長野工業高等専門学校紀要 ・第27号 (1993) 1
粉末冶金法 による
SiCウイスカー強化アル ミニ ウム 合金複合材料の押出 し性 と機械的性質 につ いて
小林義一 堀内富雄
Extrudability and mechanical properties of SiC whisker r
e i n f o r c e d A l
‑ M g
‑ S i a l l o y C o m p o s i t e s
Yoshikazu KOBAYASHI and Tomio HORIUCHI
SiCwhiskerreinforcedAl・Mg・Sialloycompositesproducedbypowdermethod wereextrudedat6008Cbyvaryingangleofdying,andextmdabilityandmechanical propertiesofextrudedrodswereexamined.
Thefollowlngresultswereobtained.
(1) Extmsionpressurewaslowerwhentheangleofdyingwas75degree.WhenSic whiskercontentsincreased,theextrusionpressurewashigher.
(2) Themechanicalpropertiesoftheextrudedrodsweremoreimprovedwiththe increaseinSicwhiskercontents.
(3)Theextrudedrodofthisalloyshowedcyclic丘brousstructure,andtheplanes havinghighdegreeoftexturewere(100)[031].
1. 緒 言
金属,セラ ミックス, プラスチ ックスな どを ウィスカーで強化 させた複合材料 は,各々の 材料 に付加的特性 をつ けることがで きる.特にアル ミニウム合金 にSiCウィスカーを複合 す ると比強度,高温強度,耐摩耗性,比弾性な どの向上が期待 され るため種々研究 され(1ト(3),
「部実用の段階に入 っている(4)〜(5).その製造方法 としては,SiCウィスカ‑を プ 1)フォーム (中間素材) してアル ミニウムを溶融含浸 して複合化す る場合が多いが, この方法 はアル ミ ニウム界面 との結合性 を高め る点やSiCウィスカーの破損 を少 な くして複合化 で きるな ど の点で優れているが,良好 なプ リフォームを作 る必要性や溶融含浸 に高度 な装置や技術 が必 要 とされ る.一方粉末冶金法 によってSiCウィスカーを複合化す る方法は,SiCウィスカー の損傷や分散性 に問題 は残 るが,比較的複雑な形状 の複合材料 を作 ることがで きる点 に特徴 がある.いずれの方法によっても,SiCウィスカーをアル ミニウムの中にいかに均一 に分散 させ ることがで きるかが この複合材料の特性に大 きく影響 され る.筆者 らはすでに純 アル ミ ニウムの粉末 にSiCウィスカーを混合 した複合材料 の押 出 し性 と機械的性質 につ いて報告
●横械工学科 教授
= 機械工学科 技官
原稿受付 平成5年9月1日
小林義‑ ・堀内富雄
した(6)ので,今回はAl‑Mg‑Si合金 にSiCウイスカーを複合化 した複合材料 を粉末法 に よっ て製造 し,押出 し性や機械的性質 について調べた. また比較 のため にSiC粉末 を混合 した 場合 について も調べたのでその結果を報告す る.
2.試料 と実験方法
市販 のAl粉末 (Si 0.06%,Fe 0.17%),Mg粉末お よびSi粉末 を用いて6063Al合金
(MgO.68%,SiO.40%)になるように電子天秤 (読取限度0.001g)で計量 してのち小型 ポ ッ トミル回転台 に入れ24時間混合 してAトMg‑Si合金 を作成 した.
次 にこの合金にSiCウィスカー (AI0.26%,Mg0.11%,Fe0.01%,Ca0.08%)およ びSi粉末を体積割合で各々0,5,10お よび20%になるよ うに計量 して小型 ポ ッ トミル回転 台 に入れ24時間混合 した. この とき混合を促進 させ るために直径5mmと直径10mmの2種 類 のアル ミナ球 を半々ずつ,混合材料 の重 さ と同 じ重 さだけ入れた. またSiCウィス カー は直径0.05‑0.2〟m,長 さ10‑40JJmの針状 の単結晶単繊維で繊維同士が複雑 に絡み合 って いるため,合金内‑の均一分散がその ままで は困難 であ る.そ こで この絡 み をほ ぐして,
6063Al合金 との混合を促進 させ るため に,SiCウィスカーをアル コール中 (試料100gあた り40ccの割合)で1時 間超音 波 をかけてか ら
使用 した.表1に原料粉末の特性 を示す.
混合の終了 した試料 は,空気中で十分乾燥 し た のち直 径40mm長 さ120mmの金型 に入 れ, 上下方向から圧力 を加 えて成形す るいわゆ る両 押成形法 によ り400MPaの圧力を60秒間加 えて, 直径40mm長 さ50mmの圧粉体 を作成 した.吹
に この圧粉体 を窒素 ガス雰囲気 中で600oC,2
時間焼結 して押出 し用 ビレッ トとした. また比 較 のために一部焼結 しない ビレッ トも作成 した.
表2に試料の作成条件 を示す.
この様 にして作成 した ビレッ トを押 出 し温度
600oC,加 工 度86% (ダ イ ス穴 径15mm)で, 潤滑材 に黒鉛 を使用 して熟間押出 しを した. ダ イス角度 については45度,45度R付 き (ダイス の出 口の部分 にアールをつ けた もの),60度,
75度および90度の5種類 のダイスを使用 して, 押出 し加工性 に及ぼす ダイス角度 の影響 を調べ た.
次 に得 られた押 出 し材 か ら直径14mm,評 点 距離50mmの引張試験片を作成 して, インス ト
ロソ型 試験 機 (島 津 オ ー トグ ラ フDCS‑10T
形) によ り引張試験 を した. また密度測定,硬 さ測定および顕微鏡に よる組織検査を行 なった.
表1 原料粉末の特性
試 料 (密×103kg/m度3) (メッシュ)粒 度
Al 2.699 ‑250 Mg 1.74 200 Si 2.33 ‑350 Sic 3.17
Sic 3.18 0.05‑0.2
表2 試料の作成条件
Na 強 化 材 割合(Ⅴ/0)焼結(N2中)
1 無 添 加 0 600○CX2hr
2 焼結なし
3ウイスカーSic 5 6000CX2hr
4 焼結なし
5 10 600○CX2hr
6 焼結なし
7 20 600○CX2hr
8 焼結なし
9 SiC粉末 5 600°CX2hr
10 焼結なし
ll 10 600○CX2hr
1 2
焼結なし13 20 600○CX2hr
粉末冶金法によるSiCウィスカー強化アルミニウム合金複合材料の 押出し性と機械的性質について
なお硬 さ測定 は,押出 し材 を切断後その横 断面 を‑ メ 1)‑ベーパーとJ17で仕上 げてか らマ イクロビ ッカース硬度計 (荷重200gf)で測定 した.
また押出 し材 の集合組織 を調 べ るため に,押 出 し材 を縦方向に切断 して,その縦 断面 の i111i極点図をⅩ線 デ ィフレク トメータを使用 して反射法で作成 した. この時使用 したX 線 はCu対陰極 にNiフィル ターをつけ,40kv,30mAの条件 とした.
3.実験結果 とその考察 3‑ 1 押出 し性
3‑ 1‑ 1 ダイス角度の影響
押出 し性 については,押 出 し速度 の大小 や押 出 し 100 材の表面状況 によって調べ ることもで きるが, ここ
では ビレッ トがダイスを出始め るときの最高荷重が 小 さいほど押 出 し性が良好 であると考 えて,押 出 し 圧力の大小を もって押出 し性 とした.
図1は押出 し圧力に及ぼすダイス角度の影響 であ る. この とき使用 した試料 はSiCウィス カー10% 含有 で, ビレットば ̀焼結 なし"のものであ る. これ によると押出 し圧力 は, ダイス角度が45度 のときが 最 も大 きく,角度が大 きくなるにつれて次第に小 さ くな り,75度の ときに最小 を示 した. そ して90度で は再 び高 くなった.またダイスの出口にアールを付 けた ときと付 けないときの影響 をダイス角45度 の と
(tldV4)EF出q立党
a
きに調べたが,ダイスの出口に7‑ルを付 ける と, Dl 材料 がダイスをで るときの抵抗が小 さ くな り押 出 し
80
6
0
40 20
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≡ 〒
≡ダイズ角皮 (皮)
図1 押出し圧力に及ぼすダイス角 度の影響
SiCウイスカー統括なし SiCウイス】卜統括あり SiC粉末免桔なし SiC粉末坑盾あり 無添加坑府なし 無添加琉点あり
圧力 は小 さ くな‑ているが,ダイス角75度 の値 よ り 喜 'LO 小 さ くはな らなかった・ この様 に押 出 し圧力は,ダ 買
イス角が75度の ときが最 も小 さ く押出 し性 が最良に なることがわかった.
以上のよ うに押出 し性 はダイス角が75度 の ときが 最 も良好であったので, これ以降の実験 は全てダイ ス角が75度の ものを使用 した.
3‑ 1‑ 2 SiCウィスカー及 びSiC粉末 の影響 図2は押 出 し圧力 に及 ぼすSiCウィス カーお よ びSiC粉末 の影響 で あ る. これ に よる とSiCウ ィ スカー,SiC粉末 ともに"焼 結 な し"の場合 よ り"焼 結あ り"の場合の方が押出 し圧力が高 くなっている.
この理由を確かめるために焼結材のⅩ線回折を行 な った.その結果を図3に示す.今回の ビレ ットは窒 素雰囲気中で焼結 したのでAIN化合物 が生成 し,
0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 強化材 (vol.%) 図2 押出し圧力に及ぼすSiCウイ
スカーおよびSiC粉末の影響
図 3 焼結材のX線回折図形
小林 AE・・朋JJlmhll 押出 し圧ノJを高めたのではないか と予想 したが,焼 結温度 が低 か った こ ともあ り,AIN化 合物 は ほ と ん ど生 じていなか った. そのため焼結 に よる加 工性 の悪化 は,焼結 に よる粉末粒子問の原 7‑的結合 に よ る変形抵抗 の増加 が主 な原関であ ることがわ か った.
また SiC粉末 の場 合 よ りSiC ウ ィス カーの場 合 の 方 が押 出 し圧 力 は 高 くな って い るが, これ は SiC 粉末が粒状 で変形 に対す る航抗 がそれほ ど大 き くな
らないのに対 して,SiC ウィス カーは針状 で変形 に 対す る抵抗 が大 き くなるためであ ると考 えられ る.
また SiC ウ ィス カー と SiC粉末 の添加 宜 が 0,5, 10,20%と増 えるにつれて塑性変形 に対す る抵抗性 が高 くな り,押 出 し他 が感 くなっている.
3‑2 押 出 し材の密度
押出 し材 は,押LH.す際 に多少の曲が りを生 じた り, 試料 に よってはRL相がn・くれた りしているので密度 測定 には柁忠 が必要であ る.本実験 では,押 出 し材 か ら約10cmの 長 さ の 試 料 を切 り出 し, こ れ を 0.001gまで測定 で きる悶子天秤 を使 用 して,空気 中 と水中 (13nC)での 屯さの差 か ら押 出 し材 の体横 を求め, この体相 で押 出 し材 の空気 中の重 さを割 っ て押出 し材 の密度 とした. この様 に して求 めた押 出 し材 の密度 の SiC ウ ィス カーお よび SiC粉 末 に よ る影響 を図 4に示す. これ に よる と SiC ウ ィス カ ーの場合 は, ウ ィスカ‑̲:itの増加 につれて密度 は放 下 の傾 向を示 し,特 に焼結 した場合 にその傾 向が膚 しか った. この よ うな SiC ウ ィス カーの増加 に よ る密度 の低下 は,SiC ウィスカ‑の分散 が十分 でな く,SiC ウィスカーが束状 にな って,その部分 が空 洞 になって しま うため と考 えられ る. この ことは写 真 1の押 出 し材 の走査電 子顕微鏡組織 か らもわ か り, SiC ウ ィス カーの分 散 の困難 さが わ か った.一 方 SiC粒子 の場合 は,焼結の有無 に関係 な く粒子 の 唱 が増 えるにつれて密度 は上昇 してお り,SiC粒子 と アル ミニウム合金粉末 の結合 は良好 であった と考 え
(MtKJqMOTX)室数e恕」ヨ監
0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
想化 材 (γol.%)
図4 押出し材の密度 と強化材の側係
5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
削 ヒ材 (vol.%)
図5 ビレットのかさ幣度 と強化材 の快日系
蒜 票 慧 衰 謂
(MqJaI巾OTX)y齢仙′々Q)エ{・nR
写真1 押出し材の走査電子顕微鏡 組織 (SiCウィスカー10%) られ る.
一方押 出 しをす る前 の ビレッ トのかさ密度 の SiC ウィスカー と SiC粉 末 に よる影響 を図 5に示す, これ に よると SiC ウィス カーお よび SiC粉末 の量 の増加 に よる密度 の変化 は, 押出 し材 とほぼ同 じ傾 向を示 しているが,密度 の値 その ものは,押 出 し材 の方が大 き くなっ
粉末冶金法 に よるSiCウィス カー強化 アル ミニウム合金複合材料 の 押出 し性 と機械的性質 について
ている. この様 な違 いは,押 出 しの場合 は材料 がダイスを通 るときに強加工 を受 けるため に, この材料特有 の粉末粒子間 の空 隙やSiCウィスカーの存在す る場 所 の空洞 が押 しつ ぶ され
5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
強化材 (vol.%) 図6 硬 さと強化材の関係
5.0 10.0・ 15.0 20.0 25.0
斡化材 (vol.%)
図8 0.2%耐力 と強化材の関係
5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 教化材 (vol.%)
図10 伸 びと強化材の関係
(ddN)仙港税一冊
5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
強化材 (γ ol.%) 図7 引張強さと強化材の関係
5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
斡化材 (vol.%) 図9 ヤング率 と強化材の関係
5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
強化材 (vol.%) 図11 絞 りと強化材の関係
小林 凝 ‑ 1朋(勺7:†W た ことに よるもの とJLJ.わjLる.
3‑3 押 出 し材の機械的性質
図 6は SiC ウィスカーお よび SiC粉 末 の含 有立 と硬 さの関係 を示す. これ に.Iると S;C
ウィスカー,SiC粉末 ともにその歪 が増 えるにつれて硬 さは高 くな っているが,rl;)i:LILで は
SiC粉^=よ りSiC ウィスカーの方が硬 さは高 い値を示 した. また焼結 した場合 と蛇も'.・し/亡い
場合での硬 さの違 いを見 ると,SiC粉末 の ときはほ とん ど差 が な く,SiC ウ ィス カーU̲)とき には ̀焼結 な し"の場合 の方が=焼結 あ り日の場合 よ りもむ しろ硬 さは高 くなってい るか, こJL は ビレッ トの段 階で焼結 しな くて も600Cでの押出 しのための加 熱 に よ り焼結 が な され たた め と思われ る.
図7‑図11は引張試験 の結果 で図7は引張強 さと強化材 の関係,図8は0.2%耐力 と蛾 化 材 の関係,図9はヤソグ率 と強化材 の関係,図10は伸 び と強化材 の関係,図11は絞 りと強化 材 の関係 である. これ らに よると,SiC ウイス カーが清 まれた場 合 は, その塁 の増加 につれ て引張強 さ,0.2%耐力 ともに向 ヒしてい るが, ヤ ング率の向上 はそれ ほ ど認 め られなか っ た.溶湯加圧成形 法 に よって吸出 した SiC ウ ィスカー感化 7ル ミニ ウム合金複 合材料 は, SiC ウィスカーの休校含有iltの耶加 とともに引弘・)挑さ,降伏強 さ,弾性率 は向上 し,引張強 さは SiC ウィスカー20%,降伏強 さは SiC ウ ィスjJ‑L5!)/Oで飽11J伯 に達す るのに対 して, 弾性率 は SiC ウィスカー25% まで ほほは り'L線 的 に Lil‑し,特 に弾惟 率 の向上 が大 きい こ と が この材料 の特徴 とされているm. しかるに今l叫 まヤ ソグ呼の向 Lがそれ ほ ど認 め られ なか ったのは,SiC ウィスカーの分散が軌待 されたほ ど均一 にならなか ったか らであ ると思われ る.伸 びと絞 りは SiC ウィスカーのiAの増加 につれて低下 の傾 向を示 した.
一方 SiC粉末 は0.2%耐力の向上 には多少効果 があ ったが,引張強 さの向上 にはほ とん ど 効果がなか った.伸 び と絞 りは SiC ウィス カーの場合 と同様 に SiC粉末 の竜 の増加 につ れ て低下 の傾 向を示 した.
写真 2は SiC ウ ィスカー20%添JJl1お よび SiC粉末20%添加 の押 出 し材 の顕微鏡組織 を示 す. これ に よると SiC ウィスカーが均一 に分散 され て いない様 子 がわ か る. また SiC粉末 は微細化 が十分で ない ものが存在 し, これが引張強 さの向上 にほ とんど効果のなか った原因 であると思われ る.
以上 の よ うに SiC ウィスカーと SiC粉末 を比較す る と硬 さ,引張強 さ,0.2%耐力 ともに
蘭 雷 撃 静 濫 発
S iCウ イ ス カー 2 096 SIC粉末 20%
写真2 押出し材の顕微鏡組織
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粉末冶金法 に よるSiCウィスカー強化 アル ミニウム合金複合材料 の 押出 し性 と機械的性質 について
RD
s iCウイスカー(A)0% (B)5% (C)10% (D)20%
図12押出し材縦断面の1111ト極点図
SiCウィスカーの場合の方がその値が高 く,SiCウィスカーの優位性が明 らかであった.
3‑4 押出 し材の集合組織
図12はSiCウィスカーが0,5,10および20%含 まれた押出 し材 の縦断面のi111L極点図 である. これによると粉末材か ら押出し加工 した場合にも明 らかに集合組織が認め られ る.
SiCウィスカーの量による集合組織の変化 をみ ると,SiCウィスカー0%の場合,す なわち 粉末材のみからできた ビレットを押出 し加工 した場合の集合組織 は (100)〔031)であった.
これは押出し方向に<031>方向が向いてお り,かつ押出 し縦断面 に (100)面が揃 っている ことを示 している.AトMg‑Si合金の鋳造材を押出 し加工 した場合 は (178)〔11‡) と(001)
〔100)の二重集合組織すなわち押出 し方向に<111>とく100>の方向が掃 う(8)のに対 して, 粉末材を押出 し加工 した場合 は<031>方向のみが押出 し方向に揃 ってお り,大 きな違 いを 見せていた.<111>とく031>の角度の違いは1.9度であ り,粉末材の場合 には鋳造材 に比 べて結晶の回転が この角度分だけ悪 くなるもの と思われ る.
小林義一 ・堀内富雄
SiCウイスカーが5%の場合 には (100)〔031〕の ほかに(311) 〔130〕集合組織がわず か に認め られたが, 0%の場合 と比べてそれほ ど大 きな違いは認 め られなか った.SiCウィス カー10%の場合 の集合組織 は (100)〔O31〕で,SiCウィスカーのない場合 と大 きな違 いは なかったが,集積強度の最高値 はSiCウィスカー0%の ときの3.14に比べ て2.882と大分低 くなっていた. またSiCウィスカー20%の場合 は (100)〔031〕集合組織 は残 っているもの の,集積強度 は2.054と大分低 くな り, かつ集積帯 も不明確 になってお り,SiCウィスカー に よって結晶の回転 が抑 えられていることがわか る.
以上 の ように粉末材を押出 し加工 した場合 は (100)〔031〕集合組織が形成 された.そ し てSiCウィスカーが含 まれて も集合組織その ものは変わ らなか ったが,集積度 は大分低 く なった.そ してSiCウ●ィスカーが200/.含 まれ ると集積帯 が不明確 になるほ ど集積度 は低 く な り,SiCウィスカーが粉末合金の結晶の回転を抑 えていることがわかった.
4.結 論
Al‑Mg‑Si合 金 にSiCウ ィス カーお よびSiC粉 末 を別々に0,5,10お よび20%混 合 し, 400MPaで加圧成形 してか ら窒素雰囲気 中で600oC, 2時間焼結 した ビレ ッ トを600oCで熟 間押出 し加工 して,その押出 し性や得 られた押出 し材 の機械的性質,集合組織 などを調べた
ところ次のことがわ かった.
(1)押出 し性 はダ イス角が75度 の ときが最 も良好 であ った. またSiC粉末が含 まれてい るときよりSiCウィスカーが含 まれているときの方が押出 し性 は悪かった.
(2)押出し材 の密度 は,SiC粉末の量 の増加 につれて上昇 したが,SiCウィスカーの場合 には減少の傾 向を示 した.
(3)押出 し材 の硬 さは,SiCウィスカー,SiC粉末 ともその量 の増加 につれ て高 くなった が,SiCウィスカーの場合の方が効果 は大 きか った.引張強 さは,SiCウィスカーの場合 は高 くなったが,SiC粉末の場合はほ とん ど変化がなか った.ヤング率 は,SiCウィスカ ー,SiC粉末 とも期待 されたほどの上昇は認め られ なか った.伸 び と絞 りはSiCウィスカ ー,SiC粉末 ともその量 の増加 につれて減少 した.
(4) 粉末材 を押出 し加工 した場合 は (100)〔031〕集合組織 が形成 され,SiCウィスカー の量が増 えると集積度が低 くな り,SiCウィスカーが20%では集積帯 も不明確になった.
参 考 文 献
(1) K.Ohori,H.Watanabe,Y.Takeuchi:MaterialsScienceandTechnology:January1987 Vol.3,p.57
(2)武 高輝,河野紀雄,高橋恒夫,渡辺久藤 :軽金属.Vol.42(1992)No.7,p.377 (3)青柳成俊,高橋昭一,小島 陽 :軽金属.Vol.41(1991)No.ll,p.759
(4) 大堀紘一,渡辺英雄,竹内 庸 :日本金属学会会報 :第25巻 (1986)第5号,p.447 (5) NIKKEINEW MATERIALS,1986年7月21日号,p.71
(6)小林義一 :長野工業高等専門学校紀要,第17号 (1987),p.23
(7)日本複合材料学会編 :金属基複合材料を知る事典,p.101,アクネ(1984) (8)高橋恒夫,小林義一,時沢 貢 :軽金属,Vol.23(1973)No.6,p.248