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長崎県約 920 例 HBV 持続感染者の genotype 分布の検討 (2018 年度中間報告)

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(1)

厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業)

平成 30 年度 分担研究報告書

肝炎ウイルス感染状況と感染後の長期経過に関する研究

長崎県約 920 例 HBV 持続感染者の genotype 分布の検討 (2018 年度中間報告)

研究代表者: 田中純子1)

研究分担者: 永島慎太郎1)、山本周子1)、KOKO1)、大久真幸1)、秋田智之1)、 高橋和明1)、山崎一美2)

1)広島大学大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学 2)国立病院機構 長崎医療センター

研究要旨

長崎県五島列島の上五島地域では、医療機関・地域健診・職域健診を受診し、HBs抗原陽性と判定された HBV持続感染者(キャリア)に対して上五島病院付属奈良尾医療センターにて経過観察および治療介入を行 っている。本研究では同地域のHBVキャリアの初診時に得られた血清に対してHBV DNA sequence及び

genotypeを解析し、肝病態に関わる領域のmutationの有無をGenotype別に検討して肝病態の推移との関連

を明らかにすることを目的とした。

この研究は広島大学疫学倫理審査委員会の承認を得て行った(広島大学 第E-1244号)。

1. 1980年から2017年の期間に長崎県五島列島の上五島地域の医療機関・地域健診・職域健診を受診し、

HBs抗原陽性と判明した 成人約920名のうち、今回は478名(男268名、女210名、平均年齢不明)

の保存血清を対象とした。

2. HBs抗原陽性の成人478例中、Real time PCR陽性は321例(67.2%)であった。Real time PCRによるウイ ルス量は、101~102 copy/ml117例と最も多く、中央値2.2×101copy/ml(範囲:0~3.9×108copy/ml) であった。

3. HBs抗原陽性であった478例中、今回274例のSP領域におけるsequence解析が可能であり、41例はS 領域におけるsequence解析が可能であった。

1) SP領域におけるsequence解析が可能であった274例において、94.9%(260/274例)がgenotype C、4.0%(11/274例)がgenotype B、1.1%(4/274例)がgenotype Aに属した。

2) S領域におけるsequence解析が可能であった41例において、97.6%(40/41例)がgenotype C、

2.4%(1/41例)がgenotype Bに属した。

4. 最終的に478例のうちsequence解析が可能であった315例(SP領域:274例、S領域:41例)におい て、95.2%(300/315例)がgenotype C、3.8%(12/315例)がgenotype B、1.0%(3/315例)がgenotype Aに属した。

A. 研究目的

長崎県五島列島の上五島地域では、医療機関・地 域健診・職域健診を受診し、HBs抗原検査で陽性と 判定されたHBV持続感染者(キャリア)に対して上五 島病院付属奈良尾医療センターにて経過観察および

HBV DNAにおいてcore promoter領域にmutation があるキャリアはmutationのないキャリアと比較し HCCのリスクが高く、予後不良であるため、NA治療 等の早期介入が必要であるとする報告1)がある。

本研究では、同地域のHBVキャリアの初診時に得

(2)

られた血清に対してHBVDNAの配列とgenotypeを 解析し、Genotype別、肝病態に関わる領域のmutation の有無別の肝病態の推移との関連を明らかにするこ とを目的とした。

B. 対象と方法 1. 対象

長崎県五島列 島の上五島地域において1980年 から2017年の期間に医療機関・地域健診・職域健 診を受診し、HBs抗原陽性と判明した 成人約920 名のうち、今回は478名(男268名、女210名、平 均年齢不明)の保存血清を対象とした。

2. 研究方法

対象とする保存血清を用いてHBV DNA量の測定 を行った。また、HBV DNAが検出された検体に関し て系統樹解析を行い、HBV genotypeを決定した。

3. 測定方法

1) HBV DNA:Real-time PCR、Nested PCR 2) Genotype決定までの手順 (

図1

a)Real time PCRを行い、HBV DNA量の測定を行 った。

b)全検体でNested PCRを行った。コンタミネーシ ョンを避ける為、HBV DNA量が検出感度

(1copy/ml)以下-103copies/mlの検体と 104-109copies/mlの検体に分けて(nt475 –nt933: S region・P regionの一部:本研究にお いて<SP領域>とする)のNested PCRを行った。

c)HBV DNA量が検出感度以上かつ<SP領域>

Nested PCRが陰性の検体に 対して<SP領域>よ りも高感度の<S領域> (nt455-nt687: S region) を用いてNested PCRを行った。

d)Direct sequenceを行い、得られた塩基配列から MEGA version7にてUPGMA法により系統樹解 析を行った。

(倫理面への配慮)

この研究は広島大学疫学研究倫理委員会による 承認を得た(第E-1244号)。

図1.HBV DNA nested PCR 増幅領域

(3)

C. 研究結果

1. HBVキャリア478名におけるHBV DNA量の分 布

Real time PCRを施行した結果、対象としたHBs 抗原陽性の成人478例中、Real time PCR陽性は 321例(67.2%)であった。Real time PCRによるウ イルス量は、101~102 copy/ml117例と最も 多く、中央値2.2×101copy/ml(範囲:0~

3.9×108copy/ml)であった(

図2

)。

2. HBVキャリア478名におけるHBV DNA量別に みたNested PCR結果の内訳

HBV DNA量別のnested PCR対象検体とその結 果を示す。リアルタイムPCRで検出感度以下の 検体157例のうち、45例がSP領域のnested PCR で陽性であった。SP領域のnested PCRでは292 例が陽性となり、そのうち274例がシークエン ス解析可能であった。SP領域陰性のものは全例 DNA量が104乗以下と低く、これに対して感 度の高いS領域のnested PCRを行い、41例の genotypeを決めることが可能であった。(

表 1

)。

図 2.HBV キャリア 478 名における HBV DNA 量の分布

表 1. HBV キャリア 478 名における HBV DNA 量別にみた Nested PCR 結果内訳

(4)

3. SP領域Sequence解析が可能であったHBVキ ャリア274名のHBV genotype内訳

SP領域Sequence解析が可能であったHBVキ ャリアのうち、94.9%(260/274例)がgenotype Cに属し、4.0 %(11/274例)がgenotype B、

1.1%(3/274例)がgenotype Aに属した(

図3

)。

4. S領域Sequence解析が可能であったHBVキャ リア41名のHBV genotypeの系統樹

S領域Sequence解析が可能であったHBVキャ リアのうち、97.6%(40/41例)がgenotype C に属し、2.4%(1/41例)がgenotype Bに属した

図 4

)。

図3.SP 領域の sequence 解析が可能であった 274 例における HBV genotype の系統樹

図 4.S 領域の Sequence 解析が可能であった 41 例における HBV genotype の系統樹

(5)

5. Sequence解析が可能であった計315例のHBV genotype内訳

478例中sequence解析が可能であった315

(SP領域:274例、S領域:41例)において、

95.2%(300/315例)がgenotype C、3.8%(12/315 例)がgenotype B、1.0%(3/315例)がgenotype Aに属した(

図 5

)。

図5.Sequence 解析が可能であった計 315 例の HBV genotype 内訳

D. 考察および結論

1. 長崎県五島列島の上五島地域において1980年か ら2017年の期間に医療機関・地域健診・職域健 診を受診した約920名のうち、現時点では478名 のReal time PCR、Nested PCRを行った。

2. Real time PCRを施行した結果、対象としたHBs抗 原陽性 478 例中、Real time PCR 陽性は 321 例 (67.2%)であり、ウイルス量は 101~102 copy/ml117例と最も多かった。

3. SP領域のnested PCRでは292例が陽性となり、

そのうち274例がシークエンス解析可能であった。

SP領域陰性のものは全例DNA量が104乗以下 と低く、これに対して感度の高いS 領域のnested PCRを行い、41例のgenotypeを決めることが可能 であった。

(1)SP領域Sequence解析が可能であったHBVキ ャリア274例のうち、94.9%がgenotype Cに 属し、4.0 %がgenotype B、1.1%がgenotype Aに属した。

(2)S領域Sequence解析が可能であったHBVキ ャリア41例のうち、97.6%がgenotype Cに 属し、2.4%がgenotype B

に属した。

4. 最終的に478例のうち、sequence解析が可能で あった315例(SP領域:274例、S領域:41例)

において、95.2%がgenotype C、3.8%がgenotype B、1.0%がgenotype Aに属した。

5. 更に残り約440例のSequence解析を行い、HBV

DNA Sequence 解析結果と診療録データ(年齢、

診断名、抗ウイルス療法の有無、セロコンバー ジョン日など) を合わせた解析を行う予定であ る。

【参考文献】

1) Yin, J. et al. Hepatitis B Virus Combo

Mutations Improve the Prediction and Active Prophylaxis of Hepatocellular Carcinoma: A Clinic-Based Cohort Study. Cancer Prev Res (Phila) 8,978-988,

doi:10.1158/1940-6207.CAPR-15-0160 (2015).

2) K. Takahashi, et al. Hepatitis B virus genomic sequence in the circulation of

hepatocellular carcinoma patients: comparative analysis of 40 full-length isolates. Arch Virol.

1998 ,vol 143; 2313-2326

F. 健康危険情報 特記事項なし G. 研究発表

1. 論文発表 なし 2. 学会発表 なし

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

(6)

参照

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