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企 業 成 長 の 動 学 的 分 析

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(1)

企 業 成 長 の 動 学 的 分 析

1.序

本 稿 の 目的 は 企 業 成 長 の モ デ ル を 従 来 よ り も一 般 的 視 点 に 立 っ て 構 築 し, 企 業 の 規 範 的 成 長 過 程 を 分 析 す る こ と で あ る 。 そ の さ い,企 業 の 成 長 に 固 有 な 調 整 費 用 の 役 割 を 視 座 に お く。

近 年,企 業 成 長 の 動 学 的 研 究 は,Post‑Optima1‑Economic‑Growthの ひ と つ と して,経 済 学 者 が 関 心 を 惹 い て き た 分 野 で あ る 。 最 適 経 済 成 長 論 で 前 提

さ れ た 新 古 典 派 の 体 系 の 中 で は,企 業 が 家 計 と 形 式 的 に,同 一 の 意 思 決 定 の

主 体 と して捉 え られ て いた。 そ の た め に,企 業(も し くは家 計)の 実 体 が こ の理 論 の体系 内で 十 分,明 確 に 把 握 され て い ない。 した が っ て,企 業 の 制度 的枠 組 な い し企 業 者 の主 体 的 行動 を よ り積 極 的 に モ デル に導 入 し,企 業 固有

(1)

の成 長 を分 析 す る必 要 が あ る。

企 業 の成 長 は企 業 の投 資 行動 を ぬ きに考 え られ な い か ら,企 業 成 長 論 と企 業 の投 資理 論 は密i接な関 係 を も って い る。 しか し,投 資 理 論 の研 究 は 非常 に 長 い歴 史 を もっ て い るけ れ ど も,企 業 の成長 過 程 に 直接,言 及 す る もの は 少 な か った 。

と ころ で,企 業 の成 長 に 固有 な生 産 要 素 と して工 場,機 械 設 備,熟 練労 働

(2)

あ るい は 経営 管 理 能 力,技 術 知 識,負 債 な どまで 含 め 考 え る と,こ れ らに か

*本 稿 の 成 立 過 程 に お い て 戸 島 熈,池 間 誠 な ら び に 定 例 土 曜 研 究 会 出 席 の 諸 先 生 に 多 く の 建 設 的 助 言 を 賜 っ た.記 し て 感 謝 した い.な お 残 り う る誤 りは 筆 者 自 身 の もの で あ る.

(1)E.Penrose[11コ やRMarris[9コ に 代 表 さ れ る ケ ン ブ リ ッ ジ的 企 業 成 長 理 論 は そ の 顕 著 な 試 み で あ る.こ れ を 新 古 典 派 の 枠 組 に 結 合 した も の と し て は,宇 沢[1コ,[17コ を み よ。 ま たLutzandLutz[8コ も参 照 せ よ.

(2)経 営 者 能 力 はMarsha】1の 生 産 要 素 の 定 義 の 中 で 「組 織 」 に 相 当 す る と考 え ら れ る.ま た,負 債 は 一 種 の 運 転 資 本 とみ な され,よ り大 き な 生 産 を も た らす た め の,Patinkinの い わ ゆ る 「生 産 者 財 」 に 相 当 す る と考 え る.

(2)

な りの 固 定 性 が あ る こ と に 気 づ く。 こ こで,要 素 の 固 定 性 と は,要 素 の 規 模, 要 素 の 増 加 率,要 素 変 更 の 決 定 と現 実 の 変 化 の 時 間 差 な ど に 依 存 して き ま る 費 用 表(costschedule)の も と で,始 め て,要 素 の 数 量 を 調 節 で き る と い う 意 味 で あ る 。 す な わ ち,要 素 の 変 更 を す る に は 時 間 と カ ネ が か か る と い う意 味 で 固 定 的 で あ り,こ の コス トは 企 業 の 成 長 に と っ て 内 部 的 な 費 用 で あ る の で 当 然 企 業 成 長 の 不 可 欠 な フ ァ ク タ ー で あ る とみ な す こ と が で き る。 こ の コ ス トは 周 知 の 如 くEisnerとStrotz[2]の 投 資 の 決 定 要 因 の理 論 的 研 究 の 中 で 「成 長 の コス ト」(cost‑of‑expansion)と 命 名,定 式 化 され た も の で あ る。

今 日で は,「 調 整 費 用 」 又 は 「調 節 費 用 」(cost‑of‑adjustment,adjustment

cost)の 名 の下 に,企 業 成 長理 論 の 彫琢 に重 要 な役 割 を 果 た してい る。 わ れ(3)

わ れ は 以 下 に述 べ る認 識 の も とに,調 整 費 用 の概 念 を や や拡 張 して,モ デル に 導 入 し,そ の果 たす 役 割 を 考 え る。

と ころ で,従 来 の企 業成 長 の分 析 に お い て不 満 に 感 じる こ とは,企 業 の実 物 的側 面 と金 融 的 側 面 が遊 離 して い る こ とで あ る;企 業 の投 資 活 動 が全 く資 金 調 達 の心 配 な く行 な われ て い る。 これ を つ きつ め る と,企 業 成 長 の理 論 に お い て,企 業 の基 本 的 経済 活 動 が ど う把 握 され て い るか が 問 われ ね ば な らな い。 われ わ れ は 以 下,企 業 の基 本 的 活 動 は,生 産,投 資 お よび 金 融(財 務) で あ る と し,こ れ らの 活動 が有 機 的 に管理 統 制 本 部 の指 示 の も とで,遂 行 さ れ る と考 え よ う。

図1;企 業の基本的活動

資棚 達i

(i資 本の投下

o

資金の確保 (金 融)

(

̲/(愈

収 益 の獲 得 (生 産 ・投 資)

(3)Lucas[7],Gould[4],Rothschild[12コ,Treadway[14],[15コ,宇 沢[16]

な ど を 参 照 せ よ.

(3)

図1は,企 業 の基 本 的活 動 を 図示 化 した もので あ る。

図 の右 半 分 は,企 業 の生産 お よび投 資 の活 動 に,左 半 分 は,企 業 の 財務 に 対 応 す る。 従 来 の企 業 成 長 の ア プ ローチは,図 の右 半分 また は 左半 分 に偏 って お り,い わ ゆ る 同時 決定 的 な ア プ ローチ は 殆 どな され てい な い よ うに思 う。

わ れ わ れ は企 業 成 長 を これ ら3つ の活 動 の 同時 決 定 の合 成 果 と して捉 え,そ の モデ ル化 を 行 な う。

まず そ のた め の工 夫 と して企 業 勘 定 を 想起 しよ う。(図2参 照) 図2:企

負債の増加船 発行

す べ ての企 業(対 象 と しては法 人 企業)は 財 務 活 動 を 行 な う。 生 産 ・投 資 の 活動 か らもた らされ る企業 利 潤 の うち,分 配 され な い利 潤 を企 業 貯 蓄 と し

て,全 額 再 投 資 に まわす。(内 部 金 融)。 しか し,企 業 の投 資 は企 業 の貯 蓄, す な わ ち 留保 利 潤 に一 致 す る とは限 らず 通 常 は そ れ 以上 の量 を必 要 とす る。

この 不足 は,銀 行 か らの借 入,社 債発 行 に よる借 入 な どの 方法 で,負 債 の増

(4)

加 分 か ら賄 われ る。(外 部 金 融)。 企業 は独 自に 現 金,貯 蓄 性 預 金 な どの金 融 資 産 の 蓄 積 を行 な うので,企 業 勘 定 上 収 支 相 補 う。 か く して,各 期 末 に お い て,

企 業 貯 蓄+負 債 の増 加 …≡投 資+金 融 資産 の増 加

な る式 が成 立 す る。 わ れ わ れ は,企 業 成 長 の動 学 モ デル を この恒 等 式 に 沿 う 形 で構 築す る。

(4)厳 密 に い う と 内 部 金 融 と し て の 企 業(粗)貯 蓄 に は 分 配 さ れ な い 利 潤 の 外,資 本 消 費 引 当 金(減 価 償 却)が あ る.ま た 外 部 金 融(長 期 金 融)と し て の 負 債 の 増 加 に は,新 株 発 行 が あ る.し か し これ ら の 役 割 は 分 析 の 簡 単 化 の た め 重 要 な 影 響 を も た な い とす る.も ち ろ ん 企 業 の 保 有 者 は 株 主 で あ りnetcashflow(後 述) は 株 主 に 支 払 う額 が 基 準 に な る.な お,企 業 金 融 の 初 歩 的 な 解 説 と し て,館 ・浜 田[13コ,Moor[10]な ど を 参 照 の こ と.

(4)

また,こ の よ うな企業 の一 般 モ デ ルを 考 え る こ とは次 の意 図 を もつ。 す な わ ち,典 型的 な投 資理 論 は,産 出量 の増 大 が 資 本設 備 の 増 大 を もた らす と

\い う加 速 度 原 理 に 代 表 され る 実 物 的 側面 に 立脚 す る型 か 資 金 源 に 関す る金 ・ 融 的 諸条 件 に 立 脚 す る型 に 分 類 され る。 個 別 企 業 の投 資理 論 の 建設 に は, Kalecki,Steindl,Duesenberryの 名 を あげ る まで もな く後 者 が む しろ重 要 で

あ り,企 業 成 長 モ デル で も積 極 的 に企 業 金融 を 考慮 す べ きで あ る と考 え る。

そ の さい前 述 の 調 整 費 用概 念 は,企 業貯 蓄 形 成 の背 後 に あ る投 資 の調 整 費 用 と,負 債 の増加 の背 後 に あ る負 債 調 節 に伴 う成 長 コス トと して の調整 費 用 に拡 張 され,モ デル 化す る。

f

以上 の検 討 を基 礎 と して,第2節 で基 本 的 モデ ル を構 築 し,第3節 で企 業 の最 適計 画が 分 析 され る。

2.基 本 的 モ デ ル の構築

記 号 と単 位 を 次 の よ うに 定 め る。

Q一 生 産 量(個/年),K一 資 本 財(台 ・年),L‑:雇 用 量(人 ・年),J一 資(数 量 表 示,台 ・年),Pi一 投 資 財 の 市 場 価 格 一1,1'‑Pil一 投 資(金 額 表 示,円 ・台 ・年),M‑=負 債(借 入)(円/年),r==市 場 利 子 率(%/年),γ 投 資 の 機 会 費 用(円/台 ・年),ω 一 賃 金 率(円/人 ・年),ρ 一 企 業 の 主 観 的 割 引 率(%/年),Pt==減 耗 率(%/年)。

[変 数 の 上 の ドッ ト(・)一 時 間 に 関 す る微 分,関 数 の 下 つ き添 字 づ ま た は り一 関 数 の 第 づ番 目 の 引 数 に 関 す る偏 微 分,第 づ番 目 と第 ブ番 目の 引 数 に 関 す る偏 微 分]。

(a)生 産 と調 整費 用

企 業 は 生 産 を 固定 的 要 素,資 本 と可 変的 要 素,労 働 の投 入 を も って技 術 的 に 行 な うと仮定 す る。 固定 的,可 変 的 とは前 述 の意 味,す なわ ち,数 量 を調 節 す る さい 背 後 に あ る費 用表 が 要 素 の規模 や 増加 率,調 節 時 間 な どに依 存 す

/

(5)

るか 独 立 で あ る か に 依 存 して い る。 か く して 資 本 ス トッ ク の 大 き さ は,企 に 内 部 的 な,計 画 作 成 コス ト,据 付 け 取 壊 し コ ス トあ る い は 成 長 過 程 上 の 他 の 摩 擦 な ど の調 整 費 用 を こ うむ る こ と に よ り,始 め て 変 更 し うる 。 した が っ て 企 業 の 生 産 量 は 資 本 ス ト憂 ク と 労 働 サ ー ビ ス ば か りで な く 純 投 資 率 左 に 依 存 す る と仮 定 す る。

(1)Q・‑F(K,L,k)

・Fに は い くつ か の 仮 定 を や や 先 験 的 に お く。 まず, (2)F∈C+2(R.2,R)

これ はFがK>o,L>o,左 に 対 して 定 義 さ れ た 非 負 値 の 実 数 値 連 続 関 数 で 二 回 ま で 偏 微 分 可 能 で あ る こ と を 示 す 。 そ の と き,

)))))))0704FOOOQ(((((((

F、>0,F2>0,F3<O

FII<O,F22〈O,F33〈O

F23‑.F32==o

Fは(K,L,R)の 増 加 関 数 で あ る 。 λF(K,L,R)一 ・F(λKλL,λ 左)∀ λ〉.o

Fは 厳 密 に 準 凹 limFム(K,L,左)=OQ,limFL(KL,R)==O

L→OL→ 十 ◎o

と仮 定 す る。

(3)と(4)は 資 本 と労 働 の限 界 生 産 力 が正,そ れ ぞ れ の要 素 の増 加 と と もに 逓 減 的 で あ る こ とを示 す 。 また,資 本 の固定 性 に よ り投 資 率 の限 界 的増 分 に

くの

対 す る 産 出量 の 変 化 は 負 で 逓 減 的 で あ る。 た だ し,(6)に よ り,Qは,全 数 の 増 加 関 数 で あ る。

(5)は 労 働(投 資)の 限 界 生 産 力 が 投 資(労 働)の 限 界 的 増 分 に は 依 存 しな い と い う仮 定 で あ る 。 ⑦ は,一 次 同 次 の 仮 定 で あ る が,通 常 の 規 模 に 関 す

る収 穫 不 変 とは 異 な る。 オ イ ラ ー法 則 に よ り,

Q・・F(KL,k)…F、 ・K+F、 ・L+F、 ・

(5)Lucas[7,p・324]は 新 設 備 の 学 習 期 間 と計 画 部 門 の 介 入 の2つ の 例 で これ を 正 当 化 し て い る,な お,(一 瓦)は 限 界 調 整 費 用 を 表 わ す.

(6)

で あ る がF3<0で あ る か ら,KLを2倍 して もRを 不 変 に 保 て ばQは 2倍 以 上 に な り う る。(9)は(5)に よ り,F2(KL)と も 書 け る が,労 働 の 限 界 生 産 力 の 極 限 的 な 位 置 を 示 し 「稲 田 の 条 件 」 に 対 応 す る。

命 題1:(6),(7),(8)が 成 り立 て ば,

⑨Fは 厳 密 に 凹 で あ る 。

[証 明]数 学 注(1)を み よ。

'

命 題2:上 の仮 定 の も とで は,

L

⑩Fi・=="iiiF2・>0

瓦 ・冨 「 沸 ・・

[証 明]数 学 注 ② を み よ。

(b)収 入 ・販 売 量

企 業 の収 入 関数 は あ る時 点tでR(Q,の に よ り与 え られ る。 企 業 が 競 争 的 市 場 に直 面 す る ときは 生 産 物価 格 ρ(の を 与 件 と して

R(Q,t)=p(t)Q(の

とな るが 以 下 で は一 般 的 な収 入 関数 を 用 い る;不 完 全 競 争 で あれば 収 入 関 数 は販 売量 の 非 線 型 な関数 で あ ろ う。RはQの 厳 密 に 凹 な増 加 関数 で あ る;

⑫R'(Q)>0,R"(Q)<0.

(・)準 レ ン .ト

企 業 の 収 入 か ら労 働 者 の 雇 用 に 伴 う賃 金 支 払 を 差 し引 い た 残 りの 最 大 値 は 企 業 が 資 本 ス トッ ク を もつ こ とか ら得 る準 レ ン トで あ る 。

⑬E(KR,の==Max{R(F(KL,rt),t)一 ω⑦L}

ム   り

賃 金 率 ω(彦)は,静 学 的 予 想 ω(の=ω に 従 うとす る 。 ま た 当 該 時 点 ≠ も 省 略 す る 。 こ の と き,

(7)

命 題3:E(Kk)にK左 の厳 密 に 凹 な関 数 で あ る。

[証 明 コ 数 学 注(3)を み よ。

最 大 問 題 ⑱ の 必 要 条 件 と し て,(5),(9),⑫ よ り

aのF2(K,L)=・ ω/R'…≡ω'

を 得 る 。 し た が っ て

⑮L・ ・KiF,‑1(ω')…KD(の,D'(ω')<o

な る 最 適 解 が ひ と つ 定 ま る 。 ⑮ は 短 期 的 労 働 需 要 曲 線 で あ る 。 た だ し,⑭ か ら わ か る よ う に 実 質 賃 金 率 が 拡 大 解 釈 さ れ て い る 。 ⑮ を ⑬ に 代 入 す る

と,

⑯E(K∫()=‑R(F(瓦KD(ω'),左))一 ωκD@')

を 得 る 。

命 題4:E(K,K)は 一 次 同 次 関 数 で aTEi>O,E2<0

'⑱E

t1<0,Ez2<O で あ る 。

〔証 明 コ 数 学 注(4)を み よ 。

命 題3・4か ら 準 レ ン ト関 数 ⑬ は 広 義 の 生 産 関 数(1)と 同 じ く,資 本 ス ト ッ ク,投 資 率 に 関 して 形 状 と変 化 の 符 号 が 同 一 で あ る こ とが わ か る 。‑E2==

‑R'F3は ,「 名 目」 限 界 調 整 費 用 で あ る。

企 業 の 得 た 準 レン トは 企 業 の 貯 蓄 の 一 部 を 構 成 す る と仮 定 す る。'

(d)資 本 蓄 積,投 資 の 機 会 費 用

企 業 は 資 本 ス トッ ク を 所 有 す う が,そ の 変 化 は,次 の ル ー ル に 従 う。

⑲K=1‑PtK;K(0)…Ko

Iは 物 理 的 な 粗 投 資 で あ る 。 粗 投 資 に 対 し,.チ ャ ー ジ γ(t)1を 企 業 は 支 払

(8)

わ ねば な らな い。γ① は,投 資 に流 れ こむ 実 際 の資 金量 に対 す る機 会 費 用 と も考 え られ γ(t)1を 準 レン トか らさ らに差 引 く必 要 が あ る。

企業 利 潤(貯 蓄)は 準 レン トか ら今 期 投 資 に 流 れ こむ 資 金 量 に 対す る機会 費 用 を 差 し引 くほか,企 業 の財務 活 動(次 項(e))か ら発 生 す る諸 費 用 を差 し

引 いた 残 りで あ る。

(e)企 業 財 務

企 業 は 外部 金融 と して多数 の方法 を 用 い うるが,こ こで は外 部 の金 融 機 関 か らの借 入 お よび交 代 的 に社 債 発 行 に よ り調 達 す る と仮 定 す る。 今 期 利 用 可 能 な借 入増 加分 は借 入Mか ら,支 払 い利 子7Mと 負 債 の調 節 に伴 う費 用 (調 整 費 用)Gを 差 し引 い た もので あ る。

負債 は 企業 を して よ り大 量 の生産 また は財 貨 の獲 得 を可 能 な ら しめ るた め に生 産 要 素(生 産 者 財)と して 機 能す る。 しか し,負 債 の調 節 に は,種 々の 摩 擦 的要 因 を 伴 い これ は,企 業 の成 長 に 本 質 的 とみ なす こ とが で き る。 い ま,負 債 の調 整 費 用 関 数 と してG‑G(K,M)の 場 合 に焦 点 を あ わせ よ う。

G(K,M)の 形 状 は背 後 に 一 次 同 次 な 凸関数

⑳G(KM)=‑Kg(芸)

を 想 定 し(図3参 照),次 の 命 題 の 伽,㈱ に よ る ほ か,

図3

τM

(9)

とす る。

G、1>0,G、2‑G21<0,

命 題5:gがM/Kに 関 七増 加関 数 な ら,

伽GはMに 関 し増 加 関数 で あ る。

gがM/Kの 厳 密 に 凸 な 関数 な ら,

㈱GはK,Mの 厳 密 に 凸 な関数 で あ る。

[証 明]数 学 注(5)を み よ。

Gに 関 す る仮 定 の意 味 は,借 入 の調 整 コス トは 負債 ・資 本 比 率 の逓 増 関 数 で あ る こ とを示 す。

(f)負 債 の 増 加

負 債(借 入)の 変 化 は 次 式 に も とつ く とす る。

⑳M一 α{(1+γ)1‑‑E(Kk)+rM+G(KM)};M(0)‑M。

(6)

ここ で,α は 負 債 増 の うち 投 資 に 回 さ れ る 割 合 の 逆 数 で あ る。(α 〉/1)。

この 公 式 は 企 業 勘 定 に お け る 恒 等 式1'一 一S+■(dM)か ら金 額 表 示 に して

α

導 か れ た も の で あ る 。(1'・.,Pil==1)。Sは 企 業 の 純 利 潤(企 業 貯 蓄)を 表 わ し全 て 投 資 に 回 され る。 またAMは 企 業 貯 蓄 で は 充 足 で き な い 借 入 分 を 表

(7)・

わ す 。

α を 定数 としないで 企業成長 率(資 本 ス トック変化率)の 逓減 関数,す なわ ち,企 業成 長率が高 まれば 高 まるほ ど内部 資金が不足 す るか ら外部 金融に頼 るメ カ ニズ ムを導 入す る こともで き よ う.し か しこれは負債 の調整費用 に反映 してい る と考 え る.

企業 勘定 か ら 明 らかな よ うに 投資は 企業貯蓄 の中だ けで 充足す るこ ともあろ う.す なわち,一 般的に は,

…=ts+ma・(÷ ・)(s+9M)

1111

が 成 立 す る ・ こ こ で ・O〈x■ ・i〈‑1'π+T=1;max(x・y)はxtyO大

きい方 を とる.し か し,わ れわれ の モデルは企業 貯蓄だけでは不 十分な場合 のみ を扱 う,

(10)

(9).借 入 の限 界

借 入 を 無限 に多 くす る ことは で きな い。借 入 は 現 存 の資 本 に 見合 うデ 定 量 以 下 に抑 え られ る:

・M《βK'

(h)netcashflow・ 企 業 の 目 的 関 数

企 業 の 毎 期 末 のnetcashflowは,企 業 の 純 利 潤 に 今 期 利 用 可 能 な 借 入 増 分 を 加 え た も の で あ る 。 す な わ ち,

⑳17(K,K,M,M)=・E(KR)‑7(k+PtK)+M‑rM‑G(K,M) で あ る 。

⑳ 式 を 代 入 す る と,

㈱'v'(KKM)一(1一 α)(E(K左)一 一γ(k+μK) 一 ・M‑o(KM))+α(左+μK) を 得 る 。

命 題6:Vお よびV'は 各 変 数 に 関 して 厳 密 に 凹 で あ る。

[証 明]命 題3・5に よ り,ほ とん ど明 らか で あ る。

こ の 命 題 は,次 節 の 企 業 の 最 適 計 画 の 解 の 一 意 性 を 保 証 す る 。

企 業 の 目的 は 無 限 期 に わ た っ て のnetcashflowの 割 引 現 在 価 値;

en∫ セ7(K・KM,M)dt

(8)^

を 最 大 に す る よ うに,投 資 政 策 ∫(の を 選 ぶ こ とで あ る。 こ こで,ρ は,企 業 の 主 観 的 割 引 率 で あ る 。 但 し,必 ず し も 市 場 利 子 率 に 一 致 し な い と す る 。

(8)企 業成長の 目的 として しば しば売上高最大 化が選 ばれ る ⊂6]を み よ)が,こ の モデルは明 らか にそれを包摂 してい る.ま た,無 限期 にわた る計 画の代 りに有 限期 計画 とし,期 末 の残存価値 を処分す る よ うに モデルを変更す る ことも可能で あ るが,企 業はは じめか ら倒産な い し整理を行 な うとは仮定 しな い 「継続 企業」

(goingconcern)と す るわれわれ の モデルの方 が合理的で あろ う,

(11)

3.企 業 の 最 適 投 資 計 画

企 業 の直 面 す る問題 を要 約 す る と次 の よ うに な る。

∫..

O

maximizeθ 一・̀{(1一 α)(E‑rl‑一 γM‑G)+α1}at

subjectto

K鶉Z一 μK;K(0)…Ko 班=α{(1十 γ)1‑E(K左)十erM十G(K,M)};M(0)=Mo

M〈xβK

この問題 に対す る最 適解 の必要条件は,周 知 の最適制御理論(制 約付 の変

分 間 諭 を 適 用 す る こ とに よ り与 え られ る。

ま ず 次 の よ う な ハ ミ ル ト ニ ア ン 関 数Hを 考 え る;

⑳H・ ・e‑P̀{(1一 α){E(K,1‑PtK)一 γ1‑rM‑G(K,M)}+α1 +ψ(1‑PtK)

+ξ{α((1+γ)1‑E(K1一 μK)+rM+G(KM))}

+η(βK‑M)}

=・e‑pt{(1一 α一 αξ){五(K,1一 μK)一 一γ1・一rM・‑G(KM)}

+α(1+ξ)1+ψ(1‑‑ptK)+η(βK‑M)}

KとMは 状 態 変 数,1は 操 作 変 数,ψ と ξ と η は ラ グ ラ ン ジ ュ 乗 数 で 時 間 ≠ の 関 数 で あ る 。 キ ュ ー ン ・ タ ッ カ ー 条 件 に よ り,η は 非 負 で あ る が βK<Mの と き は ゼ ロ で あ る 。

η≧0;η(βK‑M)=0

操 作 変 数1が 目 的 関 数 ⑳ を 最 大 に す る に は 以 下 の 条 件 が 成 立 す る こ と が 必 要 で あ る 。(オ イ ラ ー ・ ラ グ ラ ン ジ ュ 方 程 式)

左 一1一 μK

⑳M・ ・α{(1+γ)1‑E(K,R)+rM+o(KM)}

(9)最 適 制 御 論 の 経 済 学 に お け る応 用 に つ い て は,例 え ばHadleyandKemp[5コ 参 照.

(12)

ゼ(6碧 一一票 ・すなわち

ψ 一(ρ+μ)ψ 一 一(1・ 一 α ・‑crξ)(El‑‑ptE2‑一 一(]i)一 βη

㈱d(〜 多ξL一 諾 すなわち

ξ=(ρ 一 α(Pt+G2))ξ+(1一 α)(r+G2)+η

∂H

万 ア ー0,す な わ ち,

ψ+(1一 α 一 αξ)(E2‑・ 一γ)+α(1+ξ)==0

㈲M≦ βK

(横 断 性 の 条 件)

㈱lime一 ρ̀ψ(の 一1ime『ptξ(t)=・O

t→cot→o◎

(二 次 条 件)

&)(1一 α一 αξ)E22<0

二 次 条 件 に よ り,

1一 α一一αξ>0 で な け れ ば な らな い 。 α》1を 考 慮 す る と,

ξ〈x・‑1<0

で あ る。

ry==O.の 場 合,す な わ ちM<βKで あ る場 合 を 中 心 に 分 析 す る 。 他 の場 合 の 分 析 は 数 学 注(6)に 譲 る。

ま ず 最 適 条 件 の 経 済 的 意 味 を 明 らか に し よ う。GO,㈲ は 通 常 の 実 現 可 能 性 の 条 件 で あ る 。 紛,㈹ は 一 種 の 帰 属 価 格 ψα),ξ⑦ が 存 在 す る こ と を示 す 。 ψα)は 資 本 ス トッ ク の 帰 属 価 格,ξ(の は 借 入 の 帰 属 価 格(マ イ ナ ス)と え うる 。 ㈲ よ り

eatf一 ρ+(・+G2)(1‑‑a‑aξ)/ξ

を得 る。 左 辺 は 次 期 に 負債 を1単 位 持 ち続 け る上 にe・ うむ る 負 の利 得(損

(13)

企 業 成 長 の 動 学 的 分 析65

失),右 辺 は 今 期 負債 保 有 に伴 う 単 位 あ た りの コス トを 表 わ し,両 老 が 一 致 す る こ とを示 す 。

紛 式 は

ea'亘+(1一 α 一 αξ)瓦 一 ρ+μ+(1一 α一 αξ)(PtE2+G1)

ψ ψ

ψ

と変 形 す る と,右 辺第1項 は次 期 に 資 本 財 を売 る こ とに よ り得 られ る資 本 利 得 で あ り,左 辺第2項 は資 本 財1単 位 を 今期 生 産 活 動 に用 い る こ とに よ り得 られ る収 益 で あ り,こ れ らの和 が,資 本 財 を1単 位 購 入 し使 用す る ことに伴

くロ

う コス ト(右 辺)に 等 しい こ と を 示 す 。

特 にGO〜 ⑳ に お い て,ξ(彦)=‑1(㈱ 式 参 照)と す る と,こ れ らの 体 系 は 実 物 面 の み の 企 業 の 最 適 投 資 計 画 が 得 られ,系(corollary)と して,Tread‑

way[14],[15],Lucas[7]ら の 分 析 を 得 る。 す な わ ち,㈱ よ り

ψ(の一∫羅 嚇'

で あ り,⑳ よ り,

⑳'ψ(の=γ 一E2

で あ るか ら,㈱'と 図'よ り,今 後得 られ る資 本 の 「限 界 生 産 物 」 の 現 在時 点 で の割 引値 は単 位 あた りの投 資 の機 会 費 用 と名 目限 界 調 整費 用 の和 に等 し

い こ とを示 して い る。 さ らに,調 整 費 用 を考 慮 しなけ れ ば,投 資 の限 界費 用 はそ の現 在価 値 に等 しい とい う通 説 に 帰着 す る。

企 業 財務 を統 合す るわれ われ の モ デル は,こ れ らの ほか に借 入 に伴 う帰 属 の コス トを,企 業 の統 制 本 部 に 提 供 して い る。 投 資 決 意 に 際 し,資 本財 と借 入 の二 重 の帰 属価 格 「情 報 」 を 持 っ て い る こ とは企 業 に とっ て極 め て 有利 で あ る。

最適 政 策1に お け る比較 静 学 分析 を 行 な お う。B4式よ り

GgI=1(KM,ψ,ξ,α,γ)

と か け る 。 各 パ ラ メ ー タ(K,M,ψ,ξ,α,γ)に 関 す る1の 符 号 は 図 式 を

(10帰 属 価 格 の こ の よ う な 解 釈 はDouglasandGoldman[3コ に よ る,

(14)

陰 関数 微 分す る こ とに よ り求 ま る。

と お く と,

φ ≡ ψ+(1一 α 一 αξ)(E2(K,1一 μ・κ)乙 γ)+α(1+ξ)需0

∂(一 ξ)

‑・=一>0∂1

∂ψ(1一 α一 αξ*)E22

‑==一∂Tl く0

∂γE22

童 二=̲(1+ξ*)(1‑E』+γ)<0

∂α(1一 α 一 αξ*)E22

0

}

β

==

1K0 IM 0<[σα

= 22E

α

σ 1

(e■・ ξ*〈×‑1)

を得 る。 これ らに よ り,最 適 政 策上 で は,他 の事 情 に して 等 しい限 り,資 本 ス トヅクの増 大 な らび に,資 本 財 の帰 属 価 格 ψ の上 昇 は,投 資 に正 の 効果 を 与 え,機 会 費 用 γ,借 入 帰 属 コス ト(ξ)の 上 昇 は 負 の効 果 を もた らす 。 ま た,負 債 の増 大 は投 資 に 何 ら影響 を 与 え な いが,利 用 可 能 な借 入増 分 の うち 投 資 に 回 され る割 合 が 増 大 す るに つ れ投 資 に 正 の効果 が み られ る。 逆 に 投 資 に 回 され る割 合が 減 少 す るに つ れ投 資 に 負 の効 果 を もた らす 。

次 に 最 適 企 業 行 動 の 特 徴 を 調 べ よ う 。 最 初 に 長 期 最 適 状 況 を み る 。 こ れ は 企 業 が も は や 規 模 を 変 え る 誘 因 が 存 在 し な い 「非 企 業 的 」 状 況 で あ り, R‑=o,M‑0,li===O,ξ 一 〇,H・‑Oと お く こ と に よ り 得 ら れ る 。 こ の 定 常 状 態 変 数 をK*,M*,?1「*,ξ*,1*で 表 わ す 。 整 理 し た 形 は 次 の よ う に な る 。

(4DI*一 μK*=0

α{(1+γ)1*‑E(K*,0)+γ.M*+G(K*,M*)}==O

(43(1‑一 ・cr‑‑crξ*)(Ei(K*,0)一 μE2(K*,0)‑G⊥(K*,M*))

一(ρ 十 μ)ψ*=0

(15)

(1一 α 一 αξ*)(r+G2(K*,M*))+ρ ξ*=O ψ*+(1一 α 一 α*ξ)(E2(K*,0)一 γ)+α(1+ξ*)=0

次 に 図 の も と で 成 立 して い る 微 分 方 程 式B◎,⑳,BZ,㈲ の 解 の 性 質 に つ い て 調 ぺ よ う。 各 変 数 の 初 期 値 を 定 め た と き こ れ らの 微 分 方 程 式 は 若 干 の も の に つ い てexplicitに 解 く こ とが で き る 。 ⑳ 式 の 解 は

κ(の一嘱+∫

で あ る 。 こ れ は ま た1(s)〉.O,K。>0よ り,す べ て のtに 対 しK(t)>0な る.

こ と を 示 し て い る 。

㈹ 式 は 次 の よ う に 解 け る 。

一叫 一(ρ一a・)t+・・∫:G2(K(s)・M(・))嚇 ×

Ig・+∫:・xp{(岡 一 α∫:G2(K(ω)・M(ω))姻

explicitな 解 は 得 られ た が 解 の 性 質 は 殆 ど定 か で は な い 。 そ の た め,接 を 変 え て,任 意 の 解 が,前 に 定 義 した 定 常 状 態 点K*,M*,ψ*,ξ*の 回 りで 安 定 的 で あ る か ど うか を 問 う こ と に す る。

KM,ψ,ξ は 定 常 状 態 点 の 回 りの 領 域 で,線 型 近 似 す る こ とが で き る。

R!=ai1(K‑K*)

→‑a12(M‑一 一M*)+a13(ψ 一 ψ*)+a14(ξ 一 ξ*)

ハ4窪 α21(K‑K*)+α22(M・‑M*)+a23(ψ 一一ψ*)+α24(ξ 一 ξ*)

ψ 窒≦α31(K‑K*)+a32(M‑M*)+a33(ψ 一一ψ*)+a34(ξ 一 ξ*) ξ歪三6じ41(K‑K*)+a42(M‑M*)+a43(ψ 一 ψ*)+a44(ξ 一 ξ*)

こ こで,喝 は 左M,ψ,ξ の 均 衡 点 で 評 価 され た 偏 微 分 で あ り,次 の よ うな 値 を も つ 。

E211

,a12‑O,a13===一,all=‑E

22 (1一 α 一 α ξ*)E22

(16)

α(1+γ 一E2)1

a14=一

(1‑・ 一α 一crξ*)E22

a・・一α{(1+γ 一・E2)(μ一 毎)‑Ei+PtE・+G・}・ ・22一α(・+G2)・

α23一 農 葺 識 ・・24一 ま碧 …裏 識2

,

as1=(1一 α 一 αξ*)G11,as2=(1一 α 一 αξ*)G12

a33一 ρ+鶏i・ ・・ 一一α/(1+γ 一E2)(μ 一 亀)‑E,+1・E2+・ ・}

a"=(1一 α 一 αξ*)G21,a42==(1一 α 一 αξ*)(⊇22,a43==O, a"=ρ 一 α(r+02)画

で あ る 。'

こ の 線 型 化 さ れ た 体 系 オ ー(α の の 特 性 根 は 次 の 行 列 方 程 式 を 解 く ζ と に よ り 得 ら れ る 。

̲E2Lλ0̲1̲α(1+γ ・E・)

(1‑一 α 一 αξ*)E22E22(1一 α一 αξ*)E22

Y(2)≡c・Ba(・+G2)一 λ ぎ睾 鎧 鑑 主識il‑。

(1‑・ 一 ・ξ・)G・ ・(1一 α 一 αξ・)q・ ρ 磯 一 λ:一 αB

(1一 α 一 αξ*)(}12(1一 α 一 αξ*)θ220ρ 一 α(r+G2)‑2

こ こ でB‑(1+r‑E2)(μ 一 亀)‑E1+,・E2+G1

根 の 配 置 に つ い て 以 下 調 べ よ う。

AiA2RO

[A‑R1]=一 \、

∠43ρ1一 ノ望1'0'λ

・AlA2R

、0

1望3‑∠ 置1'0え 一 ρ

と 行 列 を 分 割 す る こ と が で き る 。 こ こ で,

̲El20 Ai・=E22

αBα(7+G2)

(17)

餅1;嚢;:=溝 讐:〕 ,

(1一 α 一 αξ*)G、1(1一 α 一 αξ*)G12A 3=:

(1‑一 一α 一crξ*)G12(1‑一 一α 一一crξ*)G22

り,A1'はAlの 転 置 行 列 で あ る 。 そ と きAの 特 性 方 程 式60は,

6Dノ(λ)=[2(λ 一 ρ)]2‑tr(!望1(一 ∠4i'一 ノi13∠11‑1/42))λ(λ 一 ρ)

+IA,(‑A1'‑A3A、 一'A、)1・O

と な る 。 し た が っ て,線 型 近 似 体 系Aは4つ の 固 有 根 を も つ 。 す な わ ち, い ま,

62)ζ==ノ 〜(2‑一ρ)

と お く と,

63)ζ2‑〃(A1(‑A1'一 一A3Ai‑tA2)ζ ←IA1(一 ∠11'‑AaAi‑1A2)1==O

の2根 ζ1,ζ2を ま ず 求 め,こ れ を 働 に 代 入 し て 得 ら れ る 二 次 方 程 式

λ2‑tOλ一 ζi・・o(拙1,2)

を 解 け ば,4つ の 根 を 求 め る こ と が で き る 。

漸 近 的 に 定 常 的 な 均 衡 点(K*,M*,ψ*,ξ*)に 接 近 す る ⑬Q〜 ㈲ を み た す 経 路 が 存 在 す る た め に は,6Dの 少 な く と も1つ の 根 ろ が 負 の 実 部 を も つ こ

と が 必 要 か つ 十 分 で あ る 。

も し,鮒 の 根 の1つ が 正 の 実 部 を も つ(例 え ば,ζ1と す る)な ら ば,i・1 に 対 す る 鯛 の 二 根 の1つ は(根 と 係 数 の 関 係 か ら)負 の 実 部 を も つ で あ ろ

う 。 ま た,も しlA,(一 一A1,一一一A3Ai1A2)1〈0な ら ば,⑬ は1根 が 正,他 根 が 負 の 根 を も つ で あ ろ う 。 か り に,IA,(‑A、'・ 一A3A1‑1A2)1>0で あ れ ば,63 の 根 の1つ はtr()>0に 限 り 正 の 実 部 を も つ で あ ろ う 。 と こ ろ が,

1A,(‑AlLA3Al"1A2)1・=IA、11A、'+A,A,'1A21を 実 際 計 算 し て み る と, IA、1>0で あ り,IA,'+A,A,‑iA21<0と な り う る 。

し た が っ て,均 衡 点 へ 向 う 経 路 が 存 在 す る こ と が 示 さ れ た 。

(18)

こ の こ とは 単 に 次 の こ とを 意 味 して い る 。 企 業 は 管 理 統 制 に す べ て の 権 限 を もつ 本 部 が 初 期 条 件 を 与 え られ だ と き,企 業 の 時 間 経 路 を う ま く定 常 状 態 に 乗 せ る よ うに 帰 属 価 格 を 定 め る こ とを 必 要 と して い る 。

最 後 に 均 衡 点 の 近 傍 に お け る 解 の ビヘ イ ビ アを4次 元 空 間 の 中 で,と え た い 。4次 元 を 図 形 に 表 わ す こ と は 不 可 能 な の で,K‑・M,K・‑ip,・K‑一 ξ, M一 ψ,M一 ξ,ψ一ξ の6個 の 平 面 の 横 断 面 に お け る 位 相 図 を 調 べ る こ とで 満 足 し よ う。 そ の うち,特 徴 的 な も の を2つ 掲 げ よ う。 他 の 場 合 も 同 様 に 描 く

こ とが で き る。

(i)K‑・ip平

k・ ・1一 μκ

ψ==(ρ+μ)ψ 一(1一 α一 αξ)(E1一 μE2‑G,)

1裟L‑一 鶉 釧 飼 一一 勾 俘 く・

(1一 α 一 αξ)E22

一一(『 逡 免 ≧・狂ρ≦一毎 一癸

E22・

M,ξ を 固 定 す る と き,K一 ψ 平 面 の 位 相 図 は,た と え ば 図4の よ うに な ろ う。

図4:」 ←ψ 平 面横断 図 ψ

(19)

(ii)

K,ψ を 固 定 す る と き,.M一 ξ 平 面 の 位 相 図 は, ろ う 。

M一 ξ 平 面

M・ …{(1+γ)1‑E(K1一 μK)+rM+G(KM)}

ξ=(ρ 一 α(r+G2))ξ+(1一 α)(r+G2) 正..=Lcr(r+G・)(1一 α 一 ・ξ)E22>。

∂Mth‑。 α2(1+γ 一E、)2

一k:̲o‑一 『…≡…暮ラ篶 守 …≧oρ ≦・α(r+b,)

た とえば 図5の タ うに な

図5:MLξ 平 面 横 断 図

M

これ らの図 に お い ては,横 断 面 に おけ る均 衡 点 は と もに 不 安 定 で あ る。 し か し,図5の 場 合 は 鞍 点 で あ る。 ほ とん どす べ て の方 向 へ の ほ ん のわ ず か な 乖 離 も,均 衡 か ら離 れ る累 積 的 な動 き とな る。 いわ ゆ る 「安定 な腕 」(stable arms)だ け が斉 一 成 長 へ 向 って収 束 して い く。

4.結 び に か え て

本 稿 で 意 図 した こ とは企 業 成 長 の総 合 的動 学 モ デ ルを 構 築 し分 析 を行 な う ことで あ った 。 企業 の実 体 を モ デ ル化す るに際 し,企 業 成 長 の 実 物的 側 面 と 金融 的側 面 の結 合 が 図 られ た。 また,企 業 成 長,咽したが って企 業 投 資 に お け る基 本的 要 素 で あ る 資 本 と負債 の 固定 性 を 重視 しこれ を 体 系 内に と りい れ

(20)

た 。

多 くの単純 化 の仮 定 に 依拠 して お り,ま た,分 析 と検 討 が 十 分 な され て い な い ので,確 定 的 結 論 は もち ろ ん差 控 え るべ きで あ ろ うが,以 下 の 点 は確 認 で きた と考 え る。

(1)企 業 の雇 用 量 の決 定 は短 期 的 に決 定 され る。 これ は資 金 調 達 とは無 関 係 に な され る。(モ デル の前 提)

(2)企 業 の長 期 的 動 学 的選 択 は,資 本 と負債 の制 約 の も とで の投 資政 策 の 選 択 に な る。

(3)最 適 な投 資 政 策 は 企業 貯 蓄 に依 存 す るばか りで な く資 産 の増 加 に伴 う 借 入 状 況 に 依存 す る。

(4)か りに前 者 だ け で あ れば,最 適 な政 策 は投 資 の限 界 費 用 が そ の限 界現 在 価値 に等 し くな る よ う行 な われ ね ば な らな い とい う 「通 説 」 を 包 摂 して い

る。 ・1

(5)資 本 の 固定性 に伴 う投 資 の調 整 費 用 は 準 レソ トの限 界 価値 の損 失 と し て最 適 政策 に 現 わ れ てい る。;

(6)負 債 の 固定性 に 伴 う成 長 コス トは 最 適担 資 に直 接 影 響 を 与 え な いが, 帰 属 価 格 の決 定 を通 じて,影 響 を与 え る。 これ は 負債 調 節 が 投 資 率 と無 関 係

とい う仮 定 に依 存 してい る。

(7)企 業 が 直 面す る生 産 物 市 場 は,完 全 競争 のみ な らず 不 完 全 競争(収 関 数 の 非線 型 性)を 包 摂 して い る。

体 系 に 「安 定 な腕 」 が存 在 し うる。

(1)命 題1の 証 明:,

煩 雑 さ を 避 け る た め に,ベ ク トルX=(IK,L・rt)を 導 入 す る 。F(X)は 仮 定 に タ り 増 加 関 数,一 次 同 次;λF(x)=F(λx)(∀R≧0),厳 密 に 準 凹;F(x)≧F(x2)な ら, F(eXl+(1一 のx2)>P(x2)(0<θ<1,x、 ・¥x2)を 満 た し て い る 。 こ の と き,F(OXi+

(21)

(1一 θ)x2)〉 θF(Xl)+(1一 のF(x2)(0<0<1諸1キ な る こ と を 示 す 。 背 理 法 を 用 い,カ 』り に,

(1)'F(θXl十(1一 θ)x2)≦0.F(Xi)十(1一 θ)F(x2)

が 成 立 し た と す る 。F(x、)≧F(x2)で あ る か ら,0<γ ≦1を も っ て,γF個)=F(x2) と で き る 。 一 次 同 次 を 用 い る とF(rXl)=F(x2)と な る 。 さ ら に(1)'が 成 立 し て い る か ら,P<μ ≦1を も っ て,

(2)'.F(θXl+(1‑‑e)x2)=μ{OF(x、)+(1一 θ)F(x2)}

と す る こ と が で き る 。Fの 一 次 同 次 を 用 い る と,右 辺 は,OF(幽)+(1‑一 ・θ)F(μ κ2) に 等 し い 。 上 に よ り,F(幽)==F(X2)で あ り,増 加 関 数 に よ りF(μ 躍2)・くF(X2)で あ る こ と を 用 い れ ば,(2)'の 右 辺 はF(初 よ り も 小 さ い 。 こ れ は 準 凹 の 仮 定 に 矛 盾 す る 。

(2)命 題2の 証 明

Fi(K,L,R)==Fi(λ κ,λL,λK)(i=1,2,3)∀ λ≧∋0 で あ る か ら,両 辺 を 尾 で 偏 微 分 し λ=1と お き(5)を 用 い る と,

*KFn十LF,2十KFi3=O

KF21+LF22=O KFs、+編3=0

を 得 る 。 これ よ り,Eゴ=乃 唇(Youngの 定 理)を 用 い る と求 め る 結 果 を 得 る。

(3)命 題3の 証 明

ま ず,L、 ・L2と し て(L,4・L2)

R(F(茄,Li,&))"一 ωL,=E(及,&),i=1,2

を み た す よ う に 定 め る 。 い ま,Ke,Lθ,Keを そ れ ぞ れ θK,+(1一 θ)馬,θLi+(1一 θ)L.・

θK+(1一 θ)K2・ と お く,そ の と き 次 の2つ の ケ ー ス が あ る 。 ケ ー ス(1)F(瓦 ∴乙1,畠)≠F(Kl,L2,Rr2)

E(Ke,ko)〉‑R(F(Ke,Le,kθ))一 ωLθ

〉 θ1〜(F(Kl,L1,」 ヒD)十(1一 θ)1〜(・F(K2,L2,」 函亀))一 ω(θL1十(1一 θ)」L2)

=肥(K,,rk,)+(1‑一 θ)E(砺 鵡)

ケ ー ス(ii)F(Kl,Lpj宅)=F(K2,L2,Jlr,)

仮 定(8)に よ り,Fが 厳 密 に 凸 な 等 量 曲 線 を も つ の で,Lθ>Lと な るLが あ っ

て,

F(Ke,z,左 θ)=F(瓦,五 、,、畠)=F(K2,L、 轟) と な る 。 し た が っ て,

E(Ke,rte)〉‑R(F(Ke,L左 θ))一 紘>R(.F(K2,L2,亀))‑ooLθ

=θ1〜(F(Kl,Ll,R,))十(1̲θ)R(F(K2,L2,k,))一 ω(OL十(1一 θ)L2)

(22)

=θE(瓦,Kl)+(1一 θ)E(K2,K2)

(4)命 題4の 証 明

一 ・次 同 次 は 仮 定 よ り 自 明

Ei=Rノ(Fl十DF2)一 ωD=RtFl>O,・E2=R'F3〈O

EI、=R"(F、+ヱ)F2)F、+RV(Fl、+DF、 、)<R"(‑kF,、/κ)<0

(∵ 数 学 注(2)の*に よ る)

E22=1〜"F32+.R'F33<0

(5)命 題5の 証 明

G・・=9'〉・で あ る.次 に,8力 に 凸 で あ る,す なibS,9(μ+(1一 の 些)

〈θ9(芸)+(1一 θ)9(蜘 ・<θ<1十 で あ るとき ・G(・K,+(1‑e)K・

OM,+(1・ 一θ)M2)<θG(Ki,Mi)+(1‑一 θ)G(K,,M2)と な る こ と を い う 。

RHS‑(eKi+(1‑e)K2)〔eK

,+翫 颪8(葺)+澁 瓦8(砦)〕

〉(eK,+(1一 θ)K2)・{θi.1+響 θ)濁 舞+θ 驚 〕 一(θK,+(1一θ畷

θ瓦+響 θ)K2+粛1畿)‑LHS・

(6)制 約 条 件 を 考 慮 し た 分 析

本 論 で は,企 業 は 借 入 限 界 に 何 ら 抵 触 す る こ と な く 活 動 で き る 場 合 が 分 析 さ れ た が,こ こ で は,モ デ ル に

M(')× 〈 β〜てα)

を 明 示 的 に 追 加 し,そ の 場 合 の 最 適 政 策 を 考 察 す る 。 簡 単 化 の た め 減 価 償 却 を 考 慮 し な い 。(μ=0)

'ハ ミ ル トニ ア ン は 次 の よ う に な る

(1)H=e‑pt{(1一 α)(E‑‑rl‑rM‑G)+α1

+(ψ+β η)1

十 α(ξ一 η){(1十 γ)1‑E(Kl)十rM十G(K,M)}

=e‑pt{(1一 α一一cr(ξ一 η))(E一 γ1・‑rM‑G)+(α 十 ψ十 βη十 α(ξ一一r7))1}

{ こ こ で

,

(2)η 一{80罐

で あ る.後 者 の ケ ー ス は 既 に 扱 っ た の で,前 者 の 場 合 を 考 察 す る,軌 道 はM=βK の 上 に と ど ま る な らば 明 らか に 並=β 左 で な け れ ば な らな い.し た が っ て

(23)

(3)β1‑一 α{(1+γ)1‑‑E(IK,1)+βrK+G(K,βK)}=o

と な る.こ れ よ り.1はKの 関 数 と し て 決 定 さ れ る.さ ら に,伍=0す な わ ち (4)(1一 α一 α(ξ一 η))(E2一 γ)+α+ψ+β η十 α(ξ一 η)==0

で あ る.こ れ は,η を 決 定 す る ば か り で な く,η ≧0に 注 意 す る と, (1‑一 α一 αξ)(E2‑r)+α(1+ξ)+ψ ≧0(β<α)

と な る こ と を 意 味 す る.す な わ ち,§3の 議 論 か らMx〈 βKな る 条 件 を 取 り除 く な ら ば,1の よ り 一 層 の 改 善 が 可 能 と な る こ と を 意 味 し て い る.

[1コ 今 井 ・宇 沢 ・小 宮 ・根 岸 ・村 上r価 格 理 論1,皿 』 岩 波 書 店,1971,1972.

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[3]Douglas,A.J.andGoldman,BM.,"MonopolisticBehaviorinaMar。

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1964・(大 川 勉 他 訳r経 営 者 資 本 主 義 の 経 済 理 論 』 東 洋 経 済 新 報 社1971) [10]Moor,B.J.,lntroazvation彦otheTheoryofFinance,FreePress,1968・(前

田 新 太 郎,漆 崎 麟 治 訳 「現 代 金 融 論 入 門 上 」 第 三 出 版,1971) [11コPenrose,E.T.,TheThθoりyofthe(;rowthoftheFirm,Oxford:Blackwe11,

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(47.9.27)

参照

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