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鉄 道 盛 土 に お け る の り 面 被 覆 が 盛 土 崩 壊 に 及 ぼ す 効 果

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(1)

降雨時の鉄道斜面災害防止のための危険度評価手法 に関する研究

著者 杉山 友康

学位授与大学 東洋大学

取得学位 博士

学位の分野 工学

報告番号 乙第100号

学位授与年月日 1997‑03‑10

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00000135/

(2)

第5 章

5

鉄 道 盛 土 に お け る の り 面 被 覆 が 盛 土 崩 壊 に 及 ぼ す 効 果

目 的 と 概 要

第4 章 で 提案 し た盛 土 の危 険度 評 価 基準 は, のり面 に防 災対 策工 が 施工 さ れてい な い無 防 護 の り面 に対 す る もので あ っ た。 鉄 道 沿線で は, 危 険 個 所 に対 して 優先 順 位 を 決定 し た 上 で崩 壊 防 止 の た め に事 前 に防 護対 策 が施 工 さ れるこ とが多 く, こ の よう に 対策 が 施工 さ れ た箇 所 で の耐 雨 性 の向 上 効果 は明 ら かで は ない 。 そこ で, 本 章で は盛 土の り面 に施 工 さ れる対 策工 に 関 して, 特 にの り面 が 被覆 さ れ るこ と に よっ てこ こ か らの 雨水 が 遮 水 さ れるこ とに よ る耐 雨性 効 果 につい て検 討 する。

降 雨 に よる 斜 面崩 壊 を防 止 する には, ① 原 因 とな る雨 水 を斜 面 内 に浸 透 させ な い対 策, ② 浸 透 し た 間 隙水 を 斜 面外 へ 消 散 させ る対 策, ③ 斜 面 の変 形, 崩壊 を抑 止 す る力 学的 な対 策, が あ げ ら れる。 し か し, 既 設 構 造物 であ る 古い 斜 面 の崩壊 防 止 の た め の のり 面 防 護工 は, 鉄 道 の 新線 建 設 の 際 に利 用 さ れる 設計 基準 [5  ‑  1 ] を 参考 に して 施工 さ れるこ とが多 い 。 こ の設計 基準 に示 さ れる 防護 工 は, 斜 面 表面 を流 下 す る水 に 対し て抵 抗 する 浸 食 崩壊 防止 を目 的 とし てい るこ とが多 い。 ま た, い ず れの工 法 に対 して もそ の定 量 的 な 効果 は示 さ れてい ない 。 こ こ で, コ ン クリ ート 張 ブロ ッ クエ ( 以 下張ブ ロ ッ クエ とい う ) につい て は, 表 面 の 浸 食に対 する 抵抗 力 や力 学 的 な抵 抗 力 を 高める 目 的 で 施工 さ れる が, の り 面 を被 覆 す る とい う 意味 で は① の雨水 を 斜面 内 に浸 透させ ない , とい う 目 的 で も効 果 が 期 待 さ れる。 こ れは, 斜面 崩壊 に対 し て直接 力 学 的 に抵 抗 す る も ので は な く, 斜 面 内 へ の 雨水 浸 透量 を減 らす こ と に より崩 壊 を「 遅 ら せ」 て, 結果 とし て 崩壊 まで の限 界 雨量 を 高 める こ とで あ る。

本 章 で は, 鉄 道盛 土 で 多 く採 用 さ れてい る張ブ ロ ッ ク工 法 に代 表 さ れる よう な, の り面 被 覆 に よる 雨水 浸 透 抑 制効 果 に着 目し た防護 工 の耐 雨性 効果 を定 量化 する。 本章 で論じ る研 究 の 流 れ を図5. 1に示 す。

まず, 5 . 2で 鉄 道 の 実 盛土 で 降 雨量 と 間 隙水 圧 を調 査し, 降 雨時 の盛土 内 水 位 の 変動 を確 認 し, こ の水 位 変動 と安 全率 の変 動 を調べ, 水位 変 動 と安 全率 は大 きく 関連 し てい る こ と を明 ら か に す る。 次い で,5.3 で 模型 盛 土 の散 水 実験 に よっ て のり 面 が 被覆 さ れた盛 土 と無 被 覆 の盛 土 につい て そ の耐 雨性 の相違 を確 認 する。 さら に,5.4

で は 実 際 の現 場 に施 工 さ れる張 ブロ ッ クに対 し て, の り面 で の雨水 遮 水性 を 室内 お よび現 場 散 水 実 験 に よっ て 明 ら か にす る。 こ れら の結 果 を基 に飽 和・ 不 飽和 浸 透流 解

(3)

析 を実 行 して , のり 面被 覆 に よる 盛 土 の耐 雨性 向 上効 果 を定 量 化 す る。

以 上 の 結果 に より, 第4 章で 提 案 し た盛 土 の危 険度 評 価手 法 に対 し て, 鉄 道 で 多 く 採 用さ れる張 ブロ ッ クエ 施 工 に よる評 価基準 を明 確 にし て, 施 工 後 の耐 雨 性向 上 効果 につい て無 施 工盛 土 に対 す る 補正 値 を提案 す る。

5.2.1 実 盛 土 で の降 雨 に よ る 盛 土内 水 圧 変動 の 調査

5.2.2 〜5.2.4

降雨に伴う盛土の 安定性の検討

5.3

小型模型盛土散水実験に よる のり面被覆の耐雨性効果の確認

5.4 ]ンクリート張ブロックの雨水

遮水性の定量化

白 白]

現場散水実験(5.4.2)

̲ 二 旦

飽和・不飽和浸透流解析 によ るのり面被覆の耐雨 性向上効 果の定量化

図5.  1  第5 章 盛 土 の り 面 被 覆 の 耐 雨 性 向 上 効 果 に 関 す る 検 討 フ ロ ー

5 2  鉄 道 盛 土 の 水 圧 変 動 と 降 雨 時 の 安 定 性

安 定 し てい る盛 土 が 雨水 浸 透 に よっ て崩壊 する 原因 は, 雨 水 が 盛 土 内 に浸 透し, 土 の含 水 量 が増 大 する こ と に よっ て 土塊 重 量 が増 大し, 滑動 モ ーメ ント が大 き く なる と と もに, せ ん断 強 さが低 下し て 滑 り やす く なるこ とが 一つ とし て あ げ ら れる。 さら に,

降雨 が長 く続 く と浸 透水 が盛 土 内 の自由 水面 に到 達 して そ れを上 昇 させ, 盛 土 内 の間 隙水 圧 が上 昇 する こ とに よ り, さら に滑 りが 助長 さ れる よう に な る と 考 えら れる。

し かし, 実際 の 崩壊 の現 場 で は計 器に よる計 測 が 行 われてい ない の が普 通 であ り,

現在 で も盛 土内 の 水圧 の変 動 特性 と崩壊 との かか わり の実 態 は明 ら かで は ない。 こ れ まで に 久楽[5 −2 ] が実 物 大 の模 型盛 土 に よる散 水 実験 の計 測 デ ー タから のり 面 の 安 定性 につい て 検 討し た報 告 があ る 程度 であ る。

そこ で, 本 節 で は 降 雨 の浸 透 とそ れに よる 盛 土内 の水 位上 昇 の関 連 を明 ら か に する とと も に, 土 の強 度 変 化 の過 程 を考 慮 し た安 定 解析 を実 施し, 降 雨と 盛土 の安 定 性 と の関 連を 明 ら か に す る[5 −3 ]。 盛 土内 の間 隙水 圧が 降 雨時 に 大 きく支 配 さ れて 変 動 する こ とが 明 確 に な り, こ の 間 隙水 圧 の変 動( 降 雨 によ る上 昇 )を のり 面 被 覆 を 行 うこ と に よっ て 抑 制 す るこ とがで きる なら ば, 盛 土 の安 定 に対 し て耐 雨性 効 果 が 期待 で き るこ と に なる。

5 2 1 既 設 盛 土 に お け る 間 隙 水 圧 ・ サ ク シ ョ ン の 計 測

)  調 査 箇 所 と 調 査 概 要

調 査 盛 土 は , 第 三 セ ク タ ー 伊 勢 鉄 道 鈴 鹿 サ ー キ ッ ト 稲 生 駅 ・ 中 瀬 古 駅 間14kni500m 付 近 に 位 置 し ,1988 年7 月15 日 , 三 重 県 中 北 部 を 襲 っ た 集 中 豪 雨 に よ る 盛 土 崩 壊 箇 所

(2  .    2 .    3    (1  ) 代 表 的 災 害 例 参 照 ) の300m 起 点 方 に 位 置 す る 。 地 形 的 に は 中 の 川 の 沖 積 低 地 に あ り , 周 辺 は 水 田 と し て 利 用 さ れ て い る 。 間 隙 水 圧 等 の 計 測 を 開 始 す る にあ た り , 盛 土 内 の 土 層 構 造 お よ び 基 礎 地 盤 を ボ ーリ ン グ( 盛 土 の り 肩 , 盛 土 中 心 で 実 施 ) , 簡 易 動 的 コ ー ン 貫 入 試 験 機 を 使 用 し た サ ウ ン デ ィ ン グ, 採 取 試 料 の 室 内 土 質 試験 に よ っ て 確 認 し た 。 盛 土 下 の 地 盤 は シ ルト , あ る い は シ ルト 質 砂 で あ り ,N 値 が2

〜4 と 軟 弱 で , 地 下 水 位 は 周 辺 地 盤 の 地 表 面 付 近 に あ る 。 図5.2 に は 調 査 ・ 試 験 結 果 か ら 推 定 し た 盛 土 の 土 層 構 造 と サ ウ ン デ ィ ン グ 結 果 , の り 肩 部 の ボ ー リ ン グ 柱 状 図 を 示 す 。 こ れ に よ る と , 盛 土 上 部 は 砂 質 土 ( S V ) が 主 体 と な っ て お り, 下 部 は 粘 性 土

( C L ) を 主 体 と し た 土 層 構 造 と な っ て い る。 さ ら に , 盛 土 底 部 に 固 結 し た 泥 岩 ズ リ 層 が 確 認 さ れ た 。 こ の 層 は, 盛 土 建 設 時 に 施 工 性 を 高 め る た め に 敷 設 さ れ た も の と 考 え ら れ る 。 さ ら に, サ ウ ン デ ィ ン グ で は , 盛 土 中 心 付 近 の 地 表 面 ( 施 工 基 面 付 近 ) で 貫 入 強 度 が 大 き い こ と が 確 認 で き た 。

盛 土 の 透 水 性 に つ い て は, 採 取 し た 試 料 の 室 内 試 験 に よ る 泥 岩 ズリ 層 の 透 水 係 数 が10

 ̄'cm/sの オ ー ダ ー で あ り, ほ ぼ 不 透 水 層 , 盛 土 下 部 の 地 盤 の そ れ は10 一"cm/sの オ ー ダ ー で 難 透 水 層 と 判 断 で きる 。

し た が っ て , 当 該 盛 土 は 浸 透 し た 雨 水 が 盛 土 底 部 の 不 透 水 層 と 考 え ら れ る 泥 岩 ズ リ 層 に よっ て 地 盤 へ の 排 水 が 阻 害 さ れ, こ の た め , 盛 土 内 の 間 隙 水 圧 を 上 昇 さ せ や す い 条 件 に あ る と 考 え ら れ る 。 ま た , 盛 土 の 大 部 分 を 占 め る 砂 質土 の 透 水 係 数 は 室 内 試 験

と現 場 透 水 試 験 に よ っ て 求 め た が ,10^ 〜10   cm/s程 度 で あ っ た。

(4)

10 20

N 値 G 10 20

Nc 0 10 20 30

Nc 0 10 20 30

\  。。1

0 10  20 30

こ^    万]土(SV)   ●U i^\J         h^V/

1

図5.2  計 測 盛 土 の 土 層 構 造

(2 )  計 測 機 器 と 設 置 位 置

雨量 計で 雨量 を計 測 し たほ か, 図5.3 に示 す 位 置 で 間 隙水 圧, サ クシ ョ ン を 間 隙水 圧 計, テ ン ショ メ ー タを用 い て計 測し た。 間 隙水 圧計 の埋 設 深 度 は 渇 水期 に 間隙 水 圧 計

の埋 設 箇所 が 不 飽和 の状 態 に な ら ない 盛土 底部 と し た。 サ クシ ョ ン の 測点 は, 盛 土 の り肩 と, のり 中 間に 深 さ方 向 に 各4 点, 盛 土 中 心 で は深 さ2. 5mの1 点 の計9 点 の 測点 を設 け, ハ ンド オ ーカ ー ボ ーリ ン グ孔 に テ ン ショ メ ー タを埋 設 し た。 計 測 は,   1989年9

月1 日 か ら1990 年11 月30 日 ま で の1 年3 箇 月 に渡 っ て 実施 し た。

なお, 使 用し た 間隙水 圧 計, テ ンシ ョ メ ー タは歪 みゲ ージ 式 の 変 換 器 に よる も ので,

大気 圧 の変 動 も感 知 する。 こ の ため, 計 測 さ れた 間隙 水圧, サ クシ ョ ン につ い て は 大 気 圧 の変 動 を補 正 し た値[5 −4 ] で 検討 し た。

テ ン シ ョ メ ー タ S  A‑2 −0.5

S Λ −2 ‑ 0. 9S  A‑2‑ 】.5S  A‑2 −2.0

●  PA

(3 )  計 測 結 果

( m)

9. 4 m

ま った層

一 一

PA‑6

○^―‑ ‑iW‑‑

゛      S A‑4 −2.5 ズ        / 

盛 土 ( SV )

 ̄Q ̲;  

盛 土 ( CL )

一 一

PA‑2     ̄PA 入PA‑4 PA  ̄  ̄  ̄ ̄  ̄

r,隙水圧計       基礎地盤

図5.3  計 測 位 置 図

a) 長 期 変 動

計 測 期 間 中(1989 年8 月 〜1990 年11 月) の盛 土 半 断 面 の 間隙水 圧 と代 表 的 な測 点 の サ クシ ョ ン の経 時 変 化 を 日雨 量 と と もに図5.4 に示 す。

計 測 開始 直後 の1989 年9 月 上 旬 に まと まっ た 降雨 があ り, 盛 土 内 の 間隙 水圧 が 各 測 点 と も急 激 に上 昇, そ の後11 月 から1990 年1 月 に かけ て 降 雨が 少 な く低 下し てい る。2

月 から の降 雨 に よっ て 再 び上 昇 を 開始 する が, 梅 雨期 に まと まっ た 降 雨が な かっ た こ と もあ り,7 月上 旬 まで 大 きな 変動 は 見ら れ ない。 こ の後7 月末 から9 月上 旬 にか け て, 夏 期 の乾 燥 期 と なり 間隙水 圧 は 減 少 する 傾向 を示 す。 9月 下旬 から 観測 終了 ま で 台 風 が調 査 地点 を4 度 通 過し たこ と もあ り, ま と まっ た降 雨 に よる敏 感 な上 昇, 低 下を 示し て い る。

一方 サ ク ショ ンは, のり 表層 部 が 降雨ご とに 大 き く変動 す る が, 盛 土 深 部で は降 雨 に対 す る 応 答 は小 さい。 す な わち, 浅 い部 分 で の サ クショ ン は一 雨毎 の 降 雨量 に 支配 さ れて 変 動 す る の に対 し, 深 部で は, 降雨 毎 の反 応 という より長 期 的 な 降雨量 の変 動

に支 配 さ れた 変動 を 示し て い る。 なお, 計 測期 間 中最 もサ クショ ン の大 きかっ た のは,1990 年9 月中 旬 のSA‑3‑0.5 であ り そ の値 は約90kPa であ っ た。 し かし, 盛土 の安 定 が

問 題 と なる 湿潤 期で のサ クショ ン は,    lOkPa 程度 以 下で変 動 し てい る。

(5)

^'fc(>l       E   4; 一   一   ・   `05 0 5 0 5 0  5  0  5  0J 乙 む  I I       I  

140

0000U 00 20864 nI1︶ 

1989.9  10 1990.1  2

・年 ・ 月

図5.4  間 隙 水 圧 ・ サ ク シ ョ ン ・ 日 雨 量 の 経 時 変 化 (1989.     9 〜1990.    11)

20

15

10

5

403020100

PA‑5 PA‑4 PA‑2 PA‑3

PA‑6 PA‑1

b) 降 雨時 の盛 土 内 水 圧 変動 の特 性

図5.4 で は長 期 的 な 間隙 水圧 の変 動 につ い て 示 し たが, 短 期的 な変動 を 計 測 の初期 に つ い て 示 す と図5.5 の よう に な る。 こ れに よる と, 降雨 に よっ て 最 も敏 感に 応 答す る箇 所 はの り 尻 部(PA‑1) に 設 置 し た 間隙 水 圧計 で あ り, こ こで は 間隙 水圧 の消 散 も最 も早 い。 逆 に 盛土 中 央 底 部 に向 かう に 従い 降 雨 に対 す る応 答が 鈍 感 に なる 傾向 があ る。 た だし, 最 も間 隙水 圧 の 変 動 幅 が大 きい の は盛 土 中央 底 部(PA‑4) であ り, のり 尻で は中 央部 に 比 べ れば小 さい。 す な わ ち, 降 雨 に よって まず 浸 透距 離 の短い の り尻 部 分 から 水 位上 昇 が 始 ま り, 降 雨 の 継 続 に伴 っ て上 昇 開始 位 置 が徐 々 に盛 土 中 心部 に 移行 し て い き, 最 終 的 に は盛 土 中 心 部 が最 も高 く, のり尻 部 分が 低い 形 態 を示 す水 面形 を示 す

もの と考 え ら れ る。

図5.6 は 鉄 道 の 運転 規 制で 定 義 して い る 連 続雨 量 がyomm 以 上 の降 雨に つい て, 降雨 開 始 から 間隙 水 圧 がピ ー クを 示す まで の平均 時 間を 間 隙水 圧計 の埋 設深度 別 に 求め た も

の, 図5.7 は, 最大 時 間雨量 観測 時 から 間隙水 圧 のピ ー ク時 まで の平均 時 間を同 様 に求 めた も ので あ る。 こ れに よ る と, 両図 と もに埋 設深 度 が深 く な る, す な わち計 測 位置 がのり 尻 から 盛 土中 心 部 に向 かう につ れて 間 隙水圧 がピ ー クに達 す る まで の時 間 も長 くな る 傾向 にあ る。 間隙 水 圧 がピ ー クを示 す時 期 は降 雨 の継 続時 間や短 時 間の降 雨強 度, 降雨 前 の盛 土 の含 水 状 態 等 に よっ て バ ラ ツ キを示 す と考 え ら れる が, 盛土 中 心で

降雨 開始 から 約48 時 間, 最 大時 間雨量 観測時 から約40 時 間の 後 に最 大値 を 示し てお り,

降雨 に対 し て か な り遅 れる 傾向 が あ る。

80  60  40  20

Ξへ1 

φ

0

0 1。0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0    間隙水圧計埋設深さ(m)

図5.6  間隙水 圧 計 埋 設深 さと 降 雨開始 から 水 圧ピ ーク まで の時 間と の関 係

9/1  3 5 7

9 11 13 15

9/1 3 5 7 9 11 13

月・日

図5.5  間 隙 水 圧 ・ 時 間 雨 量 の 経 時 変 化 (1989.     9 )

15

(6)

0

1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0   間 隙 水 圧 計 埋 設 深 さ ( m )

図5.7  間 隙 水 圧 計 埋 設 深 さ と 最 大 時 間 雨 量 観 測 時 か ら 水 圧 ピ ー ク ま で の 時 間 と の 関 係

c ) 降雨 量 と 間 隙水 圧 変動 との 関 係

降 雨 に対 し て 最 も敏 感 に変 動 す る測 点PA‑1 と最 も遅 れて 変 動 す るPA‑4 につ い て.   10mm 以 上 の連 続 雨 量 と 間隙 水圧 の上 昇量 と の関係 を図5.8 に, 降 雨 中 の 最 大時 間 雨量 と上 昇量 との 関 係 を図5.9 に示 す。 連 続 雨量 が 増 加 す れ ば 間隙水 圧 の上 昇 量 も大 き くな る 傾 向 があ り, 比較 的 良い 相関 関 係に あ る。 一 方, 最 大 時 間雨量 と の 関 係で は, 明 瞭 な相

関関 係 は見 ら れない。 表5. 1は, 間隙 水圧 の測点 毎 に上 記 の相 関 係 数 を示 し た もの であ る が, 連 続雨 量 と 間隙 水 圧 の上昇 量 と の 相関 係数 は大 きい もの の, 最 大 時 間雨 量 と 間 隙水圧 の上昇 量 のそ れは 各 測点 と もに小 さく なっ てい る。 す な わ ち, 盛土 の 間 隙水 圧 の上昇 は, 短 時 間の 集中 的 な雨量 より も, ひ と雨 の 総 雨量 に関 係 す る もの とい える。

^m﹈一

蔵︷忿S︵1 O1 1` ⁚/         ■≪3'     O        C     O

12

0  8 6 4 2 0

1

0

0

50

50

100  150 連 続 雨量( mm )

200  250

100 150  200  250 連 続 雨量( m m)

図5.8  連 続 雨 量 と 間 隙 水 圧 上 昇 量 と の 関 係

⁚﹁

2

0  8 6 4 2 0

1

112

1 0 Q︶ ″`⁚︶ 4 ` 

0 10   20   30 最大時間雨量(mm/h )

40

0    10    20    30    4U     最大時間 雨量(mm/h )

図5.9  最 大 時 間 雨 量 と 間 隙 水 圧 上 昇 量 と の 関 係

(7)

5 2 2

表5. 1 降雨 と 間隙 水 圧 変動 量 と の相 関 係 数

測  点 相  関  係  数 連続雨量 最大時間 雨量 PA‑1

P A‑2 PA‑3 P A‑4

PA‑5 PA‑6 P B−2PC

−2 0.9390.9060.9240.9340.6940.7740.9130.8710.5810.4720.3380.5870.7570.2740.5910.363

土 の 含 水 状 態 と せ ん 断 強 さ

土 のせ ん断強 さ は, 降 雨 の浸 透 に よっ て 変化 す る 飽和 度 に 支 配 さ れ変 化 す る。 こ れ は, 降雨 の浸 透 に より 飽和 度 が 高 ま る と土 中 の サ クショ ン が 低下 し, せ ん断 強 さが 小 さ く なり, ま た乾 燥が 進め ば逆 の現 象 に よっ てせ ん断 強さ が 大 き く な る ため と理 解で きる。 一方 , こ の よう な不 飽和 の盛 土 材料 に対 し て 飽和 土 のせ ん 断試 験 を行 え ば, せ ん断 強 さを 過小 評 価 す るこ と が考 え ら れる。 以 上 の観点 から, 不 飽和 土 の三 軸 圧 縮 試 験 を行い 土 の含 水状 態 と 強度 定 数と の 関係 を調 べ た。

(1 ) 試 験 方 法

不 飽和 土 の三 軸圧 縮 試 験 に用い た試験 装 置 を図5.10 に示 す が, こ れは 通常 の三 軸 圧 縮 試験 機 を改 良し た もので あ り, ペ デ ス タ ルに セラ ミッ クフ ィ ル ター, 上 部 キ ャップ にガ ラ ス繊 維フ ィ ルタ ーを取 り付 け た も のであ る。 供試体 は, 対 象が 盛 土 で あ る こ と から現 場密 度 に 突 固め た 試料 を 用い, 含水 状態 を3 種設定し た。 た だし, こ のう ち1 種は 飽和 状 態 とし た。 せ ん断 時 の排 水 条件 は, 飽和 土 の場 合 と 異 なり 間隙 空 気 の 制御 が必 要 と なる。 こ こで は, 不 飽和 土 の 三軸 圧 縮試験 の一般的 な条 件[5 −5 ] のう ち 排気 ・ 非排 水 条件 お よ び排気 ・排 水 条 件 を用い た。

排 気 ・非 排 水 条 件 は, 破壊 時 にお い て 間 隙空 気 は大 気 と通 じて 変化 が ない( 排 気 条 件) が, 間 隙水 は 不 飽 和 状 態で 透 水性 が 飽和 状 態 に比べ 著 し く低下 す る ため非 排 水状 態で あ る と 仮定 し た もの であ る。 こ れは, 飽 和土 の試験 にお け る 圧密非 排 水 条 件 に 相 当 す る。 一 方, 排 気 ・ 排 水 試験 は, 降雨時 の斜 面安定 を長 期安 定 問題 と して と ら え た 場合 に 適 す る と さ れる 条 件[5 −5 ] であ る。 こ れは, 飽和 土 にお け る 圧密 排 水( C D ) 条 件 に 相当 す る。 排 気・ 排 水 試験 はせ ん断 前 に供 試 体に 空気 圧 を作 用 させ, セラ ミ ッ クデ ィス クを通 じ て 間隙水 を 脱水 さ せ る。 こ のと き 間隙 水圧 は ゼロ であ り, 供試 体内 のサ クシ ョ ン は 間隙 空 気圧 と間 隙水 圧 の差で あ る から , 与 えら れた 間隙 空気 圧 と 同等 と なる。 せ ん断 中 は こ の条 件 を保 つた ま ま非常 に 低速 (0.025%/iDin ) で 載 荷し,

常 にサ クシ ョ ン ー定 の状 態 と なる よう にし た。

①軸荷重計

②軸変位計   (

③体積変化測定装置

④排水量測定装置

⑤間隙水圧計

ガラス繊維 フィル タ ー セ ラ ミック・ デ ィス ク

(3)

;== =1 ぼ =B

A:間隙空気圧制御 D B:セル圧制御

C  : バックプ レッシャー制御 D:給水系

図5. 10 不 飽和 土用 三 軸圧 縮試験 装置

(2 ) 含水 比 と 強 度定 数 の関 係

両 排 水 条件 の試 験 結果 より, 含 水 比 と強 度定 数 の関 係を 示 すと図5.11 の よう に なる。

ただし , こ のと きの含 水 比 はせ ん断 前 の値 で あ る。 こ の結果 より, 以 下 のこ と が わか る。

① 含 水 比 の増 大 に 伴っ て 粘 着力 ごは低 下 する が, 内 部 摩擦 角d> (iバ ラツ キがあ り顕 著 な傾 向 は みら れない。 すべり 面 の 深 さが 浅い すべ り を想定 す る場 合, 安 定性 に対し

(8)

て粘 着力 Cが 支 配的 であ る と考 えら れる。

②排 水 条 件 の違 い は 含水 比 の 大 きい 湿潤 側で は小 さ く, 含水 比 の小 さい 乾燥 側では 大 き く なる。 た だし, 図 中 の 最 右端 の飽 和 デ ー タは基 本的 に圧 密 排 水 条 件 で の値 であ る。

③ 供試 体 密度 の違 い につ い て は, 乾 燥密 度p  d =1. 45g/cm^ と^  d =1. 50g/cm''よる 試 験 を実 施し て 確 認 し たが, 密 度 の差 が 大 きく な かっ たこ と もあ り, 顕 著 な差 とし てで て い ない。

盛 土 の 降 雨時 の安定 計 算 を 行 う 際に,    2 つ の排 水 条 件 のう ち ど ちら の強 度 定 数 を採 用 す る かに つい て は, 現 在 の とこ ろ必 ずし も定 説 があ る わけ で は ない が, 盛土 の増 加 荷重 が な く 間隙 水 圧 の変 化 のみ に よる 安定 問 題 であ る ため,長 期 安定 問題 と して 考 え た場 合, 排 気・ 排 水 試 験 が 適 する[5 −5 ] とい わ れてい る。 し か し, 排気・排水試 験 は試 験時 間が 非常 に長 期 に わた り(1 本 の 供試 体 に 供試 体 作 成 から せん断終了 まで 数日 を 要 する ), 実 務的 な 試 験 と はいい が たい。 こ れ に対 し て, 排 気・非排 水試験 は セ ラミ ッ ク スデ ィ ス クも特 に必 要 とせ ず,現 行 の三 軸 圧 縮試 験 装 置 の 若干の改 良で対 応 で きる と と もに, サ クシ ョ ン を測定 し なければ比 較的 短時 間で 試験 が可能であ る。

ま た, 盛土 の安定 は 含水 比 が大 き くな る降 雨時 に問題 と なり, こ の領 域 で は 上 述 の よ う に両 者 の試 験 結果 は実 質 的 に差 が小さい。 したがって, 本 研 究における盛土 の安 定 解 析 には, 実 務 を 考慮 し て 排気・非排水三 軸 圧縮 試 験 の結 果を 用いる もの とし た。 な お・ 乾燥 密 度 につい て は現 場 の不 撹 乱 試料の試験によっ て 得 たp

 d = I. 45g/ciD^を 用い た。

20

15

1 0

︶ 

5

0

3530 

S 25

・20

o : 俳 気 ・ 俳 水

゜: 排 気 ・ 非 排 水 (/フd = りir,,;/(m o: 排 気 ・ 非 排 水(

ρ 。=1.50E/im'' X

°ヽl、

`1 、

ψ

○ ヽ

5 2 3

降 雨 時 の 盛 土 の 安 定 性 に 関 す る 検 討

前 項で 述べ た よう に土 の含 水比 が 高 まる と土 の 粘着力 は低 下す る ため, 降雨時 の盛 土 の安 定 性 は 降雨 開始 と と もに変 化 する こ とが 考 えら れる。 こ こ で は, 不 飽和 土 の三 軸 圧 縮 試験 結果 によ る土 の含 水比 と ら § の関 係 と, 計 測で 得ら れた 間隙 水圧, サ ク ショ ン の値 から 盛土 をモ デ ル化 し, 分割 法 に よっ て 経 時的 な変化 を 考慮し た安 定計 算 を実 施し た。 こ れに より, 降 雨時 の盛 土 の安 全率 の変 化 につい て検討 す る と と もに,

安 定 解析 の際 一 般的 に使 用 さ れる 飽和 土 の三 軸 圧 縮試 験 結果 で 得ら れる土 質定 数 を 使 っ た計 算 結 果 と も比 較 検 討 す る。

∩ ) 計 算 の た め の モ デ ル化

現 地 で 実 施し た ボ ーリ ン グ, サ ウ ンデ ィ ン グ等 の調 査 結果 から, 計 算 の ため の モデ ルは図5. 12の よう に, 地 盤で あ る 粘土 層, 盛 土 底 部で 確 認 さ れた泥岩 ズリ 層, 盛土 層 の3 層 構 造 とし た。 さ ら に 盛土 層 につ い て は, 現 地計 測 で得 たサ クショ ン から 盛土 内 の圧 力 分 布 を 想定 す る とと もに, 図5. 13に 示 す現 場 試 料の 水分 保持 特性 曲 線 から 圧力 分布 に応 じ た 含水 比 を 求 め, こ れと不 飽 和 土 の三 軸 圧 縮試 験 結果で 得 た含 水比 と粘 着 力 c の関 係 に よっ て 各層 の 粘着力 を表5.2 の よう に決定 し た。 こ の 際水 分保持 特 性 曲線 は, 湿 潤 過 程, 乾 燥 過 程 に よりヒ ス テリ シ ス を示 す が, 簡略化 のためVan‑ Genuchten の提 案[5 −6 ] し た 近似 式 で 一つ の 曲線 とし た。 なお, 地盤 の粘性土 層, 盛 土 底部 の泥 岩 ズリ 層 の土 質 定 数 は, 室内 土 質 試 験 結果, 標準 貫 入試 験 結果 から図5. 12の よう に設 定し た。

安定 計 算 は, 比較 的 大 き な水 圧 変 動 のあ る期 間で, ① 湿潤 期 に単 独 のま と まっ た降 雨が 観 測 さ れた7 月2 日 か ら11 日 まで のケ ー ス1 , ② 盛 土内 が乾 燥状 態で あっ た時 に 急 激 に短 時 間に 集中 し た降 雨が 観 測 さ れた9 月13 日 から29 日 の ケー ス2 とした。 サ ク ショ ン の計 測 結果 を基 に, 表5.2 の換 算表 から モデ ルを 設定 し た代 表的 な4 断面 につ い て ケ ー ス別 に そ の土 層 構 造 を示 す と図5.14 の よう になる。

& ここrこ ― こ:

ヽ、  ̄゛ ヽ々‑

`ヽ、O.'

/"

.D

15 20  25  30 35 含水比 w  (%)

図5.11  不 飽 和 土 の 三 軸 圧 縮 試 験 に よ る 含 水 比 Wと 強 度 定 数 の 関 係

(9)

妁 

01 5 

M2‑5

Hl‑1  2‑7‑2,    18:00  ( 降 雨 直 前)

Hl‑5 2‑7‑4, 6:00

( 累 積 雨 量80.0iniii)

(1) ヶ − ス1

M2 −1  2‑9‑14,    2 :00 ( 降 雨直 前)

2 −9‑20,   0 :00 ( 累積雨量289. Omm)

Hl‑3 2‑7‑3, 6:00 ( 累 積 雨 量lO.5inin)

Ml‑7 2‑7‑6, 18:00 ( 累 積 雨 量97.5mni)

M2 −3  2−9‑17,12 : 00 (累 積雨量l20.5mm)

M2 −8  2−9‑29.  18 : 00 (累m 雨量315.0mm)

(2) ケー ス2

* 図中 の○ 数字 は表5.2 のNo バこ対 応す る 図5. 14  計 算 モ デ ル の 代 表 例

0

1000

100

10    1

y︷λ

0.1

0.01

5

0.1

10 距 図5. 12

15 離(m)

計 算 モデ ル

X 

_o− pK 試験値

Van‑Genuchton  法 による近似

0.2

20

X 

ゝ  1 1

0.3  0.4 体積含水率 ∂

0 4

3

2

1

0

5

r エ . , a .

図5.  13  水 分 保 持 特 性 曲 線 ( 伊 勢 鉄 道 盛 土 試 料 )

表5.2  サ ク シ ョ ン と 粘 着 力 C

25

単 位 体 積 重 量7   、の 関 係 Na サクショ ンh(kPa) c (kPa ) rt   (kN/m^

   h

>7070 

≧h >3030 

≧h >1515 

≧h >77  之h 3  ̲̲ >3 

≧ h>1 .51.5

≧ h>0 .70

.7> h> 0   h=0

地下 水以 下 10987654322 16.316.416.616.817.117.317.718.218.818.8

(10)

(2 ) 計 算 結 果 と 降 雨 時 の 盛 土 の 安 定 性 に 関 す る 検 討

安定 計 算 は, 修正Fel1 en i us 法 に よっ た。 ケー ス2 の安 全 率 が 最 小 と な っ たM 2‑5 の安 全 率 の 最小 とな るす べ り 面 を図5. 15に示 す。 図 に よる と, す べ り 面 の 位 置 は, の り 面 表層 部 の 比 較的 浅い ものと なっ てい る。 こ れは基 礎地盤 が 盛 土 荷 重 に よっ て 圧密 に より 強 度 が増 加 し てい る こ と, 盛 土 底部 の泥 岩 ズリ 層 の強 度 が 大 きこ と に よ り, こ れら の層 を 切 る すべ り 面 を形 成 す るこ とが ない ため と考 えら れ る。

ケ ース1 , ケ ース2 の計 算 結果 を 降 雨 開始 から の時 間, 累 計 雨量 と と もに 表5.3 に,

また, ケー ス2 の計 算で 得 た安 全 率 と, 間隙水 圧, サ クシ ョ ン, 降 雨 量 の経 時 変 化 を 図5. 16に示 す。 図申 の安 全 率 の変 化 のう ち○ 印 は 不飽 和土 の三 軸 圧 縮試 験 結 果 を 適 用 し た場 合, △ 印 は 飽和 土 の 三 軸圧 縮試 験 結果 を適 用 し た場 合の 安 全率 の 変 化 を示 し て い る。

図5. 16に示 し たヶ − ス2 の計 算 期 間中 の 降 雨状 況 は,9 月14 日 から20 日 に かけ て 断 続 的 に 降り 続い た も ので ,2 回 の集 中し た降 雨 と, そ の 前 後・ 中 間 に 少量 の降 雨 を 記 録し た もので あ る。 降 雨前 の盛 土 は計 測期 間 を通 じ て最 も乾 燥 し た状 態 であ っ たこ と から 不 飽和 土 の三 軸 圧 縮試 験 結果 を適 用し た場 合 は, 土 の せ ん 断 強 さ が大 き く, 盛 土 の安 全 率 もF.s =2.0 と高 く なっ てい る が, 降雨 開始 後 の 少量 の 雨 から1 回 目 の まと ま っ た 降 雨 まで の 間 に雨 水 が 盛土 内 に 浸 透し, 土 の飽和 度が の り 表 面 か ら 高 く なり, 土 のせ ん断 強 さ が 低 下す る た め, 安 全 率 はF  s=1.4 〜1.5 程度 まで 急 激 に低 下 す る。 な お , こ の時 の すべ り 面 は図5. 15に示 し た位 置 より さら に 浅い 部 分 に形 成 さ れる。 そ の

後 降雨 は 一端 小 康 状 態 と なり, 安 全 率 の低 下傾向 は鈍 化す る が, 降 雨 の再 開 に よって,

さら に盛 土 内 の 飽和 度 が 上昇 する と と もに, 間隙 水圧 も上 昇 し,2 度 目 の 降 雨 の ほぽ ピ ー ク時 にF.s =1.28 まで 低 下 す る。 こ の 後安 全率 は 回復 し, 雨 の 降 り や みか ら225 時 間 後 にF.s‑=1.50 と な る。

また, 図5.16 の△ で 示 し た 安 全率 の変 化 は, 斜面 安定 計 算 の 際, 一般 に行 わ れる 飽 和土 の三軸 圧 縮 試 験結 果 で 得ら れる に § を適 用し て得 た計 算 結 果 で あ

る。 降 雨前 は 前述 し た よう に, 盛 土 内 が乾 燥 し た状 態で あっ たた め, 不飽和 土 の 試 験 結果 を 適 用し た計 算 結果 に比 べ, 飽和 土 の試験 結果 を適 用し た 結果 は安 全率

が か なり小 さ く なっ て い る。 そ の後, 降雨 の 継続 に 伴い 盛土 内 の 間隙水 圧 が上昇 し 始 め る と, 飽 和

土 の 試験 結果 を 適用 し た場 合 の安 全 率 も低 下し 始 め, 間隙 水圧 のほ

ぼピ ー ク時 に両 者 と も に最 低 の安 全率 と なっ てい る。 一方, 表5.3 に示し た ケ ース1 で

は, 安 全 率 の最 低 と な る時 期 が 飽和 土 の 試験 結果 を適 用し た場 合 の方が ほぽ1 日

程度 遅 れる 結 果 と なっ て い る。

こ れ は, ケ ー ス1 で は 降 雨中 の 最 大時 間雨量 を 観測し た直後 に盛 土 表 層部 の 飽和 度 が 最 も低 下 し , 土 の せ ん断 強 さが小 さく なる が, そ の後 は 降雨 が小 康状 態 となっ て 飽和 度が 回 復 す る 傾 向 と なる 一方で 間 隙水 圧 の上昇 は 降雨 のピ ー クより遅 れて生 じ る ため と考 え ら れる。 た だ し, 盛 土が 崩 壊 に至 る よう な 降雨時 に は, こ こで 検討 し た ケー ス より 盛 土 内 の 飽和 度 はさ ら に 高 く, 間 隙水 圧 も上昇す る もの と考 えら れる ため, 飽 和,

不飽和 両 試 験 結果 の適 用 の相違 は, 安 全 率が 最低 と なる 時期 につ い て は ほぽ 一 致 する ものと 考 え ら れる。 また, そ の大 き さにつ い て は, 飽 和土 の試 験 結果 を 適用 し た場 合 のほ う が小 さ く算 出 さ れるこ と が予 想 さ れるが, こ の 場 合で も安 全側 と なる ため, 通 常 の盛 土 の安 定 性 を検討 する 際 に は, 飽和 土 の三軸 圧 縮試 験 に よっ て 土 質定 数 を求 め,

こ れに よっ て安 定 計 算 を 実施 す れば よい もの と考 えら れる。

R =7.61m ,Fs =1.28

図5. 15 安 全 率最小 のす べり 面(M2‑5 ) 表5.3  安定 計 算 結果

ヶ − ス1     (2‑7‑2 〜2‑7‑11 ) ヶ− ス2    (2‑9‑13 〜2‑9‑29 ) 断 面 降 雨開始

か らの 経 過時 間

累 計 雨 量(

mm)

安 全率Fs

断面 降 雨開 始 か らの 経 過時 間

累 計 雨 量(

mm)

安 全率Fs

I*n I* n

Ml‑1 M1‑2 Ml‑3 Ml‑4 Ml‑5 Ml‑6 M1‑7

Ml‑8 0912183660

(17 )96  

(53 )210

(167 ) 0111950809898981.491.471.441.311.371.411.441.511.281.251.241.231.201.221.241.25M2‑1M2‑2M2‑3M2‑4M2‑5M2‑6M2‑7M2‑8 04082130142184  

(33 )226  

(75 )376

(225 )  0421212532892992993152.021.701.451.331.281.401.471.501.291.291.271.221.171.221.241.27

*沁)安 令率I :不飽f口上の三 輪圧縮試験結果を適用した場合の安 全率

‑〃㎜W ●     ㎜ − W

安 全 率II : 飽 和土 の 三 輪 圧 縮 試 験 結 果 を 適 用 し た 場 合 の 安 全 率

(  ) 数 字 は 主 た る 降 雨 が 終 了 後 の 経 過 時 間

(11)

5

C / )

エ . ,

5

4

3 2 1 0 5 4

3 J1

1

丿 答1 か

0

5

4

3

2

1

0

(2.02 ) (1.70 )

9 /13  15  17 19 21 23 25  月 ・ 日

27 29

25

忿Ξ

20 15  10  5  0

0   0    0   0to ‑^ CN

20 ︸q忿・ 15

10  5 0

図5.  16  安 全 率 , 間 隙 水 圧 , サ ク シ ョ ン お よ び 降 雨 量 の 経 時 変 化 ( ケ ー ス2

2 4

降 雨 時 の 盛 土 の 安 定 性 に 及 ぼ す 水 位 変 動 の 影 響

既設 の 盛土 で 実施 し た 間 隙水 圧, サ クショ ン, 降 雨 の観測 結 果 か ら, 降 雨時 の盛土 内 間 隙水 圧 の変 動特 性 につ い て明 ら か にし た。 さ らに 不飽 和 土 の 三 軸圧 縮試 験 に よっ て, 飽 和 度 の増 加 に よる土 の せ ん断 強 さの 低下 につい て 把握 し, こ の結 果 を 基 に 降雨 時 の安 定性 の検 討 を行っ た。 そ の結 果, 以 下 のこ とが 明ら かに な っ た。

①盛 土 内 の 間隙 水 圧 は 降 雨 に よっ て 敏 感 に反 応し て上 昇 下降 する が, そ の反応 は のり 尻部 は 敏 感 で あ る が, 盛 土 中 心 部で は 鈍感 であ る。 サ クショ ン の変動 も のり 面表 層 部 で は降 雨 に 対 し て ほ ぽ 連動 し た変 動 を 示す が, 盛 土中 心部 で は個 々 の 降雨 より も長 期 的 な降 雨 量 の変 化 に対 応 し た変動 となっ てい る。

② 間隙 水 圧 変 動 量 は 連続 雨 量 と 相関 が 見ら れ, 短 時 間の集 中 的 な雨 量 より も, ひ と雨 の総 雨 量 と の相 関 が 強い。

②不 飽 和 土 の三 軸 圧 縮試 験 結果 で は, 土 の含水 比 の増 加 に伴 う 粘着力 Cの低 下 が 認め ら れる が, 内 部 摩擦 角§ に関 して 明 瞭 な変 化 は認 めら れない 。

④調 査 盛 土 のす べ り に対 す る安 定 性 は盛 土 の り尻 部 の間 隙水 圧 や のり面 表層 部 の サ ク シ ョ ン の変 動 に 大 き く左 右 さ れる が, 盛 土 中心 部 のそ れら の 変動 に はあ まり 影響 さ れ ない。

⑤不 飽 和 土 の三 軸 圧 縮試 験 結果 を適 用し た 安定 計 算 結果 は飽 和土 の三軸 圧 縮 試験 結 果 を 適用 し た計 算 結果 と比 べ, 特 に乾燥 してい る状 態で は差 が 大 きい が, 盛 土内 の飽 和 度が 高 まる と小 さ く な る。 安 全率 の最 低 とな る時 期 は, 間 隙水 圧 と飽和 度 の両 者が 最 も高 く なっ た 時 点で あ るが, 雨 の降 り 方 に よって は間隙 水 圧 の上昇 が 遅 れるこ と もあ り, 計 算 に 用 い た試 験 結果 によっ て は 時差 が 生 じ る場 合が あ る。

以 上 を総 合 的 に判 断 す れ ば, 降 雨時 の盛土 の安 定 は主 とし て 一雨 の量 に 関 連し て 間 隙水 圧 の変 動 と と もに変 化 するこ とで あ り, 降雨 時 の安定 性 を 高め る ため に, 同 じ 降 雨量 で あ れば, 盛 土 内 の 間 隙水 圧上 昇 を押 さ える こ とが ひ とつ の有 効 な手 段 とし てあ げら れる。 し たがっ て, 次 節 で は, 盛 土 の り面 が 被覆 さ れ, ここ から の雨 水 浸 透が 遮 水 さ れる 場 合 の 水位 変動 の特 徴 と無 防 護盛 土 との 耐雨性 の定 性的 な比較 をす る ため に,

小型 の 模 型 盛 土 を使 用し た実験 を行 う。

5

5

3 盛 土 の 浸 透 と 崩 壊 に

3 1 模 型 実 験 の 概 要

関 す る 模 型 散 水 実 験

こ こ で は, 盛土 の のり 面 や施 工 基面 が 被 覆さ れこ こ から の 雨水 浸 透 が 遮水 さ れる場 合 の盛 土 崩壊 に 及ぼ す影 響 に関 す る模 型盛 土 の散 水 実験 につ い て述 べる。

盛 土 は 高 さ3.75m, のり 面勾 配1:1.5, 不 透 水性 の堅 固 な地 盤上 に 建設 さ れた 単線 鉄 道盛 土 を 仮 定し た。 模 型 盛 土 の縮 尺 を1/5 とし。 高 さ0. 75m, 左 右対 称 と 考え 図5. 17に

(12)

示す よう に 半 断 面( た だし 施工 基 面幅0. 5m) とし た。 盛 土材 料 は東 京 の 西 部 地域 に 分 布 する 稲 城 砂 を 使用 し た が, 実 験 前の 模型 盛 土 の 初期状 態 で の 土 の 基 本的 性 質は, 湿 潤 密度p  I ニ1. 29g/cm へ 乾燥 密 度p  <*ニ1. 17g/cm≒ 含 水比w  = 9.2%, 間隙 比e  =  I. 25, 透 水係 数k・=A ×10  ‑'cm/sであ る。 模 型 底 面 の圧力 水頭 をピ エ ゾ メ ー タで計 測 し た他,

目 視 に よっ て 湿潤 前線 の 進 行状 態 を 観測 し た。

実 験 ケ ー ス は, 図5. 18に示 す よう に3 ケ ー スと し た。 基 本 ケ ー ス とし て 施 工 基 面 に もの り面 に も遮 水性 の被 覆 の ないcase  A と す る。 のり面 が 被 覆 さ れこ こ か ら の 雨 水浸 透が 遮 水 さ れる ヶ − ス と し てcase  B , 同 様 に 施工 基 面が 被 覆 さ れ る場 合 をcase  C とし た。caseB は の り面 に張 ブロ ッ クが 施工 さ れ被 覆 さ れた 状態 を,   case C は 幹 線 系 の鉄 道で 施工 実 績 の多い 強化 路 盤 を 模擬 し た もの であ る。

こ れら の ケ ース に対 し て時 間雨 量30mm/h の散 水 を 行い, 施工 基 面 に まで崩 壊 が 達 し た時 点 を盛 土 崩 壊 と 定義 し た。

No.  1  2    3    4     5    6       7     0 : ピ エ ソ メ ー タ  ( 単 位 : m m )

図5.  17  模 型 盛 土 の 断 面 寸 法 と ピ エ ゾ メ ー タ の 位 置

11︲11︲1111︲1111111111111

︲1111111111e111

−11111111 1

caseA

︲1111111111111111111

〜11

caseB

図5. 18  実 験 ヶ − ス

5 3 2 実 験 結 果

) 湿 潤 前 線 の 経 時 変 化

基 本ヶ − スで あ るcase  A の 湿潤 前 線 は, 図5. 19に示 す よう に速 度K  =3.2 ×10 '^cm/s 亡盛 土 表面 に ほぼ 平 行 に 進行 す る。 湿潤 前 線 が消 失 する 位 置 は盛土 中 心 の最 下 部であ り, 散 水 開始 から330 分 後で あ る。 こ れ に対 しcase  B の よう に, のり 面 が 被覆 さ れここ から の 雨水 浸 透が 遮 水 さ れる と, 施 工 基 面 下部 にお い て は表 面 に ほぼ平 行 に 湿潤 し て い く 傾向 はcase  A と同 様で あ る が, のり 面 から の 雨水 浸 透が ない ため, こ の部 分 で の 湿潤 は 初期 の段 階 で は みら れない。 施工 基面 下 の 湿潤 前線 が 盛土 底部 に達 する と そ の 進 行 は, 盛 土 中 心 か ら のり 面 へ向 か う 水平 方向 へ の浸 透が 卓 越す る よう に なり, 最 終 的 に は散 水 開始 後750 分後 に のり 面 の 位置 で 消失 す る。 一 方, 施工 基面 が被 覆 さ れた case C で は, 図5. 18に示 す よう に, 初期 で は のり 面 下 の湿潤 が 進行 し,   caseB とは逆 に のり 面 か ら盛 土中 心 へ 向 かう 進行 が 見ら れた後, 盛土 底 部 から施 工 基面 へ上 昇 する 傾向 が 見 ら れる。

120

240

︲111111−1111

−1

caseC

︱1111111︲1 1111︲111−1︲9111−11︲1111●1 ︲1−1−11111−1119 720 600

480

■■ < r

数 字 は 散 水 開 始 か ら の 時 間 : 分

図5. 19 ヶ − ス別 の湿 潤 前線 の 進行状 況

O9

(13)

(2 ) 盛 土 に お け る 地 下 水 の 上 昇

基 本ヶ − スで あ るcase  A で は 図5.20 に 示 す よう に, 湿潤 前 線 が のり 先 部 分 から 先 に 底 面に 達 す る ため こ の 部 分 から 水 位が 上昇 を始 め る。 し たが っ て, 水 位 が 上 昇 を 始め た初期 の段 階で は, のり 先 部 で水 位 が 高く, 盛土 中 心 部で は 低い 。 し か し, 時 間 経過 とと も に盛 土 中心 部 の水 位 が上 昇 し 始め る とそ の速度 は速 く, の り先 部 分 の水 位 より も高く な る。 caseB で は, のり 面 から の 雨水 供 給 が ない た め, 湿 潤 前 線 は施 工 基 面 下 部 で 最 も速 く盛 土底 面 に 到 達 し, こ の 部 分 から の 水位 上昇 が先 に 見ら れる。 時 間経 過 と と もに 水 位 は のり 先 に まで お よぶ。 一 方case  C で は, のり 先 部 分 の 水 位 が上 昇 を 開 始 する 時 間はcase  A とほ ぽ 同 じで あ る が, のり 面 中 腹 下部 で の水 位 上 昇 速度 がcase  A に比 べ 遅い。 従っ て, 施工 基面 下 部 の水 位 が 上昇 し 始 め る時 刻 も遅 い と と もに そ の上 昇 速度 も遅 い 傾 向 を 示す。

数 字 は 散 水 開 始 か ら の 時 間 : 分

図5.20  最 終 崩 壊 形 状 と 代 表 的 時 刻 で の 地 下 水 位 曲 線 の 例

(3 ) 耐 降 雨 性 の 評 価

湿潤 前 線 の 進行 の状 態 や 水位 の上昇 速 度 は ケー スに よっ て 相違 す る もの の, 定 義 し た盛 土 崩壊 時 の形 状 は図5.20 に示 す よう に ほぼ円 弧 すべ り 的 な形 態 を示 す。 こ こ で,

散 水 開始 か ら盛 土 崩 壊 まで の総 雨 量 を崩壊 雨量 とし, 各実 験 ケ ー スで の崩壊 雨量 とcaseA を1 とし た耐 降 雨 比 を 示 すと 図5.21 の よう に なる。 い ず れの ケ ー スで も最 終的 に 崩 壊 す る が, の り面 が 被 覆 さ れここ から の 雨水浸 透が 遮 水 さ れる と, 無施 工 の 場 合に 対 し て 約2 倍, 施 工 基 面 が 被 覆さ れる と約3 倍 の耐 降 雨性 が 確 保で きる とい え る。

こ の よう に, 模 型 実 験 に よっ て のり 面 被 覆 によ る耐 雨性 効 果 は 大 きいこ とが 明 確 に なっ たが, 次 節 で は 実 際 の 盛土 で 被覆 効 果 が期 待で きる 張ブ ロ ッ クエ につ い て, 実物 のブロ ッ クを 使用 し た散 水 実験 を 行い, ブ ロ ッ クに よる 雨水 の遮 水性 評 価 を行 う。

︵EEE

600

500

400

哺300 巴 轡 両

200

100

0

5

4

a.

沢 脛 澄 蔭3

2

1

ケ ー スA  ケー スB   ケー スC 実験ケ ース

図5.21 崩壊雨量尺と耐降雨比?

(14)

5 4 実 施 工 の り 面 防 護 工 の 雨 水 遮 水 性

前節 で は, 模 型 盛土 の散 水実 験 に よっ て のり 面 被覆 の耐 雨 性 向 上 効 果 を定 性 的 に確 認し た が, 本 節 で は, 実 際 に鉄 道 盛土 で 被 覆効 果 が期 待で きる 張 ブ ロ ッ クエ に つ い て,

その 雨水 遮 水 性 を 確認 す る。

鉄道 で 使 用 さ れる のり 面 の被 覆工 の代表 的 な も のに張 ブロ ッ クエ があ る。 こ の 張ブ ロ ッ クエ は, 従来 の り面 の浸 食防 止 を目 的 に 施工 さ れて きた もの であ る が, 表 面 から の雨水 浸 透 が 防止 で き れば, 盛 土 内 部 の間 隙 水圧 上昇 に よる 崩壊 に対 し て も防 災効 果 が期 待 で き る。 こ こ で, 実際 の 鉄 道盛 土 で 使用 さ れる 張ブ ロ ッ クは, 盛 土 堤 体 の状 況 など に より ブロ ッ クの目 地 を モ ル タ ルで 詰 め る 練張 法 と目 地 を詰 め ない 空 張 法 が 使い 分け ら れてい る。 空 張 法 につ い て は比 較 的 盛土 が新 し く盛 土 本 体 あ る い は 地 盤 の沈 下 な どが 将来 に わ たっ て 懸念 さ れる場 合に, そ の沈 下 に 追随 で きる よう に, ブ ロ ッ ク間 の目 地部 分 にモ ル タ ルを詰 め ない もので あ り, 練張 法 は古い 盛土 で 沈 下 等 の 懸 念 が な い 場 合 に目 地 部 分 にモ ル タ ルを詰 め て 敷設 す る 方 法で あ る。 こ の う ち, 空 張 法 の場 合,

盛 土 のり 面 に 達 し た 雨水 が 目 地部 分 から 盛 土 内 部 に浸 透 す る可 能性 があ り, 練 張 法 の よう な 被 覆効 果 は 低下 す る ものと 考 えら れる。 そ こ で, 鉄道 盛 土 で 使 用 さ れる 実 際 の 張ブロ ッ クを使 用 し た室 内 散水 実 験[5 −7 ] なら び に実 施 工 現 場 で 散 水 実 験[5 −8

] を行い , 張 りブ ロ ッ クの 遮水性 を確 認 す る。

5 4 1 室 内 散 水 実 験

(1 ) 実 験 概 要

図5.22 に 示 す 実験 架 台 に, 線 路 方向 に5 個, のり 面方 向 に5 個 の 張ブ ロ ッ クを空 張 り状 態で 設 置し た。 使 用ブロ ッ クは張 ブロ ッ クの目 地 部分 の 構造 が相 違 す る 図5.23 に 示 す2 タ イプ で あ る。 こ れら のブロ ッ クはい ず れ も鉄 道 の盛土 の り面 防 護 工 と し て 実 際に 使 用さ れて い る もので あ る。 散水 強度 はブ ロ ッ クA に対 し て は10 〜200mm/h, ブ ロ ッ クB に対 して は10 〜60mm/h とし た。 さら にブ ロ ッ ク目 地 の遮 水 効 果 を明 確 に す る た め, 横目 地 の み を練 張状 態 とし た 実験 を散 水 強度10 〜60mm/h で 行っ た。 計 測 はブ ロ ッ

ク表 面 を流 下 す る水 す な わちブロ ッ クに よっ て遮 水 さ れ盛土 中 に浸 透 さ れ ない も のと,

ブロ ッ ク目 地 から 浸 透 する 水と に 分離 して 流量 を計 測し た。 実験 ケ ー スを 表5.4 に示 す。

図5.22  張 ブ ロ ッ ク の 雨 水 遮 水 性 確 認 実 験 に 使 用 し た 架 台

500

§ri三0

ブ ロッ クA

ヒ ニ二三 寸

ブ ロ ックB

図5.23  使用 し たブロ ッ クの形 状

(15)

表5.4  実 験 ヶ − ス

実 験 シ リ ー ズ 目 地 の 条 件 実 験ヶ‑スNo. ブ ロフクタイ 散 水 強 度 (mni/h)

シ リ ー ズ1 空 張 1‑A‑ 101‑A‑ 201‑A‑ 401‑A‑ 601‑A‑ 901‑A‑120 1‑A‑ 160

1‑A‑ 200

A 1020406090120160200

1‑B‑ 10 1‑B‑ 20 1‑B‑ 40 1‑B‑ 60

B 10204060

シ リ ー ズ2 横目地 が

練 張 2‑A‑ 102‑A‑ 202‑A‑ 402‑A‑ 60 A 10204060

2‑B‑ 10 2‑B‑ 20 2‑B‑ 40 2‑B‑ 60

B 10204060

シ リ ー ズ3

縦 目地 が

練張 3‑A‑ 40

A 40

3‑B‑ 40 B 40

(2 ) 実 験 結 果

散 水 強度40mm/h に よる 実験 ケ ー ス6 ケ ース(l‑A‑40,   l‑B‑40,   2‑A‑40,2‑B‑40,   3‑A‑40

,3‑B‑40 ) に9 い て, 空 張 状 態で の表 面流 量Q こバ ノ/ 分) と浸 透流量Qs  (1  / 分) の散 水 開 始 か ら の経 時 変 化 を 図5.24 〜 図5.29 に示 す。 散 水 開始 直後 で は, 雨 水が ブ ゜ ツク表 面 に 到 達 して から計 測位 置 まで 流下 す るの に多 少 の時 間 を必 要 とす る ので,

時 間とと もに 表面 流量 い. 浸 透 流量Qs と もに 除 々に 増加 し, 散水 開始 から 約10 分で ほ ぼ一 定 の 流 量 に 落 ち着 く。 ここ で, 各 ケ ース と もに 流量 が ほぼ 一定 と なる 経 過時 間60 分以降から 実験終了 まで の流量 が ほ ぼ一定 の 間の 表面 流量Q じ。 浸 透流量Qs の合 計 を総 流量Q   (散 水量 に等 しい) とし,これと表 面 流 量Qc と の比 を 遮水率P  cとし て 求 め 各 実 験ヶ−ス を整 理すると 表5.5 の よう に なる。 さら にこ れと 散水 強度 と の関 係 を示 す と 図5.30 の ようにな る。

ブロ ッ クAの 実験 によっ て, 散 水 強 度が 大 き くなる と遮水 率P  cも大 きく なる 傾向 を 示し てい るこ と が わかる。 実験 中 の 観察 に よる とブ ロ ッ ク表 面 に達し た雨水 は,の り 面下 方へ流 下 するが,散 水 強 度が小さい 場 合は ,こ のほ と ん どが 目 地 部分 からブ ロ ッ ク内 部へ浸 透 し, 散 水強 度 が大 きく なる と目 地 部 分に 達 する 流量 が多 くな り, そ の一 部が 目地部分 を越流 し て 一段下のブ ロッ クへ流 下 する。 し かし,日 本で 通常 観測さ れ る降 雨は100mm/h 以下であり,こ の 範囲 はブロックA,     B と もに20 〜30% と 遮水 率 は小 さい。

一方,ブロックA とBの目地部分 の構造の違い による遮水効果 の相 違 は,図5.30 に お けるr  =60mm/h まで の実 験結果 に よって 比較で きる。それぞれのブロ ックのこ の散 水強度の 範 囲 で の遮 水 率 は そ れぞ れ,    P c. A =22.4%,     P c, ≪=21.3% であり,目 地 構 造による 遮水率に差は 見られ ない。

また, 横目地 だけ を 練張 にした実験 で の遮 水率を図5.30 に●,▲で 示 す。 目 地 すべ てを空 張とし た状 態で のr  =60mm/h までの遮水率は約20% と小 さい が,横 目地を練張 状 態 にすると, ブロックA, ブ ロ ックBで それぞれ75〜90 %と 格段 に向上 する こ とが

わかる。

(16)

︵ヽ︶O9珊螺嘔妬︒のQ嘔巡嶼窓

10^

経 過 時 間 ( 分 )

図5.24  表面 流量 Q ^', 浸 透流 量Os の経 時 変化( ヶ − ス1‑A‑40 )

4   3   2   1

︵ヽ︶OQ嘔巡嘔硝ぶQ嘔巡嶼窓

10^ 102 10^

経 過 時 間 ( 分 )

図5.25  表 面 流 量 Q <‑',浸 透流量^‑s‑の経時 変化 (ヶ − ス1‑B‑40 )

︵ヽ︶OQ咽⁚螺嘔妬ぶQ嘔巡閲窓

経 過 時 間( 分 )

10^

図5.26  表面 流量 ト, 浸 透流量 恥 の経 時変 化( ヶ − ス2‑A‑40 )

4   3   2   1

⁚巡

ケ ゜二 か 102

経 過 時 間 ( 分 )

10^

図5.27  表面 流 量Q ^・, 浸 透流 量Qs ・の経 時 変化( ヶ− ス2‑B‑40 )

(17)

︵ヽ︶OQ喇巡嘔雌のQ翻一巡畷窓

経過 時 間 ( 分 )

10^

図5.28  表 面 流量Qc, 浸 透 流量Qs の経 時 変化 ( ヶ − ス3‑A‑40 )

4   3   2   1

⁚泥

10^

経過時間

102

( 分)

10^

図5.29  表 面 流 量 Q ,・, 浸 透 流 量Qs の 経 時 変 化 ( ヶ − ス3‑B‑40 )

表5.5  ヶ − ス別 の 遮 水 率p  c

実 験 シ リ ー ズ 目 地 の 条 件 実 験 ケースNo. 遮 水 率Pc 

浸 透 率Ps  

シ リ ー ズ1 空 張 1‑A‑ 101‑A‑ 201‑A‑ 401‑A‑ 601‑A‑ 901‑A‑  1201‑A‑ 160 卜A‑ 200 22.219.

 122.426.033.936.445.546.777.880.977.674.066.163.654.553.3

1‑B‑ 10 1‑B‑ 20 1‑B‑ 40

1‑B‑ 60 22.023.918.420.878.076.

 181.679.2

シ リ ー ズ2

劃l^ ゛

2‑A‑ 102‑A‑ 202‑A‑ 402‑A‑ 6081.591.592.692.018.5 8.5 7.4 8.0 2‑B‑ 10

2‑B‑ 20 2‑B‑ 40

2‑B‑ 60 75.075.282.781.825.024.817.318.2

シ リ ー ズ3

龍j ゛

3‑A‑ 40 27.5 72.5

3‑B‑ 40 24.5 75.5

100  90

0 0 0 0 0 08 7 6 5 4 3 

︵Z︶ど併曇頻 0 02 1

●− ― ●―

人 一▲

. △ 、

声‑‑‑

^

゛ ̄'  ̄'  ̄ ゜ ̄'  ̄ ゛ l ‑0

− −

ー^ −i

      

TYP

一 ‑ ‑ ● ‑・ 1  

E A( 空 張 )

( 縦 目 地 空 張 )

//    Km曰 地 竺5 氏 ノI

T Y P E B ( 空 張 ) 1  

( 縦 目 地 空 張 )l 一一 ・‑一一. 一 一)

0  20 40 60 80 100 120 140 160 180 200         散 水強度r   (mm /h)

図5.30 散水強度rと遮水率P  cの関係

参照

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