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サリチルアルドオキシムによるパラジウムの抽出吸 光光度法

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Academic year: 2021

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(1)

サリチルアルドオキシムによるパラジウムの抽出吸 光光度法

著者 北野 貢, 上田 穣一

雑誌名 金沢大学教育学部紀要 自然科学編 = Bulletin of

the Faculty of Education, Kanazawa University.

Natural science

巻 18

ページ 73‑77

発行年 1969‑12‑25

URL http://hdl.handle.net/2297/22309

(2)

73

サリチルアルドオキシムによる パラジウムの抽出吸光光度法※

北野貢・上田穣

緒ロ

微璽パラジウムの吸光光度定堕についてはい くつかの方法が報告されているが'),サリチル アルドオキシムを用いるものは,Peshkovaら2)

によりAll出溶としてベンゼンをⅢいる方法が報 告されているにすぎない。しかもその詳細な定 堂条件や共存イオンなどについてはほとんど不 lJjである。したがって著者らはサリチルアルド オキシムによるパラジウムの定量法を検討し,

ほぼ満足すべき結果が得られたので報告する。

1.装置および試薬 1装置

吸光度の測定には日立一PerkinElmerl39 型分光光電光度計を,吸収セルは光路長1.00cm の石英セルを使用した。pHの測定には日立堀 場製ガラス電極pHメーターM4型を用いた。

使用したフリマゼ器はイワキ製KM型で,ふり まぜ速度は毎分300回,振幅は4cmである。

2.試薬

パラジウム標準溶液:特級塩化パラジウムを 少量の濃塩酸に溶解しほぼ1mgPd/mlの溶液 をつくり,キレート滴定によりその濃度を決定 し,これを希釈して1卯gPd/mlのものを調製

した。

サリチルアルドオキシム熔彼:常法により合 成し,ベンゼンから2回再結晶して精製したも のを精製アルコールに溶解し,0.2%アルコー ル溶液とした。

クエン酸アンモニウム溶液:特級クエン酸ア ンモニウムを水溶解してに0.2M溶液として用

いた。

クロロホルム:使用のつど精製して用いた。

Ⅲ実験および結果 1定量操作

パラジウム12卯gまでを含む試料(0.1~0.2 N塩酸酸'性溶液)に0.2%サリチルアルドオキ シムアルコール溶液0.5mlを加え,とぎどきふ りまぜて約15分間放置したのち,0.2Mクエン 酸アンモニウム10mlを力Ⅱえ,希塩酸でpHをほ ぼ2に調節する。分液ルlj斗に移し,洗液を合し て50mlとして,これにクロロホルム10mlを

』Ⅱえ,フリマゼ器で5分間ふりまぜて抽出を行 なう。クロロホルム層を分離して,あらかじめ 無水硫酸ナトリウム約19を入れた小さな共栓 瓶に移し,かるくふりまぜて脱水したのち,光 路長1.00cmの石英セルを用い,試薬ブランク を対照液として380m似で吸光度を測定し,同 様に処理して作成した検童線からパラジウム含 量を決定する。

2.吸収曲線

パラジウム100浬gをとり,1の操作法にした がって,パラジウムのサリチルアルドオキシム 錯体を抽出し,試薬ブランクを対照液として吸 収曲線を求めた。

試薬ブランクの吸収曲線はクロロホルムを対 照液として同様に測定した。これよりパラジウ ムのサリチルアルドオキシム錯体の最大吸収波 長は380m似にあり,この波長では抽出錯体の 吸光度は試薬ブランクの影響をほとんどうけな いことがわかる。したがって本実験では380m似 を測定波長としてえらんだ。結果を図1に示 す。

*昭和44年9月16日受理

(3)

第18号昭和44年

金沢大学教育学部紀要

76543210

0000000劃謂雷一

0.6

謂0.4

0.2

330350370390410 0

波長(m似)

1:パラジウムーサリチルアルドオキシム

錐体(100"gPd)

2:サリチルアルドオキシム試薬ブランク 図1パラジウムーサリチルアルドオキシム錐体

の吸収曲線

3.試料溶液の酸性度および放置時間 パラジウムl0qugを含む試料溶液をとり,塩 酸の濃度を0.04Nより0.4Nに変えて,1の操 作法にしたがって定量した結果を表1に示す。

表1試料溶液の酸性度の影響

5101520

放置時間(min)

図2試薬添加後の放置時間

とにした。なお,この放置時間を短縮する目的 で試薬の添加後,加熱することを試みたがほと んど効果は認められなかった。

4.刑出pH

パラジウム100岨をとり,1の操作のうち,

抽出時のPHのみを変えてパラジウムのサリチ ルアルドオキシム錯体のクロロホルム抽出を行 ない,380m"の波長で抽出液の吸光度を測定し て,抽出時のpHと吸光度との関係を求めた。

その結果を図3に示す。

定量された パラウム量

試料僻濃度|露籔liiii-薑 (’9)

990009985 390008242

111

000000000000000000111111111

460404370001122334●●●●●●●●●000000000

0.6

劃謂害

この結果,試料溶液の塩酸酸性度は0.1~0.2 Nが最適で,これ以外の濃度のとぎは反応が不 完全となって負誤差を生じるので,希釈あるい は塩酸の添加によりこの範囲の酸I性度に調節し ておく必要がある。

つぎに試料溶液に試薬を添加してから放置す る時間を種々変えてその影響をしらべた。その 結果は図2の如くである。

すなわち,15~20分間の放置で最大の吸光度 が得られるので,本実験では15分間放置するこ

0.2

012345678910

PH

,図3抽出pHと吸光度

パラジウムはpH0.5附・近からすでに抽出さ

れはじめ,pH1~5で定量的に抽出される。し

(4)

北野・上田:サリチルアルドオキシムによるパラジウムの抽出吸光光度法

75

たがって共存イオンの影響をうけぬよう,なる べく酸性側に寄ったpH2で抽出を行なうこと とした。

5.試薬およびクエン酸アンモニウムの添加 量

試薬の添加量を0.5~3.0mlの範囲で変え,

また0.2Mクエン酸アンモニウム溶液の添加量 を3~20mlの範囲で変えて抽出を行ない,吸光 度におよぼす影響をしらべた。その結果,この 範囲内ではほとんど一定の吸光度が得られたの で,試薬の添加量は0.5mlとし,クエン酸ア ンモニウム溶液は共存イオンの影響を考慮して 10ml添加することとした。

6.ふりまぜ時間

ふりまぜ時間をいろいろと変えて,パラジウ ム100Jugの抽出を行ない,抽出に必要なふりま ぜ時間をしらべた。図4にその結果を示す。

0.6

架害

4812162024

経過lMiillU(hr)

図5パラジウムーサリチルアルドオ キシム錯体の経時変化 8.錐体の組成

モル比法を用いてパラジウムのサリチルアル ドオキシム錐体の組成を検討した。すなわち,

パラジウムが定量的に試薬と反応するほぼPH 1.2で反)'ijiを行ない,生じた錯体をクロロホル ムで抽出し,極大吸収波長380muでその吸光 度を測定した。得られた結果を図6に示す。

0.6

弱0.4

0.6

遡謂害

0.2 0.4

246810

(min) 0.2

図4ふりまぜ時間

パラジウムのサリチルアルドオキシム錯体は 1~1o分間の抽出で,一定した吸光度を示し,

定量的に抽出される。したがって5分間ふりま ぜを行えば十分である。

7.抽出錯体の安定I性

クロロホルムで抽出したパラジウムのサリチ ルアルドオキシム錯体を抽出10分後から24時間 まで放置して吸光度を測定し,その経時変化を しらべた。得られた結果を図5に示す。

抽出10分後測定した吸光度と24時間後との値 とは,ほとんど変化がなく,抽出錯体は安定で あった。

0 12345

モノレ比〔R〕/〔P。〕

図6パラジウムーサリチルアルドオ キシム錯体の組成

ただし,試薬の濃度は9.4×10-4Mとした。

これより抽出錯体はパラジウム:サリチルアル ドオキシム=1:2の組成であることがわかる。

9.検量線

以上の結果にもとづき,試薬ブランクを対照

液として,パラジウムの採取量を変えて吸光度

を測定し,検量線を作成した。その結果を図7

に示す。

(5)

76金沢大学教育学部紀要 第18号昭和44年

Ni2+

Cu2十 Cr3+

Hg2十 Ag+

"

Au3+

Pt4+

OS(V111)

Ru3+

Rh31- Ir4+

CH3COO-

NO3-

SO42-

MoO42-

NiC12CH20

Cu(NO3)2.3H20

CrC13.6H20

H圏(NO`ル姜H2O

AgNO3 AgNO3 AgNO3

AgNO3

AuCLHCL4H20

H2(PtCl6)・6H20

OsO4

RuC13・H20 RhCl3・H20 1rC14・H20 CH3COONa

NaNO3

Na2SO4 H2MoO4・H20

qU司上。『上]上FD(ひ田上ご上】L】上『上ヨ上1-『上〈U(UnU、)(U●●『上『上屯上『上〈U(U

101.

105.

92.

100.

100.

100.

94.

100.

94.

100.

100.

100.

99.

92.

100.

100.

100.

95.

+1.

「1

0.8

+5.

-8.

F1 L」

●●(叩叩》〈叩叩)

劃0.6 謂 雪0.4

0°C

-6°C 0

0°C 6.

+0.

0.

0.2 |’ (叩皿〉(叩叩〉()()(、叩) ●●●●

0 0

20406080100120

PdCug)

図7検量線

これより検量線は120"gまで直線I性を示し,

よくBeerの法則にしたがう。この場合のモル 吸光係数は,約6.2×103で感度は吸光度0.001 に対し,1.7×l0-2JugPd/cm2となる。

10.共存イオンの影響

パラジウム100"gにつき,各種の共存イオン の影響をしらべた。その結果を表2に示す。

表2共存イオンの影響

RdlOO’9,抽出pH2.0,(測定波長380m」u)

0°C

+0.

-5°C

注*AgC1の沈澱を口過したもの。

共存量は一応10mgを限度とし,陽イオンは 主に特級硝酸塩,塩酸塩を用いた。パラジウム はpH2の酸性側で抽出されるため,概して妨 害をうける陽イオンは少ない。アルカリ金属,

アルカリ土類金属はほとんど妨害せず,アルミ ニウム,鉛,マンガン,鉄(Ⅱ),(Ⅲ),ニ ッケル,コバルトなどは1mg共存しても差支 えない。銀については,少量の塩化銀の沈殿を 生ずるが,80qugまで差支えなく,1mgになる とパラジウムacUgの負誤差を生じる。しかし生 じた塩化銀の沈殿をあらかじめロ過すれば,そ の妨害を除くことができる。金とイリジウムは 表2に示される程度の負誤差を与えるが,白 金,オスミウム,ルテニウム,ロジウムは1mg 共存しても妨害しない。

参考文献

1)』.H,Yoe,J・HKirkland:AnaLChem.,26.

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大井:日化,80.1151.(1959).

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2)V、M・Peshkova,V・LShlenskaya,A・LRe‐

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Pd 実験値

(似g)

彗鰄|鯖■

添加形 1111111009009000999909 009105000999909 ●●●●●●●●●●●●●ロ●000000000555505

(似g)

誤差000000000555505

●●●●●●●●●●●●●●●001105000000000|+一一一一 NaCl

KNO3 NH4C1

Mg(Nos)2.6H20 Ca(Noa)2.4H20 Sr(Nos)2.4H20 Ba(NOD2 Zn(NO3)2.6H20 Cd(Nos)2.4H20 Al(NO3)3.9H20 Pb(NO3)2 Mn(NO3)2.6H20 Fe(NO3)3.9H20

(NH4)2F.(S=老H2O

Co(NO3)2.6H20

Na+

K+

NH4+

Mg2+

Ca2+

Sr2+

Ba2+

Zn2+

Cd2+

A13+

Pb2+

Mn2+

F℃3+

F℃2+

CO2十

0000000101111111111111

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北野・上田:サリチルアルドオキシムによるパラジウムの抽出吸光光度法

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Extraction-spectrophotometricDeterminationofPalladium withSalicylaldoxime

MitsuguKITANOandJoichiUEDA

Themethodisdescribedforextraction-spectrophotometricdeterminationofpalladium withsalicylaldoxime・ThepalladiumisextractedwithsalicVlaldoximeintochloroform ascomplex,andthecomplexhasthemaximumabsorbanceat380mJu・Itisextracted quantitativelyovertherangeofpH1to5,andcontainspalladiumandsalicVlaldoxime inthemolarratioofl:2.Thecolorofextractsisstablefor24hoursandfollows theBeer,slawovertherangeofl~12卯gofpalladiuminlOmlofchloroform・The molarextinctioncoefficientandthesensitivitVundertherecommendedconditionare M×103andl、7×10-2"9.P。/cm2orlog(IC/I)=0.001,respectively・calcium,barium,

manganese,iron(11),iron(111),platinum,osmium(VⅢ),rutheniumandrhodiumdo

notinterfere.

参照

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