所属専門分野 電子情報工学分野( 松下研究室 )
学籍番号 04674070 氏 名 原 口 輝 久
論文題目 Bi-2212単結晶の臨界電流密度特性と凝縮エネルギー密
度
1. はじめに
Bi-2212超伝導体は低温における特性が優れて
おり、製造コストが安価で加工が容易なため、
発電機やエネルギー貯蔵などの分野での応用が 期待されている。
酸化物超伝導体は電気伝導性の良い超伝導層 とほぼ絶縁的なブロック層が交互に重なり合っ た層状構造を取るが、Bi-2212は特にブロック層 が厚く異方性が大きいためY-123超伝導体と比 べて特に高温化での特性が低いとされている。
しかし低温では特性が向上しY-123と同程度の 高い特性を持つということが知られている。よ
ってBi-2212の特性が改善されれば、低温におい
てはY-123を越える可能性が期待されている。
Bi-2212の特性を向上させる有効な手法としては、
異方性の改善や強いピンの導入などが挙げられ る。また近年Bi-2212の組成を定比に近づけるこ とによっても、特性が改善されることが明らか になった。
そこで本研究では酸素ドープにより異方性を小 さくした試料にピンとして柱状欠陥を導入し、
その特性を評価した。また定比組成に近い試料 に関しても同様に評価し結果を比較した。
2. 実験
試料は全てBi-2212単結晶試料で、試料A~ D、定比組成に近い試料S1、S2 (FZ法により作 製)、比較として試料#1~#3(KClフラックス法 により作製)を用いた。これらの試料は酸素ドー プにより異方性を制御しており、また重イオン を照射して柱状欠陥を導入している。また測定
はSQUIDを用いた直流磁化法により行い、その
結果から臨界電流密度Jcや不可逆磁界Bi、凝縮 エネルギー密度Bc/2μ0などを評価した。
3. 結果及び検討
図1に異方性が近い試料S2と試料Dの重イオ ン照射後の3Tにおける臨界電流密度Jcの温度依 存性を示す。試料S2にはAuイオン、試料Dに はIイオンを照射しており、柱状欠陥の半径は
どちらも約5nmである。重イオン照射によりど ちらの試料のJcも大きく向上していたが、試料 S2のJcの値は試料Dよりも高く、最大で約1000 倍ほど高いことがわかる。試料S1と試料Cに関 しても同様な結果が得られた。これらのことか ら、試料の組成を定比に近づけることは特に高 磁界での特性が向上に有効であると考えられる。
また不可逆磁界Biなどの特性も向上しているこ とがわかった。また最適ドープ状態の試料S1よ りもオーバードープ状態の試料S2の方が特性が 優れていたが、ドープの最適条件はS2よりも弱 いオーバードープ状態であると言われており、
さらなる特性向上は可能であると考えられる。
4. まとめ
試料の組成を定比に近づけることで、特に高 温・高磁界における特性が大きく向上した。ま た今後、酸素ドープ量や柱状欠陥のサイズを最 適条件に近づけることによってさらなる特性改 善が期待できると考えられる。
図1:照射後の試料S1と試料DのJcの 温度依存性
[参考文献]
1)L. Civale, A. D. Marwick, T. K. Worthington, M. A.
Kirk, J. R. Clem, F. Holtsberg: Phy. Rev. Lett. 648- 651 (1991) 67.
[研究業績]
(1) 電気関係学会九州支部(2004, 2005) (2) 応用物理学会(2004秋, 2005春, 2005秋) (3) 応用物理学会九州支部(2004, 2005)
(4) 低温工学超電導学会(2004秋, 2005春, 2005秋) (5) International Symposium on Superconductivity (2004, 2005)
(6) 低温工学 九州・西日本支部超伝導ワークシ ョップ(2005)
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