• 検索結果がありません。

獲得した概念を活用させる中学校社会科地理授業の開発とその評価 : パフォーマンス評価を取り入れて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "獲得した概念を活用させる中学校社会科地理授業の開発とその評価 : パフォーマンス評価を取り入れて"

Copied!
142
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特定の課題 についての学修 の成果

獲得した概念を活用させる中学校社会科地理授業の開発とその評価

一 パフォーマンス評価を取 り入れて一

兵庫教育大学大学院 教育実践高度化専攻

P15016E

修 学 指 導 教員 指 導 教員 学校 教 育研 究科 授 業 実践 開発 コー ス 飯 原

崇 仁

2017年

2月 3日 伊 藤

博 之 宮 田 佳 緒 里 吉 水

裕 也

(2)

目次 獲 得 した概 念 を活 用 させ る 中学 校 社 会 科 地 理 授 業 の 開 発 とそ の 評 価 ―パ フォー マ ンス評 価 を取 り入れ て― く目 次 〉 序章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 口・・・・・ 口・・・・・・・・・・

1)問

題の所在

2)研

究 目的

3)研

究仮説

4)研

究方法 1 1 1 1 2 第

I章

第1節 1) 2) 3) 第

2節

1) 2) 3) 中学校社 会科 の 目標 の達成 を可能 にす る授 業・・ 。・ ・・ 。・ 。・・ ◆・・

0 4

中学校社会科 の 目標 と達成へ の弊害 … … ・ … ・ … … … 。・ 。

4

中学校社会科 の 目標

4

生徒の社会科学力観 は どのよ うになっているのか

5

なぜ

,社

会科 を暗記す る教科 と認識す るのか

6

社会科 にお ける探究型授業

,意

志決 定型授 業の必要性・ ・・ 0。 ・・・・

00 9

「説明す る」 を目指 した社会科授業

9

探 究型授業 の構成 ―概念探究過程 にお ける生徒 が社会的事象 の因果 関係 を

10

-原

因 と結果 の関係 で説 明で きるための授 業 一 なぜ

,意

志決定型授業が必要 なのか

13

第 Ⅱ章 獲得 した概念 を活用す る学習課題 とそ の評価

00。

・ ・・・ 。・ 。・・

00。

・ 15 第

1節

学力 に合 つた評価方法・・・・・・・ ・・

00。

・ ・・ 。・・

000。

・・・ 15 1)「見 えやす い学力」 と 「見 えに くい学力」

15

2)学

力の質 の構造化

16

3)パ

フォーマ ンス評価 とルーブ リック

17

2節

中学校社会科 にお けるパ フォーマ ンス評価・・・・ 0・ ・・・・・ ・・・ 0・ 22

1)パ

フォーマ ンス課題 の問題点

22

2)パ

フォーマ ンス課題 の位置づ け と作成手順

23

3)中

学校社会科 とパ フォーマ ンス評価 の対応

24

第 Ⅲ章 パ フォーマンス評価 を取 り入れ た授業実践・・ 0。 ・・・ ・・・ 。・ 。・・ 。 28 第

1節

開発実習 にお ける中学校社会科授業 の実践 0。 ・・・・ ・・ 0・

00000028

1)開

発実習 にお ける単元計画

28

2)開

発実習 において実践 したパ フォーマ ンス課題

30

3)開

発実習 において実践 した中学校社会科地理的分野の指導案

36

(3)

目次

4)授

業開発 にお ける成果

44

2節

改善実習 にお ける中学校社会科授業 の実践 0。 ・ ・・・・・ 。・ ・・・・・

45

1)改

善実習 にお ける単元計画

45

2)改

善実習 において実践 したパ フォーマ ンス課題

47

3)改

善実習 において実践 した課題 中学校社会科授業 の指導案

53

4)授

業開発 にお ける成果

65

第Ⅳ章 パ フォーマ ンス評価 を取 り入れた授業実践の評価・・

00。

・・・・・・・ ・ 67 第 1節 開発実習 にお けるデー タ分析

67

1)開

発実習 にお けるパ フォーマ ンス課題 に関す るア ンケー ト

67

2)ル

ーブ リックによるパ フォーマ ンス課題 の評価

71

3)各

レベル のアンカー と評価

75

4)パ

フォーマ ンス課題 の観点別評価 による考察

88

5)開

発実習 にお けるパ フォーマ ンス評価 の考察

90

2節

改善実習 にお けるデー タ分析・ 。・ ・・・ ・ 0・ 0・ 。・・・・・ ・ ◆。・92

1)改

善実習 にお ける課題 に関す るア ンケー ト

90

2)ル

ーブ リックによるパ フォーマ ンス課題 の評価

94

3)各

レベル のアンカー と評価

98

4)改

善実習 にお けるパ フォーマ ンス評価 の考察

107

終章 0。 ・ 。・ 。・

00・

・ ・・・ ・ 。・ 。・ 。・ ・・ ・・・・・ ・・・ ・

00・

・ ・ 109 謝辞 資料 要 旨

(4)

序 章

序 章

1)問

題 の 所 在 中央教育審議会教育課程企画特別部会(2016)は,次期学習指導要領に向けて,新 たな資質 。 能力の要素について提言を行 つている

.そ

れは 「何 を知っているか」だけでなく,「知 って いることをどう使 うか」 とい う資質・能力に関するものである。社会科においても

,社

会 認識形成 を踏まえて価値判断す ることのできる子 どもの育成が 目指 されている。学習 した 知識・概念をどのよ うに使 うかが重視 され

,知

識の注入が行われるような授業だけでは不 十分である。これまでにも

,知

識注入型授業への批判か ら様々な授業の実践がな されてき た.しか しなが ら,生徒 を評価する方法は未だに一問一答式ペーパーテス トが主流であ り, 知識の再生を評価す ることに主眼が置かれている

.そ

のため

,生

徒は知識の暗記に力を注 ぎ

,社

会科を 「暗記す る」科 日であるといつた誤認 をもち続けている。この認識 は生徒の 市民的資質の育成 を妨げている。授業において獲得 した知識・概念を活用できる場を設定 し

,市

民的資質の育成 を目指す とともに

,妥

当性のある評価を行い生徒にフィー ドバ ック を してい くことは喫緊の課題 となっている.

2)研

究 目的 このような課題 を解決す るために

,次

2つ

を本研究の 目的 とする。 概念探 究過程 で習得 した概念的知識 または説 明的知識 を

,根

拠 とし価値判断 させ るパ フォーマ ンス課題 を価値分析過程 における意志決定型授業 として位置づ けた授業の 開発. 意志決 定型授業 に位 置づ けたパ フォーマ ンス課題 を質的 に評価 し

,生

徒 にフィー ドバ ックす る仕組 み を開発す るこ と.

3)研

究仮 説 研究仮説を以下の

2つ

とする。 単元末 にて

,概

念探 究過程 において獲得 した概念・ 知識 を根拠 に価値判断 させ るよ う な課題 を設定 し

,取

り組 ませ ることで

,合

理的 な説明ができる価値判断がで きるの ではないだろ うか。 パ フォーマ ンス評価 を用いてフィー ドバ ックす ることで

,価

値判断す るために

,自

分 が何 を必要か客観 的に考 えることができるよ うになるのではないだろ うか。 2. 2.

(5)

序 章

4)研

究 方 法 研 究 の 目的 を達成す るために

,次

の方法で研 究を行 う。

1.先

行研 究

,文

献 か ら社会科 にお けるパ フォーマ ンス評価 の有効性 について明 らかにす る。

2.パ

フォーマ ンス課題 を組み込んだ授 業 を開発す る.

3.連

携 協力校 にて

,授

業 を実践 し

,分

析す る。

4.本

研 究 にお ける成果 と課題 を明 らか にす る。

(6)

序章

【引用・参考文献】

中央教育審議会教育課程企画特別部会

0010

「教育課程企画特別部会における論点整理 について (報告)」 最終ログイン2017/02/02

(httpブノ

ww‐

mext.g6.1っ/b menu/shingi/chukvoた

hukvo3/053/sonota/1361117.htm)

` 佐長健 司 (1995)「 暗記社 会科」 の通過儀礼的意 味」J.Fat Edu Saga Un市.Vol.42,No.

2.127‐137 松下佳代 (1998)「認知カウンセ リングの学習観」市川伸一編著『認知カウンセ リングから 見た学習方法の相談 と指導』ブレーン出版,pp.132‐ 147 吉田英文 (2012)「パフォーマンス評価による教科学習観の変化一 「覚える」社会科観か ヽ ( ら「説明す る」社会科観ヘー」東京学芸大学教職大学院年報 1,pp.55‐66

(7)

I章

1節

I章

中学校社会科の 目標の達成 を可能にす る授業構成理論

本章では

,社

会科の 日標 と生徒の実態 を比較 し

,大

きなズ レがあることを明 らかに し, その原因について論 じる。そ して

,こ

の問題を解決す るための授業構成論を提案す る.

1節

中学校社会科の 目標 と達成への弊害

本節 では

,社

会科 の 目標 を明 らか にす る。 また事前 に行 つたア ンケー トを もとに連携 協 力校 の生徒 の社会科学習観 を分析 し

,な

ぜ その よ うな学習観 をもつのかを

,社

会科 の評価 方法 と生徒 の学習 目標 か ら論 じる.

1)中

学 校 社 会 科 の 目標 社会科の 目標 とは

,社

会認識形成を通 して市民的資質を育成す ることである. 米 田

(2015,p.112)は

社会認識形成について次のよ うに述べている。 「社会認識形成」 とは,「社会 の しくみが分 か る」 こ とであ る。「社会の しくみが 分 か る」 とは

,社

会事象間の原 因 と結果 が分 か るこ とであ る. 以上 よ り

,社

会認 識形成 とは

,社

会的事象 を原 因 と結果 の関係 で説明できるこ とである と言 える. 岩 田

(2001,p.62)は

市民的資質 について次の よ うに述べ てい る。 社会科授 業 で育成す る市民的資質 の 中核 は

,合

理的意志決定能力 である

.そ

れ は, 科学的探 究 を通 して社 会 に関す る構 造的知識 を習得 し

,そ

れ を生か した価値判断がで きる ことであ る。社会科授 業 にお ける価値判断は

,合

理的 な説 明ができる判 断である

(8)

第 I章 第

1節

こ とが要 求 され る。 以上 よ り

,市

民的資質 とは

,獲

得 した知識 。概念 を根拠に合理的に価値判断できること と言える。 社会科の 目標 をみ ると

,二

つの段階に分かれていることがわかる。一段階 目は社会認識 形成であ り

,知

識 0概念について学習す る概念探究過程における目標である。二段階 日は 社会認識形成 を通 した市民的資質の育成であ り,.知識・概念 を活用する価値分析過程 にお ける日標である。この市民的資質の育成 こそが

,社

会科の究極の 日標である。それは地理 的分野においても例外ではない。

2)生

徒 の社 会 科 学 習 観 は どの よ うに な つて い るの か 社会科の 目標が設定 されているにも関わ らず

,社

会科は知識 を覚えることが 目標である かのように

,暗

記科 目であるとい う印象が長い間続いてきた。 森分

(1978,p.18)は

,行

われてきた社会科授業の問題点の一つに事象の断片的羅列学 習があると指摘 している。教師が教科書 を用いて

,項

目の順 を追つて完結的に消化 してい き

,ま

た全体を落ちるところなく網羅的に授業を行 う。このよ うに授業が展開 され ること で

,教

科書を活用 して教えるのではな く

,教

える知識注入型の授業 となる。 知識注入型の授業への批判か ら,「考 える社会科」「活動す る社会科」な ど様々な研究や 実践がな されてきた。 しか しなが ら

,依

然 として生徒は社会科 を暗記科 日であるとい う認 識 を持 ち続 けている。生徒の社会科学習観 を調べた先行研究 として吉田

(2012)を

例にあ げる. 吉田

(2012,p.55)は

生徒たち

50人

に対 して行つた社会科学習観についてのアンケー ト 結果について次のように述べている。 連携 協力校 の生徒 たちが予想以上 に社会科 を 「覚 える」教科 として認識 していた こ とである。(中略 :飯 原

)個

人差はあるが全体 と して 「覚 える」 とい うイ メー ジを強 く もつていることに驚かせ られた。「社会科は『暗記科 目』だと思いますか」とたずねた 項 目でも

,74%が

“はい

"も

しくは “どちらかといえば 「はい」

"と

答えている。 以上 の吉 田のア ンケー トか ら生徒 の多 くは覚 える (暗記

)教

科 と認識 を持 つてい るこ と が言 える. 筆者 も連携 協力校 である

H県

0市

K中

学校第二学年 (生徒

30人

)に

対 し

,地

理的分野 に限定 し

,社

会科 学習観 のア ンケー トを実施 した

.そ

の結果 を示す (表

I-1-1)。

(9)

第I章 第

1節

I-1-1

地理的分野は

,暗

記す る教科 である。 「地理的分野は

,暗

記す る教科 である。」とい う項 目に対 して約

77%の

生徒が肯定的に捉 えてい る

.こ

れ よ り

,地

理 的分野 において も暗記教科 とい う印象 が今 も続 いてい ることが 分 か る。

3)な

,生

徒は社会科を暗配する教科と認識するのか

生徒 が社会科 を暗記す る教科 と考 える原 因について

,生

徒 の もつ学習 目標 と社会科 の評 価方法か ら論 じる

.

・ 佐長

(1995,p.127)は

社会科 にお ける生徒 の学習 目標 につ いて次の よ うに述べ る。 学習者 は常に客観テス トにおいて高い点数をえるために

,社

会的事象 を記述す る用 語等を暗記す る学習に力を注 ぐ。(中略 :飯原

)本

来であれば思考や解釈

,判

断の結果 として導かれ るべき内容をも予め暗記 し

,テ

ス トでは再生す るとい うことさえ認 めら れるのである。 生徒 は試験 において高い点数 を とるこ とを学習 目標 と してお り

,そ

のために社会的事象 を記述す る用語の暗記 に力 を注いでい る。その理 由は

,

社会科 の試験 では思考力 ◆判断力・ 表現力 を問われ る問題 であつて も

,そ

の内容 を事前 に暗記 してお くことで正解 にた ど り着 け る

.例

えるな らば

,地

域 と雨温 図の正 しい組 み合 わせ を問 う問題 において

,ワ

ー クの問 題 をそのまま出題 す ることが挙 げ られ る。社会科 では

,グ

ラフの読み取 りや資料 の比較・ 検討 を通 じて知識 を獲得 してい く。その過 程 において グラフの使 い方や 資料 を見 る視 点が 培 われ てい く。 しか しなが ら

,試

験 では この よ うな技術 は必要 とされず に知識 の再 現 を求 め る問題 ばか りが出題 され る傾 向にある。 さらに

,教

師側 も試験 で良い点数 を取 らせ たい と考 えるために

,森

(1978)が

述べ るよ うな知識注入型の授業 に陥 るのである。 また認知カ ウンセ リングの立場か ら暗記主義が残 つた理 由を松下

(1998,p.136)は

次の よ うに述べている. 目標 の一つ は

,学

業成績 を上 げ る ことであ り

,そ

れ は試験 で測定 され るものであ る。 この状況下では

,学

習す る時 に 「時間的 コス ト」 をか ける ことができて も

,学

習 した内容が検 索・使用 され る試験 (定期考査 であれ入 学試験 であれ

)の

際 に

,時

間的 よくあてはまる あてはまる あま りあてはま らない あてはま らない 10人

13人

5人

2人

(10)

I章

1節

コス トをか けるこ とは許 され ない。学習時 の時間的 コス トの大 き さと検索・使用時の 時間的制約 の きび しさの間の このギャ ップ を埋 めるた めには

,あ

る程度 の解 法 の暗記 は避 け られ ない ものなのである。 松 下

(1998)は

学習時 と試験 にお ける 「時間的 コス ト」の違 いが暗記 主義 を生む と述べ てい る。社会科 は内容教科 であるため

,覚

えな けれ ばな らない知識・概念が多い。授 業 に お い ては時 間をかけ知識 。概念 を習得す ることができる。 しか しなが ら

,試

験 では広 い範 囲 にわた る知識 の確認 のた め多 くの問題 が 出題 され る。その際 には

,一

問一答式 の問題 が 大 半 を占めてい る。 ここに多 くの時間を要す るために

,グ

ラフの比較や資料 の読み取 り, 文書題 の問題 が出 る場合 も

,な

ぜ答 えがその よ うにな るのか と考 える余裕 が無 くな る。そ のために

,生

徒 はなぜ その よ うにな るのか と考 えるのではな く

,事

前 にそ うい った文章題 の解答や雨温図の特徴 を暗記 しよ うとす るのである。 佐長 (1995),松下 (1998)は共通 して

,生

徒 の学習 目標 の

1つ

と して成績 を上げること をあげてい る。その評価 は主 に中間 。期末試験 のペーパーテス トで行 われ る。学習時 には 考 え る

,比

較す る等 の時間 が設 け られ

,生

徒 た ちは問い を探 究 し知識 。概念 を習得 してい くが

,試

験 では限 られ た時 間の中でいか に知識 を再現 で きるのか とい う一問一答式 の問題 が多い。生徒 は

,こ

の評価方法に対 して成績 をあげ る手段 として

,暗

記 とい つた学習方法 を とる。その結果

,社

会科 は暗記す る とい つた認識 が生 まれ る。評価 方法 は

,生

徒 の学習 方法 に影響 を与えてい る。 社 会科 は内容教科 で あ るため

,知

識 の習得 は必要不可欠 で ある

.し

か しなが ら

,知

識 を 暗記す るだけでは

,社

会認識形成 が され た とは言 えない

.ま

た岩 田(2001,p.52)は

,知

識 の 暗記 について次の よ うに述べ ている。 説明的知識

,概

念的知識が

,社

会科において育成す る中核的知識である

.こ

れ らの 知識 を生徒が習得 していけば

,社

会科学習のね らいは達成できたことになる。(中略 : 飯原

)し

か しなが ら

,こ

れ らの知識 を生徒が暗記 しても

,役

に立つ知識 としての働 き をすることはできない。自ら学んでい くことが必要である。 説 明的知識 は

,社

会事象 間の関係 を原 因 と結果 の関係 で示 してい る知識 であ る。概念的 知識 とは

,法

貝1性を表現 している知識 である。 これ らの知識 を習得す ることで

,社

会科 の 学習 のね らいが達成 され る こととな る。社会科 の 目標 は

,社

会認識 形成 を通 して市 民的資 質 の育成 をす るこ とで あ り

,学

んだ知識・概念 を根拠 として合理的 な判断ができるよ うに な ることで ある。 しか しなが ら

,暗

記 した知識 では

,役

に立つ知識 としての役割 を果 た さ

(11)

第I章 第

1節

ない。そ のため

,知

識 を暗記す ることでは

,社

会科 の 目標 の達成 は され ない。 以上 よ り

,社

会科 にお ける問題 点は

2点

である。

1.知

識 の再生 を求 める評価 が重視 され てい るため

,教

師は知識 注入型 の授業 にな り, 生徒 は知識 の暗記 に力 を注いでい る。

2.習

得 した知識 。概念 を活用す るための場

,ま

たその評価 があま り行われ ていない。 次節 で は

,こ

れ らの問題 を解決す るための授業構成理論 について提案す る

(12)

I章

2節

2節

社会科 における探究型授業

,意

志決定型授業の必要性

前節では

,生

徒 の社 会科 学習観 に対す る問題 とそ の原 因 につ いて言及 して きた

.本

節 で は

,こ

れ らの課題 を解決す るために説 明す る授業 を 目指 し

,そ

の授業構成理論 について論 じる。

1)「

説 明す る」 を 目指 した社 会 科 授 業 概念的知識や説明的知識が習得 され る授業は概念探究過程 に位置づけられ

,そ

の 目標 は 社会の しくみが分かることである。 しか しなが ら

,生

徒が分かつているのか どうかを授業 の中で判断することは難 しい。 森分(1978,p.88)は 次のように述べている. 生徒 が どこまで どの よ うにわかってい るのか

,あ

るい はわか っていない のか をたえ ずお さえなが ら授 業 を進 めて ゆかね ば

,授

業 のね らい は達成 され ない。 ところが生徒 がわかつてい るか どうかは

,生

徒 に説 明 させ てみない とはあ くできない。 森 分 は

,生

徒 が どこまで理解 してい るか ど うかは

,説

明 させ る初 めて捉 え る こ とがで き る。 また

,毎

回の授 業 毎 に生徒 が説 明で きてい るのか ど うか をお さえてい くこ とで

,授

業 の 目標が達成 され ると述べている。 以 上の こ とをふ まえ本研 究 では

,説

明す る こ とを重視 し 「説 明す る」 を 目指 した授業 を 目指す。「説明す る」とい うことについて辞書で検索 し,そ の意味のま とめた(表

1-2-1).

1-2-1

「説明す る」の意味 意 味 辞 書 事柄 の内容や意 味 を

,よ

く分かるよ うに ときあかす こと. 記述が事実の描 写や確認 に とどまるのに対 して

,事

物や 出 来事が 「何故か くあるのか」 の根拠 を示す こと。 新村出編 広辞苑 第六版 岩波書鷹テ

2008年 p.1578

。ときあかすこと。特に

,物

事がなぜ こうあるのかの根拠 を 明 らかにすること。 岩 波 国語 辞 典 第 四版 岩波書着テ19984「

p.619

。ときあかすこと. 。説いて事象を明 らかにすること. 新潮 現代国語辞典 第二 版 大進堂

(13)

I章

2節

1-2-1か

ら 「説明す る」 とは

,事

物や事象 についてなぜ そ うなってい るのかを明 ら か に し

,根

拠 を もつて示す こ とである と言 える

.そ

して

,社

会科 の 目標 は

,社

会認識 形成 の段階では「社会的事象 を原因 と結果 の関係 で説 明できる」,市民的資質 の育成段階では「習 得 した知識・ 概念 を根拠 に合理的に価値判断できる」 ことである

.社

会科 の 目標 と照 らし 合 わせ て も,「説 明す る」 を 目指 した社会科授業 は妥 当である と考 え られ る。

2)探

究 型 授 業 の 構 成 ―社 会 的 事 象 の 因 果 関係 を原 因 と結 果 の 関 係 で説 明 で き るた め の授 業 一 本研究では,「説明す る」を 目指 した授業を行 うが

,た

だ社会的事象の因果関係 を教 え, 生徒に説明 させ るだけでは不十分である。なぜならば

,生

徒が興味関心を持たない知識で は

,結

局の ところ知識 を暗記す るに留まるか らである。そこで岩 田

(2001)が

述べたよ う

,知

識 を役 に立つ もの として習得す るためには

,生

徒が 自ら学び

,説

明 したい と思える 授業を行 う必要がある。 デイ ビィッ トハー ビェイ

(HaⅣ

ey,D)(1965:訳

松本

(1979))は

説明について次 のように述べている こ うして説明は

,衝

突 と驚 きの原因である期待せ ぎる出来事を

,期

待 される出来事 へ と還元 (reduce)してい くことと見な される。 説 明は

,驚

きが生 じた出来事 についての原 因を分か るよ うにす ることである としてい る. 以上 よ り

,授

業 は

,生

徒 の驚 きが生 じる学習課題が設定 され

,そ

の課題 を解決す るなか で

,社

会 の しくみが分か り

,社

会的事象 を原因 と結果の関係 で説 明できるよ うになるもの でなけれ ばな らない。 岩 田(1991,p.35)は 生徒が社会の しくみが分か るよ うにな る過程 を「分かる」過程 として い る。 この 「分か る」過程 を表 にま とめた (表

1-2二

2)。 学習の段階 内容

I.情

報収集の段階 何 を考えてい く際にも

,情

報を多 く持つていることが重要である. ・ 単なる記述ではな く

,あ

る事柄が どのような法貝Jによって 生 じたかを明 らかにす ること. 2000 年

p.845

・ それが どうい うものであるか (事情で存在 し

,ま

た起 こっ たか

)を

,相

手に分かるように (順序立てて

)言

うこと. 新 明 解 国 語 辞 典 第 七 版 二 省 堂

2012 p.831

1-2-2

「わかる」過程

(14)

第 I章 第

2節

米 田は

(2011,p.12)は

「分かる」過程 を探究 Iと し

,探

究Iの授 業構成理論 について 次の よ うにま とめてい る (図

1-2-1).

「なぜ疑問」の発見

0把

握→予想・仮説の設定

→仮説の検証のための資料の収集と選択,決定

→選択した資料をもとにした検証→説明的知識の習得

1-2-1

分 か る過程 米 田の述べ る探 究Iの学習過程 とその内容 を表 にま とめた (表

1-2-3).

1-2-3

探究Iの授業構成理論 Ⅱ

.分

類 の段階 情報を積み上げた段階では

,情

報は単なる集積にす ぎない

.無

数 の情報は分類 されて初めて

,一

定の意味を持つ. Ⅲ 。比較 の段階 比較す ることによつてよ り深い知識へ と通 じてい くことができ る。それ は比較す ることによって

,違

い を発見できるか らである. 違 い の発 見は,“なぜその違 いが生 じたのか

"と

い う問いに発展 して い く。 Ⅳ 。なぜ疑問一仮説 設 定の段階 「分かる」過程での問いの中心に位置す るのはなぜ疑間である. なぜ な らば

,な

ぜ 疑間は結果 を示 して原因 を推理 しているか らであ る。 どの科学 も

,原

因 と結果 の関係 を解明す ることを

,仕

事の 中心 に置いている

.原

因 と結果 の関係 に関す る知識 を豊富に持 つていれ ば

,未

来予測 は的確 にできる。

V.関

係考察 一検証 の段階 収集 した資料 を分析検討 して

,な

ぜ疑間に対す る原 因 として確定 できるか どうかを吟味す る。 この関係 が確 定できたな らば

,結

果 一 原 因の関係

,即

,因

果 関係 が捉 え られ た ことにな る. この よ うに して因果関係 が捉 え られたな らば,「分か つた」 とい う 状態 にな り,「分か る」過程 が成立 した ことにな る。 岩 田一彦

(1991)参

考 に筆者 が作成 学習 の過程 内 容 なぜ疑間の 発 見・ 把握 子 どもの単発的な 「問い」を多 く出させ る

.そ

して

,こ

れ らの 「問い」 を子 どもの先行学習経験

,既

に子 どもが もつている概念装置を総動員 し て

,社

会科 としての 「問題」に高める。 さらに教師が学習指導要領及び教科書

,社

会諸科学の研究成果 を反映

(15)

第I章 第

2節

米 田

(2011)を

参考 に筆者 が作成 探 究型授 業 は①学習課題 の発 見 。把握②仮説 の設 定③検証 とい う学習過程 を経 て

,説

明 的知識や概念的知識 を習得 され る。 探 究型授業 において

,課

題 の発 見・ 把握が重要である。探究型授業 において課題 を把握 す るこ とで驚 きが生 じ

,解

決 す る こ とで社会 の しくみ が分か るよ うにな るか らである。 し か しなが ら

,た

だ学習課題 を設定すれ ば良い とい うわけではない

.米

(2011)が

述べ る よ うに

,学

習指導要領及 び教科書

,社

会諸科学の研 究成果 を反 映 させ て,「学習課題」 が設 定 され なけれ ばな らい

,ま

た設定 され る課題 が社会 の しくみ を理解 させ るよ うな課題 であ る必要がある。 岩 田(2009,p.21)は 探究型授業における学習課題 について次の よ うに述べている。 この過程における学習課題 は,「なぜ∼なのだ ろ う」 とい うなぜ疑間である。事象間 の原因 。結果 の関係 を問 うこ とにな る

,そ

の課題 を追及 した結果

,法

則性

,概

念 的知 識

,説

明的知識

,概

念 とい つた質 の良い知識 が獲得 され る。 探 究型授業 にお ける学習課題 は 「どの よ うに」 ではな く 「なぜ ∼ なのだ ろ う」 とい うな ぜ 疑間が使 われ る。「なぜ」 とい う問いを投 げか ける と 「なぜ な らば∼である。」 とい う答 え方 にな り

,事

象 にお け る原 因 と結果 の関係 で説 明す るか らである。なぜ疑 間の解答 とな る知識 は説 明的知識 と呼 ばれ

,授

業本時 の知識 。理解 の 目標 とな る ものである。探究型授 業 において

,説

明的知識 を習得す ることで社会 の しくみがわか ることになる。 させて,「学習課題」を設定す る

.こ

のよ うな社会科 としての「問い」「問 題」の在 り方が学年を追つて 「習得」 されていれば

,そ

れ を 「活用」 し て質の高い 「学習課題 (なぜ疑問)」 が発見0把握 され る。 予想 。仮説 の 設 定 直感 的思考 で出 され た予想 を集約 して仮説 に高 めた り

,既

に子 どもが 「習得」 している知識 (記述 的知識

,分

析的知識

,説

明的知識

)や

概念 装置 を 「活用」 した りして

,仮

説 を設 定す る. 仮説 の検証のた めの資料の収集 と選択

,決

定 既 に子 どもが 「習得」 した技能や知識 (記述 的知識・ 分析的知識 。説 明的知識

)が

「活用」 され る。 選択 した資料 を も とに した検証

(16)

第 二章 第

2節

3)概

念 探 究 過 程 で 習 得 した 知 識 口概 念 を活 用 す る授 業 概念探究過程において

,社

会認識形成ができたな らば

,社

会科 における日標の一段階 目 が達成 された といえる。次に 目指 され る日標は市民的資質の育成である。市民的資質の中 心は合理的意志決定能力であ り

,習

得 した知識・概念 を根拠 に合理的に価値判断できるこ とである。市民的資質の育成 も社会認識形成同様に授業内において行われなければな らな い. しか しなが ら

,岩

田(2001,p32)は社会科の学習について次のよ うに述べている。 社会 を認識す る自前の概念装置を作 り

,社

会の現状認識お よびその歴史が理解でき るよ うになれば

,社

会科の基盤はできたことになる。これまでの社会科はこの段階で 止まつていることが多かつた。これか らの教育で,「生きる力」が強調 され るときには, ここか らもう一歩踏み込んだ社会科の展開が必要である。 今 までの社会科 では社会認識形成 の段階 で止 まってい ることがほ とん どで ある. 岩 田(2001,p.134)は価値判断・未来予測 がで きる生徒 を育成す るための授 業 について, 次の よ うに述べてい る。 社会科 の授 業 で論争 問題 を取 り上 げ

,価

値判 断 を も とめ

,未

来予測 を させ るこ とが 重要 にな る。正解 のない開かれた社会科授業の展開である. 岩 田は

,実

際に子 どもたちに論争問題 について考えさせ ることで

,価

値判断・未来予測 ができるよ うになると述べている。 以上より

,生

徒の市民的資質が育成 され るためには

,習

得 した知識 。概念 を根拠に合理 的に価値判断できる場を設定す ることが必要であることが言える

:ま

たこのよ うな取 り組 みに対 して妥当性 のある評価 を行わなければな らない。 次章においては

,概

念探究過程で習得 した知識・概念を活用す る課題 について

,育

成す る学力 とその評価方法か ら論 じる。

(17)

I章

2節

引用・参考文献】

岩田一彦

(1991)「

問い。

知識の分析と授業設計」岩田一彦編著『小学校社会科の授業設計』

東京書籍

岩田一彦

(2001)『

社会科固有の授業理論

30の

提言

総合的学習との関係を明確にする視

点』明治図書

岩田一彦

(2009)「

「言語力」をつける中学校社会科授業の条件」岩田一彦。米田豊編著『「言

語力」をつける社会科授業モデル中学校編』明治図書

,pp.7‐21

米田豊

(2011)「

「習得

0活

用・探究」の社会科授業作りと評価問題」米田豊編著『「習得 。

活用・探究の社会科授業&評 価問題プラン

小学校編』明治図書

,pp。7‐21

米田豊

(2015)「

社会科の授業づくりと授業仮説」

『社会科教育 No.67810月 』明治図書

, pp.112‐113n

佐 長健 司 (1995)「「暗記社会科 」 の通過儀 礼的意 味」J.Fac Edu Saga Un市.Vol.42,No.

2.127‐137 松下佳代 (1998)「認知カウンセ リングの学習観」市川伸一編著『認知カウンセ リングから 見た学習方法の相談と指導』ブレーン出版,pp.132‐ 147 森分考治 (1978)『社会科授業構成の理論 と方法』明治図書 吉田英文 (2012)「パフォーマンス評価による教科学習観の変化― 「覚える」社会科観から 「説明する」社会科観ヘー」東京学芸大学教職大学院年報1,pp.55‐66.

HaⅣ

ey,D(1969)『

Explanation in Geography』 松本正美訳 (1979)『地理学基礎論』古 今図書

(18)

第 Ⅱ章 第1節

第 Ⅱ章

獲得 した概念を活用する学習課題とその評価

I章

において

,獲

得 した知識・概念 を活 用 した学習課題 を改 めて設 定 し

,適

切 に評価 す る必要 が ある と述べ た。本 章では学習課題 について求 め られ てい る学力 と評価方法か ら 論 じる.

1節

学力の質に合 つた評価方法

1)「

見 えや す い学 力 」 と「見 え に くい学 力 」 評価 とは

,学

習の指導や改善に生かせ るよ うに

,何

ができて何ができないのか

,生

徒の 現在の学力を把握す ることが主 となる。生徒の学力を把握す るためには

,た

だ闇雲に評価 すれば良い とい うわけではな く

,生

徒の 目指す学力 を明確 に した後に

,適

切な評価規準を 用いて評価 しなければな らない。 しか しなが ら

,学

力によっては表出化が難 しく

,評

価が 困難 になる場合 もある. 松下

(2007,p.8)は

学力 との関係 について次のよ うに述べている。 (前略 :飯 原

)本

,学

力は力の一種であ り

,そ

れ 自体が 「見える」わけではあ り ません。(中略 :飯原

)測

定あるいは観察によつて 「見える」のはパフォーマンス (ふ るまい

)で

あつて, どんな能力 も

,そ

のパ フォーマンスか ら推論す ることで しか把握 できないのです

.も

ちろん

,学

力 も例外ではあ りません。そこで私たちは

,何

らかの 方法を使つて学力がパフォーマンスとして 「見える」ように工夫す るわけです。 学力は力の一種であ り

,直

接評価す ることはできない。そのために

,何

らかの手段 を講 じて

,学

力がパ フォーマンス (ふるまい

)と

して 目に見えるよ うに工夫 を しなければな ら ない

.し

か しなが ら

,前

述 したよ うに全ての学力が簡単に読み取ることができるわけでは なく,「見えやすい学力」 と「見えにくい学力」がある。 松下 (2007,pp.8‐

9)は

「見えやすぃ学力」「見えにくい学力」の違いについて次のよ うに述べている。

(19)

第 Ⅱ章 第

1節

(前略 ;飯原)「見えやすい学力」と「見えにくい学力」はあって,「見えやす さの」 程度は

,学

力 とパフォーマンスを結びつけるのが どのくらい容易かによつてきまる. 松下は算数 を例に

,か

け算ができるか どうかは計算 させてみればわかるが

,か

け算の意 味がわかつているのか どうかを判断するのは簡単ではない と述べている

.こ

のよ うに学力 には 「見えやすい」「見えにくい」つま り

,○

か×で評価できる「直接」的な学力 と○ と× では評価できない 「間接」的な学力がある (図 Ⅱ

-1-1).

図 Ⅱ

-1-1

「見えやすい学力」 と 「見えに くい学力」(松下 2007p.9)

2)学

力 の 質 の 構 造 化 前項 にて

,学

力 には 「見 えやす い学力」「見 えに くい学力」力`ある と述べた。適切 に学力 を評価す るためには,「見 えやす い」「見えに くい」学力 の質 を分 ける必要がある. 社会科 の学力 の質 を分 けるため

,学

力 の構 造化 の視 点 と して 田中

(2003,p.20)の

図 を 参考 にす る

.田

中の図 に社会科 にお ける学力の質 を当てはめた (図Ⅱ

-1-2).

知識 の獲得 と定着 (知ってい る 。できる

)の

段 階は社会科 にお ける社会的用語 の習得で あ り

,社

会的事象 について知 ってい る段 階 にな る。 この段階の学力 は

,一

問一答式

,選

択 式 の問題 において使用 され

,出

題 され た問題 に正解 してい るか否か を見 ることで評価 でき る

.知

ってい る 。できる段階の学力は 「見 えやすい学力」である と言 える。 知識 の意 味

,理

解 の洗練 (わか る

)の

段 階は社会科 にお ける説明的知識 の習得 であ り, 社会 の しくみが分 か る段階 で もある

.こ

の段階の学力 は社会的事象 の原因 と結果 の関係 の 説 明

,な

ぜ 疑間に対す る解答 において使用 され る。 これ らの説明文 を読み とることで評価 がで きる。 この段階の学力 は 「見えやすい学力」であると言 える. 知識 の有意味な使用 と創造 (使える

)段

階は社会科 にお ける価値判 断

,意

志決 定の段階で ある

.わ

か る段階での学力 は

,社

会的論争 問題 な どの実際 に生活や社会で直面す るよ うな

見えにくい学 力

見えやすい学 力

パ フォー マンス (直

接的

)

ン ︻ く , 勤 フ p 、 ′ 学 力

(20)

第 Ⅱ章 第

1節

めざす学力の質{教育目標のレベル) の明確化 価 値 分 析 過 程 概 念 探 究 過 程 社会科 にお ける 学 力の質 価値判断 意志決定 説明的知識の習得 社 会的用 語 の 習得 表 現 に 基 づ く 評 価 ︵広 義 の パ フ ォ ー マ ン ス 評 価 ︶ 知識表象 や思考 プロセ スの表現に基づく評価 {例)描画法 概念地図法、感 情曲線、簡単な論述問題や文 章題など 客 観 テス ト (″嚇 多肢選択問題 空間補充間 題 組み合わせ問題 単純な実技 テストなど 図 Ⅱ

-1-2:田

中耕 治

(2003,p.20)を

参考 に筆者 が作成 状況 において

,学

習 した概 念や知識 を も とに合理 的 な価値判 断

,ま

たは意志決 定ができて い るかで評価す ることがで きる。使 える段階の学力 は「見 えに くい学力」である と言 える. 社会科 の学力 において 「見 えやす い学力」は社会 的用語 の習得

,説

明的知識 の習得,「見 えに くい学力」 と しては価値判断

,意

志決 定 とな る。つ ま り

,社

会科 の 目標 に置 き換 える と

,社

会認識形成 は 「見 えやすい学力」で あ り

,市

民的資質 は 「見 えに くい学力」 とな る。 市民的資質 の育成 を行 うた めには,「見 えに くい学力」 を評価 し

,生

徒 にフィー ドバ ック し てい く必要 があ る。そのた めに 「見 えに くい学力」 を表 出化す る課題 を設定 し

,そ

れ を評 価す る仕組みが必 要 とな る. 田中

(2003)は

,知

識 の有意味 な使用 と創造 (使える

)段

階 にお ける評価 方法 として: パ フォーマ ンス評価 が適 当である と してい る

.本

研 究 において

,獲

得 した知識・概念 を活 用 できたか どうか を評価す る方法 としてパ フォーマ ンス評価 を取 り入れ る。

3)パ

フ ォ ー マ ン ス評 価 とル ー ブ リ ッ ク 前項 において,「見 えに くい学力」 を評価す る方法 としてパ フォーマ ンス評価 を取 り入れ る とした。パ フォーマ ンス評価 とは どの よ うな評価 方法 なのか

,定

義 を紹介す る。 西岡

(2016,p.20)は

パ フォーマ ンス評価 について次 のよ うに述べている。 パ フォーマ ンス評価 は

,知

識や スキル を使 い こなす (活用 。応用・ 総合す る) ことを求めるよ うな評価方法 の総称である. 評価方 法の選 択 真 正 の 文 脈 における活動 や 作 品に基づく評 価(狭義 の パフォーマンス評 価) {例〕情報過多の複雑な文章 題 小論文 レポート 作品制 作・発表 パフォーマンス課題 とループリックなど

(21)

第 Ⅱ章 第

1節

松 下

(2007,p.6)は

パ フォーマ ンス評価 について次の よ うに述べてい る。 あ る特定の文脈 の もとで

,様

々な知識や技能 な どを用いて行 われ る人のふ るまいや 作品 を

,直

接 的 に評価 す る方法. 田中

(2003,p.21)は

パ フォーマ ンス評価 について次の よ うに述べてい る。 パ フォーマ ンス評価 は

,一

般 的 には

,よ

り現実的である場面 を設定 して

,そ

こで産 み 出 され る学習者 の振 る舞 いや作品 (パフォーマ ンス

)を

手がか りに

,知

識・ 技能 の 総合的 な活用力 を評価 す る方法. 以上か ら

,本

研 究 にお けるパ フォーマ ンス評価 の定義 を次の よ うにす る。 現 実的 な場 面 (または文脈

)に

おいて設定 され た課題 を

,学

習者 が知識・ 技能 を活用 し て取 り組み

,そ

の振 る舞いや作品 (パフォーマ ンス

)を

評価す る方法. 松 下はパ フォーマ ンス評価 の説 明の例 として

,フ

ィギ ュアスケー トの評価方法 を挙げて い る。 フィギュアスケー トな ら実際 に数分 間演技 させ

,そ

のパ フォーマ ンスを一定の評価 規 準 に従 い採 点す るこ とで

,そ

の人 の力 を評価す る。同様 にパ フォーマ ンス評価 では

,演

技 の代 わ りに設定 され た課題 (パフォーマ ンス評価 を行 うにあた り

,設

定 され た課題 をパ フォーマ ンス課題 と呼ぶ

)に

取 り組 ませ

,そ

のパ フォーマ ンスや作品を評価規準 も用いて 評価 す るのである

・ しか しなが ら

,パ

フォーマ ンス課題 を実践す る と問題 になるものがある。それ が評価方 法である。西岡

(2016,p100)は

パ フォーマ ンス課題 の評価方法の問題 について次のよ う に述べている。 パ フォーマ ンス課題 に取 り組 み始 める と問題 になるのが

,完

成作 品や 実演 とい つた パ フォーマ ンスの採点基準 である

.パ

フォーマ ンス課題 で生み出 され た作品 について は

,様

々な知識や スキル を総合す るものであるため

,○

か ×で採点す ることができな い.

(22)

第 Ⅱ章 第

1節

パ フォーマ ンス課題 は 「見 えに くい学力」 を表出化 させ る課題 であるため

,○

か ×で評 価 す るこ とはで きない

.そ

こで

,パ

フォーマ ンス評価 を行 う際には

,明

確 な評価規 準 を作 成 す るこ とが必 要 で ある。パ フォー マ ンス評価 において

,評

価 規準 と して用 い られ る もの がルーブ リックである。 西岡

(2016,p.100)は

ルー ブ リックについて次のよ うに述べてい る. ルーブ リックとは

,成

功の度合いを示す数 レベル程度の尺度 と

,そ

れぞれの レベル に対応す るパ フォーマンスの特徴を記 した記述語 (descriptors)か ら成 る評価規準表 である。 ルーブ リックの一例 として

,筆

者 が作成 したルー ブ リックを示す (表Ⅱ

-3-1).

表 Ⅱ

-3-1

ル ー ブ リック レ バリレ 記述 語 5 大変 良い らん らんバ スを走 らせ る明確 な 目的 とその設定理 由が挙げ られてお り

,そ

の 目的に合 つたバスルー トやバス停 の位置 を考 えることができてい る。ま た

,バ

スルー トやバ ス停 の位置 を考 える際に

,自

分一人 の立場 だけでな く, 他 の人 の立場 に も立って考 えるこ とができてお り

,授

業 で学習 した交通 にお ける 「公平」 と 「効率」の両方の考 え方が活用 され ている。この ことを考 え て作 られ たバスルー トやバ ス停 を

,配

布 資料や

,授

業 の ワー クシー トを もと に理 由 とともに説明す るこ とがで きてい る. 4 良い らん らんバ スを走 らせ る明確 な 目的 とその設定理 由が挙げ られてお り

,そ

の 目的 に合 ったバ スルー トやバ ス停 の位置 を考 えるこ とができてい る。 ま た

,バ

スルー トやバス停 の位 置 を考 える際に

,自

分一人 の立場 だけでな く, 他 の人 の立場 にもた ち考 え るこ とがで きてお り

,授

業 で学習 した交通 にお け る 「公平」 と 「効率」の どち らかの考 え方が活用 され ている. 上 の ことを考 えて作 られ たバ スルー トやバ ス停 を

,配

られ た資料や

,授

業 の ワー クシー トをもとに理 由をもつて説明す ることができてい る. 3 合 格 らん らんバスを走 らせ る明確な 目的 とその設定理由が挙げ られてお り

,そ

の 目的に合つたバスルー トやバス停の位置 を考えることができている。ま た

,バ

スルー トやバス停の位置を考える際に

,自

分一人の立場だけでな く, 他の人の立場にもたち考えることができてお り

,授

業で学習 した交通におけ る 「公平」 と「効率」の どちらかの考え方が活用 されている

.こ

のことを 考えて作 られたバスルー トやバス停を

,配

布資料や

,授

業のワークシー トを もとに理由とともに説明す ることができている.

(23)

第 Ⅱ章 第

1節

西 岡

(2016)を

参考 に筆者 が作成 西岡

(2016,p.105)は

チ ェ ック リス トではな く

,ル

ー ブ リックを使用す る理 由について 次 の よ うに述べてい る. チ ェ ック リス トとは

,検

討・ 確認 すべ き事項 を列挙 した もので ある。(中略 :飯原) チ ェ ック リス トで評価 した場合

,要

因間で関連 づ け とい うさらに重要 な評価 規準が見 過 ごされ て しま う懸念 がある。 チ ェ ック リス トを用 いて評価 した場合

,観

点 に 目が 向 き

,要

因間 の関連 が見落 とされ て しま う可能性 がある。パ フォーマ ンス課題 は価値判断 を求 める課題 である

.そ

のた め,,知 識 0概念 の繋 が りは重視 され る。そのた めに

,ル

ー ブ リックを用いて評価 を行 う必要が あ る。 松 下 (2007,pp.10・

11)は

学力 をパ フォーマ ンスのかた ちに して見 えるよ うにす るこ と を 「可視化」

,パ

フォーマ ンスか らその背後 にある学力 を推論す ることを 「解釈」 としてパ フォーマ ンス評価 を次のよ うにま とめてい る (図Ⅱ

-3-3).

パ フォー マンス 可 視 化 (パフォーマンス課題) ネ ー ー ー ー ー ー ー

解釈

(ル

ープリック

) 学 力 図 Ⅱ

-3-3:松

下 (2007) (前略 :飯 原

)パ

フォーマ ンス評価 とは,「パ フォーマ ンス課題」 によって学力 をパ 2 もう少 し らん らんバスのルー ルー トが良いのかが, 卜がすでにあるルー トと全 く同 じであるが

,な

ぜ この 資料や ワークシー トをもとに理由を説明 している。 1 頑 張 ろ う! 考 えたル ー トやバ ス停 の説 明がで きていない

.ま

だ取 り組 まれ ていない.

(24)

第 Ⅱ章 第

1節

フォーマンスヘ と可視化 し,「ルーブ リック」な どを使 うことによつてパフォーマンス か ら学力を解釈す る評価方法だ とい うことができます。 以上より

,本

研究では,「見えにくい学力」を可視化するようなパフォーマンス課題を設 定す る。その課題 に対す る振 る舞いや作品 (パフォーマンス

)を

ルーブ リックによ り

,解

釈 を行い,「見えにくい学力」を評価す る。

(25)

第 Ⅱ章 第

2節

2節

中学校社会科 におけるパ フォーマ ンス評価

1)パ

フォー マ ンス 課 題 の 問 題 点 前項では 「見えに くい学力」を

,パ

フォーマンス評価 を用いて評価 を行 うと論 じた。こ のパ フォーマンス評価 において

,重

要なのは 「見えない学力」を表出 させ るパフォーマン ス課題であると言える。 西岡(2016,p.85)は パフォーマンス課題について次のように述べている。 パ フォーマ ンス課題 は

,最

も複雑 な種類 の評価 方法 で あ り

,筆

記 に よる もの もあれ ば実演 によるもの もある

.具

体的 には

,説

明文や レポー ト

,絵

,展

示物 といつた完 成 作 品 (プロダク ト

)や

,ス

ピー チや プ レゼ ンテー シ ョン

,実

験 の実施 とい った実演 (狭義 のパ フォーマ ンス

)が

評価 され る。 パ フォーマ ンス課題 とされ る範 囲が広 く

,そ

の取 り組み方 について も レポー トや絵画な どの筆記 に よる作品の評価

,ス

ピーチや プ レゼ ンテー シ ョンによる実演 に対す る評価 と多 岐 にわた る。しか しなが ら

,し

ば しば

,パ

フォーマ ンス課題 にな りえていない課題 がある。 西 岡

(2016)は

,パ

フォーマ ンス課題 における問題点について次のよ うに述べている. パ フォーマ ンス課題 に類似す る学習課題 は これ まで も行われ てきた.しか しなが らこ れ らの活動 の中には

,思

考力・ 判断力 0表 現力 の育成 に必ず しも効果的 に繋がっていな い例 も見受 け られ る。 その一例 として社会科における「新聞づ くり」が挙げ られる。生徒は好きな武将を選び, その武将について教科書やインターネ ッ ト

,図

書を用いて事細かに記載 してい く。このよ うな調べ学習は生徒にとつて理解が深まる課題であるかも知れないが

,そ

れはあくまでも, 情報 を羅列的に並べているだけに留ま り

,本

当にそのことを理解 しているのか評価す るこ とは難 しい。結局の ところ

,そ

れぞれの生徒が新聞を作 り

,発

表を行 うだけにな り活動あ って学びな しとい う状況にな りかねないのである. このよ うな問題 になる背景 としては

,単

元の中においてパフォーマンス課題の位置づけ が明確にされていないか らである

.単

元において何が最重要な部分であるのか, どのよう

(26)

第 Ⅱ章 第

2節

な問い を立てれ ば生徒 が思考・判 断 を行 うのか。 これ らを考 えパ フォーマ ンス課題 を位 置 づける必要がある.

2)パ

フ ォー マ ンス 課 題 の 位 置 づ け と作 成 手 順 パ フォーマ ンス課題 の位 置づ けについて西岡

(2008,p.12)の

パー ツ組み立て型 の図を 参考 に次 の よ うにま とめた (図Ⅲ

-2-1).

図Ⅲ

-2-1

パ フォーマ ンス課題位置づけ一パーツ組み立て型 一 西岡

(2008)を

参考 に筆者 が作成 本研 究 において

,パ

フォーマ ンス課題 は単元の最後 に総合的な課題 として位 置づ けた。 パ フォーマ ンス課題 を取 り組むために必要 なパー ツ とな る知識・概念 を授業 において身 に つ けてい く

,最

後 にそれ らのパー ツを使 い こなす こ とを求 めるパ フォーマ ンス課題 に取 り 組 ませ る

.こ

れ がパー ツ組 み立て型 の位置づ けで ある。 パー ツ組み立て型 の位 置づ けを行 つた理 由は

,パ

フォーマ ンス評価 を用いて評価す る学 力 が価値 判 断・意 志決定 を も とめ る市民的資質 だか らで あ る

.社

会科 にお け る価値判 断・ 意志決 定 は

,学

習 した知識・ 概念 を根拠 と して行 われ る。そのた め

,根

拠 と して必要 な知 識・概念 を授業 で学習 し

,単

元末 において

,そ

れ らを活 用す る課題 が設 定す るパー ツ組 み 立て型の位置づけを行 つた. 位置づ けが決 まれ ば

,パ

フォーマ ンス課題 が学習の的 を射ていない課題 とな らないため に

,パ

フォーマンス課題 の作成 を しなけれ ばな らない。 パ フォーマンス課題の作成手順 について西岡

(2016,p.91),三

藤 (2010,pp.18‐

21)を

参考に次 の よ うにま とめた (表Ⅲ-2-1)。 表 Ⅲ

-2-1

パ フォーマ ンス課題 の作成手順 ①単元の中核に位置する重点目標に見当をつける。 単元全体で理解 させておきたい中核部分は何かと考える ②本質的な問いを設定する。 教科の中核部分に位置 してお り

,ま

た生活 との関連が見えてくるような問い。 パフォーマンス課題

(27)

第 Ⅱ章 第

2節

③ 「永続的理解」を明文化する. 「理解」のなかでも特に重要なものを意味している。本質的な問いに対応する。 ④本質的な問いにあったパフォーマンス課題のシナ リオを作る。 「永続的理解」が暗記に留まらないように

,獲

得 した概念・知識 を活用する場を設 ける. 西岡 (2016,p。

91),三

藤・ 西 岡 (2010,pp.18‐

21)を

参考 に筆者 が作成 「重点 目標」 とは

,単

元全体 で理解 させ てお きたい 中核事象の こ とであ り

.言

わ ばパ フ ォー マ ンス課題 の題材選 び であ る。パ フォーマ ンス課題 を行 うには

,学

習 に適 した題材 を 教 師 が選択す る必要 が あ り

,こ

れ がで きていな けれ ば活動 あつて学びな しとな る。そ うな らないた めに

,単

元 におい て子 どもに身 につ けて欲 しい知識 。概念 を事前 に考 えな けれ ば な らない. 「本質的な問い」 とは

,生

徒 に重点 目標 へ と向かわせ るた めの道 しるべ で あ り

,言

わ ば パ フォーマ ンス課題 の題材 の掲示 である

.生

徒 に 「この単元 では∼ (重点 目標

)に

ついて 学習 します」 と伝 えて も関心 は湧 かない

.そ

こで 「なぜ∼だ ろ う」 とい うその疑間 を解 く こ とで重点 目標へ とた どり着 ける問いを投 げか け

,生

徒 に興 味 を もたせ る。 この 「本質的 な問い」 は学問の 中核 に位 置す る問いである と同時 に

,生

徒 の生活 に も関連す る問いで あ る必要がある. 「永続的理解」 とは

,中

核 事象 の 中で も最 も生徒 に理解 して欲 しい知識 。理解

,ま

たは スキルの ことであ り

,言

わば重点 目標 の洗練 である。重点 目標 はあ くまで も抽象的 な 目標 で あ り

,生

徒 が理解 してい るのか を評価す るこ とが難 しい

.そ

こで

,単

元の終 了時 に 「こ の部分 を生徒が理解 してい ることが大事である」 とい う重点 目標 の中で も

,特

に理解 して ほ しい部分 を明確 に記述す る。「永続的理解」 は 「本質的な問い」 に対応 してお り

,そ

の答 え ともなる。 「パ フォーマンス課題 のシナ リオ」 とは

,永

続 的理解 が暗記 に留 ま らない よ うに

,獲

得 した概念 0知 識 の活用す る場 である。パ フォーマ ンス課題 その ものである

.永

続 的理解 を 習得す るこ とが単元 にお け る 目標 で あるが

,本

質的 な問い を投 げか けて永続 的理解 を答 え られ た と して も

,本

当に理解 してい るか ど うか を看取 ることが難 しい。そ こで

,永

続 的理 解 を活用 して取 り組 む課題

,つ

ま リパ フォーマ ンス課題 が必要である。そ してパ フォーマ シス課題 を現実的 な場面 (または文脈

)に

おいて近 い課題 とす るためにシナ リオを作成す る。 本研 究において も

,以

上の手l贋をふ まえパ フォーマ ンス課題 を作成す る。

3)中

学 校 社 会 科 とパ フ ォ

Tマ

ンス 評 価 の 対 応 パ フォーマ ンス課題 について

,そ

の特性 と作成 手順 について論 じた

.こ

こでは

,本

研 究 において社会科にパ フォーマ ンス評価 を取 り入れ た理 由を単元設計の側面か ら論 じる。 社会科 にパ フォーマ ンス課題 を取 り入れ た理 由は以下の

2つ

である。

(28)

第 Ⅱ章 第

2節

社会科 にお ける恒常的社会的論争 問題 は (岩田

2001),様

々な知識や スキル を使 い こ な さなけれ ば考 えるこ とので きない問題 である。 社会科 にお ける単元設計 とパ フォーマ ンス評価 にお ける単元設計 が似通 つてい る。 恒 常的社会 的論 争 問題 は

,様

々な条件 が複雑 に絡んでい る問題 である。その よ うな特質 はパ フォーマ ンス課題 と似通 つた点であ る。そのため

,社

会的論争 問題 をパ フォー マ ンス 課題 に位 置づ ける ことがで きるのではないか と考 えた. 社 会科 の単元設 計 は

,は

じめに

,単

元 の終わ りにお ける生徒 の姿 を決定す る。その姿 と は

,単

元 にお ける概念 的知識 を習得 してい るかであ る。次 に

,概

念 的知識 を習得 に必要な 授 業一時間毎 の学習 目標

,つ

ま り説 明的知識 を明 らか に し

,授

業 ご との指導計画 を練 る. これ が社会科 にお ける単元設計の方法である. 一方

,パ

フォーマ ンス評価 は ウィギンズ

(Wiggins,G.)と

マ クタイ

(McTighe,J.)が

提案 してい る 「逆 向き設計」論 と呼 ばれ るカ リキュラム設計論 を参考 に してい る (図Ⅱ

-4

-1). 求め られ ている 結果を明確 にする 承認 できる証拠を 決 定する

学習経験と指導を

計画する

図 Ⅱ

-4-1

「逆向き設計」プロセスの三段階(4) 出典

:Wiggins,McTighe(西

岡加名恵訳 2008)『「逆向き設計」で確かな学力を保障する』 明治図書

,p.13

「逆向き設計」論は単元設計を行 う際

,は

じめに 「求め られている (結果)」

,単

元にお ける生徒の 目標 となる姿を明確にす る

.次

に 「承認できる証拠 (評価方法)」

,

どのよ うに なれば生徒が 日標 に到達に したのか評価規準を明確 にする。そ して最後に 「学習経験 と指 導 (授業の進め方)」

,授

業計画を練 る。それ を形に したものがパ フォーマンス課題 の作成 手順である。 パ フォーマ ンス課題 の作成手順は社会科において次のよ うに言いかえることができる (表Ⅱ

-4-1).

2.

(29)

第 Ⅱ章 第

2節

パ フォーマ ンス評価 にお けるカ リキュラム設計論

,パ

フォーマ ンス課題 の作成手順 は

,社

会科 の単元設計 と類似 している部分が多い。 異 なってい る点 もあ る。それ は

,パ

フォーマ ンス評価 が

,評

価 方法 まで明確 に してい る 部分 である。社会科 では

,単

元 にお ける 目標 は明確 に され てい るが

,そ

の評価方法 まで決 め られ てい ることは多 くない。パ フォーマ ンス評価 を取 り入れ るこ とで

,評

価方法 が明確 にな り

,日

標 と評価 の一体化がな され る。 表 Ⅱ

-4-1

筆者 が作成 パ フォ

ンス課題作成手順

①重点目標を検討する。

単元における中核事象

②本質的な問いを設定する

. 単元 を貫 く問い

③ 「永続的理解」を明文化する

. ④本質的な問いにあつたパフォーマンス課 題のシナ リオをつ くる。 価値判 断 。未来予測 を行 うための課題

(30)

第 Ⅱ章 第

2節

引用・参考文献】

田中耕治

(2003)「

パフォーマンス評価をどう実践するか」

『パフォーマンス評価

思考力・

判断力・表現力を育む授業づくり』ぎょうせい

,pp。18‐35

西岡加名恵

(2008)『

「逆向き設計」で確かな学力を保障する』明治図書

西岡加名恵

(2016)『

教科と総合学習のカリキュラム設計

パフォーマンス評価をどう活か

すか』図書文化

松下佳代

(2007)『

日本標準ブックレット

NO.7

パフォーマンス評価一子どもの思考と表

現を評価する一』日本標準

三藤あさみ・西岡加名恵

(2010)『

日本標準ブックレット

NO。

3パ

フォーマンス評価にどう

取り組むか―中学校社会科のカリキュラムと授業づくリー』日本図書

(31)

第Ⅲ章 第

1節

第 Ⅲ章

パ フォーマ ンス評価 を取 り入れた授業実践

第I章

,第

Ⅱ章で述べた授業構成理論 を組み込んだ授業

,ま

た作成 したパ フォーマ ンス 課題 の有効性 を検証す るために

,連

携協力校 にて授業の実践を行つた。そこで本章では, 実践 した授業の指導案

,パ

フォーマンス課題 を紹介す る。

1節

開発実習における中学校社会科授 業の実践

開発 実習 にて

,実

践 した授 業の単元計画

,パ

フォーマ ンス課題 (巻末 資料

)と

そ の予備 的ル ー ブ リック

,指

導案 を示す

.ま

たパ フォーマ ンス課題 の作成手順

,設

定理 由な どの概 要 を説 明 し

,そ

の成果 について論 じる。

1)開

発実習 に お ける単 元計 画 ①実習期間 :5月 24日 ∼6月 9日 ②教科書

:平

24年

版 帝国書院 実習単元:中学校社会科 地理的分野 第

2章

世界 と比べた日本の地域的特色

4節

地域間の結びつきの特色

2日

本の交通 。通信網 ③単元計画 次 時 学習課題 習得す る知識 授業仮説 第   一   次 第   一 一 時 なぜ

,小

野 市 で は ら ん ら ん バ ス を 様 々 な 地 域 に 安 価 で 走 ら せ て い る の だろ う. 小野市では,人口の減少, 高齢化 に よ り

,市

民の移動 手段 の確保 が大 きな課題 と な つてい る。そ こで

,誰

も が, どこで もす ぐに交通機 関 を利 用 で きるよ うに らん らんバ スを安価 で走 らせ, 交 通 の 公 平 性 を保 つ て い る。 ☆1:交通機 関が少 ない地域 における 市民の移動手段 の確保 とい う課題 と, 小野市の今後の人 口,高齢化率 の変化 を関連付 けることで,小野市が市民の 移 動 手段 を確保 す るこ とを課 題 に挙 げてい る と理解できるだろ う。 ☆

2:会

社 が経営す る路線バ ス と小野 市 の らん らんバ スの料金 表やルー ト 図 を比較す る こ とで

,

らん らんバ ス は,利益 を求 めてい るのではな く市民 の交通 の公平性 を守 るために運営 し

(32)

第Ⅲ章 第1節 第一時 において

,小

野市 で走 ってい る コ ミュニテ ィバ ス 「らん らんバ ス」 につい て学習 し,「なぜ

,小

野市では らん らんバ ス を様 々な地域 に安価 で走 らせ てい るのだ ろ う.」 とい う学習課題 を通 じて

,小

野 市 にお ける交通 の公 平 につ いて学習す る。第二時では

,コ

ミュ ニテ ィバスが廃止 にな るケースがある中で,「なぜ

,小

野市の らん らんバ スは利用者 が多い のだ ろ う。」 とい う学習課題 を通 じて

,小

野市 にお ける交通 の効率 について学習す る。そ し て

,第

二時 において

,学

習 した 「公平」 と 「効率」 の概念 を価値判 断す るよ うなパ フォー マ ンス課題 に取 り組 ませ る. 次ペー ジよ り

,パ

フォーマ ンス課題 について紹介す る. ていることを理解できるだろ う。 第 一 一 時 なぜ

,小

野 市 の ら ん ら ん バ ス は 禾1用 者 が 多 い のだろ う 小野市 で コ ミュニテ ィバ スの利用者 が増加 してい る の は

,コ

ミュニテ ィバ スの 目的 を明確 に設 定 し

,市

民 の需要 にあつたバ ス停やル ー トを設定 し

,効

率的 に運 営 を行 つ て い る か らで あ る。 ☆ コ ミュニテ ィバ スの失敗事例 とら ん らんバ スの取 り組 み を比較す る こ とで

,運

行 目的 を明確 に し,バスルー トや バ ス停 の位 置 を市民 の需 要 に合 わせ た効率的 な運行 をす るこ とが必 要 である と理解 できるだろ う。 第 一 一 次 第 時 ☆パ フォーマ ンス課題 小野市では,みんなの交通が便利 にな るよ うに,コ ミュニテ ィバ ス「らん らんバ ス」 が走っています。 台風 で流 され ていた 「粟 田橋」が作 り直 され

,2016年

8月 か ら通 行 出来 るよ うにな ります。それ に合 わせ て,らん らんバ スの 「河合統合ルー ト」が新 しく見直 され ることにな りま した。そ こで,あなたは河合 中学校 の代表 として

,新

し い 「河合統合ル ー ト」を考えて欲 しい と頼 まれ ま した

.授

業 で学習 した 「公平」「効 率」の考 え方,また小野市の ことが書 かれ た資料 をもとに,バスの運行ルー トを提案 して くだ さい。

参照

関連したドキュメント

関係委員会のお力で次第に盛り上がりを見せ ているが,その時だけのお祭りで終わらせて

既存の尺度の構成概念をほぼ網羅する多面的な評価が可能と考えられた。SFS‑Yと既存の

「心理学基礎研究の地域貢献を考える」が開かれた。フォー

3 当社は、当社に登録された会員 ID 及びパスワードとの同一性を確認した場合、会員に

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

システムであって、当該管理監督のための資源配分がなされ、適切に運用されるものをいう。ただ し、第 82 条において読み替えて準用する第 2 章から第

その目的は,洛中各所にある寺社,武家,公家などの土地所有権を調査したうえ

本稿で取り上げる関西社会経済研究所の自治 体評価では、 以上のような観点を踏まえて評価 を試みている。 関西社会経済研究所は、 年