津軽塗業界における団地設立以後の影響
岩 城 高
1 . は じ め に
として知られている津軽強は青森果の数少ない地場産業のひとつである。漆器産地と しては全国的に見て小規模であると言える。しかし青森県の製造業はほとんどが県内需要品を生産 しているか,地地域への半製品・低次加工品を生産していることを考議すれば,
の産地集績を持ち,地充資本 i こより生産されていることから地場産業としての地位に為ると見なす ことができる。
従来.津軽金誌少人数の職人が各々のまたは親方の作業場で生成に従事する,という零綿規模で く岳点めていた
Qそれが淳軽塗団地という量麓イヒを目的とした近代的設備を 有する工場の設立以後,どのように変北したのであろうか。本研究はこの点について団地組合と 地以外の 3 つの組合と安比較しながら,生産聞から明らかにする
ζとを話的としている
O2 . 弘 前 市 の 産 業 に お け る 盟 経 緯 の
いて,中小企業庁の「地場産業実悲調査等事業実擁要領」よりヲ i 用ずる。そ れによると地場産業とは「地元資本をベ}スとする中小企業が‑定の地域(概ね果内〉に集積しつ つ,地域内に産出する物産等を主毘料として,または蓄積された経営資諜〈技街.労働力,資本等〉
して地域外から原材料を移入し,にれらを加工し,その製品の寂蕗と らず地域外需要をも指向するもの」と定義されている
Qみな
しかし,青森県内では上記の条件を全て鶏たす様な地場建業は殆どない。誇軽強においては,地 元資本,一定規模の集積,地域外語要の指向という点 i こ関して条件を諮たしているが原材料に関し では問題がある。漆は外出産が大部分で,木材は県外産の合較が約半数を占めているつ以上のこと から津軽塗は典型的とは吉えないが,弘前市の地場産業であると考えられる
G次に弘前F ちの産業における製造業の位置と製造業における津軽塗ぬ位置から,弘前車の産業にお ける津軽議の位置を考えてみる。
「弘前市勢ハンドプック J によると昭和 5 5 年の弘前市の就業人口総数は 8 2 , 2 0 8 人,うち第 1 次 23.6%. 第 2 次産業 17.7% ,第 3 次産業 58.7% となっている。第 2 次産業の占 める比率は最も低く,製造業は重要な栓龍にあるとは替えない。 f
J , I 弘前市の工業 J より製造業に占める淳軽塗む比率を見る。生産額の比率は昭寝 5 0 は 5 .0 彰で,その後,年を追うごとに低下し,昭和 5 7 年には 3 . 3 手るを占めるに i 騒ぎない。
ら見た場合.津軽塗の影響力は小さく,現在は地域経済の基盤となるまでに
1 1
至っていない
cしかし津軽塗は弘前市の代表的な地場産業で島与,活力のある地域経済社会の態成 のための動力源という位置にあると言えよう。
3 . 葎軽韓団地設立の目的
何年代わ経済成長期に誇軽惑の需要は場大した。しかし,
工業的であり,市街地に点在している状態にあった。そのために従来使用していた工場吾拡張しよ うとしても土地の護持が困難で,その上工場の騒音に対する周辺住民の否問の問題も生じていた。
1 2 0
1 0 0
に応じるためには生産旗設の近代化を行い,量産可能な体制
乙とあった。
津軽塗は個人経営が多数寄占め,これらの職人と言える業者が個々に主主産・薮売をと行うこと い。また.前近代的な徒弟制 (昭和田 1 0 0 ) 度を嫌う世相を反映して後継
者の不足も生じていた。この ような状態では産地としての 所 数 一 一 ( 昭 和 5 1 ・ 5 2 年は不明〉
者 数 … …
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として 地産地との競争力に欠ける。
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い原料の共同購買,
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4 . 津 軽 塗 業 界 に お ける団地の
(1) 津軽建業界全体に 対して団地の高める 生産額の比率とその 影 響
図 1 . こ詔和 4 5 年 か ら 年 までの津軽塗の生産額,
所数,従業者数の推移を 5 0 年を 1 0 0 として表やした。高 し と経営改善を日 的として津軽塗団地が郊外の れることとなっ
6 0
たcx. ̲100 卸売物価詣数 4 0
2 0
昭和 4 5 附 5 5
「連合会年変別振興事業の実施状況報告書 J より作成 思 i 生産額, ,従業者数の推移
1 2
に 乗 り , 昭 和 初 の需要が増大し,
生産が供給に追いっかないほどであった。しか
%
し昭和
4 8
年 こったオイノレショックの1 0 0
た め に 経 済 成 長 は 停 滞 い そ れ に よ っ て 需 要 も落ちこみ生産額も以前のような急激な伸びを示
8 0
さないようになった。 ると5 3
年以後は停滞ではなく,明治かに減少しつつる
6 0
る。岳地の設立により なった。
響を大きく受けており,
給過剰の状態にあるG
次に生産額における団地の て晃る。図
2
に業界全体に対 生産額比率の推移を示した。占める比率を年々高くしており,
増大化しているO
図
2
と開資料によると,需要減少の影 に供
につい 占める
は
「弘話市致謂査会資料第
1
集J r
連合会組合員名薄ーより作成
〔注〕 昭 和
4 5 ・ 4 9 ・ 5 5 函 3
1 3 4 0
2 0
昭華 050 5 5
「連合会年度
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接興事業の実施状況報告書j f
重軽塗留地協持組合組合員名薄J
より作成国 2
業 界 全 体 に 対 し て 団 地 の 占 め る生産額比率の推移
従 業 者 数
閣 は
臼 2~ 5
阻 21~ 5 0
• 51~100
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青森県漆器協同組合の変化
地の占める比率誌,事業所数では 5 . 9 1 1 社でしかないが,従業者数では 5 2 . 4 弘 全産額で は 6 6 話を主める。つまり,田地の従業者 1 人当たりの生産棋は業界全体より高いことになる。以
ことから,需擦の停滞,供給
j品多の状態の中で団地が生産惑と増大し,業界の中に占め 大きくなっていることがわかる。
いったために供給過剰に拍車をかけ 摩擦もしくは競合状態が生じている。
変えれば,
なったと
している中で団地が生産を伸ばして られる。このような状涜で組合員開の
製品の供給過剰から笹崩れ,または組合員開の価格差が予想されたが,小売額格を調査した眠り ではそのよう主状態はみられなかった。これは生産調整により摺喪と供給のバランスをとるためで あろう
C(2) 従 嫌 者 欝 或
従業者構成を組合加入者に限り,岳地組合とその色の 3 つの組合の合計とに分類し比較した。団 地の特徴は男性の平均年齢が抵いこと.女性の数が多いことであり,問地以外の 3 つの組合の特徴 は団地の逆である。若い世代と女性は就業年数が短いために技欝的に高い水準とは替えないが,そ の点を分業化と機械化によりカバーするよう努力している。総体的に見ると,後継者が穫保されて 技術の伝達が狩なわれつつあるが,団地では技術の点に団地以外の組合の中には後誕者の点に不 安材料がある
O(3) 事業所の経営規模と分布
国 1 により事業所数の推移を見ると,顕著な変化はみられない。しかし事業所在経営規模別に分 類すると内部変化が表われてくる。図 3 によると昭和的年, 4 9 年 , 5 5 年の変 f とでは,従業者 1
している
i1 人親方 J の減少および経営規模が大きくなっていったことが特徴である
cこ の中で,団地は 1 1‑ ‑2 0 人が 5 社 , 2 1 ‑ ‑5 0 人が 4 社 , 1 0 1 人以上が 1 社というように地の組合と 地較して競模が大きい。
次に分布状態について見る。団地以外の 3 つの組合の事業所は域耕の周囲,特に間側の西大工 I B J . 袋町,紺屋町に集中していて,その鵠は市街地・註宅地に散在している。比較的規模の大き な事業所は域跡の河辺に位置している。 1 人親方の場合は事業所,つまり作業場と自宅が間ーであ るが. 2 人以上の事業所の場合は従業員という被蕗用者は作業場ヘ通勤しなければなちないわけで ある。団地の従業員は全て通勤しておち,自宅の分布を見ると弘前市の市信地・郊外・周辺市町村 と広範聞に分平等している。団地の従業者には歴史的由来のある職人町の形成は見られない。経営規
くなるほど,従来のように住宅 態をとることになる。
5 . ま と め
同ーにすることが不可能になり,
津軽塗業界は分業化と機械化 i こより就業年数が短くと になった。しかし
いう形
団地 に多い若い世代は的輸に問題があり,団地以外の高齢化が進んだ組合では後畿者不足に問題があ
‑14
る 。
事業所の経営規模は 1 人親方が減少し,全般的仁規模が大寺くなる棋向にある。そのため,職住 分離へと変化していきつつある。
津軽塗田地は生鹿増大を目的として設立された。しかし需要が混迷しているた診に業界全体の生 しており,生産額実寅穫は低下の一途をたどっている。このように業界が伸び橋んでい る時に田地の生産額が急激に増加して供給議剰という事態が発生し,業者間で競合状態になってい る 。
産地内での摩擦を解消するために他地域での新販路を開拓中だが,さほ 販路の問題は解決されなければならない諜題のうち,最も重要なものである。
っていない。
本稿作成に襟し,
から惑議致します。
また,資料収集に際して便宜を計って下さいました青諜県漆器協同組合連合会,津軽塗毘地協同 組合,弘前捧軽強商工業協同組合,弘前市役所高工課の方々に末筆ながら厚く御礼申し上げます。
‑締助言いただきました水野絡先生,後藤雄二先生,佐藤諸問先生に心
【 場 参 考 文 献 】
や奇森県商工諜( 1 誌の:背森県漆器産地振興ピジョン 7 3
O
青森県高工課 (1982) :弘前・黒石地域地場産業振興ピジョン 1 1 3
O佐 藤 前 前 (
1977) : 樟 軽 塗 津 軽 書 房 1 1 4 頁
O
綿一ト専一( 1983) :津軽畿の町・弘前 地理 2 8‑8 , 1 2 0 ‑ . . 1 2 7
。 盟 問 好 犬 (
1 9 8 1 ) :津軽総の現状と課題 青森果中小企業団体中央会. 1 4 ‑ . . 3 3
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