
abs
) を用いて、 Cext
= Cabs + Cscaと 記 述 で き る 。 光 吸 収 は 通 常 特 定 の 波 長 に お い て 起 こ り そ の 場 合 は 著 し い 色 の 変 化 が 生 じ る 。 し かしながら、第3章 で 測 定 さ れ た 透 過 率 ス ペ ク ト ル を 見 て も 明 ら か な 様 に 、 生 体 高 分 子 の 場 合 ゲ ル 化 の 際 に は 白 濁 す る の み で あ り 、 特 定 波 長 の 著 し い 減 少 ( 光 吸 収 ) は 観 測 さ れ て い な い 。 従 っ て 、 式(2‑16)からq‑‑‑‑‑Cscaで あ る の で τ‑‑‑‑‑qと なる。従って、 x‑‑‑k‑‑‑入ーlと 合 わ せ て 考 え る と 、 こ れ ら はlnτYS. ln入の傾きの 変 化 を 示 し て お り 、 散 乱 光 の 内 部 の 干 渉 の 増 加 に 寄 与 し て い る 。 ま た 、 1nxか
ら 散 乱 体 の 半 径 を 見 積 も る 事 が 可 能 と な る 。
上 記 の 議 論 か ら 、 実 験 的 に 得 ら れ た1nτとln入 を 直 線 近 似 し た 時 の 傾 き の 変 化 は 、 ゲ ル 化 過 程 に お け る ク ラ ス タ ー の 増 大 に よ る 散 乱 光 の 内 部 干 渉 の 効 果 の増加に起因すると考えられ、 Ray1eigh ‑G ansの 散 乱 メ カ ニ ズ ム に よ っ て 良 く 説明できる。
ゲ ル 化 の 最 終 段 階 で は 、 ク ラ ス タ ー の 境 界 の 干 渉 効 果 及 び 今 ま で 無 視 し て
CT
ロ
F・ 『
ハU
唱 ︐
i
‑ 2 0
‑ 4 10
。
‑ 2 O l n x
4 2
x = ~Jt a λu
a : 散乱体の半径
図 2 ‑ 5 . R a y l e i g h ‑ G a n s 散乱式より計算された l n x と l nq の関係
43)‑ 2
‑ 3
‑ 4
む
ωロ ω
口 ︒ ( 円 以 ハ 凶
4 O 2
l n x
‑ 2
‑ 4
x = ~Jt a λ
a : 散乱体の半径
図 2 ‑ 6 . R a y l e i g h ‑ G a n s 散乱式より計算された l n
xと α の関係
43)タ ン グ ス テ ン 酸 の ゲ ル 化 過 程 に お け る 濁 度 ス ペ ク ト ル 測 定 の 結 果 と Rayleigh‑
Gansの 散 乱 式 と が 良 い 対 応 関 係 を 示 し て い る の で43)、変'性途中においてはこ の 散 乱 式 が 良 い 近 似 で あ る と 考 え ら れ る 。
従 っ て 、 フ ォ ト ダ イ オ ー ド ・ リ ニ ア ・ ア レ イ を 検 出 器 と し た マ ル チ 測 光 分 光 光 度 シ ス テ ム を 用 い て 、 生 体 高 分 子 の 温 度 並 び に 圧 力 上 昇 に 伴 う ゲ ル 化 過 程 に お け る 透 過 光 の 波 長 依 存 性 の 経 時 変 化 の 測 定 を 行 い 、 ゲ ル 化 の 動 的 挙 動 の 変 化 並 び に 生 成 し た ゲ ル の 物 性 に つ い て の 比 較 解 析 を 行った。
2‑3‑2 時間分解濁度スペクトノレ測定
図2‑7に 実 験 系 の 概 略 図 を 示 す 。 直 流 点 灯 タ イ フ。Xe‑Lamp (浜松ホトニクス;
Type No. L2194 (75W)) を 光 源 と し て 用 い た 。 入 射 光 の ピームスポッ トは約
。
1mmで、ある。図2‑8に光源、の波長スペクトルを示す。 350nmから800nmまで 充 分 な 強 度 が 存 在 す る 。 ま た 図2‑9は 光 源 全 強 度 の 時 間 変 化 を 示 し た グ ラ フ で あ る 。 光 源 強 度 は 点 灯 開 始 後30‑‑‑‑40分 以 降 は 、 非 常 に 安 定 で あ る。光 源 か ら の 白 色 平 行 光 は セ ル 中 の 試 料 に 照 射 さ れ 、 透 過 光 は オ プ テ イ カ ル フ ァ イ パ ー に よ っ て マ ル チ 測 光 分 光 光 度 計 ( 大 塚 電 子 ;MCPD‑1000) に 退 か れる。ファイパーバンドルの径はゆ1.05 m mで あ り 、 集 光 立 体 角 は0.05rad (2.86度 ) で あ る 。 分 光 光 度 計 内 で は 、 透 過 光 強 度 は ス リ ッ ト 及 び 平 面 ミ ラ ー を 通 り グ レ ー テ ィ ン グ に 達 し 、 各 波 長 に 分 光 さ れ 自 己 走 査 型 検 出 素 子(MCPD)上
に 結 像 さ れ る 。 分 光 光 度 計 か ら の リ ア ル タ イ ム 出 力 は 、 パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ータ(NEC;PC‑9801m)に 取 り 込 ま れ 、 フ ォ ト ・ ダ イ オ ー ド の 暗 電 流 等 の 測 定 系 の 補 正 が 行 わ れ た 後 、 あ ら か じ め サ ン プ ル の な い 状 態 で 観 測 さ れ た ス ペ ク
ト ル デ ー タ で 割 ら れ 、 透 過 率 ス ペ ク ト ル と し て 表 示 さ れ る 。
分 光 光 度 計 の ス リ ッ ト は0.10mmの も の を 用 い 、 分 解 能 は2nmである。 1ス ペ ク ト ル 測 定 す る 時 間 は 本 研 究 に お い て い は1秒である。
2‑4 重 量 ・ 体 積 同 時 測 定
図2‑10に 、 重 量 及 び 体 積 の 同 時 測 定 系 の 概 略 図 を 示 す 。 電 子 天 秤 (A&D;
R e c o r d e r Temp.
C o n t r o l l e r
ゆ ¥
c p i
o n m 加
e n
h
﹀T m
x e
/Heater O p t i c a l
f i b e r Mi
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H m r
G r a t i n g
L i n e a r p h o t o ‑ d i o d e ‑ a r r a y
図 2 ‑ 7 . 時間分解濁度スペクトル測定システムの概略図
/ーヘ αコ +ー
. . .
・
4ロ ロ
心し お)
λ
判 明 ∞
ロ ω 百 円 五 却
J
200 300 400 500 600 700 8 0 0 W a v e l e n g t h ( nm )
図 2 ‑ 8 .
使 用 し た 光 源(Xe Lamp)
の ス ペ ク ト ル400
300
ハ
Uハ リウん (﹀
g ) ヨ 岳 ロ
︒ ・ 岳 何 回
dl
仏
O
1 0 0
。
L i g h t On
Time ( m i n )
図 2 ‑ 9 . 光源の強度の時間変化
CCD Camera
E l e c t r o n i c B a l a n c e
Computer
Frame Memory Board
VTR
Sample
図 2 ‑ 1 0 . 重量・体積同時測定系の概略図
て 新 規 に 構 成 し た 。 試 料 を 天 秤 の テ ー ブ ノ レ の 上 に 置 き 、 試 料 の 像 と 電 子 天 秤 の重量の読みを、 CCDカメラによって撮影し、 VTRに 録 画 し た 。 測 定 終 了 の 後に VTRか ら の 試 料 の 画 像 デ ー タ を 、 マ イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ (NEC;
PC9801VX) に 装 着 さ れ て い る フ レ ー ム メ モ リ ー ボ ー ド (NBCC;NBC‑
PB980S) に転送し、 A/O変 換 し て 、 試 料 の 面 積 を 算 出 し た 。 同 時 に そ の 時 刻 での重量の読みも記録した。
全 て の 測 定 は 常 温 常 圧 下 で 行 っ た 。
試 料 は 薄 い 円 盤 状 の 形 状 を し て お り 、 内 部 は 均ーで あ る と す る と 、 変 化 過 程 に お け る 体 積 の 変 化 は 、 均 一 に 起 こ る と 仮 定 で き る 。 従 っ て 、 測 定 時 間 内 で の 試 料 円 盤 の 厚 さd(t)、 半 径 r(t)、 が 以 下 の 様 に 変 化 す る と 考 え ら れ る 。
r(t)= rOl(t), d(t)=dOl(t), (2‑17)
ここで、
r o
と dOは 円 盤 の 半 径 と 厚 さ の 初 期 値 で あ り 、 1(t)は 、 長 さ の 減 少 を 表す係数である。最 終 的 に 、 体 積 v(t)=πr2(t)d(t)は 、 面 積 S(t)=πr2( t)の デ ー タ か ら v(t)=
s(t) d(t)として計算される。
上 記 の 仮 定 よ り 、 変 化 過 程 に お け る 重 量 、 面 積 、 体 積 及 び 密 度 ( 重 量 / 体 積)の時間依存性を算出した。
一 方 、 乾 燥 過 程 に お い て は 、 溶 媒 の 拡 散 過 程 が 重 要 な 役 割 を 果 た す と 考 え られる。
今 、 図2‑11に 示 す 様 な 試 料 の 形 状 を 仮 定 し 、 拡 散 方 程 式 を 以 下 の 様 に 導 く 。 拡散方程式は、
竺 二
DV2cdt (2‑18)
で記述される。ここで、 D及び、cは 、 そ れ ぞ れ 拡 散 定 数 (O=const) お よ び 溶 媒の存在密度を示す。
今 、 図2‑11の モ デ ル に お い て 厚 さ 方 向 に 比 べ てxy方 向 に 十 分 長 い と し て 、 厚 さ 方 向 に つ い て は 考 え な い 。 ま た 全 方 向 に 対 し て 等 方 的 で あ る と 考 え る と 、 結局X方 向 の み を 考 慮 し た 単 純 化 し た 式 が 導 か れ る 。
C
厚み方向
X
図 2 ‑ 1 1 . 拡散方程式のモデル
。
ca
2Cat ‑1.../ aX2
( 2 ‑ 1 9 )
境界条件を、
o % o
fi ll
イ‑
II I1
¥
︑ ︑ ︐ ︐ 一 一
px
〆 ︐ ︐ ︑ C X~O
o
s xs Q
X注
f
(2 ‑2 0)
とし、変数を
D t = τ
,u= チ
.....0
( 2 ‑ 2 1 )
と 書 き 直 し て 、 溶 媒 の 存 在 密 度 と 位 置 の 関 係 は 、
… 2 1 長 1 [ 叫 ( 2 ‑ 2 2 )
また、拡散による残存重量は、
w (
,) ==' l
u(x吟 dx( 2 ‑ 2 3 )
となる。
式
( 2 ‑ 2 2 )
か ら 判 る 様 に 、 高 次 の 振 動 項 1s i n (
・・)e x p (
・・)f は時間(1:)の 経 過 と 共 に 著 し く 減 少 す る 。 図2 ‑ 1 2
は 、 モ デ ル 計 算 │ 式( 2 ‑ 2 2 )
においてn
をl
から100ま で 積 算 し た │ に よ っ て 求 め た 拡 散 に よ る 溶 媒 の 減 少 の 様 子 を 示 し た も の で あ る │ 式
( 2 ‑ 2 2 )
において各1:(=Dt)
に つ い て プ ロ ッ ト し た も の │ 。 す な わ ち 、 あ る 程 度 時 間 が 経 て ば 自 由 水 は な め ら か な 上 に 凸 の 曲 線 的 に 減 少 し 、 位 置 に よ る 局 所 的 な 凹 凸 は 現 わ れ な い 。 ま た 、 式( 2 ‑ 2 3 )
か ら 、 拡 散 過 程 に お け る 溶 媒 の 減 少 に と も な う 残 存 重 量 の 時 間 変 化 を 計 算 し た 結 果 を 図2 ‑ 1 3
に示す(初= 0 . 0 2
ハU
値 1
期
o ' O
J
一 〆 τ τ τ
( ︒
υ
¥ Q H )
ロ
図 2 ‑ 1 2 . 各時刻での拡散による自由水密度の位置依存性に 対するの理論曲線(式 ( 2 ‑ 2 2 ) において
nをl から 1 0 0
まで加算した結果で、
τは、規格化された時間)
。 X
1 . 0
( ω 2 C
﹀℃
ω 官
︒ ∞ ) 民
0 . 2 0 0 . 1 6
図 2 ‑ 1 3 . 拡散 に よる 重量変化の 理論曲線
W