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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 水 産 学 ) モ ハ メ ド ・ マ ハ ブ ブ ・ イ ク バ ル

     学位論文題名

TaxonomlCalandpathologiCalStudieS   Onmotile4 ピ〆〇ケ兜〇刀口 SSpeCleSiSOlated   fromfiShWithepiZOOtiCulCeratiVe SyndromeinSOutheaStASianCOuntrieS

(東 南ア ジア 諸国 の流 行性 潰瘍 病病 魚か ら分 離され た運動性   エ ロ モ ナ ス 属 細 菌 の 分 類 お よ び 病 原 性 に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

1970年 以 降 東 南 ア ジ ア 諸 国 に お い て 流行 性潰 瘍病(EUS)によ る養 殖魚 並び に野 生 魚の大 量斃 死が 発生 して 問題 にな って いる 。病 魚か らは 真菌類のAphanomyces sp.

および 運動 性Aeromonas spp.が高頻度に分離されているが,未だに原因菌が特定さ れ て い な い 。 さ ら に 分 離 さ れ たAeromonas属 細 菌 も 表 現 形 質 に よ る 同 定 でA.

hydrophila,A.  ca viaeおよびA. sobriaとされているが、分類学的に混乱した状態に ある。 そこ で本 研究 では 、マ レー シア 、タ イお よび バン グラデシュのEUS病魚から 分離 さ れ たAeromonas属 細 菌 にっ い て 、 従来 の表 現形質 によ る分 類に 加え 、DNA‑

DNA相 同 性 お よ び16S rDNAの 塩基 配 列 に 基づ く系 統解析 など の分 子生 物学 的手 法 によ る 分 類 を 試 み 、 さ ら に 同 定 し た 菌 群 代 表 菌 株 の 病 原 性に っ い て 検討 した 。 ま ず 第 一 章 で は 、EUSに 感 染 し た 養 殖 魚 か ら 分 離 さ れ た マ レ ― シ ア18株 、 タ イ 15株 お よ び バ ン グ ラ デ ッ シ ュ11株 の 計44株 と 対 照 菌 株 と し てAeromonas属 の 13 DNAハ イ ブ リ ダ イ ゼ ― シ ョ ン グ ル ー プ(HG)代 表 株14株 の 総 計58株 を 供試し た。 常法 に従 い形 態学 的、生理学的および生化学的性状41項目の表現形質を 検査し、その結果に基づいて対照菌株との比較により分離菌株の同定を行った。その 結果、分離菌株はすべてグルコースを嫌気的に分解する単極毛を有するグラム陰性桿 菌で、vibriostatic agent 0/129抵抗性であることからAeromonas属細菌に属する細

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菌 で あ る と 考 え ら れ た 。 分 離 菌44株 は 、26株 がA. hydrophila類 縁 菌 に 、12株 がA.  veronii biotype sobriaに、5株がA. janda畄に同定さ れた。残 りのタイ 分離 菌株1株(T8)はいずれの種にも属さなかった。

第 二 章 で は 、 分 離 菌 株 お よ びHG対 照 菌 株DNAのG+C mol% を 測 定 す る と と も に 前 章におい て分離菌 株が同定 されたそれぞれの種の対照株、A. hydrophila (HGl)、A.

轟ydrophila類 縁 種(HG2)、A. veroniibiotype sobria (HG8Y)お よ びA. janda畄 (HG9)DNAを フ ォ ト ビ オ チ ン 標 識 し て 各 分 離 菌 株 に 対 するDNA‑DNA相同 値 を 求め 、 前 章 で の 表 現 形 質 に よ る 分 類 結 果 と 比 較 検 討 し た 。 ま ず 、 分 離 菌 株 のDNAのG+C mol% は55 64% の 範 囲 で あ り 、 ほ ばAeromonas属 細 菌 のG十Cmol% の 範 疇 に 入 る 値 を 示し 、 前章 の 表 現形 質 によ る 分 類結 果 が 再確 認 され た 。DNA‑DNA相 同性の測 定 結 果 、前 章 でA. veroniibiotype sobriaに 同 定さ れ た12株 とA.landa訂に 同定さ れ た5株 はそ れぞれ当該 の種に同 定された が、A. hydrop轟iぬ に同定さ れた26株中 、 19株 がAゑyむ 〇 .m出 に 、5株 がA開M丘biotypes〇 ろrぬ に 、2株 がAカ 口 出 畄 に 同 定され、 前章での 分類結果 と異なり、 表現形質 のみでは 正確に分類し得ないことが 判 明した。また、HG2ば.ぬ,ydヤp血ぬ類縁種)に同定される菌株はなかった。なお、

前 章 で い ず れ の 種 に も 同 定 さ れ な か っ た1株 (T8) はDNA・DNA相同 性 か らも い ず れ の 種 にも 同定し得ず 新種の可 能性が示 唆された 。3菌種の 国別分布 をみると、 マレ ー シア分離 菌株18株は 、9株がHGl(A.あ,凪r〇pゐ丘a)に、7株がHG8Yば,開間口丘 biotypes〇6脚 に 、2株 がHG9仏 , カnぬ め に 同 定 さ れ た 。 タ イ 分 離 菌 株15株 は 、 10株 がHG1(4,轟ydrD.p丑Iぬ) に、4株がHG8Y(4.贈吼加 ガbiotypes〇ぬぬ)に同 定 さ れ たが 、 前記 の1株 ばem田 伽assp. ) は いず れ にも 同 定 され な かった 。また、

ノ く ン グラ デッシュ分 離菌株11株 は、6株がHG8Y(4.陀m口 丘biotypes〇ぬぬ )に、

  5株 がHG9(4, 出n出 めに 同 定 され た 。な お 、 タイ 分 離菌 株 に はHG9(A.カn出 め が 、 バ ング ラ デッ シ ュ 分離 菌 株に はHG1(A.轟 . 厄ppMぬ ) がみ ら れず、 国により 3菌 種の分布に特徴が見られた。同定されなかった1株を除いて、4.ゑ凪rD.pmぬ,A.   I管rDぬガbiotypes〇6也ミおよび4.カ口出畄の3菌種は、エスクリン分解性、酢酸塩利   用 性および シュクロ ース・サ リシンの分解性の4っの性状でほぼ識別し得ることが判   明した。

    −1231ー

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第三章で は、前章 で同定さ れた3菌種、A. hydrophilaのM29株とT20株 、A. veronii biotype sobriaのM16株 とBl株 、A. jandaeiのM34株 とBl0株 の6株 お よ び 未 同 定 のAeromonas sp. T8株 を 供 試 し て 、16S rDNAの塩 基 配列 に 基 づく 系 統解 析 を 行った。 その結果 、3菌種の 各2菌株間の16S rDNA遺伝子の相同性は、それぞれ100% で完 全 に 一致 し た。 さ ら に、 供 試菌 株 の16S rDNAの塩 基 配列とデ ータベ― スに登 録さ れ て いる 既 知のAeromonas属各菌 種49菌株の塩 基配列を 用いて系 統解析を 行つ た結果、 分離菌3菌 種はそれ ぞれの標準 株と99.9%の 相同性を示し同じクラスタ―を 形成した。なお、各クラスタ―間は有意に異なるものであった。T8株はA.  ca viae,4. troぬおよびA. enteropelogenesとそれぞれ99.9%,99.8%,99.9%の相同値を以って 同 じ ク ラ ス タ ― を 形 成 し た 。 な お 、T8株 は 前章 のDNA‑DNA相同 性 の結 果 か ら4. cawae,A.trotaと は 異 な る 菌 種 で あ る こ と が 判 明 し て い る が 、 今 後 、 A.

en terope′〇,鈩ぬ飴標準株とのDNハDNA相同性を調べ、新種であるか否かの検討を行 う必要がある。

第 四 章 で は 、前 章 で 供試 し た菌 株 の うち4. カndふ 釘 の1株B10株 をB2株 に替 え た 3菌 種6株 お よ び4em田 伽assp.T8株 の 計7株 を供 試 し、 水 温20℃ と25℃ にお け る 金魚に対 する病原 性を筋肉内接種法および浸漬法により検討した。筋肉内接種法での LD50は、20℃で は2x106.8〜6x108、25℃ では2.6x104,5〜1.2x108の範 囲にあ り 、4.カ 口 出 釘の1株M34株を 除 い ては25℃で のLD50が20℃ での そ れよ り も1〜2 オーダ― 低かった 。菌を接種した実験魚は、接種翌日には接種部位の膨隆、立鱗が、

2〜3日後に は脱鱗が 見られた 。また、死 亡魚は接 種部位付 近の筋肉 の融解, 筋肉内 出血 等 の 症状 が 見ら れ た 。こ れらの症 状はEUS自然 発症魚に 認められ る症状に 酷似 するものであった。浸漬法では同一菌種のうち筋肉内接種実験で病原性の強かった4. ゑ ル 畑p笳 ぬT20株 ,4. … 伽 ガbiotypes〇6門 江M16株 ,4. カnぬ 釘B2株 お よび 4伽 皿伽assp.T8株 を 供試 し て行っ た。供試魚 は数枚の 鱗を剥が しひとす じの傷を っけ、攻 撃菌量は 筋肉内接 種実験でのLD50値とほば 同じ量で 、20分間行 った。そ の 結 果 、25℃ で はT20株 ,M16株 ,B2株 で1〜2尾の 死 亡が 見 ら れた が 、T8株 では 死 亡魚はみ られず、20℃ではいずれの菌株にも死亡魚は見られなかった。しかし、鱗を

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剥がした部位は筋肉内接種したものと同様に膨隆、筋肉の融解、筋肉内出血等の症状 が見られた。なお、両法における死亡魚、瀕死状態の魚および観察終了時の生残魚の 腎臓から菌の再分離を行い、コロニーハイブリダイゼション法により攻撃に用いた菌 であることを確認した。

  以 上 、EUS感 染魚 から 分離 され たAeromonas属 細菌 の遺 伝子 レベ ルで の種決 定を 初 め て 行 う と 共 に 、 人 工 感 染 実 験 に よ り そ れ ら 分 離 菌 の 病原 性 を 確 認 し 、A.

轟ydrophila,A.  veronii biotype sobria,A. janda釘およびAeromonas sp. T8株が EUSの原因菌である可能性を示唆し得た。

(5)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

TaxonomlCalandpath010giCalStudieS   Onmotile4 ¢ケ旬ケ冗〇刀珊SpeCleSiSOlated   from 丘 ShWithepiZOOtiCulCeratiVe SyndromeinSOutheaStASianCOuntrieS

( 東南 アジ ア諸 国の 流行 性潰 瘍病病 魚か ら分 離さ れた運動性   エ ロ モ ナ ス 属 細 菌 の 分 類 お よ び 病 原 性 に 関 す る 研 究 )

  1970年 以 降 東 南ア ジ ア 諸 国 で 問 題 に なっ てい る流 行性 潰瘍 病(ESU)の 原因 菌は 未だ 特定 され てい ない 。病 魚か らは運動性Aeromonas spp.が高頻度に分離され、表 現形質による同定でA. hydrophila,A.  ca viaeおよびA. sobrりとされているが、分 類学 的に 混乱 した 状態 にあ る。 そこで 本研 究で は、 東南 アジ ア三国のESU病魚から 分離 され た4er〇m伽as属細 菌に っいて 、従 来の 表現 形質 によ る分類に加え、DNA・ DNA相 同 性 お よ び16SrDNAの 塩 基 配 列 に 基 づ く 系 統 解 析 な ど の 分 子 生物 学的 手法 による分類を試み、さらに同定した菌種代表菌株の病原性にっい、て検討したものであ る。特に評価される成果は以下のとうりである。

1.EUS感染 魚か ら分 離さ れた マレ ―シ ア18株、 タイ15株お よび バン グラ デッ シュ 11株 の 計44株 と 対 照 菌 株 と し て4emm伽as属13菌 種 代 表 株14株 の 総 計58株 を 供 試 し て41項 目の 表現 形質 を検 査し 、対 照菌 株と の比 較によ り分 離菌44株 の同 定を 行った。その結果、タイ分離菌株1株(T8)を除いて、26株を4.轟,州やp轟也!類縁 菌 に 、12株 を4, 陀rDぬ 丘biotypes〇6rj洒 に 、5株 を4. カn出dに 同 定 し た 。 2. 前記の同定菌種の対照株、4.めゼゃp血あ(ハイブリダイゼーショングル―プHG 1)、4.めdr〇p轟也ヨ類縁種(HG2)、4.開r〇ぬ丘biotypes〇ぬぬ(HG8Dおよぴ4. カndふ 訂 (HG9) の フ ォ ト ビ オ チ ン 標 識DNAと 各 分 離 菌 株DNA間 のDNA.DNA相 同 値を 求め 、表 現形 質に よる 同定 結果と比較検討した。DNA・DNA相同性の結果から、

先に4.他rDロ 丘biotypes〇 めね に同定した12株と4.カn出畄に同定した5株はそれ

1234

雄 守

良 徳

   

面 上

水 島

猪 吉

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(6)

ぞれ 当該 の種 に同定 され たが 、表 現形 質でA. hydrophilaに同 定さ れた26株中、19 株がA. hydrophilaに、5株がA. veronii biotype  sobr滔に、2株がAカぬ出釘に同 定され、表現形質のみでは正確に分類し得ないことを明らかにした。なお、表現形質 で い ず れの 種 に も 同 定 し 得な かっ た4口 りm〇ロassp.T8株 はDNA.DNA相 同性 から もいずれの種にも同定し得ず新種の可能性を示唆した。

3.3菌種の国別分布では、タイ分離菌株には4.カロdふ甜が、バングラデッシュ分離 菌 株 に は4, ゑ 触19pmぬ が み ら れ ず 、 国 に よ り3菌種 の 分 布 に 特 徴 が 見 ら れ た 。 4.4.め租ropゐ也a,4,贈門加丘biotypes〇6ガゑ4,出n出畄およびの4eずロ問〇nassp.

(T8)の4菌種は、エスクリン分解性、酢酸塩利用性およびシュクロース・サリシンの 分解性の4つの性状でほば識別し得ることを明らかにした。

5.同定した4菌種、4.血凪やp血ぬ、4,開r伽丘biotypes〇ぬぬおよび4,カn出甜か ら 各2株 ず っ と4師m伽assp.T8株 を 供 試 し て 、16SrDNAの 塩 基 配 列 に 基 づ く 系 統 解 析 を行 っ た 。 そ の 結 果 、3菌 種 の各2菌 株 間 の16SrDNAの塩 基配 列は 、そ れぞ れ 完 全 に 一 致 し た 。 さ ら に 、 供 試 菌 株 の16SrDNAの 塩 基 配 列 と 既 知 の4emm伽as 属各 菌種49菌 株の塩 基配 列を 用い て系 統解 析を 行っ た結 果、 分離 菌3菌 種はそれぞ れの標準株と99.9%の相同性を示し同じクラスタ―を形成することおよび各クラスタ ー間では有意に異なるものであることを明らかにした。さらにT8株は4,餾レぬe.4. 加ぬおよび4,釦絶rDpむ轡飢飴とそれぞれ99.9%,99.8%,99.9%の相同値を以って 同じクラスタ―に入るが、DNA‐DNA相同性の結果から4.飴 ̄ゴ.aら4.加ぬとは異な る菌種であることが判明している。今後、4.釦絶r叩e蛾屮ぬ館標準株との類縁性につ いて詳細な検討が必要であることを示した。

7.供 試菌 株の 病原性を知る目的で、3菌種6株および4er〇mD.口assp.T8株の計7株 を供 試し 、水 温20℃ と25℃に おけ る金 魚に 対する感染実験を筋肉内接種法および浸 漬 法 に よ り 行 っ た 。 筋 肉 内 接 種 法 で のLD50は 、20℃ で は2x10618〜6x108、25℃ で は2.6x104.5〜1.2x108の 範囲 にあ り、4. カぬぬ 釘の1株M34株 を除 いて は25

℃で のLD50が20℃で のそ れよ りも ト2オー ダ―低 かっ た。 死亡 魚は 接種 部位付近の 筋肉 の融 解, 筋肉内 出血 等の 症状 が見 られ 、こ れら の症 状はEUS自 然発 症魚の症状 に酷似するものであった。

8.筋 肉内 接種 実験で病原性の強かった4.ゑydヤp励ぬT20株,4.他r〇口ガbiotype s〇6門 渣M16株 ,4. カn出 餌B2株 お よび4emm伽assp.T8株 を供 試し 、数 枚の 鱗を 剰がしひとすじの傷をっけた供試魚について浸漬法による感染実験を実施した。その 結 果 、25℃ で はT20株,M16株 ,B2株 で1〜2尾 の 死亡 が 見 ら れ た が 、T8株 で は 死 亡魚はみられず、20℃ではいずれの菌株にも死亡魚は見られなかった。しかし、鱗を 剥がした部位は筋肉内接種したものと同様に膨隆、筋肉の融解、筋肉内出血等の症状 が見られた。なお、新たに開発したコロニ―ハイブリダイゼション法により両法にお ける死亡魚、瀕死魚および観察終了時の生残魚の腎臓からの再分離菌が攻撃に用いた 菌株であることを確認し、感染実験の結果は供試菌株が病原性を有することを示唆す るものであった。

(7)

    以上の成果は、EUS感染魚から分離されたAeromonas属細菌の遺伝子レベルで の種決定を初めて行い、それら分離菌がEUSの原因菌である可能性を示唆し、本病 の原因解明並びに予防対策に有益な知見を加えるのみならず、水産学に貢献するとこ ろ大であることから、審査員一同は本研究の申請者が博士(水産学)の学位を授与さ れる十分な資格を有すると判定した。

参照

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