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骨粗鬆症性脊椎骨折に対する手術治療の諸問題(教育研修講演) 利用統計を見る

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骨粗鬆症性脊椎骨折に対する手術治療の諸問題

北海道大学大学院医学研究科高次診断治療学専攻機能回復医学講座運動器再建医学分野

伊 東 学

Key words:Osteoporosis(骨粗鬆症)

Spinal fractures(脊椎骨折)

Collapse of vertebral body(椎体圧潰)

Spinal surgery(脊椎手術)

要旨:高齢化社会の到来とともに骨粗鬆症性脊椎骨折に対する関心が高まっている.骨粗鬆症の予 防や骨密度増加のための内科的治療も重要ではあるが,脊椎骨折を起こした際の整形外科的治療も 極めて重要である.本講演では,骨粗鬆症性脊椎骨折に伴う遅発性神経麻痺の病態やその手術治療 の臨床成績,また近年米国で施行されている vertebroplasty や Kyphoplasty の現状について紹介す る.そして,骨粗鬆症性脊椎骨折の整形外科的治療に関する諸問題を浮き彫りにし,その解決には 何を行うべきかを議論する.

は じ め に

高齢化社会の到来とともに骨粗鬆症による脊 椎骨折患者が急増している.骨粗鬆症患者の脊 椎骨折は神経障害を合併しない圧迫骨折が大半 であり,基本的には疼痛に対する保存治療が選 択される.しかしながら近年,骨粗鬆症患者の 脊椎骨折後に椎体の圧潰が進行し,後弯変形の 増強とともに遅発性に神経障害を呈する症例の 報告が増えてきた1,4,5,6,8,1).本講演では,骨粗 鬆症性椎体圧潰の疫学,その病態や,本病態に 対して当科で行ってきた前方脊柱管除圧と前方 脊柱再建術の長期臨床成績を紹介する.そし て,その他の治療法と比較しながら,今後どの ように骨粗鬆症性脊椎骨折を治療すべきかを明 らかにしたい.

骨粗鬆症性椎体圧潰の疫学と病態

種市ら10は,骨粗鬆症性脊椎骨折の36.6%が 進行性に椎体が圧潰し,胸腰椎部の後弯変形が 増強し,13.9%が骨折が治癒せず偽関節となる と報告した.さらに神経障害を惹起し,歩行障

害や膀胱直腸障害を訴えるのは3.0%であると 報告した.この結果から,従来から言われてい るように,骨粗鬆症性脊椎骨折の大半は,安静,

コルセットなどの保存治療で治癒するが,ごく 一部の症例は神経障害のため重篤なADL障害 をきたしている.

圧潰した椎体内の病理は,骨折した椎体の治 癒機転が障害され椎体内が瘢痕組織や壊死組織 で置換され,体幹の荷重を支えきれなくなり,

椎体後壁が脊柱管内に突出し神経組織を圧迫す ることであった.骨粗鬆症による骨の脆弱化と 胸腰椎移行部の生体力学的負担の大きさから,

骨折椎体に安静が保てず骨癒合障害が引き起こ された結果である3).骨粗鬆症がない椎体骨折 では,骨折部位周囲に旺盛は骨梁構造をもった 新生骨が作られ癒合していくが,骨粗鬆症下で は新生骨が形成されても崩れていってしまい骨 梁として成熟していきにくい(図−1,2) 椎体圧潰と通常の破裂骨折との組織学的相違を 表1に示す.

教育研修講演(日整会認定番号02−0480−00)

− 1 0 0 − 北整・外傷研誌 Vol. 1 9. 2 0 0 2

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表1 組織所見のまとめ(椎体圧潰 vs 破裂骨折)

Osteoporotic Collapse Burst Fr.

(n=2 5) (n=7)

Disruption of Endplate 2 1 pts.(8 4%) 0pt. (0%)

Intravertebral cleft 1 0 (4 0%) 0 (0%)

Synovium-like membrane 9 (3 6%) 0 (0%)

Large necrotic tissue (center of body) 1 3 (5 2%) 0 (0%)

New bone formation w/o

trabecular structure 1 7 (6 8%) 2 (2 9%)

New bone formation w/

trabecular structure 3 (1 2%) 7 (1 0 0%)

Chondral bone formation 2 3 (9 2%) 2 (2 9%)

椎体内に大きな Intravertebral cleft が形成されている(矢印).その Cleft の上層は滑膜様細胞に覆われている.

図−1 骨粗鬆症性椎体圧潰の組織像

a b

a:弱拡大像.椎体中央部に骨折線があり,出血像が認められる(矢頭).

b:強拡大像.骨折線周囲には旺盛な骨新生があり,架橋構造を呈している(NB : new bone formation, F : fi- brous tissue, BF : bone formation).

図−2 骨粗鬆症のない破裂骨折の組織像

北整・外傷研誌 Vol. 1 9. 2 0 0 2 − 1 0 1 −

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骨粗鬆症性椎体圧潰における手術適応

近年,MRIなどの画像診断の進歩により椎 体壊死を診断することが容易になってきた.し かしながら,画像上の壊死が手術を決定する因 子ではない.あくまで神経障害による歩行障害 や排尿排便障害が,原則的な手術適応である.

骨粗鬆症性脊椎骨折患者では,頑固な腰背部痛 を訴えるが,その骨折部が数ヶ月以上の保存治 療に抵抗性,立位・座位が困難,ベット上での 体交困難など,患者のADLを著明に低下させ ている場合は例外的に手術適応に含めても問題 ないと考える.しかしながら,高齢者で全身予 備能が低下した症例での手術治療であるため,

患者の全身状態,予後,生活背景などを十分に 家族と相談をしながら慎重に手術適応を決める べきである.

9年に当科に,関連施設から本病態で紹介 受診された52例の内訳を示す.23例は根気よい 保存治療が効を奏し,手術を行わずにコント ロール可能であった.中でも,椎体前方の骨架 橋により骨折が治癒した症例もあり(図−3) 神経麻痺がない場合は,根気よく保存治療を行 うことが肝要である.52例中18例では,手術治

療を断念せざるをえなかった.その内訳は,長 期臥床による廃用性筋萎縮4例,痴呆4例,膠 原病などの合併症による呼吸障害や腎障害9 例,腹部大動脈瘤からの持続的出血1例であっ た.最終的に手術治療が可能であったのは11例 のみであり,画像所見のみではなくさまざまの 条件がそろわなければ手術治療に至らないこと を認識する必要がある.

前方脊柱再建術の長期臨床成績

5年12月までに手術治療を施行した骨粗鬆 症性椎体圧潰症例92例の長期臨床成績を示す.

手術施行群の内訳は男23例女69例,手術時年齢 は43〜89歳(平均68)であっ た.DXA法 に よ る腰椎骨密度は平均0.g/(0.7−0.6)

であった.骨粗鬆症の分類では,退行性骨粗鬆 症が78例(全体の85%)と最多で,ステロイド 性8例,脳梗塞後の片麻痺に起因する廃用性3 例,アルコール依存症による低栄養性3例で あった.受傷原因は,転倒や低所からの転落な どの軽微な外傷が64例で圧倒的に多く,重量物 挙上8例,外傷の既往が不明20例であった.受 傷椎体は胸腰椎移行部に最も多く,92例中71例

a b

a:受傷時の XP.第1腰椎椎体の骨折が明らかである.

b:受傷後1年半後の XP.骨折椎体の前方は新生骨で癒合している.

図−3 保存治療で骨癒合した骨粗鬆症性椎体圧潰例(63歳男性)

− 1 0 2 − 北整・外傷研誌 Vol. 1 9. 2 0 0 2

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(77%)であった.最上位レベルはT5レベル 1例,最下位レベ ル はL4,L5が そ れ ぞ れ1 例であった.単椎体圧潰が80例,2椎体圧潰が 8例,多椎体圧潰が4例であった.76例(83%)

に神経障害を合併していた.他の16例(17%)

は神経障害はないが後弯変形の増強に伴う頑固 な背部痛を訴えた.受傷時から神経障害出現ま での期間は6ヶ月以内が63%であった.手術方 法は,障害椎体がL3椎体より頭側の90例では 前方除圧・前方脊柱再建術を施行した5).L4

またはL5椎体障害例では前方除圧と前方なら

びに後方脊柱再建術を施行した.椎体置換材料 には,Apatite-Wollastonite Glass Ceramic

(以下A-WGC)椎体スペーサー3)と 自 家 肋 骨 の併用を84例,Titan-mesh cageと自家肋骨の 併 用 を7例,A-W椎 体 ス ペ ー サ ー とTitan-

mesh cageを異なるレベルに使用が1例であっ

た.前方用内固定器具にはKaneda device る い はKaneda-SRを 使 用 し た.後 方 イ ン ス トゥルメンテ−ションにはISOLAシステムを 使用した.

術後経過観察期間は平均69カ月であった.前 方手術における手術時間 は12〜45分(平 均

8),術中出血量は90〜1ml(平均58)で あった.術前神経脱落所見を有した76例の内7 例(97%)で神経学的改善を見た.2例では神 経障害は改善しなかった.この2例は神経障害 出現後長期間経過し手術を施行した症例であっ た.膀胱直腸障害は術前56例に排尿障害を認め たが,術後41例で自覚的に正常化した.神経障 害が改善しなかった2例を除き,90例の症例が 術後歩行し自宅あるいは療養型施設へと退院し た.経過観察中の死亡は計12例であり,死亡時 年齢58から85歳(平均71)であった.死亡時期 と内訳は術後1年未満が1例(肺炎),1年〜

2年 が3例(脳 梗 塞2,不 明1),2年〜5年 が3例(肺 癌1,肺 炎1,不 明1),5年 以 上 が5例(胃癌2,肺炎1,不明2)であった.

前方脊柱再建術のみを81例に施行し,脊柱の安 定性が獲得され骨癒合が完成したのは72例で あった(図−4).残りの9例はスペーサーの 沈み込みや移動を認め,後方脊柱再建術を追加 し骨癒合が完成した.術前40度以上の後弯変形 を認め骨の脆弱性が高度と判定した11例には,

計画的に前方・後方合併手術を施行し全例骨癒 合を獲得した.

a b c d

第12胸椎骨粗鬆症性外傷後椎体圧潰

a,b:術前脊髄造影時の機能写.後屈時には Cleft が開き,前屈時には閉じる現象が確認できる.硬膜柱の圧迫は,前屈時に著 明である

c,d:術後6年での XP.骨癒合は完成し,隣接椎体に骨折はない 図−4 72歳,女性

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脊柱再建の難渋症例

前方単独法で再建可能であった症例と前方後 方合併手術を施行した症例を比較すると,前方 単独例77例のBMDは 平 均0.g/で あ る の に対し,合併手術例は0.g/と有意に低値 を示した.また,椎体置換数が1椎体は大半が 前方再建のみで再建可能であるのに対し,椎体 置換数が増加するほど前方のみでの再建が困難 で あ っ た.3椎 体 以 上 の 再 建 は 後 方 再 建 が 0%必要であった.

術後早期の合併症は11例に一過性無気肺(側 臥位手術での侵入反対側,1〜2日以内に治 癒),一過性痴呆の悪化2例,尿路感染1例,

深部感染1例(再手術で治癒),前方手術直後 に圧潰椎体レベルより1レベル頭側の黄色靭帯 による脊髄障害のため後方除圧を追加1例で あった(図−5).術後長期にわたる合併症は,

他椎体での圧迫骨折33例,他椎体での進行性椎 体圧潰による神経障害2例(2例ともステロイ

ド性骨粗鬆症),深部感染2例であった.再度 神経障害を呈した固定隣接椎の進行性椎体圧潰 例では,1例は腸骨スクリューを使用し仙椎ま で固定を追加し,1例は第6胸椎まで固定を延 長した.感染例は,4歳RA患者1例が腸骨ス クリュー周囲での感染,84歳女性1例が前方内 固定器具周囲の感染であった.両例とも年齢,

全身予備能等を考慮し,感染に対する根治的手 術治療は断念した.

各種脊椎手術方法の利点・欠点

現在,本病態に対する手術治療は,前方法3,7) 後方法2),前後合併法9),椎体形成術(verte- broplasty, kyphoplasty)12が挙げられる.

前方法は,確実な神経除圧が可能,十分な前 方支柱再建が可能,固定範囲が最小限ですむな どの利点が存在する.その反面,横隔膜の処置 など技術習得に若干の時間を要し,黄色靭帯前 化などの後方病変に同時に対応できないこと,

a b c

多発性筋炎により長期ステロイド治療(パルス療法を含む)を施行.

a:前後合併手術直後単純 XP 側面画像.後方インストゥルメンテ−ションは広範囲に行った.

b:術後3年転倒時の単純 XP 側面画像.転倒し第12椎体が骨折,後方インプラントの頭側が 脱転した(矢印).

c:再手術後の単純 XP 画像.再手術では第6胸椎まで固定を延長した.第5胸椎に軽度の圧 迫骨折を認めている.

図−5 52歳,男性

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骨脆弱性が強い多椎体置換には限界があるなど の問題点がある.後方法は,脊椎外科医が慣れ た手技であり,椎弓などアンカーとなるものが 多く,後方病変に対応できる利点がある.しか しながら,健常の後方要素を破壊し,除圧操作 が困難,広範囲固定となる,前方支柱再建が困 難,背部への金属の突出などの問題点も数多 い.近年米国で急速に広まっているvertebro- plastykyphoplasty(図−6)は,低侵襲で 早期の除痛効果が獲得される利点があるが,除 圧操作が不十分,セメントなどの神経組織障害 や肺梗塞などの課題も残されており,慎重な適 応の厳選が望まれる.

今後の課題

全脊椎が脆弱である高度骨粗鬆症患者では,

従来の脊椎固定術では短期的は良い成績があげ られても,長期になると隣接椎体の骨折頻度が 高くなり,それによるADL障害も無視できな い問題である.特に固定範囲が増加するにつれ

隣接椎体の骨折 adding on syndrome の危 険性が高くなる.これは脊椎固定術自身がもつ 限界と考えられる.しかしながら,それに替わ る有効な治療も確立されていないことから,今 後は新たなコンセプトでの脊椎手術法を確立す る必要あろう.もちろん,骨折予防法の確立や 骨量減少に対する内科的治療の進歩も不可欠で ある.

お わ り に

本講演では,北大整形外科での骨粗鬆症性椎 体圧潰への前方脊柱再建の長期臨床成績を基 に,骨粗鬆症性脊椎骨折を取り巻く諸問題につ いて詳述した.

臨床および基礎研究を直接ご指導くださった 北海道大学名誉教授金田清志先生に深謝する.

1)Cuenod CA, Laredo JD, Chevret S, et.al. : Acute vertebral collapse due to osteoporosis or malignancy : apearence on unenhanced and gadlinium−enhanced MR images. Radiology 6;Vol.9,No.2,1−59.

a b

(IH Lieberman 先生,Cleveland Clinic Foundation,USA の好意による)

a:椎体内にバルーンを挿入し,PMMA セメントを充填する.

b:骨折椎体に造影剤を注入.静脈内に漏出している像が明らかである.

図−6 Kyphoplasty の実際

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2)星野雄一,税田和夫,吉川一郎・他: 骨粗鬆症における脊椎圧迫骨折による後弯変形に対す る脊椎後方短縮術 臨整外 18;33巻,4号,49−44.

3)伊東学,種市洋,金田清志:骨粗鬆症による椎体骨折後進行性椎体圧潰−遅発性神経障害を含 む.New Mook整形外科 18;No.4,1−13,金原出版,東京.

4)Kaneda K, Asano S, Hashimoto T et al : The treatment of osteoporotic−posttraumatic ver- tebral collapse using the Kaneda device and a bioactive ceremic vertebral prosthesis. Spine 2;17:S5−S3.

5)Kaneda K, Ito M : Osteoporotic thoracic and lumbar fractures. With enphasis on osteoporotic-posttraumatic vertebral collapse. Textbook : Management of fractures in se- verely osteoporotic bone. Orthopaedic and pharmacological strategies. Edited by Carl Obrant, Sweden, Springer-Verlag,0.pp4−2

6)Kaplan PA , Orton DF, Asleson RJ : Osteoporosis with vertebral compression fractures retropulsed fragments, and neurologic compromise. Radiology7;165:53−55.

7)Hasegawa K, Homma T, Uchiyama S,et al. : Osteosysthesis without instrumentation for vertebral pseudoarthrosis in the osteoporotic spine. J.Bone and Joint Surg.17;Vol.9−

B, No.3,2−46.

8)Lafforgue P, Chagnaud C, Dauman-Legre V, et al : The intravertebral vacuum phenomenon

vertebral osteonecrosis migration of intradiscal gas in a fractured vertebral body? Spine 7;vol.2,No.6,5−11.

9)田中雅人,中原進之助:骨粗鬆症椎体圧潰に対するtriple rod fixation(会).第10回日本脊椎 インストゥルメンテーション学会抄録集.1−21.

0)種市洋,金田清志,小熊忠教・他:骨粗鬆症性椎体圧潰発生のリスクファクター解析(会) 日本脊椎脊髄病学会雑誌 21;12(1)5.

1)Cho T, Matsuda M, Sakurai M : MRI findings on healing process of vertbral fracture in os- teoporosis. J. of Orthopaedic Science6;1:16−33.

2)山本博司,柴田敏博,池内昌彦:骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対するリン酸カルシウム骨セメン ト椎体内注入補填術.臨整外 19;34:45−42.

3)Yamamuro T : Reconstruction of the lumbar vertebrae of sheep with ceremic prosthesis. J Bone Joint Surg0;72−B,9−83.

− 1 0 6 − 北整・外傷研誌 Vol. 1 9. 2 0 0 2

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発言1:

北海道整形外科記念病院整形外科 藤谷正樹 高齢の患者さんでは,術前の初診時に非常に 元気が無く手術をしても大丈夫かと思われた人 が術後非常に元気になったり,逆に術前は元気 だったのに術後元気が無くなる方がいる.

そのような事を判断するために精神科他との 連係を取る事などは可能か.

答:

精神科の先生がこういった患者さんの術後の プレディクションが出きるかと言えば必ずしも その処方はサポートにはならない.結局は自分 たちが今までやった症例の経験論に基づいた判 断が出てくると思われる.日頃から患者さんと その家族を含めた話し合いの中で情報を収集し てインディケーションを決めていくしかないと 思う.そのような患者さんの予兆をとれるよう なスケールなんかができてくればインディケー ションを決めていくうえで非常にいい指標にな るのではないかと思うが,現時点ではそのよう なものが無いと言うのが現状ではないだろう か.これからの課題だと思う.

発言2:

国立療養所札幌南病院 整形外科 藤田正樹 BMDの差をおっしゃっていたが,あれは腰 椎の場合だと往々にして除外しなくてはならな い症例もあると思うが実際は11例ではないの では.

答:

実際に測定したのは7割くらいです.3割は例 えば他の施設で手術した患者はBMDが測定さ れていない.

発言3:

北海道社会事業協会帯広病院 整形外科 高畑智嗣 この分野での最近の進歩には目覚しいものが あるが,

昔はどうだったのか.

世界的にどうなのか.

今日は保存的治療の話は出なかったが,保 存治療の長期のランダムプロステクティブはな されているのか.つまりこの手術は本当に患者 を幸せにしているのかというところをお聞きし たい.

答:

大事な事だと思う.一番の問題は,おそらく いま脊椎脊髄学会の臨床である金田先生が音頭 をとって全国的に展開しないと答えが出ないと 思う.それぞれがそれぞれの方式にしたがって 結果を出している状況ではそのような結果は出 てこないと思う.アメリカでもそのようなラン ダマイズスタディというのは無いのが現状で す.今後,全国的に展開していく必要があると 思われる.

このような骨折は昔からあったと思うが,最 近注目されるようになったのは患者さんのニー ズ,社会的に独立した時期をできるだけ長くし たい,他の病気疾病に関しても上手くコント ロールできるようになったなどの社会的背景が 関係していると思う.少し歩行が困難になって きたおかしいと思ったときに昔であれは年だか らと片付けられていたものが治療の対象となっ てきたといえます.

発言4:

市立札幌病院 整形外科 佐久間 発表を聞いていて印象に残った事は,1椎体 で前方固定をしたら非常に良く,後方で多椎間 にわったって長いインストルメントを入れると 悪いということだ.先生方は各症例で手術を やっている最中に実感として勝算というのはあ るのか.前方から手術したがその後,後方を追 加することもあると思う.術中もしくは手術の プランニングの時にある程度の予想はつくもの か.

質疑応答

北整・外傷研誌 Vol. 1 9. 2 0 0 2 − 1 0 7 −

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脊椎外科医が出来ないという症例もあるの か.

答:

だいたい1回目の手術でスクリュー刺入時 に固定性の良悪はわかる.そこでダメだと思っ たときはできるだけ早く後方からのリインフォ スメントを行ったというのが今までである.

BMDという値だけで骨の強度を代用してみる しかなかったが実際にBMDが低いからといっ て固定が全然できないかといえばそうでもな い.BMD0.g/位でもステロイド使用例で はスクリューが上手く止まらないこともある.

骨質とは何かということなんですがBMD 0%相関するわけでもないので,骨の質,骨 の本当の強度をどのように評価するのかが最近 話題になって来ている.私たちはスクリューを 刺入してみて手の感触でいいのかわるいのかを 判断しており,現状ではそれ以外に判断できる 方法がないと言うのが非常に寂しいところであ る.骨の本当の強度が術前からある程度わかる ようになり症例によってガイドラインが出せる のであればもっと良い結果がでるのではないか と常に考えています.

やはり脊椎外科医が出来ないと言う症例も ある.その見極めの重要性を強調したい.たと えばインプラントが問題で感染したとか隣接椎 が問題になってさらにADLがだめになった患 者もおられる.どのようにしてその見極めをす るかは,今回の10数例ではその結論は出せな い.合併手術を要したのは20数例なので,もっ と全国的に広げて調査しないと結果は出ないと 思われる.

発言5:

わたなべ歯科整形外科病院 整形外科

渡辺 高士 膝の場合TKAUKをやる時,完全にバラ ンスの取れたアライメントの膝ができるとは限 らなくて,バランスが崩れると長い目で見てい ると必ず問題が起きてくる.それを避けるため に手術後も足底板を処方したり他のアパラート をつけたりする.脊椎の場合手術のみで不安と 思われる例には硬性コルセットの装用はなされ ているのか.

答:

行っている.行っていても種々の術後合併症 は発生します.

− 1 0 8 − 北整・外傷研誌 Vol. 1 9. 2 0 0 2

参照

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