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氏名 中村ナカムラ

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 中村

ナ カ ム ラ ショウヘイ

昌平

所 属 理工学研究科 数理情報科学専攻 学 位 の 種 類 博士(理学)

学 位 記 番 号 理工博 第

282

号 学位授与の日付 平成

31

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名

Function spaces and its applications to problems on Harmonic analysis

種々の関数空間と調和解析の諸問題への応用(英文)

論 文 審 査 委 員 主査 准教授 澤野 嘉宏 委員 教 授 倉田 和浩 委員 教 授 吉冨 和志

委員 准教授

Neal Bez

(埼玉大学)

【論文の内容の要旨】

本学位論文は、著者が、首都大学東京大学院後期課程在学中に従事した研究の成果を まとめたものである。以下、詳細を述べる。著者は、解析学の一分野である、調和解析と 呼ばれる領域において研究を行っており、従って、まず初めに調和解析とは、どのような 研究対象を扱うのかを、まず述べ、その後に、著者の研究の立ち位置および成果について の概要を述べることが、適切であると思われる。

まず、調和解析において、扱われる基本的な対象は、大雑把に言うと、振動をする数 学的な対象一般であり、目標は、いかにしてその振動を捉えるか、であると言える。特に、

振動する対象の典型例として、フーリエ変換があるが、それのみならず、フーリエ変換に 関連する数多くの対象を扱い、その中には、シュレディンガープロパゲーターと言った、

偏微分方程式、物理学に直接的に関わる対象も含まれる。また、近年のデカップリング理

論の発展による、数論との密接な関連も、無視できない。このような、振動を捉えるとい

う目標の下、必要に応じて、関数空間の理論も発展してきた。例えば、フーリエ変換を捉

えるには、

L^2

空間と呼ばれる関数空間を用いることが自然である、というのはプランシ

ュレルの定理が教えてくれる事実であるが、これは、フーリエ変換を捉えるために、

L^2

空間と呼ばれる関数空間の理論が発展、あるいは役に立った、と考えることもできる。し

かし、考察の対象が、フーリエ変換自身よりも複雑になると、対応する関数空間もより複

雑に(あるいは単純に)なり、従って、様々な関数空間の理論の発展も重要なトピックに

なってくる。このような状況を背景にして、現在の調和解析の研究分野の中でも、大きく

2つの潮流があり、一つ目は、フーリエ変換に関連する作用素を、主に

L^p

空間上で扱う

(2)

という、最初に述べた流れであり、二つ目は、関数空間自身の理論の発展というものであ る。すでに述べたように、この2つの流れは、互いに密接に関わっているが、他方で、そ れぞれが独立した分野として、多かれ少なかれ、距離があるのもまた、事実である。本研 究における、著者の結果の立ち位置、あるいは特色は、この二つの流れに橋をかけるとい うものである。以下で具体的に述べるが、本学位論文における研究結果そのものは、フー リエ変換に関連する作用素の話題で、一つ目の流れを汲むものであるが、その証明など、

詳細を見れば、二つ目の話題である、関数空間の理論の発展および、それを巧みに駆使す る技術が必要であることに気づくはずである。

以上を踏まえ、より詳細な研究結果を以下に述べる。本学位論文は、序文を除いて、

2

部構成になっており、第1部では、多重線型フーリエ掛け算作用素のハーディー空間上の 振る舞いに関する研究成果で、第2部は、正規直交系に対するストリッカーツ評価と偏微 分方程式への応用に関する研究成果である。第

1

部では、タイトルにあるように、

L^p

空 間ではなく、ハーディー空間を用いた研究であり、関数空間の理論という立ち位置がより 明確になっている。主定理は、すでに知られていた、多重線型フーリエ掛け算作用素の

L^p

空間上の有界性を、ハーディー空間を用いることによって、改良し、さらに、その改良が いつ可能で、いつ可能でないかを、マルチプライヤーのみに関する条件で与えることに成 功した。また、その応用として、

R.R.Coifman

氏に提案された、2重線型フーリエ掛け算 作用素の弱収束に関する問題に、部分的な回答を与えた。第2部では、ストリッカーツ評 価と呼ばれる、シュレディンガープロパゲーターに対する、時間空間評価を、正規直交系 の枠組みで研究した。この正規直交系に対するストリッカーツ評価は、

2014

年頃から、

Frank-Lewin-Lieb-Seiringer

らの数理物理学者によって、研究が始まり、そのモチベーシ

ョンは、フェルミオンと呼ばれる、量子力学的な粒子の多粒子系を記述する、ハートリー 型の方程式の解析にある。特に、フェルミオンは、パウリの排他原理と呼ばれる法則を満 たし、それが数学的には、正規直交性で表される。従って、この系の分散性を捉えるとい う目的のもと、正規直交系に対するストリッカーツ評価が重要になってくる。第2部の主 結果は、3つあり、まず一つ目の結果で、

Frank-Lewin-Lieb-Seiringer

らによって提案さ れていた、正規直交ストリッカーツ評価に対する未解決問題に対して、ほぼシャープな回 答を与えた。二つ目は、通常、初期値として

L^2

関数系をとるところを、代わりに、ソボ レフ空間から関数系を取った時に、シャープな正規直交ストリッカーツ評価を得ることに 成功した。なお、ソボレフ空間から初期値を取った時に、非自明な不等式の改良が得られ ることが判明した。三つ目は、トーラス上の正規直交ストリッカーツ評価に対する結果で ある。トーラス上のシュレディンガー方程式の解析は、一般に、全空間上のそれよりも困 難であることが知られている。というのも、トーラス上では、周期性により、全空間上の ような分散性を得ることがそもそも不可能であり、従って、ストリッカーツ評価といった、

方程式の解析の基本になる評価を得ることも、一段と難しくなるからである。そういった

事情にも関わらず、

93

年の

J. Bourgain

氏による結果がブレイクスルーとなり、現在でも、

(3)

研究が進んでいる。著者は、三つ目の結果において、多様体上のストリッカーツ評価と呼 ばれる話題との、非自明な関連を見つけることによって、シャープな評価をトーラス上で も得ることに成功した。また、その応用として、トーラス上の多粒子系に対するハートリ ー方程式の時間局所解を構成した。なお、この三つ目の結果によって、エディンバラ大学

T. Oh

氏によって提案された問題に、部分的な回答を与えた。

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