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(川崎病急性期における血清酸性スフィンゴミエリナーゼ活性の変化)

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Academic year: 2021

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氏 名 ・(本籍) 近野 勇樹(秋田県)

専 攻 分 野 の 名 称 博士(医学)

学 位 記 番 号 医博甲第 901 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 28 年 3 月 22 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項該当 研 究 科 ・ 専 攻 医学系研究科医学専攻

学 位 論 文 題 名

Elevation of Serum Acid Sphingomyelinase Activity in Acute Kawasaki Disease

(川崎病急性期における血清酸性スフィンゴミエリナーゼ活性の変化)

論 文 審 査 委 員 (主査) 教授 廣川 誠

(副査) 教授 長谷川 仁志 教授 後藤 明輝

Akita University

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学 位 論 文 内 容 要 旨

Elevation of Serum Acid Sphingomyelinase Activity in Acute Kawasaki Disease

(川 崎 病 急 性 期 に お け る 血 清 酸 性 ス フ ィ ン ゴ ミ エ リ ナ ー ゼ 活 性 の 変 化 ) 申 請 者 氏 名 近 野 勇 樹

研 究 目 的

川 崎 病 は 冠 動 脈 を 含 む 全 身 の 中 小 動 脈 の 系 統 的 血 管 炎 で あ る 。 主 な 合 併 症 と し て 冠 動 脈 病 変 が あ げ ら れ る 。 高 容 量 の 静 脈 内 免 疫 グ ロ ブ リ ン(IVIG)投 与 は 川 崎 病 の 標 準 的 治 療 法 で あ る が 、 約 10% は IVIG に 不 応 で あ り 、 冠 動 脈 病 変 が 起 こ り や す い 。 川 崎 病 急 性 期 に は IL-6 TNF-α な ど の 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン が 上 昇 す る こ と が 知 ら れ て い る 。酸 性 ス フ ィ ン ゴ ミ エ リ ナ ー ゼ(ASM)は ス フ ィ ン ゴ ミ エ リ ン を 加 水 分 解 し 、 セ ラ ミ ド を 生 成 す る ラ イ ソ ゾ ー ム 酵 素 の 1 つ で あ る 。 マ ウ ス モ デ ル の 実 験 で は 分 泌 型 酸 性 ス フ ィ ン ゴ ミ エ リ ナ ー ゼ(S-ASM) IL-1 β,TNF-α な ど の 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン の 投 与 で 上 昇 す る と の 報 告 が あ る 。 最 近 の 研 究 で 敗 血 症 、 血 球 貪 食 性 リ ン パ 組 織 球 症 、2 型 糖 尿 病 、 慢 性 心 疾 患 、 ア ル コ ー ル 依 存 症 、 慢 性 C 型 肝 炎 等 で S-ASM が 上 昇 し 血 清 ASM 活 性 上 昇 と し て 反 映 さ れ る こ と が 示 さ れ た 。そ こ で 川 崎 病 患 者 急 性 期 に お い て の 血 清 ASM 活 性 を 調 べ る こ と を 目 的 と し 、 本 研 究 を 施 行 し た 。

研 究 方 法

調 査

対 象 期 間 は 2012 11月 か ら 2014 5月 ま で の 1 7ヶ 月 間 で 、川 崎 病 に 罹 患 し 入 院 し た 児 15 (男 児 10,女 児 5)の 検 体 を 調 査 し た 。 対 照 群 は 5 名 の 小 児(6 歳 か ら 8) 4 名 の 成 人 、4 名 の ア デ ノ ウ イ ル ス 感 染 小 児 と し た 。 検 体 は IVIG 投 与 前 と 投 与 後 24-48 時 間 後 に 採 取 し 、 血 清 ASM活 性 を 測 定 し た 。ASM 活 性 は 14C-labeled sphingomyelin を 用 い て 測 定 し た 。同 時 に 炎 症 の 指 標 と し て IL-6 の 測 定 を CLEIA 法 に て 行 っ た 。川 崎 病 の リ ス ク ス コ ア(小 林 ス コ ア)に 挙 げ ら れ て い る 血 清 Na値 、治 療 開 始(診 断)病 日 、AST値 、好 中 球(%)、

CRP 値 、 血 小 板 数 、 月 齢 と ASM活 性 と の 関 係 に つ い て 統 計 学 的 に 検 討 し た 。

研 究 成 績

川 崎 病 急 性 期 に お い て 血 清 ASM 活 性 は 有 意 に 上 昇 し て い た 。IL-6 値 は IVIG 投 与 前 有 意 に 高 く 、IVIG 投 与 後 は 正 常 値 ま で 低 下 し て い た 。 し か し 、 血 清 ASM 活 性 と IL-6 値 の 間 に 相 関 関 係 は み ら れ な か っ た 。 川 崎 病 患 児 2 名 の 検 体 を 用 い て ASM 活 性 の 至 適 pH を 調 べ た と こ ろ 、緩 衝 液 と し て 用 い た EDTA Zn2+ど ち ら も 至 適 pH 5で あ る こ と を 確 認 し た 。15 名 の 川 崎 病 患 児 の う ち 、13名 は 高 容 量 IVIG投 与 に 反 応 し た が 、3名 は 不 応 例 で あ っ た 。IVIG 反 応 群 と IVIG不 応 群 と の 間 で S-ASM 活 性 に 統 計 学 的 有 意 差 を 認 め な か っ た 。ま た 小 林 ス コ ア で 5 点 以 上 群(高 リ ス ク 群)と 5 点 未 満 群 と の 間 で S-ASM 活 性 に 有 意 差 は 認 め な か っ た 。 ASM 活 性 と リ ス ク ス コ ア 群 と の 関 連 で は 血 清 Na値 、治 療 開 始(診 断)病 日 、AST値 、好 中 球 (%)、血 小 板 数 、月 齢 と ASM 活 性 の 間 に 相 関 関 係 は み ら れ ず 、CRP ASM活 性 の み 相 関 関 係 が み ら れ た 。

結 論

川 崎 病 患 者 急 性 期 に お い て S-ASM 上 昇 、 す な わ ち 血 清 ASM 活 性 上 昇 が 示 さ れ た 。IL-6 値 の 変 化 と は 異 な り 、IVIG 後 の 血 清 ASM 活 性 の 改 善 は 遅 延 反 応 を 示 し た 。IVIG 反 応 群 と IVIG不 応 群 と の 間 で 血 清 ASM 活 性 に 統 計 学 的 有 意 差 を 認 め な か っ た 。

ASM 活 性 上 昇 の 臨 床 的 意 義 は は っ き り し な い が 、今 後 の 研 究 で 川 崎 病 の 病 態 に お い て ス フ ィ ン ゴ 脂 質 代 謝 の 関 わ り が 明 ら か に な る か も し れ な い 。

Akita University

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学位(博士-甲)論文審査結果の要旨

主 査: 廣川 誠 申請者: 近野勇樹

論文題名:Elevation of serum acid sphingomyelinase activity in acute Kawasaki disease 川崎病急性期における血清酸性スフィンゴミエリナーゼ活性の変化

要旨

川崎病は乳幼児において冠動脈を含む中小動脈をおかす全身性血管炎症候群のひとつであ るが、明確な原因はまだ明らかにされていない。標準的治療は静注ガンマグロブリンの投与 であるが約

10%に治療不応がみられ、冠動脈瘤の形成が最も大きな課題である。著者の研究

は川崎病の病態を解明することを目的として、

15

名の患者を対象として酸性スフィンゴミエ リナーゼの動態を調べた。その結果、患者血清中の酸性スフィンゴミエリナーゼ活性は高値 を示していた。静注ガンマグロブリンの投与前後において治療前に高値であった

IL-6

濃度は 治療後減少していたが、酸性スフィンゴミエリナーゼ活性は高値のままであった。様々な既 知の疾患活動性マーカーと酸性スフィンゴミエリナーゼ活性の値との相関を調べたところ、

CRP

との有意な相関が認められた。以上より、川崎病の病態解明のために今後スフィンゴ脂 質代謝の解析が重要であると結論した。

1) 斬新さ

スフィンゴミエリナーゼはスフィンゴミエリンを加水分解してセラミドとホスホリルコリ ンを産生する酵素である。セラミドは細胞内シグナル伝達に関わる脂質メッセンジャーとし て機能し、細胞の増殖、生存、アポトーシスに関わることが知られている。スフィンゴミエ リナーゼ活性は起炎性の

LPS

TNF

などにより上昇することや、敗血症や血球貪食症候群 などの炎症性疾患でも血清中の活性が上昇することが報告されているが、川崎病の病態にお けるスフィンゴミエリナーゼの役割について検討した研究は本研究が最初である。

2) 重要性

川崎病の予後を決定する最大の合併症は冠動脈瘤であり、その形成を予防することは臨床 的に極めて重要な課題である。スフィンゴミエリナーゼの基質が細胞膜脂質の主成分であり、

その代謝産物が脂質セカンドメッセンジャーであるセラミドであることを鑑みれば、著者が 見出したスフィンゴミエリナーゼ活性の上昇とそれに基づく代謝産物の動態が川崎病の病態、

特に冠動脈瘤形成に関与している可能性は今後さらに検討するに値し、スフィンゴミエリナ ーゼ・スフィンゴ脂質を標的とした新規治療の開発につながる可能性がある。

3) 研究方法の正確性

スフィンゴミエリナーゼ活性の測定は既に著者が所属する研究グループが開発・確立し、

報告した方法を使用している。研究対象となった患者選択、診療情報の収集については共同 研究者らによって正確に行われ、統計学的検討は著者により客観的に行われている。

4) 表現の明瞭さ

川崎病の病態解明のためにスフィンゴミエリナーゼの役割を検討するという本研究目的、

方法、結果、考察および結論の表現は正確で、論理的である。

以上より、本論文は学位を授与するに十分値する研究と判定された。

Akita University

参照

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