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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表
学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。
○氏名 CHOTIWAN Siwaruk(ちょてぃわん しわるく)
○学位の種類 博士(理学)
○授与番号 甲 第 1140 号
○授与年月日 2016 年 9 月 25 日
○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項
○学位論文の題名 Operando XAFS Investigation on Redox Reactions of Cobalt Catalyst Supported on Silica
(シリカ担持コバルト触媒の酸化還元反応におけるオペランド XAFS解析)
○審査委員 (主査)稲田 康宏 (立命館大学生命科学部教授)
小島 一男(立命館大学生命科学部教授)
小堤 和彦(立命館大学生命科学部教授)
<論文の内容の要旨>
本論文は、シリカ担持コバルト触媒が還元性または酸化性の反応ガス環境下にあるとき のコバルト化学種の化学状態変化を、オペランドでのX線吸収微細構造(XAFS)法を中心 とした解析によって解明したものである。第 1 章で担持コバルト触媒関連の研究を概論し た後、第2章では本論文で用いた実験手法の詳細をまとめ、第 3章においてクエン酸添加 もしくは非添加の含浸法によって合成したシリカ担持コバルト触媒の酸化還元挙動に関す る原子レベルでの状態解析の結果を示した。第 4 章では本研究で明らかになった担持コバ ルト触媒の酸化還元挙動と触媒活性との関係についてまとめた。
クエン酸の添加によってシリカ担持コバルト触媒の粒子サイズが微細化されることを透 過型電子顕微鏡観察によって明らかにし、焼成後の触媒試料は粒子サイズに関わらずコバ ルト化学種はCo3O4の状態であることを示した。水素による昇温還元過程では、CoOの状 態を経て金属Coへ還元され、一方、酸素による昇温酸化過程では準安定なCoO状態を経 てCo3O4に至ることをオペランドでのXAFS解析によって明らかにした。Co3O4とCoOの 間の酸化還元温度は粒子サイズに関わらず同じであるのに対し、CoOと金属Coの酸化還元 では、粒子サイズが小さい場合に、還元が高温度側で、酸化が低温度側で進行することを 明らかにした。コバルト酸化物と担体であるシリカの間には相互作用があり、微細な粒子 では効果的に相互作用することが特異な酸化還元特性の要因であることを解明した。また、
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酸化還元反応の動的過程を時間分解XAFS法で解析し、還元反応はコバルト化学種がCo3O4
から CoO を経て金属 Co に至る二段階で起こるのに対し、酸化反応では、初期に金属 Co 粒子が微小分散化される過程があり、その後CoOを経てCo3O4に至ることを明らかにした。
<論文審査の結果の要旨>
本論文では、シリカ上に担持したコバルト化学種の状態をオペランド XAFS 法並びに時 間分解 XAFS 法を用いて解析し、反応ガス雰囲気下でのコバルト化学種の酸化還元反応に 及ぼす粒子サイズの効果を明らかにした上で、同化学種の動的挙動を解明した点に特徴が あり、以下の点に関して評価することができる。
(1) 基本的な酸化還元反応ガスである水素あるいは酸素を通じた昇温過程のオペランド XAFS解析により、Co3O4と金属 Coの間での可逆的な酸化還元反応がシリカ上で進行する ことを明らかにし、酸化条件下においてはCoO状態がCo3O4状態に比べて熱力学的安定性 が低いことを明らかにした。
(2) Co3O4とCoOの間の酸化還元温度は両者の粒子サイズに依存しないのに対し、CoOと金 属Co間の酸化還元反応では、粒子サイズが小さい場合に、還元が高温で、酸化が低温で進 行することを明らかにした。この酸化還元温度の相違は、還元条件と酸化条件の何れにお いても CoO化学種が金属Co よりも安定化されることを意味しており、担体であるシリカ とCoOの間の相互作用に起因することを明らかにした。
(3) シリカ担持コバルト触媒の酸化還元反応を時間分解XAFS法によって動的に解析し、還 元反応はCo3O4からCoOを経て金属Co へ至る二段階で起こるのに対し、酸化反応では、
初期に金属Co粒子が微小分散化される過程があり、その後CoOを経てCo3O4に至ること を明らかにした。
これらの結果は、担持コバルト触媒の活性に及ぼす粒子サイズの効果を定量的に解釈す るための基礎的知見を与えており、この分野の研究に大きく寄与するものである。
本論文の審査に関して、2016年8月2日13時30分から14時35分まで、リンクスクエ ア演習室2Eにおいて公聴会を開催し、申請者による論文要旨の説明の後、審査委員は学位
申請者CHOTIWAN Siwarukに対する口頭試問を行った。各審査委員および公聴会参加者よ
り、X線回折データと粒子サイズの関係、微小粒子での還元が高温化する要因、酸化初期に 見られる分散化を利用する新規触媒合成の可能性、コバルト酸化物間での状態変化のメカ ニズムなどについての質問がなされたが、いずれの質問に対しても申請者の回答は適切な ものであった。また、本論文提出後、主査および副査はそれぞれの立場から論文の内容に ついて評価を行った。
<試験または学力確認の結果の要旨>
本論文の公聴会は、2016年8月2日13時30分から14時35分まで、リンクスクエア演 以上により、論文審査と公聴会での口頭試問結果を踏まえ、本論文は博士学位を授与す るに相応しいものと判断した。
3/3 習室2Eで行われた。
本論文の主査は、本学大学院生命科学研究科博士課程後期課程の在学期間中に、研究指 導を通じ、日常的に研究討論を行ってきた。
本論文提出者は、本学学位規程第18条第1項該当者であり、論文内容および公聴会での 質疑応答を通して、本論文提出者が十分な学識を有し、博士学位に相応しい学力を有して いることを確認した。
以上の諸点を総合し、本論文提出者に対し、「博士(理学 立命館大学)」の学位を授与 することが適当であると判断する。