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博 士 ( 医 学 ) 皆 川 英 彦

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 皆 川 英 彦

学 位 論 文 題 名

Prefabricated flap に お け る 静 脈 還 流 に 関 す る 実験 的 研 究 学 位 論文 内 容 の 要旨

    研究目的

  Prefabricated flapは,採取予定組織に血管柄を移植し,新たな血管系を作 成後,皮弁 として移植する方法で ある.血管柄に筋肉を付けて移植し,prefabricated flapを作成す る方法を臨床で用い, これまでにない薄い皮弁や,骨・軟骨などの組織を含ん だ皮弁を作 成し臨床応用してきた .しかし,本皮弁を遊離皮弁として用いた場合,血管柄 の先端の筋 体が小さい時や,血管 柄移植後皮弁移動までの期間が短い時などに,血管柄か らの静脈還 流量が少なく,皮弁の 血行が不安定な例を経験した.本皮弁のより安定した血 行状態を得 るため,還流静脈とし て既存の静脈系を併用することの可能性を検討する目的 で本実験を おこなった・

    実験材料と方法 1.実験モデルの作成

1)prefabricated flapの作成

  300gのウイスターラ ット雄70匹を用いた.エーテル導入麻酔後,ケタミン腹 腔内投与し た.右下肢の伏在動静 脈に下腿筋の一部を付着させた血管柄を挙上し,腹部正 中の肉様膜 下に移植し縫合固定し た・

2)皮弁の挙上(prefabricated flapの作成3週後)

  温存 静脈 の位 置・ 本数 の異 なる7グル ープ (1グループ各10匹)に分け, 腹部にsox 70 mmの皮弁を挙上した.

対照群;グループI:血管柄静脈(伏在静脈)

血管柄静脈に加えて既 存の静脈を1本温存した群;

    グループII:血管 柄静脈十同側外側腹壁静脈     グループIII:血管柄静脈十対側外側腹壁静脈     グループIV:血管 柄静脈十同側浅腹壁静脈     グループV:血管柄静脈十対側浅腹壁静脈 血管柄静脈に加えて既 存の静脈を4本温存した群;

    グ ル ー プVI: 血 管 柄 静 脈 十 両 側 外 側 腹 壁 静 脈 十 両 側 浅 腹 壁 静 脈 血管柄静脈を切断し既 存の静脈を4本温存した群;

    グループW:両側外側腹壁静脈十両側浅腹壁静 脈 2.皮弁生着に関する評価(皮弁挙上1週後)

1)皮弁の生着面積ならびに生着率の測定と生着域 の部位的特性

  生存面積は,透明プ ラスチックフィルムにトレースした後,Logitec DIGITAIZER MYPAD ーA3,IdODEL K510(KANTO DENSHI CORPORATION製)で,計測した.生着率は,生着面積/壊 死十晦開十生蕃面積と して算定した.各グループ間の生着面積・生着率の有意 差検定は,

llrilcoxori法を用い,pく0.05を有意とした.

2)微小血管造影

  皮弁外周囲2〜  4cmの皮膚を皮弁とともに血管柄を残して挙上した後,手術用顕微鏡下に

‑ 106

(2)

血管柄の伏在動脈に30Gのカニューレを挿入し,

した30Xパリウムと5Xゼラチンを注入し造影し,

外の血行は皮弁から還流したものに限られる.

    結果

ヘパリン加生食にて洗浄,40〜50C'に加温 SOFTEXにて撮影した.この方法では,皮弁

1)皮弁の生I域と生着率

  平 均生f面 積は , グル ープI:848. 52112,グ ループII:919.87u2,グル ープm:1211

. 58112,グループIV:13 81.  18112,グループV:969.34u2,グループVI:1683.44112,グ ル ープVI:1646.T2112で あった.rrilcoxonの検定により,グループIとグループ1V,VI, 彊 ,グルー プnと グルー プIV,VI,VI,グルー プIVとグ ループV.グル ープVとグル ープVI の間に有意差が認められた.

  平 均生I率は,グ ループI:46.53X, グループl:50. 3316,グルー プm:64.18S,グル ープIV:68.2gX,グループV:51.T5X,グループVI:7|.20X,グループ彊:78.08Sであっ た.グループ閏の有意差は生着面積とほぼ同様であった.

2)微小血管造影

  全 てのグル ープで ,移植し た血管柄 の動脈 から筋体 が描出され,筋体の周囲に豊富な新 生 血管網が 観察され た,グ ループIでは ,移植血 奮柄から の新生 血書を経 て,皮 弁内の生 存 域の皮下 血管網が 造影さ れたが, 多くは 皮弁外ま で静脈の還漉が起こらず,皮弁外の皮 下 血 管 網は 描 出 され な か った . グ ルー プH,m,IV,V,では ,皮弁内 の血奮 網はよく 描 出 され,温 存した既 存の静 脈に還流 してい る所見が 得られ た.創岱 治1の 完了し た皮弁毎 を 通じて, 皮弁外に も血管 網が描出 された .グルー プVI,VIでは,皮弁内の生存域の血管 網 はよく描 出され| 温存し た4本の静脈に疋流している所見が得られた.温存した皮下静脈 お よ び 創 傷 治 癒 の 完 了 し た 皮 弁 釁 を 通 じ て , 皮 弁 外 の 血 管 網 が 広 く 描 出 さ れ た ・     考婁

  本 実験ではpretabricateされた 皮弁の 生着面積 は848.52uzであっ た(グ ループI).し か し,還流 静脈を増 やすこ とで皮弁 の生I域を拡 大するこ とがで きた.と くに, 血蓄柄と 同 側の浅腹 童静脈を 残した グループIで は生着域 が1381.l8112で,対照群の生着域と比較 し て 有 意な 差 を もっ て生 着域が増 加した .還流静 脈を4本温存 した群( グルー プVI)で は 生 存域が1683. 44u2で,着明 に生I城が増 加した. これら のことか ら還流 する静脈 の数を 増やすことは皮弁の生着域の拡大に直接関与するものと考える.

  土 井らは血 管柄移 植時にお ける静脈 の童要 性を指摘 しており,pretabricated flap作成 初 期の血蓄 柄静脈の 存在は ,移植血管と皮弁間の創傷治1の点で童要な要因と考えられる.

し かし,皮 弁挙上時 に,血 管柄の静 脈を切 断しない 群(グ ループVI)と血管 柄の静 脈を切 し た群(グ ループVI)では ,生着域 に有意 差が認め られな いことか ら,皮弁 挙上時 に既存 の 還 流 静脈 が 存 在す れ ぱ ,血 蓄 柄 の静 脈 は 皮弁 の 生 着に 必 須 で はな い と 考えら れた・

    詰語

  prefabricated flapのより安 定した 血行状態 を得る ため,還沌静脈として既存の静脈系 を 用いるこ との可能 性を検 射した.温存する還流静脈の数を増やすことで本皮弁の生I域を 拡 大させる ことがで きた. また,本皮弁を遊I皮弁として用いる時には移植血蓄柄の静脈を 吻 合血管と して利用 せず, 既存静脈 を吻合 静脈とし て利用することも可能と考えられた.

prefabricated flapにおいて も,静 脈還流は たいへ んi要 で,安全 な移植 には必須 の要因 であることが確認された.

‑ 107―.

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Prefabricated flap に おける 静脈還流 に関する実験的研究

I.研究目的

  Prefabricated flapのより安定した血行状態を得るため、還流静脈と して既存の静脈系の 併用の可能性を 検討する目的で本実験をおこなった。

H.実験材料と方法 1.実験モデルの作成

1)prefabricated flapの 作成:300gのウイスターラット雄70匹を用い た。エーテル導入麻 酔後、ケタミン 腹腔内投与した。右下肢の伏在動静脈に下腿筋のー部を 付着させた血管柄を 腹部正中の肉様 膜下に移植し縫合固定した。

2)皮弁の挙上(prefabricated flapの作成3週後):下記のように、温 存静脈の位置・本数 なる7グループに分け、腹部にsox70mmの皮弁を挙上した。

  対照群;グル ープI:血管柄静脈(伏在静 脈)

  血管柄静脈に 加えて既存の静脈を1本温存 した群;

    グル―プH:血管柄静脈十同側外側腹壁 静脈     グループIII:血管柄静脈十対側外側腹 壁静脈     グル―プ1V:血管柄静脈十同側浅腹壁静脈     グループV:血管柄静脈十対側浅腹壁静脈

  血管柄静脈に 加えて既存の静脈を4本温存 した群;

    グループW:血管柄静脈十両側外側腹壁 静脈十両側浅腹壁静脈   血管柄静脈を 切断し既存の静脈を4本温存 した群;

    グループW:両側外側腹壁静脈十両側浅 腹壁静脈 2.皮弁生着に関する評価(皮弁挙上1週後)

1)皮弁の生着面積ならびに生着率の測定

  生存 面積 は、 透明 プラ スチ ッ クフ アル ムに トレ ースし計測した。生 着率は、生着面積/

壊死十吟開十生 着面積として算定した。Xrilcoxori法を用いて検定し、pく0.05を有意差あり とした。

2)微小血管造影

  皮弁外周囲2〜  4cmの皮膚を皮弁とともに血管柄を残して挙上した後、手術用顕微鏡下に血 管柄動脈に30Gのカニューレを挿入し造影し た。

108

秀 夫

武 慶

田 山

大 安

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

m.結果

1)皮弁の生着域と生着率

  平均生着面積は、グループI: 848. 52mm2、n: 919. 87mm2、m: 1211. 58mm2、1V:13 81.l 8mrri2、V: 969. 34mmz、VI:1683. 44mm2、VlI:1646. 72mm2であった。グループIとグループ IV、VI、W、 グ ル ー プHと グ ル ー プ1V、VI、W、 グ ル ー プ1と グ ル ー プV、 グ ルー プVと グ ループWの間に有意差が認められた。

  平均生着率は、グループI: 46. 53X,、II:50. 33%、III:64. 482;、1V:68. 29%、V:51. 75%

VI:74. 20%、W:78. 08%であった。グル ープ間の有意差tま生着面積 とほば同様であった。

Z)微小血管造影

  全てのグル ープで、移植した血管柄の動脈から筋体が描出され、筋 体の周囲に豊富な新生 血管 網が 観察 され た。 グル ープIでは、移植血管柄からの新生血管を 経て、皮弁内の生着域 の皮下血管網 が造影されたが、多くは皮弁外までの静脈還流が起こら ず、皮弁外の皮下血管 は 描 出 さ れ な か っ た 。グ ルー プn、m、I、Vでは 、皮 弁内 の血 管網 はよ く 描出 され 、温 存 した既存静脈 に還流している所見が得られた。創傷治癒の完了した皮 弁縁を通して皮弁外も 血管 網が 描出 され た。 グル ープVI、Wでは、皮弁内の生存域の血管網 はよく描出され、温存 した4本 の静 脈に 還流 し てい る所見が得られた。温存した皮下静脈と 創傷治癒の完了した皮 弁縁を通じて、皮弁外の血管網が広く描出された。

1.考察および結諭

  本実験では 、還流静脈を増やすことで皮弁の生着域を拡大すること ができた。特に、血管 柄と同側の浅 腹壁静脈を残したグループIVでは、対照群と比較して有 意差をもって生着域が が増加した。還流静脈を、4本温存した群では、著明に生着域が増加した。還流静脈数の増加 は皮弁の生着域の拡大に直接関与するものと考えられた。

  prefabricated flap作成 初期 の血 管柄 静脈 の存 在 は、移植血管と 皮弁間の創傷治癒の観 点から重要な 要因と考えられている。しかし、皮弁挙上時には、血管 柄の静脈を切断しない 群と切断した 群では、生着域に差が認められなかったことから、皮弁 挙上時に既存の還流静 脈が存在すれ ぱ、血管柄の静脈は皮弁の生着に必須ではないと考えら れた。したがって、本 皮弁を遊離皮弁として用いる時には吻合血管として、移植血管柄の静脈ではナょく、既存静脈 を使用することが可能であることが、示唆された。

  本 研究 は、prefabricated flapを 臨床 的に 安全 に 移植するために 既存の静脈を利用する ことが可能で あることを証明した独創的研究である。以上のことから 、博士(医学)学位に 妥当なものと判断される。

109 ‑

参照

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