台湾における共働きの母親の養育態度の類型 : 社 会変化による影響
著者 黄 ?茜
雑誌名 評論・社会科学
号 114
ページ 67‑84
発行年 2015‑09‑30
権利 同志社大学社会学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014259
要約:本研究の目的は,共働きの台湾社会の母親が,養育態度について,どのような価値 観や考え方をもっているのかについて明らかにすることである。働いている台湾在住の215 名の台湾人の母親が調査に参加した。台湾の母親の養育態度に関する質問紙項目の因子分 析の結果から5つの養育態度因子が抽出された。次に,養育態度因子に関する類型や特徴 を探るため,クラスタ分析により調査対象者が,3つの群に分類された。さらに,母親の 年齢層別に類型化を行った結果,50代の母親は「平均型」,40代の母親は「信頼型」,30 代の母親は「理想型」の人が一番多いという特徴が示された。50代の母親の多くは,貧し い農村社会で生まれたものの,豊かな工業化された社会で育ち,教育の機会も増加する時 期に遭遇した。それに対して,40代の母親は,安定した社会で育ち就業する機会も増加し た。また,30代の母親は,より高い教育歴を持ち,競争社会を経験したというそれぞれの 背景がある。
キーワード:台湾,共働きの母親,養育態度,社会変化,子どもの教育
目次
1.背景と問題
1−1.従来の「男主外,女主内」という家庭構造から夫婦共働きへの変遷 1−2.共働きの母親の就業率
1−3.台湾の母親は仕事と家庭の両立が可能か?
2.目的 3.調査方法
3−1.調査対象者 3−2.調査材料 3−3.手続き 4.結果と考察
4−1.台湾の母親の養育態度の因子抽出 4−2.台湾の母親の養育態度因子の年齢層分析 4−3.養育態度因子による台湾の母親の類型特徴 5.結論
5−1.社会変化による母親像の変化 5−2.共働きの台湾の母親の養育態度の類型 5−3.仕事,家庭の両立に関する課題
────────────
†同志社大学大学院社会学研究科教育文化学専攻博士後期課程
*2015年6月29日受付,査読審査を経て2015年8月6日掲載決定
論文
台湾における共働きの母親の養育態度の類型
──社会変化による影響──
黄 琬茜
†67
5−4.本研究の限界と今後の課題
1.背景と問題
1−1.従来の「男主外,女主内」という家庭構造から夫婦共働きへの変遷
かつて,「男主外,女主内(夫は外で働き,妻は家庭を守る)」という伝統的な考え方 が強く残る台湾社会では,その考え方の影響で,大多数の女性が外での仕事をしたこと がなかった。むしろ就業をする機会がなかったと言った方が適切である。そして,家事 や子育ての責任は,家にいる母親に任せることが当たり前だと考えられた。しかし,こ
の
50, 60
年の間,台湾社会における経済,教育などの構造的変化が生じたことで,女性の社会進出の機会も多くなってきた。2000年の台湾女性の労働参与の調査によると,
育児をしながらの労働者が
51.4% を占めていた(行政院主計処,2000)。その後,2013
年5
月,台湾の首相である江宜樺が「2012年の行政院統計処調査によると,台湾女性 の労働者の数は50% を超え,また,家に 6
歳以下の幼児を持ちながら働く母親の数は63.89% に達したということで,「男主外,女主内」という伝統的な考え方が次第に消
え,・・・(略)」たと発言している(行政院ニュース,2013)。要するに,台湾におけ る家庭構造は従来の「男主外,女主内」から,現在の夫婦共働きという形に移り変わっ たと言える。女性の社会進出の芽生えは,1950年頃からだと考えられる。その頃,台湾は経済的 構造の転換期で,経済発展が動き出す時期であった(呂・伊,2005)。1950年代,台湾 社会は農業が国民経済の中心であった。国民の半数以上が農業に従事していた。その頃 の既婚女性はたくさんの子どもを産み,子育てと家事以外では,少し時間があれば,田 や畑で働く夫を手伝いに行くという光景が多かった(台湾智庫研究部,2011)。農業社 会において,既婚女性の役割は妻として夫をサポートしたり,母親として子どもをしつ けしたりすることのみで,女性が家事と子育て以外の技能や知識を学ぶ必要はないと考 えられていた(王,2002)。そして,1960年代に入ると,台湾は農業社会から工業社会
(軽工業)へと転換期を迎えた。それとともに,農業での労働者も著しく減った。また,
1960
年後半,「9年国民教育」が導入され,台湾女性は男性と平等に教育機会を得たこ とがきっかけで,女性の学歴も時代の移り変わりとともに高くなった。同時に,西洋か らの女性運動の影響も受けたこともあり,台湾女性はずっと家庭にいて夫を全力にサポ ートするという保守的な考え方から,自己実現のため社会進出へという進歩的な考え方 が徐々に広まるようになってきた(劉,2006)。さらに,1970年代になると,台湾の経 済政策は軽工業から重工業へと重点が移行した。その頃,主に輸出主導型の政策が採ら れ,労働集約型産業振興で,大勢の就労機会を作り出したため,特に,女性の労働者の台湾における共働きの母親の養育態度の類型 68
需要が高まった(台湾智庫研究部,2011)。1980年代以後,台湾の経済は飛躍的に発展 し,女性が結婚後も自己実現や家計のために仕事を離れず,共働き家庭が増加した(正 保,2012)。21世紀になると,台湾の女性は高学歴で結婚・出産後も定年まで働き続け
(落合・山根・宮坂・周・斧出・木脇・藤田・洪,2004),夫婦共働きという状況が珍し くない。
1−2.共働きの母親の就業率
「女性も働くのは当たり前」という意識は,21世紀の台湾女性にとって一般的であ る。特に,育児をしながら働く母親は他国に比べて多いと言えよう。2007年,台湾の 夫婦共働きで
6
歳未満の子どもをもつ母親の労働時間(中間層の週40−44
時間)に関 するデータでは,OECDの平均値35.5% に比べ,台湾は 55.5% の大きな数値を示した
(行政院主計処,2010)。台湾における共働きの母親の就業率は,1980年の
28.9% から,
2000
年の51.4%,2014
年の62.3% と,短期間で著しく増加している(行政院主計処,
2014)。それに対して,アジアにおける先進国である日本と韓国においては,むしろ共
働きの母親の就業率は遅れていると池本・韓(2014)は指摘している。2012
年の母親の就業率は,3歳未満の児童を抱えている世帯での比較において,日本 や韓国より,台湾の方が顕著に高い数値を示した(図1
を参照)。日韓の数値は,OECDの平均値
52.16% と比較しても,10% 以上低い値を示した。池本・韓(2014)は,日
韓の母親の就業率が低い主な要因として,仕事と育児の両立が困難であることをその理 由に挙げている。ではなぜ台湾の母親の就業率は比較的高かったのか。その
1
つの要因 として,呉呂(2003)は,50年代頃から,家庭内において母親が娘に経済的に自立す ることや読書をすることが大切だと教え始めたことにあると指摘している。一方,図
1
による日本の母親の就業率(42.80%)は,OECD平均値に比べて低かっ たが,2005年の29.80% の値(3
歳未満児童あり世帯)(OECD, 2011)から考えると,今後も,日本の母親の社会進出が増えるだろうということは想像に難くない。
図1 母親の就業率
注:2011年OECDのデータに,池本・韓(2014)による日本と韓国のデータを追加 し,さらに著者が台湾のデータを加えて作成した。
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 69
そのため,他国と比較して,母親の就業率がかなり進んでいる台湾において,その働 く母親の社会進出の理由となる価値観や養育態度に関する考え方や,その心理的な変化 を明らかにすることにより,今後の日本において予測される母親の就業率の増加に伴 う,養育態度の変化などを推察するときにも,意味のある示唆を得ることができると考 えられる。
1−3.台湾の母親は仕事と家庭の両立が可能か?
呉呂(2003)は,1950年代頃の母親は,娘が学校で勉強することを奨励したと記述 している。その理由は,女性が経済的に自立できれば,幸せな家庭生活を構築すること ができると考えられたからである。また,女性が教育を受ける目的は,良い仕事を見つ けるためであるとも考えられていた(呉呂,2003)。
また,1970年代の女性たちの多くは,たとえ働いても,自分のためではなく,稼い だ金銭を,兄弟の進学や利益のため優先的に支援して,間接的に親孝行をしたと顔
(2008)は指摘している。そして結婚・出産後の仕事に対する給料は安く,一般的に彼 女らが見下されていたことが示されている(賀,2005)。
その一方で,現在の女性は,たとえ育児しながら働いても,家庭内の役割や家事分担 は従来と同じであまり変化していないように思われる。王(1981)は,既婚女性の家庭 生活における責任は,家事労働,子育て,夫婦関係の維持,社交活動,娯楽活動の計 画,親戚関係の維持という
6
つの点に集約できることを示し,今なお,その役割分担が 家の中の広い領域に及んでいることを指摘している。また,子どものいる家庭において は,中国語で「育児労働」と「家事労働」という意味の2
つの家庭内の仕事に分けら れ,どちらの仕事内容に対しても,父親より母親の方がよく従事していると陳・利(2004)は指摘している。子育て・子どもの養育・しつけに関する数多くの研究からも,
家庭内における 父親不在 の背景が,そこに存在することは確かである(洪,2001;
柏木,2006)。さらに,張・李(2006)は,家事を「洗濯」と「家電品などの簡単な修 理」にわけ,1991年,1996年,2002年それぞれに「社会変遷調査」を行った。その結 果,洗濯は妻が担当することが多い(78.6%;69.2%;72.5%)が,家電品などの修理 は夫がすることが多い(37.0%;61.9%;71.6%)ことが報告されている。つまり,洗 濯は未だに「女性の家事」であるが,修理など「男性の家事」も見いだされ,家事の一 端を男性が担当するような変化もみられていると張・李(2006)は指摘している。しか し,その調査の結果は,男性が家事において,女性と半分ずつ公平に分担しているとい うわけではない。ここで示されていることは,男性にも家事労働に対して,僅かな選択 肢があるということを示しているに過ぎない。つまり,「男主外,女主内」という伝統 的な考え方が,基本的には変わってはいないことになる。
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 70
他方,劉(2006)は,1960年代から現在にかけて,共働きの母親という女性像が増 えてきたが,世間からのマイナス評価が少なくないと指摘している。例えば,母親が家 庭と仕事の両者を選択すれば,うまく仕事をこなせないこと,母親が個人の自己実現や 経済的自立などのため,家庭と子どもをほったらかしにしてはいけないということ,母 親であれば自分の責任を知り,家のために全力に尽くすべきだというような世間からの 批判などが,社会には根強く残っている(劉,2006)。つまり,共働きの現在の母親が,
いくら家庭内の仕事を多く担っても,世間の冷たい風に当たることがあることが示され ている。
要するに,時代の移り変わりに伴って,女性・母親は家での役割が家庭内だけにはと どまらなくなってきた。だからこそ,社会の変遷が母親に対してどのような影響を与え るかについては,注意を向ける必要がある。上述のとおり,従来の研究では,共働きの 夫婦関係や家事分担について多く報告されているが,その他の共働き家庭に関する研究 は,まだまだ不十分であると思われる。
本研究では,従来の研究で明らかになっていない,家庭内の仕事の
1
つだと考えられ る,子育てに関する共働きの母親の養育態度の年代的変化を明らかにしていく。とりわ け,社会変化が母親の養育態度にどのような影響を与えるかについて考察することが重 要であると考えられる。さらに,台湾では,時代を追うごとに社会的,経済的発展を遂 げており,その中で女性の社会進出も目立つようになってきたが,「男主外,女主内」という意識は根強く残っている。結局,現代台湾女性(共働きをする母親)は昔ながら の家事に社会での仕事が加わることで,負担増となっていると言える。そのような背景 があるにも関わらず,家事,育児,外での仕事を両立させようとする女性が多いのはな ぜなのか,そしてそうした女性がどのような態度でこうした労働と向き合っているのか の一端を明らかにすることを目的とする。また,明らかにすることで,日本や韓国で,
台湾と同じ様に就業している母親への示唆が与えられる。
2.目 的
本研究の目的は,昔の農業社会で生まれ育った伝統的母親と比較して,現在の科学技 術・知識基盤社会で生まれ育った現代の母親においては,時代の移り変わりにともなっ て,年齢層によるそれぞれの母親像にどのような変化があるのかを考察することであ る。特に育児をしながら働く母親がどのような養育態度に関する価値観や考え方をもっ ているのかについて明らかにする。さらに,その価値観や考え方に関する年齢層の類型 化を行ない,それぞれが大きく異なっているのかどうかについても検討する。
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 71
3.調査方法
3−1.調査対象者
働いている
30
代から50
代の台湾に住む台湾人の母親(原国籍)に限定した。インタ ーネットを通して,台湾の母親へ本研究の調査協力を依頼し,調査協力に同意に得られ た240
名を調査協力者とした。そのうち,30歳以下(12名)と61
歳以上(13名)の 台湾人女性を除き,有効回答者として30
代(31歳から40
歳まで)の70
名,40代(41 歳から50
歳まで)の77
名,50代(51歳から60
歳まで)の68
名,合計215
名の母親 が調査に参加した。3−2.調査材料
親役割診断尺度(谷井・上地,1993),子どもに関する養育態度の質問項目(洪,
2006;原田,2008)を参考に,母親の養育態度に関する全 40
項目からなる質問紙を作成した。各項目は
6
段階評定(「1.まったくそうは思わない」から「6.非常にそう思 う」まで)で回答を求める形式であった。質問紙はすべて中国語で作成された。また,フェースシートは,母親の年齢(30歳以下,31歳から
40
歳まで,41歳から50
歳ま で,51歳から60
歳まで,61歳以上),母親および夫の学歴(小中学校卒,高校・高職 卒,専門学校卒,大卒,大学院卒),母親および夫の職業(専業主婦,一般社員,商工 自営,公務員・軍人,定年),子どもの数(子どもなし,1人,2人,3人,3人以上)に関する項目で構成され,それぞれに対して,選択肢が用意された。
3−3.手続き
調査対象者には,子どもが小学
3
年生から6
年生の頃と仮定して,質問項目に答える ように指示した。例えば,子どもが幼児なら子どもが小学校3
年生〜6年生だと想定し て,また,子どもがすでにそれ以上の年齢の場合は,その頃を思い出して質問項目に答 えるように教示した。インターネット上で著者が公開するサイトにアップロードされた 質問項目に自由に回答することを求めた。実施期間は,2011年4
月から2011
年7
月で あった。4.結果と考察
4−1.台湾の母親の養育態度の因子抽出
台湾の母親の養育態度について,最尤法,プロマックス回転による探索的因子分析の
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 72
結果,固有値
1.0
以上の5
因子を抽出し,因子負荷量が1
つの因子について0.35
以上を 示す項目を選出した(表1)。第 1
因子は8
項目からなり,「家での生活について,注意 すれば逆効果だと思いながら,つい言ってしまう」や「子どもがいうことをきかないと表1 台湾の母親の養育態度の因子分析結果
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 73
いらいらする」といった項目から構成され,日常生活に親が子どもの行動,考えなどに 対して,子どもを責めたり,注意したりするのは正しいことだと思うといった項目が含 まれているので,「管理主義」と命名した。第
2
因子は9
項目からなり,「子どもは宿題 をする時,そばにいる(付き合う)」や「いい本はできるだけ私が選んで与えるように してきた」といった項目から構成され,親は子どもの勉強,宿題をチェックしたり,サ ポートをしたりするといった項目が含まれているので,「勉学支援」と命名した。第3
因子は5
項目からなり,「子どもは仮に悩みが生じても,自分自身で解決していくだろ うと思う」や「子どもは自分にとって大事なことを自分で決定できる」といった項目か ら構成され,子どもの自立・成長を認識・理解し,それを促進する姿勢をとる傾向を示 す項目が含まれているので,「自立促進」と命名した。第4
因子は5
項目からなり,「学 校の先生とコミュニケーションをする」や「子どもの教育問題について,夫とよく相談 する」といった項目から構成され,子どもとコミュニケーションをするだけではなく,子どもの教育のため,学校の先生や夫と相談する傾向を示す項目が含まれているので,
「コミュニケーション」と命名した。第
5
因子は3
項目からなり,「子どもは,学校での 生活状況についてあなた達に教える」や「今でも子どもは学校のことをよく話してくれ る」といった項目からなるもので,「母子間の意思疎通」と命名した。また,抽出された
5
因子の内的整合性をCronbach
のα
係数を用いて算出した(表1)。その結果,「管理主義」 α
=.813,「勉学支援」α
=.786,「自立促進」α
=.742,「コ ミュニケーション」α
=.746,「母子間の意思疎通」α
=.741であり,十分な信頼性を 有していると判断した。さらに,台湾の母親の養育態度因子の得点をみると,台湾の母親の養育態度の第
4
因 子「コミュニケーション」の平均得点は4.66
と比較的高く,母親は子どものため,さ まざまなコミュニケーションをよく取ることがわかる(表1)。
4−2.台湾の母親の養育態度因子の年齢層分析
次に,台湾の母親の養育態度について,因子分析によって抽出した
5
因子の因子得点 がそれぞれの年齢層(30代,40代,50代)によって差が見られるかどうか検討するた め,1要因分散分析を行なった(図2)。その結果,第 2
因子「勉学支援」,第3
因子「自立促進」,第
4
因子「コミュニケーション」の平均値において,年齢層に有意な主効 果が認められた(勉学支援:F(2,212)=8.663,p<.001;自立促進:F
(2,212)=8.961,p
<.001;コミュニケーション:F(2,212)=3.152,
p<.05)。しかし,第 1
因子「管理主 義」と第5
因子「母子間の意思疎通」で,どの年齢層(3群)に有意な主効果が認めら れなかった。さらに,Tukey法(Tukeyの
HSD
法)を用いた多重比較の結果,第2
因子「勉学支台湾における共働きの母親の養育態度の類型 74
援」において,30代群と
40
代群との間の差が0.1% 水準,30
代群と50
代群との間の差が
1% 水準で有意差が見られ,40
代群と50
代群との間には,有意差が見られなかった。そして,第
3
因子「自立促進」において,30代群と40
代群との間の差が5% 水
準,40代群と50
代群との間の差が0.1% 水準で有意差が見られ,30
代群と50
代群と の間において,有意差が見られなかった。また,第4
因子「コミュニケーション」にお いて,30代群と40
代群との間の差が5% 水準で有意差が見られ,30
代群と50
代群と の間,40代群と50
代群との間において,有意差が見られなかった。以上の結果から台 湾の母親がもつ子どもに対する勉学支援と自立促進とコミュニケーションの養育態度に おいては,年齢層で有意差が見られたが,子どもに対する管理主義をもつこと,母子間 の意思疎通という点についてはそれほど年齢で大きな差が見られなかったと言える。す なわち,第2
因子「勉学支援」において,30代の母親は,子どもへの勉学支援を他の 年齢層の母親より,よく頻繁に行うと考えられる。第3
因子「自立促進」において,50 代の母親は,子どもに自立させる養育態度を他の年齢層より重視している。また,第4
因子「コミュニケーション」において,30代の母親は,他の年齢層より,子どもとの コミュニケーションをよくとり,重視している。上記の結果を踏まえて,30代の母親であれ,40代の母親であれ,50代の母親であ れ,「コミュニケーション」および「母子間の意思疎通」という因子得点が高い(それ ぞれ
4.0
以上)ことから見ると,各年代の母親は,子育てする際,子どもとの良好なコ ミュニケーションを取ったり,お互い意思疎通を行ったりするということを共通する養 育態度だと考えられる。図2 母親の年齢層における5つの養育態度因子の平均値 註:*p<.05, **p<.01, ***p<.001
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 75
4−3.養育態度因子による台湾の母親の類型特徴
台湾の母親の養育態度因子に関する類型や特徴を探るため,215名の調査対象者をク ラスタ分析(Ward法)により分類したところ,デンドログラムから
3
つの群に分類す ることが適切であると判断した。そして,3つの群において,それぞれの年齢層による 人数およびその背景を考察する。年齢層による人数と比率を表2
に示した。表
2
をみると,第1
群において,人数は一番多く,215名中99
名(46.0%)を占め る。第1
群の母親は,子どもの教育をとても重視し,勉学支援だけではなく,母子間の 意思疎通およびコミュニケーションをよく行っているので,「理想型」と命名した。こ の「理想型」には,30代の母親が最も多く,40名(40.4%)が占めている。また,こ れらの30
代の母親のいる家庭の特徴として,母親自身は大卒で(57.5%),夫は大卒(40.0%)や大学院卒(37.5%)であり,夫婦
2
人とも一般社員(母親自身45.0%;夫 77.5%)として働き,子どもが一人(50.0%)ということが挙げられる。
第
2
群の母親(87名,全体40.5%)は,管理主義,勉学支援,自立促進,コミュニ
ケーション,母子間の意思疎通というそれぞれの側面を平均的に重んじるという特徴を 持っているので,「平均型」と命名した。そのうち,50代の母親が他の年齢層より多 く,34名(39.1%)を占めている。また,これらの50
代の母親のいる家庭においては,夫の学歴は母親自身より高く(母親は専門学校出身である(47.1%)が,夫は大卒であ る(47.1%)),夫婦とも公務員や軍人(夫)(母親自身
79.4%;夫 44.1%)であり,2
人 の子ども(67.6%)がいるというような家庭背景が浮かび上ってきた。第
3
群の母親は,215名中29
名(13.5%)で,その特徴として非権威的な母親であ り,子どもの勉学をあまりサポートしていないが,母子間の意思疎通やコミュニケーシ ョンを行なっているので,「信頼型」と命名した。そのうち,40代の母親が17
名(58.6%)と一番多い。これらの
40
代の母親のいる家庭では,母親自身(47.1%)と夫(41.2%)も共に専門学校出身であり,仕事は公務員に勤める母親(76.5%)が多いが,夫の 仕事は一般社員(29.5%)や商工自営(35.3%)などの職業に多く勤め,子どもが
2
人(58.8%)というような特徴がみられた。
また,各群を独立変数,類型の特徴を明らかにするための
5
つ養育態度因子得点を従 属変数とする1
要因分散分析を行った。その結果を図3
に示す。第3
因子「自立促進」で,各群の間に有意ではなかった。しかし,他の各養育態度因子とそれぞれの
3
群の主 効果は有意であった。第1
因子「管理主義」とそれぞれの3
群の主効果が有意であり(F(2,212)=46.598,
p<.001),第 2
因子「勉学支援」とそれぞれの3
群の主効果が有意 であり(F(2,212)=91.121,p<.001),第 4
因子「コミュニケーション」とそれぞれの3
群の主効果が有意であり(F(2,212)=93.965,p<.001),第 5
因子「母子間の意思疎通」とそれぞれの
3
群の主効果が有意であった(F(2,212)=59.924,p<.001)。
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 76
さらに,Tukey法(Tukeyの
HSD
法)による多重比較の結果,第1
因子「管理主義」において,2群と
1
群との間,2群と3
群との間の差が0.1% 水準で有意差が見られ,2
群が1
群と3
群より有意に高い得点を示した。そして,第2
因子「勉学支援」におい て,1群と2
群との間,1群と3
群との間,2群と3
群との間の差が0.1% 水準で有意差
が見られ,1群が2
群と3
群より有意に高い得点を示した。また,第4
因子「コミュニ ケーション」において,1群と2
群との間,1群と3
群との間,2群と3
群との間の差が
0.1% 水準で有意差が見られ,1
群が2
群と3
群より有意に高い得点を示した。最後に,第
5
因子「母子間の意思疎通」において,1群と2
群との間,2群と3
群との間の差が
0.1% 水準で有意差が見られ,1
群が2
群と3
群より有意に高い得点を示した。これらの結果を踏まえて,「理想型」であれ,「平均型」であれ,「信頼型」であれ,
母親は,「自立促進」,「コミュニケーション」,「母子間の意思疎通」という因子得点が 高い(それぞれ
3.5
以上)ことから見ると,台湾の母親は,子どもの進路といった大事 なことを自分で決められることを信じて,子どもの自立を尊重したり,育成したりする ことがわかった。さらに,子どもの教育のため,子どもとよく話し合ったり交流したり すること以外,周囲の人々や学校の先生,友人に相談することがわかった。これは年 齢,ひいては社会構造に関係なく見られる台湾の母親の養育態度の共通点の1
つだと考図3 母親の3類型における養育態度因子の平均値 註:*p<.05, **p<.01, ***p<.001
表2 類型によるそれぞれの年齢層の割合
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 77
えられる。
しかしその一方で,「管理主義」,「勉学支援」,「コミュニケーション」,「母子間の意 思疎通」において,各類型の母親はそれぞれの考え方をもっていることがわかった。そ の理由としてそれぞれの成長期の時代背景と結び付けられると思われる。なぜならば,
50
代,40代,30代の母親は,台湾社会のそれぞれの転換期を経験したことで,母親の成 長背景が異なり,子どもの教え方も変わると考えられるからである。50
年前の農業社会において,父親は家の実権者として家計の維持,家と外部との繋 がりなどの役割であったが,母親は家の従属者として家事の労働,しつけなどの役割を 演じていたことが指摘されている(林,J., 2007;林,Y., 2007)。従来の多くの研究に よって,農業社会における子育てに関する母親の役割は,しつけという側面(子どもの 面倒や礼儀作法の教えなど)を主要な任務としていた(荘,2004;賀,2005;林,Y.,2007)。つまり,その頃の母親は家で子どもに教育をするという意識が極端に少なかっ
たと考えられる。しかし,50年前の母親の養育態度や養育方法に反して,今の
50
代の親たち(第2
群 の代表)は,台湾が農業社会から工業社会へ転換する時代に生まれ育ったことで,子ど もの頃に苦労したようなケースは少なくないが,大人になると,安定したよりよい生活 を追求するため,大きな努力をしたため,50代の親たちの多くが高学歴となり,安定 性の高い職業に就くという傾向が見られた。また,学校で義務教育を受けたことで,初 めて子どもへの教育という意識が現れたため,子どもへ勉学を支援したり,適度なコミ ュニケーションをとったりしたことが示唆されている。すなわち,50代の多くの母親 は,貧しい時代から豊かな時代を迎える過渡期に生まれたため,親自身がさまざまな体 験・経験をもつので,子どもへの教育に対して,5つの養育態度を平均的に重んじたと いう可能性が考えられる。それに対して,40代の親たち(第
3
群の代表)は,工業社会になった時代に生まれ 育った。当時の台湾経済が発展し始め,就業機会が急増し,いわゆる社会の安定期に入 ったため,40代の母親の多くは,小さい頃から安定した豊かな生活を過ごしたことで,そのような経験に対して肯定的なイメージをいだいていることが推測される。そのた め,他の世代に比べて相対的に,子どものしつけに甘く,子どもが自由にのびのびと育 つことを重視していると考えられる。
また,30代の親たち(第
1
群の代表)は,工業社会から知識基盤社会へと移る時代 で生まれたため,高学歴を求めるのが一般的になったものと思われる。30代の親自身 は高学歴者が多いからこそ,激しい競争かつ少子化の現代社会で,高学歴をすでに必要 な条件の1
つとして認識していると言える。それゆえに,母親は子どもの競争力を高め るため,子どもによい教育を受けさせたり,勉学をサポートしたりする養育態度をもつ台湾における共働きの母親の養育態度の類型 78
傾向が強いと考えられる。
5.結 論
5−1.社会変化による母親像の変化
昔,農業社会における多くの母親は,家と家族のみを生活の中心にしたため,家への 貢献というのが,育児,家事だけに位置づけられた(王,2002;荘,2004;賀,2005;
林,Y., 2007)。つまり,当時の母親の役割は,家庭の「経済」(すなわち家計の収入)
に役に立っていなかったと林,Y.(2007)は指摘している。しかし,台湾社会が経済的 に発展し,教育が普及し平等になったことに伴って,母親の役割も家庭内から社会へ拡 大して行った。そのような背景で影響を受けた母親は,視野が広がったため,子どもへ の養育態度についても,従来のしつけを中心にしたものから,教育的学業的側面をも重 視し始めたということが,本研究の結果から示唆された(図
3)。さらに,母親の年齢
が若ければ若いほど,子どもとの豊かなコミュニケーションをとることが,より重視さ れることが明らかになった。この点は,近年の母親の子育てに関する養育態度におけ る,1つの大きな特徴だと言えよう。5−2.共働きの台湾の母親の養育態度の類型
本研究では,共働きの台湾の母親の養育態度を,年齢層による生育環境や社会背景の 違いという要因に加え,それぞれの養育態度の特徴を探り出して分析した。30代,40 代,50代のすべての母親の養育態度の共通点としては,子育ての際,母親は子どもと コミュニケーションをとること,意思疎通が大事だと考えていることである。その一方 で,それぞれの養育態度の特徴を探り出すために類型化した結果,50代の母親では,5 つの養育態度の要因を平均的に重視する「平均型」,40代の母親では,親子のコミュニ ケーションや相互理解を重視する「信頼型」,30代の母親では,子どもを管理すること 以外の項目で高得点を示す「理想型」が,それぞれ最も多いという特徴が示された。さ らに,各年代で母親が育ってきた時代背景が異なるため,それによって子育ての養育態 度も大きく影響を受けることが示唆された。「平均型」である
50
代の母親の多くは,貧 しい農業社会から豊かな工業社会に変わり,女子教育の機会も増えた時代に生まれ育っ た。そのため,母親は自らの教育経験から,子どもの教育への意識が高まり,子どもに より良いバランスのとれた教育を受けさせようとしている特徴がある,と考えられる。また,「信頼型」である
40
代の母親は,女性の就業機会が高く,社会の安定期に生まれ 育ったため,子どもを自由にのびのびと育てるという養育態度の特徴をもっていると考 えられる。さらに,「理想型」の30
代の母親は,高学歴と知識基盤社会という激しい競台湾における共働きの母親の養育態度の類型 79
争社会で生まれ育ったため,子どもの学習を最も重視するという特徴をもっていると言 えよう。つまり,たとえ同じ共働きの母親でも,年齢層によって,それぞれ違った台湾 社会の転換期を経験したことで,母親の教育への意識が異なり,それぞれの養育態度に 違いがみられるという研究結果が示された。
5−3.仕事,家庭の両立に関する課題
台湾だけではなく,各国においても母親の仕事と家庭の両立に対しては,疑問が投げ かけられることが少なくない。もちろん,従来からそのような批判はあったが,母親の 仕事と家庭の両立という状況は,この十年間で着実に増えている(OECD, 2011;池 本・韓,2014)。台湾の場合は,多くの母親は自己実現や家計のために働くという考え が一般的である。その際,前述の批判とは逆に,女性が経済的に自立できれば,円満な 家庭をうまく進められるという考え方を持っていることが,母親の就業率が高いという 理由の
1
つであるとも考えられる。この十数年の台湾の母親の就業率は,60% 前後に まで達した(行政院主計処,2014)ということから見ると,台湾の女性は「男主外,女 主内」という伝統的な考え方や過去の状況を打破しようとしたとも言える。しかし,先 行研究が示すとおり,家庭内の仕事の1
つとして家事では相変わらず女性の方が多く負 担している。呂・伊(2005)は,1970年代に比べ,1990年代の男性の方が家事への参 加が多くなったことを示している。しかし,その際の家事への参加の形態は,男性が独 自で家事をするということではなく,女性と一緒に協働で家事をするというのが実態で あることが指摘されている。また,2013年の『婦女婚育与就業調査報告(結婚出産後 及び就業の女性に関する調査報告)』によって,毎日の平均労働時間において,家事が2.41
時間,子どもの面倒が1.29
時間,年配者やその他の家族の面倒が約30
分間,計4.22
時間と,長時間にわたる家庭内の仕事を,女性が担っていることが示されている(行政 院主計処,2013)。概して,時代の移り変わりとともに台湾の男性やその社会は,女性 の社会進出を受け入れるようになったが,家庭内の多くの仕事を女性にしてほしいとい った「男主外,女主内」という根本的な意識が残っているのも事実である。つまり,男 性の家庭内の女性の役割への要求と期待は時代とともに減少するとは言い切れない(賀,2005)。一方,母親の就業率が高まってきたことに伴い,夫婦共働きで子育ての時 間が十分確保できず,「隔代教養(祖父母による孫育て)」や「託児所(保育園)による 育児」や「保母(個人経営の保育士または養育者)による育児」などの新しい子育ての やり方が生じたことも指摘されている(梁,2005;曾,2008;邱,2013)。
仕事と家庭の両立に関する課題においては,賛否両論があるが,働く母親の大変さと その努力を,周囲のものが理解する必要があると考えられる。本研究の結果から,台湾 の母親は働きながらも子育てするという家庭内の
1
つの仕事を決して疎かにしていない台湾における共働きの母親の養育態度の類型 80
ということが明らかになった。そのようなことからも円満な家庭を築くためには,育児 か就業のどちらか,または両方,のいずれの選択肢を選ぶのかという母親の意思を夫や 家族が尊重し,理解し,そして積極的に支援していくことが大切であると考えられる。
母親の社会進出が進んでいる台湾には,母親が安心して育児しながら働ける環境作りが できるように,政府や企業の柔軟な対策も必要である。例えば,母親であれ父親であ れ,子どもを会社へ連れて働くことができるように,会社に子どもを預けるスペースを 作ることなども,積極的に検討していかないといけない。
5−4.本研究の限界と今後の課題
本研究では,データ収集に以下の限界がある。母親の年齢と類型との関係性,また年 代と台湾の社会的背景との関係性を主張したいが,各年代の母数が少ないこと,また調 査方法がインターネットであり,したがってそうした手法による質問紙調査に興味を持 つ者に対象者が限定されていること,さらには調査回答時に我が子が小学校
3
年から6
年生までの範囲内なのか範囲外なのかということなど,様々な制限があり,必ずしも得 られたデータが台湾全体を代表するとは言えないのも確かである。次に,台湾において育児をしながら働く母親を対象に質問紙調査を行い,養育態度に 関するデータを分析し,さまざまな角度から考察を加えた。しかし,働く母親の気持ち や考え方にもっと寄り添うためには,単なる数量的な調査だけではなく,質的な心理的 アプローチも必要である。
一方,近年,台湾における「外籍」(1)の配偶者の数は著しく増え,2012年に
48
万人 に達し(入出国及び移民署,2013),そのうち女性の「外籍」の配偶者は9
割ほどを占 めている(内政部統計処,2015)。黄(2012, 2013, 2014)は,「外籍」の母親の子ども の勉学および子育ての面において,積極的にサポートする姿勢,養育態度を明らかにし たが,彼女らの社会進出および,その家事分担をする状況という変数を入れ,それらが 台湾社会へどのような影響を与えているかということを考察する必要があると考えられ る。他方,先進国である日本と韓国においては,女性・母親の社会進出が遅れていると言 われるが,この十数年間にも徐々に上昇してくることから見ると,近い将来,日本と韓 国も台湾の母親の高就業率と同じような状況になることが十分予測できる。そのため,
日本と韓国の場合も比較対象とし,それぞれの国の働く母親の養育態度などを,同様の 手法を用いて多角的に分析していくことからも,十分に興味深い結果が得られることが 予想される。
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 81
注
⑴ 「外籍」の配偶者とは,本来の国籍は中国本土,マカオ及び東南アジア(ベトナム,インドネシア,フ ィリピン,カンボディア,マレーシア)などの国の女性が台湾の男性と結婚した後の呼び方である
(顔,2006)。
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台湾における共働きの母親の養育態度の類型 83
The purpose of this study is to investigate the parenting attitudes of Taiwanese working mothers in double-income families in terms of values and ways of thinking. The study looked into the influence of social change on their parenting attitudes across generations. There were 215 Taiwanese working mothers responded to the questionnaire during April−July 2011. They were divided into three groups : 30s, 40s, and 50s.
The factor analysis was implemented and has led to the following five factors. The cluster analysis was applied across generations and led to the following conclusion : (1) the 50s can now be classified as the average type of mothers as many of them were born in a poor agricultural society and grew up in a wealthy industrial society with increasing opportunities for women to have education. Based on their own experience, they have higher awareness about children’s education and thus hold an average type of parenting attitude. (2) the 40s can now be classified as the trust-oriented type of mothers as they grew up in a more or less stable society with increasing opportunities for women to have their own career. As such, they tend to raise their children with easier attitude. (3) the 30s can be classified as the ideal type of mothers as they grew up in a higher-education-and-highly-competitive society. Therefore, their top priority seems to come to parenting is study support.
Key words: Taiwan, Mothers in double-income families, Parenting attitudes, Social change, Child education
Parenting Attitudes of Taiwanese Working Mothers in Double-Income Families :
The Influence of Social Change Wan-Chien Huang
台湾における共働きの母親の養育態度の類型 84