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中男学

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(1)

基礎的・基本的事項の解釈と教材化

社会科学習における能力育成の観点にたって一

振 育 学 研 究 室 目立市立中小路小学校教論 常澄村立常澄中学校教諭

中男学

時文谷藤森大佐大

 学習活動上メ生徒における意識の全体性に着目したペスタロッチーの教育思想,彼は,そこに知識 の受容と発動の並進による知識と能力,思考と行動の結合に由来する自発性の原理を強稠している。

あるいは,ヘルバルト学派の教授にみられた中心統合法的な教育内容の編成,それは生徒にあたえる 学習の素材を,細分化の教養と綜合化の教養を並進させることによって,身につけさせることを意図 したものと考えられる。また,シュプランガー・一・の了解心理学にみられる素材の関係,関連に注下する 意味の関連(sinnvolle Zusa㎜enha鍛9)という心意作用照して現象的世界を理解するありか た,更には,最近ブルーナーによって表明され,かつ実践された「教育の過程」を尊重するというこ と,そこに彼は,教育素材の組織化,構造化をはかり,学習の転移を強調している。

 これらに展開される教育活動をみると・生徒が学習していく際に・いずれも学習すう素材の原点と なる現象的世界を,あるときは細分化しつつ,あるときは綜合化しつつP両者の並進と調和に努力や 工夫をかた:むけている。であるから,被教育者をつつむ現象的世界の素材は,関係的に関連的に理解

せられて,現存在的な情報の獲得,組織,変容という生命体験を被教育者にあたえている。当今,わ たくしたちが問題にしている基礎的,基本的な事項をふまえた教材の精選ということも,蓋し,この ような二成の出会に考究せられるものとかんがえる。換言すれば,一丁に生徒が対象とする教材は,

時間と空間のなかに生起する事物乃至事件にして,それらは,あるときは物質的に,あるときは精神 的に生成されて現象的世界を形成している。カントが直観の要素を時間と空間にもとめた理由も這般 に知ることができるが,およそ吾人の生活における生命と環境,物質と精神,原因と結果という問題 は相互作用的に流転,現成され,そこに相対的、,綜合的な人知をあたえている。それは,一般知であ りながら要素分析するエネルギー:・をやどし,要素分析された特殊知でありながら普遍知,一般知にひ ろがるエネルギーtSをやどしている。

 わたくしたちは,このような観点にたって,すなわち,この両者,一般知と特殊知の出会に基礎的,

基本的事項をふまえた教材の精選ということを理解し,能力育成の立場から実践の事例を探求したも のである。

 1 社会科における基礎,基本に対する考え方の基盤

70年代の教育改革に対する要請は年ごとに強く大きくなって来ている。これらの閥題は、ひとり

祠117一

(2)

わが国だけの問題ではなく,今や世界の共通課題となっていると言えるが,わが国においても,教育 課程蕃議会より42年越改善策が平めされ,目標の明確化と基本的事項の精選についてのべられて おり,45年の中央教育審議会においては,r生涯教育の立場からの小学校教育の機能の認識のしか た」や「個性や発達の特性に応じた能力育成の考え方」などの基本構想が罷めされている。又本年(昭 和52年脂薬要領の改訂が示され,43年に明示された指導要領の重点化と共に,「人間性豊かな児童生徒を育

てること」を今後の学校教育の理念とし,「ゆとりあるしかも充実した学校生活が送られるようにする こと」のために,教科内容の削減と授業時数の縮小が,「国民として必要とされる基礎的,基本的な 内容を重視」 して,その精選が行われることになった。

 こうした方針をうけて,社会科についても,小学校学習指導要領では,時間数の削減に伴う内容の 精ge e人間尊重の精神の重視,環境や資源の重要性や国際理解の強調,社会生活の意義を広い視野か

ら考える能力の育成などの観点が示めされ,中学校については,小学校の基礎,基本の上に立って,

内容の整理統合,精選が行われ,学習指導の方法においても,さまざまな事象間の比較,関係把握 分析統合どかいうような思考活動と, 実践を盛り上げるような学習活動によって,社会科的能 力の育成をはかり,指導内容の精選によって学習の充実がはかれるよう改訂が行なわれた。

 これら一連の改訂の基本的課題は,飛躍的な科学技術の発展と,高度経済成長政策の中で,わが国 の教育への期待に対するひずみの是正とも見られる。即ち教育内容の高度化大量化による教育の使命 や機能の混乱が改めて問いかけられた事に起因すると考える。教育は元来人格の完成をめざして組織 されるもので,現代および未来社会に適応する能力を育てることにある。現代のように情報過多,

教材大量化のために多くの児童生徒が学習内容の高まりと広まりによって理解の困難度を増し,いわ ゆる学習不能の「落ちこぼれ」を生じさせる現状では,未来社会への適応する能力も当然養うことが 出来ない。そこで,本来学習活動が基本とする能力育成を,社会科の立場から,さらに検討し, 社 会科教育でねらう能力を明らかにしたものである。

 2 社会科教育における基礎。基本と能力の関係   イ 社会科学習指導要領における能力育成の観点

 現代社会が教育に求めているものは,未来社会への適応能力であることは,前述の通りであり,社 会科教育においても,社会科でねらう能力とは何かを,明らかにする必要がある。そこでこれを社会 科学習指導要領の目標から見てみると,43年版学習指導要領では,社会科目標の(4)に,「社会生活

を正しく理解するための基礎的資料を活用する能力や社会事象を観察したりその意味について考える 能力をのばし,正しい社会的判断力の基礎を養う。」と示めされており,今回の改訂指導要領では,

各学年目標の中に,学年段階での能力の目標が早めされている。

 小学校低学年の1年生では,学校生活や家庭生活といった日常生活経験を具体的に観察させたり観 察したりしたことをe効果的に表現させることによって能力を高め,2年生においても働く人の学習 の中で,職業としての仕事を具体的に比較観察させ,仕事の特徴に気付くよう意図されている。

 中学年では,地域社会の観察と具体的資料活用の能力に重点がおかれている。即ち地域の特色的な 視点をきめて,観察させることや,地図利用の能力になれさせていくことなど,具体的な資料を利用

して地域の社会事象を多面的にとらえていくような能力の指導が示めされている。

一118一

(3)

 高学年では,基礎的資料を効果的に活用させることに重点がおかれている。すなわち5年生におい ては,工業生産の生産活動を国民生活に関連せしめたり,環境の保全や資源利用の関係などを地図や 統計資料で効果的に活屠させ,6年半においては,我が国の歴史や国民生活に関する基礎的資料を効 果的に利用する統計資料,年表などを活用し,できるだけ広い視野から社会事象をとらえたり,重点 的に探求したり,その意味を論理的に追求していく能力を養うことが示めされている。

 中学校においては,地理的分野,歴史的分野,公民的分野において,目標にせまるための,重視す べき能力目標が次のように示めされている。

 ・ 地理的分野⑤においては,地理的事象に直接触れて,それを正しく考察することに必要な能力   とs地理事象を適切な資料に基づいて多面的に考察し公正に判断しようとする態度を育てる。

 ・ 歴史的分野(5)においては,具体的な事象の学習を通して歴史に対する関心を高めるとともに,

  歴史的事象を多角的に考察し公正に判断しようとする態度と能力を育てる。

 ・ 公民的分野(4)においてはe社会的事象を確実な資料に基づいて様々な角度から考察し,事実を   正確にとらえ,公正に判断しようとする態度を育てる。などが明示されている。

 以上中学校社会科で重視される能力目標を総括的に見ると,「公正に判断する態度とそれに必要な 能力の基礎」を育成することになる。

 このように指導要領においても能力の育成を重視している。しかし指導要領は能力育成を重視しな がらもe基礎的能力それ自体を学習目標として追求するものではないと考える。即ち能力は内容の理 解または認識の過程であり,それらに付随して育成されるものにして,そのためには内容を認識の構 造としてとらえたり,精選集約するなどし,基礎的,基本的事項を確実なものとならしめ,加えて児 童生徒の能力を最大限に発揮できるよう指導方法の充実に努力し,指導内容にも検討を加える必要が

ある。

  ロ 基礎,基本をおし進める教材内容の精選と構造化

 量より質を,内容より過程を重視して,学び得る能力育成が社会科の基礎,基本であると考えると き,教材内容をどうとらえ,どう編成するかが第一の問題になる。そこで重要な視点となるものは。

教材の精選と,教材の構造化であると考える。又それにともなう教材の科学化であろう。単なる生活 経験や社会機能的な知識からは,科学的な社会認識は育たない。子どもの科学的な社会の見方,考え 方を育てるには,それにふさわしく内容を選択し科学的な社会認識を育てることが必要である。その ため内容の選択について,高久清吉氏(筑波大教授)は次のように述べている。

 「教材は一般的内容と,特殊的内容との二要素によって成り立つという教材の特質と結びつけるこ とによって,その本来の意味が正しく理解される。………二つの性質の教材は,教材の二要素に対応 する。すなわち,すきまがあってはならない性質の教材とは,一般的内容であり,すきまがあっても さしっかえないような性質の教材は特殊的内容である。………この特殊的内容の選択と配列が授業者 としての教師による教材選択の中心のしごとになる。もちろん教材の選択や配列は教師だけによって 行なわれるのではない。この作業は大きくみて三つの段階で進められる。第一は学習指導要領作成の 段階である。第二は教科書作成の段階である。第三は教師自身による教材研究の段階である。第一の 段階では主として教材の中心要素となる基準的内容としての一般的内容の吟味が行なわれる。第二の 段階では特殊的内容による一般的内容の肉づけが主な仕事となる。第三段階の教師自身による教材選

一119一

(4)

択では特殊内容が吟味の中心となる。」………<教材選択の工夫>1975年1月号Nα 316初等教育 資料

 そこで先ず一般的内容を,指導要領に挙げられている目標及び内容と教科書をもとにして選択し,そ れらを観察,資料活用,理解,思考の枠で整理し,その際基本的理念をどのようにとらえて,何と何を 基本要素としておさえるかを考えてみた。又次のような認識過程と関連とを考え教材の選択と配列を

しs内容の精選を考えてみた。

   ・ 指導要領をもとに, 基本要素や理解事項などを明らかにした。

   ・ 基本要素をどんな資料をつかって,どのように思考させ,何を理解させるか分析,整理した。

   ・ 学習を通じて,社会的な意味の追求の仕方が身につくと考えられる内容を選択の基準とした。

  ・ 児童が主体的に学習にとりくむことが出来る内容の選択を考えた。

 後述の資料(1)の聖徳太子について言えば,太子の事蹟を具体的な資料によって調べ,太子の歴史上 のはたらきを考えさせ,歴史理解を生き生きしたものにしていく。それによって歴史的な遺臨文化

財に気付かせ,自分たちの生活の歴史的背景に関心をもたせるように考えてみた。

 なお高久清吉氏の特殊的内容の吟味は,山口康助氏の構造論に見られる核をもとにして,幹,枝,

葉の関係を,学習事項にいかに位置づけ,いかなる順序で積み重ね,もって授業を流していくかの過 程の中にあると考えられる。これらの指導内容の構造化をふまえることにより,社会科のねらう基礎,

基本の指導事項が明催になり,教材を精選する視点も教材の基本要素を一連的に把握していくことが 出来る。

 資料ω

  例r日本の国のなりたち」一(第6学年)

観察,資料活用 思   考 理    解 判   断 基 本 理 念

轟黎遺型

テ墳の分布と酊 ーの勢力

大和朝廷は ヌのように オて成立し スのだろう

手旗が連合してつ ュった大和朝廷は e地を統合してし

チた

物,遺跡を調 ラることによっ ト遠くはなれた 梠繧フ様子や人 Xのくらしがわ

rる。

u

現代の文化や生こ ヘすべて歴史的に

̀成されたもので

?り,これを発展 ウせることが,現 繧ノ生きるわたし スちの歴史的責任 ナあることの自覚

もつ 大和朝廷の天皇や

拒ーは大きい権力 持つようになっ ス。

大和朝廷の ィ力の大き

ウはどのよ

、なものだ

?うか。

ワたどうし ト強い勢力 もっこと ェできたの セろう。

仁徳天皇陵の資

ソ図

一一P20幽

(5)

観察, 資料活用 理    解 判    断 基 本

大陸から伝来し 中国の進ん 大陸文化の交流が 政治を動かす,

た文化 だ技術や文 深まるにつれわが の考えによって園 化の伝来は 国の文化は急速に の中の様子は大き その後の日 発展し大和朝廷の くかわってくる 本にどのよ 力ものびてきた。

うな影響を 与えたのだ

ろう

、L

聖徳太子の政 聖徳太子は 聖徳太子は天皇 治や文化にあ どのような 中心の政治を強 らわれた結果 えで政治 くおしすすめ晴 の資料 をしようと と対等の国交を したのだろ 結ぼうどした。

聖徳太子の 中大兄皇子,中 理想や努力 臣鎌足による大 はその後の 化の改新が行な 政治にどの われ遣晴使によ ような影響 る大陸文化の摂 をあたえた 取が積極的に行 ろうか われた

理 念

  ハ 範例化と単元の構成

 精選された教材によって基礎的,要素的事項を確実に把握させ,更に法則性を発見せしめ,もって それらによって得られた:学習成果を,他の単元や教材の学習にも応用できる力を体得させることは大 切なことである。このような観点に立つとき,教材の範例化は,基礎,基本につながる重要な拠点に なると考える。そこで範例化するにあた:っては,次の留意が必要である。

   ①教材臨単元観を確立すること。

 即ちそれは,その単元の中心観念や,それを支える基本要素,更に育成しようとする能力や態度を 明確にし,単元全体に対するかまえを確立させることにある。

   ② 典型教材を選択すること。

 それは学習の目標を達成するために必要な要素,要因の中から,学習の展開上,基本的,本質的な 教材によって,児童生徒が主体的に取りくみ易い具体的,具象的な教材を選択することにある。

一・@12 1一

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   ③類型教材の選択にあたる。

 それは児童生徒が典型教材で得た知識,技能を駆使し,類推思考することによって法則性を発見す る教材を選択するにある。

   ④発展教材を選択すること。

 それは典型教材,類型教材の学習成果を応用,転移させることによって,解明でき更に類型教材で 見い出した法則性を発見できる教材を選択するにある。

 以上範例化による教材の精選は,教材の全体系のなかから最も基礎的,基本的事項となるものを選 び,他の多くの共通的性質をもつ類型教材を省略または簡略化しようとするものである。例えば,新 指導要領による『日本の諸地域』(中学第2学年)の地理学習の単元においては,「位置と歴史的背

景」「自然の特色」「資源の開発と産業」「人口と居住」「他地域との結びつき」の核となる事項を 明らかにし,これらの指導の観点をもとにして,日本の諸地域の中の一地域を類型として把握し,そ れらの類型に共通な本質的性質をもつ教材(例えば,この場合首都甥・近畿圏・大平洋ベルト地帯に するかは指導の観点により異なる)を選び,これを範例とし,一地域の類型の解明がさらに他地域の 学習観点を解明させるという学習方法で,学力を育てることである。又その学習方法は主体的学習へ

と発ee e転移させなければならない。

 3 社会科教育における能力育成をめざした学習指導法   イ 学習指導法の類型

 前述のように能力育成をめざして,教材の精選化構造化,範例化について説述してきたが,それを実際の 授業において,どんな方法で児童生徒に提示し,刺激と反応を求めて,学習展開するかは,非常に重 要な意味をもつものと考える。換言すればそれは,1育成すべき能力に即応した学習型態及び指導方法 はいかにあるべきかの問題になる。

 そこで学習指導;方法においては,常に思考力,観察力,資料活用力など育成すべき基本事項をふま えて,方法を考えなければならない。これらについての学習指導方法は,今日まで数多くの実証がな

されているので,この点については類型としてまとめ,提示しておくこととする。

   ①発見学習の指導過程(広岡亮蔵氏)

事実の認知 予想を立てる  確かめる  転化する

② 検証学習の指導過程(鈴木喜代春氏)

教師による教師が問題提示教師による資料の提示 児童の予想 児童の検証  児童の結論 事実の導入児童の思考  児童の解釈    教師の整理 教師の指導  教師の確認

③ 範例的学習の指導過程(千葉東金小学校)

事象への直面 問題把握 予 想 学習計画 確  認

q P22一

(7)

④ 学び方学習の指導過程(愛知県刈谷東小学校)

みつけ学習 つかみ学習 催かめ学習 まとめ学習 補い学習

⑤ 典型学習の指導過程(香川県小学校社会科研究会)

教材の提示 問題意識の  作業仮説  検  証       喚起

基本的認識

これら6つの学習形態 の類型についてはp説 明を加えたいが,紙面 の関係で略した。

⑥ 主体学習の指導過程(木戸平氏)

トー一一一一一トー一一一一一一学習課題  反応(見通 共通課題 方法分析の  課  題  目標への        し)      反応      反応 iぐ・……(個人学習)………※・……(集団学習)………※:………(教師指導)・…嚇

  ロ 思考力の育成をめざす学習指導法の観点

 社会科の学習指導を充実したものにするためには,教材内容を精選し,それを系統的構造的にとら え,その上に立って,児童生徒が思考活動によって,主体的にとりくみ,思考操作を身につけていく 基本姿勢をつらぬかなければならない。そのためには,学習型態の類型はいずれであっても,次のよ

うな点に留意しなければならない。

   ①事実認識→関係認識袖本質認識という認識の過程を的確におさえること。

   ②児童生徒が個人と集団のかかわり合いの中で,協力的学習をおし進め,意欲的に学習にと     り組むと共に,学習課題を的確に把握し,解決していくこと。

   ③実地見学学翫視聴覚等の教具利明による間接経験学習,資料活用,話し合い学習など多     様な学習活動が展開されるよう配慮すること。

   ④学習過程として,社会事象や事実の中から児童が主体的に問題を発見し,仮説を設定した:り事     実の分析をしたり,比較,総合したりして,法則性を発見し,もって展開発展への適用に際     しては,その学習段階を生かした問題解決学習の過程が必要である。

  ハ 観察力の育成をめざす学習指導法の観点

 新指導要領による観察力の観点は,第1学年「社会事象の具体的観察」第2学年「職業としての仕 事を具体的に観察」と示され,特に低学年において重視された能力としてとりあげられている。低学 年においては,主観的にものごとを考えたり,想像的に考えたりしがちであり,絵,写真,図表等の 説明を間いての学習だけでは,身近な社会生活の意味を正しく理解することは困難である。そこで低 学年の具体的観察を通して体得したものの考え方が,中・高学年における資料活用力の育成に重要な 基礎にならなければならない。そのためには観察を深めるべく次の点に留意する必要がある。

   ①目的と観点をもって観察させる。(目的の設定,観察の視点,観察方法の焦点化)

   ②観察を表現し,観察を的確にする。(観察を表現するための事前検討,観察の反省と評価)

       一123一

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   ③発達段階に即しての観察。(各学年段階に応じた観察事項内容等の検討)

   ④教材内容に即しての観察力を伸ばす。(教材の目的にあった観察内容,場の設定)

   ⑤指導計画への位置づけ。(学習過程の中での計画的位置づけ)

 低学年の具体的観察は主としてその機能を考えさせるもので,事実,事象,相互の差異,類似等を 比較させながら考えさせるものや,変化に気づかせるもの等が挙げられる。そこでこれらの観察の諸 相について述べてみる。

   ①観察の基盤をなすものは,大きさ,広さ,色,形の形状的観察,匂い,音,量,表情の性     状的観察,速さ動作など動きの観察,いつ,どこでなどにおける時と場所の観察などがある。

    これらの観察は事実を正しくとらえるという段階で重要であり,又問題把握の段階としての     観察としても重要である。

   ②比較しながら観察させる場合の観点は,第一は,異同を見つけ,差異点,類似点を見つけ出すこと。

    第二は,事物事象の順序を見つけ出し,位置開係の差違,時間的比較,数量的比較などに気     づかせる。これは多くの仮説検証の際,事象の関係的認識をより的確に,より実証的に理解さ     せるとき多く用いられる。

   ③比較しながら観察,関連に目をむけた観察などをもとにして,多面的に観察し,総合する     ことで,自分との対応に比較関連して,次第に全般に目をむけ,総含していくことが出来る     ように指導することが大切である。

  二 資料活用力の育成をめざす学習指導法の観点

 資料活用の能力とは,情報を処理し,操作する能力であり,その目標にむかって情報を適切に処理 し操作できるということである。即ち社会科のねらいは,現実の社会の中にみられる,ある傾向的な ものとか,社会の法則的なものを最終的に認識させることであり,そのためには,ものごとを自主的 に追求しe独自の判断を下し得る子どもを育成していかなければならない。そのためにはより正確な 資料を集め,それを材料として,社会的事象事実を読みとったり,社会的傾向や社会的意味を明らか

にして行き,社会認識を深める学習指導がなされなければならない。そこで資料活用上の基本的能力 とは次の様に考える。

   ①資料を利用する能力(視聴覚資料,読み物資料,教科二等を有効に利用する力)

   ②資料を作成する能力(地図,統計資料,文章表現資料等を作成表現する力)

   ③資料を収集する能力(資料の所在をつきとめたり,多角的に資料化して集めたりする力)

   ④資料を選択する能力(資料を分類,整理し,資料を選び出す力)

   ⑤資料を考察する能力(資料を構成した:り,解釈したりしながら,思考へ発展させる力)

 これら,資料活用の能力は,それだけでは社会科学習が成り立つものではなく,学習過程の中での検 討や考察,確認や検証等,いろいろな段階での学習遇程を通して活用されたとき,思考の対象となる 意識内容が高まり,かつ蓄積され,社会的認識は定着し,その目的がとげられる。

 以上社会科の能力育成の観点について,思考力,観察力,資料活用力の面から述べた:が,これらは,

実際の授業の申で・いかに内容の精選を考え,又一定の指導形態の中で,いかに行なわれているかにつ いて次に考えてみる。

一124 一一

(9)

4 基礎基本をふまえた学習指導の展開例

        第5学年社会科学習指導案

       指導者 日立市立中小路小学校教諭 佐藤文男 1 単元   「日本の農業」

2 単元目標

  ・日本の農業の特色を,農産物の分布,農業生産の実態,土地利用,国土の自然条件などの面か    らとらえさせe農業生産と国民生活との関係や,生産を高め生活を安定させるために努力して    きた人々の働きについて理解させる。

  e日本の農業の特色をとらえるために,目的に応じて地図や統計資料などを収集活用しe日本の   農業の全体的傾向を考えていくことが出来るようにする。

3 単元構成の構造

    v「}一日響麟 1

匪墜一細勅産業社会←一[亟亜[

      一その現状と発展,

農孫纏」→当面する謄

綱民生活

de一一一一一一一一一一一j 産業の発達とこれから の社会生活

4 指導計画(24時間扱い)

   第1次 日本での米作地帯………5時間    第2次 いろいろな農産物………4時間    第3次 生産を高めるための工夫…7時間

   第4次 農家の生活・…・……・……部寺間(本時の展開,第6時)

5 本四の目標

 ・ 日本の農家は経営規模の零細が多く,収入の増加を図るため兼業農家に転向する傾向にあり,

 農家外収入に依存し,家計を立てていることをわからせる。

 ・ 収入と支出の面から,兼業農家の増加の要因を考えさせる。

6 本時の展開 学習

過程

法則の意識化

学習内容 と 活動

・近代化が急速に進んでいる 様子を第一次産業の中でと らえ問題点や共通点を見いt一 し,日本の農業の法則性を

・農業生産を高める工夫によって農業 人口が減少し,農家戸数との関連から 兼業農家に変っている。

意  点

一1 25 一一

・農業人口,農業戸数が落 ち込んでいることを資料 をもとにイメージとして とらえさせる。

(10)

印象的に想起させる。

・どうして兼業農家がふえて (思っていたとおりだ) ・自己に内在していた認識

きたか,学習前の自分の考 ・一ヒあたりの耕地面積が狭いからだ と学習による認識とを

えと,今まで学習してきた ろう。 ひとりひとりに対比さ

ことを比較してみる。 ・農業収入だけではくらせないから。 せ,そこにおける共通 ・考えていたこと。 ・生活が変わり支出がふえた。 点,差異点を明確にさ

・くい違っていたこと。 せるQ

・資料をもとにわかった

事を発表させ,自由な 観点から矛盾を出し合 い広め合う。

・農家の生活の学習後自分の ・農家規模の零細化は兼業農家を多く ・学習経験が知識として 考えや気持ちで新しく,わ させていること,又生活の変化が支 静止しているのでは

かったこと,変わったこと 出の増大となっているこ,とに気づか なく,自分との対応の

をまとめる。 せる。 上に立って,考えさせ

・零細規膜の多い日本の農家の経営に る。

問題があることを気づかせる。 ・自分の考えが変容し,

・家庭の職業の中で,安定した職業に 前述した喜びをとらえ 従事していない場合,多くの問題が て,将来への夢や希望 あることを自覚させる。 として生きる方途を意

識させる。

・農業収入を高めることや, ・農業と工業に従事する1人あたりの ・兼業という形について

兼業の望ましいあり方につ 収入,又産業別人口の変化、更にお は,必ずしもマイナス いて考える。 もな国の農民1人あたりの耕地面積 のイメージでばかりと などと,考え合わせながら,これか らえず,暮らしの形で

らの日本の農業のあり方についての 問題となるものをとり

考えをもたせる。 あげる。

・自分の生活と比較し,農家 ・農業収入.農業外収入

の人々の生活とこれからの の両面からくらしの安

日本の農業について作文に 定について考えさせる。

まとめる。

6 実践の考察

本時の丁丁に到達させるため,範例学習の形体をとってみた。範例学習は次の様な長所がある。

①単元の教材構造が明催に把握される。

一126一

(11)

②能力の育成が学習の目標となり,学習力が育成される。

③問題把握力,探求しようとする意欲を高めることができる。

④扱い時間の短縮がなされる。

又反面次の様な欠点も考えられる。

①指導過程が明確なかたちで規定されない。

②能力差に応じた指導ができにくい。

 以上能力育成という観点から,基礎的,基本的問題に記述を進めたが,学習指導法の実践について は,やsきり込みの浅さを反省している。今後はなお実践の深化と,その分析に力を入れて研究の歩 みを進めて行きたい。

一127一一

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