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ロ蓋扁桃腺の病理組織学図研究
金沢大学医学部病理学教室(指導 石川太刀雄教授)
田 中
7・シ・乃蜘
垂直 _.
昆
7αηα乃α
緒 言
1 ロ蓋扁桃腺の機能的構築軍位
(1) 口蓋扁桃腺の血管系
(2) 口蓋扁桃腺の機能的構築肢位
(3) ロ蓋扁桃腺の淋巴・淋巴管について イ)ロ蓋扁桃腺内の淋巴流の問題 ロ)ロ蓋扁桃腺の淋巴毛細管網
目
ハ)口蓋扁桃腺と鼻腔粘膜の淋巴関係 二)手解扁桃腺と脚病粘膜の淋巴管関係 噂
(4) ロ蓋扁桃腺血管系に関する実験成績 1)プルシアン聖血管内注入実験
2)イソヂゴカルミソ・プルシアン青血管内注
入実験
3)両法による組織学的所見
(5) 口蓋扁桃腺の格子朕繊維
次
(6) ロ蓋扁桃腺の紳経分布
1【 機能的構築馬齢Tonsi110nに基づく病理所見の 稀釈方法
(1)経血管性侵害 (2)病理組織学的検討 (i)濾胞輪入動脈系の障碍 (il) 濾胞扇状動脹分岐部の障碍 (iii)濾胞の障碍
(iv)上行直兜動脈の障碍 (V)上皮下野血管網の障碍 (▽i)淋巴濾胞周辺血管網の障碍 (Vii)平野の障碍
(Viii)輪入血管系呼びにその周囲の障碍 (3) 口蓋扁桃腺の結核について 正皿 結 語
緒 私は,i教室同人が提唱する 化学的感受体系 統図 に基づ熔て,口蓋扁桃腺の機能的一解剖 学的構築に関する研究を試みた.
口蓋扁桃腺に関する従来の研究並びに観察等 を通覧するに,極めて複雑且つ迂余曲折に富め る歌況.その病理学的研究更に生理的機能の問 題に到っては,更に混沌とし,なお解決を見る
に到らす,甲論乙駁,諸家の意見はかならずし も一致せざるナ伏況にある.
私は,いくつかの実験的研究と剖検材料の組 織学的研究に基づき,口蓋扁桃腺に,化学的感 受体系統読の見解を導入,一応複雑と見られる その機構を,解釈し得たと思われる故に,これ を女の如くに発表したい.
言
従来口蓋扁桃腺の組織学的研究は,:Bicke1
(1884),Drews(1885),等により,その端緒が 開かれ,以降その研究報告は枚挙に逞なく,叉
口蓋扁桃腺濾胞の機能的研究に関し,先ず,
Elemming(1885),Drews(1885),は:,その種:
子中心を以て淋巴球生産の場とみなしている.
その後,Hellman(1921),は,種子申心におい て淋巴球生産が行われるものに非す,別に細 菌,有毒物に対する反応中心をなすものと提唱
している.その後Dietτich(1923), Berggre11
(1930),等も,との読に賛成している.
Heiberg(1924),(1925),(1931), H:eilmaDn
(1926),等は,種子中心において,淋巴球の破 壊並びに喰食細胞作用が営まれるものと解釈
【227】
228 田 申
し,Flemming読と全く相対立するに到ってい る.ヒとにおいてAscho仔は,これら相対立せ る両説を折衷し,種子中心は,一方淋巴球生産 を営み,他方にお・いて反応中心として,種:々な る有毒物に対処する場であるとの読を提唱して:
V・る.
口蓋扁桃腺は,1種:の淋巴装置とみなすとと が出来るが,腺窩に近接し,その表面上皮によ って蔽われている点において,一般淋巴装置 とは別意味の吟味を必要とする.Eig】er(1936)
は,生理的に種子中心,腺窩上皮に密接不可離 の関係が認められるといい,Eigler以前におい て,Jolly(1932), Bmus(1924),等;は,扁桃 腺上皮並びに淋巴組織の関係を論じ,淋巴組織 の態度は,上皮細胞機能に密に相関するとな
し,:Brallsは,との意味において,扁桃腺を Lympho−Ep{thellale Mischorganeと解釈してい
る。・
ヒれに対し,Barnes(1923).は,腺窩上皮 はその位置的にも,叉年齢的にも,淋巴球出
\現を甚だ異にするといい,叉Hellmann及び
SchUltz(1935)は,腺窩上皮と淋巴組織は,発 生学的にも明らかに区別される漉きであると し,夫ズの解釈において,上皮機能と淋巴組織 との闇には,生理的に密接なる因果関係を認め 得なV、としてV・る.
一面口蓋扁桃腺の機能に対して,種:々の内分 泌読があるが,一説に対し必ず反対の説が現わ れ,未だ定読を見ない現状である.要するに扁 桃腺が,内分泌腺の一つとすれば,その構造 は,必ず上皮組織を基礎とせねばならなV・.叉 内分泌腺としての特殊な構造を持っていなけれ ばならない.叉一定の化学的物質を專有し,ヒ れが血管叉は淋巴管に入って,他の臓器に対し て一定の影響を与えるべきである.而もヒれら の何れもが扁桃腺に欠如せる事実は扁桃腺を内 分泌腺なりと断定するに躊躇するものである.
以上によって,口蓋扁桃腺は一種の淋巴組織 であり,これに近接して腺窩上皮が位置する点 において,一般淋巴組織と若干その態度を異に
している.
1 口蓋扁桃腺め機能的構築軍位 (1) 口蓋扁桃腺の血管系
一般に臓器を,機能的一解剖学的に観するに は,先ずその血管系より吟味するがよいと思わ れる.扁桃腺の血管系に関しては,既に小野,
中川,向笠等の詳細なる所説があるが,その細 部に関しては,必ずしも,見解を同じくしてい ない.ヒとにおいて諸読を参照しつつ,私自身 が作成した血管系標本に基づいての見解を次に 記載する.因に,私自身の血管系標本は,別報 告の如き,私共創案の方法によるもので,注入
されし色素は存在部位によく固定されて,その 位置を明示し(従来法によれば,色素拡散の紛 れが存する).且つH・Eによる重染色を余る す故に,基盤たる組織と血管系の関係を明示す
る(従来法は,重染色を許さなV・.従って,基 盤組織ぽ無染色のままである)という特徴をも つている.
扁桃腺動脈系は,後記するように,結締織性 の被膜,叉は梁材より扁桃腺内に進入し,直ち に分岐する.当部,就中分岐以前にあっては,
壁の比較的厚い小動脈性のものである.分岐部 附近にあっては,屡々血管腔に拡張,縮少部が あり,所謂Drossel−Arterie11の性格を若干示し ている.動脈枝の1は,各淋巴小結節々を上行 し(上行直動脈と名付ける).上皮下塵に濃厚 な毛細血管叢を形成(上皮下織毛細血管泣き名 付ける)している.淋巴小結触書を上行するに あたり,小結節周辺に毛細血管を分枝し,これ は後述のSchUltze氏静脈叢に連絡するものと,
私は判断する.1分枝は中隔内より,分岐す ることなく,その表皮層に向って斜に弓歌を なして(濾胞小動脈と名付ける).濾胞底部よ り,胚芽中心内に侵入する.ヒのものは,なお Prakapill蕊re−Aτterienの性格を示して魅る.胚
【228】
口蓋扁桃腺の病理組織学的研究 229
芽中心に進入すると共に,直ちに分岐,以降,
胚芽中心内に細小な毛細血管網を形成し,〜二の 血管網より出た多数の細枝は,淋巴小結節の各 方面より出で,濾胞周辺に位置するSch廿ltze氏 静脈叢に連絡している.なお,濾胞の輸入細動 脹の末枝が,濾胞三極より出で,上皮下織に逃 窟し,該部位の静脈叢に連絡することがある.
而して,濾胞周辺の静脈叢は,合流しつつ動脈 枝と澹って,濾胞を離れるが,この時,Sch〔iltze
F
図 1
ユ:上行直小動脹 3:濾胞小動脈 5:輪出静脈系
7:腺 窩
上行直小動脹・
2:上皮下織毛細血管叢 4:SchUlt虎氏静脈叢 6:濾 胞
図 3
氏静脈叢と相錯綜して,淋巴毛細血管網が位置 し,互いに,纒淫しているととが特微である.
これを模型比すれば図1の如くになる.
更に淋巴濾胞を中心とした血管系に関して:
は,小野敏授の精細な報告があり,これに私の 旧説を附して,綜合すれば,次の模式図2の如
くになる.
図 2
二
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F: : 濾 胞 G: :胚芽中心 a:Z: :濾胞動脈
〉; :輪出講脹
次に
写眞1,及び図3はその所見の一端を示すもの
である..
写眞 1
卸量1は私共創案の血管注入
法に一よるものである.、
図3 は正賞1の説明図.
【229コ
230 田 申
斯かる血管系を病理学的に観察する場合,
殊に原因体が経血管性に扁桃腺に進入せし場 合,病変の拠点として注目すべき部位は,1)
Drosse1−A・terien的な部位.2)濾胞間上行枝 並びに,上皮豊艶毛細血管網.3)胚芽愚心に 進入し分岐する血管傘の傘根部(即ち血行調節 部位)並びに胚芽中心内血管系.4)濾胞周辺 のSch田tze油虫1脹叢.5)髄質部分における 静脈系として求め得るであろう.ヒれら所見 は,後章に取扱うこととする.
(2) 口蓋扁桃腺の機能的構築箪位 一般に臓器を機能解剖学的に解析するには,
血管系より吟味するのを至便とするが,而して 口蓋扁桃腺の血管系は,上記の如くに綜括する ヒとが出来る.よって,これと扁桃腺実質との 関係を,扁桃腺主体である淋巴濾胞を中心に吟 味すると,次の如き模式として理解するととが
出来る.
図 4
り,その聞に一個の濾化作用をうけ,かくして 1)血管壁,ついでII)網歌細胞暦にて一種の 濾化作用をうけし血漿部分は,網ナ伏細胞暦につ いで位置する.III)淋巴球生産層に働き,その 有効成分が淋巴球生産に与るものと判断され
る・然る後,余分の血i漿由来性の部分は,
a:濾胞小動脈 F:濾 胞 L 語誌淋巴管 K 腺 窩
G
Lav
G
▽
T
S
S
:胚芽野心
:輸出静脈
:髄 索
:SchUltze二二叢
aは,濾胞底部より上行する細小動脈.G は,胚芽中心.細小動脈は,胚芽中心に入ると 共に血管傘的に分岐し(分岐直前の傘根部を,
私共は,血行調節的に重視し,極血管と名付け ている)・毛細血管網をi経て,Sch田tze下灘脈 叢に集約される.別に,胚芽中心血管は,一個 の限外磁化を営み,濾化されし血漿部分は,血 管系に密接して位置している網歌細胞暦を通
図 5
↓ ○OOOOOOO
nOOOOOOO
n↓
888888888888000000000000 皿
↓ 皿
1動 脈
淋巴系
趨 脈
組織淋巴として,濾胞周辺に旺盛iに発達する 所の,扁桃腺淋巴系に導入される.濾胞周辺に は,既記のSchUltze氏静脈叢が発達しており,
ヒれと淋巴系との密なる関連に関しては,後章 に別に吟味する.
淋巴組織なる点においては,脾臓,淋巴腺,
扁桃腺は,夫々同軌的な臓器というヒとが出来 る.淋巴腺に関しては,別報告に取扱うことと するが,脾臓の機能一解剖学的解釈に関して は,既に教室同人申川の報告する所である.中 川は,脾臓の機能的構築軍位をSplenonとし,
その模式を次の如くに考え,且つとれに基づ き,脾臓病変を,整然と系統的に解析し得ると
1.放射状動脈(冠血管網)
2.毛筆動脈し外血管網)
3.爽動脈
a,所謂芽中心に相当する 部分私共はこの部分を 濾過性部分 と称す る.
b.淋巴球性部分 c・所謂髄索
私共はこの部を 淋巴 球輸途部 と称する (叉はFasciculus)
d.脾 障
壁
1
(三)・ ・
o
6
4
σ o ●
■ o
■
ii
ψ
●
3 2
o ρ
●
9 9 o
0
θ
o
σ
σ
」
〔230】
口蓋扁桃腺の病理組織学的研究 231
とを述べた.
扁桃腺も亦,これと全く同軌的に取拠(得る ものである.
図7は,淋巴濾胞を中心とし:た血管系の模型 で,その読明を必要としなNへ
今,1本の濾胞内動脈分枝によって,灌流さ れる領域を,模式化すれば,図7を得る.a は,濾胞内動脈分枝.その他,b, c,1,2,
3は,図8,に等いへ斯かる,構造模式は,
脾における既記中川(図6)の模式と至く同一 である.
図 7
1
図 8
3
1 胚芽申心 2 淋巴球性部分 3 所謂髄索 a 濾胞動脈 b Sch茸1tz6叢
σc 上行直動脈
1 胚芽申心 2 淋巴球性部分 3 所謂髄索 a 濾胞動脈
bSch廿ltz6叢
。 上行直動脈
但し,両者の構成因子に関し,若干の発達度 の優劣が存する.即ち,本質的には同軌的に解 釈し得るが,若干の変異が存する.
胚芽中心の血管系に存し,脾にあっては,
A.centralis並びにその放射性な分枝(中川の A.radiolata)として,ととに先者がなお,小動
脈性で,その形像から,限外濾過能がより優位 であろう〜二とが推知される.脾にH廿1seDarterie11 が特異構築として認められるが,扁桃腺にあっ ては,精査するも認め難V・.この時,濾胞周辺 の血管系が問題となるが,扁桃腺にあっては,
特異なSchUltze氏琴弾叢が存するが,脾に関 しては,これに相当するものが久しく考慮外に 置かれていた.最近,江口教授は,合成樹脂注 入法により,極めて著明な静脹資が,濾胞周辺 に存するととを報告している.このことは,扁 桃腺と脾との同軌的比較において,興味深い所 であろう.濾:胞周辺の淋巴系に関し,脾につV・
ては,中川論文に総括されている如くである が,ヒのことは,扁桃腺において,後記の如く により著明である.
扁桃腺と脾との最:も著明なる相違は,前者 が,口腔粘膜に近接して,位置して:V・るという ととである.脾の病理的変化の判断には,主と して,経血管性由来を考慮して充分であるが,
扁桃腺のそれにあっては,経血管性の外に,経 腺窩性のものを考慮する必要が生じて来る.
よって,次に,経腺窩性に原因体が,扁桃腺 実質に進入する可能性を吟味することとする,
(3) 口蓋扁桃腺の淋巴,淋巴管について イ)口i平門;桃腺内の淋巴流の問題は,St6hr
(1882),Flem m血g(1885),Paulsen(1888),等 は,扁桃腺は,淋巴球密集,好様組織として,
その申に,続発性小結節を認めるから,淋巴球 発生母地であるとしている.Harriso11(1891),
Kayser (1897), Pluder (1898), L、evinstein (19 09),等;これに賛同している.St6hr(1882),口 蓋扁桃腺上皮より口腔に白血球の遊出は,その 生理的損傷部よりとN(っている.HendersohD
(1898).は扁桃腺内に注入異物の白血球流によ り,表面に搬出されるを認め,Goodale(1897),
距eger(1902),は扁桃腺の遊出白血球は,主 に,自働性運動の悪い淋巴球で,他白血球は,
少数であるといっている.叉G6rke(1907),
Lilldt(1908).,は該淋巴球遊出は:,病源体侵入 防止と,殺菌作用であると\(つてX(る.Federici
、【231】
232 田 ,中
(1908),はカルミン,コヘニイル,結核菌の動 物注入実験で,該物質の24時間後に,扁桃腺に 証明し,且つ上皮より,口腔に遊出しようとする のを,少数認めている.Slebel(1886),も,同 檬な実験で,同様な所見を得たといっている.
工・eDart (1909), は, 鼻腔米腱膜焔こ, Hellke (191
4),は鼻腔,口腔粘膜に,色素を注入し,一部 は,口蓋扁桃腺に達し,更に表面より排除される のを,認めている.叉後者は,家兎は,煤,墨 汁混合食餌で,飼養し,色素が町上皮下に侵入 しないと.とを,認めている.村田(1929).は 口蓋扁桃腺表面及び該腺智嚢部について,前者 には塗布,後者には,注射するに,該胃内に侵 入しなV・としている.G6rke,:Lindt等;はこれ のととに賛同しているものである.叉永井(19 34),は口蓋扁桃腺淋巴は上皮下,濾胞聞を灌 流し,小部分は咽頭腔に流出するといってい
る.所が他方で1コevillstein(1910), Amersbach
(1934),Schlemmer(1921),は口蓋扁桃腺内よ り口腔に向う淋巴流を否定している,
等も1これの一・派である.
ロ)口蓋扁桃腺の淋巴毛細管網
:Billroth(1858)は濾胞の肉眼と開放結をなす 淋巴毛細管の存在を記載している.扁桃腺にお いて略解部,中隔,濾胞に淋巴管細網の,囲聾 するのを認めて:いる人々が多い(K:1ein 1881,
:Baltels 1909, Jurisch 1912, Hagard 1913,
Most 1917,)叉:Frey(1862),は憤¢)扁桃腺被 戸部淋巴管より濾胞周囲に淋巴網を作る分枝は あるが,濾胞内部にはなくて,壮時で盲端で絡 っているといっている.Retterer(1886),は:犬 口蓋扁桃腺は,閉鎖壁淋巴道であるといい,
Hoden py1(1891),:Labbe,:Levinsiruque(1900).
等は〜守れに賛同している.しかし反対に:Baum
(1911),Spuler(1911),は開放淋巴道であると
V・つてV・る.
Schlemmer(1921)は摘出入日桃腺上皮下に 墨汁注射によって,淋巴細胞誘導網(Lymph−
ocytenfUhrendes Netzwerk)を証明し且つ腺窩 内に開口しないで盲端で始まって,濾胞を囲興
する淋巴毛細管網を作り,胚芽中心周囲まで 達すという.叉Ha遜(1875),は胚芽回心周 囲に淋巴毛細管網」があると記載しているが,
Hellmann(1927),は濾胞内に淋巴管はなく,
濾胞を囲領するだけであるとしている.永井
(1934).は犬に墨汁叉はGerota氏液を注入し て,淋巴管は,表面,腺窩に開口しなV・で,閉 鎖管を形成して,上皮下で吻合網を作り,一部 は三具に至り,大部分は,濾胞周囲に網を作る としている.
ハ)口蓋扁桃腺と鼻腔粘膜の淋巴関係
G6rke (1907), (1931),1、enart (1909),
Sch6nennlann (1909), I」evjnstein (1909),
Henke (1914),Ki Ilian(1919), Zitowitsch(19 25),TrutDew(1925),等は実験で,鼻腔の淋 巴管は,口蓋扁桃腺に注ぎ,口蓋扁桃腺を,鼻腔 粘膜の局所淋巴腺と見倣すべきものであるとV・
う.Poll(1911),井上(1928)・はとれの一派 である.
以上の諸家に反対して祠」尾(1910).Amers−
bach (1914), Schlemlner (1921), (1923), 永
井(1934),等は同様な実験で,口蓋扁桃腺と 鼻腔粘膜とは,淋巴管による蓮絡はないといっ
て》・る.
二)口蓋扁桃腺と口腔粘膜の淋巴管関係 上記の鼻腔と口蓋扁桃腺の淋巴管関係と同檬
ヒこ, SoPPey (1874), Stahr (1898), 011endorf
(1898),Dorel〕dorf(1900), Cuneo(1901)・
Polya, v Navratm (1903), Most(1906),
Schweitzer(1907), Polrier(1909),等;の業績 がある.H:enkeは種々の実験で鼻腔のみなら す,口腔と口蓋扁桃腺の淋巴道は存在し,叉該 軽愚より,口腔に向う淋巴流があるといってい る.所がSchlemmel(1921),永井(1934).は これを認めなV・.
以上の文献的な考察,並びに現在の知見から して,一般に口蓋扁桃腺の淋巴関係について は,次のように考えるととが出来る.
1)口蓋扁桃腺は,輸入淋巴管はなく,輸出 淋巴管のみである.
【232コ
口蓋扁桃腺の病理組織1学的研究 233
2)口『蓋扁桃腺内淋巴管は濾胞周囲層に開放 性端で始まり,濾胞間組織内で,濾胞をと りまき網絡を作り,該網の一部は,上皮下 に走って,との所で網絡を作り,被膜に走 り,他は中隔内に出て吻合しながら叉被膜 に走るものである.
3)口蓋扁桃腺の胚芽中心からの淋巴は濾胞 からその主流は扁桃腺内淋巴管を経て被膜 に至るけれど,一部は上皮層聞隙より口腔 に流出するものである.
(4) 口蓋扁桃腺血管系に関する実験成績 血管系を,プリシアン青並びにインヂゴカル
ミン・プルシアン青法を以て追跡した所見を記 載する.
血管系に色素を屑入固定して,その走行を追 跡するためには,使用される色素が網状織細胞 に食喰されす,且つ血管内色素がその所在部位 において正確に國定される必要がある.就中,
第一条件は,網状織系統の発達せる扁桃腺にあ っては,特に考慮される必要がある.従来,こ の吟味のために,二野喰性の殆んど全く認めら れないプルシアン青叉はインヂゴカルミンが使 用されて来た.インヂゴカルミンの組織内固定 に関してば,従来教室倉田学士の創案法が使用 され■ているが,私は更にヒの方法を改良し,殆 んど全く別法によって色素を國定し,且つH・E 重染色を可能ならしめ,基盤たる組織と血管系 とを明確に対比せしめることに成功した.従来 法によれば,組織の後染色を許さす,ただ血管 内色素の所在を証明するに止まっているもので
ある.
1)プルシアン青血管内注入実験
実験材料として,幼若なる猫及び犬を使用し た.爾他の医用動物にあっては,扁桃腺を欠く か或いはその発達が悪い.各動物は殺後脱血せ
しめ,更に水叉は温水にて溶.血せしめる.頸部 にて切断,切断面におや・て,両側総頸動脹に注 射針を挿入,他の切断面は全部ギブスにて固 め,出来得る限り小血管よりの色素濾出を防い だ.而して注射器によって,アルギン酸ソーダ
0.3、0.5%液に水絵具プルシアン青を飽和せし めしものを注入.濃青染し充口蓋扁杁腺を捌 出.塩化アルミニウム飽和無水アルコールにて 群肝.パラフィン包埋.30,50,70,100μの 切片にH・E.後染色.
2)インヂゴカルミン・プルシアン青血管内 注入実験
幼若な犬叉は猫.脱血,溶血後,総頸動脈よ り,アルギン酸ソーダ0.3〜0.5%液200ccに,
インヂゴカルミン69並びに水彩絵具プルシア ン青の小チュープー本を混じ,ホモゲナイザー により充分に均一せしめて注入.捌出口蓋扁桃 腺を,塩化アルミニウム飽和無水アルコールに て:固定.パラフィン包埋.30,50,70,100μ.
切片に,H・E.後染色.
3)両法による組織学的所見
被膜結締織,梁材内の細小動脈は,その壁に 比較的豊富なQuelle Zelleを有し,輸入血液:量 をかなり彊力に調節すべき形態像を示してい る.被膜を離れると共に,数本の細動脈に分岐 するが,色素粒は∬三管腔内に連珠歌に位置し,
との血管系がDrosse1−Arterle11的であると劇断 せしめる形態を示している.
一本の濾胞動脈が濾胞内に進入する時,大部 分は直線歌に,稀に牛置歌に走るが,胚芽中心 に入ると共に,扇棚に分岐する.進入時分岐の 型式に関しては,小野教授の分類(図9)があ
るが,その第;1型,第Ill型,就中第III型を 示すものが最も多V・.濾胞動脹が扇町動脈へ分 岐する部位には,色素束が 1)横倒しにした 下駄膨隆を示すもの 2)滴状色素束を示すも の 3)僅かに膨隆するもの(色素束の中軸部 が塞虚になるヒとが多い)等の形像を示してい る.とれらは,一本の血管が多数の血管に分岐 する所謂血管傘的部位に相当する血行調節の,
典型的ではないが,その傾向を示すものとして 興味が深い.
次に分岐した扇歌動脈は,その大部分は吻合 を営まざるか或いは極めて僅かな吻合を以て,
末梢に放散する.屡々毛細血管移行部,扇町動
【233】
234 田 中,
図9(Nach:Nakagawa)
Tonsi11e Lymphknoten Form 1. 亙1. IH.
o管_
オ豊£●
o? ー…雛((
Alter iFaH
獅浮高高?秩j 謡
∀ 1
》 跡
ノκ
闘
1.Ll(F.31) 15% 5% 80% 80% 596 10% 5%
4〃(F・28) 5 5 90 40 15 40 5
10,〃(F.34) 0 5 95 35 10 55 0
16.〃(F。23) 0 10 90 2r 10 70 0
27,〃(F,45) 0 0 100 10 5 85 0
61〃(F・26) 0 5 30 0 5 85 0
脈末梢部に,辺縁不鮮明な,仔細に観察すると 略ζ紡錘歌の禰漫性な色素漏出を見出すととが ある.血管壁の比較的胃弱な部位を示すもので あろう.線叉は東歌の色素漏出は認められな い.典型的なヒの像を見出し得た場合,血管系 と周囲組織との間における撰択的な交流を考え 得るものであるが,ヒの形像を見出し得ない.
毛細血管後細静脈を集め,末梢:部の淋巴球暦 を流れる細静脈は,網目を形成し,屡々その 所々がアンプル状に膨隆している.との部は 写 眞 2
小
難輸
三三2.淋巴濾胞の周辺暦にSch司tze氏町 版叢が拡張して,見える.その一部はアンプ ル状に拡張し,或いは若干の洩出した色素塊 を認める.
(写眞3)
Sch三i!tze氏静脹叢に相当し,その 容:量は,欝脈叢の拡張により,異 歌に増大する.この意味における 血行調節部位である.(写眞2)
淋巴小結節闇を上行し,上皮下 織に直行する動脈枝は,淋巴小結 節に近接する部位において,小結 節周辺層に,細小毛細血管暦を分 岐し,SchUltze氏静脈叢と蓮回し ている.従って,小結節周辺暦は,
胚芽中心層より来るものと(これ が大部分),ヒれによるものとの 二連の灌流を受けている.後者 は,典型的ではないが,1種の動 静脈吻合を示すものであろう.
写 眞 3
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,
\、噛
て く
図 10
コ コも
も 一…一
贈
斡
スケッチ
一
軍眞:100μの標本.厚さが厚いので部首像は 鮮明でない.所見を摘記すれば図10(スケッチ)
の如くになる.即ち濾胞周辺にSch廿1tze,叢が よく発達していて,胚芽中心より由来するもの と,上行直門動脈に由来するものとの蓮絡を見 ることが出来る.
【234】
口蓋扁桃腺の病理組織学的研究 235幽
上皮下織毛細血管叢は,就中,最も密に配力 に発達している.色素粒は,との部静脈叢に,
濃厚に見出されるヒとが多い.(写眞4)
上 行 直
小・
動 脈
写 眞 4
上行直小動脈が,強力,且つ,上皮下織 に毛細血管網が発達している.
写眞4 i →娘磁毛細三三
脇・7『㌃ 茅
これら色素注入標本に,更にビルシヨスキー 氏鍍銀法を行V・.更に血管の所在ボ走行並びに 壁構造を明確ならしめた.これら標本群に基づ
く所見を要約すると,次の如くになる.
1)濾胞動脈分岐部
イ)分岐部位の経路は,殆んど直線歌か或 V・は僅かに今≧懸歌蛇行かである.この聞 に著しい血管拡張膨隆は認められない.
濾胞進入型式は,小野教授のいう如く L枝型式である,
・)分岐型式には1型,II型, HI型の型 式があるが,2叉珊瑚状が最も多い.
ハ)分岐部より後,略ぐ場状に分散,その 僅かな吻合を営む.
二)分岐:興味難壁に,僅かではあるが,所 謂QuellzeUe11が見出される.
これらの部位は,1個の皿行調節部位として 病理学的観察に際して注目を要する.例えば,
炎症その他の場合に,濾胞動脹分岐部が拡張,
充血するに拘わらす,他の動脈性蹄係が寧ろ貧
血性ゼあるとV・う如きである.
2)胚芽中心
イ)血管壁は極めて菲弱である.
ロ)血管叢は末梢極により密である.
胚芽平心は,透過性の高い,濾過作用、
を営む,易歌動脈支配領域である.脾の 内血管網に相当する.
3)濾胞周辺静脈部
イ)比較的太い静脈が所々に常に散見され る.
ロ).血管は叢をなし,淋巴球層外側を申枢 方向に流れる.
ハ)上皮下織血管叢に直行する動脈の分岐 と連絡する.
二)淋巴球寺外暦に発達せる淋巴毛細血管 網と,密なる関係にある.
散見される血管網が,動脈性三三に比 し異常に広いとと,アンプル昇平を示す ことは,血行調節能を示すものである.
4)上皮解織血管網部位
イ)旺盛な吻合を営む,血管叢は内部によ り密である.
ロ)比較的太V・,血管が所々に散見される一 (5) 口蓋扁桃腺の格子状繊維
次にビルシ当ウスキー鍍銀法による標本で格 子状繊維を追究すると,口蓋扁桃腺格子歌繊維 に関しては,些末(昭16)の詳細な報告があり,
私自身の観察も,これを確認した.よって,,之 れを三子に記載すると次の如くである. 濾胞動 脈附近の繊維は,血管外膜と密に結合しプ略ざ 血管と李行に走るようで,かなり粗大な繊維が 血管壁に密接して,濾胞の入口に認ある.それ.
が分岐し,その数は非常に少ないけれども,細 い繊維は毛細血管壁の繊維と僅かに吻合し,胚.
芽中枢を扇形に走るもののごとくである.濾胞 間網1三三は実質内に入る血管を支持し,血管周 囲格子歌繊維と濾胞聞格子歌繊維は明らかに連 結せるを認むるも,格子朕繊糸勧)増殖は見られ す,毛細血管はその周囲に比較的大な黒色繊維 を随件し,これの繊維より,小なる副繊維を串
{235】
236 田 申
し,毛細血管周囲格子駄繊維と相連合するを認 むることがある.叉種子中心格子歌繊維は稀薄 なるも,濾胞周囲格子歌繊維と蓮結し,互いに 相移行し,種:子中心格子状繊維網倉の形態は多 くは,多角形で,一部繊維は濾胞内毛細血管壁 織子歌繊維と連結する.
(6) 口蓋濡桃腺の祠1経分布
口蓋扁桃腺の薄明分布に関しては,教室同人 が別に施行しつつある瀬戸並びに鈴木氏法に基 づく染色を行ったが,未だ満足すべき結果が得 られない.ヒれは,繊細にして密に発達せる格 子ナ伏繊維との鑑別が困難な〜二とに基づいてい る・文献的にも,僅かにCalamida(1899)山崎
(1934).笠井(1934).を見る程度で,いつれ も紳経終末に関しては,甚だ徹底を欠い七い る.私の観察並びに既往文献を綜合して得られ
る結論は,今日の所下記の如ぐである.扁桃腺 は周囲被膜部祠軽より支配分布をうけ,被膜部 におや・ては血管に,関与すると否とに拘わらすヌ,
種々の走行をとり,その一部祠軽繊維は該部に 游離i生に終るも,他は直接被膜を縦貫し、淋巴 組織内に入るか,或いは梁材中を,血管に関与 し,叉は無関係に,種々の方向に走り,一部は 該部に游離性に絡るも,一部は岐れて血管と共 に,或いは無関係に扁桃線濾胞内に進入する.
濾胞内にある祠1経は即ち,一は被膜より直接 に,他は梁材より入り来るものであるが,大要 二通り区別出来,即ち,一は血管の分枝に従い て走行し,他は血管とは無閣係に種:々の方向に 淋巴細胞間を走り,末端は,多くは游離性に絡
るが,時には結節厭終止をするものがある.
II機能的構築贈位Tonsillonに基づく病理学的所見の:解釈方法 (1)経血管性侵害
扁桃腺に病源が侵入する場合,三方法を想定 するととが出来る.即ち 1)血行性に
2)腺窩上皮より,3)淋巴性に.この 内,淋巴管由来性のものは,扁桃腺に他 臓器より輸入せられる系路は存在せざる か不確実であるので,吟味の焦点外に置
くヒとが出来る.
血管由来性に来れる場合,被膜或いは 梁材小動脈或いは既記Drosse1−Arterien 的性格を有するその分岐小動脈によっ て,血行調節を受け,屡々その周辺に血 管間葉性反応を惹起する.次に,濾胞動 脈は,先ずその血管傘部位で血行調節を 受け,屡々その血管壁障碍を件うに到 る.場歌動脈支配領域は,透過性の高い 濾過装置部分で,血管傘基部の血行調節 部位を突破した病源体は,旗艦動脹にて 濾過され,該部位の血管壁を障碍し,周 囲網歌織細胞層を刺戟する.斯かる胚芽 中心暦は,扁桃腺の主体をなすものであ るので,私の見解を若干詳細に次に記載
したV・.
今一本の扇状動脈分枝の支配下領域を,模式 図 1 1
Ultra6星trat量on
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【236】
ロ蓋扁桃腺の病理組織学的研究 237
的に示すと図11の如くになる.〜二の説明は,図 5に述べた如くである.斯かる口蓋扁桃腺の構 築箪位を一私は「Tonsillon」と名付けたい.1個の Tons耳1qnにあって,扇歌動脈は限外濾過装置 であり,正常にあっては濾過された血漿部分 は,網歌織層にて再濾過,変質され,ヒれが淋 巴球生成暦に働いて,その生産を促す.以下は その輸逡部分であり,淋巴小結節周辺暦に発達 せる淋巴管として確認されるものである.扇散 動裏壁の破綻によって,限外濾過に失調を来
し,以下網欺織暦.淋巴球生霊亀に失調を来す
〜二とはV、う迄もなV・.
主位動脈の細枝,即ち毛細血管は,淋巴小結 節内をたどたどしく走り,小結節周辺暦に集約
されて,とこにSch廿ltzeの静脈叢を形成する.
Schilltzeの静脈叢に対しては,別に,上行直小 動脈の分枝が連絡しているととを,新なる知見 として挙げたV・.即ち, 濾胞動脈→扇散動脈→
Schtiltze静脈叢の正規血行路に対して,直上行 動脈→Schilltze静脈叢iという1種の動静吻合が 認められる.
Schtiltze静脈i叢は,淋巴管叢と相之祝して共 に密に存在する.その壁構造は共に粗で,体液 交替の行わるべきヒとは容易に形態学的に想定 し得る.色素剤血管注入により,血管走行を追 跡するにあたり,屡々淋巴小結節周辺層に限局
した色素漏洩を認むるもめが,この部位に相当 している(写眞2参照).因に,該色素漏洩は,
色素剤を正規の血管内に注入した結果によるも のであるから,異常な加圧に基づく人工的所産
でなv・.
SchUltze静脈叢は, AmPulle形態を示し,血 液容量の大なる〜二とを示している.SchUltze静 脈叢に集約された血液:は,条件により,買上著 明な轡群像を示す.病理学的に,濾胞周辺部位 が病i変生起の一拠点となることは,斯かる機構 に基づくものと解釈し得る.異常な璽血に基づ く該部位の体液累積は,隣接らる豊富な淋巴管
.叢を経て,消退の一方途を見出し得る筈であ
.る.
口蓋扁桃腺は,脾臓と,淋巴組織として父王 的な臓器である.今,その構築軍記としての同 軌的な構造をもつているととを見出し得る.
F
図 Vr L
.u
W
S
1 2
¢
F L
〉α.
↑ T
zS
a:濾胞動脈
Vr: A. radiolat芭
Vo:演出淋巴管 F・胚芽中心 F:胚芽中心
:L:淋巴球生成層 L:淋巴球生成麿
丁・髄索 T,髄索
W・S・hw・ige「一Seide1動脈S,腺窩 S:脾 洞
但し,個々の構造部分に関しては,両者間に 若干の優劣が存する.例えば,扁桃腺にあって TSchUltze貨は重要な位置を占あるが,脾に関し
ては,久しくそれに相当するものを見出し得な かった.江口教授の見出した静脈貴はヒれに相 当するもので,これによって,脾の淋巴結節周 辺部に好発する病変の根拠を解明し得るに到っ ている.或いは叉,脾にあって,茨動脈叉はこ れに相当するものが,淋巴小結節周辺の静脈系 と連絡すべきことが知られている.口蓋扁桃腺 にあって,とれに相当するものが見出し得なか つ:たが,私によってその存在を明らかにし充.
同軌的構造の比較検討によって,夫々の欠部分 を補足し得%わけである.経腺窩腺侵害に関し ては,次章に述べる.
(2)病理組織学的検討
私は上記に蒔いて,口蓋扁桃腺の機能一解剖 学的な特性を示し,且つそれに基づいて,病変 が起る場合,拠点となり得る:部位を系統的に拳 げた.次にこの想定を,病理組織学的に具体的 に観察,検討したいと思う.材料は,本学剖検 田中,口蓋扁桃腺に結核症を有するもの総計 100例(口蓋扁桃腺174個)並びにアデノイド
{237】
238 由 申−
症のため,国立金沢病院におて捌出を受けた.
口蓋扁桃腺92例を主体としている.
口蓋扁桃腺結核は,1)血行性 2)淋巴行 性 3)経腺窩性に発症し得る可能性が存す る.との内淋巴行性感染は,輸入淋巴管の存せ ざるととより,感染動機となり難V・.且つ,既 往文献は,いつれもヒの可能i生を否定して:い る.従って,其体的には,これを考慮する必要 がなV・.よって,吟味の重点は,血行性か経=腺 窩性かの決定に置かれる.との決定に関して は,既往文献を考慮しつつ,後章に記載するこ ととなすが,とれに先立って,私の観察例の主 所見を,前章におV・て,血行1生噛は経由窩性感 染を受けたる場合,病変生起の拠点を構成する 部位を系統的に記載したことに即して,吟味す
るとととする。
(i)濾胞輸入小動脈系の障碍1r
濾胞輸入血管は,扁桃腺の主体をなす濾胞に 直結し,濾胞を侵襲する病源が,それに先立っ て,先ず作用を及ぼす場である.この小動脈 は,壁に若干のQuellze11e11を有し,文献的考 察によれば,若干の紳経支配を受け,且つ色素 注入標本所見に記載せる如く「Drossel−Arterien 的な性格をもつている.従って,かなりな血行 調節能をもつものと,断定するととが出来る.
病理組織単組には,屡々濾胞動脈に,拡張・充 血を認めるに拘わらす,扇盆立脈分岐部以下が 貧血性なる〜二とは,扇欺動脈分岐部即ち血管極
に,張力な血行調節能を想定せしめるが,ヒの ととは,血管極における牧縮と濾胞動脈の拡張 とが,雫銘して行われるヒとを示している.濾 胞動脈の拡張・充血に件って壁障碍を招来する.
写染5は,静歌動脈分岐部以下の貧血,濾胞 動脈の充血並びに血管周囲の若干の粗碧化(水 腫)を示すものである.因に,上行直写動脈
は,濾胞動脈と行動を共にするもので,その充 血並びに上皮下剃充血を,同時に件っている.層 濾胞動脹並びに上行三月動脈は,三太小動脈と 構造を,殆んど全く同一とするが,血管に件っ て平行して走る.淋巴小管がよりょく発達して
写 眞 5
いる.従って:,髄索結核結節形成に件って,騒 動脹周囲に結核結節を認める頻度が高V・.濾胞 小動脈の充血→壁障碍→周囲織反応と.すすむ が,臨床的に扁桃腺炎がくりかえし再発し,ア ンルギ・一性扁桃腺炎と推定されるものに,濾胞 動脈壁並びに周囲織に,水腫様膨化を強く認め たものがある.
写眞6は,濾胞動脈周囲の比較的強V・
血管聞葉性反応を示す.
写 @眞 6
写眞7は,斯かる病変が更に拡大されたもの を示す.濾胞動脈壁は膨化し,周囲織の水腫が 闘い.斯か為変化は・髄索一般に及んでいる・
写眞8は,濾胞小動脈の肥厚と壁の若干の硝 子性変性を示す.血行障碍の慢性化による.小 動脈に蓮織しつつ,格子歌繊維が,若干発難し ているヒとは,前章に記した.血管壁の肥厚と
【23り
口蓋扁桃腺の病理組織学的研究 239
写 眞 7
共に,格子歌繊維の肥厚,硝子様変性を件い.
髄索の同様な変化と蓮絡して,口蓋扁桃腺硬化
となる.
写 眞 8
写眞9は,扁桃腺璽化を示す.別に濾胞血管 極に結核結節,胚芽中心に出血,壊死を認める
写 眞 9
が,ヒのことの吟味はその章下に取扱うことと
する.
濾胞輸入血管系障碍の分類並びに観察頻度は 次の如くである.
1.充血:軽度22.申度49.高度10.
2.滲出性炎:
a.血管周囲に炎性水腫を俘うもの 5.
b.血管周囲に出血を卜うもの 11.
c.血管周囲に多核白血球浸澗を終う2.
d.血管周囲に壊死を俘弓もの 3.血管壁の降碍
血管壁の膨化
高度1.二度53.軽度84.
血管壁の硝子様変性 高度7.三度31.軽度5.
4.血管周囲の結核結節の形成 主として滲出性型5.
主として増殖性型7.
4.
5.血管周囲に増殖性炎,結締織増生43.
(ii)濾胞扇歌動脈分岐部の障碍
扇歌動脈分岐部は,所謂血管傘部位としての 血行調節を期待し得る所である.この部位の牧 縮により,即時動脈以下に屡々貧血性変化を,
扇状動脈以前の濾胞輸入小動脈に拡張性変化を 伴うことがある〜二とは:,既に記載した如くであ る.殊に,アレルギー性扁枕腺炎と判断される ものにあっては,病源がこの部に固定せられる 結果と判定される所の,アレルギー性な血管聞 葉性変化を件っている.
扇欣動脈分岐:部は,淋巴濾胞輸入関門に位置 するが故に,とれを私共は血管極と呼んでい
る.血管極にお・ける血行調節によって,淋巴濾 胞域の血液供給が決定されることはいうまでも ない.その緊張・牧縮によって,供給域の貧血 を,続いてその麻痺・拡張によって,血管極並 びに周囲織の病変を,更に進んで病源が血管極 なる関門を突破して,供給域毛細血管麻痺によ る充血或いはそれに俘う病変を示すに到るもの
である.
写眞10は,血管極に限局せる滲出性病変(水 腫様膨化並びに小出血)を示すものである.斯
【239】
240 田 中
かる所見は,かなり屡々経験される所で,ヒれ によって,該部位が撰択的な炎症生起の基盤と なるヒとは,爾他臓器群に関して,教室同人が 累黒し来った所である.口蓋扁桃腺にあって
も,その憎般則を示すものということが出来 る.血管極が,撰択的な炎症生起の基盤となる ヒとは,との部位が血行調節部位であり1病源 が好んでここに固定せられることによって,読
明し得る.
写 眞 10.
写眞11は,斯かる病変の拡大を示す.基盤の 膨化と若干の網歌織細胞の増生とを認める.
写 眞 11
写眞12は,濾胞小動脈並びに血管極に,著明 なる滲出性病変を示すに到ったものである.そ れら血管壁は強く膨化,均一化し,硝子様変性 に陥り,血管周囲織に膨化,無構造化が著明で
ある.
写 眞 12
写眞13は,写眞11と同様な病変の張勢を示 す.濾胞動脈壁は高度の硝子様変性を件V・,
(病変の慢性化),周囲織に若干の滲出性病変を 認め,血管極に局在せる初期結核性変化を招来
している.
懇懇 13
写眞14は,血管極における滲出性変化が,慢 性化し,譲葉性成分が増殖し,その部に限局せ る硬化が発現しつつあるものである.淋巴濾胞 は,ために若干萎縮し,淋巴球組成を低減せし めている.
写眞15は,血管極に限局せる典型的な結核結 節を示す.とれによって,該部位が結核性変化 の基盤となる〜二とを知り得るであろう.
写眞16は,血管極における滲出性結核節形成 を示す.濾胞小動脈は,壁膨1ヒ並びに血管周囲 の滲出性病変を件い,血管壁障碍が強い.血管
【240】
口蓋扁桃腺の病理組織学的研究 241
写 眞 14
写眞 15
i鐡.
購
極部位は,全く滲出性結核に陥り,網歌織細胞 は塘生.しているが(亘大細胞を件う),すべて匿 い変性に陥ってV・る.淋巴濾胞が強く萎縮せる
〜二とは,㌔《うま}(}もな㌔へ.
写 眞 16
写眞17は,血管極部位における増殖型結核結
節を示すものである,
写眞 17
難点
難
㌔o
濾胞扇状動脈分岐部の障碍の分類並びに観 察頻度は次の如くである.
濾胞輸入血管が易歌分岐する部位の,観察 された病変は,
1.充血1並びに壁内皮細胞の変化 81.
2.炎症水腫 2.
3.出 血 6.
4.結核結節形成
主として増殖性型 40.
主として滲出性型 20.
5.淋巴球集団 26.
6.周囲増殖性炎(結締増殖性)22.
7。壁の膨化 82.
8.壁の硝子様変性 28.
(iii)濾胞の障碍
幽幽動脈分岐より限外濾過された.病源はこ の部位において:,血管壁を障碍し,続いて胚芽 中心に作用する.該部位には,網歌織が発達
し,このものは,若干の病源に対して容易に反 応を示して,増殖或いは変性を件うに到る.と の意味において,従来より胚芽中心を反応中心 と呼称されたものである.既記血管極部位も 亦,限外濾過=部位とみなしても差支えない.
iE常磁態にあっては,血漿成分が,扇ll犬動脈 にむいて,限外濾過され,濾過血漿が,網歌織 細胞よりなる胚芽中心におや・て,再濾過され,
再濾過血漿が淋巴球生成暦に働いて,淋巴球生 産を行うものと判断する〜二とが出来る.
【241】
242 田 申
従って,病源による胚芽中心の荒廃に伴っ て,続いて,淋巴球生成暦に萎縮荒廃を招来す
べき〜二とはV・うまでもなV・.
胚芽中心の反応性病変は,最:も屡々認められ る所のものセ,既往文献に詳述されて》・る.検 索の主重点は,従来より,この部位に置かれて いるので,ヒこに詳述するヒとを省略する.
写眞18は,胚芽中心の網状織細胞の増生を示 す.因に,胚芽中心より,直上織して,上皮下 灘毛細血管叢に連絡する細血管が拡張し,その 存在を明示している.斯かる血管走行に関して は,前章血管系において,「既に吟味せる所であ るが,電その,典型的な例とするヒとが出来る.
写 眞 18
写眞19は,胚芽中心に好発する結核結節の形
成.
写眞20は,その彊拡大を示す.所見ば,」般
結櫨齪騨的で輝⑳澗ρ必聯ミ㌃
写眞葦.9.
v・.
写眞 20
胚芽中心における病変の畜類並びに頻度は次 の如くである.
胚芽二心暦の障碍 1.充 1皿
2.炎性水腫 3.出 血 4.内網細胞増生 5.結核結節形成 増殖性炎 滲出性炎
118.
17.
12.
15.
50.
55.
(iv)上行直小動脈の障碍
との性格は,濾胞小動脈と相似てv・る.同 太,平行して走る比較的豊富なる淋巴系.
訟訴21は,上行向小忌脹に,壁の荒廃を見,
その所属領域に,滲出性結核結節を件うに到っ たものである.
写眞2、1
【242】