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妊娠末期から産後4ヶ月の母親の睡眠覚醒リズム等の変化

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(1)

原  著

*1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻(Osaka University School of Health Science) *2医療法人愛仁会高槻病院(Takatsuki General Hospital)

2008年4月28日受付 2008年11月14日採用

妊娠末期から産後4ヶ月の母親の睡眠覚醒リズム等の変化

Longitudinal study on changes of sleep-wake rhythm in mothers

from late pregnancy to 4 month postpartum using sleep log

乾   つぶら(Tsubura INUI)

*1

島 田 三恵子(Mieko SHIMADA)

*1

早 瀬 麻 子(Mako HAYASE)

*1

緒 方 敏 子(Tosiko OGATA)

*2

時 本 秋 江(Akie TOKIMOTO)

*2

保 条 麻 紀(Maki HOJOH)

*2

新 川 治 子(Haruko SHINKAWA)

*1 抄  録 目 的  妊娠末期から産後4ヶ月の母親の睡眠覚醒リズムの特徴と変化を明らかにする。 対象と方法  同意を得た妊娠末期の妊婦57名を対象とし,このうち追跡調査できた産後1ヶ月47名,産後4ヶ月34 名に縦断調査を行った。睡眠表に一日の睡眠と覚醒を30分毎に連続1週間の記録を依頼し,郵送法で回 収した。夜間・昼間・総睡眠時間,最長睡眠時間とその開始時刻及び終了時刻,昼睡眠・総睡眠回数, 中途覚醒時間とその回数,及び睡眠覚醒のリズム周期を検討した。 結 果  総睡眠時間は妊娠末期7.79時間,産後1ヶ月6.73時間,産後4ヶ月6.91時間であり,夜睡眠時間は各々 6.75時間,5.85時間,6.36時間であり,最長睡眠時間は6.39時間,3.46時間,4.13時間であり,いずれも 時期による変動があった(p<0.001)。産後,これらの睡眠時間は妊娠末期よりも短縮した(p<0.01∼ 0.001)。夜間の中途覚醒時間は妊娠末期0.42時間,産後1ヶ月1.70時間,産後4ヶ月1.14時間であり,中 途覚醒回数は各々0.3回,1.7回,1.5回であり,いずれも時期による変動があった(p<0.001)。産後,中 途覚醒は妊娠末期よりも増加した(p<0.001)。妊娠末期から産後4ヶ月は睡眠が分断されても,最長睡 眠は0 : 22から6 : 50の時間帯にあり,睡眠覚醒のリズム周期は24.04∼24.08時間であった。妊娠末期と 産後4ヶ月では,最長睡眠時間とその入眠時刻との負の相関(p<0.001∼0.05)がみられた。いずれの時 期も入眠時刻と夜睡眠時間との負の相関があった(p<0.01∼0.001)。 結 論  妊娠末期から産後4ヶ月にかけて,総睡眠時間,夜間睡眠時間,および最長睡眠時間が減少し,夜間 の中途覚醒が増加しても,最長睡眠時間は夜間にあり,睡眠覚醒のリズム周期は約24時間であること

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キーワード:睡眠覚醒リズム,妊婦,母親,中途覚醒,最長睡眠時間

Abstract Purpose

This study was to clarify the characteristics and changes of the sleep-wake rhythm in mothers from late preg-nancy to four months postpartum.

Methods

Participants were 57 women in late pregnancy to four months postpartum. The subjects were 57 mothers after 35 weeks of pregnancy who gave informed consent to participate. Of these, forty-seven mothers 1 month postpar-tum and thirty-four at 4 months postparpostpar-tum, were surveyed longitudinally at.

Participant recorded 24 hours sleep-and-wakefulness using a day-by-day plot method on Sleep Log at intervals of 30 minutes for one week.

We calculated sleep parameters: total sleep time (TST), nocturnal sleep time (NST), diurnal sleep time (DST), longest sustained sleep period (LSP), LSP onset and offset times, numbers of total sleep hours and diurnal sleep hours, time of waking after sleep onset (WASO), number of WASO and sleep-wake cycle.

Results

TST were 7.79 hours in late pregnancy, 6.73 hours 1 month postpartum and 6.91 hours in 4 month after deliv-ery (F=18.21, p<0.001). NST were 6.75 hours, 5.85 hours and 6.36 hours (F=12.27, p<0.001) respectively. LSP were 6.39 hours, 3.46 hours and 4.13 hours (F=87.61, p<0.001). TST, NST and LSP in postpartum were shorter than those late pregnancy. WASO were 0.42 hours, 1.70 hours and 1.14 hours (F=45.42, p<0.001). Number of WASO were 0.3 times, 1.7 times and 1.5 times (F=78.60, p<0.001). WASO in postpartum was longer than those late pregnancy, and number of WASO in postpartum was larger than those late pregnancy.

It was found that LSP showed significant negative correlation with LSP onset in late pregnancy (r=-0.481, p<0.001), and 4 months postpartum (r=-0.396, p<0.05).

In addition, LSP were predominantly between 0:22 and 6:50, while cycle of sleep-and-wakefulness rhythm was approximately 24 hours, which showed a range of 24.04 hours to 24.08 in the mothers in this study.

Conclusion

The sleep-wakefulness rhythm in mothers is disturbed from late pregnancy to postpartum, although TSP, NSP, LSP decrease and WASO increases. The mothers who go to bed early are able to sleep longer during nighttime hours and sleep-and-wakefulness was approximately 24 hours cycle in all mothers.

Key words: sleep-wake rhythm, late pregnancy, postpartum mother, WASO (waking after sleep onset), LSP (longest sustained sleep period).

Ⅰ.緒   言

 睡眠は成長発達による変化が安定した成年に達し ても,年齢によって推移することが報告されている (Doi, 2001 ; Yoon, 2003)が,妊娠出産に伴う変化は, 母親一人だけのものではなく新生児や乳児との関連が 大きい。   妊 娠 末 期 の 母 親 は ホ ル モ ン 環 境 の 生 理 的 変 化 (Feinsilver, 1992;鈴木,1996)や腹部膨満及び胎動に よって,入眠困難や夜間の中途覚醒が増加する(駒 田,2002;Shinkoda, 1999)など,妊娠により様々な 睡眠の変化がもたらされると言われている(Hedman, 2002;松田,2005)。妊娠末期の終夜睡眠に関する研 究では,妊娠に伴って睡眠の深さが変化することが報 告されている(堀内,1990)。  一方,産褥期の母親は新生児の世話や頻回な授乳に 対応するため,夜間の睡眠が中断され,児の睡眠覚醒 リズムにあわせて母親の睡眠覚醒リズムも変化を余 儀なくされる。産後1ヶ月間の母親自身の心配事では 「睡眠不足で疲労」が最も多く母親の2/3を占め,児の 心配事では「眠ってくれない(不眠)」を23.4%の母親 が挙げている(島田,2006)。また,乳児の夜の入眠後, 泣きによる覚醒が多いこと(高橋,2006)や,夜間の授 乳や世話にかかる時間が母親の睡眠を妨げている(堀

(3)

妊娠末期から産後4ヶ月の母親の睡眠覚醒リズム等の変化 内,1994;新小田,2000;新小田,2002)ことが報告さ れている。  産後の母親は出産後早い時期ほど夜睡眠が不規則だ が,児の睡眠覚醒リズムの確立に伴って母親の夜睡眠 の中途覚醒も減少し,睡眠状況が改善していくこと が報告されている(Shinkoda, 1999;堀内,1994;堀内, 2002)。夜の授乳や夜泣きに対応するために産後の母 親は睡眠が不規則になり,睡眠不足に伴う疲労の蓄積 は,育児の自信のなさ,母親としての不適格感,児へ の否定的な感情など,育児不安や育児放棄の誘因のひ とつになると推測される。  そのため,産後は児の睡眠覚醒リズムに合わせなが らも,母親自身の生活リズムの工夫によって,産後の 睡眠不足を軽減することが重要である。それにより, 産褥期の母親の疲労や不安の軽減が図れると同時に, 育児の負担感が減ることで母親としての自信や,育児 の楽しさを経験できるようになると考えられる。  ところが,妊娠末期から産褥期の睡眠の深さに関す る報告(堀内,1994)はあるが,この時期の母親におけ る睡眠と覚醒の一日リズムを調整するためのエビデン スとなる報告は見当たらない。  そこで,妊娠末期から産後4ヶ月の母親における睡 眠覚醒リズムの特徴と変化を明らかにすることを目的 として本研究を行った。

Ⅱ.研究方法

1.対象  平成18年8月から平成19年11月に大阪府T病院で妊 婦検診を受診し,同意の得られた妊娠末期の妊婦58 名を対象とした。このうち,同一対象を産後まで追跡 調査できたのは,産後1ヶ月の母親47名,産後4ヶ月 の母親34名であった。 2.調査方法  対象者に産婦人科外来で調査概略を文書及び口頭で 説明し,睡眠表の記録を依頼し,郵送法で回収した。 産後1ヶ月及び産後4ヶ月は調査直前に意思を再確認 し,同意を得て妊娠末期と同様の調査を縦断的に行っ た。  妊娠末期の調査は仕事の有無が生活リズムを規制 すると考えられるため,産前休暇後の妊娠週数35週 以降に実施した。産後1ヶ月の調査は,昼夜の育児 生活で不規則な睡眠覚醒リズムが予測される(堀内, 1994;新小田,2002;新小田,2000)ため,産後4週∼ 7週に実施した。産後4ヶ月の調査は,児の睡眠覚醒 リズムが生後12∼16週に確立すると報告されている (Shimada, 1999;Weissbluth, 1992)ため,産後16週∼ 19週に実施した。  各調査時期に対象者が睡眠表に一日の睡眠と覚醒を 30分ごとに連続1週間記入した。睡眠日誌の30分ごと の記録法は睡眠学会でauthorizeされ(内山,2005),推 奨されている方法である(宮下,1996)。 3.分析方法 1 )睡眠表の分析  記録不備や記録日数が3日未満の睡眠表を解析対象 から除外した。睡眠表は3日間∼7日間の記録がされ ていた。  IAC社の睡眠覚醒リズム解析ソフトを使用し,総睡 眠時間,総睡眠回数,昼睡眠時間,夜睡眠時間,夜睡 眠割合,最長睡眠時間,中途覚醒時間,中途覚醒回数, 睡眠覚醒のリズム周期を解析した。睡眠覚醒のリズム 周期は同ソフトによりχ二乗ペリオドグラム解析で周 期解析をした。昼寝回数,最長睡眠の入眠時刻,最長 睡眠の覚醒時刻,最長覚醒時間は視察法で睡眠表から 直接収集した。  以上の睡眠指標について対象者毎に平均値を算出し, その平均値のバラツキStandard Error(SE)を算出した。  昼睡眠とは8:00∼19:59の時間帯の睡眠,夜睡眠 とは20:00∼7:59の睡眠,最長睡眠とは12:00∼翌日 11:59における最長の連続睡眠,最長睡眠の入眠時刻 とは最長睡眠時間の開始時刻,最長睡眠の覚醒時刻と は最長睡眠時間の終了時刻である。  中途覚醒とは夜間に一旦入眠後,翌朝起床するまで の間に目が覚める状態である(内山,2005)。すなわち, 中途覚醒とは夜睡眠の開始時刻から終了時刻までの睡 眠時間内に出現した覚醒のことである。 2 )統計解析  3群の差の検定には一元配置分散分析,Tukeyの多 重比較,相関にはPearsonの積率相関を用いた。SPSS J for Windows Ver12.0を用い解析した。

4.倫理的配慮

 研究の目的と方法,辞退の自由,調査結果と個人情 報は調査目的にのみ使用することを説明し文書で同意 を得た。本研究は大阪大学医学部医学倫理審査委員会 の承認を得た(承認番号546)。

(4)

 睡眠表の返送は,妊娠末期58名,産後1ヶ月47名, 産後4ヶ月34名であり,このうち,有効回答はそれぞ れ57名(98.2%),47名(100.0%),34名(100.0%)であっ た。 1.対象者の属性  平均年齢は33.1 SD4.2(27∼43)歳,分娩時の妊娠 週数の平均は39.1 SD1.4(35∼42)週,初産婦48名 (84.2%),経産婦9名(15.8%)であった。  調査時期はやや春季の対象者が多いが,結果に大き な偏りはなかった。 2.睡眠指標の妊娠末期から産後4ヶ月の比較(表1) 1 )総睡眠時間  総睡眠時間の平均は妊娠末期7.79時間,産後1ヶ月 6.73時間,産後4ヶ月6.91時間と有意に変動していた(F =18.21, df=2, p<0.001)。妊娠末期に比べて,産後1ヶ 月(Tukey多重比較,p<0.001)及び産後4ヶ月(Tukey 多重比較,p<0.001)は有意に減少していた。 2 )総睡眠回数  総睡眠回数の平均は妊娠末期2.1回,産後1ヶ月 3.5回,産後4ヶ月3.2回と有意に変動していた(F= 51.20, df=2, p<0.001)。妊娠末期に比べて,産後1ヶ 月(Tukey多重比較,p<0.001)及び産後4ヶ月(Tukey 多重比較,p<0.001)は有意に増加していた。 3 )夜睡眠時間  夜睡眠時間の平均は妊娠末期6.75時間,産後1ヶ月 月(Tukey多重比較,p<0.001)は有意に減少していた。 特に産後1ヶ月は産後4ヶ月に比べて有意に短かった (Tukey多重比較,p<0.05)。 4 )最長睡眠時間  最長睡眠時間の平均は妊娠末期6.39時間,産後1ヶ 月3.46時間,産後4ヶ月4.13時間と有意に変動してい た(F=87.61, df=2, p<0.001)。妊娠末期に比べて産 後1ヶ月(Tukey多重比較,p<0.001)及び産後4ヶ月 (Tukey多重比較,p<0.001)は有意に減少していた。 特に産後1ヶ月は産後4ヶ月に比べて有意に短かった (Tukey多重比較,p<0.05)。 5 )夜睡眠の中途覚醒時間とその回数  中途覚醒時間の平均は妊娠末期0.42時間,産後1ヶ 月1.70時間,産後4ヶ月1.14時間と有意に変動してい た(F=45.42, df=2, p<0.001)。妊娠末期に比べて, 産後1ヶ月(Tukey多重比較,p<0.001)及び産後4ヶ 月(Tukey多重比較,p<0.001)は有意に増加していた。 特に産後1ヶ月は産後4ヶ月に比べて有意に長かった (Tukey多重比較,p<0.01)。  中途覚醒回数の平均は,妊娠末期0.3回,産後1ヶ 月1.7回,産後4ヶ月1.5回と有意に変動していた(F= 78.60, df=2, p<0.001)。妊娠末期に比べて,産後1ヶ 月(Tukey多重比較,p<0.001)及び産後4ヶ月(Tukey 多重比較,p<0.001)は有意に増加していた。 6 )最長睡眠の入眠時刻と覚醒時刻  最長睡眠の入眠時刻の平均は,妊娠末期0時22分, 表1 妊娠末期から産後4ヶ月の睡眠指標 one-way 妊娠末期(n=57) 産後1ヶ月(n=47)産後4ヶ月(n=34) ANOVA Tukeyの多重比較 mean±SE mean±SE mean±SE F値 p値 妊娠末期と1ヶ月 妊娠末期と4ヶ月 1ヶ月と4ヶ月 総睡眠時間 7.79 0.13 6.73 0.14 6.91 0.15 18.21 *** *** *** n.s 総睡眠回数 2.1 0.1 3.5 0.1 3.2 0.2 51.2 *** *** *** n.s 昼睡眠時間 1.04 0.11 0.91 0.10 0.55 0.09 5.16 ** n.s ** n.s 昼睡眠回数 0.7 0.1 0.5 0.1 0.5 0.1 3.5 * n.s n.s n.s 夜睡眠時間 6.75 0.13 5.83 0.13 6.36 0.16 12.27 *** *** n.s * 夜睡眠割合(%) 87.1 1.3 86.8 1.4 92.2 1.3 4.36 * n.s * * 中途覚醒時間(時間) 0.42 0.09 1.70 0.12 1.14 0.09 45.42 *** *** *** ** 中途覚醒回数 0.3 0.1 1.7 0.1 1.5 0.1 78.6 *** *** *** n.s 最長睡眠時間 6.39 0.16 3.46 0.14 4.13 0.24 87.61 *** *** *** * 最長睡眠の入眠時刻(時) 0.36 0.16 0.77 0.21 0.51 0.21 1.34 n.s n.s n.s n.s 最長睡眠の覚醒時刻(時) 6.84 0.16 4.31 0.26 4.64 0.24 45.34 *** *** *** n.s 睡眠覚醒のリズム周期(時間) 24.05 0.02 24.04 0.04 24.08 0.04 0.29 n.s n.s n.s n.s ***: p<0.001, **: p<0.01, *: p<0.05, n.s.: not significant

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妊娠末期から産後4ヶ月の母親の睡眠覚醒リズム等の変化 産後1ヶ月0時46分,産後4ヶ月0時31分であり,時 期によって有意な変動はみられなかった。最長睡眠は 妊娠末期から産後4ヶ月は夜間にあった。  最長睡眠の覚醒時刻の平均は,妊娠末期6時50分, 産後1ヶ月4時19分,産後4ヶ月4時38分と有意に変 動していた。(F=45.34, df=2, p<0.001)。妊娠末期 に比べて,産後1ヶ月(Tukey多重比較,p<0.001)及 び産後4ヶ月(Tukey多重比較,p<0.001)は有意に早 くなっていた。 7 )睡眠覚醒のリズム周期  睡眠覚醒のリズム周期の平均は,妊娠末期24.05時 間,産後1ヶ月24.04時間,産後4ヶ月24.08時間であり, 睡眠覚醒のリズム周期は時期によって有意な変動は認 められなかった。 3.各時期における睡眠指標の相関(表2-1,表2-2, 表2-3)  妊娠末期・産後1ヶ月・産後4ヶ月の各時期におい て,睡眠時間,中途覚醒,最長睡眠の入眠・覚醒時刻 がどのように関連しているかを検討した。 1 )中途覚醒時間と夜睡眠時間又は最長睡眠時間との 相関  中途覚醒時間と夜睡眠時間は,妊娠末期(r=­0.326, p<0.05),産後1ヶ月(r=­0.309, p<0.05)ではやや 負の相関があった。中途覚醒時間と最長睡眠時間は, 妊娠末期でかなりな負の相関(r=­0.534, p<0.001), 産後1ヶ月でやや負の相関(r=­0.382, p<0.01),産 後4ヶ月で強い負の相関(r=­0.757, p<0.001)があっ た。 2 )最長睡眠時間とその入眠時刻,及び夜間睡眠との 相関 (1)最長睡眠時間とその入眠時刻との相関  最長睡眠時間とその入眠時刻は,妊娠末期(r= ­0.481, p<0.001)及び産後4ヶ月(r=­0.396, p<0.05) でやや負の相関があった。即ち,最長睡眠の入眠時刻 が遅くなると最長睡眠時間が短縮した。しかし,産後 1ヶ月では最長睡眠の入眠時刻と最長睡眠時間との相 関はなかった。 (2)最長睡眠の入眠時刻と夜睡眠時間との相関  最長睡眠の入眠時刻と夜睡眠時間は,妊娠末期(r 表2-1 睡眠指標の関連 妊娠末期 n=57 総睡眠時間 夜睡眠時間 中途覚醒時間 中途覚醒回数 最長睡眠時間 最長睡眠の入眠時刻 最長睡眠の覚醒時刻 睡眠覚醒のリズム周期 総睡眠時間(時間) 1.000 夜睡眠時間(時間) 0.664 *** 1.000 中途覚醒時間(時間) ­0.144 n.s ­0.326 * 1.000 中途覚醒回数 ­0.204 n.s ­0.226 n.s 0.766 *** 1.000 最長睡眠時間(時間) 0.604 *** 0.718 *** ­0.534 *** ­0.683 *** 1.000 最長睡眠の入眠時刻(時) ­0.202 n.s ­0.719 *** 0.389 ** 0.232 n.s ­0.481 *** 1.000 最長睡眠の覚醒時刻(時) 0.372 ** 0.006 n.s ­0.166 n.s ­0.496 *** 0.459 *** 0.506 *** 1.000 睡眠覚醒のリズム周期(時間) ­0.142 n.s ­0.105 n.s 0.124 n.s 0.144 n.s ­0.225 n.s 0.082 n.s ­0.109 n.s 1.000 Pearson相関 *: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.001, n.s.: not significant

表2-2 睡眠指標の関連 産後1ヶ月 n=47 総睡眠時間 夜睡眠時間 中途覚醒時間 中途覚醒回数 最長睡眠時間 最長睡眠の入眠時刻 最長睡眠の覚醒時刻 睡眠覚醒のリズム周期 総睡眠時間(時間) 1.000 夜睡眠時間(時間) 0.726 *** 1.000 中途覚醒時間(時間) ­0.092 n.s ­0.309 * 1.000 中途覚醒回数 ­0.032 n.s 0.104 n.s 0.450 ** 1.000 最長睡眠時間(時間) 0.570 *** 0.398 ** ­0.382 ** ­0.705 *** 1.000 最長睡眠の入眠時刻(時) ­0.320 * ­0.691 *** 0.227 n.s ­0.180 n.s ­0.086 n.s 1.000 最長睡眠の覚醒時刻(時) 0.108 n.s ­0.303 * ­0.094 n.s ­0.501 *** 0.456 ** 0.750 *** 1.000 睡眠覚醒のリズム周期(時間) ­0.075 n.s ­0.201 n.s ­0.135 n.s 0.068 n.s ­0.131 n.s 0.145 n.s 0.009 n.s 1.000 Pearson相関 *: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.001, n.s.: not significant

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=­0.719, p<0.001),産後1ヶ月(r=­0.691, p<0.001), 産後4ヶ月(r=­0.600, p<0.001)で負の相関があった。 即ち,最長睡眠の入眠時刻が遅くなると夜睡眠時間は 短縮した。 4.睡眠指標の時期間での相関 1 )夜睡眠時間  妊娠末期と産後1ヶ月の夜睡眠時間(r=0.413, n= 47, p<0.001),妊娠末期と産後4ヶ月の夜睡眠時間(r =0.673, n=34, p<0.001),産後1ヶ月と産後4ヶ月の 夜睡眠時間(r=0.454, n=34, p<0.001)とのかなり正 の相関があった。 2 )最長睡眠時間の入眠時刻  妊娠末期と産後1ヶ月の最長睡眠時間の入眠時刻は かなりな正の相関(r=0.413, n=47, p<0.001),妊娠 末期と産後4ヶ月の最長睡眠時間の入眠時刻はかなり な正の相関(r=0.500, n=34, p<0.01),産後1ヶ月と 産後4ヶ月の最長睡眠時間の入眠時刻とはやや正の相 関(r=0.369, n=34, p<0.05)があった。

Ⅳ.考   察

 妊娠末期から産後4ヶ月にかけての睡眠覚醒リズム の特徴と変化を縦断的に検討した。 1.最長睡眠の入眠時刻と覚醒時刻  産後は児の睡眠の不規則性や昼夜逆転(島田,1999) により,母親が1日のうちで最も長く連続して眠る主 要な最長睡眠は必ずしも夜間にないことが予測された。 本研究では,妊娠中,産後1か月,4ヶ月のいずれの時 期にも,最長睡眠が夜睡眠に包含されない対象者が数 名いたことから,最長睡眠の入眠時刻と,最長睡眠時 間および夜睡眠時間との関連をそれぞれ検討した。そ の結果,妊娠末期から産後4ヶ月での,最長睡眠の入 眠時刻の平均は24.05∼24.08時,最長睡眠の覚醒時刻 は4.31∼6.84時であった。このことから,産後睡眠が 分断される時期であっても,最も長く続けて睡眠がと れるのは夜の時間帯にあることが確認された。  最長睡眠時間とその入眠時刻に関しては,妊娠末期 と産後4ヶ月で,最長睡眠の入眠時刻が早いほど最長 睡眠時間が長くなることが初めて明らかにされた。子 どもの睡眠不足が小児の肥満,動脈硬化,高血圧,糖 尿病などの生活習慣病と関連があり(Sekine, 2002)そ のため幼児では早寝ほど夜睡眠時間が長くなることが 明らかにされ(Koyama, 2002),子どもの「早寝早起き」 の啓蒙運動に発展した。幼児と同様に,妊婦褥婦でも 早く入眠すると最長睡眠が長くなることが本研究で初 めて明らかにされた。堀内らの脳波を用いた研究(堀 内,1990)では,妊娠が進行し末期になるほど%S4(深 いノンレム睡眠)は少なくなり眠りが浅くなる傾向が あり,産褥早期は妊娠末期よりさらに睡眠率が低かっ たが,妊娠に比べて%S4は増加の兆しがあった,と 報告している。Sleep logによる本研究では就寝時刻で はなく入眠時刻を記録しているため,睡眠率(就床時 間に対する睡眠時間の割合)や睡眠の深さは検討して いない。しかし今回,妊娠中は早寝によって睡眠時間 を確保できることが明らかにされた。  産後1ヶ月では,最長睡眠の入眠時刻が早いほど最 長睡眠時間が長くならないが,妊娠末期,産後1ヶ月, 4ヶ月のいずれの時期でも入眠時刻が早いほど夜間睡 眠時間は長かった。これは産後1ヶ月では,2∼3時間 毎の授乳や児の世話のために短時間で目覚める分断睡 眠(新小田,2000)されるためと考えられる。産後は, 児の中途覚醒等の環境要因に関わりなく,児の睡眠覚 醒リズムが確立する前の産後1ヶ月であっても,母親 も入眠時刻が早いほど夜睡眠時間が長いことが明らか にされた。従って,早寝は産後の睡眠状態の改善にも 入眠時刻 覚醒時刻 リズム周期 総睡眠時間(時間) 1.000 夜睡眠時間(時間) 0.827 *** 1.000 中途覚醒時間(時間) ­0.279 n.s ­0.333 n.s 1.000 中途覚醒回数 ­0.316 n.s ­0.312 n.s 0.832 *** 1.000 最長睡眠時間(時間) 0.653 *** 0.660 *** ­0.757 *** ­0.785 *** 1.000 最長睡眠の入眠時刻(時) ­0.313 n.s ­0.600 *** 0.366 * 0.279 n.s ­0.396 * 1.000 最長睡眠の覚醒時刻(時) 0.336 n.s 0.093 n.s ­0.420 * ­0.540 *** 0.601 *** 0.476 *** 1.000 睡眠覚醒のリズム周期(時間) 0.162 n.s 0.162 n.s ­0.031 n.s 0.018 n.s ­0.031 n.s 0.102 n.s 0.063 n.s 1.000 Pearson相関 *: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.001, n.s.: not significant

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妊娠末期から産後4ヶ月の母親の睡眠覚醒リズム等の変化 役立つと考えられる。これらのことから,妊娠中から 産後の睡眠には,早寝をする睡眠の生活習慣が大切で あると考えられる。  妊娠末期の最長睡眠の入眠時刻と覚醒時刻に関し ては,平成18年社会生活基本調査による同年代の一 般女性の就寝時刻(25∼29歳23.9時,30∼34歳23.8時, 35∼40歳23.6時)と比較すると,本研究の妊娠末期 の最長睡眠の入眠時刻は30∼50分遅い時刻であった。 また,同年代の一般女性起床時刻(25∼29歳7.2時,30 ∼34歳6.8時,35∼40歳6.5時)と比較すると,本研究 の妊娠末期の最長睡眠の覚醒時刻はほぼ同様の時刻で あった。  産後の最長睡眠の入眠時刻と覚醒時刻に関して は,平成18年社会生活基本調査による末子が0歳(0ヶ 月∼11ヶ月児)の母親の就寝時刻23.7時と比較する と,本研究の産後1ヶ月及び産後4ヶ月の最長睡眠の 入眠時刻は約1時間遅く,同調査の起床時刻6.4時と 比較すると最長睡眠の覚醒時刻は,産後1ヶ月では約 2時間半早く,産後4ヶ月では約1時間早かった。本研 究では児の睡眠覚醒リズムの確立前後(Shimada et al, 1999)の産後1ヶ月,4ヶ月の母親であるため,本研究 の母親の最長睡眠時間が短く,生後11ヶ月までの末 子を含む母親よりも覚醒時刻が早かったと考えられる。 2.睡眠覚醒のリズム周期  睡眠覚醒のリズム周期は,妊娠末期から産後4ヶ月 で変動がなく24時間周期であることが初めて明らか にされた。このことは,児の睡眠覚醒リズムが24時 間周期に確立していない(Shimada, 1999)産後1ヶ月 であっても,児の世話をしている母親自身の睡眠覚醒 のリズム周期は影響を受けないことが推測された。こ れは,乳児は生後24時間周期に同調することによっ て睡眠覚醒リズムが発達するが,親の養育時間もリズ ムの形成に関与することが動物実験から報告されてい ることから(Takahashi, 1989),母親自身が産後も24 時間周期であることは児の1日リズムの発達にとって 良い環境周期であると考えられる。 3.妊娠末期から産後4ヶ月の睡眠時間  妊娠末期の睡眠時間に関しては,同年代の一般女 性の睡眠時間(20代6.78時間,30代6.67時間)(Asai, 2006)と比較して,本調査では妊娠末期の夜睡眠時間 は6.75時間とほぼ同様であるが,妊娠末期の総睡眠時 間は7.79時間と昼睡眠時間1.04時間の分だけ長くなっ ており,妊娠に伴う睡眠時間の変化は特に昼睡眠の増 加によると考えられる。これは,妊娠末期に合計睡眠 時間長くなるが,夜睡眠時間は減少するHedmanらの 研究(Hedman, 2002)と同様の傾向であった。  産後の睡眠時間に関しては,妊娠末期と比較して, 総睡眠時間は減少し総睡眠回数は増加しており,特に 産後1ヶ月は夜睡眠時間が減少していたことから,産 後の睡眠時間は児の睡眠覚醒リズムが不規則(島田, 1999)であることに影響されて母親の睡眠が分断され, 同時に睡眠時間が減少していると考えられる。 4.夜睡眠の中途覚醒時間と中途覚醒回数  産後は妊娠末期よりも中途覚醒時間及び中途覚醒回 数は増加し,中途覚醒時間が長いほど最長睡眠時間は 短くなっていた。これらは産後の母親は児の夜間覚醒 によって母親の夜睡眠が分断され(新小田,2002),そ の結果,長くまとまった睡眠時間をとることができず, 児とともに母親も不規則な睡眠覚醒リズムとなってい ると考えられる。 5.臨床への応用  産後の母親は睡眠時間が減少し,夜の睡眠が分断さ れて長く続けて睡眠がとりにくくなるが,妊娠中から 早く入眠することにより夜に長く続けて睡眠がとれる 事,産後の睡眠には妊娠中から早寝をする睡眠の生活 習慣が大切であることを,妊娠中に生活指導すること が重要である。 6.本研究の限界と今後の課題  本研究は大阪府内の一医療施設での調査であり,地 域の特徴と縦断調査に積極的に参加した個人特性を考 慮する必要があると考えられる。また,夜間の授乳方 法(直接母乳では添寝での授乳か起座位か,瓶哺乳等), 明暗のリズム(夜の授乳時の点灯),上の子の就寝形 態(母親と上の子との同室・同床の有無),夫や家族 の生活リズム等と睡眠覚醒リズムとの関連を今後検討 する必要がある。

Ⅴ.結   論

1 .妊娠末期から産後まで,入眠時刻が早いほど最長 睡眠時間が長かった。特に,妊娠末期と産後4ヶ月 では,最長睡眠の入眠時刻が早いほど最長睡眠が長 いことが明らかになった。産後の母親は睡眠時間が

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て睡眠がとれることが示唆された。 2 .更に,妊娠末期と産後の入眠時刻が有意な相関が あるため,産後の睡眠を長く取るためには,妊娠中 から早寝をする睡眠の生活習慣が重要であることを, 妊婦に生活指導をすることが大切である。 3 .妊娠末期から産後4ヶ月では,睡眠が分断されて も最長睡眠時間は夜間にあり,睡眠覚醒のリズム周 期は24時間であることが明らかにされた。 4 .妊娠末期は昼睡眠時間の増加により,一般女性の 睡眠時間よりも総睡眠時間は長いことが確認された。 5 .産後は中途覚醒が増加し,夜睡眠時間,総睡眠時 間及び最長睡眠時間が減少することが確認された。 謝 辞  妊娠出産に伴う生理的変化が大きく,授乳や育児に お忙しいなかで本研究にご参加頂きましたお母様方, 並びにお忙しい業務のなか調査にご協力頂きました特 別・特定医療法人愛仁会高槻病院の職員の皆様に心か ら感謝致します。  本研究は平成16年度∼19年度,科学研究費補助金 (基盤研究(B),課題番号16390638,研究代表者 島 田三恵子)により行った。 文 献

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参照

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