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研究の現状 石 津∴英 雄

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(1)

788   第36巻軍6号  

ポーランドにおける投資効率論  

研究の現状  

石 津∴英 雄   

1。まえ.がき  

2..カレツキーおよぴラコブスキ−の投資効率算式   3… 時間要素の問題  

4い フィレェルのアプローチ  

5−期された問題t、−さ; 

−・2ク ー  

1爪 ま え がき  

社会主義諸国における投資効率論の研究ほ近年ますます盛んになってきてい   る。周知のごとく,投資効率係数の決定ほ.単なる技術選択の問題にとどまら   ず,諸資源の合理的配分,その効率的利用とも関連し,また価格形成の問題や   社会主義経済の発展テンポの問題とも深い関連性を有する。それだけにソ同盟   ほもちろんのこと,他の社会主義諸国でも幾多の経済学老がこの間題に体系的   な解決を与えるため多大の努力を払っている。殊に56年以降においては方法論   的にも根本的な再検討が加えられ,分析の頼果ほより精緻化し,それに・現実的   深みもいっそう増してきている。   

しかし−∵概に社会主義国といっても,投資効率論へのアブロ−チは必ずしも   一様のものでほなく,その間に根本的な見解の相異もある。現に標準効率係数   ひとつをとってみても,ポ−ランドとハンガリーでは部門共通の単一・の標準効   率係数が採用されてい▲るのに,他方,ソ同盟やその他の国ぐにでほ部門毎に異  

(1)  

った複数の係数が設定され,投資選択の基準にされるといった状況である。   

社会主義諸国における投資効率論研究の具体的状況ほ,これまでのところ,  

ソ同盟を除いてほわが国でほ余り知られていない。なかでも方法論的にみてユ  

ll)ⅢyL(CTaJIb升・,ObOr7Pe4eJIeHHH3KOHOMHqeCIく0蕗3帥ez(THBHOCLrHKarIHTaJIbHbIX    BJIO〉KeHHABCTpaHaX−yJIeHaXC∋B,BOrIpOC以〔9KOHOMHKH・No・10,1961,CTp・98 

(2)

ポーランドにおける投資効率論研究の現状  

−2J…−  

789  

ニ・−クな性格をもつポ・−ランドの研究状況ほ全く知られていないといってよ  

(2)  

い。恐らくA・ザ♭バ・−マンの論文が筆者の知りえた限りでほもっとも総括的   な紹介と批判を与えているようにみられる。筆者ほ,ザクバ−マンの見解を参   考にしながら,ポ−・ランドの代表的研究者,すなわちM・カレツキ・−,M・ラ  

(3)  

コブスキ・−,H・フィレェル等の見解を紹介し,あわせてかれらのアブロ−チ   にみられる特徴と問題点を摘出してみたい。以下においてほ相対的効率(追加   投資の効率係数)を主たる分析対象として取りあげることにする。  

2 カレツキーおよびラコフスキーの投資効率算式  

初めに標準効率係数の理論的な算定方法をラコフスキーによりながら説明し  

(2)Zauberman A一り The Soviet and Polish Quest for a CIiterion ofInvestment  Efficicency,Economica,Aug 1962  

(3)KaleckiMり,Dynamikainwestyejiidochodu narodowegowgospodarces〇Cjali・   

StyCZnej,Economista,nr5,1956Lr r社会主義経済における投資と国民所得の動態」   

KaleckiM,Wplyw czasu budowy na wysp61zaユe乏no主einwestyciic dochdu   

naIOdwego a wsp61czynnikzamro之enia,Economista,nrl,1957「投資と国民所得    の関連に及ぼす建設期間の影響」   

KaleckiM・,O wsp61czynnikuzamoro之enia,Economista,nr6,1958「減此偵却の    諸要因について」   

KaleckiMhiRakowskiMl,Uog61niony wz6r efektywnso畠ciinwestycii,Gospo−   

daIka planowa,nIll,1959   

「投資効率の−・般的モデル」   

筆者は上記の文献未見。ラコフスキーとフィレェルについては次の文献参照。   

RakowskiM,Zagadnienia ekonomiipolitycznej・SOC)ializmu,1959 

出社会主義経済学の諸問題一打   

筆者はこの部分訳であるロンヤ語版と英語版を利用した。   

Pal{OBCKH葺肌りO pacqer9Z{OHOM椚eCIく0葺9¢㊥eKrHBZlOCTH KarIHraAOBJrO〉KeH浦,   

>BorIPOCbr9KOHOMHtIeCKO蕗9¢¢clくTHBHOCrHl{arrHTa乃OBJIO〉ⅠくefIH良く・nO旦peR,   

T.CⅩatia′r\ypOBa,Mocz(Ba,1962   

RakowskiMl一,=Economic Accounting ofInvestment EffectivenessH,Problems of   

PoliticalEconomy o董Socialism,ed by O‖Lange,New Delhi,1962   

FiszelH小,Efektywno録inwestyc.】i,OptimumprodukcjiwgospodaICeSOCjalistyczn−   

e3,Warszwa1953㌢社会主義径1#における投資効率と最適生儲「。   

この部分訳がラコフスキーの論文と同じくロンヤ語版と英訊版ででて小る。  

¢叫e月}br∴′,rlpo6J7eMa∋0¢ez{川Bl−OLr拓Ⅰ{arlHTa刀OBJrOXeHHii・>BOrIPOChI3Zく0IiOMH−  

qecKO葺∋輌elく川8HOCⅢl(ar7日raJlOB刀0〉Kem涌く,rrO月peLtT CXatTal.ypOBa,   

MocIくBa1962  

FiszelHl,りCostsand Optimum Productionin Socialist Economy ,Problemsof    PoliticalEconomy of Socialism,ed・by OLange,New Delhi,19G2 

(3)

第36巻 第6号   790  

・叩2クー  

よう。追加投資の償還期間は国民所得を最大ならしめるように規定されなくて   はならない。これは投資効率の決定における共通の前提である。そしてこの計   算の基礎は.,設備を運転する最小限の労働者紅よって同一・生産高をもたらす−よ  

うな設備の取替に関する効率分析によって与えられる。殊笹ポーランドのよう   に労働力の需要がその自然的増加を上回る国では,このような設備の取替の必   然性は直ちに実証され,先へ行け時行くはど,ますます大きくなることが予想  

される。カレツキ−やラコフスキー一によって展開されたポ・−−ランドの投資効率   分析ほ労働市場の均衡を想定している点にまず第一・・−■・の特徴がある。   

もちろん,償還期間の大きさを決定する理論的な手掛りは設備の取替によら   なくとも,現存設備の近代化という問題を考察することに.よっでも与えること   ができる。技術進歩は,労働生産性の向上を促し,一一・定魔の労働力を遊離せし   めるこ.と紅なるが,他方では完全雇用の達成という承某日標を維持しようとす   るかぎり,これは旧設備の稼動をある期間引き延ばすことになる。   

ヲコフスキーほ,新しい建設対象に十分な労働力が保証されないような労働   絹場の均衡を前提とし,÷つの異った技術を用いた場合に・国民所得の増加がと  

のように/なるかを示し,近代化紀要する追加投資の利用がいかなる条件のもと   で合理的であるか否かを判断しようとする。労働力の不足をカバ−するには当   然老朽設備からなにがしかの労働力を吸引しなくてはならない。したがって,  

新投資がもたらす所得の増大効果をそ申まま投資効率として評価するわけには   いかない。これまで旧設備を運転していた労働者のうち,新設備の稼動のため   に.吸引された労働者の生産していた所得部分ほ,新投資がもたらす所得の増加   分から当然控除されなくてはならない。ラコブスキ一紅従ってこれを数式で示   すと次のようになる。  

AD=__∠ggめ  

〝多   

記号はそ、れぞれ次のように定義される。  

ムD=国民所得の増加分  

∫=投資  

(1)   

(4)

ポー・ランドに.おける投資効率論研究の現状  

791   

ユタ ー一  

沼=一平・均資本集約度(近代理論・でいう平均資本係数)  

dgg=旧設備から遊離せる労働者数   疏・コ旧設備に.おける労働の平均生産性  

参考のために説明すると,この式を変形すれば,周知のハロッド=トーーマ型の   成長モデルが誘導されることに.なり,現にカレツキ一服そのような定義式を与 

(4)  

えている。筆者の手許紅はカレツキい・・‖・とラコフスキー・の共同執筆になる雑誌論文   がないので,現在のところ,いかんとも判断しがたいが、.まずヲコフスキ・−・の   見解はカレツキ−・のそれとはとんど同じではないかと推測される。   

ところが,この場合に」もし資本集約的な投資バリアンドが存在するとして,  

その技術進歩のため軋償還期間(r)をもつ追加投資(ん)が支出されるとすれ   ば,技術進歩の結果として原価の低下(d∬ノがえられ,新しい対象の建設に必   要な資本東山ほトんとなる。改めて指摘するまでもなく,この関係ほ過加投   資の償還期間の算式から当然に導かれる。もっとも資本集約的な投資バリアソ  

トを採用すること紅よって,そ‥うでない場合に比して新しい対象の建設鼻が減   少し,そ・れに対応して労働力需要も削減されることに.もなる。その大きさは,   

臓  

(2J  

で示される。この式のあは.新しい対象に従射せる労働者1人当りの国民所得を   あらわす。しかし同時に労働力需要の追加的な削減が生ずる。なぜなら,技術   の改良に要する投資んの結果として経常支出がム町だけ減少サーるからである。  

労働者1人当り賃銀をlγとすれば,この関係は,   

∠品烹一  

で示されよう。  

(3)  

し引 力レッキーの所得成長式は次のごとくである。  

孝〒去一妄(トc孝トα→一〝  

y=国民所得,Jy=所得増加,桝=限界資本係数,∫=粗投資,C=平期懐妊期間,   

俳号技術進歩の要因,〃=磨滅率   

Cf.MontiasJ,M.,CentralPlaninngin Poland,New Haven,1962,pp15皇H156。   

(5)

792   第革6巻 第6弓   

−ユノ ー  

前述の記号を用いて追加投資の償還期間を示すと,それほ∠∬=与′である   からパれを(3)式に代入すると,結局のところ,A品=嘉河なる関係式がえ  

られる。   

この場合における旧設備の取替需要は,労働力の不足の大きさいかんによっ   て決定されるから,旧設備から転換される労働力はもはや前述の』品でほ.なく  

て,A乙・−』易−』Z2というこ.とになろう。   

そこで資本集約的な投資バリアソトを採用した場合にほ,国民所得の増加は  

次の算式で示される。すなわち,   

Jβ′=一慧−−(∠品−嘉一劫d;   (4)  

となり,(4)式の蛮は取替られるととろの設備における労働の平均生産性であ   る。だから,取替規模がより小さい場合に.ほ,最も生産性の低い設備を選ぶべ   きである。   

以上の考察から明らかなごとく,』β′二>』∂の条件がみたされるならば,近代   化に.要する追加投資は効率的といえる。前述の(1)式と(4)式を用いて所得増加の  

羞を示めせば,   

憲一(ム乙一高−¶劫d;ら・去−』孟ds    (5)  

となるが,いま単純化のために蛮=あで不変とみなせは,上述の不等式は次の   ごとく簡略化される。   

(鳥+意)疏>急   この式を変形すると   

rく×またはrく音ズ㌫  

高  

(6)  

(7J   が導かれる。ラコフスキーによって明らかにされた標準償還期間の大きさは労   働生魔性と資本集約度とによって決定される。かれに従って,ポ−ランドの長  

期封画の勺数値をあげると,  

∽=2.5,あ=90(千ズロ・−チ),広ニ80(千ズロ・−チ),艇25  

(千ズロ・−チ)であるから,これを(7)式にあてはめると,   

(6)

793  

ポ−ランドにおける投資効率論研究の現状   −25−  

2.5×90,000 り  80,000  

rく−   25,000  r、90,000−30,000   

4.5年  

のごとき討算結果がえられる。   

要するに.,近代化投資の償還期間が5年より短かければ,このために予定さ   れる資本支出は効率的とみなすことができる。しかしラコフスキーはその他の   諸要因をも考慮して前述の4.5年よりも幾分長い償還期間(具体的にほ6年)  

をま采用するのが望ましいとしている。ラコフスキーによって取りあげられた標   準償還期間はもともと国民経済全体を対象としたものであるからノ√,直接的生産   部門もあれは補助的生産部門もあ、り,そこでの生産要素の結合と生産性に/はそ   れぞれ差が生ずるであろう。これをマクロ的に捉えようとすれぼ,原料生産部   門や住宅建設の面も当然考慮されなくてほならない。かれはポーランドでほ.こ   の問題が重要性をもつから,前述のどとく,償還期問を4.5年とはせず,.6年  

とみなすのが妥当であるとしている。またポーランド 

経済全体紅ついて単一・の償還期間,いいかえると,部門毎軋異った標準投資効   率係数を採用しないのは,理論的に.は単純化を行うためであって,技術進歩や   労働力のバラン∵スや就菜構造等における変化に応じて、部門毎に標準効率係数   を設定するに.は計算上の困難が余りにも大きいという。次にはポーランドで採   用されている投資効率測定の一腰式を説明し,ラコブスキーがこれをどのよう   に理論的彫琢を加えているか,以 ̄F■この問題を検討しよう。   

償還期間の公式を用いて種々の投資バリアソトの優劣可否を決定しようとす   る試みほ,ソ同盟でほかなり点くから行われてきた。これらの過去の嘩緯につ   いてほ,たとえば,ソ同盟でほA・ステパン∵コフの著番『∋KOHOM玉川eCKa兄   9¢㊥eKTHBrIOCTb rIpOH3BORCTBa甚KarIHTaJIbHbIX BJIO〉KeIlI敢』(1963r.)に詳  

(5)  

しい説明があり,また英語で書かれたものとしてはG・グロスマンの論文か役   立つであろう。しかしここでは主題から離れるので詳述はしない。いま同一層   類の生産物を同一潮間軋同一慮だけ生産するのに二つの投資バリアソトがある  

(5)Grossman G・, ScaICe Capitaland SovietDoctorine ,Readings on the Soviet   

Economy,edlby FD HoIzman,Chicago,1962,pPい311−343.   

(7)

第36巻 第6号   794   

ー・・ご∂ 一−  

としよう。新たに建設される投資対象の平均操業期間を20年(ラコフスキーーほ    これを標準操業期間とみなしている)とし,建設過程での資材の凍結問題はさ    しあたり捨象して考え.る。′もしそうだとすれは,これらのバリアソトは資本支   出と経常支出の大きさだけが異なるだけであるから,投資効率の計測は容易に  なる。たとえば,第lバリアソトでは資本支出が相対的に低くて経常支出は相   対的に高いが,これに対して第2バリアソトは資本集約的で,資本支出が相対  

的に大きく経常支出は少ないとする。いま第1バリアソトを基準粧すると,  

両者の関係は∫已=ム+d′,品=瓜−・ム打となる。そして〟<ム打・rなるかぎ    り,当然第2バリアソトを選択することが望ましい。いまこ.の不等式の両辺に  ム十戯rをそれぞれ加えると,  

ム+応T・+』∫・くム寸品r・+AだT   

となり,これな変形すると,  

(ム+・∠∫)+品T・くム+(属㌻十Aだ)r  

′2十晶r<ム+瓜r   

となる。したがって,投資バリアソトの正しい選択条件は,  

、・・〟  

∫+∬r または  

を最小ならしめることである。この点での基本的な発想はポー・ランドもソ同盟  

(6)  

と何ら異なるところがない。もし上述の式を年間生産物アと関連づけて考察す  

れば,投資効率の条件は,   

且ご沼∠ぉ  

となる。ところが,、ポ・−・ランドの経済学者たちは.こ.の公式には各バリアソトの  

資本支出の凍結期間や操業期間の相逮,すなわら,種々の投資バリアソトにお  

ける生産高と経常支出の時間的な分布の相違が全然考慮されておらず,これら  

を具体的かつ統一・的に分析しないかぎり,投資効率測定の一・般式を誘導するこ  

(6)机eTO且t4KaOrTPe属eJZetiH513Z(OHOMHt7eCIミ0法王ゆ中eIくTHBHOCTH71HeAperrH5IHOBO葺   

TeXHHK払MeXaモⅢ3al叩H H aBTOMaTH3aIIHHrZpOIi3Z30LLCTZletⅢbrX rIpOlleCCOB B r7PO−   

Mu山刀eIiHOCつ、払 出ocKBa,1962.   

(8)

ポーーランドにおける投資効率論研究の現状   −27−−  

795  

とができないとしている。以下順序を追ってその点紅関するラコフスキ・−の説   明をみることに.しよう。 

現在のところ,  社会主義諸国では資本の槻会費用,つまり建設過程で甲資本   支出の凍結によって生ずる経済的損失を算定し,それを投資効率式に加えるぺ  

きだとする見解ほ多くの人びとの承認をえ,もはや通説軋なった感じがする。  

(7)  

筆者は別の械会紅この問題に.触れたこともあるが,ただラコフスキーを初めポ  

−ランドの経済学者はこの点でも独自の問題把握を試みているので,この際説   明しておくのが有意義であろう。カレツキ・−およびラコフスキー・は,投資(♪  

に.投資の平均凍結期間(物)と後述される比例係数(敵)を乗じた大せさ(ね挽)を   用いて,資本支出の凍結による経済的損失を測定しようとする。   

ところで,前述の比例係数(翫)はいうまでもなく,近代理論でいう資本の   機会費用であるから,もし固定フォンドの遊離がなく,しかも平均資本集約度   が前述のごとく研で示されるのであれほ,当然平均的に.みた資本の級会費用は   豹==一となる。ラコフスキー鱒よると,ポーランドでは研は近似的に2・5と  

されているから,才乙=こ0・4である0しかし実際には固定フヵ・ンドの遊離  

を考慮しなくてほならず,その大きさ(ぴ)は0.08とみなされているから,資  

1  

本の機会費用ほ最終的にはダニ=一丁㌃−む=04−・0・08〒037となる0こ・の数値  

はかなり大きい。つまり年間1ズロ−チの資本凍結紅よって0.87ズロ−チの損   失を生ずるのである。   

これまで説明した資本凍結に.よる経済的損失の発生に関する議論はソ同盟そ   の他でも行われているので,別段これといった新味があるわけではない。両者   の違いは起りうぺき資本の機会費用を労働力供給の状態との関連で把握すべさ   か否かにある。さしあたって労働力に余剰があれば,前述の損失はそのまま現   実に起りうるのであるが,もし労働力供給に余力が全然ないとすれば,状況は   必然的に変化し,さきに封辞された資本の機会費用をそのまま承認するわけに  ほいかない。ラコブスキ・−はこのように説明し,理論的にはそれを次のよう紅  

(7)拙稿「ソヴュトにおける投資効率論の展開(その1)」,香川大学経済論叢罪35巻第6   

号,48一−53ぺr−ジ。   

(9)

第36巻 第6弓  

796  

−・−2β・−・  

把挺すべきであるとしている。要するに,凍結された投資諸手段を他のいづれ   かの個所で所得の増大のために利用しようとするのであれぼ,現実には当然な   にがしかの追加的な労働力を率要とする。したがって,機械化のための資本支   出またほ新設備による旧設備の取替砿よって,必要とされる労働力を他の分野   から予め確保しなくてはならない。だから,実際に国民所得をdだけ増加さ   せるには,前もって所得を増加させる資金(∠1=椚d)と労働力の節約に要する   資金とを支出しなくてはならない。労働者の賃銀をⅣ=㌢・d(′は比例係数で所   得に対する賃銀の割合)であらわせは,償還期間がrの場合に・おける労働力の   節約に要する資本支出は.磨■2=lγr=7・drで示される。その結果,国民所得を増   加させるに必要な総資本支出は去=∠1ヰよ−2=研♂・+プ drとなる。ポ−ランドのよう   に労働力が不足している国では,そうでない場合と異なり,資本の概会費用ほ  

次のように決定される。  

1   

∽+㌢・r  

d  

留方=T ̄=  

多  

川d+J■dJl  

ラコフスキーの分析の算2の特徴はこ羊・にある。いまこの式に現実の数胤  

一己0.18となる。すな  

∽=2.5,′・=0.5,r=6を入れると,匂炉=  

2.5+0.5×6   

わち,資本の機会費用ほポ−ランドでは近似的に18%である。これから前述の   固定フヵ・ンドの除去率0.08を差引けば,鮎=0・18−0.08=0.15がえられ,投資  

効率の− 

般式ではこの数値を用うべきであるとかれは述べている。   

それでほこの資本の機会費用をどのように投資効率の算式に加えるべきか。  

この点についてラコブスキ・−は,凍結される資本支出を利用したとすればえら   れるであろう国民所得の増加分は,帰するところ投資フヵ・ンドの増大に利用さ   れるから,名目的な投資(′)に資本の機会費用(ね挽)を加えるぺきだと考え  

ている。   

したがって,さきの投資効率の静式は,  

杵トヴ粛+g  

丘丁=  

のどとく修正される。   

(10)

797   ポーランドにおける投資効率論研究の現状  

鵬−2や−・−   

ところで,ラコブスキーによって説明された資本の機会費用(釣)と追加投資  

の効率係数(÷Jの数値ほ実質的にほはとんど羞をもたない0それなのに,  

なぜ断とrというパラメ・一夕ーの区別を行う理由があるのだろうか。ダゥパ「  

マンもこの点に関心を寄せ,ポーランドの学者の間でほこの間題iこ関してかな   り激しい論争があったと伝えている。カレツキーやヲコブスキーのような二分   法の支持者ほ,沼と7ケがそれぞれ労働力の過不足に対する自動調節装眉として   作用することを強調したといわれる。かりに労働力供給が過剰で資本が著しく   不足していれぼ,そのときにほ賃銀の支払を抑制し,投下資本の早期の償還が   望ましいとされる。つまり数式ではr㌢・ほミニマムとなり,¢バまピークに達す  

る。また生産要素の供給が逆の場合にほ,乃はど−クに向い,算式の分子に   ある机は大いに引きあげられ,曾ガは最小値となる。しかしこのように理解し   たらといって,別段この式からは二分法が正当であるという主張は生れない。  

二つのパラメーターrと釣のうち,後者の茹がより敏感紅反作用する点にこ  

そ理論的な意義がある。そ弟では酌を割引率として用い,追加投資の償還期   間Tを糎棄してしまほないのか。  ザクパーマンによると,1957年いらい−・連   の論文を通じてカレツキーほ,資本の機会費用をソヴュトの学者ら と異った方   法で把握し,その理論的合理性を強固紅主張してきたといわれるが,筆者はこ  の間の状況については資料の制約があって知らない。このカレツキー・のアブロ  

−チ 

ろん,カレツキー叫やラコブスキ−は資本の磯会費用を単利で計算している点ほ   問題になろうが,ここではさしあたりフィジーエルの理論展開をみよう0   

いま生産要素結合の異なる二つの投資′りアントがあるが,投資と生産費の   総合計額がともに等しいとする。  

ム十風ニム十英    したがって,  

ム・−ム=戯−−&   

となる。もしムーム=去,品川瓜芯ゐとおけば,前式は去■芯ゐとなる。   

この場合第2バリアソトを選べば,〝年の操業期間中にはイだけ資本支出が   

(11)

798  

第36巻 第6号   

ー3クー  

節約されるが,他方烏だけ経常費が余計にかかることになる。この資本支出の   節約額(オ)を利用すれば,その結果としてわれわれほd=g・タに等しい国民所   得を増加させうるであろう。もちろん,この場合に.おけろ少はラコフスキーの   如に相当する。しかし第2バリアソトを選んださいの資本支出の節約額(g)は   それをことごとく利用するととはできない。なぜなら,第2バリアソトを選ぶ   こ・とによって生じた生産費の増加を年々柑つ回収することが必要となる   からである。   

したがって,われわれが自由に処理しうる資本支出の節約額は,まず第1年  

㌣こは,  

. 点     多 .〝−・1  

I−−    =㍉巨−   =コI  

JJ  JJ  J   

であり,また第2年には,  

2烏  

2∠ .〃−2  

.         ‡−    =リー   =一−     〃JJJJ   

であり,(〝・−1)年にほ,   

よ・・・一也ニ捷=査・一拍ヒ旦舅・  

〝  搾   

となり,そして最後の〝年にはゼロとなる。   

そ・とで(〝−1)年間にわれわれが自由に処理しうる投資手段の合計額を求め  

ると,結局それほ,   

凛十グ誓+1…斗去・÷司崇+誓・、+証  

左・十音  

(誓‡)穿字  

となる。このようにして求められたよ等量ほ,第2バリアソトが選ばれた場合  

に一年間に国民所得の増加を可能ならしめる資本支出の純節約額である。もし  

投資査が碩間綱用されるのであれば,各年の資力の増加はぎ憲である。  

したがって,国民経済全体として−えられる所得増加(d)は次のごとくなる。   

d・・   

(12)

甘−ランドに.おける投資効率論研究の現状  

−βユー  

799  

前述のごとく,椚ほ国民経済会体の平均資本集約度をあらわす。だから,前式  

は   

弼桓・一 

1   

となり,この式からヲコフスキ・・一によって示された資本の槻会費用(如)−−フィ   Vェルほこれを利子率(stopa procentowa)と呼ふpを容易に求めることがで  

きる。すなわち   

タコ・ 

がこれである。この式紅おいて■操業期間(〝)がきわめて大きいものとすれば,  

結局のところ,前式はさら紅単軌されでア=となる。すなわら,利子率   はおよそ資本集約度の半分の値となる。フィレ.㌃ルの具体例では沼=3,〝=20   としているから,P==岩16%の結果がえられる0そしてこの式  

言  

からわかるように,利子率の大きさは,操業期間(乃)の変動にははとんど依存   せず,むしろ資本集約度(∽)の変化紅敏感に影響される。念のため,いま〝霊   aOとして計算しても,あるいは桁=40として計算してこも,利子率の大きさほと   もに約16%ではとんど不変である。だから,フィレユノレに従えほ,利子率は労   働供給の低落に.よって生ずる資本集約度の.上昇に二つれて段階的に低下すること   になろう。カレツキ・−・やラコフスキ−らがあえて追加投資の償還期間(T)の外   に.,蛮本の枚会費用(釣)を区別した理由も実はフィレ.ェルの論証によってい   っそう明確となろう。カレツキー・やラコフ.スキ・−のアプローチについてはザク   パーマンが適切な説明を加えているので,以下に若干それを引用しよう。「カ  

レツキ・−・とラフフスキー・・のアブロチではrほ純粋な要素代沓率として理解さ  

れる。それは幾分独特な決定のように思われるが,経済における平均資本集約   度の増加函数ほ新しいプロ汐エクトの労働の平均生産性に依存する。・−・定鼻の   投資には資源と労働力が取っておかれ,資本集約度と労働生産性の最適水準に   対応せるrの億は国民所得を最大化するであろう。それは一億恩の投資可能な   資本と想定された産出増加率をともなった労働市場の均衡に対応せる技術状唐   をあらわす。㌧マクロ経済的にほそれは雇用削減の費用を意味する。ミクロ経済   

(13)

罪3β巻・欝6号  

800  

一且2−  

的軋はいかなるバリアソトにおける投資も経済全体における産出増加率と労働   市場の均衡とに.影響を及ぼさないように投資バリアソトの効率が等しくなろ  

(き)  

う。」ダゥバー・マンが指摘している時間要素(割引率)の問題は,1946年にC・  

(9)  

r・スりレミ.リンが初めて問題提起を行って.いらい,今日までソ同盟でほ各揮  

の見解が発表され,なおそ・の理論的な処理をめくてって論争が継続している。ソ  

ヴヱトでは肌・肌・プロド汐ヤコノフによって提案された割引率(Ko9納期eHT   oTAa刀eHHOCTH)が標準法に.も採択されて,投資はもちろんのこと,無 

あらゆる支出に・もそれが拡張解釈されて適用されている?この点に関しては最  

近r・H・チ‡ルノモル汐クが批判を行い,注目すべき新たな提案を行ってい  

rlO)  

る。しかしポー・ランドの提案のように,現在のところ,ソ同盟ではrと酌を二   分して用いるという試みほ筆者の知るかぎりでほ存在していないようである。   

労働市場の均衡と調和するよう紅哀を規制するさい,ポー・ランドの方法は㌢ 

(賃銀の所得に対する比率)を考慮している。これほ労働市場の均衡という前  

提をきびしくみようとするもので,ダウパーマンほこの点てでカレツキーらがそ  

\1い  

れを完全雇用均衡と混同して考えていると批判する。しかし現実には相互依存   関係があり,完全雇用は技術選択を決定するであろうし,また選択された技術   が完全雇用の意味を規定するであろう。戦後における経済体制の変化が甘−ラ   ンドでほ農村から工場への偽装失兼の移動を伴い,高水準のエ菜雇用ほエ業に  

おける労働集約度の上昇に.よって達成されえたといわれ′る。このような経済的  

背景こそが資本凍結の問題を特殊な形で解決するという契機になったのでほな   かろうか。  

(8)Zauberman,Opt.Cit.,P.243.  

(9)CTpyMHJIHHCいr・,◎aKTOpBPeMeHHBhpoeKTHpOBaXZ(arZHraJIbHbrXBJTO〉Ⅸe  

( H3BeCTH51AKaBeMⅥHayKCCCP,OTReJIH班e9KOHOMHKHHrlpaBa No31946 )   uα tIepHOMOp即朕r・H・,BeJIHtlHHa HOpMaつ、HBHOrO CpOKaOKyrIaeMOCT封=HerO   

CB兄3bC¢aKTOpOMBPeMetⅢ,>机eTO且も‖ほnPalくT漬KaOrIpeAeJleH班兄9帥exLrHBHOCTli    XaJmTaJrZ>ZIbIXBJrOXeHH葺HHOBOiiTeXHkrZ(t4<,rIOZL peZL Tl}C・XaqaTypOB,朗ocIくBa,   

1962.  

(11)ZaubermaIl,Opt.Cit・,P.245・   

(14)

ポーランドにおけ■る投資効率論研究の現状   −β3− 

801  

3.時間要素の問題  

もうひとつの方法論上の大きい差は,投資バリアソトの操業期間の差を理論  

的に.どう処理するかに.ある。カレツキ■−やタコブスキ・−らのアブロ・叫サ紅みら  

れる単∵・効率係数の背後にほ固定フォンドの耐用期間を−】−・株とみなす考えが秘  

められている。すなわち,具体的にほ各固定フメソドの償却期間の加重平均値   をとり,これを標準採集期間(20年)とみなす。したがって,操業期間の異っ   た投資バリアソトを比較するさいにほ,そのため当然に操業期間の相異によっ   て産出高と経常費に差が生ずる。具体的に計算を簡単化しないと,投資バリア   ントの優劣可否を決定するには尤大な時間を要することになる。そのた吟に,  

とこで二つの修正を施す必要が起る。ラコフスキ・−はこの問題の理論的処理に 

あたって次の二つの条件をおく。すなわち,  

(1)資本投資は年々−・定比率α%で増大する。  

(2)投資バリアソトは〟年の操業期間を有する。  

そしていま建設期間を捨象すると,ある年の終りにおける固定フヵンドの大き   さは,・その年になされた投資(′)とそれ以前の(乃−1)年間のそれをと合計した  

ものに.なる。この間定フォンドの合計額を肋であらわせば,   

肋=差1†ぽ=′ユ!二島捷空 α   

となる。もし平均資本集約度を別に等しいとすれば,生産愚は次式によって  

示される。  

㌧⊥∴−  

凡;−→=∫  

些 

〝7 

α〝Z   

しか 

これは各国定フォンド償却期間の加重平均値である)だけ操糞されるとすれ  

ば,平均資本集約度も桝では.なく研gとなる。この場合における総生産鼻ほ.,   

蛙)侮〕(1十αL  

〔1・−−   

釣合=豊=′   α〝ヱg   

(15)

802  

第36巻 第6号  

ー∂4・−  

紅よって決定される。   

このように,操簸期間と簡森集約度の異なる二つの経済発展′リアン㌻があ   り,それぞれのバリアントの縛年産遍がともに等しい(凡=凡ぶ)としよう0そ  うすると,こゐ方程式から療本壌約度と操業期間の関連が明らかとなる。  

すなわち,  

′   粘 

−=ニ  

′−  

α,搾   α桝g  

から,  

ト(丁去)光彦  

一−=ニZ醜は=  旦 

′′ト 

ト(∴) ト   

■    1  

つ「   

ト(読)殉  

が誘導される。   

Z(資本集約度の相違)は投資の拡大テンポαにも,固定フォンドの操業期   間形(ただし粘は不変の大きさ)に.も依存することとなる。もし投資の増大テ   ンポがゼロ軋近い単純再生産では,Z=一芸腰一㌃に近づく 〉つまりある投資   バリアソトの操業期間が標準操業期間の2倍(乃=払)であれは,同一山豊の生  

産物をうるに確乎均資本集約度も2倍(沼=2椚g)にならなくてはならない0   

拡大再生産の場合に催事情は全く異なる。経済全体の年々の投資増加率(α)  

が7%であるとすれば,Zニノ (〝)は次のようになる0  

竺、l 5.10 15  20  25  30  35  40  45  50  …  

38.766.386.0100.0110い0117.1122,2125い8128.4130巾2135.0   

(注)〝ざは20年とする。  

この例からも明らかなように,操業期間が40年のプロ汐一エクトを採用したとす   れば,同劇生産患をうるには資本集約度を25・8%だけ引きあげざるをえない0   だから,動態経済では静態経済よりも操業期間のより長いプロ汐一エクトを建設   することが望ましい。   

このような総投資盈,生産患および操菜期間の間の依存関係ほ,総資本支出   と総生産の一・部を構成する個々の対象にも拡大される。いま操菜期間(れ 資   

(16)

ポーーランドにおける投資効率論研究の現状  

−β5−  

803  

本集約度(〝わ)を有するプロ汐エ.クトでの年生産高をPとし,それに要する投   資を′とする。この投資を総投資魔の一部とみなし,年々同じ型の新企業がそ   の投資恩の範囲内でたえず建設されるとすれば,総生産藍の等しい別のプロ汐  

‡.クトによってこのプロ汐ェ.ク†をおきかえることができる。しかしこの場合   の標準操業期間ほ牒gで,資本集約度は椚ざ=号とする0そうすると,同一一塵   産患の保証されたプロ汐‡クトでの年生産高鳥は,  

すコ勒=伽ざ=鳥号から,  

践=_些=PZ  

〝わ   

になる。このように,標準操業期間にすべての要素が換算され,Pの代りに・PZ  

を効率算定式に含ましめたとき,初めて一正しい効率評価をなしうるのである○   

操業期間が生産水準に及ぼす影響を考慮すると同時に,次にほ総経常支出へ   のその影背をも検討しなくてこはならない。このようにして前述の効率算定式に  

もうひとつの修正を加えることに.なる。生産物原価ほあとに建設された対象で  

は系統的に低 ̄Fする。投資と生産星が年々α%ずつ増加する場合にほ,新しく   建設される対象の生産費は以前のそれに比して年々C%(αよりも低い)だけ増   加する。ラコフスキーーはポ−・ランドでは具体的には投資と生産屋の増加テンポ  

(α)ほ.7%であり,また生産費の増加テンポ(c)ほ.8%であるとして−いる。  

ぁる年摘設される対象の総生産繋が・であるとすれば,碩間細ける   総生産費は  

芸Ⅳ山名−1=  

地空   G飽=Ⅳ 

ゑ(左)名−1 

となり,同様に〝ざ年の標準操業期間を有する対象での総生産費は   

ハ   耶ト(孟)形g〕(1+c)  

G〝g=−  

となる。この両者の比率を求めると   

(17)

804  

第36巻 第6号  

紹  一・・=y  

乃ざ   

ーーg6−−  

GJJ   G晦  

− (i  

1  

キ 完)  

1−  

となり,操業期間が紹年の対象での生産費は,資本支出が同一−であれば,標準   操業期間作詩の対象よりもy倍だけ大きくなる。   

このようなZとyという二二つの修正係数をさきに示した投資効率の算式に 

入れると,   

空聖竺   距   PZ   

がえられ,これをさらに.変形すると,  

イ(1・・豹穐)  

β==  

十  

PZ  

のごとくなる0   

要するに,カレツキーやラコフスキ−・らのポーうンドの経済学者は,初めに   標準操業期間を想定して効率算定式を提案したが,実際には投資バリアン=は   異なった建設期間(懐妊期間)と操業期間を有するため,上れを標準操業期間   に.換算し直して,総生産高と総経常支出とに修正.を加え,これを用いて最終的  

に.投資バリアントの優努可否を判定する基準としている。   

次にラコフスキ小・・・・のあげる具体例をみることにしよう。いま′だ200,勒=2  

年,∬=100,P=1,r=6年とすると,操業期間乃の変化いかんによって効  

率指標がどのように変化するかを明らかにすることができる。計算結果は次表   をみられたい。この表によれは,最善の効率指標は操業期間が18年の投資バリ   アソトである。操業期間を固定フォンドの物理的な磨滅まで延長すると,たと  

えばそれを25年とすれば,投資効率は悪化することになる。−・般的にいえば,  

最適操業期間(穐〆)ぬ,他の条件にして等しいかぎり,効率指標の可変的な  

パラメー一夕ー・,、つまりの函数と卑る。そしてこの比純よって示さ  

れる部分が大きければ大きいはど,最適操業期間はより長くなる。この結果,   

(18)

ポー一夕ンドにおける投資効率論研究の現状  

−−β7−…  

805  

ィ(1十鋸‰)  

P・Z  

g y   

 ̄一戸山●■了■  

(3)  

E=(2)寸(3)  

(4)  

79い4   86小3   93.2   97.3   100.0   106.3   112.6   118.3   123.5  

191 2  151.5   143.5   142け8   143い3   145.7   149 6  153.8   157.9   111。8  

65=2   50.3   45,.3   43.3   39.4   37い0   35.5   34.4  

′(1ト留,〝∫)  

0..5 1.8 5い4 8127.9 24  

∬   

〝(最適操業期間=年)  

5 15  25  30 50 ユ00   資本集約的な部門でほ.操業期間が相当に長くなることが根拠づけられる。上述   の説明のごとく,ポーランドの経済学者は,検討される種々のバリアソトに革  

ってこ生みだされる産出患と生産費の相異を明らかにするため,経済全体に.おけ  

る総産出蜃と総費用の増加率を考慮するという独想的な解決法を示した。そ‥う  

することに.よって,かれらはソグヱトの効率算定では現在十分に究明されてい  

ない設備の経済的磨滅に関する問題を明示的に把握することができるム この点   でも方法論的にほ大きい進歩があると結論できよう。   

ところで,ある企業で仝操業期間中における生産高と生産費が同一である場   合でも,個々の年紅ついてみ寧と,時間要素を考慮するかぎりその大きさは等  

しくない。その場合には,時間の経過に.つれで生産高と生産費は年々α%およ   び守%ずつ減少すること紅なる。したがって,前述の係数yとZほ次のように 

なる。係数yは,   

+…十前  

P+†=完・−l一てふ 

下  

で示され,係数Zほ同じく   

(19)

806   第36巻 第6弓  

−3∂・一  

∬十十ト・   

1甘平    (1+c)殉 ̄1   ∬  

で示される。   

もしこのような常数(島。ねぎ。)がえ.られ,仝操業期間について.算定されるこの  

常数と変数凡とが等しくなれば,この数値を変数の代りに効率算定式軋加え  

\  

るのが計算上はなはだ便宜である。もちろん,生産費についても同じような方   法を適用すればよい。   

種々の生産恩(P£)および生産費(風)に対する未知数為蹄才と麒購甜は次の  

ようにして求められる。  

クる  

=∑PJ   

名=1   JJ.  

∑ 鳥。犯ざ書  

名=1  

(ト+αJ紅1   (1十α)£ ̄1  

この式を変形すると,  

(1ヰα)瑠㌧−・1 讐  

・コ ∑ 為   君醐沼  

(1十〃)名 ̄1  

(1+α)乃 ̄1α 蒜1  

がえられる。これから未知数旦那ぽは  

(1十α)クい1α  

殉  

P㌫摘■ 芋〔∑鳥  

名=1   

として決定される。  

(1十α)礼−−1  

(ト+・α)乃 ̄1  

生は経済計算で資本回収係数と呼ばれるものであり,年々の生産   

(1+〃)殆−・1■○、′ド」 ̄lノ「H 打、宮′丁▼}川/一、J7ン【−J+ ■、′■ ▼V〉▼′ ̄ 〉ユノノ7  

増加率(α)を7%とすれば,この係数を容易に算定することができる。同様に   して脆。柁∫Jを求めると,  

l+c)乃 ̄1・C  

殉  

属ふ那一岩〔∑。私  

感=1   

(1ヰ・C)£ ̄1ノ   (1十C)飽・−・1  

となり,生産費の増加率(c)を3%−とすれば,これまた容易紅計算できる。可  変的な生産藍と経常支出を定常値に換算して,こ.れを投資効率の算式に含める  

と,  

′(1+釣侮)・十島抑ざf・y  

β=・  

君柳沼・Z   

(20)

ポーランドにおける投資効率論研究の現状  

一一3汐一  807  

となる。こ.れがカレツキー・ラコフスキ型の投資効率測定の−一・般式である0   4.フィシェルのアプローチ  

カレツキーーやラコフスキ−を初めとするポ脚ランド国家計画委員会付属経済  

研究所点たちによって,1956年にポーランドでは最初の投資効率算定の一腰式   が発表された。フィレェルが指摘している算式は前述の式よりも簡単で,それ  

ほ次のように.あらわされる。   

1抱ク∂       ′ヰJヴ拘十∑∬・十 ∑属  

E=−−一一一  

ケa      ∑,P  

記 号   

βニ効率係数   

′琶企画される生産蔓Pに関連せる投資   

曾=収益率   

〝:=予想される操業期間   

クさ  ∑∬=全操業期間中の経常支出(ただし減価償却を含まない)  

Jさ  ∑屈=全操業期間中の資本修繕費  

ク各  ∑P=全操業期間中の総産出高  

したがって,種々の投資バリアソトのうちから,βが最小となるバリアソトを   選択すべきである。この点ではフィレ.ェルもラコフスキー・と何ら異るところは   ない。フィレ.ェルはこの⊥般式を出発点としながら,ラコフスキ・−とは異った   方法でこの式に修正を加える。 

かれほ投資効率の算定にあたっては初めに複利率を使用すべきこ・とを主張し   たあと,減価償却の問題に触れ,まずこの点で第1の修正を施しtている。   

(21)

第36巻 第6号   808   

一 粛)血  

周知のどとく,生産固定フォンドは毎年その価値を生産過程で喪失サる。こ   れをあらわすものが償却率であり,固定フォンドは毎年償却額だけその価値を   減少する。この点を明確に.考慮しないと,梓々の操業期間をもつバリアソtの   比較では利子計算を誤ることになる。  

したがって,引算を複利で行い,固定フォンドの価値がその操業につれて減   少することを考慮すると,前述の算式の分子の項(ね乃)ほ次のように書き改め  

られる。   

まけ(乃百花・一票‡う   

この式は次のごとぐてこし誘導される。第1年の投資を′,初めの1年間の投  

∫ 

≡仁ご_テ  ら,紹年の資産ほ 

咋(¢・−÷)¢−−㌃〕ヴ+÷ト    乃  

)=′(甘粕−−÷・若㌻)= 

1  

〃   

¢和一1−一ヴ褐−2  

′(〃雅一−・÷ 

÷(郷一票打  

となる。   

したがって,前述の算式は 

′・ト÷(〝¢殉・一票㌻)   ノミ +∑∬  

(ユ.)  

となる。しかしこの式では資本修繕費が考慮されていない。修正式でほ,減価   償却控除額と投資利子の原価紅おける毎年の負担額は等しくないとされてい  

や。疑いもなく,これは計算結果に影響を及ぼサー。もし減価償却費の年々の増   加と投資利子の年々の増加がその操業期間中に同一山であると仮定すれは,この   

(22)

809  

ポーーランドに.おける投資効率論研究の現状  

Ⅶ4ユーー  

式はいっそう正癒になる。   

いま乃年間にわたって年利率∫で投資を配分する必要があるとすれば,減価   償却と利子の合計額=C)は次のようになる。  

′\】_,(¢−・1)¢循 ユ⊥、ふ ハ,5てト十∫)殉 =、 

C′㌦∴∵−− またはCごニ∫    ▼ { 柁 ¢一・‖■・▲・1 くト● ‥、 ̄■ ■ ▼   ▲(1+■∫)殉−1   

この式は次のようにして誘導される。投資イは牒年間に利子とともに同額が   回収されなくてほ.ならない。初年の投資を′とすると,   

第1年の終りに.は:′(トト∫)−C   

第2年の終り笹ほ:′り寸・∫)乞・−C(1十∫)−C   

第〃年の終りに.は:〃1十∫)れ⊥c(1十ざ)殉−1−C(1+∫)両C(1+ぶ卜Cニ0   

またほペ1十∫)焔…・C〔(1十∫)拘 ̄1寸・(1ヰ∫)殉 ̄2+‖+(1+∫)十1〕=0となる。  

(1+∫)殉−Ll  

′(1ヰぶ)柁一−C  

=0  

(1十旦トー・1  

ざ(t+・∫)乃   

∴ C=   

ぶ(ト十β)飽  

は前節で説明したと同じく資本回収係数である。この結果を算  

+β)殉−1  

式紅代入すると,  

∫‡・・芸g  

O  

Eこ二___‖_. .▼______、___、___  

殉       ∑P  

がえられる。   

フィレェルはこの式を簡単化するために,経常費   毎年同・一・とみなし,次のような修正を試みる。  

囲  と生産高  

(ヴ−1)¢殉   (留−1)¢陀  

+ナノ打   ′  

=与十  

JJP  

(2)  

こ・の式における茸ほ償却を含まない年間総生産費であり,クほ年間の粗生産   高である。   

(23)

第36金 策6号   810   ーーイヱー・  

いま投資を1000,利子率を8%,採集期間を5年とすれぼ,資本回収額は,   

C芸1000一=臥46  

年 初闇×8嘉l減雷撃課額ほ蒜の回愕ト(済  

となる。表から明らかなごとく,償却額は増加するが,償却控除率は・減少す   る。ここでは単純化の仮定によって経常費と生産高を年々同一一山とみなしたが,  

現実にはそうしたことはありえない。当然に費用と生産効果の時間的構造ほ異   ったものであり,この点でポ・−・ランドの一・般法は不十分であるとフィレェルは  

みている。   

資本支出とそれに.よってもたらされる生産効果の時間的分布を考慮すると,  

投資効率係数ほ次のようになる。  

′十卜■十 l  

旦  ヴ  〃2  

.だ=岩−  

Pl.P2  

j㌔  

 ̄十十 

●+矛  

(3)式における瓜,品,  ,晶はそれぞれの年における総生産費,またPl,  

P望,…−・,j㌔はそれぞれの年における粗生産高を示す。もちろん資本修繕費も  

同じように.扱われる。   

単純化のため経常費と生産高が時間的に・は同じよう紅分布するとすれば,投   資効率係数ほ次のごとくなり,  

(留−・1)¢乃  

(4)   

β=   9n・−1  

(ヴー・・1)曾乃  

P   

こ.の(4)式を変形すると,(2)式と基本的紅同じ式がえられる。  

(24)

ポ−ランドにおける投資効率論研究の現状  

・−4β・−  

811  

r留・−1)ヴ循   

フィジーヱルは建設期間や関連投資についても説明しているが,ここでは関連   投資を考慮した場合の投資効率についてのみ触れよう。それぞれの年に‥おける   経常支出を&,脆,・,踪aとし,閑適投資の合計額をムに等しいとすれば,  

毎年の経常支出の減少額は,  

瓜・ム  

第1年には 芸∬  

1   

脆・ん   一節2年には 芸∬  

1   

となる。このようにして計算される額を控除したあとの経常費は  

鉱一一=現  

別恥は  

1  

第2年には  

等々のごとくなる。   

この修正を施せば,投資効率式は次のごとくなる。 

川+ゐ)+ヰ・・+・・+・点  

月=  

+・+・‥…斗  

単純化のため再び経常費と生産高が年々等しいものとして計算を行えば,  

(クー・1)¢褐  

′(1+・ゐ)  

且=ニ   

がえられる。ただし烏は関連投資の割合を示す。今日社会主義諸国では関連投   資(Cof7p5IXeHHbIeKarIHTaJtbHhIe3aTpaTtA)を投資効率の算定紅含ましめるぺき   

(25)

812   第3¢巻 第6号   

−・・−ヰ4−−・  

だとする見解が通説となりつつあるが,その大きさを理論的にこはどのように把   捜するかをめぐってまだ論争中である。これを正確把捉えないことはむしろ現   実的にいって有害である。これほ恐らく産業連関分析の研究と応印をまって今   後改善されることが予想される。フィジエルやラコブスキーらのポ岬ランド経   済学者もこの点については多くは言及していない。   

フィレ.コルがより多く関心を寄せているのは,生産の最適計画と投資の関連  

(12)  

についてである。ある種の生産物の生産を拡大する場合には,直接的な支出だ   けではなく,原料や素材を生産する部門での追加的支出をも考慮すべきであ   る。このような要因の影響を個々の企業は十分に考慮することはできないし,  

原料の追加的需要に伴って起る供給側の生産費の変化紅対しても反応できな   い。これらの問題ほ,全国民経済的規模で問題を検討する上級の計画機関での   み解決されうる。   

ここでは生産能力の利用紅問題を限定して論ずるこ.とにする。もちろん,こ  

l  

れほ専ら生産の技術的条件に.よって決定されるというものではない。社会主義  

経済においては槻麟や設備を物理的に可能な限度まで使用すべきであるとする  

提案ほ誤りである。このような理論の支持者は生産の技術的側面を考慮せず,  

社会主義における技術進歩と経済的磨滅の関係を正しく評価して−いない。もし   このような理論を実践すると,社会主義経済は少なからざ早坂失を蒙ることは   不可避的である。、   

他方,生産能力の最適利用は,限界生産費が上昇を始める点でくづれるとす   る見解も同様に誤りである。このような原理を認める−と,現存設備でつくられ   る生産物は新設備軋よってうべきであるということになる。しかし新設備によ   ってつくられる生産物は必ずしも旧設備によるよりも低廉であるわけではな   い。旧設備に.よる生塵の拡大の場合には,資本費用(償却や利子など)は蘭祝   されうる。なぜなら,その大きさは生産の大きさにかかわらず一・定であるから  

はカ ブィレェルの論文の英語版にはこれが掲載されているが,ロンヤ語版では省略されて   

いる。しかし英語版に.はかなり誤憎があり,数式については特にこ.れが目立っている。   

聾者ほこの点で原文を参照した。   

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