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(1)

過疎山村 における高齢者 の生活行動 と社会関係

‑ 秋 田県上小阿仁村を事例 として‑

キー ワー ド:過疎 山村 高齢者 生活行動 社会関係 上小阿仁村

Ⅰ は じめに

秋 田県 における過疎山村 の研究 については、 これ まで阿仁町を対象 として、本学の学生 によ りさまざ まな視点か ら行 われて きた。 日本 のなかで も過疎地 域では、高度経済成長期以降の若年者層を中心 と し た人 口減少がっづ き、高齢者の残留が進行 している。

傑 (2003)は、高齢者が山村での生活を維持す る ためには、彼 らを取 り巻 く他者 との相互作用が大 き な役割 を果 たす と考え、島根県石見町を対象 と した 研究でそれを証明 した。

本研究 の調査 は、秋 田県上小阿仁村 に居住す る世 帯 を対象 と して、 調査票 に基 づ く聞 き取 り調査 を 20052月か ら10月上旬 に行 った。有効回答の得 ら れた高齢者 は、子 どもと同居 しない高齢者 のみの世 帯が253世帯で、子 どもと同居す る世帯 は50世帯だ っ た。高齢者以外 に対 しての聞 き取 りは56世帯行 った。

対象地域の概観 と高齢人 口

上小阿仁村 は、秋 田県のはば中央、北秋 田郡 の西 南部 に位置 し、南北 に細長 い広大 な山間村 とな って いる。村の北部を除いては全般的に平地 に恵 まれず、

総面積 の約94%が山林原野 で 占め られ、 うち73% 国有林 とな ってお り、全国的に も秋 田杉 の主産地 と な っている。1年 間の3分 の 1は雪 で覆 われ、特 に 南部 と東部 の山間地 は積雪2mに もお よび、 特別 豪雪地、積雪寒冷地 とな っている

上小阿仁村の主 な産業 は農業であるが、総世帯数 に占め る農家数 は24.6% (277戸) と年 々低下 して いる反面

、1

農家 あた りの経営耕地面積 は1.36ha 県内では第48位 と、農家数 の減少 とは逆 に年 々増加 傾向にある。

国道285号 は、大館能代空港開港 に ともな って さ らに交通量が増えてお り、県内観光 ネ ッ トワークの

‑ 13一

大動脈 として、十和 田、八幡平、男鹿、秋 田を結ぶ 重要路線 となっている

村 の中心、集落の一つである沖 田面地区 は、秋 田久 保 田 と阿仁鉱山を往来す る宿場 として栄 え、一方で は、八郎潟東部 の米作地帯か らの米 の中継基地 とし て栄えて きた。明治22年 に町村制が施行 され、 それ までの小沢田、福舘、五反沢、重用、杉花、仏社、

沖 田面、大林、南沢 の9つが合併 し、上小阿仁村が 誕生 し、以来‑村単独で現在 に至 っている。

上小阿仁村 で は、人 口が1960年 の6,972人 を ピー クに、その後減少をっづ ける、典型的な過疎山村 と いえ る。平成12年 の国勢調査で は1,127世帯、3,369 人、一世帯 あた り平均3.0人、人 口密度13.1/km2

とな って い る。 高齢者比率 が高 い集落 は、 不動羅

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1 図

上小阿仁村 の概観 および各集落の 高齢者比率 (2005年)

過疎 山村 における高齢者 の生活行動 と社会関係

‑ 秋 田県上小阿仁村を事例 として‑

キーワー ド:過疎山村 高齢者 生活行動 社会関係 上小阿仁村

Ⅰ は じめに

秋 田県 における過疎山村の研究 については、 これ まで阿仁町を対象 として、本学の学生 によりさまざ まな視点か ら行われて きた。 日本のなかで も過疎地 域では、高度経済成長期以降の若年者層を中心 とし

た人口減少がっづ き、高齢者の残留が進行 している。

傑 (2003)は、高齢者が山村での生活を維持す る ためには、彼 らを取 り巻 く他者 との相互作用が大 き な役割を果たす と考え、島根県石見町を対象 とした 研究でそれを証明 した。

本研究の調査 は、秋 田県上小阿仁村 に居住す る世 帯 を対象 と して、 調査票 に基づ く聞 き取 り調査 を 20052月か ら10月上旬 に行 った。有効回答の得 ら れた高齢者 は、子 どもと同居 しない高齢者のみの世 帯が253世帯で、子 どもと同居する世帯 は50世帯だっ た。高齢者以外に対 しての聞 き取 りは56世帯行 った。

対象地域の概観 と高齢人 口

上小阿仁村 は、秋田県のはば中央、北秋田郡の西 南部 に位置 し、南北 に細長 い広大 な山間村 となって いる。村の北部を除いては全般的に平地 に恵 まれず、

総面積 の約94%が山林原野で占め られ、 うち73% 国有林 となってお り、全国的にも秋田杉の主産地 と な っている。1年間の3分の 1は雪で覆われ、特 に 南部 と東部 の山間地 は積雪

2m

に もおよび、特別 豪雪地、積雪寒冷地 となっている

上小阿仁村の主 な産業 は農業であるが、総世帯数 に占める農家数 は24.6% (277戸) と年 々低下 して いる反面、1農家あた りの経営耕地面積 は1.36ha 県内では第48位 と、農家数の減少 とは逆 に年々増加 傾向にある。

国道285号 は、大館能代空港開港 にともな って さ らに交通量が増えてお り、県内観光 ネッ トワークの

‑ 13一

大動脈 として、十和田、八幡平、男鹿、秋田を結ぶ 重要路線 となっている

村の中心、集落の一つである沖田面地区は、秋田久 保田と阿仁鉱山を往来す る宿場 として栄え、一方で は、八郎潟東部の米作地帯か らの米の中継基地 とし て栄えて きた。明治22年 に町村制が施行 され、それ までの小沢田、福舘、五反沢、重用、杉花、仏社、

沖田面、大林、南沢の9つが合併 し、上小阿仁村が 誕生 し、以来‑村単独で現在 に至 っている。

上小阿仁村 で は、人 口が1960年 の6,972人 を ピー クに、その後減少をっづ ける、典型的な過疎山村 と いえ る。平成12年 の国勢調査では1,127世帯、3,369 人、一世帯 あた り平均3.0人、人 口密度13.1/km2

とな ってい る。 高齢者比率が高 い集落 は、不動羅

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1 図

上小阿仁村の概観および各集落の 高齢者比率 (2005年)

Akita University

(2)

写真 1 上小阿仁村八木沢の概観

( 2 0 0 5

年1

2

1

日、筆者投影)

(100%)、 八木沢 (68.18%)、福舘 (51.32%)、杉 (51.28%)である (第 1図). なかで も八木沢 は、

場所柄 と領域 の小 ささか ら、秋 田県内で過疎地 と し て、 よ く取 り上 げ られ る集落である (写真 1)0

Ⅲ 高齢者 の生活行動 とその環境

1. 高齢者 の生活行動

1

) 消費行動、受療行動、余暇行動

村内の小 さな商店 で買 い物す るよ りは、五城 目で、

安 く大量 に買 い物 したいとい うことか ら、村 に居住 す る人 のほとん どは、食料品や 日用雑貨品を五城 目 町の ジャス コか アマ ノに買 いにい く。

受療行動 は、病院 までの距離ではな くて、抱えて いる病気や病院の評判 によ って病院を選んでいるの で、各集落の違 いは とくにない。

余暇行動 において は単純 に、住んで いる場所か ら の距離が行 き先 を決定 していた。 しか し、山ふ じ温 泉か らは送迎バ スが出ているため、遠 くに住む、交 通手段 のない高齢者 で も利用す ることがで きる。 ま た、道の駅 は生涯学習セ ンターに隣接 してお り、サー クル ・カルチ ャー教室を終えた高齢者の休憩所 となっ ている。

2) 行動 の組み合 わせ と類型

サークル ・カル チ ャー教室 に所属 しているかいな いかで、生活行動 が変 わ って くる。 同 じサークルに 所属す る友人 と、 その前後 の行動 を共 に していると 答 えた人 はとて も多 い。

行動 の内容 は、一緒 に温泉へ行 った り、買 い物 を した り、家で話 をす るとい うものだ った。友人 と前 後の行動 を共 にす ることで、教室でわか らなか った

ことを教 えあ った り、交通手段 のない人 は友人の 自 動車 に乗せて もらえた りす ることがで きる。 また、

サークルで知 り合 った趣味を同 じくす る者 どうLで、

旅行 に出か けた りす ることもあ る。 サークル内だけ での交流 にとどま らず、積極的に他者 との関係 を維 持 しよ うと していることが伺 え る。

2. 生活行動 の地域的 ひろが り

これは、村全体 における高齢者 の生活行動 の地域 的 ひろが りを示 した ものであ る (2図)。行動 の 主体、交通手段、行動 日的、行動回数 などを考慮 し ている。行動 の 目的や回数 によ って、交通手段 に違 いがみ られ ることがわか る。

集落 内では、徒歩 による移動が最 もよ く行 われて いる。 そ して、村内、村外 と、行動 の範囲がひろが るにつれて、多様 な交通手段が とられ るよ うになる。

中で も、自動車の利用 は圧倒的に多い。 ここではサー クル活動 も余暇行動 に含めたが、遠 くになるに従 っ て、行動 の回数が少 な くな って いることがわか る。

また、行動の単位 も個人ではな く、複数で行われ る。

村外 鞘 内 &井内 居住地

2 上小阿仁村 における高齢者 の生活行動 の 地域的ひろが り

( 2 0 0 5

2 ‑9

月の聞き取り調査により作成)

3 .

住民の意識 と生活環境

聞 き取 り調査 によると、山村 は住 みやすいか との 質問 に対 し、65歳以上 の高齢者 の半数以上が、住み やす いと答えた。理 由 と して、公共施設 の設置が さ れた ことや、道路の整備 などがあげ られた。 これに 対 し、15‑29歳 の若年者半数近 くが、 山村 は住 みに くいと答 えた。 また、山村 か ら出たいと答 えた人 は

4 0

人中

3 3

人 と、若年者 のほとん どが都市へでの生活 を希望 していた。

‑ 14‑

Akita University

(3)

高齢者の社会関係形成

1. 施設 ・集団 との社会関係

ここでは、近隣者 と友人、 サークル ・カルチ ャー 教室 を、高齢者 を とりま く他者 と した。聞 き取 りを していて、 と くに回答 の多か ったのが、 サークル ・ カルチ ャー教室 を とお した社会関係 である。

サークル ・カルチ ャー教室 の多 くが、小沢 田にあ る生涯学習 セ ンターで開かれてお り、他 には小学校 や中学校、 スポーツ施設、山ふ じ温泉 にあ るコ ミュ ニテ ィセ ンターなどがある。生涯学習 セ ンターはで きたばか りで まだ新 しく、図書室や郷土資料室、多 目的 ホールがある。上 ノ岳 スポーツエ リアや上大 内 沢山村広場 は、休 日には村外 の利用者 も多 く、晴れ た日にはバ ーベキューを して いる家族連れ も多 く見 かけた。

サークル ・カルチ ャー教室 に所属す ることによ っ て、高齢者 は社会関係 を維持 しよ うと している。女 性の場合、複数 のサークルに所属 して、積極的 に活 動 を行 っていることが多 い。

サークルや カルチ ャー教室 にひとつ も所属 してい ないと答 えたのは

、7 5

歳以上 の、後期高齢者 と呼ば れ る人 たちが ほとん どである。加齢 が進 み、体力的 な問題 でサークルやカルチ ャー教室 か ら遠 ざか り、

すすんで関係 を形成す ることがで きな くな ったため だ と考 え られ る。彼 らは、近隣関係 や血縁関係 を生 活 の中心 においている。

サークル ・カルチ ャー教室 は、高 齢者 に新 たな社 会関係 を形成す る場 を提供 し、生 きがいを与 えてい るといえ る。 サークル ・カルチ ャー教室 に所属す る ことによ って、高齢者 は社会関係 を維持 しよ うと し

写真2上小阿仁村 山ふ じ温泉で談話す る高齢者 (2005121E)、筆者撮影)

ている.女性 の場合、複数 のサークルに所属 して、

積極的 に活動 を行 っていることが多 い (写真2)0

2.個 々人 との社会関係

1

) 親子関係 の存在形態 と機能

子 ど もと同居 しない高齢者 にとって、別居子 と形 成す る社会関係 は最 も安定 した支援 の源であ り、 こ れを 日常的 に形成で きるか どうか は高齢者 の生活維 持 に影響 をおよぼす。

親が子 どもか ら受 けるのは、対面的なサポー トと、

心 のサポー トに分 け られ る。対面 的サポー トは、月 1匝Ⅰ以上 の訪問を行 う子 どもか ら受 ける場合が多 くて、最 も多 いのは家事 と農作業 の手伝 いである。

農作業支援 は別居子 が週末農民 と して週末や農繁期 に手伝 うもので、農業 の維持 に役立 っている。週末 農民の農作業 のための帰省 は、農繁期 は中心 に して 年間

4日前後 に大半が集 中す る。

親 と対面接触が困難 な県外 に居住す る子 どもは、

心 のサポー トが中心 となる。彼 らは少 な くとも月 に 1回、電話 や手紙、 メールなどを通 じて、 自分 の家 族 の ことや親 の健康状態などにつ いて相互 に情報 を 交換 している。

また、世帯収入のなかに、子 ど もか らの仕送 りが ある世帯がみ られ る。 これは、別居子が遠距離 に住 む場合 に多 い。親 と対面接触が困難 であ るため、 そ の分 を金銭的 な面で補お うと しているので はないか と考 え られ る。・しか し、仕送 りを受 けるほとん どの 親 の希望 と しては、仕送 りはい らないか ら、 なるべ く近 くに住 んでは しいとい うことであ った。子 ども が県内に居住 しているに もかかわ らず仕送 りを受 け ている場合、高齢者が後期高齢者 で単身 であ ること が多 い。

このよ うに別居子 の親子関係 は、両者 の空間関係 によ って内容 と強度が異 なるもの と考 え られ る。子 どもと同居 しない高齢者 に も別居子 の 日常的な支援 を受 け られ る人 とそ うでない人 との分化がみ られ、

社会関係 の保有状況 に差異 が生 じている。

2 )

近隣 ・友人関係 の存在形態 と機能

高齢者 は加齢が進む ほど、主体 的に社会関係 を形 成す るのが難 しくな り、 それにともな って近隣者 の 存在が重要性 を増 して くる。 しか し、高齢者がそれ を主体的 に取 り込 んでいるわけではな く、む しろ近 隣者 が、社会関係形成 の主体性が後退 している高齢 者 と緊密な社会関係 を形成す ることで資源の調達 を

1 5

Akita University

(4)

助 け、別居子 を動員す るなど資源調達 を主導 してい る。 そのため、近隣者、 とりわけ隣戸 は、 その空間 的近接性 ゆえに生活 に密着 し緊急 に対応で きる機能 的支援 の源泉であ ると同時 に、資源調達 の支援者 と して位置づ け られ る。 また、 いま近隣者か ら助 けて もらっている高齢者 も、以前 は、 自らが近隣者 と し て、近 くに住む高齢者の面倒 をみていた ことがある

と答えた人が非常 に多か った。

村 内における友人 との社会関係 は、住民 の 日常的 な接触や、地域福祉 サー ビス、地域住民組織 を とお して生み出されている。 とくに女性 は、男性 に比べ て、積極的 に社会関係を形成 しよ うと している。女 性 は、積極的 に外 に出 ることによ り他者 の情報 を不 断 に収集 し、関係 を維持 しよ うとしている。女性高 齢者 たちの 日常接触 は、農協での買 い物や年金の受 け取 り時、温泉 にいる時 に形成 され る。 わざわざ離 れた集落の友人宅 に行かないまで も、農協か温泉 に 行 けば会え る、 と して毎 日通 う人 もいるしか し、

こうした日常的な関係 も加齢 にともな う外出困難 の ため途絶 えて しまうことも多 い。 ただ、 その後 も電 話 などで関係 を維持 しよ うとす る人 もいる

デイサー ビスは高齢後期に至 って も保たれている これ は高齢者 自 らが資源 を取 り込む とい うよ り、社 会福祉 によ り社会関係形成のお膳立てがなされ、高 齢者 にかか る資源調達 コス トが低 く抑え られ るため

1 上小阿仁村 における高齢者が主体 となる 社会関係の事例

関係先

範囲

主な内容

別居子

家の中の掃除や洗濯、炊事などの世話

作集の手伝い(農繁期の労力提供、草刈り)

家の中で一緒に話をする、食事をする

村 外 電話で鍵康状態について話し合ったリ悩み事を

研いたりす

繁期に帰省して、農作業を手伝う

近隣 者 隣 戸 見守り

家事の手伝い 同集落 集落組鼓

近隣者宅との行き来 農作集を手伝う、手伝っても

友人 村 内 一緒に出かける(温泉.貢い物など)

友人宅との行き来 道の駅で話をする 農協凍 美辞で話をする

域住 民租 経 (婦 人会 ) 地域福祉サ‑ビス 村で開かれるイベントへの参 同書会、広場のOB会

サークル .カルチャー教 村 内外 老人クラブ(花いっぱい運動 、クリーンアップ活動、

ゲ‑トポ‑ル) 併句教室 書道教室 浄土を語 る会 フラワーアレンジメント教室

スポー‑ソ教室 料理教室

tツチワーク教皇 日本舞議教室 自然を守る会 お茶の教室 正琴教室

とぶき大学

高齢者生活支援租 村内

宅福祉サービス

( 2 0 0 5

2 ‑9

月の聞 き取 り調査 によ り作成)

である。

村外 に居住す る友人 とは、同窓会や職場 の

OB会

などが中心で、年 に数回程度 の交流がある

このように、高齢者 の交流の内容 と頻度か ら、親 子関係よりも、近隣者や友人、サークル ・カルチャー 教室を とお した関係が、高齢者の 日常生活 に密着 し、

生活 を維持す るのに重要 だ と考 えた。 なかで も、近 隣者 との関係 はな くてほな らない ものだ と考え られ る。高齢者 は、近隣者 とほぼ毎 日顔を合わせ ること で、緊密な社会関係を形成 している。 とくに、隣の 家 は、家事 の手伝 いや高齢者 の見守 りをす るなど、

生活の内部 に踏み込んだ関係を築いている (1表)

むすび

高齢 になるにつれて、高齢者 の生活 は近隣 ・血縁 関係 に依存す る。 しか し、高齢者 は子 ども以外 との 社会関係を形成す ることで、直接的に も、情緒的に も、必要 な支援 を受 けることがで きる。 なかで も、

近隣者か らは、高齢者 の 日常生活 に密着 した、緊急 性 を もっサポー トが受 け られ ることがわか った。

加齢 にともな う行動範囲の縮小が進む と、空間的 に近接す る他者 とは最 も安定 した社会関係を形成す ることがで きる。 とくに、高齢後期 において近隣者 は有効 に機能 している

このよ うな性格 は、村落社会 に根 ざ した生活扶助 機能が山村の高齢者 にとって重要であることを示 し、

高齢後期の生活 は地縁 に基づ く社会関係 によ り維持 されている。

本稿 の作成 にあた り、上小阿仁村の多 くの方 に御 世話 にな り、 また、秋 田大学教育文化学部 の篠原秀 一先生 に終始量重 なご助言 をいただいた。末筆 なが

ら、深 く感謝 申 し上 げます。

文 献

中候暁仁 (2003):過疎 山村 にお ける高齢者 の生活 維持 メカニズムー島根県石見町を事例 として‑.

地理学評論,第76,979‑1000.

‑ 161 助 け、別居子 を動員す るなど資源調達 を主導 してい

る。 そのため、近隣者、 とりわけ隣戸 は、 その空間 的近接性 ゆえに生活 に密着 し緊急 に対応で きる機能 的支援 の源泉であ ると同時 に、資源調達 の支援者 と して位置づ け られ る。 また、 いま近隣者か ら助 けて もらっている高齢者 も、以前 は、 自らが近隣者 と し て、近 くに住む高齢者の面倒 をみていた ことがある

と答えた人が非常 に多か った。

村 内における友人 との社会関係 は、住民 の 日常的 な接触や、地域福祉 サー ビス、地域住民組織 を とお して生み出されている。 とくに女性 は、男性 に比べ て、積極的 に社会関係を形成 しよ うと している。女 性 は、積極的 に外 に出 ることによ り他者 の情報 を不 断 に収集 し、関係 を維持 しよ うとしている。女性高 齢者 たちの 日常接触 は、農協での買 い物や年金の受 け取 り時、温泉 にいる時 に形成 され る。 わざわざ離 れた集落の友人宅 に行かないまで も、農協か温泉 に 行 けば会え る、 と して毎 日通 う人 もいるしか し、

こうした日常的な関係 も加齢 にともな う外出困難 の ため途絶 えて しまうことも多 い。 ただ、 その後 も電 話 などで関係 を維持 しよ うとす る人 もいる

デイサー ビスは高齢後期に至 って も保たれている これ は高齢者 自 らが資源 を取 り込む とい うよ り、社 会福祉 によ り社会関係形成のお膳立てがなされ、高 齢者 にかか る資源調達 コス トが低 く抑え られ るため

1 上小阿仁村 における高齢者が主体 となる 社会関係の事例

関係先

範囲

主な内容

別居子

家の中の掃除や洗濯、炊事などの世話

作集の手伝い(農繁期の労力提供、草刈り)

家の中で一緒に話をする、食事をする

村 外 電 話で鍵康状態について話し合ったリ悩み事を

研いたりす

繁期に帰省して、農作業を手伝う

近隣 者 隣 戸 見守り

家事の手伝い 同集落 集落組鼓

近隣者宅との行き来 農作集を手伝う、手伝っても

友 人 村 内 一緒に出かける(温泉.貢い物など)

友人宅との行き来 道の駅で話をする 農協凍 美辞で話をする

域住 民租 経 (婦 人会 ) 地域福祉サ‑ビス 村で開かれるイベントへの参 同書会、広場のOB会

サークル .カルチャー教 村 内外 老人クラブ(花いっぱい運動 、クリーンアップ活動、

ゲ‑トポ‑ル) 併句教室 書道教室 浄土を語 る会 フラワーアレンジメント教室

スポー‑ソ教室 料理教室

tツチワーク教皇 日本舞議教室 自然を守る会 お茶の教室 正琴教室

とぶき大学

高齢者生活支援租 村内

宅福祉サービス

( 2 0 0 5

2 ‑9

月の聞 き取 り調査 によ り作成)

である。

村外 に居住す る友人 とは、同窓会や職場 のOB などが中心で、年 に数回程度 の交流がある

このように、高齢者 の交流の内容 と頻度か ら、親 子関係よりも、近隣者や友人、サークル ・カルチャー 教室を とお した関係が、高齢者の 日常生活 に密着 し、

生活 を維持す るのに重要 だ と考 えた。 なかで も、近 隣者 との関係 はな くてほな らない ものだ と考え られ る。高齢者 は、近隣者 とほぼ毎 日顔を合わせ ること で、緊密な社会関係を形成 している。 とくに、隣の 家 は、家事 の手伝 いや高齢者 の見守 りをす るなど、

生活の内部 に踏み込んだ関係を築いている (1表)

むすび

高齢 になるにつれて、高齢者 の生活 は近隣 ・血縁 関係 に依存す る。 しか し、高齢者 は子 ども以外 との 社会関係を形成す ることで、直接的に も、情緒的に も、必要 な支援 を受 けることがで きる。 なかで も、

近隣者か らは、高齢者 の 日常生活 に密着 した、緊急 性 を もっサポー トが受 け られ ることがわか った。

加齢 にともな う行動範囲の縮小が進む と、空間的 に近接す る他者 とは最 も安定 した社会関係を形成す ることがで きる。 とくに、高齢後期 において近隣者 は有効 に機能 している

このよ うな性格 は、村落社会 に根 ざ した生活扶助 機能が山村の高齢者 にとって重要であることを示 し、

高齢後期の生活 は地縁 に基づ く社会関係 によ り維持 されている。

本稿 の作成 にあた り、上小阿仁村の多 くの方 に御 世話 にな り、 また、秋 田大学教育文化学部 の篠原秀 一先生 に終始量重 なご助言 をいただいた。末筆 なが

ら、深 く感謝 申 し上 げます。

中候暁仁

( 2 0 0 3 )

:過疎 山村 にお ける高齢者 の生活 維持 メカニズムー島根県石見町を事例 として‑.

地理学評論,第

7 6

,9 7 9 ‑ 1 0 0 0 .

‑ 1 61

Akita University

参照

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