筋 原 線 維 タ ン パ ク 質 の ゲ ル 化 過 程
3‑1 緒 言
最 近 の 食 品 加 工 の 分 野 に お い て は 、 加 熱 と い う 調 理 法 に 加 え て 、 1‑1‑2節 で も 述 べ た 様 に 加 圧 に よ っ て 食 品 を 作 る 試 み が 脚 光 を 浴 び て い る 。 通 常 タ ン パ ク 質 は 加 工 に よ っ て ゲ ル 化 す る が 、 こ の ゲ ル 網 目 の 構 造 さ ら に は ゲ ル 化 の 途 中 の 過 程 が 、 結 着 性 ・ 保 水 性 さ ら に は 栄 養 素 の 保 持 等 の 、 食 品 と し て の 機 能 特性を左右する。
こ れ ま で 、 ア ク ト ミ オ シ ン の 加 熱 ゲ ル に つ い て 静 的 な 物 性 測 定 に つ い て は 既 に 報 告 が あ る3・5・45,46)。 例 え ば 、 異 な るpH値 や 塩 濃 度 に つ い て ア ク ト ミ オ ン
ン の ず り 弾 性 の700
C
ま で の 温 度 依 存 性 がIshioroshiら に よ っ て 報 告 さ れ て い る46)。彼らは、 300Cから600Cま で は ず り 弾 性 は 増 加 す る が600C以 上 で は そ の 値 は 一 定 に な る と い う 事 を 観 測 し た 。 さ ら に 、 6S0
C
で の ず り 弾 性 は 低 い 塩 濃 度 の 方 が 高 い そ れ に 比 べ 大 き く な る と 言 う 事 も 報 告 し て い る 。 ま た 、 SEMの ゲ ル 観 察 に よ る と 低 塩 濃 度 ([KCl]=O.2M)で 調 製 し た ゲ ル の 方 が 高 塩 濃 度(0.6M)の そ れ よ り も 細 か い 構 造 が 現 れ て い る3)。以上から微細な構造のゲルは よ り 大 き な ず り 弾 性 率 を 持 つ と い う 事 が で き る 。
ま た こ れ ま で 、 加 圧 に よ り 生 成 さ れ た 物 質 の 物
t l :
に つ い て の 観 測 も な さ れ て お り 、 特 に 生 理 的 条 件 下 で フ ィ ラ メ ン ト 構 造 を 有 す る ア ク チ ン (F‑ア ク チン)は、 2S0
C
、147MPaで、個々の分子に解離(G‑ア ク チ ン と な る ) し 、 生 命 現 象 に 特 徴 的 なATP活 性 が 消 滅 す る と 言 う 事 が 知 ら れ て い る 47)。し か し な が ら 加 熱 に よ る ゲ ル 化 過 程 と 同 様 に 、 加 圧 に よ る ゲ ル 化 の 途 中 の 動 的 機 構 が ゲ ル の 物 性 に 大 き く 寄 与 す る 事 を 明 ら か で あ る に も か か わ ら ず
そ の 様 な 機 構 を 解 明 す る 為 の 観 察 は 皆 無 で あ る と い っ て 良 い 。 そ こ で 、 加 圧 に よ る ゲ ル 化 過 程 の 観 測 を 行 い 、 加 熱 に よ る ゲ ル 化 過 程 、 並 び に 生 成 さ れ た ゲ ル の 物 性 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て の 比 較 を 行 っ た 。 な お 、 加 圧 に よ る ゲ ル 化 の 一 般 的 な 考 察 は 、 第 5章に述べている。
3‑2 実 験
3‑2‑1 試 料 の 調 製
希釈し、 Szent‑GYoRGYIの 方 法48)に よ っ て 調 製 し た ア ク ト ミ オ シ ン ( ミ オ シ ンB) を 用 い た 。 得 ら れ た ア ク ト ミ オ シ ン 水 溶 液 ( 濃 度22.85mg/ml)にO.lMの NaN3を0.047ml加 え 、 さ ら に[1]NaCl水 溶 液(4M)と[2]N a‑Phos phate 水 溶 液 (0.05M)を 加 え る 事 に よ り 試 料 と し た 。 [1 、] [2]液 の 分 量 を 変 え る 事 に よ り NaCl濃 度 で0.11Mから1.0Mまで、 pHで5.0から7.0ま で 条 件 を 変 化 さ せ た ( 最 終 の ア ク ト ミ オ シ ン 溶 液 は 体 積3.0ml、 濃 度 は5.0mg/ml) 。
試 料 は 冷 蔵 庫 内 で 保 存 す る が 、 時 間 の 経 過 と 共 に ゲ ル の 性 質 が 変 化 し て く る 。 例 え ば 、 ゲ ル の 剛 性 率 は 低 い [KCI]に お い て 保 存 日 数 の 経 過 と 共 に 小 さ く なってくる46)。 即 ち 、 よ り 新 鮮 な 試 料 を 用 い て 測 定 を 行 わ な け れ ば な ら な い 。 本 研 究 に お い て は 遅 く と も 試 料 調 製 作 業 後 、 5日 以 内 に 測 定 を 終 了 す る 様 に し た。
な お 、 原 料 の 抽 出 及 び 保 存 は 、 農 学 部 修 士 課 程 の 西 牟 田 聡 氏 ( 現 : (株) 明 治 乳 業 、 中 央 研 究 所 ) 、 同 助 教 授 六 車 三 治 男 博 士 、 同 教 授 深 沢 利 行 博 士 ( 現 : 九 州 大 学 農 学 部 名 誉 教 授 ) の 手 に 依 っ て 行 わ れ 、 本 研 究 用 の 試 料 の 調 製 は 牟田氏と共に行った。
3‑2‑2 時 間 分 解 濁 度 ス ペ ク ト ル 測 定 セ ル
光 学 測 定 を 行 う 場 合 の 測 定 セ ル に は 、 い く つ か の 条 件 が 必 要 で あ る 。
第 一 に 、 白 色 光 を 光 源 、 と し て 用 い る の で セ ル の 光 学 窓 は 無 色 透 明 で な け れ ば な ら な い 。 第 二 に 、 ゲ ル 化 に よ り 試 料 が 白 濁 す る た め に 、 得 ら れ る 透 過 光 強 度 が 著 し く 減 少 す る の で 、 セ ル の 厚 さ ( 光 路 長 ) を で き る だ け 薄 く す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 特 に 加 熱 セ ル の 場 合 に は 、 次 節 で 述 べ る 様 に 、 急 激 に 温 度 を 上 昇 さ せ そ の 後 一 定 温 度 に 保 持 し な け れ ば な ら な い の で 、 で き る だ け 試 料 容 積 を 小 さ く し て 試 料 の 温 度 勾 配 及 び 、 温 度 ド リ フ ト を 抑 え な け れ ば な ら な い 。
さ ら に 、 試 料 が ゲ ル 化 す る た め に 測 定 後 の 試 料 の セ ル か ら の 取 り 出 し 及 び 洗 浄 が 容 易 に で き る セ ル で あ る 必 要 が あ る 。 従 っ て 以 下 に 示 す 様 な 加 熱 セ ル 及 び加圧セルを新規に設計‑製作した。
3‑2‑2‑1 加 熱 セ ル
加熱セルは市販のスライドガラス(厚さ1.3mm) と カ バ ー ガ ラ ス ( 厚 さ 0.15mm) を 利 用 し た 。 図3‑1に そ の 概 略 図 を 示 す 。 図 の 様 に ス ラ イ ド ガ ラ ス