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<地域研究>コロナ禍における延長産業連関表の作成と分析

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Academic year: 2021

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コロナ禍における延⾧産業連関表の作成と分析. 横浜国立大学 経済学部. 井原 有理. 矢野 美月. 指導教員 居城 琢 教授. 1. はじめに. 新型コロナウイルス感染症(以下「同感染症」). と呼ばれる感染症が世界で初めてその症例を中. 国武漢で発見されてから 1 年以上が経った。日. 本でも感染は急激に拡大し 2020 年 4 月には緊急. 事態宣言が発令された。その結果日本の経済活. 動は大きな減退期を迎えることとなり、東京五. 輪の延期や全国高校野球の中止など経済だけで. なく人々の精神面にも大きな打撃を与える未曾. 有の事態となった。このような事態をうけ、我々. は同感染症の流行による災難や危機的状況、通. 称「コロナ禍」における簡易延⾧産業連関表を作. 成することにより、同感染症やその対策が日本. 経済に与えた影響をいち早く可視化し、今後同. 感染症に関連した研究を行う際の資料にすると. 同時に、今後同じように経済活動に支障をきた. す疫病が流行した際に経済への打撃を最小限に. 抑える政策を模索するための先行研究になり得. ると考えた。. 2. 簡易延⾧産業連関表の概要. 今回の簡易延⾧産業連関表(以下「簡易延⾧. 表」)は 2015 年産業連関表を基準として作成し. た。対象期間については、緊急事態宣言が発令さ. れた 2020 年 4 月を皮切りに都道府県を跨ぐ移動. の規制が緩和され経済活動が元に戻ろうとする. 動きを見せた 2020 年 6 月までに設定し、緊急事. 態宣言とそれに伴う一連の自粛行為が経済へ与. えた影響の大きさを測ることとした。. また、簡易延⾧表の作成に際し、コロナ禍での日. 本経済をより良く観察するために産業の部門分. 類を独自のものに設定し、第一次産業、第二次産. 業に関しては統合大分類を用いる一方で第三次. 産業では統合中分類・統合小分類を織り交ぜて. いる。実際の部門分類の一覧が以下の表(表 1)で. ある。. 表 1. 3. 簡易延⾧産業連関表の作成方法. 図 1. 1 農林水産業 461 電力 593 インターネット付随サービス. 6 飲食料品 462 ガス・熱供給 594 映像・音声・文字情報制作. 11 鉱業 47 水道 595 公務. 15 繊維製品 48 廃棄物処理 63 教育・研究. 16 パルプ・紙・木製品 5111 卸売 641 医療. 20 化学製品 5112 小売 642 保健衛生. 21 石油・石炭製品 5311 金融 643 社会保険・社会福祉. 22 プラスチック・ゴム製品 5312 保険 644 介護. 25 窯業・土石製品 55 不動産 65 他に分類されない会員制団体. 26 鉄鋼 571 鉄道輸送 661 物品賃貸サービス. 27 非鉄金属 572 道路輸送(自家輸送除く) 662 広告. 28 金属製品 573 自家輸送 663 自動車整備・機械修理. 29 はん用機械 574 水運 669 その他の対事業所サービス. 30 生産用機械 575 航空輸送 671 宿泊業. 31 業務用機械 576 貨物利用運送 672 飲食サービス. 32 電子部品 577 倉庫 673 洗濯・理容・美容・浴場業. 33 電気機械 578 運輸附帯サービス 674 娯楽サービス. 34 情報通信機器 579 郵便・信書便 679 その他の対個人サービス. 35 輸送機械 591 通信 68 事務用品. 39 その他の製造工業製品 592 放送 69 分類不明. 41 建設 593 情報サービス 計62部門. 我々が作成した簡易延⾧表の概観は上の図 1. の通りである。概略図中でふられた番号の順に. 推計を進めた。本論文においても推計の順番に. 沿って進める。. ① 国内生産額の推計. 第一次産業は 2020 年度の生産額が公表され. ていなかったため、2015 年産業連関表の生産. 額を基準とした。平成 30 年度生産農業所得統. 計の年次別農業総産出額の伸び率を利用して. 2015 年から 2020 年までの伸び率とみなし、. それを 2015 年生産額に乗じることで推計した。. 第二次産業は 2015 年産業連関表と生産動態. 統計を元に、2015 年単位あたり生産額に最新. 生産量を乗じて推計した。それでも推計しき. れない項目については 2019 年工業統計から製. 造品出荷額等の値の変化率を生産額の変化率. とみなして推計を行った。. 第三次産業は 2015 年国内生産額に第三次産. 業活動指数の原指数を乗じることで推計した。. ② 中間投入の推計. 中間投入は投入係数を算出した後、①で推. 計した生産額と乗じて推計した。投入係数は、. 2015 年産業連関表における投入係数を当研究. の分類似合わせて統合し集計を行った。分類. がまたがっている部門に関してはその平均を. 投入係数として扱った。. 次に、国内総供給額を推計した。国内総供給. 額は国内生産額から輸出額を差し引き、輸入. 額を加えることで算出した。. ③ 最終需要項目の推計. 最終需要は基本的に簡易延⾧表の最終需要. 項目の構成割合が 2015 年と同じであるとみな. してその構成比を利用し、全部門の合計値に. 各部門の構成割合を乗じて推計した。. 家計消費支出は家計調査の一世帯あたり一. ヶ月支出を人口動態統計の世帯数を乗じ、更. に 3 を乗じて四半期の家計消費支出額を推計. した。. 固定資本形成(民間)は企業統計調査の純資. 産部門を固定資本として合算し、固定資本形. 成(公的)は 2015 年固定資本マトリックスを基. 準額とした上で企業統計調査より投資額の. 2015 年から 2020 年の伸び率を算出し、これ. を固定資本の伸び率とみなし基準額に乗じて. 推計した。. 輸出のうち普通貿易額の推計は財務省貿易. 統計を用いて行った。通関コード(HS)の分類. を産業連関表部門分類に組み替えた上で集計. を行った。対応表は下の表 2 である。特殊貿易. 額の推計は国際貿易収支のサービス収支を用. いて行った。2020 年 4 月から 6 月までのサー. ビス収支の中で、以下に示す「輸出(直接購入)」. の推計範囲と建物サービスを除いた額を特殊. 貿易の輸出額とみなして推計した。. 表 2. 直接購入の輸出はサービス収支の中で「非. 居住者家計による国内市場の財・サービスの. 直接取引」をその範囲として推計した。. 在庫純増はこの後推計する輸入額と表の形. 式上とのバランスを調整するために、国内生. 産額に輸入額を加え、そこから内生部門計を. 差し引いて求めた最終需要計に帳尻が合うよ. うに、最終需要他項目の和を差し引くことで. 推計した。. 家計外消費支出、対家計民間非営利団体消. 費支出、一般政府消費支出、一般政府消費支出. (社会資本等減耗分)に関しては集計に必要な. データが未発表であったため、国内総供給額. の基準年からの伸び率を 2015 年産業連関表で. の該当値に乗じることで推計を行った。. ④ 輸入額の推計. 輸入額は、輸出入の規模が同じように動い. ているとみなして、輸出額の変動率を輸入額. に当てはめて推計を行った。. ⑤ 粗付加価値の推計. 粗付加価値項目に関して、当研究の分析段. 階において細分化する必要がなかったため、. 粗付加価値の各項目については推計せず、付. 加価値合計のみを求めた。「粗付加価値計」は. 国内生産額から内生部門計を控除することで. 推計した。. 4. 簡易延⾧産業連関表の分析. 作成した簡易延⾧表の生産額と 2015 年産業連. 関表の生産額の 3 ヶ月分の生産額を比較し、増. 減や構成比を分析した。下の表 3 がそれをまと. めた図である。生産額の変化として、多くの部門. で生産額が減少しており、特に第 3 次産業はほ. とんどの部門で生産額が減少していた。減少率. が大きかったのは飲食料品卸売、運輸関連部門. などである。反対に、生産額が伸びていた部門は. 汎用機械や輸送機械、プラスチック・ゴム製品な. どであるが、これらは生産額の推計時に生産額. の伸び率を 2015 年から 2018 年までの伸び率を. 基に推計して算出したため、実際はこれほど増. 加していない可能性も考えられる。また、ほとん. どで生産額が減少していたサービス産業である. が、その中でも金融、保険部門は生産額が増加し. ていた。金融・保険は窓口だけではなくオンライ. ンで消費者と企業側がやり取りをする形式が普. 及していたことも一因として考えられるだろう. か。構成比に関しては、2015 年と 2020 年で大. きく変わった部門はなかった。. 表 3. 作成した簡易延⾧表を元に逆行列係数表を作. 成した。逆行列係数とはある部門に対して 1 単. 位の最終需要が発生した場合、その部門の生産. に必要とされる中間財の需要を通して各部門に. 対して直接的又は間接的に誘発される生産額の. 大きさを示すもので国内波及効果分析を行うこ. とが可能となる。計算式は以下の通りである。. (𝐼 − (𝐼 − 𝑀)𝐴) 1. ここで I は単位行列であり、M は輸入係数で. ある。輸入係数とは輸入額を国内需要で除した. ものである。国内需要は中間需要と最終需要を. 足したものであり、中間需要は取引基本表内の. 内生部門計、最終需要は取引基本表内の最終需. 要計から輸出・輸出(直接購入)を差し引いたもの. を用いた。また A は投入係数である。作成した. 逆行列係数を用いて影響力係数と感応度係数も. 求めた。各産業部門がそれぞれどの値に位置し. ているのか示したのが下の表 4 である。. 表 4. また、家計消費支出の波及効果も推計した。下. の表 5 は、家計調査における「家計収支 収支項. 目分類一覧」と我々の部門分類を照らし合わせ、. 作成したものである。これを基に家計調査のデ. ータを組み替えて集計を行い、逆行列係数を乗. じることで生産誘発額を推計した。その後、2015. 年と 2020 年の生産誘発額の差を求めた(表 6)。. 表によると、生産誘発額はどの部門でも減少. しており、不動産、飲食料品、小売業の部門で減. 少幅が大きかった。. 表 5. 表 6. 最後に、インターネットを利用した 1 世帯当. たり 1 ヶ月間の支出(総世帯)の数値を家計調査. から抽出し、産業連関表の部門分類に対応する. よう組み替えて集計した。この数値に逆行列係. 数表の値を乗じることにより、2020 年 4 月から. 6 月の直接効果と生産誘発額を算出した。. 下の表7が結果をまとめたものである。生産. 誘発額が大きかったのは「飲食料品」、「繊維製. 品」などであった。特に「飲食料品」は外出自. 粛によりオンラインでの購入に抵抗が少なくな. ったことやスーパーマーケット等でのカップ麺. などの品切れが相次いだことでオンラインでの. 消費が伸びたと思われる。「繊維製品」に関し. ては被服関連で、対面での購入を避けオンライ. ン消費が主であると考えられる。また、電気機. 械は自宅勤務が普及したことによる機材購入が. 考えられる。. 一方、その部門で消費があったにも関わらず. それに対して波及効果が控えめであったのが. 「保険」「映像・音声・文字情報制作」であっ. た。. 表 7. 5.おわりに. 本稿では、コロナ禍における日本経済の分析. として 2020 年 4 月から 6 月の簡易延⾧産業連. 関表の作成を軸に分析を行った。延⾧産業連関. 表の作成という点だけでも十分意義のある研究. ができたが、今後、より精密で状況を反映させ. た延⾧表の作成、また、多方面からのより鋭い. 分析を行うことで当研究を深めていきたい。. 6.参考文献. ・土居英二・熱海市・静岡県・(財)静岡総合研究. 機構ほか (2009) . 『はじめよう 観光地づくりの政策評価と. 統計分析 熱海市と静岡県における新公共. 経営(NPM)の実践』日本評論社. ・総務省 2015 年産業連関表、産業連関表作. 成手順、生産動態統計、生産農業所得統. 計、家計調査 (最終アクセス日:. 2021/02/15). https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/tou. kei/index.html. ・経済産業省 第三次産業活動指数 (最終ア. クセス日:2021/02/15). https://www.meti.go.jp/statistics/index.html. ・財務省 貿易統計、法人企業統計調査 (最. 終アクセス日:2021/02/15). https://www.mof.go.jp/statistics/index.html. ・厚生労働省 人口動態統計 (最終アクセス. 日:2021/02/15). https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-. 1.html. ・内閣府 国民経済計算 (最終アクセス日:. 2021/01/27). https://www.esri.cao.go.jp/index.html

表 6  最後に、インターネットを利用した 1 世帯当 たり 1 ヶ月間の支出(総世帯)の数値を家計調査 から抽出し、産業連関表の部門分類に対応する よう組み替えて集計した。この数値に逆行列係 数表の値を乗じることにより、2020 年 4 月から 6 月の直接効果と生産誘発額を算出した。  下の表7が結果をまとめたものである。生産 誘発額が大きかったのは「飲食料品」、「繊維製 品」などであった。特に「飲食料品」は外出自 粛によりオンラインでの購入に抵抗が少なくな ったことやスーパーマーケット等でのカップ麺
表 7  5.おわりに    本稿では、コロナ禍における日本経済の分析 として 2020 年 4 月から 6 月の簡易延⾧産業連 関表の作成を軸に分析を行った。延⾧産業連関 表の作成という点だけでも十分意義のある研究 ができたが、今後、より精密で状況を反映させ た延⾧表の作成、また、多方面からのより鋭い 分析を行うことで当研究を深めていきたい。  6.参考文献  ・土居英二・熱海市・静岡県・(財)静岡総合研究機構ほか  (2009)   『はじめよう  観光地づくりの政策評価と統計分析  熱海市と静岡県にお

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