博士(公共経営)学位論文
中小ベンチャー企業の国際化過程と国際化成功因子の研究
-韓国ソフトウェア企業の経験を中心として-
A Study on the Process and Success Factors of Internationalization by Venture Companies:
The Case of Korean Software Firms
2011年7月
早稲田大学大学院 公共経営研究科
呉昶烈
Oh, Chang Yeol
ii
‐目 次‐
第1章 序論 ...1
第1節 問題提起...1
第2節 研究目的... ...4
第3節 研究内容...6
第4節 研究方法...6
第5節 研究範囲...7
第2章 SW産業の特性と韓国SW産業の動向 ...8
第1節
SW産業の産業的特性... 8
第2節 韓国SW産業の発展過程...16
第3節 韓国SW産業の現況...23
第4節 本章のまとめ...33
第3章 研究の設計 ... 36
第1節 国際化の定義...36
第2節 先行研究の考察...38
第3節 本研究のアプローチ...46
第4節 モデル及び仮説...
50
第5節 研究方法...
57
第6節 研究対象企業の特性...61
第7節 本章のまとめ...70
第4章 国際化過程の研究 ...72
第1節 事例研究対象企業の特性...72
iii
第2節 国際化の段階区分、所要期間及び費用...
77
第3節 製造業の国際化の段階理論との比較...87
第4節 国際化キャズム段階の分析...91
第5節 日本市場での成長過程...93
第6節 本章のまとめ...97
第5章 国際化成功因子の研究 ...99
第1節
KSIM理論モデルとKSIM
構造分析モデルの関係...99
第2節 国際化因子及び成果に関する分析...103
第3節 製品と国際化の段階における分散分析...114
第4節 本章のまとめ...125
第6章 結論 ...126
第1節 研究結果の要約...126
第2節 研究の意義及び提言...131
第3節 研究の限界及び今後の研究方向...138
参考文献...140
付録 アンケート内容...143
iv
表目次
表1-1 全世界100大ITサービス企業とパッケージSW企業...3
表2-1 韓国SW産業の分類...9
表2-2 製造業・サービス業とSW産業の商品(product)特性...11
表2-3 製造業とSW産業の価格(price)特性...12
表2-4 製造業とSW産業の流通(place)特性...12
表2-5 製造業とSW産業のプロモーション(promotion)特性...13
表2-6 製造業とSW産業の費用(cost)特性...14
表2-7
SW産業の特性の総合整理...14
表2-8
SW産業の製品分野別特性...16
表2-9
1990年代以前の韓国SW産業の年譜...18
表2-10
1990年代の韓国SW産業の年譜...20
表2-11
2000年代の韓国SW産業の年譜...22
表2-12 韓国SW産業のマクロ経済指標...23
表2-13 世界SW市場対比韓国SW市場の比重...24
表2-14 韓国SW産業の生産額規模及び増加率...24
表2-15 韓国パッケージSW産業の生産額...25
表2-16 韓国ITサービス産業の生産額...26
表2-17 韓国組み込みSW産業の生産額...26
表2-18 韓国SW輸出額の規模...27
表2-19 分野別韓国SW輸出額の現況...27
表2-20 2008年の韓国SW輸出上位企業の輸出額の比重...28
表2-21
2008年の韓国SW製品の地域別輸出額現況...28
表2-22
2008年の韓国SW製品の発注元別輸出額現況...29
表2-23
2008年の韓国SW製品の販売経路別輸出額現況...29
v
表2-24
2008年の韓国のSW企業数...30
表2-25
2008年の世界100大パッケージSW企業...30
表2-26
2008年の世界100大ITサービス企業...31
表2-27 韓国SW産業の従事者数...31
表2-28
2008年の韓国SW専門人材の実態...32
表2-29
2008年の韓国SW専門人材の不足の実態...33
表3-1 スウェーデンの製造企業の国際化の段階...39
表3-2 韓国政府のSW産業国際化支援政策...48
表3-3 企業力量...56
表3-4 海外知識...56
表3-5 政府政策...57
表3-6 調整変数...57
表3-7 国際化過程アンケートの設計...58
表3-8 国際化成功因子アンケートの設計...60
表3-9 企業特性...62
表3-10 製品特性...63
表3-11 海外進出国...63
表3-12 財務成果... ...63
表3-13 国際化への基本認識...64
表3-14 国際化動機...65
表3-15 国際化形態...65
表3-16 海外市場の重要度...65
表3-17 情報獲得経路...66
表3-18 人的ネットワーク確保経路...66
表3-19 国際化障害要素...67
表3-20 政府政策の利用経験...67
vi
表3-21 政府政策の効果...68
表3-22 支援強化の必要な分野...68
表3-23 回答者の職位...68
表4-1 企業特性...73
表4-2 製品特性...74
表4-3 売り上げ...76
表4-4 回答者のプロフィール...76
表4-5 日本市場進出における国際化の段階の順序...81
表4-6 意思決定から通常販売までの所要期間・費用...83
表4-7 日本進出企業のマイルストーン所要期間...85
表4-8 段階理論とKSIMの比較...90
表4-9 本研究の定義に基づいたキャズム...92
表4-10 日本進出企業の拠点の状況...94
表4-11 本社の機能...95
表4-12 拠点の機能...95
表4-13 チャネルの機能...96
表4-14 日本市場での売り上げ動向...96
表5-1
KSIM理論モデルとKSIM構造分析モデルの因子と成果変数...102
表5-2
KSIM理論モデルとKSIM構造分析モデルの調整変数...103
表5-3 因子分析のための観測変数...103
表5-4
SPSSを活用した因子分析結果...106
表5-5
KMOとBartlettの検定結果...107
表5-6 固有値と累積固有値...
107
表5-7 因子負荷量の算定結果...108
表5-8 変数グループ別潜在変数...109
vii
表5-9 モデルの適合度の検定結果...110
表5-10 モデルに対する信頼性及び妥当性の検定結果...111
表5-11 潜在変数間相関係数行列...112
表5-12 国際化因子及び成果間の仮説検定の結果...113
表5-13 平均尺度(製品-政策)...115
表5-14 分散分析の結果(製品-政策)...115
表5-15 平均尺度(製品-経営者)...116
表5-16 分散分析の結果(製品-経営者)...116
表5-17 平均尺度(製品-資源)...116
表5-18 分散分析の結果(製品-資源)...117
表5-19 平均尺度(製品-推進)...117
表5-20 分散分析の結果(製品-推進)...117
表5-21 平均尺度(製品-成果)...118
表5-22 分散分析の結果(製品-成果)...118
表5-23 平均尺度(製品-波及効果)...118
表5-24 分散分析の結果(製品-波及効果)...119
表5-25 海外進出製品別の国際化因子及び国際化成果の差の検定...119
表5-26 平均尺度(段階-政策)...120
表5-27 分散分析の結果(段階-政策)...120
表5-28 平均尺度(段階-経営者)...120
表5-29 分散分析の結果(段階-経営者)...121
表5-30 平均尺度(段階-資源)...121
表5-31 分散分析の結果(段階-資源)...121
表5-32 平均尺度(段階-推進)...122
表5-33 分散分析の結果(段階-推進)...122
表5-34 平均尺度(段階-成果)...122
viii
表5-35 分散分析の結果(段階-成果)...123
表5-36 平均尺度(段階-波及効果)...123
表5-37 分散分析の結果(段階-波及効果)...123
表5-38 国際化の段階別の国際化因子及び国際化成果の差の検定...124
図目次
図1-1 三星とアップルの財務成果の比較...1図3-1
KSIM理論モデル... 51
図3-2 国際化過程モデル...
52
図5-1
KSIM理論モデル...99
図5-2
KSIM構造分析モデル... 100
図5-3 国際化因子が成果に与える影響の構造関係図...110
図6-1
KSIMに基づいた準備期...135
図6-2
KSIMに基づいた開始期...136
図6-3
KSIMに基づいた成長期...136
図6-4
KSIMに基づいた成熟期...137
ix
論文の概要
本論文は、中小ベンチャー企業の国際化過程と国際化成功因子の研究である。本研究では これに当たり既存の研究の中で中小ソフトウエア(SW)ベンチャー企業の国際化に関する研究 に適用可能な主要理論、すなわち段階理論、ネットワーク観点理論、国際新生ベンチャー理 論、資源基盤観点理論、そして全体論的観点理論を分析し、その結果に基づき研究のための モデルを構築した。国際化過程の研究部分では、国際化の段階、所要期間、所要費用、キャ ズム(chasm)段階などの探索的な現象分析のモデルを構築し、事例研究を行うことにより、
国際化過程における段階の特定を行った。また、国際化成功因子の研究部分では、その構造 分析を行い、4つの国際化因子変数と2つの国際化成果変数間の構造関係を明らかにした。更 に、調整変数と位置づけられる、製品別と国際化の段階別に、企業内部の四つの国際化因子 の保有程度、及び二つの国際化成果の達成程度の差についても分散分析で検定し、その間の 関係を明らかにした。研究対象企業は、韓国の中小SW輸出企業312社であり、全数調査で ある。国際化過程の研究部分では10社の事例研究を行い、国際化成功因子の研究部分では回 答企業106についてアンケート調査及びその統計分析を実施した。
本論文の主な内容を要約すると以下のとおりである。
第一は、国際化過程の事例研究である。ここではその結果を、国際化の段階区分、所要 期間及び費用、キャズム段階のありかについて略述する。まず、国際化の段階は6段階で、
典型的な順序は観察されないが、おしなべて(1)意思決定、(2)チャネル契約、(3)試験販売、
(4)拠点設立、(5)通常販売、(6)損益分岐点の順序で現れる。次に、所要期間及び費用特性
については、通常販売まで実際所要期間の平均値は34.7ヶ月で、同期間の所要費用の平均 値は12.8億ウォンである。これは、経営者が目標とした期間と費用を、それぞれ62.9%、91.0%上回る水準である。その差異の分だけ企業は国際化に試行錯誤を経験し経営判断に
ミスが生じたと判断できる。次に、キャズム段階については、第1のキャズムは、チャネル 発掘・信頼関係の構築、製品現地化の段階にあり、第2のキャズムは、輸出成果が一定水準以上 に成長せず、成熟期に移行しない段階に存することを確認した。本研究で明らかになった国際化過程のすがたは、段階区分等多くの点で、段階理論それら と重要な点で異なる。製造業を中心対象とした段階理論においては、国際化の段階は、(1)非 定期的輸出、(2)代理店を通じた輸出、(3)販売子会社の設立、(4)現地生産と区分され、この 順で漸進的に発展していくものとされている。一方、本研究で明らかとなったSW産業の国 際化の段階は前述したようにこれとマイルストーンの所在、各段階区分の順序等で異なるも のである。市場選択の基準については、段階理論では心理的距離とマーケットサイズが進出
x
国を決定する因子とされる。一方、本研究では市場機会の発掘、新技術の習得などが市場選 択の基準であることを確認した。そして、知識習得の過程については、段階理論では企業の 国際化発展段階に応じて必要な知識を獲得すれば十分であると説明している。一方、本研究 では対象分野であるSW産業は国際化が圧縮的に推進されるので現地化知識、市場知識、制 度的知識などを国際化の初期段階に取得する必要があることを明らかにした。その背景には
SW産業の速い国際化速度、複合的に絡んで起きる国際化の段階などがある。
第二は、国際化成功因子の研究である。ここでは、国際化成功因子の特定、及びそれら 因子間の構造分析の結果についてのみ略述する。まず、国際化成功因子は、(1)経営者の国 際化意志及び力量、(2)企業の体系的な国際化推進、(3)政府の国際化支援、(4)企業資源の 四つの因子変数と(1)国際化成果、(2)国際化波及効果の二つの成果変数で構成されるという 結果となって現れた。次に、国際化成功因子間の構造分析の結果では、政府の国際化支援 が企業の体系的な国際化推進と企業資源には影響を与えるが、経営者の国際化意志及び力 量には影響を与えないことが示された。即ち、韓国政府の国際化支援政策は企業の体系的 な国際化推進及び企業資源の強化に効果があることが確認された。また、経営者の国際化 意志及び力量と企業の体系的な国際化推進は企業の国際化成果に影響を与えるが、企業資 源は国際化成果に影響を与えないことが示された。即ち、企業の国際化成果には経営者の 意志・力量と体系的な国際化推進が非常に重要であることが確認された。これにより、政 府の国際化支援政策が企業の体系的な国際化推進を通じて企業の国際化成果と波及効果に 影響を与えるという主要経路が確認された。
第三は、調整変数と位置づけられる製品及び国際化の段階に関する分析である。ここで は、政府・企業が国際化推進プログラムを行うにあたっての指針を導く観点から、製品別、
及び国際化の段階別の分散分析を行ったところである。回答者のアンケートから企業内部 の四つの国際化因子の保有程度、及び二つの国際化成果の達成程度を確認し、分散分析に より製品別・国際化の段階別の差を検定した。検定の結果、製品別では四つの国際化因子 の保有程度に差がなく、かつ、二つの国際化成果の達成程度にも差がないと検証された。
しかし、国際化の段階別では四つの国際化因子の保有程度に差があり、かつ、二つの国際 化成果の達成程度にも差があると検証された。
研究の意義を述べれば以下のとおりである。
第一に、国際化過程の研究結果からのものである。この結果に基づいて中小SWベンチ ャー企業の国際化過程を示し、国際化の最初段階から損益分岐点に到達するまでの国際化 の行程表を提示することができる。また、本研究では製造業の段階理論に示される国際化 過程との比較において、SW産業の国際化過程の特性を究明した。その結果段階理論で重 要なものとして扱われていた時間の経過と経験の蓄積による漸進的なものとされる国際化
xi
過程が、本研究の対象であるSW産業では時間と経験の圧縮を通じた圧縮的な国際化過程 として現れることが明らかになった。そして、その場合、国際化成功の定義についても、
財務的な国際化成功定義に加えて「通常販売段階まで到達すれば実際的に国際化に成功し た企業である」ということから、定性的な成功定義を定めることができた点も意義がある。
国際化過程に関する本研究結果は中小SW企業が国際化に成功するためには本研究で実証 した国際化マイルストーンを時間と費用の面で圧縮的に達成することが重要であることを 示す。それは国際化が、多様なベンチャー企業の特性を基に対内外環境を考慮し、体系的 に国際化を推進することで達成可能であることを示唆する。
第二に、国際化成功因子の研究結果からのものである。国際化成功因子に関し、先行研 究では企業資源が輸出成果に影響を与えると説明されている。しかし、本研究では国際化 成果に影響を与えるのは企業資源という変数ではなく、経営者の意志・力量、企業の体系 的国際化推進であることが実証された。Moore(1999)は、先端産業の成功因子は企業の力 量よりはマーケティングの体系化にあると主張し、先端産業の特性を反映したキャズムマ ーケティングの重要性を強調した。これを、本研究の観点で解釈すると、高い技術力を確 保している企業より、体系的に国際化を準備し、推進する企業が成功の可能性が高いと言 うことになる。また、進出製品と国際化の段階における四つの国際化因子の保有程度の差、
及び二つの国際化成果の達成程度の差についての分散分析の結果、製品別には差がないが、
国際化の段階別には差があると実証されたことも重要な意義を持つ。これは国際化の段階 別に最適化された国際化支援政策が必要であることを示唆する。
以上の研究成果に基づき、中小ベンチャー企業に関する国際化アプローチの在り方を 提 言すると以下のとおりである。第一に、先端産業の特性を考慮した国際化推進プログラムの 開発・適用が重要である。第二に、国際化成功のためにはキャズム段階の把握と克服が重要 である。第三に、経営者の国際化意志・力量を向上できる国際化推進プログラムの開発が検 討される必要がある。第四に、産業特性と海外市場に対する理解が必要である。
本研究はSW企業を中心とした中小ベンチャー企業の国際化に関する研究であることから、
この成果を大企業、他産業へ一般化するには限界がある。また、SW企業の国際化に関する先 行研究が尐なく、参考にすべき関連理論が十分に存在しない状況で、事例研究と統計分析研究 を実施したことから、論理性と妥当性、そして因果関係の究明における精緻性をさらに増強す べき余地がある。特に、企業の国際化は長期間に渡って動態的に起き、マクロ経済状況、経営 環境の変化などに大きな影響を受けるが、これらを組み入れて分析することはできなかった。
このような研究の限界を克服したより体系的な研究を遂行するためには、地域及び産業特性、
対内外環境などを総合的に考慮したモデルを構築し、実証分析を試みる必要がある。
1
第1章 序論
第1節 問題提起
世界経済は伝統製造業中心から知識と技術中心の知識基盤サービス時代に産業構造が高 度化しながらソフトウェア(SW)、感性のようなソフトな要素が付加価値の核心として浮き 彫になっている。反面、製造業は成長潜在力が鈍化し先進国と後発競争国の間で苦闘して いる。そのような流れの中で、先進各国はSWを知識サービス産業の価値創出のための必 須分野として認識し、国家戦略産業に育成して知識主導型社会を構築するための政策を推 進している。SWは雇用拡大、付加価値の創出、企業の生産性向上、他産業発展への寄与 など政策課題として重要であり、新市場創出と国際展開の可能性が高い分野である。
韓国知識経済部1の発表(2010.2.4.)2によると、iPod・iPhone・iPadのアップルとモバイ ル・TV・ディスプレイの三星は鮮やかに比較される(図1-1)。アップルはSW中心で、三星 はハードウェア(HW)中心である。2009年モバイルフォンの販売基準で比較した場合、ア ップルは25百万台を販売し17.9兆ウォンの売り上げと5兆ウォンの利益を達成した。営業 利益率は28.8%に達している。反面、三星は227百万台を販売して42.1兆ウォンの売り上 げを達成したが、営業利益は利益率9.8%である4.1兆ウォンに止まっている。SW中心企業 であるアップルは三星に比べ販売台数は9分の1に過ぎないが、営業利益率は3倍にも達し ている。
図1-1 三星とアップルの財務成果の比較 出所)韓国知識経済部の内部資料(2010.2)
1 知識経済部は韓国の産業政策を統合調整し、貿易・通商と資源・エネルギー政策を管掌する政府機関 である。2008年政府組織の改編で既存の産業資源部、科学技術部、情報通信部の一部の業務を統合して新 設された。5室、16官、59課、10チームで構成されている。
2 「アップル利益率三星の3倍、SW産業育成案背景」『asiae.co.kr』, http://www.asiae.co.kr/news/view.ht m?idxno=2010020411421496165(閲覧日 2010.7.5)
2
即ち、世界はHWだけでは高い利益を期待できない時代を迎えている。産業構造が既存 の製造業の物づくりから脱して産業構造が高度化し、その中心にSWが位置している。SW はIT産業だけでなく全産業の高度化のための必須手段としての役割が大きくなり、同産業 の国際競争力の確保は主要国政府の重要な政策課題になっている。現在世界SW市場はア メリカを中心に形成され、その中で、韓国、インド、イスラエル、アイルランドなどの国 が自国の特性を生かして国際化を推進している。
最近情報技術の高度化、世界経済の開放化・統合化によって企業の国際化が加速化して いる。先端製品の標準化・モジュール化は世界市場を同質的にし、国際分業或は協力を促 進させている。また海外留学や国際事業の経験のある経営者の増加と国際金融市場の活性 化、政府の規制緩和措置なども企業の国際化を促進する主要因子になっている。
そうした国際化の流れは大手企業だけでなく中小企業や新生ベンチャー企業にも大きな 影響を与えている。このような環境の下で多くの技術集約的な新生中小ベンチャー企業が 創業初期段階から国際化を推進する事例が増えている。ベンチャー企業においては、尐数 の創業者中心の速い意思決定、高収益に対する期待、企業家精神など内部環境と激変する 世界市場環境、技術標準、技術革新など外部環境との密接な関係が形成されている。
このように中小ベンチャー企業3の国際化に対する期待と可能性が高くなっていく中で、S
W企業の国際化のための多様な努力が行われている。SW関連グローバル市場はMicroSoft、
Google、Oracleなどアメリカ企業がリードしている。その状況は、1990年代インターネッ
トの登場以来「第2のIT革命」と呼ばれる最近のスマートフォンとクラウドコンピューティ ングなどの分野に至るまでアメリカ企業の活躍が圧倒的である。MicroSoftは閉鎖的OS規格 をグローバルスタンダードに定着させ、GoogleはOSを無料で配布する戦略を展開している。一方、GoogleとAmazonはクラウドコンピューティングに注力しているが、Googleはサービ ス自体より多様なデジタル機器のネットワーク化を通じたユーザーのクリック数の拡大に基 づいた広告収入モデルを採用している。反面、Amazonはクラウドサービスでの収益創出に 焦点を置いている。アメリカ企業は自社のSWビジネスモデルを中心に膨大な自国市場を実 質的に独占しながら蓄積した競争力に基づきグローバル市場に進出している。アメリカ企業 は通信、OS、DBなど核心分野に渡って世界をリードしているグローバル企業を多数保有し ていて、それが世界市場を先占していくのに有利な立場をもたらしている。
3 Kyung-Won Lee、Sung-Hyun Kim, Inn-Chan Lee, Kyung-Hyung Lee(2002),‘ITベンチャー政策 の評価と推進方向’、『情報通信政策ISSUE』第14巻5号(135)、pp.4-5.、「ベンチャー企業育成に関す る特別措置法」に基づき下記の3類型の中で一つ以上に該当する企業をベンチャー企業と定義している。
1)ベンチャーキャピタル投資型で、ベンチャーキャピタルの新株引き受け総額が資本金の10%以上で、6 ヶ月以上投資比を維持している企業、2)研究開発投資型で、売り上げ対比R&Dの比率が5-10%以上、年間 研究開発費が5千万円以上の企業、3)新技術企業型で、ベンチャー評価機関から特許権・公共機関移転技 術・政府出資研究開発による技術採用企業。一方、ベンチャー企業協会はベンチャー企業を「個人或は尐 数の創業者が、リスクは高いが成功する際、高い期待収益が予想される新技術開発のアイディアを独自的 技術基盤の上で事業化する新生技術集約的中小企業」と定義している。
3
世界SW産業の国際化の大きな流れの中で、韓国は1990年代後半ITバブル後、2000年代 を前後に多くの中小
SWベンチャー企業が国際化を推進している。韓国の多くの中小SWベ
ンチャー企業の経営者は海外進出を韓国SW産業が飛躍的に成長できる機会として認識し ている。しかし、現在韓国SW産業の国際化の実態はこのような期待と役割を果たすのに不十分 である。韓国SW市場は世界市場の1.8%(33.6兆ウォン)、輸出は0.6%(57億ドル)の水準に止 まっている。過去5年間世界市場での韓国SW市場の比重は、2005年1.8%から2009年1.8%
に停滞しており、約5,300社のSW企業が競争している韓国市場の総売り上げは33.6兆ウォ ン規模である。企業当り平均売り上げは、大手企業は2千億ウォン、中小企業は24億ウォ ン水準である。韓国SW企業はグローバル競争力の順位で、世界100大ITサービス企業に三 星SDS社(58位)、LG CNS社(76位)、SK C&C社(99位)が含まれているが、100大パッケー ジSW企業には一社も含まれていない。韓国の代表的なパッケージSW企業でAhnLab社は
361位、HandySoft社は375位などに位置づけられている。
表
1-1 全世界 100
大IT
サービス企業とパッケージSW
企業 ITサービス
アメリカ 日本 フランス イギリス インド ドイツ 韓国 その他
48 16 6 5 5 4 3 13
パッケー ジSW
アメリカ 日本 ドイツ イギリス イスラエル フランス オランダ その他
78 4 4 3 2 2 2 5
出所)
IDC(2009), Gartner(2009)
では、このようなSWベンチャー企業の国際化を促進する因子には何があるのか?
SWベンチャー企業の国際化過程にはどのような特性があるのか?
どのような因子が国際化成果に影響を与えているのか?
本論文では上記の質問に焦点を置いて韓国SW企業の国際化の過程と国際化成功因子を 総合的に研究する。韓国は1970年代-80年代産業化時代に多くの製造企業が急速に成長し た。先進国で開発した製品が衰退期に入った際、韓国企業は世界市場に飛び込むパターン で成功したのである。しかし、1990年代に近づいてこのような国際化方式は世界市場で通 用しなくなった。後発工業国が多数登場し、過去の韓国の役割を代わりに行い、韓国はだ んだん国際競争力を失ってきたからである。
しかし、1990年代中盤以後到来した知識情報化時代は世界経済のパラダイムを大幅に変 えた。インターネット基盤の先端技術分野で世界市場をリードする韓国IT企業が登場して
4
産業化型成長の空白を埋めて行くようになってきた。最近、日本経済新聞は「世界に躍進 する韓国企業に学ぼう」という社説を通じて「日本国内では目立たないが、世界に目を向 けて見ると、韓国企業の台頭ぶりに驚かされる。薄型テレビの2009年の生産シェアは、1 位サムスン電子、LG電子も2位に浮上した。半導体でもパソコンなどに使うDRAMでサム スンが1位である。これ以外にも韓国は携帯電話、LEDなどの分野で世界シェア上位企業 が相次いでいる」4と韓国企業の国際的活躍を紹介している。
韓国はSW産業の後発国であり、SW製品は世界的な企業の製品との競争でまだ競争力が 高いとは言えないが(Yang and Lee, 2004)5、韓国の多くのSW企業は積極的に海外市場 進出を推進している。韓国SW産業は、自国で成功した多数のサービスモデルを確保し、世 界が着目するアーリーアダプター(early adapter)市場で、グローバルレファレンスの基地と して位置づけられている。このような韓国環境で成功した企業の中で、NuriTelecom, I-On
Soft, Ahnlab, HandySoftなどは日本、中国などに進出して実質的成果を達成している
6。2010年韓国政府は、SW産業の重要性を認識してR&D、人材養成、輸出支援など凡政府
次元のSW産業総合育成計画を発表した。この計画によると、2008年57億ドルの輸出は2013年150億ドルに、雇用は14万名から30万名に、世界100大ITサービス企業は3社から6社
に、そして世界100大パッケージSW企業は0社から2社に育成するのが目標である。このような状況に鑑みると今や産業・政策的側面だけでなく学術的な側面でもSW産業の国 際化に対する体系的な研究が必要な時期だと判断される。
現在まで韓国の多くの国際化研究はヨーロッパを中心として発展して来た国際化に関する理 論を市場環境変化や韓国産業の特性を考慮せずに適用し実証した研究が多い(Kang,
2001)
7。しかし、既存の研究理論を韓国中小SWベンチャー企業にそのまま適用して説明することの 正当性には疑問がある。また企業の複雑な国際化過程を段階理論、ネットワーク観点理論、国 際新生ベンチャー理論など部分的理論の観点から研究するのではなく、より総合的で包括的な 研究アプローチが必要と考えられる。こうした観点から中小SWベンチャー企業の総合的観察 と体系的な研究を遂行するためには総合的な観点の研究モデルの設計と実証研究が必要とされ る。
第2節 研究目的
SWという用語は1957年John W. Tukeyによって始めて使用されたことが知られている
4 「世界に躍進する韓国企業に学ぼう」『日本経済新聞』2010.3.4.、朝刊、p.2.
5 Yoo-Seok Yang and Jung-Hwa Lee(2004), ‘A Study on the Directions of Foreign Market Entry for K orean Software Ventures’, 情報通信政策研究 11(2), p.110.
6 Young-Ho Nam(2008), ‘Information internalization and performance of Korean software firms in Jap an: a Social capital approach’, Kookmin University, p.9.
7 Tae-Gu Kang(2001), ‘A Empirical Study on the Internationalization Process of Korean Firms : Theo ry and Evidence’, 国際経営研究 12(2), pp.2-3.
5
が、本格的な胎動は1960年代に遡る。最初のSWはJ. Von Neumannの保存したプログラ ムの概念ができた以後出現したという説が一般的である。その後1969年IBM社が「unbun
dling」政策を立案しHWに搭載されたSWを分離したことをきっかけに独立した産業とし
て発展する。現在世界市場をリードしているSAP(1972年)、MS(1975年)、SPSS(1975年)、ORACLE(1977年)などのSW企業は1970年代に設立された企業である。そして1980年代個
人用コンピューターの普及、1990年代インターネットの登場で世界SW産業は飛躍的な発 展を遂げる。2000年代にはモバイル用デジタル端末機の出現、融合、ネットワーク化促進 でSW産業は新しい成長機会を迎えている。前述したように世界SW市場はアメリカ企業を中心として形成されているが、その中で 韓国など後発国中小
SWベンチャー企業がニッチマーケットをターゲットに国際化を展開し
ている。本論文の目的は、中小SWベンチャー企業の国際化過程と国際化成功因子を研究・特定し、
実証することである。そこでは既存理論に基づいた実証研究にない新しい国際化モデルと 仮説を設定して実証することに焦点を置いている。具体的には韓国中小SWベンチャー企業 を対象に、その国際化過程、国際化成功因子を実証することである。さらに、本研究は、
その成果を韓国中小
SWベンチャー企業の国際化の推進に活用することを意図している。そ
のために必要な、より踏み込んだ調整変数の分析等を行い、政策実施上の指針を明らかに する。本論文の寄与は次のような点にある。第一に、本論文の対象分野であるSW産業は先端産 業分野で、現在は尐数国家の企業が世界市場を占めているが、後発国が競争力を確保して行 くと予想される。本論文は韓国中小SWベンチャー企業を対象とした研究であるが、今後の 技術集約的中小ベンチャー企業一般の国際化過程、国際化成功因子の研究に寄与できる。
第二に、本論文は現在国際化を推進、或は計画しているベンチャー企業の経営者や実務 担当者に、産業共通の国際化推進プログラムを提示し、自社の特性に適合した国際化戦略 の立案の際示唆点を提供する。本論文では国際化過程の研究のための個別企業の事例調査 と成功因子の研究のためのアンケート調査・分析研究を並行する。したがって、本論文は 中小企業が先端製品の国際化戦略を立案する際に寄与できる。
第三に、世界各国の政府は産業構造を高度化するために先端知識産業の育成政策を立案 している。特に、最近中小企業の国際化支援政策が強化されている。先端産業の発展及び 国際化にとって政府の役割は重要である。本論文はSW産業を国家の戦略産業として位置 づけて育成している韓国SW産業の国際化研究である。したがって、韓国はもちろん世界 各国の先端産業育成のための政策立案において寄与できる。
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第3節 研究内容
本論文の目的は韓国の中小SWベンチャー企業の国際化過程と国際化成功因子の研究のた めのモデルを構築し、実証研究することにある。そのため先行研究と専門家インタビュー に基づいてモデルと仮説を設定する。国際化過程の研究については国際化の段階、所要期 間、所要費用、そして後ほど後述するが、キャズム(chasm)段階などの動態的要素で構 成する。そして国際化成功因子の研究については企業力量(経営者、技術・財務・組織資 源、戦略・推進・文化力量、外部資源)、海外知識、政府政策、そして調整変数(市場環 境、製品特性)で構成する。このような潜在因子で設計した研究モデルに基づいて本研究 は遂行される。
本論文は6章から構成されている。
第1章は、序論部分である。この章では問題提起を行い、研究目的、研究内容、研究方 法、そして研究範囲などを紹介する。
第2章は、SW産業の特性と韓国SW産業の現況に関する部分である。この章ではSW産業 の産業的特性、韓国SW産業の発展過程、そして韓国SW産業の現況などを記述する。
第3章は、研究設計の部分である。この章では国際化の定義、先行研究の考察、本研究 のアプローチ、モデル及び仮説設計、研究方法、そして研究対象企業の特性などを述べる。
第4章は、国際化過程の事例研究の部分である。この章では事例研究対象企業の特性、
国際化の段階、所要期間及び費用、製造業の国際化の段階理論との比較、国際化キャズム 段階分析、そして日本市場での成長過程などの分析を行う。
第5章は、国際化成功因子の研究の部分である。この章では、KSIM(第3章で概念説明) 理論モデルとKSIM構造分析モデルの関係、国際化因子及び成果に関する構造分析、調整 変数を通じたグループ間の差を明らかにする。
第6章は、結論部分である。この章では研究結果の要約、研究の意義及び示唆点、研究 の限界と今後の研究方向について示す。
第4節 研究方法
本論文は韓国の中小SWベンチャー企業の国際化過程と国際化成功因子のモデルを構築し、
実証することを目的としている。研究方法としては文献調査、事例調査、アンケート調査 を並行して研究をした。研究方法を略述すると以下のとおりである。
第一は、モデル設計のための文献調査である。まず、SW産業の産業的特性、韓国SW産 業の発展過程、韓国SW産業の特性と現況を整理した。そして、SW産業の国際化過程、国 際化成功因子を研究・特定するために先行研究を考察した。これに基づき、モデルと仮説 を設定してアンケート項目を作成した。
7
第二は、個別企業の深層にわたる事例調査研究である。韓国中小SWベンチャー企業の国 際化過程、所要期間、費用特性、キャズムなどを明らかにするために個別企業の事例を探 索的に研究した。調査対象企業は日本進出企業で通常販売以上の段階の企業を対象とし、
深層インタビューとアンケート調査を並行した。
第三は、SW産業の共通ビジネスモデル研究のためのアンケート分析研究である。実証 分析については本研究のため設計したモデル及び変数を基にアンケート項目を作成した。
韓国のSW中小輸出企業312社8を対象に全数調査を実施し、回収した106社のアンケートに 基づき、因子分析により国際化成功因子を導出した。導出した因子間の構造的関係を構造 分析を実施し究明した。そして、最後に製品別と国際化の段階別の国際化因子の保有程度 の差、及び成果の達成程度の差を分散分析(F検定)を通じて明らかにした。
第5節 研究範囲
本論文の2つの中心課題は韓国中小SWベンチャー企業の国際化過程の研究と国際化成功 因子の実証研究である。最近の調査資料によると、韓国SW企業は総5,337社(第2章第3節 で説明)で、その中で輸出を推進しているSW中小企業は312社である。国際化過程の研究 においては、日本市場に既に進出している企業の中で、通常販売段階以上の企業9社、失 敗企業1社を対象にし、国際化の段階、所要期間、費用、キャズムなどの事例分析を行っ た。そして国際化成功因子の研究は、この312社を全数アンケート調査し、106の回答者を 対象としそれらへのアンケート結果を基に因子分析を実施し、因子間の構造分析を行った。
そして、より踏み込んだ分析のため、このアンケート回答者のアンケートから企業内部の 四つの国際化因子の保有程度、及び二つの成果の達成程度を確認し、分散分析により製品 別、及び国際化の段階別の差を検定した。
8 韓国のSW輸出企業312社は韓国SW産業の海外進出支援機関である大韓貿易投資振興公社、情報通信産 業振興院、韓国SW産業協会の中小SW輸出企業リストに基づいている。
8
第 2 章 SW 産業の特性と韓国 SW 産業の動向
本研究においては、まず、SW産業の全般の特性を考察し、韓国のSW産業の現況を把握 することは重要である。SW産業の特性と韓国SW産業の現況を考察することにより産業と 地域特性を全般的に理解し、本研究の推進に当って背景知識を習得する。本章はこれに関 連した三つの節に分けて説明されている。第1節はSW産業の産業的特性においてSW産業 の定義及び分類、SW産業の重要性、SW産業の特性、SW産業のビジネスモデルの内容を 整理する。第2節は韓国SW産業の発展過程について1990年代以前の胎動期、1990年代の 成長期、2000年代の跳躍期に分けて考察する。第3節は韓国SW産業の現況について一般現 況、生産現況、輸出現況、企業現況、人材現況を記述する。
第1節 SW産業の産業的特性
第1項 韓国のSW産業の定義及び分類
ソフトウェア(SW)は、一般的に物理的機械装置であるハードウェア(HW)に対応する概 念でHWを動作させて特定業務を処理する順序と方法を指示する命令語の集合体であるプ ログラムとプログラム遂行に必要なプロセス、規則、関連文書などを総称する概念である。
特に、韓国SW産業振興法第1章総則で定義するSWは、コンピューター、通信、自動化な どの装備とその周辺装置に対して命令、制御、入力、処理、保存、出力、相互作用を可能 にする指示、命令(音声、映像情報など含む)の集合とこれを作成するため使用された記述 書及び関連資料を意味する。
韓国のSW産業は、SWの開発、製作、生産、流通などとこれに関連したサービス及び「情報シ ステムの効率的導入及び運営などに関する法律」第2条第1号の規定による情報システムの構築、
運営などと関連した産業として定義している。その
SW産業はパッケージSW、ITサービス、組み
込みSW、デジタルコンテンツに分類される(表2-1)。パッケージSWはシステムSWと応用SWなど に詳細分類可能である。ITサービスはITコンサルティング、システムインテグレーション(SI)、
システムマネージメント
(SM)、ITアウトソーシングなどに分けられる。組み込みSWはデータ処
理用・通信用電子機器、デジタル家電、電子車両、産業用電子機器などに分類される。そしてデ ジタルコンテンツはオンラインゲーム、映像・オーディオ記録物などに整理できる。9
表2-1 韓国SW産業の分類
分類 詳細分類
パッケージSW システムSW、開発用SW、応用SWなど
IT サービス ITコンサルティング、 システムインテグレーション(SI)、システムマネージ メント(SM)など
組み込みSW データ処理用・通信用電子機器、デジタル家電、電子車両、産業用電子機器など デジタルコンテンツ オンラインゲーム、映像・オーディオ記録物など
出所) ソフトウェア産業白書(2007)に基づき筆者作成
第2項
SW産業の重要性
情報化・グローバル化が進展、拡散していく中で、先進各国を中心として経済の持続的 成長を成し遂げるためにはサービス業中心の知識経済への移行が必須的であるという認識が広 がっている。このような認識の中でSWは知識と情報の蓄積、体系化、高度化を可能にする核 心基盤としての役割が注目を浴びている。特に、SWはR&D、人材育成とともにOECDの知 識投資3大指標で知識基盤社会の核心要素として位置づけられている。SW産業の重要性は 下記の三つの観点から整理できる。
第一に、SW産業はそれ自体が未来戦略産業である。デジタル融合の加速化、ウェブのプ ラットホーム化などでSWの新規需要が持続的に創出されながらIT産業の成長鈍化を克服 できる戦略分野としてSWが注目を浴びている。特に、SWは他産業対比雇用創出効果が大 きく、知識集約的な高付加価値型産業である。
第二に、SW産業は産業全般の競争力強化の基盤である。SWは製品の知能化、多機能化 を通じた高付加価値を可能にして産業の競争力の確保のための見えない成長エンジン
(invisible engine)である。携帯電話、デジタルTVなどIT製品は勿論自動車、航空、造船な
ど伝統産業の高付加価値化と持続的成長のためにSWの競争力の確保は必須的である。第三に、SW産業は国家の核心インフラである。情報化の拡散で社会全般の情報システ ムに対する依存度が拡大され、SWは電力、金融など国家の基盤インフラ構築と運営の核 心要素として位置づけられている。SWの欠陥による通信ネットワークの断絶、金融取引 の中断、産業・個人情報の流出などの脅威から国家安保と国民生活を保護するためにSW の信頼性と技術力の確保は国家安保と直結されている。
10
第3項
SW産業の特性
本項ではSW産業の特性を製造業との対比で整理する。大部分の商品は有形的な要素と無 形的な要素を含んでいる。ある商品は無形的要素の比重が有形的要素より高く、またある商品 はその反対に有形的要素の比重が無形的要素より高い。一般的に有形的商品は製品と称し、無 形的商品はサービスと称するが、実際どこまでが製品でどこまでがサービスであるかを区別す るのは簡単でない(Park, 2004)9。たとえば、自動車は製品と称するが、自動車の購買者に自動 車だけでなく関連した多様なサービスも提供されている。維持保守、割賦販売、登録代行、中 古車処分などが代表的例である。場合によっては自動車製品よりこのようなサービスが競争優 位の源泉になることもある。反対に、自動車修理は一般的にサービスと称するが、無形的修理 サービスより有形的要素、たとえば整備施設、部品、作業者の服装などが顧客にはより重要な 要素である。したがって、本研究で商品は有形的製品と無形的サービスを合わせて称する。
本研究の対象分野であるSW産業(SW)は色々な観点から製造業(製品)、サービス業(サービ ス)と異なる特性が観察される。ここでは製造業或はサービス業と対比してSW産業の特性を マーケティングミックス(4P)の観点から整理する。第一の商品(product)特性に対しては先 行研究に基づいて製造業、サービス業と比較したSW産業の特性を整理する。しかし、第 二の価格特性から第五の費用特性までは参考できる先行研究がないので、専門家2人とイン タービューを実施して差別点を整理した。その内容を後述する。
第一に、表2-2に製造業、サービス業と比較したSW産業の商品(product)特性を整理した。
製造業とサービス産業の特性は五つの観点から整理できる(Buckley et al.、
1992)
10。それら は実態の有無(tangibility)、分離可分性(separability)、同質・異質性(homogeneity)、陳腐化 程度(perishable)、所有可能性 (ownership)である。これら五つの観点に基づき、SW産業が製造
業、サービス業と異なる特性を整理すると以下のとおりである。まず、商品属性である。製品は視覚、嗅覚、触覚、味覚など物理的属性により判別可能で あるが、サービスは消費或は経験の前には明確な判別が不可能な場合が多い。反面、
SW
は物理的属性よりは経験的属性が強い。製造・消費の観点では、製品は生産、販売、消費 過程が独立的に管理されるが、サービスは製造、消費が同時に行われる場合が多い。反面、SW
は生産、消費が分離される場合もあり、同時に発生する場合もある。品質の側面では、製品は同一製品の品質は同質的であるが、サービスは異質的な場合が多く、事前に約束さ れたサービス水準によりその品質が決定される。反面、
SW
は一般的に同一品質であるが、場合によっては異質的な場合もある。保管の観点では、製品は物理的な属性から保管可能 であるが、サービスは経験的な属性から保管が不可能である。反面、SWはその製品にサ
9 Chan-Su Park(2004), 『マーケティング原理』 法文社、pp.221-223.
10 Buckley et al.(1992)‘The Internationalization of Service Firms: A Comparison with the Manufacturing Sector’, Scandinavian International Business Review 1, pp.39-40.
11
ービスが含まれている水準により、保管可能な場合もあり、そうでない場合もある。最後 に、所有の観点では、製品は基本的に購買者が所有可能であるが、サービスは所有不可能 で使用権が付与される。反面、SWは製品により所有可能なものもあり、所有不可能で使 用権などで提供されるものもある。
表2-2 製造業・サービス業とSW産業の商品(product)特性
区分 製造業 サービス業 SW産業
属性 物理的属性(tangibility)
視覚・嗅覚・触覚・味覚で認識 経験的属性(intangibility) 経験的属性(intangibility) プログラムの集合体
製造・
消費
製造と消費の分離可能 (separability)
生産者と消費者の接触不必要
製造と消費の分離不可 (inseparability)
製造と消費の分離可能な場合も あり、そうでない場合もある 製品現地化が重要
生産者と消費者の接触が重要
品質 同一製品同一品質 (homogeneity)
品質の異質性(hetrogeneity) サービス水準により品質決定
同一商品同一品質の場合もあ り、そうでない場合もある サービス水準により品質決定 保管 保管可能 陳腐化(perishable) 保管可能な場合もあり、そうで
ない場合もある
所有 所有可能(ownership) 所有(ownership)不可、使用権 所有可能な場合もあり、そうで ない場合もある。
出所)Buckley et al.(1992)‘前掲資料’, pp.39-40を基に筆者作成
そして上記の研究の分類基準として取り扱われていないが、技術標準化の効果も重要であ る。製造業の製品は新製品の発売段階から標準化段階に至るに伴って、競争が激しくなって 収益性が低下され、生産費用優位が比較優位を決定する重要な要素になる。反面、SW産業は 標準化過程を経てネットワーク外部性と固着(lock in)効果11が生じて自然独占に発展する傾 向が表れ12、収益性が極大化する。この点が新生SW企業の市場進出を妨げる要素になる。
11 ネットワーク外部性とは、ネットワーク型サービスにおいて、加入者数が増えれば増えるほど、1利用者 の便益が増加するという現象である。利用者が増えることによって、ますます利用者が増えるという、正の フィードバックが発生する。そしてロックイン効果とは、顧客(ユーザ)がある商品を購入すると、その商 品から他社の製品への乗り換えのが困難となり、顧客との継続的関係が維持されやすくなる効果のことであ る。ソフトウェアなどがその典型で、顧客は一度あるソフトウェアを利用し始めると、他のソフトウェアに 乗り換えるにあたって使い方を再度学習しなければならないというスイッチングコストを払わなければなら ないため、最初に利用したソフトウェア及びそのバージョンアップ版を使い続ける傾向がある。
12 Sang-Woen Kho, Ill-Soon Shin, Bu-Yoen Jyng, Ill-Tae Ahn, Eun-Min Lee(2007) ‘ソフトウェア産 業の国民経済的波及効果の分析’、情報通信政策研究院、pp.17-22.
12
第二に、表2-3で製造業と対比したSW産業の価格(price)特性を整理した。製造業の製品の 価格は原価を考慮して策定され、標準化が進行するに伴って収益が低下する。そして製品の マージンは製品により多様である。反面、SWの価格は使用者の支払い意思により決定され、
標準化が進展するに伴って収益は極大化する。SW産業は製造業と比較して付加価値が高い 産業である。SW産業の付加価値率は69.6%でサービス業51.5%よりも高い水準であり、製造 業28.8%に比べ2倍を上回っている(Choi et al.、2005)13。SW産業は知識基盤社会を構築す る核心分野であり、新市場を持続的に生成、発展させる母体産業である。また、SW産業は 各産業の製品及びサービスを高度化して付加価値の創出を可能にする核心インフラとして知 識サービス産業の競争力の強化に重要である。
表2-3 製造業とSW産業の価格(price)特性
製造業 SW産業
製品の価格は原価から策定
製品の標準化が進展するに伴って収益低下 製品マージンが製品により多様
製品の価格は消費者の支払い意思により決定 製品の標準化が進展されるに伴って収益極大化 製品マージンが非常に高い高付加価値産業
第三に、表2-4で製造業と対比したSW産業の流通(place)特性を整理した。製造業の製品は一 般的に製造、流通過程を通じて消費者に伝達される。勿論、オンラインで商品情報の獲得、購 買が可能であるが、製品の伝達は一般流通の過程に従う。反面、
SWは一般流通とオンライン流
通が可能であり、最近はネットワーク性能の向上によりオンライン流通の比重が増加している。そして、多くのSW製品企業がサービス企業へ変化していく産業である。1990年代後半から企業 の限定的な財源の効果的な使用の側面で情報システムを外部に外注するモデルを採択し始め、
その方案の一つでASPモデルが導入された。そのASPモデルが
2006年SaaSモデルに進化して最
近にはクラウドコンピューティングというビジネスモデルに発展を続けている(Ji, 2009)
14。表2-4 製造業とSW産業の流通(place)特性
流通形態 製造業 SW産業
一般流通 一般流通が大部分 CD、DVDなどの媒体流通中心
オンライン流通
オ ン ラ イ ン で 商 品 情 報 の 獲 得 、 注 文、決済は可能であるが、商品の伝 達は一般流通と同一
イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 注 文 、 決 済、流通が可能
多くの製品企業がサービス企業へ進化
13 Bong-Hyun Choi, Hong-Seok Kim and Jyung-Hyun Kim(2005)、‘ソフトウェア産業のビジネスモ デル分析’ 産業研究院、pp.40-48.
14 Seok-Koo Ji(2009), ‘A Exploratory Study on the Success Factors of the SaaS Adoption’, Kookmin University, pp.7-22.
13
第四に、表2-5で製造業と対比したSW産業のプロモーション(promotion)特性を整理した。
製造業の製品は一般的に生産、流通、消費過程が分離されている。つまり生産者と消費者 の接触が必要でない。反面、SWは生産と消費が分離される場合もあり、そうでない場合 もある。特に、SWは現地化が非常に重要であるので、生産者と消費者の接触が必要であ る。そしてSWは先端産業の特性からコンサルティング、啓蒙などの販売促進活動が重要 である。また、SW産業は従来の産業と異なり単一のビジネスであるとは言えない。SW産業 では、必要な機能やアプリケーションなど多様な商品を簡単に開発できる(Michael、2004)
15。つまり、製品やサービスの幅に、ほとんど無限の可能性がある。SWは、スマートフォー ン、電子政府、スマートホーム、スマート自動車、U-病院、U-学校などの様々な製品・サー ビスの高度化のためにその役割がだんだん重要になってくる。
表2-5 製造業とSW産業のプロモーション(promotion)特性
製造業 SW産業
生産、流通、消費が分離 生産者と消費者の接触が不必要 差別化、低価格などの戦略が重要
生産と消費が分離可能な場合もあり、そうでない場合もある
多くのSWは生産者と消費者の接触が必要(製品の現地化が重要)
販売促進戦略としてコンサルティング、啓蒙活動が重要
第五に、表2-6で生産費用の特性を整理した。製造業の製品の場合、生産費用の大部分は 機械・設備投資、原材料の購入、人件費が占める。反面、SWは研究開発のための人件費 が費用の大部分を占める。それでSW製品の開発が失敗した場合、投入した費用は埋没費 用(sunk cost)16になって回収可能性がほとんどなくなる。その観点からSW産業は非常に リスクが高いが、市場で価値が認められた場合、リスクの程度は低くなる。特に、製造業 は原材料購入、労働費用など投入費用により供給量と価格が決定され、競争市場の場合に は生産単位別限界費用17が供給量を決定する重要な因子になる。反面、SW産業では投入費 用、限界生産費が供給量を決定する因子ではない。SWは源泉技術の開発が核心で、これ を基に大量生産に伴う生産費用はほとんど発生しない(浜口、2010)18。そのため、SW
15 Michael A.Cusumano(2004), The business of software, Free Press(サイコク・インターナショナル監訳
(2007)『ソフトウエア企業の競争戦略』ダイヤモンド社, pp.3-25.
16 埋没費用(sunk cost)とは、事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収でき ない費用を意味する。
17 生産物の1段位を追加で生産する際、必要な総費用の増加分である。一般的に、企業は総収入から総費 用を差し引いた総利潤を極大化させるために、限界費用と限界収入が一致する時点まで生産を増加或は減 尐させる。
18 浜口友一(2010)、『ニッポンのITその未来』日本経済新聞出版社、p.175。ではソフトウェアの特性を 次のように説明している。「ソフトウェア開発は製造業のように試作を重ねて製品開発を行い、それをラ
14
製品は開発プロセスと開発人材により、最終製品の品質が決定される。従ってSW産業は 知識集約的で、上級労働力集約的な高付加価値産業である。
表2-6 製造業とSW産業の費用(cost)特性
費用項目 製造業 SW産業
研究開発費 研究開発が重要であるが、重要でな い場合もある
生産過程で研究開発費が重要 研究開発費は埋没費用(sunk cost)の特性 設備投資、
原材料購入費
分野により差異が大きいが、通常設備投 資及び原材料購入費が費用の大部分
設備投資及び原材料購入費はほとん ど不必要
人件費 人件費が重要であるが、SW産業に比
べて低い 投入費用の中で人件費が核心
限界費用 追加生産により総費用が増加 追加生産により総費用が減尐
第六に、上記の整理からわかるようにSW産業は製造業と色々な観点から差別化される。そ の差別性を表2-7に総合整理した。それにもかかわらず、SW産業を製造業から明確に区別す ることは難しい。SW産業は革新性及び高付加価値性、経験的属性、サービス性、製造と消費 の非分離性、現地化及び維持保守の重要性、事実上の標準(de facto standard)などの特性を見 せている。このようなSW産業の多様な特性が絡んで、市場選択、進出時期、国際化の段 階、所要期間及び費用、キャズムなどの国際化過程に製造業との差異が発生する。
表2-7
SW産業の特性の総合整理
区分 詳細内容
製品 (product)
SWは製品の作動を可能にする0と1で構成されたプログラムの集合体
SWは製品及び他のSWと連携され価値発揮(complementarity, system effect) 物理的属性(tangibility)よりは経験的属性(intangibility)が強い
SWは製品に比べて現地化と維持保守が非常に重要
同一製品は同一品質の場合もあり、サービス水準により異なる場合もある 購買者が所有可能な場合(ownership)もあり、そうでない場合もある
製品・ビジネスモデルが革新的であり、ライフサイクルが短く、他産業発展の原動力 インに乗せて大量生産を行っていくわけではありません。原材料も在庫もなければ生産設備もいりません。
ソフトウェアをパッケージとして大量販売する場合でも、電子的コピーで済むので生産コストはほぼゼロ です。これが製造業とは根本的に異なる点です。ソフトウェア開発において生産は、根本的に一度しか行 われません」。
15
ユーザーが特定メーカーに固着(lock in)し、忠誠度の高い産業(進入障壁)
流通 (place)
開発、構築、維持保守が核心的流通過程
SW産業はオンライン・オフーライン流通が可能な産業
多くのSW製品企業がサービス企業へ変化していく産業(SaaS) 製品(サービス)は保管可能な場合もあり、そうでない場合もある 促進
(promotion)
生産と消費が分離可能な場合もあり、そうでない場合もある 生産者と消費者の接続が必要(製品の現地化が非常に重要) 販売促進戦略としてコンサルティング、啓蒙が重要 価格
(price)
製品の価格は原価から策定されず、消費者の支払い意思により決定 製品の標準化が進展されるに伴って自然独占の現象が現れて収益極大化 製品売り上げに対するマージンが非常に高い高付加価値産業
その他 (費用)
機械・設備投資及び原材料の購買費がほとんど不必要
SW産業は上級開発人材が核心的な生産要素で研究開発費の比重が高い産業 研究開発費は埋没費用(sunk cost)の特性でリスクの高い産業
複写品一つの製作費用と大量生産費用がほぼ同じ水準の原価概念のない製品
第4項 SW産業のビジネスモデル
ビジネスモデルとは企業(組織)が多様な利害関係者のためにどのように価値を創出して成 果を高めるか、その方法を含んだ過程を集約したものと定義できる(Magretta,
2002)
19 。 ビジネスモデルをどのように定義する場合でも、各企業については提供する商品或はサービ スの種類と対内外環境によってビジネスモデルには差異が発生する。さらには、同一商品や サービスを生産・販売する企業でも経営者の能力やスタイル、準備度、或は需要環境などの 要素によってビジネスモデルには差異が生じる。産業別ビジネスモデルの差異は産業を構成 する企業の全体的な特性を説明する。そして産業自体の属性は産業別ビジネスモデルに大き な影響を与える。たとえば、標準化した商品を製造する製造業と個別消費者を対象とするサ ービス業のビジネスモデルの構成要素と特性には明らかな差異がある。SW産業のビジネスモデルを分析するに当たって考慮する必要のある産業的特性には多
様な要素がある。表2-8にはSW産業の分野別特性が総合的に整理されている(Choi et al.、2005)
20。彼らはSW産業のビジネスモデルを分析するにあたって、製品の開発及び生産特性、
19 Magretta Joan(2002), ‘Why business models matter’, Harvard Business Review, May 80, pp.8 6-92.
20 Bong-Hyun Choi, Hong-Seok Kim and Jyung-Hyun Kim(2005),‘ソフトウェア産業のビジネスモ デル分析’、産業研究院、pp.48-52.
16
流通特性、産業組織的特性などが総合的に反映される必要があると主張している。
表2-8
SW産業の製品分野別特性
特性 パッケージSW ITサービス 組み込みSW デジタルコンテンツ 商品
特性
情報財、公共財 資本財
サービス
事業支援サービス
部品素材 投入要素
情報財、公共財 消費財
生産 特性
研 究 開 発 が 核 心 機 能 性、人材の専門性
サービス信頼性重要 技術支援及び開発人材 の専門性
正確性、開発者の専門
性 使用者の価値重視
開発者の専門性・創意性 研究開発費用が過多で
ある高リスク産業
HW・人力・維持保守 能力
費用側面でHWと結合 する特性
研究開発費用が過多で ある高リスク産業
流通 特性
製品からサービス化傾 向(SaaS)
オンライン流通強化
一般流通経路不在 需給者間契約取引
一般流通経路不在 HW企業の自体開発・
外注研究開発
開発企業とサービス企 業間契約取引
オンライン・オフライ ン最終消費者流通
産業 組織 特性
規模の経済・ネットワー ク効果・自然独占傾向 ニッチ市場競争
標準化サービス不可 大手企業市場と中小企 業市場が分割
一部自体研究開発 一部外注市場制限的競 争市場
個別商品別に規模の経 済・ネットワーク効果 ニッチ市場多大 グローバル競争 地域的競争 グローバル競争 グローバル競争 出所)
Choi et al.(2005)‘ソフトウェア産業のビジネスモデル分析’,
産業研究院、p.51.を 基に筆者作成本論文はSW産業のビジネスモデルに関する韓国中小SWベンチャー企業の国際化過程と成 功因子モデルを中心とした研究である。国際化関連の先行研究では、段階理論、ネットワー ク観点理論、国際新生ベンチャー理論、資源基盤観点理論、全体論的観点理論などが知られ ている。本研究では全体論的観点に基づいてSW企業の国際化モデルを構築し、個別企業の 事例分析と産業共通の国際化成功因子分析を並行して、総合的な研究を遂行する。即ち、S
W産業のビジネスモデルに関し国際化観点に絞って研究を推進するものである。
第2節 韓国SW産業の発展過程
第1項