「製糖工場におけるバガス利用コジェネレーション」
(調査実施団体:みずほ情報総研株式会社)
調査協力機関 Dan Chang Bio-Energy Co., Ltd(DCB), エネルギー総合工学研究所(IAE), みずほコーポレート銀行(MHCB)
調査対象国・地域 タイ王国 対象技術分野 バイオマス利用
事業・活動の概要 タイ 国 Suphanburi 県 Dan Chang に お い て 、 Dan Chang Bio-Energy Company Limited 社(以下、DCB 社)をカウンターパートとし、以下の事業を 実施することで CO2 排出削減を図る。本調査業務で対象とする事業は、DCB 社によるバガスコジェネプロジェクトである。Mitr Phol Sugar Corporation 社の 製糖工場から発生するバイオマス残渣(バガス)を燃料として活用し、グリッド の電力代替等により GHG 排出削減を実現する(以下、Dan Chang Block 2 プ ロジェクト)。本調査で対象とする Dan Chang Block 2 プロジェクトでは、32 MW のコジェネ設備を導入しており、主要な排出削減効果である電力代替に ついて、正味発電電力量(グリッドへの売電量)が約 150,000 MWh/年と想定 され、GHG 削減量は約 77,000 tCO2/年と見込まれる。 MRV 方法論適用 の適格性要件 Case 1: 以下の高効率技術のうち、少なくとも何れか一つを備えたバイオ マス残渣を利用して電力及び熱供給を行う設備を導入すること で、系統電力又は化石燃料由来の電力を代替するプロジェクトで あること。 ・蒸気条件 70bar 500℃以上のボイラー ・熱効率 90%以上のボイラー ・流動床ボイラー Case 2: プロジェクトで使用されるバイオマス残渣は未利用であること。 Case 3: バイオマス残渣以外のバイオマスが、プロジェクトサイトにおいて 使用されないこと。 Case 4: 化石燃料との混焼を行う場合、化石燃料の投入量が把握できる こと。 ※ただし、化石燃料投入量の正確な把握が困難な場合、プロジェ クト期間中に購入した全化石燃料を混焼したとみなすことで、 Case 3 を満たすことができる。 Case 5: 化石燃料との混焼を行う場合、混焼率が 80%を超えないこと。 Case 6: プロジェクトで使用されるバイオマス残渣は、1 年以上に渡って貯 留されていないこと。 リファレンスシナリ オ 及 び バ ウ ン ダ リ ーの設定 ●バウンダリー 本調査で開発する MRV 方法論のバウンダリーは以下。 ① プロジェクトサイト内の全ての発電 and/or 熱生成プラント ② グリッドに接続されている全ての発電所 ③ プロジェクトサイトへのバイオマス輸送手段 ●リファレンスシナリオ 本方法論は、バイオマスボイラー及びバイオマス発電設備の新設または増 設、並びに更新を対象としており、熱供給と電力供給について、それぞれ以下 のようなリファレンスシナリオの設定を行なう。
<熱供給シナリオ> 熱供給シナリオ 1:プロジェクト期間中のサイト内の熱需要は、高効率な化石燃 料ボイラーによって賄われる。 熱供給シナリオ 2:プロジェクト期間中のサイト内の熱需要は、既存のバイオ マスボイラーによって賄われる。 ※サイト内に既存のバイオマスボイラーが存在しない場合は、熱供給シナリオ 1 を選択する。存在しない場合は、2 を選択する。 <電力供給シナリオ> 電力供給シナリオ 1:プロジェクト期間中のサイト内の電力需要は、系統電力 による電力供給によって賄われる。 電力供給シナリオ 2:プロジェクト期間中のサイト内の電力需要は、高効率な 化石燃料発電設備による電力供給によって賄われる。 ※プロジェクトサイトがタイ国の National Grid に接続されている場合は、熱供 給シナリオ 1 を選択する。接続されていない場合は、2 を選択する。 算 定 方 法 オ プ シ ョ ン ・電力供給及び熱供給に係る排出量の算定オプション →保守的なデフォルト値以外での算定は不可 →適用されるシナリオによって算定方法が分岐 ・バイオマス残渣の輸送に係る排出量の算定オプション →基本的に活動量のみで算定が可能 →算定に用いる活動量も、配送回数・バイオマス残渣投入量・蒸気生産量か ら事業者が選択可能。また、各算定で使用可能なデフォルト値を用意。 デ フ ォ ル ト 値 の 設 定 ・リファレンスでの化石燃料ボイラー効率:100% →理論上の最高効率を設定しているため保守的。 ・リファレンスでの化石燃料発電設備の発電効率:50% →タイ国グリッド発電効率及び各種発電技術文献より設定。 ・バイオマス残渣の平均往復輸送距離:200km →現地カウンターパートヒアリング結果等を基に設定 モニタリング手法 パラメータ 説明 モニタリング方法例 ELBio,y プロジェクト実施後のバイオマ ス発電設備からの電力供給 量 電力量計を用いて直接計測 し、継続的に把握 N y, k プロジェクト実施後の各バイオ マス残渣種の配送回数 購入伝票等を管理して把握 FC PJ, y, f 事業実施後のオンサイトにお ける化石燃料消費量 重量計等によって直接計測 購入記録等による把握 ELPJ, grid, y 事業実施後のオンサイトにお ける系統電力購入量 電力量計による直接計測 又 は購入伝票により把握 モ ニ タ リ ン グ 実 施 結果 モニタリング期間:2012 年 10 月 1 日~31 日 ・タイ国営電力公社(EGAT)への売電量(MWh): 9,962.29 ・製糖工場への売電量(MWh): 256.55 ・地方配電公社(PEA)からの買電量(MWh): 101.53 ・軽油使用量(kL): 74.571 GHG 排出量及び 削減量 モニタリング期間における削減量:4,986tCO2 ER = BE – PE- Leakage = REelectricity - PEFF - PEEC = (5,224 tCO ) 2 = 4,986 tCO - (186 tCO2 ) - (52 tCO2) 2
第三者検証の結果 及び概要 調査においては、タイ国における GHG 排出削減量の検証業務等の実績等を 鑑み、CDM の DOE でもある SGS に検証を依頼した。 検証の結果、2012 年 10 月 1 日~10 月 31 日の間の、本調査の対象事業・ 活動の実施による排出削減量は、4,986 t-CO2 であったことが認められた。 環境影響等 再生可能エネルギーの導入拡大により、化石燃料発電での燃料消費からの 環境汚染物質(NOx、SOx、排水等)の排出削減に寄与できる。なお、本プロ ジェクトは、タイ国の環境影響評価制度である EIA を実施した上で開発・稼動 されており、EIA においても特段大きな問題は発生していないため、当該事業・ 活動の実施による悪影響は発生しないと考えられる。 日本技術の導入可 能性 日本が得意とする原料多様性が広い流動床ボイラーの導入については、タイ 国のバイオマス残渣利用状況を勘案すると導入するポテンシャルはあると言 える。 当該事業は、タイ国の持続可能な開発に以下の点で寄与すると考えらえる。 ・環境汚染物質(NOx、SOx、煤塵 等)の排出削減 ホ ス ト 国 に お け る 持続可能な開発へ の寄与 ・発電セクターにおける化石燃料依存の減少 ・タイ国政府の再生可能エネルギー促進政策を支援 ・豊富にある農業残渣(バガス等)の効率的な利用による経済効率性の向上 ・現地雇用の創出・増加 ・電力の安定供給
目次
1.調査実施体制: ... 1 2.事業・活動の概要: ... 1 (1)事業・活動の内容: ... 1 (2)ホスト国の状況: ... 1 (3)CDMの補完性: ... 1 (4)初期投資額について:... 2 3. 調査の内容 ... 2 (1)調査課題:... 2 (2)調査内容:... 2 <バウンダリー及びリファレンスシナリオ設定における課題>... 2 <適格性要件における課題>... 3 <算定のための情報及びデータにおける課題>... 3 4. 二国間オフセット・クレジット制度の事業・活動についての調査結果 ... 3 (1)事業・活動の実施による排出削減効果: ... 3 <事業・活動の実施による排出削減効果>... 3 <MRV方法論の概要> ... 3 (2)MRV方法論適用の適格性要件: ... 4 (3)算定方法オプション: ... 5 (4)算定のための情報・データ:... 6 <熱供給に関する算定>... 6 <電力供給に関する算定>... 6 <バイオマス輸送及びプロジェクト排出量に関する算定>... 7 (5)デフォルト値の設定: ... 10 (6)リファレンスシナリオ及びバウンダリーの設定: ... 12 <バウンダリーの設定>... 12 <リファレンスシナリオの設定>... 12 (7)モニタリング手法: ... 14 <モニタリング方法>... 14 <モニタリング結果の概要>... 15 (8) 温室効果ガス排出量及び削減量: ... 15 <ホスト国全体での排出削減ポテンシャル>... 16 (9)排出削減量の第三者検証: ... 16 (10)排出削減効果の分配: ... 17 (11)環境十全性の確保: ... 17 (12)日本製技術の導入促進策: ... 17 (13)今後の見込みと課題: ... 17 5. 持続可能な開発への貢献に関する調査結果... 18調査名:二国間オフセット・クレジット制度の MRV 実証調査
「製糖工場におけるバガス利用コジェネレーション」
団体名:みずほ情報総研株式会社
1.調査実施体制:
<国内> みずほコーポレート銀行: (a) 日本製技術の導入促進策の検討 (b) CDM 方法論(ACM0006)の課題整理 (c) タイ国における面談アレンジ エネルギー総合工学研究所: (a) バイオマス(バガス)発電事例調査 (b) バイオマス(バガス)発電技術最新動向の整理 <ホスト国>Dan Chang Bio-Energy Co., Ltd: (a) モニタリングデータ提供
(b) MRV 方法論構築支援(CDM の経験から) (c) サイトビジットアレンジ
2.事業・活動の概要:
(1)事業・活動の内容:
タイ国Suphanburi 県 Dan Chang において、Dan Chang Bio-Energy Company Limited 社(以下、DCB 社)をカウンターパートとし、以下の事業を実施することで CO2 排出削減を図る。本調査業務で対象 とする事業は、DCB 社によるバガスコジェネプロジェクトである。Mitr Phol Sugar Corporation 社の製 糖工場から発生するバイオマス残渣(バガス)を燃料として活用し、グリッドの電力代替等により GHG 排出削減を実現する(以下、Dan Chang Block 2 プロジェクト)。本調査で対象とする Dan Chang Block 2 プロジェクトでは、32 MW のコジェネ設備を導入しており、主要な排出削減効果である電力 代替について、正味発電電力量(グリッドへの売電量)が約150,000 MWh/年と想定され、GHG 削減 量は約77,000 tCO2/年と見込まれる。
(2)ホスト国の状況:
タイ国における再生可能エネルギー政策については、エネルギー省代替エネルギー開発・効率化 局(DEDE:Ministry of Energy, Department of Alternative Energy Development and Efficiency)が再 生可能エネルギー開発計画(REDP:Renewable Energy Development Plan 2008-2022)を作成してい る。2008 年時点での再生可能エネルギー発電容量 1,750 MW を 2022 年には 5,604 MW とすること を目標としており、気候変動対策も含めてバイオマス発電はその中核と位置付けられている。上記再 生可能エネルギー導入計画の成立を受けて、民間の小規模発電事業者(SPP:10~90 MW)や極 小規模発電事業者(VSPP:~10 MW)からの再生可能エネルギー由来の電力について、Feed-in Premium(以下、FIP)が導入されている。
(3)CDMの補完性:
カウンターパートであるDCB 社は、過去に実施したバイオマス発電事業 2 件について、CDM 登録を 行った経験を有している。しかし、適用した ACM0006 は、リファレンスシナリオの特定が複雑、一部 データのモニタリングが煩雑である等課題を含んでおり、未だに CER 発行には至っておらず、今後 も見込みは低いとの見通しである。 具体的にボトルネックとなっているのは、ACM0006 ver12.0.1 では、プロジェクト事業者に CDM 用 に特別なモニタリングを要求される点である。例えば、タイ国のバガス発電事業は製糖事業に併設さ れて実施されることが多く、燃料であるバガスは製糖工場からコンベアで運搬され、ACM0006 II - 1H24 MRV DS 最終報告書(概要版) ver12.0.1 の要求事項であるバガスの重量等を直接モニタリングしておらず、実際には蒸気発生量等 から逆算する方法が一般的である。カウンターパートは、上記の算定方法において算定精度を確保 するために、工場内に独自のラボを設置し、投入されるバイオマス残渣の正味発熱量と含水率を 1 日2 回実測している。加えて、蒸気生産量及び入出力温度、発電量・売電量等多くのデータをリアル タイムで取得可能なモニタリング機器を設置し、算定精度としては十分と考えられるモニタリング体制 を構築している。 このような努力にも関わらず、有効化審査においてはこの方法による算定が認められなかったこと は、本事業・活動をCDM として実施することが困難であることの証左であると考えられる。 また、本事業・活動においては、少なくともグリッドへの売電部分については確実に CO2 削減に貢 献しているものと考えられるため、このような事業がモニタリングの困難性等の制度側の事情によって 妨げられることは、地球温暖化対策の貢献の観点からも、望ましくない。このため、同種事業・活動を、 二国間オフセット・クレジット制度(BOCM)の下で実施し、推進していくことは、地球温暖化対策への 貢献の観点から、有意義であると考えられる。
(4)初期投資額について:
初期投資額:35 億円3. 調査の内容
(1)調査課題:
前述したとおり、CDM 方法論の ACM0006 は、リファレンスシナリオの特定が複雑、一部データのモ ニタリングが煩雑である等課題を含んでおり、事業化及びクレジット発行のハードルは高い状況にあ る。加えて、現状の ACM0006 の内容は、我が国が優位性を持つ排出削減効果の高い技術の導入 を促進するような側面を持たない。 このため、本調査においてはMRV 方法論の各要素について調査課題を設定し、①より簡易かつ実 践的なMRV 方法論の作成、②日本製技術の導入の促進という2つの観点に重点を置いて、調査を 実施した。MRV 方法論の各要素における、具体的な課題は以下のとおり。 <バウンダリー及びリファレンスシナリオ設定における課題> ①タイ国の実情を踏まえたバウンダリーの設定 ②BaU シナリオよりも保守的な排出削減効果を導出できるリファレンスシナリオの設定 <適格性要件における課題> ③追加的な排出削減を担保する条件の設定 ④日本の高効率技術の導入を想定した条件の設定 <算定のための情報及びデータにおける課題> ⑤可能な限り多くの項目の保守的なデフォルト値化(2)調査内容:
調査内容の概要を記す。<バウンダリー及びリファレンスシナリオ設定における課題>
①タイ国の実情を踏まえたバウンダリーの設定
現地カウンターパート及び政府機関へのヒアリング、文献調査等②
BaUシナリオよりも保守的な排出削減効果を導出できるリファレンスシナリオの設定
現地カウンターパート及び政府機関へのヒアリング、文献調査等 II - 2<適格性要件における課題>
③追加的な排出削減を担保する条件の設定
現地カウンターパート及び政府機関へのヒアリング、文献調査等④日本の高効率技術の導入を想定した条件の設定
日本国内ボイラーメーカーへのヒアリング 文献調査、現地カウンターパート及び政府機関へのヒアリング<算定のための情報及びデータにおける課題>
⑤可能な限り多くの項目の保守的なデフォルト値化
現地カウンターパート及び政府機関へのヒアリング、文献調査等4. 二国間オフセット・クレジット制度の事業・活動についての調査結果
(1)事業・活動の実施による排出削減効果:
<事業・活動の実施による排出削減効果>
本事業においては、熱供給の代替は上述のとおり化石燃料を必ずしも代替するものではない可能 性があるが、タイ国におけるグリッド電力は化石燃料による発電を含むものであるため、これを代替す ることは確実に排出削減効果をもたらすと考えられる。 これに対して、対象事業・活動の実施による温室効果ガス(GHG)の排出は、バイオマス残渣の輸 送によるものが考えられるものの、一般的にバイオマス残渣輸送時のGHG 排出量は、グリッド代替に よるGHG 削減効果を上回るものではないため、本調査における MRV 実証対象事業・活動は、温室 効果ガス(GHG)の排出削減をもたらすと考えることは妥当であると言える。 以下では、本調査の調査結果として、前節の調査内容及び結果をもとに、以下の MRV 方法論案を 提案する。<MRV方法論の概要>
MRV 実証対象事業・活動における排出削減効果を定量評価するために、本事業で提案する MRV 方法論案においては、以下の 3 つの項目からの排出量及び排出削減量を特定している。 1. 化石燃料による熱供給代替による排出削減量 2. グリッド電力又は化石燃料利用発電機からの電力供給代替による排出削減量 3. バイオマス残渣の輸送に伴う排出 これらの項目は、参考としたCDM 方法論である ACM0006 ver12.0.1 及び J-MRV001“バイオマス 残渣を利用した発電、及び熱利用”(JBIC)においても算定されている項目となっている。 これに対して、CDM 方法論である ACM0006 ver12.0.1 では、非管理下におけるバイオマス残渣の 嫌気性分解(CH4 発生)の回避に伴う排出削減量も算定項目として取り入れられているが、前節の 調査内容で述べたとおり、本MRV 方法論においては、方法論簡略化の観点を重視し算定対象から 除外している。 非管理下におけるバイオマス残渣の嫌気性分解(CH4 発生)の回避に伴う項目は、当該排出量は 排出削減量を増加させるものであるため、算定から除外した場合、算定結果は保守的となると考えら れる。 また、本方法論の特徴としては、自動的に入手できるデータを利用する点が特徴であり、追加のモニ タリング負担がほとんど発生しない点が挙げられる。特に、現地カウンターパートのCDM 事業でのネ ックとなっているバイオマス投入量を、直接測定しなくても十分に精度が確保できる点がポイントとな っている。 II - 3H24 MRV DS 最終報告書(概要版)
(2)MRV方法論適用の適格性要件:
MRV 方法論では、以下の要件をすべて満たすことができるプロジェクトに適用することができる。全 体としては、条件1 で追加的な削減効果がもたらされることを担保し、条件 2~6 において、排出削減 効果の蓋然性を高めつつ、保守的な算定となるよう条件付けを行っている。 条件1:以下の高効率技術のうち、少なくとも何れか一つを備えたバイオマス残渣を利用して電 力及び熱供給を行う設備を導入することで、系統電力又は化石燃料由来の電力を代替するプ ロジェクトであること。 蒸気条件 70bar 500℃以上のボイラー 流動床ボイラー 熱効率 90%以上のボイラー 高効率機器の導入とともに、化石燃料由来電力の代替を条件づけることで、適格性要件を満た したプロジェクトの排出削減効果の蓋然性を高めることが可能となると考えられる。設定した各高 効率要件については、タイ国内でほとんど導入が進んでいない技術であることを確認している。 同時に、日本が技術優位性を持つ流動床ボイラーを高効率要件のひとつとすることで、日本技 術の導入促進を狙うものである。 なお、これらの要件は容易に確認できるため、事業者に過度な負担を強いることはないと考えら れる。 条件 2:プロジェクトで使用されるバイオマス残渣は、未利用であること。 未利用バイオマス残渣の利用を義務付ける要件。排出削減の蓋然性を担保するために設定。 なお、バイオマス残渣が未利用であることを確認するためには、地域におけるバイオマス残渣賦 存量のデータ等が必要となるが、確認に必要なデータはタイ国政府より発表されているため、事 業者に大きな負担を強いるものではないことを確認している。 条件 3:バイオマス残渣以外のバイオマスが、プロジェクトで使用されない事。 バイオマス残渣以外のバイオマス使用を制限する要件。排出削減の蓋然性を担保すると共に、 バイオガス等の利用をバウンダリーから除外して方法論を簡素化するために設定。この要件に ついては、確認は容易であると考えられる。 条件 4:化石燃料との混焼を行う場合は、化石燃料の投入量が把握できること。 化石燃料との混焼を認めることで、EGAT との売電契約等に対して十分なバイオマス残渣の調 達が困難な場合においても、事業を継続が可能となるようにしつつ、モニタリング精度を担保す ることで排出削減効果の蓋然性を高めるために設定。 なお、投入量が正確に計測できない場合は、当該サイトにおける化石燃料購入量を全て混焼し た見做す場合は、本要件の確認は不要とすることで、保守性を担保し要件を緩和する措置を設 定している。 条件 5:化石燃料との混焼率を行う場合、混焼率は 80%までとする。 排出削減の蓋然性を担保するために設定。ただし、タイ国において系統への売電を行う場合、 EGAT との契約において化石燃料の混焼が 25%までに制限されるため、実質的にほとんどの案 件で確認は不要となると考えらえる。 条件 6:プロジェクトで使用されるバイオマス残渣が 1 年以上貯留されていないこと。 タイ国内の主要なバイオマス発電事業の対象であるバガス発電と籾殻発電においては、収穫時 期及び期間の関係から、バイオマス残渣が不足する時期があるため、本要件を設定することで 方法論の適用対象外となる事業はほとんどないと考えられる。 II - 4(3)算定方法オプション:
<熱供給代替の算定オプション選択> 既存のバイオマスボイ ラーが存在する Yes No 熱供給代替からの排 出削減は算定しない 算定方法: H‐1 <電力供給代替の算定オプション選択> プロジェクトサイト はグリッドに接続 している No 既存のバイオマス発電 設備の出力は変化する Yes 算定方法 E‐2 算定方法 E‐3 No 算定方法 E‐1 既存のバイオマス利用 発電設備が存在する Yes Yes: 増設/出力増強プロジェクト No: 効率改善プロジェクト 既存のバイオマス発電 設備の出力は変化する 算定方法 E‐5 算定方法 E‐6 No 算定方法 E‐4 既存のバイオマス利用 発電設備が存在する Yes Yes: 増設/出力増強プロジェクト No: 効率改善プロジェクト <バイオマス残渣輸送及びプロジェクト排出量の算定オプション> 各バイオマス残渣の 配送回数のデータが 使用可能 Yes No Yes デフォルト値を 使用する No 算定方法 T‐1 算定方法 T‐2 Yes デフォルト値を 使用する No 算定方法 T‐3 算定方法 T‐4 各バイオマス残渣の投入 量が直接計測可能である Yes Yes デフォルト値を 使用する No 算定方法 T‐5 算定方法 T‐6 No II - 5H24 MRV DS 最終報告書(概要版)
(4)算定のための情報・データ:
本方法論の各算定方法において必要な情報及びデータを以下に示す。<熱供給に関する算定>
算定方法 H-1: 熱供給_デフォルト値 モニタリング(M )/ 情報・データ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 バイオマスボイラーからの熱供 給量(GJ/y) M 蒸気生産量及び蒸気温度、給水温度を 連続計測し推計<電力供給に関する算定>
算定方法E-1: グリッドの代替 モニタリング(M )/ 情報・データ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 バイオマス発電機からの電力 供給量(kWh) M 電力量計により連続計測 算定方法 E-2: バイオマス発電設備の増設/出力増強_ グリッド代替 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 バイオマス発電機からの電力 供給量(kWh) M 電力量計により連続計測 バイオマス発電設備のプロジェク ト年における発電時間(hour/y) M 発電開始時刻と終了時刻を記録し日報 で管理 電力需要の増加分 の算定に使用 プロジェクトスタート 時に一度だけ確認 プロジェクト実施前のバイオマス 発電設備の最大出力(kW) S スペック値を利用可能 算定方法 E-3: 既存バイオマスボイラーの効率改善_グリッド代替 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 バイオマス発電機からの電力 供給量(kWh) M 電力量計により連続計測 年一回程度キャリブ レーションを実施し、効 率低下が無いか確認 する プロジェクト実施後のバイオマス 発電設備の発電効率(%) S スペック値を利用可能 プロジェクトスタート 時に一度だけ確認 プロジェクト実施前のバイオマス 発電設備の発電効率(%) S スペック値を利用可能 算定方法 E-4: 化石燃料発電設備の代替_デフォルト値 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 バイオマス発電機からの電力 供給量(kWh) M 電力量計により連続計測 II - 6算定方法 E-5: バイオマス発電設備の増設/出力増強_ 自家発代替 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 バイオマス発電機からの電力 供給量(kWh) M 電力量計により連続計測 バイオマス発電設備のプロジェク ト年における発電時間(hour/y) M 発電開始時刻と終了時刻を記録し日 報で管理 電力需要の増加分の 算定に使用 プロジェクトスタート時 に一度だけ確認 プロジェクト実施前のバイオマス 発電設備の最大出力(kW) S スペック値を利用可能 算定方法 E-6: 既存バイオマスボイラーの効率改善_自家発代替 モニタリング(M )/ 情報・データ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 バイオマス発電機からの電力 供給量(kWh) M 電力量計により連続計測 年一回程度キャリブレ ーションを実施し、効率 低下が無いか確認する プロジェクト実施後のバイオマス 発電設備の発電効率(%) S スペック値を利用可能 プロジェクトスタート時 に一度だけ確認 プロジェクト実施前のバイオマス 発電設備の発電効率(%) S スペック値を利用可能
<バイオマス輸送及びプロジェクト排出量に関する算定>
算定方法 T-1: 配送回数による算定 _デフォルト値 モニタリング(M )/ 情報・データ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣の配送回数(trip/y) M 取引伝票から回数を記録し、日報で毎 日管理 実際の消費量が分 からない場合は、プロ ジェクト期間における総 化石燃料購入量のデ ータで代替可能 プロジェクト実施後のサイト内に おける化石燃料消費量(mass or volume/unit) M 取引伝票から購入量を記録し、日報で 毎日管理 プロジェクト実施後の系統電力購 入量(kWh/y) M 月単位の購入伝票が整理されている 算定方法 T-2: 配送回数による算定 _プロジェクト固有値 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣の配送回数(trip/y) M 取引伝票から回数を記録し、日報で毎 日管理 実際の消費量が分 からない場合は、プロ ジェクト期間における総 化石燃料購入量のデ ータで代替可能 プロジェクト実施後のサイト内に おける化石燃料消費量(mass or volume/unit) M 取引伝票から購入量を記録し、日報で毎日管理 プロジェクト実施後の系統電力購 入量(kWh/y) M 月単位の購入伝票が整理されている II - 7H24 MRV DS 最終報告書(概要版) 各バイオマス残渣種の平均輸送 距離(km/trip) D(算定方法 T-1,3,5)/ S(算定方法 T-2,4,6) 地図上の距離等であれば把握可能 計算の簡素化のた め、最も遠い調達先から の輸送距離を、その他 の調達先の輸送距離と してもよい 算定方法T-3: バイオマス投入量の直接計測_ デフォルト値 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣の投入量(ton/y) M バガス以外のバイオマス残渣について は計測可能 実際の消費量が分 からない場合は、プロ ジェクト期間における総 化石燃料購入量のデ ータで代替可能 プロジェクト実施後のサイト内に おける化石燃料消費量(mass or volume/unit) M 取引伝票から購入量を記録し、日報で 毎日管理 プロジェクト実施後の系統電力購 入量(kWh/y) M 月単位の購入伝票が整理されている 算定方法 T-4: バイオマス投入量の直接計測_ プロジェクト固有値 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 プロジェクト実施後の各バイオマ ス 残 渣 の 投 入 量 (ton/y : Wet-Base) M バガス以外のバイオマス残渣については計測可能 実際の消費量が分 からない場合は、プロ ジェクト期間における総 化石燃料購入量のデ ータで代替可能 プロジェクト実施後のサイト内に おける化石燃料消費量(mass or volume/unit) M 取引伝票から購入量を記録し、日報で毎日管理 プロジェクト実施後の系統電力購 入量(kWh/y) M 月単位の購入伝票が整理されている 各バイオマス残渣種の平均輸送 距離(km/trip) D(算定方法 T-1,3,5)/ S(算定方法 T-2,4,6) 地図上の距離等であれば把握可能 計算の簡素化のた め、最も遠い調達先から の輸送距離を、その他 の調達先の輸送距離と してもよい 各バイオマス残渣の平均輸送量 (ton/trip) D(算定方法 T-3,5)/ S(算定方法 T-4,6) バガス以外の輸送量は、日報で記録し 管理 算定方法 T-5: バイオマス投入量の蒸気生産量からの推計_デフォルト値 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 プロジェクト実施後の各バイオマ ス 残 渣 種 か ら の 蒸 気 生 産 量 (ton/y) M バガス以外のバイオマス残渣については計測可能 蒸気加熱前後のエンタルピー差 (GJ/kg) M 圧力条件及び温度を連続計測して推 計 プロジェクト実施後のサイト内に おける化石燃料消費量(mass or M 取引伝票から購入量を記録し、日報で 毎日管理 実際の消費量が分 からない場合は、プロ II - 8
volume/unit) ジェクト期間における総 化石燃料購入量のデ ータで代替可能 プロジェクト実施後の系統電力購 入量(kWh/y) M 月単位の購入伝票が整理されている 年一回程度キャリブレ ーションを実施し、効率 低下が無いか確認する プロジェクト実施後のバイオマス ボイラーの熱効率 S スペック値を利用 算定方法 T-6: バイオマス投入量の蒸気生産量からの推計_プロジェクト固有値 情報・データ モニタリング(M )/ 事業固有値設定(S)/ デフォルト値設定(D) 当該事業・活動における整備状況 備考 プロジェクト実施後の各バイオマ ス 残 渣 種 か ら の 蒸 気 生 産 量 (ton/y) M バガス以外のバイオマス残渣については計測可能 蒸気加熱前後のエンタルピー差 (GJ/kg) M 圧力条件及び温度を連続計測して推 計 各バイオマス残渣の真発熱量 D(算定方法 T-5) M(算定方法 T-6) 専用のラボで毎日 2 回サンプリングし た試料により計測 各バイオマス残渣の含水率 D(算定方法 T-5) M(算定方法 T-6) 専用のラボで毎日 2 回サンプリングし た試料により計測 プロジェクト実施後のバイオマス ボイラーの熱効率 S スペック値を利用 年一回程度キャリブレ ーションを実施し、効率 低下が無いか確認する 実際の消費量が分 からない場合は、プロ ジェクト期間における総 化石燃料購入量のデ ータで代替可能 プロジェクト実施後のサイト内に おける化石燃料消費量(mass or volume/unit) M 取引伝票から購入量を記録し、日報で 毎日管理 プロジェクト実施後の系統電力購 入量(kWh/y) M 月単位の購入伝票が整理されている 各バイオマス残渣種の平均輸送 距離(km/trip) D(算定方法 T-1,3,5)/ S(算定方法 T-2,4,6) 地図上の距離等であれば把握可能 計算の簡素化のた め、最も遠い調達先から の輸送距離を、その他 の調達先の輸送距離と してもよい 各バイオマス残渣の平均輸送量 (ton/trip) D(算定方法 T-3,5)/ S(算定方法 T-4,6) バガス以外の輸送量は、日報で記録し 管理 II - 9
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(5)デフォルト値の設定:
事業者のモニタリング負荷を軽減するために、算定に必要な項目についてのデフォルト値を設定 するため調査を実施した。デフォルト値の設定をした項目と各データの出所は以下のとおり。 デフォルト値の設定項目とデータ出所一覧 CDM で利用可能な 値の有無 デフォルト値検討項目 設定した値 データの出所・設定根拠 保守性 *** ①化石燃料ボイラーの熱効率(%) 100 調査内での検討による設定(理論上の最高効率) 無し ○ ②化石燃料発電設備の発電効率(%) 50 文献等の調査結果より設定 無し ○ ③ バ イ オ マ ス 残 渣 の 平 均 往 復 輸 送 距 離 (km/trip) 200 現地事業者ヒアリング、CDM 事 例調査、文献調査結果をもとに 設定 無し ○ ④バイオマス残渣輸送における平均積載量 (ton)** * DEDE 提供(文献値) 無し △ ⑤タイ国における陸上輸送用トラックのCO2 排出係数(tCO2/km)** 0.001671 DEDE 提供値(PCD による計測 値) 有り (IPCC) ○ ⑥バイオマス残渣の真発熱量(GJ/t)** * DEDE 提供値(文献値) 無し △ ⑦バイオマス残渣の含水率(%)** * DEDE 提供値(文献値) 無し △ ⑧ 化 石 燃 料 の 真 発 熱 量(GJ/mass or volume)** * DEDE 統計 有り (IPCC) △⑨化石燃料のCO2排出係数(tCO2/GJ)** * IPCC 2006
有り
(IPCC) △
⑩タイ国系統電力のCO2排出係数(Conbind
margin: tCO2/MWh)** 0.5113 TGO 公表値
有り (TGO 公表値) △ * 複数あるため掲載は割愛した ** データ提供元が保守的な値として設定している訳ではない *** ○は、CDM と比較して一定程度の保守的な算定が可能と考えられるもの、△は CDM と比較して保守性は同程度と考えら れるもの。 以下では、各項目の詳細と、デフォルト値の使用が保守的となる理由根拠を述べる。 上記の表に示したデフォルト値を設定した項目のうち、⑥及び⑦については DEDE より提供頂いた 値、⑧及び⑨についてはタイ国のグリッド排出係数算定にも使用されている統計値、⑩はTGO が公 表している値を使用しているものの、提供元より保守的な値として設定しているものではないため、根 拠については記載していない。 ①化石燃料ボイラーの熱効率:100% 設定根拠: 物理的な最高効率を設定 デフォルト値の使用が保守的となる理由・根拠: ボイラー効率が 100%を超えることは物理的にないため保守的となると考えられる。 ②化石燃料発電設備の発電効率:50% 設定根拠:文献値 デフォルト値の使用が保守的となる理由・根拠: 化石燃料発電設備の発電効率は最大でも 45%程度となっており、50%を超えることはほ とんどないことを文献調査により確認した。このため、45%を超える 50%をデフォルト値の 発電効率として採用することで、保守的な算定が可能となると考えられる。 II - 10
③バイオマス残渣の平均輸送距離: 100km/trip 設定根拠:現地カウンターパートヒアリング結果 デフォルト値の使用が保守的となる理由・根拠: 本項目については、現地カウンターパートとのディスカッションの中で、タイ国において バイオマス残渣を外部から調達する場合、サイトまでの輸送距離がバイオマス残渣の調 達価格に大きく影響するため、経済合理性の観点から片道100km 以上離れた場所から 調達することは想定されないというコメントを頂いていた。 そのため、この 100km という値の妥当性について、タイ国内の ACM0006 適用 CDM 案 件におけるバイオマス残渣輸送距離との突合と、文献調査の二つの方法で検討を行っ た。 その結果、タイ国内で ACM0006 を適用した案件においては、バイオマス残渣輸送距離 は全ての案件において100km 以内に設定されていた。 更に、DEDE より提供頂いた文献中においても、バイオマス残渣の輸送コストとオフシー ズンにおける調達可能性の観点から、半径50km 以内からバイオマス残渣を調達するこ とが推奨されている。 以上の情報を勘案すると、現地カウンターパートのコメントによる100kmという値は、タイ 国内のバイオマス残渣の保守的な平均輸送距離として妥当であると考えられる。従って、 本方法論においては、この値を採用することとした。 ④バイオマス残渣輸送における平均積載量 設定根拠:DEDE提供文献値からの抜粋 デフォルト値の使用が保守的となる理由・根拠: 本項目については、DEDEから提供頂いた他の数値情報の出典として記載されていた 文献中に、最大積載量40m3の10-wheel truckにおける一部のバイオマス残渣の平均積 載量について記載があったものである。 ただし、積載率等の詳細な記載はなかったため、数値の妥当性としては疑問が残る。 そのため、これらの数値については、バイオマス残渣種が一致し、かつ実際に使用され ているトラックの最大積載量が 40m3以上の場合に限り、これらの値を使用可とすることと した。 上記の条件によって、実際に使用されるトラックの平均積載量を確認する必要が出てく るため、デフォルト値としての利便性は損なわれるものの、保守的な算定が可能となると 考えられる。 ⑤タイ国における陸上輸送用トラックのCO2排出係数: 0.001671 tCO2/km 設定根拠:タイ国環境規制局(PCD)による試験結果 デフォルト値の使用が保守的となる理由: 本項目については、DEDEヒアリング時に提供頂いた情報を基に設定を行ったものであ る。しかし、出典を確認したところ、データ自体は保守的な値として設定されたものでは なかった。そこで、TGOが公表しているタイ国における組織のカーボンフットプリントガイ ドライン(The National Guideline Carbon Footprinting for organization)において記載さ れている車両のトンキロ当たりCO2排出量データとの比較を行った。 その結果、PCDによる値が最も大きい値となった。このため、本値はデータ提供元にお いて保守的な値として設定されたものではないものの、タイ国内の陸上輸送用トラックの CO2排出係数としてはある程度の保守性を有していると判断したためデフォルト値として 採用することとした。 II - 11
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(6)リファレンスシナリオ及びバウンダリーの設定:
<バウンダリーの設定>
タイ国の実情を踏まえ本方法論におけるバウンダリーを以下の範囲とした: プロジェクトサイト内の全ての発電 and/or 熱生成プラント グリッドに接続されている全ての発電所 プロジェクトサイトへのバイオマス輸送手段 ACM0006 で勘案されている、以下の範囲についてはバウンダリーから除外し、方法論を簡素化し た。 地域熱供給の除外理由:タイ国内ではほとんど想定されないという現地の実情を踏 まえて除外 バイオマス残渣の嫌気性分解回避による CH4 抑制の除外理由: 方法論が複雑化する大きな要因となっており、バウンダリーから除外しても 排出削減量の算定結果が保守的となるため除外<リファレンスシナリオの設定>
本方法論は、バイオマスボイラー及びバイオマス発電設備の新設または増設、並びに更新を対象 としており、熱供給と電力供給について、それぞれ以下のようなリファレンスシナリオの設定を行なう。 <熱供給シナリオ> サイト内に既存のバイオマスボイラーが存在しない場合は、熱供給シナリオ1 を選択する。存在 しない場合は、2 を選択する。 シナリオ. 説明 アクション 適用される 算定方法 熱供給シナリオ1 プロジェクト期間中のサイト内の熱需要は、高効率 な化石燃料ボイラーによって賄われる。 GHG 排出削減量 を算定する H-1 N/A 熱供給シナリオ2 プロジェクト期間中のサイト内の熱需要は、既存の バイオマスボイラーによって賄われる。 GHG 排出削減量 を算定しない 【検討結果概要】 熱供給に係るリファレンスシナリオとしては、高効率化石燃料ボイラーの導入をリファレンスシナリ オとした。 リファレンスシナリオにおける「高効率」の基準については、既存文献等の調査の結果、方法論の 対象となると想定される規模のボイラーにおいては、ボイラー効率96%以上であることが一つの目 安となると判断した。 ただし、タイ国内における一般的なボイラー効率等の情報は未詳であったため、これよりも保守的 な値を置くこととした。このため、理論上の最高効率である 100%を本方法論における化石燃料ボ イラーの効率とし、事業者の固有値等のその他の値は使用不可とした。 なお、製糖事業者等既にバイオマスボイラーが導入されているサイトでのプロジェクトについては、 バイオマスボイラーからの熱供給をリファレンスシナリオとすることとし、熱供給に係る排出削減は 発生しないとした。 II - 12<電力供給シナリオ> プロジェクトサイトがタイ国のNational Grid に接続されている場合は、熱供給シナリオ 1 を選択 する。接続されていない場合は、2 を選択する。 シナリオ. 説明 アクション 適用される 算定方法 電力供給シナリオ1 プロジェクト期間中のサイト内の電力需要は、系統電 力による電力供給によって賄われる。 GHG 排出削減量を
算定する E-1, E-2, E-3
電力供給シナリオ2 プロジェクト期間中のサイト内の電力需要は、高効率
な化石燃料発電設備による電力供給によって賄わ れる。
GHG 排出削減量を 算定する
E-4, E-5, E-6
【検討結果概要】 電力供給に係るリファレンスシナリオについては、プロジェクトサイトの系統接続の有無によって 2 種類のリファレンスシナリオを設定した。 まず、系統電力に接続しているサイトでのプロジェクトについては、系統による電力供給をリファレ ンスシナリオとした。 次に、系統電力に接続していないサイトでのプロジェクトについては、高効率な化石燃料発電設 備による電力供給をリファレンスシナリオとした。 リファレンスシナリオにおける「高効率」の基準については、タイ国内のグリッドの発電効率や既存 文献等の調査の結果、45%以上とすることが妥当であると判断した。 このため、これよりも高い 50%を本方法論における化石燃料発電設備の発電効率とし、事業者の 固有値等その他の値は使用不可とした。 II - 13
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(7)モニタリング手法:
<モニタリング方法>
以下に、本方法論において想定されるモニタリング手法の一覧を示す。 パラメータ 説明 モニタリング方法例 ホスト国でモニタリング可能な理由 FF Bio, y プロジェクト実施後のバイオマス ボイラーによる熱供給量 熱量計を用いて直接計測し、継続的 に把握 効率算定に使用するがデフォルト値を 選択することが可能 ELBio,y プロジェクト実施後のバイオマス 発電設備からの電力供給量 電力量計を用いて直接計測し、継続 的に把握 売電の削減効果のみを算定すれば保 守的となり、売電量は商習慣上一般的 に保持されると考えられるため T y プロジェクト実施後のバイオマス 発電設備の発電時間 バイオマス発電機の発電時間を記録 発電を行っていれば一般的に保持され ると考えられるため OP max プロジェクト実施前の既存のバイ オマス発電設備の最大出力 メーカー等による設計値を利用 設計値は一般的に利用可能 Bio, PJ プロジェクト実施後のバイオマス 発電設備の発電効率 メーカー等による設計値を利用 設計値は一般的に利用可能 Bio, RF プロジェクト実施前のバイオマス 発電設備の発電効率 メーカー等による設計値を利用 設計値は一般的に利用可能 N y, k プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣種の配送回数 購入伝票等を管理して把握 商習慣上一般的に保持されると考えら れるため D y, k プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣種の平均輸送距離 距離計による直接計測 サイトと調達先までの地図上の距離 等を把握 計測できない場合はデフォルト値が使 用可能 Q y, k プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣種の投入量 重量計等によって直接計測 計測できない場合は、蒸気生産量から 推計するオプションが利用可能 ALC y, k プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣種の平均輸送量 配送ごとに計測した重量から平均値 を算出 又は;; 以下の条件を満たす場合のみデフォ ルト値を使用可能 条件 1: 使用されるバイオマス残渣種 が以下のいずれかに該当する Rice Husk, Rice Straw, Rubber Wood/ Slabs, Rubber Wood/ Sawdust, Palm/ Kernel Shell, Palm/ Empty fruit branches, or Cassava/ Rhizomes. 条件2: 各バイオマス残渣種の輸送に 使用されるトラックの最大積載 量が40m3よりも大きい 一部デフォルト値が利用可能 ST y, k プロジェクト実施後の各バイオマ ス残渣種による蒸気生産量 流量計を用いて直接計測し、継続的 に把握 また、タイにおける商習慣上、輸送量が バイオマス残渣の価格に大きく影響す るため、輸送量は一般的に把握されて いると考えられる SE y, k プロジェクト実施後の蒸気加熱 前後でのエンタルピー差 蒸気の圧力条件、加熱前後の温度 差等から計算 蒸気をプロセス使用しているのであれ ば、一般的に取得可能と考えられる η biomass プロジェクト実施後のバイオマス ボイラーの熱効率 メーカー等による設計値を利用 他の簡易な算定オプションが利用可能 II - 14パラメータ 説明 モニタリング方法例 ホスト国でモニタリング可能な理由 NCV k 事業実施後のバイオマス残渣 の真発熱量 研究機関等において計測 設計値は一般的に利用可能 Mois k, 事業実施後のバイオマス残渣 の含水率 研究機関等において計測 デフォルト値が利用可能 FC PJ, y, f 事業実施後のオンサイトにおけ る化石燃料消費量 重量計等によって直接計測 購入記録等による把握 デフォルト値が利用可能 ELPJ, grid, y 事業実施後のオンサイトにおけ る系統電力購入量 電力量計による直接計測 又は 購入伝票により把握 購入量であれば、商習慣上把握してい ると考えられるため
<モニタリング結果の概要>
実際に行ったモニタリング結果の概要を以下に示す。 熱供給に係るリファレンスシナリオについては、熱供給シナリオ 2 を適用。電力供給 については、電力供給シナリオ1 を適用。 モニタリング期間:2012 年 10 月 1 日~10 月 31 日(31 日間) モニタリング期間にメンテナンス期間が含まれたため、発電したのは 24 日間のみ。 プロジェクト期間中に使用したバイオマス残渣は全てサイト内で調達されたものであ ったため、今回は輸送に係るプロジェクト排出量は発生していない。 パラメータ 説明 モニタリング パターン モニタリング結果 データソース モ ニ タ リ ン グ 方 法 モ ニ タ リ ン グ 頻 度 モニタリング期間におけ るグリッドへの売電量 Pattern C 9,9962.29 MWh 電 力 会 社 設 置 の売電量メータ ーのデータ キャリブレーショ ン済みのモニタ リング機器に表 示される値を毎 日記録 連 続 計 測 値 を 日単位でまとめ て把握 ELbio,y モニタリング期間におけ る製糖工場への電力供 給量 Pattern B 256.55 MWh 請求書データ 請求書 月 単 位 で の 把 握 PEEC,y モニタリング期間におけるグリッド電力の購入量 Pattern C 101.53 MWh 計測値 キャリブレーショ ン済みのモニタ リング機器に表 示される値を毎 日記録 連 続 計 測 値 を 日単位にまとめ て把握 PEFFy,diesel モニタリング期間におけ るディーゼル燃料の使用 量 Pattern B 74.571kL 調達先からの請 求書 請求書 毎日記録したも のを月単位でま とめて管理(8) 温室効果ガス排出量及び削減量:
<排出削減量の算定結果> モニタリング結果に基づくGHG 排出削減量は以下のとおり。 ER = RE - PE- LE= REelectricity - PEFF - PEEC
= (5,224 tCO2) - (186 tCO2 ) - (52 tCO2) = 4,986 tCO2
ここで、 1. REelectricity = ELbio * CM
= (9,962.29 MWh + 256.55 MWh) * (0.5113 tCO2/MWh) = 5,224 tCO2
H24 MRV DS 最終報告書(概要版) 2. PEFF = Fossdiesel * EFdiesel = (74.561 kL * 36.42 GJ/kL) * (0.0687 tCO2/GJ) = 186 tCO2 3. PEEC = ELGrid * CM = (101.53 MWh) * (0.5113 tCO2/MWh) = 52 tCO2 【参考】 年間削減量の推計結果: 68,557tCO2 = 4,986tCO2 / 24日(発電日数)*330日(年間想定稼働日数*) *年間想定稼働日数は、現地カウンターパートの過去の実績値より設定
<ホスト国全体での排出削減ポテンシャル>
タイ国では2022 年までにバイオマス発電の設備容量を 3,700 MW に拡大する計画(再生可能エネ ルギー開発計画)を保有。2008 年時点で 1,610 MW を導入済みであるため、今後 10 年間で約 2,000 MW の導入計画に相当。 ・全てがグリッド代替(CM:0.5113 tCO2/MWh)と想定すると、GHG 削減ポテンシャルは約 800 万 tCO2/年。 GHG 削減見込量[tCO2/y] = 導入量[MW] x 稼働時間[hr/y] x 稼動率[%] x 排出係数[tCO2/MWh] = 2,000 x 365 x 24 x 90% x 0.5113 ・既設設備のリプレースも含めると、約1,500 万 tCO2/年の GHG 削減ポテンシャルとなる。(9)排出削減量の第三者検証:
以下に、本調査における第三者検証の概要を示す。 検証実施機関: SGS Thailand (CDM DOE) 検証結果:2012 年 10 月 1 日~10 月 31 日の間の、本調査の対象事業・活動の実施による 排出削減量は、4,986 t-CO2 であったことが認められた。 要求事項:検証過程において、2 点の是正要求事項(CARs)と 1 点の説明要求事項(CLs) が提起。何れも排出削減量に大きな影響を及ぼすものではなく、3 点とも修正を 完了。 <要求事項及び発生要因> CAR#1:実際のモニタリング方法とモニタリングパターンに相違を検出 →発生要因:モニタリングパターンというCDMには存在しない概念を、事業者が十分に理解 できていなかった。 CAR#2:軽油消費量について現地での帳票確認でデータ不整合を検出 →転記ミス CL#1 :適格性要件 4 化石燃料との混焼状況の説明が不明瞭 →事業者による説明が不十分 検証を実施した審査員からは、以下のコメント。 本方法論による算定結果は、概ね保守的な算定結果となると考えられる。 確認事項等が基本的に活動量に限定されれば、検証コストや審査員に求められる 能力を低減できる可能性がある。 但し、要求事項等から以下の点は課題と考えられる。 II - 16 CDM とは異なる点については、事業者及び検証機関の双方に十分な説明がない 場合、余計な手戻りコストが発生する可能性がある。 今回は、方法論のバリデーションは実施していないが、事業実施段階での事業者の 負担の軽減を目指すのであれば、方法論で多くの事を担保する必要があるため、方 法論のバリデーション等は厳密になる可能性がある。
(10)排出削減効果の分配:
2012 年 8 月に JCM/BOCM がアントレーダブルな形で開始されることが発表されたが、これを踏まえ た現地カウンターパートとのディスカッションでは、これを歓迎するコメントを頂いている。現地カウン ターパートは、その理由として CDM の経験から買い手探しが非常に困難である点や、現状の CER 価格の暴落状況から、市場メカニズムに関する不信感が高まっていることを挙げており、上記のよう なスキームは、受容性が高いものと考えられる。(11)環境十全性の確保:
再生可能エネルギーの導入拡大により、化石燃料発電での燃料消費からの環境汚染物質(NOx、 SOx、排水等)の排出削減に寄与できる。なお、本プロジェクトは、タイ国の環境影響評価制度である EIA を実施した上で開発・稼動されており、EIA においても特段大きな問題は発生していないため、 当該事業・活動の実施による悪影響は発生しないと考えられる。(12)日本製技術の導入促進策:
日本が得意とする原料多様性が広い流動床ボイラーの導入については、タイ国のバイオマス残渣 利用状況を勘案すると導入するポテンシャルはあると言える。 例えば、バガスやもみ殻と比較して、サトウキビの葉・穂先や稲わらは余剰比すなわち未利用分の 割合が高くなっている。これはバガスやもみ殻がそれぞれ製糖工場や精米所に送られることに対し、 それ以外のものは農地で目的生産物から分離されることによる。サトウキビの葉・穂先や稲わらをエ ネルギー利用するためには農地において収集する作業が追加的に必要となるためである。 タイにおけるバイオマス発電の導入が進まない中で、このような余剰比率の高いバイオマス残渣を 効率的に収集する方法を開発できれば、様々なバイオマス残渣を広く活用できる流動床ボイラーの 技術優位性を高めることが出来ると考えられる。これまでのように単にボイラー単品を納入するだけ でなく、エネルギー効率の向上やトータルとしてのコスト低減を更にアピールし、現地発電事業者の 協力の元、多様なバイオマス残渣を収集するスキームを確立すれば、年間を通して長時間の連続運 転が可能な原料調達計画を立てることができれば、結果的にコストの大部分を占める設備費を低減 することが可能となる。今後は、このような原料調達の部分までもバウンダリーに含んだ形での方法 論等の開発を目指す事も、一つの方向性として期待される。 さらに、ダイオキシン対策など先進的な技術を有するわが国の環境技術はタイにおける今後の環境 規制動向にも対応可能と思われる。タイの環境規制動向に常に気を配り、迅速な対応をすることによ って、コアとなる主要設備に環境設備を組み合わせて日本の技術の導入促進を行うことができると思 われる。また、運転技術、メンテナンス技術およびさらなる高効率化技術といったノウハウを蓄積する ためにもエンジニアリング会社も一体となって取り組むことは重要であると考えられる。(13)今後の見込みと課題:
本調査においては、タイ王国におけるバガス利用コジェネレーションの導入を対象事業・活動とし て、JCM/BOCM における MRV 方法論開発を目的とした調査を実施した。 特に日本の技術導入促進策に資する方法論を開発することに重点を置き、背景となるタイの概況、 エネルギー事情、原料バイオマスに関する情報等、各種情報の収集と分析を行うとともに、日本のバ イオマス発電技術の動向調査としては主要機器を製造しているメーカーへのヒアリングを行い、技術 優位性や技術導入に関わる課題を抽出した。 その中で現状は主に中国やインドメーカーとの価格競争によって、主要設備の単体でのタイへの 販売は困難な状況にあることがわかった。このため、開発したMRV 方法論においては、適格性要件 II - 17H24 MRV DS 最終報告書(概要版) II - 18 で日本が得意とする技術の導入促進に資するような条件付けを試みた。 しかし、わが国が有する技術の優位性である運転信頼度と連続運転性については数値的な比較 が困難であることから、具体的なベンチマークといった条件を設定するには至らなかった。このような 指標について更に深堀を行い、より日本技術の導入促進に資する適格性要件を検討することは今 後の課題であるといえる。