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粉粒体の形状解析とその応用に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 柴 田 俊 春

学 位 論 文 題 名

粉粒体の形状解析とその応用に関する研究

学位論文内容の要旨

  粉 粒 体 の 物 理 的, 工 学 的処 理及び その物 性,挙 動に 深くか かわる 粒子形 状の 指標化 が求め ら れ て いる 。 本 研 究 では 粒 体形 状解 析に適 用する フ―リ 工変 換法を ,その 基礎か ら検討 し, 粒子 投 影 又は 断 面 を 代 表す る2次 元 画像 輪 郭 曲 線 から の特 徴抽 出に関 して効 果的な 被変換 関数 を提 案 し た。 加 え て 各 種の 処 理を 行っ た実粒 子に本 変換法 を適 用,そ の展開 理論の 有効性 を実 証し た。

  本 論 文 の 構 成 は, 基 礎 編 と 応用 編 ―I,1Iと の3編か ら な る 。Iが 解 析 法の直 接適用 ,Hは拡 張を 含む粒 子形状 デー夕 処理 法であ る。

  基礎 編は本 論文 での基 本的事 項を述 べたも ので5章か らな る。

  第1章では 形状解 析に あって 情報変 換の立 場から ,従 来の研 究経過 を述べ た。 その中 でこれ ま で代 表的変 換法の ーっと して 姐られているフーリ工変換法に注目した。通常のフ―リエ変換法(全 区間 型)を 用いた 粒子形 状解 析は粒 子輪郭 を表現 する 動径関 数,あ るいは 偏角関数を対象に行わ れて いる。 これら 被変換 関数 と変換 法に関 して幾 っか の研究 に言及 した。 しかしこの全区間型展 開法 は次に 述べる ような 問題 点を含 んでい る。す なわ ち対象 関数が 対称性 を示さない場合,正弦 と余 弦関数 の組合 せ,ま たは 正(余 )弦関 数と位 相角 の組合 せが必 要であ る。正弦関数も余弦関 数も 同一種 類の三 角関数 であ るが, 直接2っの 変換係 数の大小を比較出来ず,必ず異ナょった種類 の係 数が一 緒に存 在する 。同 様に正 ,余弦 関数の 合成 で得ら れる正 弦関数 と位相角を用いた解析 中, 位相角 を省略 するこ とは 一般には非対称である不規則形状を対称形状で近似することにナょる の で 最 後 の 手 段 で あ る 。 こ れ に 対 処 出 来 る 半 区 間 型 フ ー リ 工 変 換 を 述 べ た 。   第2章は半 区間型 フ― リ工変 換法に 関する 導式, 証明 ,正( 余)弦 変換係 数の 種々の 性質を 述 べた 。任意 の関数 (動径 ,偏 角関数 等)は ,正弦 関数 あるい は余弦 関数単 独で表現可能(半開区 間の 内変域 )でも あるし ,正 一余弦 関数の 組合せ も可 能であ る。し かし正 弦係数と余弦係数に含 まれ ている 小さな 係数の 個数 を数え た結果 ,正弦 係数 のほう が多い ことの 理由で正弦変換法を推 薦で きる。

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  第3章 では粒 子のモ デル 形状と して, 軸対称 平面 図形を とり, 正弦変 換した 結果 を述べ た。図 形は 正多角 形,星 型であ り, 角数と 正弦係 数の特 徴を調 べた 。

  第4章 では実 粒子の 篩分 で,篩 を通過 できた 粒子 の最大 径は同 一であ っても ,二 ,三次 元的粒 子寸 法を調 べると 大きく 異な る場合 が多い。従来の平均径使用では誤った結果になることを述ベ,

長短 度を考 慮した 指標の 必要 性を示 した。

  第5章 は,粒 子解析 に直 接かか わるこ とでは ない が,個 数の多 い収束 する数 列の 部分和 が最大 頁を 代表で きると する著 者等 の数学 的経験 則がフ ーリ工 変換 係数列 へも近 似的に 適用出来ること を述 べた。

  応用 編ーIでは ,モデ ル粒子 を想 定して ,これ を粉砕 し, 形と径 で分級し,表面を処理した 前後 の粒形 変化を 調べる 過程 を意図 した5章か らなる 。

  弗1,2章 では 異 形 粒 子 の角 を取 ると共 に, それ( 親)か らの破 砕粒 子形成 に注目 した。 成形 のた めに穏 やかな 粉砕の ボー ルミル を用い た。成 形の様 子は フ―リ エ係数 に基づ いて明瞭に追跡 出 来 た。 親粒子 が不 要の場 合はボ ールミ ルにか えて クラッ シャー が用い られ る。第2章 ではこ れ ら2種 の 粉砕 機を用 いて得 られ た細粒 子を 形 で 比較し ,細 粒子形 状での 共通性 を明 らかに し た。

  第3,4章 には 大 小 , 異 形粒 子混 合物の 篩に よる分 級整粒 を調べ た。 各章は 篩への 装填粒 子量 が 薄 層, 厚 層 の 場 合で あ る 。 薄層実 験にあ って第I編 ・第4章で 述べた 通り篩 を通 過した 粒子は 即同 一径で あると 判断す るの は誤っ た結論 になる 。篩分 は時 間経過 にっれ て,最 初は異形性の少 ない 粒子が 得られ ,後に 異形 性が強 くなる ことが 形状解 析か ら読み 取れる 。また 篩分速度にっい ても 検討し た。厚 層篩分 は分 級速度 の面か らは機 構の変 化を 示す特 徴点を 有す。 しかし粒子の 形 の分離 ではそ の有効 性が 薄かっ た。粒 径―粒 形分離 の点 からみ ると, 厚層で 粗く整粒した後 その 粒子を 薄層篩 分で粒 形分 離をす る必要 がある 。

  第5章 では粒 子の簡 単な 加熱変 形を追 跡した 。熱 変形は 対象試 料によ って, 表面 形状が 局部的 に変 わるも の,角 が丸く なっ たり, 膨張, 収縮等 ,形と 径の 両方に 変形が 表れて 来る。本章は熱 可 塑 性物 質の熱 変形 例を述 べた。 第2編を通 して, 粒子の 簡単 な二次 元像の フーリ 工変 換法が 有 効で あると の結論 を得た 。

  応用 編―且 はIと関連 する問 題と 今後の 問題を 含めて7章 からな る。

  第1章 は 粒 子形 状 の3次 的解 析で ある。 漁師 は細線 状,あ るいは 薄片 状でな ければ ,厚み を考 えね ばなら ない。 規則形 状で あるな ら問題は少ない。しかし通常は不規則形状が処理対象である。

本章 では従 来の薄 積層解 析に かえて ,粒子 をある 中心軸 に等 角度間 隔回転 毎得ら れる二次元投影

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像 を組合 せて 凸面固 体を近 似する 解析 を行っ た。そ のフー リ工変 換を 用いた解析によって固体の 表 面 積 や 体 積の 評 価 ,形 の3次元的 分類が 可能に なっ た。等 回転角 からの 像に 加えて ,1固体に 関 し最小 限三 画面の 像を解 析する こと で,目 的にか なった 知見の 得ら れることも示した。これは 固 体 ( 粒 子 ) の 体 積 , 面 積 変 化 を 伴 う 粉 砕 速 度 や 溶 解 速 度 解 析 へ の 適用 も 可 能 で ある 。   第2章は , 第1章 に引 続き 小粒子 表面の 凹凸が 強い 際の解 析であ る。表 面積の 直接 測定が 困難 な 粒子に っい て,濡 れ現象 の利用 ,お よび第1章 での画像情報からの体積評価を用いた解析を行つ た 。

  第3章 は, 数種の 小粒子 が共存 する画 像か ら粒子 を分別 する可 能性 にっい て論じ た。白 黒の二 値 画 像 を 用 いて の 分 別( 形の特 徴利用 )は 幾分暖 昧さを 含むが 大筋 で有効 である と結諭 した。

  第4章 は非 球形粒 子の充 填層の 通気特 性を 取り上 げた。 従来は 寸法 次元と して球 体積相 当径を 使 用して いた が,比 表面積 径が有 効で あるこ とを示 した。 本章で 体積 ,表面積は粒子が回転体に 近 いので 近似 的に数 学公式 を使用 した が,フ ーリ工 変換を 利用し た形 状解析処理法は一律処理が 可 能な利 点が ある。

  第5章 は粒 子表面 の改質 例に於 ける形 状複 雑化の 問題を 扱って いる 。動径 関数が 多価に なり解 析 出来な くな った際 ,代わ りに用 いる のは偏 角関数 とこの 関数の フー リ工変換である。ここでは 表 面改質 物質 の付着 量と形 状の関 連を 偏角法 で処理 した。 その過 程で 偏角関数に幾っかの問題点 の あるこ とを 追認し た。本 章でJまよ り良い 新し い手法 として 輪郭線 上の座 標x,yを関数 値とし て 順 次 検 出 す る 方 法 を 案 出 し た 。 内 容 的 に は 次 章 で 検 討 す る が 種 々 の 適 用 性 を 有 す 。   第6,7章 で は 前 章提 案 の 粒 子 輪 郭像 か ら の 遂 次座 標 値 検 出 によ るx,y―関 数のフ ーリ工 変 換 を考察 した 。両関 数は動 径関数,偏角関数と比較して関数値の上下変動は激しくない。曲線(関 数 )形状 は余 弦関数 ,正弦 関数と 似て いる。 これは 容易に 予想さ れる ように正弦関数類似の関数 の 正弦フ ーリ エ変換 は低周 波へ情報を集めるので,少ない係数で形状逆変換が可能になる。また,

フ ーリエ 係数 を用い 面積, 長短度 が相 関可能 である 。

  第8章 は粒 子形状 関連の 最近の 研究を 述べ 論文の 結びと した。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査

副 査 副 査 副 査

教 授    山 口 教授   佐久間 教授古市 教 授    小 平

賢 治 哲 郎 隆 三郎 紘 平

  最近の画像関係技術の進歩により,座標の読み取りもかってのX―Yレコーダーに比べて大幅 に高速化した。これにより従来定性的でしかなかった金属,合金をはじめ分散系複合材料,生物,

生体などあらゆる組織,構造の定量的な解析が可能になった。粉粒体にっいてはかねてから粒子 形状とその物性との間にナょんらかの相関があると予感されていたが,形状の指標化,特定化とそ のための一次データの測定の困難さゆえにながいこと拱手せざるをえなかった。また,形状解析 の多くが2次元画像にっいてであるのに対して,粉粒体の場合3次元立体にっいての諸元,表面 積,体積の予知予測を可能にする指標であることが要求される。粉砕,晶出などの処理を経た粉 体は本来 不定形,irregularといわれるように,各粒子とも異なり,しかもその1粒1粒の形状 を表示するにも多数の係数,定数が必要である。工学的利用を考えるとき,この数を可能な限り 少なくすること,いいかえれば形状情報を可能な限ルコンパクトに,濃縮して合む係数,定数で あることが望まれる。本研究は,これらの現状を背景に粒状体の形状とくにその特徴抽出を可能 にする定量的な指標化を考究し,これに要する係,定数および一次データの数を従来のほぼ半分 以下に滅らしうることを実証,さらに粒子の表面積,体積との相関を確認し,算出法を示した。

  本論文 は,基礎(理論)1,応用2各編の3編から成る。基礎編は,従来型の粒子形状指標を 概説し,フーリ工変換法の利用から改良,形状情報をコンパクトに含む係数群の導出までの経緯 にっいて述べている。固体粒子の2次元投影画像にっいて,その重心を原点とする極座標で輪郭 曲線を表わし,これを動径関数とよんでいる。従来型の手法では,この動径関数を全区間型フー リ工展開し,その正,余弦係数および位相角の値をもって形状諸元としている。そのために1個 の粒子形状にっいてすでに数十の定,係数値が必要となり,粉体を代表する多数の粒子にっいて となると膨大な数になり,実用に適さない。また,しばしば位相角の提示を省略した利用がみら れるが,この場合形状の対称,非対称を無視するだけでなく,逆変換による形状復元は全く無意 なものになる。本研究では,従来型の全区間型ではなく半区間型フ―リ工展開し,これにより位 相角のもつ形状情報が正,余弦係数に移ることに着目し,その省略が可能であることを証明した。

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さらに ,正, 余弦い ずれか 一方 の展開 係数で 十分な こと ,した がって 従来型 の半分程度の係数値 を用い る逆変 換で十 分形状 の復 元が可 能であ ること を確 認した 。その 他形状 指標としてここで提 案する 半区間 型フー リ工展 開係 数,と くに正 弦展開 係数 にっい ての諸 特性に っいて検討し,特徴 抽出の 手法, 粉体の 一次物 性と して平 均粒径 だけで は不 十分で ,少な くとも 長短度の考慮が必要 なこと などを 明らか にして いる 。

  応 用編Iは, 上述の 指標 が実際 に形状 の異同 を識別 する ,いい かえれ ばその 特徴 を抽出 する性 質を十 分具備 してい るか否 かを ,いく っかの 粉体操 作に 適用, 検討, 考察し た内容である。粉砕 過程で は,粒 径だけ でなく ,粒 子形状 も変化 するこ と, 粉砕機 によっ ては砕 製品の粒子形状が異 なるこ とを, この指 標を用 いて 確認している。また,回分式フルイ分けにおけるフルイ下の粒径,

粒形の 時間的 変化, また可 塑性 固体粒 子の加 熱によ る変 形過程 におけ る膨張 ,収縮や凸部の変化 などの 追跡に これを 適用し ,多 くの知 見を得 るとと もに ,粒子 形状の 変化過 程への一般的な適用 性を裏 づけて いる。

  応 用 編1Iは ,2次 元形 状 情報 ,指標 と表面 積,体 積な どの3次元 立体諸 量との 関係お よび凝 集 塊ナょ どのよ うに凹 部をも つ形 状の解析手法が主内容である。立体諸量にっいては,中心線のまわ りで輪 郭曲線 を回転 し,そ の回 転体か ら推定 する考 え方 をもと に諸量 と係数 間との相関関係を明 らかに し,算 出法を 示して いる 。凹部をもつ形状の回析には輪郭曲線―フーリ工展開法は不適で,

偏角関 数を用 いる方 法が提 案さ れてい るが, 一次デ ータ のばら っきが 避けら れず実用の可能性は うす い 。 本 研 究で は , 輪 郭曲線 をX,Y―座標 値とし て取 り込み ,これ にフ― リ工 展開法 を適用 する試 みを示 し,成 功して いる 。この 方法は とくに 凝集 体や結 晶粒な ど凹凸 をもつ粒子形状解析 に 突 破 口 を 開 く も の で , そ の 証 明 に 二 , 三 の 事 例 を 挙 げ , そ の 有 用 性 を 示 唆 し て いる 。   こ れを要 する に,著 者は粒 子の2次元 投影画 像,輪 郭曲 線にっ いて動 径関数 の半 区間型 フ‐リ 工変 換 お よ びX,Y一 座 標 値の利 用によ る形状 指標化 を試 み,そ の妥当 性を裏 づけ ている 。これ によっ て得た 知見お よび応 用の 可能性 は高く 評価す るこ とがで き,そ の意義 は大きく,よって博 士(工 学)の 学位を 授与さ れる 資格あ るもの と認め る。

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