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論文審査の結果の要旨 氏名:髙

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:髙 藤 美 泉

博士の専攻分野の名称:博士(工学)

論文題名:MEMS と積層セラミック技術を適用した微小化システムの研究開発 審査委員: (主 査) 教授 内木場 文 男

(副 査) 教授 西 岡 泰 城 教授 今 井 郷 充

電子機器における軽薄短小化は単に物の状態がそうなることを意味するだけではなく、軽薄短小のなか に高度かつ多様な機能を盛り込むことを意味している。たとえば、そうした傾向は携帯端末機器などの電 子機器に顕著に見られる。データ通信、データ処理、カメラ、センサ、タッチパネル入力など、実に高度 で多様な機能がその例である。携帯端末機器などの電子機器の小型高度多機能化はそれを構成する部品の 小型高集積化によるところが大きく、機器の小型高度多機能化を牽引してきた。

半導体集積回路技術は小型高集積化の決め手としてあらゆる電子機器に採用された。この技術はシリコ ンウェハにフォトリソグラフィを適用し、マイクロメートルからナノメートルの範囲の微細構造を実現す る。その応用で MEMS (Micro Electro Mechanical Systems) と呼ばれる分野も盛んに研究されるようにな った。MEMS では同様にシリコンウェハにフォトリソグラフィを適用して、可動部などを形成することによ って、従来は機械機構を用いたものをシリコンウェハで実現しようとするものである。半導体集積回路技 術においてはシリコンウェハ表面に微細構造を形成することから平面方向の微細化、高集積化に非常に優 れる。一方、高さ方向の集積化は不得手であり、使用できる材料もほぼシリコンに限られる。

電子機器の小型高度多機能化を支えてきたものに積層セラミック技術がある。積層セラミック技術は半 導体とは別の産業として発展してきた。この技術においては、セラミック機能性材料と金属材料を多層積 層し小型高集積化を進めてきた。セラミックコンデンサ、フェライトインダクタ、高周波モジュール基板 などがその例である。積層セラミック技術においては、多数枚数の積層を行うことから高さ方向の集積化 が得意である。また、さまざまな機能をもつセラミック材料を用いることができる。しかしながら、スク リーン印刷技術を用いて導体材料のパターニングを行うことから平面方向の微細化には限界がある。

半導体集積回路技術も積層セラミック技術も小型高集積化という同一の方向性を有している。ところが、

もともと異なる技術分野として発展してきたために、両方を取り入れたものは、半導体パッケージ、モジ ュール基板などわずかなものに限られている。本論文の提出者は半導体集積回路技術と積層セラミック技 術を融合することによって、より小型高集積化を推進でき、画期的な微小化システムが得られるのではな いかと考えた。積層セラミック技術に半導体集積回路技術であるフォトリソグラフィを適用し、機能性材 料に微細配線を施す新たな方法を提案した。また、MEMS において、磁性材料を用いた積層セラミック技術 を組み合わせることによって、超小型の電磁誘導デバイスを開発した。さらにはミリメートルサイズの昆 虫型ロボットに応用して両方を取り入れることの有用性を示した。本論文はこれらをまとめたものである。

本論文は全 6 章から構成されており、以降に各章の概要を述べる。

第 1 章においては、半導体集積回路と MEMS、積層セラミック技術について現在までの研究を整理し、各 技術の特徴を抽出した。MEMS における平面方向での微細化高集積化の利点と高さ方向の集積化の困難さを 示し、一方で積層セラミックの機能性材料の導入と高さ方向の集積化の容易性と平面方向の微細化の困難 さを示した。おのおのの技術に対する問題点を明確にするとともに、両方の技術を組み合わせることの有 用性を提起し、本研究の位置づけと目的にした。

第 2 章においては、MEMS 工程と積層セラミック技術について述べた。本研究では MEMS をとくに研究対象 とすることから、半導体集積回路製作技術の中でも MEMS に特徴的な高アスペクト比ドライエッチング法を 詳細に示した。一方で、積層セラミック工程ではシート工法を詳細に解説した。ドクターブレード法によ るグリーンシート形成、レーザによる貫通孔形成、スクリーン印刷法による導体パターン形成などを示し た。また、実際に本研究に用いたセラミック材料について材料合成方法の詳細も記した。

第 3 章においては、積層セラミック技術では一般的なシート工法に、MEMS 工程の基本であるフォトリソ グラフィ工程を組み合わせることによって新たな微細加工技術を提案した。積層セラミック技術において

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はパターン形成にスクリーン印刷法を用いるのがこれまでの手法であったが、本研究では感光性レジスト フィルムを用いた。本手法を用いることによって、スクリーン印刷法では困難であった微細化高アスペク ト比パターンの形成と、従来のシート工法では困難であった同一層内での異種材料のパターニングが可能 となることを示した。高アスペクト比導体パターンを得ることができることからパターンの断面積増加を もたらし内部抵抗の低下を可能にした。

第 4 章においては、積層セラミック磁気回路を用いたミリメートルサイズの MEMS 電磁デバイスの開発に ついて記した。MEMS においてはこれまで磁気回路の適用が問題であった。MEMS の磁気回路に積層セラミッ ク技術を適用することによって磁性材料を導入し、合わせて小型低導体抵抗の磁気回路を実現した。具体 例として電磁誘導式 MEMS エアタービン発電機と MEMS 電磁モータの開発を行った。電磁誘導式 MEMS エアタ ービン発電機は MEMS によりエアタービン部分を積層フェライトセラミックにより磁気回路を作製した。エ アタービンは圧搾空気により磁石を接着したロータを回転させる回転界磁型とした。磁気回路には単相と 三相の交流磁気回路を製作した。それぞれの大きさは 4mm、10mm 角程度であり、単層、三相ともに発電を 得られた。MEMS 電磁モータでは 4mm と 11mm 角の形状のものの開発を行った。モータの構造部材は MEMS に よってシリコンウェハから作製し、磁気回路には積層セラミック技術を適用して、フェライト中にヘリカ ルコイルを形成した。4mm 角モータでは毎分 1080 回転、11mm 角モータでは毎分 480 回転の回転数を得た。

第 5 章においては、積層セラミック圧電素子を用いたインパクトタイプ MEMS ロータリーアクチュエータ を搭載したミリメートルサイズの昆虫型ロボットの開発を示した。圧電素子は電圧駆動型であり、形状記 憶合金、電磁誘導などの他の方式に比べて動作速度が速く消費電力が尐ない利点を有する一方で、変位量 がm 程度と小さいために mm 単位の変位量を必要とするミリメートルサイズの昆虫型ロボットに直接使用 をすることができない。その欠点を補い変位量を得るために、圧電素子が高速でロータを打撃し回転運動 を発生するロータリーアクチュエータを開発した。アクチュエータの構造部材はシリコンにより MEMS によ って形成した。アクチュエータ筐体に積層セラミックを配置しロータを打撃した。アクチュエータの外形 寸法は幅 1.0 ㎜、奥行き 4.4 ㎜、高さ 3.2 mm で回転数は毎分 60 回転であった。開発したアクチュエータ はミリメートルサイズの昆虫型ロボットのアクチュエータとして応用した。ロボットは 6 脚の歩行を採用 し、リンク機構により昆虫の歩行動作を再現した。実現したロボットの大きさは、幅 4.0 mm、奥行き 4.6 mm、

高さ 3.6 mm であり、重量は 45 mg であった。また、ロボットの歩行信号の制御は生物の神経細胞をアナロ グ電子回路で模倣したパルス形ハードウェアニューロンモデル回路を活用した。昆虫型ロボットは毎分 180 mm の移動速度を示した。しかし、ロボットには電源および駆動回路を搭載していない。搭載可能な小型電 源および駆動回路の IC 化による小型化がマイクロロボットの今後の重要な課題になる。

第 6 章においては、本論文の結論を記した。本論文を通して MEMS と積層セラミック技術を適用すること により機能性材料の新たなパターニング方法、小型電源、小型アクチュエータ、ミリメートルサイズのロ ボットの実現が可能であることを明らかにした。半導体集積回路技術に基本をおく MEMS における平面方向 での微細高集積化の利点と積層セラミックの機能性材料の導入と高さ方向の集積化の容易性を組み合わせ る有用性を提起し、実際に新たな微細化技術と新たなシステムを開発しこれを実証した。

以上を要約すると、これまでは別々の技術分野であると考えられていた半導体集積回路術を基本とす る MEMS と積層セラミック技術を有機的に組み合わせることを本論文の提出者は提案し、セラミック機 能性材料の微細パターニング技術、発電機、モータなどの超小型電磁誘導デバイス、ミリメートルサイ ズのアクチュエータ、ロボットシステムに適用することによってその有用性を示した。このことは,本 論文の提出者が自立して研究活動を行い,又はその他の高度な専門的業務に従事するに必要な能力及び その基礎となる豊かな学識を有していることを示すものである。

よって本論文は,博士(工学)の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上

平成27年2月19日

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