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鉄 道 にお け る 土 木構 造 物 は, そ の約80 %が 建 設 基準 の ない 時代 に建 設さ れ た古 い盛 土 や 切取 な ど の土 構 造 物で あ り, 自 然 災害 を受 け や すい 環 境で あ る と と もに, 列 車 の 運 転支 障 をし た 年平 均 約500 件 の 災害 のう ち30 %がこ の よう な盛 土・ 切 取 など の災害で あ る。 一 方 で, 国 鉄 からJ  R 会 社 に民 営 分 割さ れた以 降, 新 し い路 線 の建設 は 減少し,

現 存 す る 構 造物 を維 持 ・ 管 理 する 技 術 開発 が 特 に必 要 と さ れて き たと 同時 に, 今 後の 保 守 要員 の 減少 を考 え た場 合, より 合理 的 な 構造 物 の管 理・ 評 価手 法 が必 要 とな る。

鉄 道で 発 生 す る 災 害 の多 くが, 降 雨時 の斜 面 崩壊 で あ るこ と を考 え れば, より 一層 の安 全 かつ 安 定 し た 鉄 道輸 送 を確 保 す る ため に は, 鉄 道 沿線 で 発生 す る 降 雨時 の斜面 崩壊 の発生 限 界 を現 場 技術 者で も容易 に判 断 で き, し か も列 車 の 運転 規 制 に反映 で き る 危 険 度 評価 手 法 の 開発 が必 要 であ り, 鉄 道事 業 者 から は現 行 の評 価 基準 にか わる精 度 の 高い 評 価 手 法 の 開 発が 望 まれて い た。

鉄 道 沿線 で の 斜面 災害 防 止 の ため の危険 度 評 価手 法 は, こ う し た 背景 の もとで 研究 が行 わ れて き た も ので あ る。 第2 章 で は, 鉄 道 の土 木 構 造物 の 構成 と災 害 の発生 に関 する 現 状, こ う し た災 害 防止 の ため の 鉄道 で の実 態 と問 題 点 を述 べ, 本研 究 の主題で あ る 斜 面災 害 防 止 の ため の危 険 度 評 価手 法 の研 究 の位 置 付け を明 確 にし た。 第3 章で は, 斜 面 調 査 でJ  R 各 社 の現 場 技術 者 がこ れまで に使 用 し て き たス ウェ ーデ ン式 サ ウ ン デ ィ ン グ試 験 や 標 準貫 入試 験 に か わる 方 法 とし て, 斜 面で も比較 的 容易 に調 査 が可 能 な 簡易 動 的 コ ー ン貫 入 試 験 を今 後 の 斜面 調 査 に利 用 す るこ と を提案 し, 過去 の スウ ェ ーデ ン式 サ ウ ンデ ィン グ試 験 のデ ー タを 有効 利 用 す る ため の両 試験 の相関式 を提 案 し た。 さら に, 簡 易 動的 コ ーン 貫 入試 験 を 実際 の 盛土 のり面 で行 い, 盛 土 強度 の距 離 依存性 を自 己 相 関 係 数 とい う 今 まで 鉄 道で は使 用し てい なかっ た指 標 に基づい て 明ら か にし た。 す な わ ち, 盛土 の線 路 方向 の自 己 相関 係数 は, 距 離n と盛 土 強度Nc で決定 で き, 非線 形 の式 で 示 さ れる こ と を明 ら か にし た上 で, 盛 土 で の サウ ンデ ィ ン グ間隔 の考 え 方 を提 案 し た。 第4 章 で は, 過 去 の災 害事 例 を 使用 し た多 変量 解析 に基づ き,

鉄道 沿線 斜 面 の 危 険度 評価 基 準 を提 案し た。 提 案 し た危 険度 評 価 基準 は, 比較的 簡易 な調 査 と試 験 に よっ て 崩 壊 に至 る 限 界 雨量 が予 測で きる も ので あ り, 切 取 につい ては 線形 判 別 解 析 に よっ て 得 た判 別式 に よっ て崩 壊形 態 を予 測 し た上で , 盛土, 切取 別に 提 案 し た 危険 度 評 価 基 準 を適 用 する。 限 界雨 量は 連続 雨 量 尺と時 間雨量f のそ れぞ れ のべ き乗 の 積と し て 得 るこ と がで き, 過 去 に設 定し て き た運転 規 制 基準 に対 して 直接

的 な比 較 が 可能 であ る。 さ ら に, 第5 章で は 第4 章で 提 案 し た 危険 度 評 価 基 準 が,無 防護 のり 面 に対 する ものであ っ た ため, 鉄道 で多く採 用 さ れてい る 張 りブロック工 法 な どで のり 面 表面 が 被覆 さ れ, こ こ から の雨 水の浸 透が 遮断 さ れてい る こ とに着 目し た,防 護 工 の耐 雨性 効果 を定量 化 し た ものであ る。

以 上 の 統計 的, 実 験的, 理論 的 な 解析 にも とづ き, 鉄 道沿 線 斜 面 にお け る降 雨 災害 危 険度 評 価手 法 を提 案 す る と, 図6. 1のよう な フローチ ャ ート で 示 すこ とが で きる。こ れを大 き く分 類 する と, 斜 面調 査時 の サウン デ ィ ン グ試験 法, 盛 土 の危 険 度評 価, 切 取 の危険 度 評 価に 分類 さ れる。

∩ ) サ ウン デ ィン グ試験 法

斜 面 の危 険度 評 価に は, 力 学的な要素で あ る サ ウ ンデ ィン グ試験 結 果 が必 要 と なる。

鉄 道で は, 従来 ス ウェ ーデ ン式サウンデ ィ ン グ試験 また は 標準 貫 入試験 が 実 施 さ れて きた が,よ り多 く の斜 面 を短 時間 に調査 する た め の 方法 とし て 簡易 動 的 コ ーン 貫 入 試 験結 果 を利用 す るこ と を提案 した。 こ こ で, 過去 の スウェ ーデ ン式 サ ウ ンデ ィ ン グ 試 験 結果や標準貫 入試験 結果 を後 述 の斜 面 の危 険 度 評 価 に利 用 す る た め には, こ れら の 結 果 と 簡易動的コ ーン貫 入試 験 結果 との関 係 が 必 要 と なる。

スウェ ーデン式サ ウ ンデ ィン グ試 験 結果 のNs 。,Wsw と 簡易 動 的 コ ーン貫 入 試 験 結 果 のNc と の関 係は, 図3.6 〜図3.8 に よっ て土 質別 に 求 めら れるこ と にな る。 ま た, 標

準貫 入試 験 結果 のy 値 との 関係 は, 図3. 10に よっ て 求め るこ とが で きる。 ま た, 盛 土 の場合, 同 じ高さや形 態 が長 い 区 間で 連続 す る場 合, 危 険度 評 価 の対 象区 間を 決 定 す るこ とが難 しい が, 盛土の 強度 の距 離 依存 性 を自 己 相 関 係数 に よっ て 検討 し た結 果,

鉄道盛土の強度 の自己 相関 性 は, 強度Nc と距 離& に よっ て 決定 で き, 図3.23 で 示 さ れ るこ と を明 ら かにした。 従って, サ ウ ンデ ィン グ を実 施し た 際 に 得ら れた 強度Nc と必 要な 自己 相 関係 数ρに よって, サ ウン デ ィン グ 間隔 が 決定で きる た め, 斜面 の 危 険性 評価 の区間 がこれに よっ て 得ら れる こ とに なる。

(2 )盛土の危 険度 評 価

まず,評価対 象となる盛土に対 し て現 場 踏 査 を行い, 表4.5 に示 さ れる ア イテ ム につ い て評価 を行う。 一般に は貫 入 強度Nc を除 け ば踏 査の みで 十 分 な資 料 が 得ら れる。 す なわち, 盛土 の構造 ゛土 質条 件 とし て盛土 高 さH, 土 質S   E, 貫 入強 度Nc , 基

盤 条件 として 表層地盤の地 質Sb, 地盤 の 傾斜角6  ら  集 水・ 浸 透 条件 と して 透水 係 数 机 集 水 地形We, 縦断 形態T ら 横断形 態 T n, 経験 雨量条件 とし てRe か ら 盛土 の限 界 雨量 i?" ペ バ「 を求める。こ こで, 盛土に張ブロ ッ クに代 表 される よう な被 覆 が 施工 さ れ,

こ れによっ て耐 降雨性 向上 が期 待 で きるで き る場 合は,限界雨

量が1.5 倍確 保 さ れる も 図6. 1  降雨 時 の 鉄道 斜面 災 害防 止 の ため の危 険度 評 価フ ロ ー

の とす る。

(3) 切取 の危険 度評 価

盛 土 と同 様 に, 評 価対 象 と なる 切取 に 対 し て踏 査 を 行う。 切 取 の場 合 は ま ず崩 壊 形 態 を判 別す る必 要があ る。 こ れに は式(4.10) に 切取 高 さH , 表 層 土 厚 さD 

■■'",図4.25 に 示し た 地形 条 件 を代 入 して 判 別 得点 Z を求 め る。 判 別 得点 Z が1 く Z の場 合 は表 層 崩 壊,Z <‑1 の場 合 は深 層 崩壊 ,‑1 ≦Z ≦1 の場 合 は 表層崩 壊 と深 層 崩 壊 両 方 の 危 険 度 評 価 基準 を 適用 する。

危 険度 評 価 は, 切取 の 構 造条 件 と して の り 面勾 配 β, 切 取 高 さH , 土 質 ・ 地 質 条 件 とし て土 質5., 貫 入強 度Nc, 表 層土 厚 さD 

・''■, 基 盤の 岩 種R c, 基盤 硬度R A, 集水 条 件と して 地形 条 件 匯,;, 経験 雨量 条件 と し て年 平均 雨 量R    irを 表4. 14, 表4. 15に 示 し た 崩 壊形 態 別 の 危険 度評 価 基 準 に適 用 し, 表 層 崩壊 の場 合 は?o.    . 

「 {}。9が, 深 層崩 壊 の 場 合は?O.      4 「 0。2が, 両 方 の場 合 は?0.. r" → と?' 。4 

「(1。2が 限 界 雨量 とし て求 め ら れる。

なお , 実 際 に 降 りつつ あ る 降 雨量 に対 し て, 経 時 的 な危 険 度 評 価 を 行う 必 要が あ る 場 合に は, 着目 す る 地点 の経 時 的 な 雨量 デ ー タが必 須 の 条件 であ る 。 斜 面 のジ ャ スト ポ イント の 雨量 を 適時 把 握す るこ とが 困 難 な場 合に は 近 傍の 雨 量 計 の デ ー タ を式(4.6) に代 入し て 補完 す る。 こ れに よっ て 限 界 雨量 五・・r ・と実 雨量 と の比 較 が で き

るこ と に なり, 経時 的 な 危険 度評 価 が可 能 と なる。

本研 究 の成 果 は, 降雨時 の災 害 の多 く を占 め る 盛 土 や切 取 に対 し て, 従 来抱 え てい た① 危 険度 評 価結 果が必 ずし も精度 の 高い もの で ない, ② 危 険 度 評 価 結果 と 運転 規 制 基 準が 関連づ け ら れない, とい っ た 問題 を 一 挙 に解 決で きる もの であ り, 経 験 と実 績 に よっ て判 断し てい た斜 面 の保 守 担当 技術 者 から は 歓迎 さ れ, こ れに もとづ い て 既 に 一部 のJ  R 会社 では, 本研 究 で提 案 し た危 険 度評 価手 法 に よっ て 斜面 の健 全 度 を評 価 し てい る。

今 後, 本 研究 の成果 に もとづい た斜 面 の危 険度 評 価が 少 し で も多 く実 施 さ れ, 鉄道 の斜 面災 害 の防 止が 図ら れる こ と によっ て, より安 全で安 定 し た鉄 道 輸送 が 確 保 さ れ るこ とを 期待 し たい 。

謝 辞

本論 文 を作 成 す るあ たり, 多 く の方 々にご 指 導, ご 助 言 をし てい た だ き まし た。

まず, 本論 文 の とり まと め と審 査 にあ たっ て, 東 洋大 学 の田 中芳 則 教授 , 赤 木俊 允 教 授, 米 倉亮 三 教 授 なら び に荻 原 国宏 教授 には, 終 始 全般 に わたっ て貴 重 なご 意見,

ご 指 導 を賜 り まし た。 こ こ に深甚 なる 感 謝 の意 を表 し ます。

本論 文 の主 と な る研 究 は, 昭和63 年 より平 成6 年 まで の7 年 間の 長 きに わたっ て実 施し た研 究 の成 果 を とり まと め た ものであ り ます。 こ の研 究 を進 め るにあ たり, 国士 舘大 学 の 岡田 勝 也教 授 には, 岡 田 教授 が 鉄道 総 合技 術 研 究所 在 職中 から , 本研 究 のテ ーマを始 める段 階か ら 現 在 に至 る まで, 一 貫し て 懇 切 丁寧 なご指 導 を 賜り, 本研 究 を 遂 行 するために必要 な斜 面 防 災 に関 す る知 識・情 報 をご 教 示し てい た だき まし た。 研 究 内容 に対す るご 助 言 は もと より, 研 究 活 動 に対 す る基 本的 な姿 勢 につい て もご 指導 をい ただ き, こ れ な くし て は本 研 究を 完 成 するこ とが で きな かっ たこ と と思い ます。

こ こ に, 深甚 なる 感 謝 の 意 を表し ます と と もに, 心 よりお 礼 申し 上 げ ます。

また, 本 研 究 を 進 め る にあ た り,多 く のご助 言, ご 指導 をい た だ きまし た大 島洋志 氏( 元 地質・防 災研 究 室長, 現国 際 航業 株式 会社 ), 鉄道 総 合技 術 研究 所野口 達 雄氏

( 現 環 境 防 災技 術 開 発推 進部長 ),村石 尚 氏( 現 環境 防災技 術 開 発推 進部 主 幹技 師)

須長 誠 氏( 現企画室 主 幹 ),さら に現 地 調 査, 実 験,解析で 多 大 な協力 をい ただ き ま し た佐 溝昌 彦氏( 現 環 境 防 災技 術 開発 推 進部 ), 垣 尾 撤氏( 現J  R 西日 本大 阪 建設工 事 事 務 所),香川清 治氏 ( 現J  R 西 日 本施 設 部 ),福司 淳 一氏( 現J  R 北 海 道札 幌構 造物 検 査セ ンタ ー), 藤井 昌 隆氏( 現J  R 西日 本 施 設 部), 災 害事 例 の提 供や 被災箇 所 の現地調 査で協 力をいただい たJ  R 各 社 の防 災担 当 者 の方 々,伊 勢 鉄道 株式 会社岡 村昌夫 技 術 部 次 長 に は 心 よりお 礼 申 し上 げ たい と思 い ます。

さら に, 本論 文 は 筆 者が 研 究室 と 総務 部 を 兼務 す る 間に とり ま とめ た ものであ り,

さまざ まな 面で 深 く理 解し てい ただ き まし た, 鉄 道総 合技 術研 究所 河田博 之技 術 開発 事業 本 部 長, 垂 水 尚 志 総 務部 長, 四 ノ宮 章総 務部 主 幹 に深 く感 謝い たし ます。

最 後 に, 研 究 開発 部 門 から 離 れて い る 間に 執筆 を 進 めた 関係上,と り まとめ が土曜 日 ・ 日 曜 日と な り, こ の 間家 族 サ ービ ス もお ろ そ か に なっ た が, こ れを理 解し て くれ

た妻 の則 子 と子 供 た ち に も深 く感 謝し たい。

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