• 検索結果がありません。

深川 怜史 学 位 の 種 類

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "深川 怜史 学 位 の 種 類"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

氏 名 ふかがわ さとし

深川 怜史

学 位 の 種 類

博士(医学)

報 告 番 号

甲第 1685 号

学位授与の日付

平成 29 年 9 月 13 日

学位授与の要件

学位規則第 4 条第 1 項該当(課程博士)

学 位 論 文 題 目

MicroRNA-135a-3p as a promising biomarker and nucleic acid therapeutic agent for ovarian cancer

( 卵 巣 癌 の バ イ オ マ ー カ ー 及 び 核 酸 医 薬 と し て 有 用 な MicroRNA-135a-3p)

論 文 審 査 委 員 (主 査) 福岡大学 教授

宮本 新吾

(副 査) 福岡大学 教授

鍋島 一樹

福岡大学 教授

白澤 専二

福岡大学 講師

田中 俊裕

内 容 の 要 旨

【目的】卵巣癌は女性の中で、5 番目の癌関連死の原因といわれており、婦人科領域では 世界的にも非常に予後の悪い疾患である。卵巣癌の初期の治療は、外科的切除が第一選 択であり、術後の化学療法にはプラチナ製剤、タキサン系の製剤の併用によるものが一 般的である。再発や転移、化学療法への抵抗性が卵巣癌の予後に影響を及ぼし、全ての 進行期において、5 年生存率は 35%ほどである。それゆえに、新規標的治療薬の開発や予 後予測因子となるバイオマーカーの同定が必要とされる。一方で、microRNA(miRNA)は翻 訳されない RNA であり、non-cordingRNA といわれ、約 20 の塩基からなる。主に mRNA の 機能を抑制し、生物学的なプロセスにおいて重要な役目を果たし、アポトーシス、細胞 の増殖、癌の発生などに関わると考えられている。近年の研究では、薬剤耐性や薬剤感 受性に miRNA が関わっている可能性が示唆されている。miRNA-135a-3p は乳がんや胃がん において転移や再発に関わるなどの報告がある。しかし、その機能は卵巣癌においては まだ明らかにされていない。今回、我々は miRNA のうち miR-135a-3p に着目し、卵巣癌 の予後を予測するバイオマーカーおよび卵巣癌に対する核酸医薬として miR-135a-3p の 有用性を検討する。

【対象と方法】miRNA のスクリーニングのため、12 例の卵巣癌患者(Group A : 6 ヶ月以

内に再発あり、Group B : 6 ヶ月以内に再発なし)の血清を対象に miRNA のマイクロアレ

イ解析を実施した。さらに、同定した miRNA については 98 例の卵巣癌患者血液(Gorup

C)を対象に、定量的 real-time PCR(qPCR)法を用いて発現解析を行った。次に、miR-

135a-3p の臨床的意義を検証する目的で、 47 例の卵巣癌患者(血液 : 47 例 ; group

D+E、腹水 : 17 例 ; Group E、組織 47 例 ; Group D+E)、正常卵巣患者血液 7 例、良性

(2)

卵巣腫瘍患者(血液 : 14 例、腹水 10 例)、正常卵巣組織 5 例、子宮体癌組織 5 例を対象 に qPCR を用いて発現解析を行った。さらに、miR-135a-3p の生物学的意義の検証に、

miR-135a-3p expression vector を Lipofection 法で遺伝子導入し 4 つの miR-135a-3p 過 剰発現細胞株を作製した。コントロールに miR-blank vector を遺伝子導入した細胞株を 作製し、腫瘍増殖能を比較検討した。また、それぞれの plasmid vector を遺伝子導入し た 5×10

6

個の細胞を NOD/SCID マウスの皮下に移植し、造腫瘍能を比較検討した。最後に miR-135a-3p の Taget 遺伝子検索として、miR-blank vector と miR-135a-3p expression vector を過剰発現させた 2 種類の細胞株の発現解析を行った。得られた mRNA を 20 例の 卵巣癌組織、5 例の正常卵巣組織を対象に定量的 qPCR 法で発現解析を行った。

【結果】miRNA のスクリーニングにより 3 つの候補 miRNA(miR-135a-3p, miR-630, miR- 1207)を同定した。3 つの候補 miRNA うち miR-135a-3p は、Progression Free Survival (PFS)の Kaplan-Meiyer 法による比較で、予後不良卵巣癌患者の血液で miR-135a-3p は発 現が有意に低かった。さらに、卵巣癌患者の血液、組織、腹水いずれにおいても正常卵 巣患者や良性疾患の患者と比べ有意に miR-135a-3p の発現が低下していた。また、miR- 135a-3p は血液と組織、血液と腹水の間において、有意に相関関係を認め、組織や腹水中 で発現が上昇することにより血液中に分泌される可能性が考えられた。最後に miR-135a- 3p を遺伝子導入すると、卵巣癌細胞の腫瘍増殖を抑制し、薬剤感受性も改善させた。ま た、miR-135a-3p は、BIRC, GABRA3, SPANXB1/2,PPP2R2B を介して、腫瘍増殖の制御に関 わっていることが明らかになった。

【結論】

miR-135a-3p は卵巣癌のバイオマーカーとして有用であり、核酸医薬としての可能性も 示唆された。

審査の結果の要旨

本論文は、非常に予後不良な化学療法抵抗性の卵巣癌の血清バイオマーカー及び核酸医 薬となり得る分子を同定した。

近未来、本邦では男女に関わらず 2 人に 1 人が悪性腫瘍で死亡すると報告されている。

このように急増する悪性腫瘍の撲滅に向けて、標的治療薬の開発に大きな期待が寄せられ

ている。しかし、固形腫瘍に対する標的治療においては、各症例の標的分子発現の評価が

困難なため、標的治療薬の十分な効果を予測することができていないのが現状である。固

形腫瘍の一つである卵巣癌は、容易に腹膜播種し著明な腹水貯留をきたす難治性腫瘍とし

て極めて致死性の高い婦人科疾患である。したがって、現行の核酸アナログに代表される

抗癌剤や近年開発された標的治療薬(Bevacizumab や PPAR Inhibitor)では予後の改善は

期待できず新たな治療薬とともにその治療適応を診断する検査法の開発が切望されてい

(3)

る。

近年の研究から、microRNA(miRNA)が癌、代謝性疾患、発生などに関連すると多数報告さ れている。我々は miRNA に着目し、予後不良および予後良好な卵巣癌患者血清を対象にマ イクロアレイ解析を実施した。予後不良な卵巣癌患者血清で低発現の miR-135a-3p を同定 した。さらに、卵巣癌細胞株に miR-135a-3p の発現 vector を遺伝子導入し、miR-135a-3p の腫瘍増殖や薬剤感受性との関連を解析し、miR-135a-3p は卵巣癌細胞の腫瘍増殖を有意 に抑制し、薬剤感受性を改善させることを明らかにした。また in vivo の解析によりマウ ス生体内でも miR-135a-3p は腫瘍増殖を抑制した。Expression array、in silico 解析に より miR-135a-3p の Target を同定し、miR-135a-3p の生物学的特徴を明らかにした。miR- 135a-3p は卵巣癌の予後を予測するバイオマーカーとして有用であり、腫瘍増殖抑制能を 有し、核酸医薬としての有用性も示唆された。

1. 斬新さ

i. 癌患者血清のスクリーニングにより、バイオマーカーを同定し、vitro および vivo でその有用性を明らかにした報告はない。

ii. 化学療法抵抗性の卵巣癌に対する有用なバイオマーカー及び標的治療薬は未開 発である。

iii. バイオマーカーと核酸医薬を同時に開発し、コンパニオン診断薬を有する核酸 医薬の開発が可能となる。

本 研 究 で は 、 予 後 不 良 な 卵 巣 癌 患 者 を 診 断 す る バ イ オ マ ー カ ー と し て 有 用 な microRNA を同定した。さらに、同定した microRNA が核酸医薬として有用である可能 性も示唆した。

2. 重要性

非常に予後不良な化学療法抵抗性卵巣癌に対する治療薬として、中和抗体による治療 薬の臨床試験が開始されている。しかし、未だその効果は明らかでなく、中和抗体治 療におけるコンパニオン診断薬も開発されていない。この様な、予後不良な症例に対 し、有効な治療薬や診断薬を開発し、卵巣癌患者の予後を改善することが期待される。

3. 研究方法の正確性

本研究では、151 例の卵巣癌患者検体を対象に解析し、バイオマーカー及び核酸医薬 となり得る microRNA を同定することに成功した。さらに、正常卵巣や良性卵巣腫瘍 患者と比較し、得られた microRNA の臨床的意義も明らかにした。その microRNA を用 いて、卵巣癌細胞株の in vitro だけでなく、in vivo でも腫瘍増殖抑制効果を明ら かにし、核酸医薬としての有用性が示唆された。以上から本研究の実験方法には十分 な正確性がある。

4. 表現の明確さ

本論文は英語論文であり、Cancer Science に 2017 年 2 月 15 日付で採択されている。

明確な表現による質の高い論文である。

(4)

5. 主な質疑応答

(1) Q-1:Fig3 (a)に関して。4 つの卵巣癌細胞株を用いて miR-135a-3p を transfection し、導入効率が高い ES-2 より、導入効率の低い RMG-1 の方が腫瘍増殖抑制効果が高 いのは何故か?また、miR-135a-3p の効果を検証するという点では、発現が少ない細 胞株を用いた方がより明らかになる点が多いのではないか?

A-1:4 つの卵巣癌細胞株のうち、2 つ(SKOV-3 と ES-2)を選択し、その後の実験を実 施したのには、2 つ理由がある。

1 つは、miR-135a-3p の発現量が多いにも関わらず、細胞増殖抑制効果が低いものを 選択し、厳しい条件下でも腫瘍増殖抑制効果が得られることを明らかにした。

2 つ目は、細胞株の特性として、選択しなかった細胞は腫瘍の生着が不良であること が予備実験で判明しており、xenograft model の作製が難しいことが予測された点 以上の 2 点から 4 つの卵巣癌細胞株のうち、2 つ(SKOV-3 と ES-2)を選択した。

(2) Q-2:正常卵巣患者の血液や組織を使用するのに IRB へ申請しているか?

A-2:正常の卵巣患者の検体は、子宮脱や子宮筋腫など良性婦人科疾患患者において、

卵巣を合併切除した検体を使用しており、IRB へは申請済みである。

(3) Q-3:miR-135a-3p の Target に対して血液や腹水で検証したデータがあるか?

A-3:今回の研究では検証していない。

(4) Q-4:本文中の Discussion において、「腹水中の miR-135a-3p 発現量は、血清や組織 に比べて多く、卵巣癌の増殖に伴って miR-135a-3p の発現は減少していく」と記載し てあるが、実験結果と相違があるのではないか?miR-135a-3p の発現が低いと予後不 良であるし、miR-135a-3p が腫瘍増殖を抑制するのであれば、卵巣癌の増殖に伴って、

miR-135a-3p の発現は増加するのではないか?

A-4:今回の研究において、miR-135a-3p は tumor suppressor としての可能性が示唆 された。腹水中の miR-135a-3p の発現量が、卵巣癌の増殖に伴い減少するという事象 は、腫瘍増殖抑制のために miR-135a-3p が消費され、減少するからだと考えられる。

この仮説を実証するには、継時的に腹水を採取し miR-135a-3p の発現を検証する必 要がある。

(5) Q-5:miR-135a-3p が癌の浸潤や転移に関わる可能性について。direct あるいは in direct な Target 遺伝子の作用も含めた考察について。

A-5:miR-135a-3p が癌の増殖に関連するという文献的な報告はなく、浸潤や転移に

おいても同様に報告されていない。Target 遺伝子においては、GABRA3 は JNK/AP-1

pathway を介して肺腺癌の転移に関連し

(a)

、乳癌においても、protein kinase B

pathway を介して転移、浸潤に関連しているという報告がある

(b)

。今回の研究にでは、

(5)

miR-135a-3p が Target 遺伝子に関連した pathway のどの部位を調節しているかまで は、検証しておらず今後解析が必要である。

(a):GABRA3 promotes lymphatic metastasis in lung adenocarcinoma by mediating upregulation of matrix metalloproteinases.

Liu L, Yang C, Shen J et al. Oncotarget, 2016; 7(22): 32341-50

(b):The mRNA-edited form of GABRA3 suppresses GABRA3-mediated Akt activation and breast cancer metastasis.

Gumireddy K, Li A, Kossenkov AV et al. Nat. Commun., 2016; 7: 10715.

(6) Q-6:miRNA のうち一般的に機能をもつと考えられている 5’UTR 側の miR-135a-5p の 機能の検証を行なったのか?

A-6:これまでの研究で miR-135a-5p と造腫瘍効果の関連については多数報告がある。

本研究においても、miR-135-5p の cell viability assay を実施したが、卵巣癌細胞 株に対する腫瘍抑制効果や薬剤感受性改善効果は得られず、本研究の腫瘍増殖抑制効 果は miR-135a-3p によるものと考えられる。

(7) Q-7:miR-135a-3p は癌特異的に発現の上昇もしくは直接的に癌の増殖に関連してい るのではなく、ある Target となる遺伝子の pathway が作用する上で結果的に miR- 135a-3p の発現が上昇したと考えるのが自然ではないか?

A-7:miR-135a-3p の腫瘍増殖抑制効果に関しては、さらに検証が必要と考えられる。

今回明らかになった Target 遺伝子に関しても、ルシフェラーゼレポーターアッセイ により配列特異的な標的遺伝子であるかを検証する必要がある。しかし、本研究は、

早期の実臨床への応用を目指し、核酸医薬となり得る miRNA を複数個同定し、Drug Delivery System を解決した新規核酸医薬を開発することが目的である。

(8) Q-8:miR-135a-3p の Target は mRNA レベルのみの検証ではなく Western blotting や ELISA などでタンパクレベルでの検証は行ったか?

A-8:タンパクレベルでの検証は行っていない。miR-135a-3p の Target として同定さ れた mRNA が実際に機能しているかを検証するにはタンパクレベルでの検証も必要と 考えられる。

以上の内容の斬新さ、重要性、研究方法の正確性、表現の明確さ、及び質疑応答の結果

を踏まえ、審査員で協議した結果、本論文は学位論文に値すると評価された

参照

関連したドキュメント

肝細胞癌は我が国における癌死亡のうち,男 性の第 3 位,女性の第 5 位を占め,2008 年の国 民衛生の動向によれば年に 33,662 名が死亡して

 近年、日本考古学において、縄文時代の編物研究が 進展している [ 工藤ほか 2017 、松永 2013 など ]

肝臓に発生する炎症性偽腫瘍の全てが IgG4 関連疾患 なのだろうか.肝臓には IgG4 関連疾患以外の炎症性偽 腫瘍も発生する.われわれは,肝の炎症性偽腫瘍は

詳細情報: 発がん物質, 「第 1 群」はヒトに対して発がん性があ ると判断できる物質である.この群に分類される物質は,疫学研 究からの十分な証拠がある.. TWA

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

つの表が報告されているが︑その表題を示すと次のとおりである︒ 森秀雄 ︵北海道大学 ・当時︶によって発表されている ︒そこでは ︑五

はじめに

同研究グループは以前に、電位依存性カリウムチャネル Kv4.2 をコードする KCND2 遺伝子の 分断変異 10) を、側頭葉てんかんの患者から同定し報告しています