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シロイヌナズナ・シスタチオニンァ―シンターゼ遺伝子の 新生ベプチドと

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Academic year: 2021

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博 士 ( 生 命 科 学 ) 尾 上 典 之

学 位 論 文 題 名

シロイヌナズナ・シスタチオニンァ―シンターゼ遺伝子の 新生ベプチドとSAIVI による

りボソームの翻訳アレスト機構の研究 学 位論文内容の要旨

  反 芻 動 物 を 除 く 哺 乳 類 で は ,20種 類 の ア ミ ノ 酸 の う ち9種 類 が 必 須 ア ミ ノ 酸 で あ り , こ の う ち メ チ オ ニ ン は 唯 一 の 含 硫 ア ミ ノ 酸 で あ る . し た が っ て , 植 物お よ ぴ 微 生 物 に よ っ て 合 成 さ れ る メ チ オ ニ ン に 依 存 せ ざ る を 得 な い . 一 方 , メ チオ ニ ン は タ ン パ ク 質 の 構 成 成 分 の み な ら ず , 生 体 内 で 様 々 な 役 割 を 果 た すS‑ア デノ シ ル メ チ オ ニ ン (SAM) の 前 駆 体 で も あ る ,SAMはDNA,RNAお よ び ヒ ス ト ン を 始 め と す る タ ン パ ク 質 を メ チ ル 化 す る 際 に , メ チ ル 基 供 与 反 応 の 主 要 な ドナ ー と な る 他 , 植 物 で は エ チ レ ン 生 合 成 の 前 駆 体 と し て 重 要 な 化 合 物 で あ る .   高 等 植 物 に お い て , メ チ オ ニ ン の 生 合 成 の 鍵 と な る 段 階 を 触 媒 す る 酵 素 は シス タ チ オ ニ ンg. シ ン タ ー ゼ (CGS) で あ る , シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ に お い て ,CGSを コ ー ド す るCGS1薄 伝 子 の 発 現 は , メ チ オ ニ ン の 代 謝 産 物 で あ るSAMに よ っ て , mRNA分 解 段 階 で 負 の フ イ ー ド バ ッ ク 制 御 を 受 け て い る .SAMが 過 剰 に 存 在 す る 条 件 下 で は ,CGSlmRNAの 分 解 が 促 進 さ れ る . こ のmRNA分 解 に 先 立 っ て , CGSlmRNAを 翻 訳 中 の り ポ ソ ー ム が 翻 訳 伸 長 を 一 時 停 止 す る ( 翻 訳 ア レ ス ト ) こ と が こ れ ま で に 明 ら か と な っ て い る が , 翻 訳 ア レ ス ト が ど の よ う に 引 き 起 こさ れ る か は 分 か っ て い な い , 本 研 究 は こ の ア レ ス ト 機 構 の 解 明 を 目 的 と し ,CGS1 新 生 ペ プ チ ド , ア レ ス ト し た り ポ ソ ー ム お よ びSAMの 作 用 機 構 を 解 析 し た ,   翻 訳 ア レ ス ト に はCGS1第1エ キ ソ ン 内 に コ ー ド さ れ るMT01領 域 の ア ミ ノ 酸 配 列 が 重 要 で あ り ,MT01領 域 の 翻 訳 直 後 に ア レ ス ト す る こ と か ら , 翻 訳 さ れ たMT01領 域 は ア レ ス ト 時 に り ボ ソ ー ム 出 口 ト ン ネ ル 内 に 存 在 す る と 考 え ら れ る , 出 口 ト ン ネ ル は り ボ ソ ー ム 大 サ ブ ユ ニ ッ ト を 貫 通 す る 構 造 で あ り , 翻 訳 伸長 中 で あ る 新 生 ペ プ チ ド の 通 り 道 で あ る . 本 解 析 で は , 翻 訳 ア レ ス ト 時 にMT01 領 域 を 含 むCGS1新 生 ペ プ チ ド が ,SAMに 応 答 し て 出 口 ト ン ネ ル 内 で コ ン フ オ メ ー シ ョ ン 変 化 を 生 じ る と い う 仮 説 を 立 て , こ れ を ペ ジ レ ー シ ョ ン ア ッ セ イ によ り 検 証 し た , そ の 結 果 ,CGS1制 御 の エ フ ェ ク タ ー で あ るSAMに 応 答 し て ,CGS1     ‑ 1454−

(2)

新生ペプチドが収縮構造をとることを本研究で明らかにした,さらに,CGS1 の 制御を 損なわせる アミノ酸置 換である m め j 変異を MT01 領域に導入すると,

SAM に応答した収縮が損なわれた,また,アレストしたりポソームの 28S rRNA に対して,メチレーションプロテクションアッセイとUV クロスリンク解析をお こなったところ,新生ペプチドの収縮と関連して,出口トンネル内壁を構成する rRNA のメチレーションプロテクションと UV クロスリンクパターンに特異的な 変化が 生じること を明らかにした,以上の結果は,SAM に応答して MT01 領域 は新生ペプチドが収縮構造をとるように誘導し,新生ペプチドと出口トンネル内 壁との相互作用の変化を引き起こすことで,CGS1 の制御における翻訳アレスト に関与することを示唆するものである,

   また,MT01 領域と近接する因子を探索するために,新生ペプチド中にクロス リンク能をもつアミノ酸を導入して,近接する因子の解析をおこなったところ,

22 kDa のタン パク質因子 (おそらく りボソーム タンパク質L17) と MT01 領域 が近接していることが示唆された.きらに,リボソームタンパク質L4 に変異を 導入した形質転換シロイヌナズナにおいて,CGS1 の制御に影響が生じることを 明らかにした.リボソームタンパク質L17 とL4 はりポソーム出口トンネルにお いて最も狭くなっている狭窄部位を構成することから,この部位が翻訳アレスト に関与することが示唆された,

   以上,本研究の結果より,CGS1 の制御における翻訳アレストの際に,リボソ

ーム出 口トンネル 内でCGS1 新生ペプチドがSAM に応答して収縮し,新生ペプ

チドと出口トンネル内壁との相互作用が変化するというモデルを提唱する.また

その際 に,出口ト ンネル狭窄 部位が関与 するモデルも合わせて提唱する.

(3)

学位論文 審査の要旨

学 位 論 文 題 名

シロイヌナズナ・シスタチオニンァ―シンターゼ遺伝子の 新生ベプチドとSAIVI による

りボソームの翻訳アレスト機構の研究

  シ スタ チオニンv―シンターゼ(CGS)は,高等植物におけるメチオニン生 合成の鍵段階を 触媒する。メチオニンはタンパク質の構 成成分であるのみならず,生体内で様々な反応に関 与す るPア デノ シル メチ オニ ン(SAM)の前駆体 である。SAMは,ほとんどの メチル化反応で メチル基供与体となる他,ポリアミン合 成,さらに植物ではエチレン合成にも関与する重要 な化 合物 である。 シロイヌナズナにおいて,CGSをコードするCGS1遺伝子の発現は,SAMに 応答した翻訳伸長の一時停止(翻訳アレ スト)と共役したmRNA分解によって負のフイードバ ック制御を受ける。本論文は,この翻訳 アレストの分子機構を明らかにする目的で行った研 究をまとめたものである。

  翻 訳ア レス トに はCGS1第1エキ ソン 内にコードされるMT01領域のアミノ 酸配列が重要で あり,MT01領域の翻訳直後に翻訳アレス トが起こる。従って,翻訳されたMT01領域は翻訳ア レスト時にりボソーム出口トンネル 内に存在すると考えられる。出口トンネルはりボソーム 大サブユニットを貫通する構造であり, 翻訳伸長中の新生ペプチドの通り道である。本論文 では,まず,翻訳アレスト時にMT01領域 を含むCGS1新生ペプチドが,SAMに応答して出口ト ンネル内でコンフォメーション変化を生 じるという仮説を立て,これをペジレーションアッ セイ法を用.いて検証している。ベジレーションアッセイ法は,ポリエチレングリコール・マ レイミド(PEG―MAL)と新生ペプチド中のシステイン残基との反応効率を解析するものである。

その結果,CGS1新生ペプチドがSAMに応答して収縮構造をとることを 明らかにし,この応答 にMT01領域の機能が密接に関与することを示した。また,翻訳アレストしたりポソームの28S rRNAについて,メチレーションプロテク ションアッセイ法とUVクロスリンク法による解析を 行い,新生ペプチドの収縮と関連して, 出口トンネル内壁を構成するrRNAのコンフオメーシ ヨン,もしくはrRNAと新生ベプチドの位置関係に特異的な変化が生じることを明らかにした。

  さ らに ,新 生ペ プチ ド のMT01領 域とりポソ ームタンパク質L17と考えら れる22 kDaのタ ンパク質因子が近接していること,また りボソームタンパク質L4に変異を導入した形質転換 シロイヌナズナにおいて,CGS1の制御に 影響が生じることを示した。リボソームタンパク質

1456

二 之

   

   

淳 敦

藤 口

内 山

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

L17とL4はりボソーム出口トンネルにおいて最 も狭くなっている狭窄部位を構成することか ら,この部位が翻 訳アレストに関与することが示唆された。

  以上の結果をも とに,CGS1の翻訳アレストの際に,リボソーム出口トンネル内でCGS1新生 ペプチドがSAMに応答して収縮し,新生ペプチ ドと出口トンネル内壁との相互作用が変化す るというモデルを 提唱している。

  これを要するに ,著者は,新生ペプチドが細胞内低分子化合物に応答して翻訳伸長を停止 させる分子機構に 関して新知見を得たものであり,リポソームの持っ未知機能の解明に貢献 するところ大なる ものがある。

  よって著者は, 北海道大学博士(生命科学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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