• 検索結果がありません。

toshi shakai no kindai iko tokyo o jirei ni shite

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "toshi shakai no kindai iko tokyo o jirei ni shite"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博士(文学)学位請求論文審査報告要旨

論文提出者氏名 中嶋 久人 論 文 題 目 「都市社会の近代移行−東京を事例として」 審査要旨 本論文は、都市社会がいかなる過程を経て近世から近代に移行したのかを、東京に事例を定めて分 析したものである。対象時期は明治維新当初から 1898 年の市制特例廃止・市制完全実施までで、全体 はおおよそ時間の流れに即して3つの編から構成されている。 第一編では、1872 年に創設された東京会議所の成立経緯とその事業展開を検討している。まず第一 章では、近代化推進機構としての機能面と、公選民会化への志向性という組織面から東京会議所に検 討を加える。すなわち、東京会議所が街路・街灯・養育院・公共墓地などの都市近代化政策を担った ことを明らかにし、また新聞世論の地方民会設置要求に連動して東京会議所が公選民会を志向してい ったことを明らかにする。つづいて第二章では東京会議所が推進した街灯整備事業とこれに対する街 灯費不払運動の展開状況を解明する。第三章では東京における「公共墓地」の成立に、墓地開拓事業 をめぐる公共性という観点から迫り、火葬禁止政策の撤回過程に言及する。 第二編では 1879 年に設置された東京府会に注目して、その近代化政策に検討を加える。まず第四章 では、地方税予算審議をめぐる東京府会と政府・東京府との対立と妥協の軌跡を明らかにする。これ に対して第五章では、東京府会が政府の近代化政策に対しては対抗的要素をもったものの、下層民衆 排除という点で差別的な路線を取っていたことを明らかにする。そのうえで再び第六章では都市近代 化政策をめぐる東京府会と政府の関係を検証し、市区改正事業と水道改良事業との間で交換取引きが なされたとする。 第三編では 1889 年に開設された東京市会を対象として、市制特例をめぐる内務省・東京府と市会と の対抗、および市制特例下での都市近代化政策の展開を検討する。まず第七章では、市制特例の廃止 を求める東京市会・衆議院と、逆に官治性を強化しようとする内務省・貴族院との対立関係を検証す る。つづいて第八章では、東京市会と内務省・東京府との都市行政のイニシアティブをめぐる対立を 追跡し、水道鉄管汚職事件を契機に市制特例廃止、市制完全実施への道が開かれたとする。 以上のような内容から構成される本論文の意義は、第一に、近世から近代への移行過程を都市近代 化事業に対象を定めて検証したことにある。街灯整備事業、墓地政策、水道改良事業などの帰趨が、 具体的かつ仔細に解明されたことの意義は大きい。とくに、基礎史料を用いた第一編における東京会 議所の成立・運営・構造に関する分析と、反対運動の趨勢や世論動向との関係からその政策展開を動 態的に追跡した成果は、高く評価される。 第二に、近世から近代への移行過程を、国家と民衆の中間的位置にある議事機構(会議所・府会・ 市会)と新聞世論の動向に焦点をあてて解明したことにある。この点は、支配・統合の側面から近代 化・文明化をとらえようとする研究動向に対する批判的見地を示すものであり、近世・近代移行期研 究に対する重要な問題提起となっている。とくに、議事機構を制度的公共圏、新聞・政党などを非制 度的公共圏として概念化し、これら両者を公共圏という範疇のもとに一括して、近代都市社会の特質 を解明していこうとする方法的視座は問題提起的であり、今後、その有効性を含めて大いに論議をよ ぶことになろう。

(2)

氏名 中嶋 久人 第三に、これらを通じて当該期の都市における有産者と民衆(とくに下層民衆)の関係を浮かび上 がらせたことにある。本論文における分析対象の配置は、おおよそ政府・東京府−東京府会・東京市 会・ジャーナリズム(「公共圏」)−下層民衆、という三層からなっているとみることができる。往々 にして政治史・行政史においては前半部分のみに軸足がおかれ、他方、社会史においては政府と民衆 の対抗軸においてとらえられる傾向があるが、本論文は下層民衆の視点を組み込むことによって、都 市社会の階層構造を明らかにし、それとのかかわりで行政・施策や「公共圏」のあり方を検証しよう としている。 これらの点から、本論文は近代成立期の研究、とりわけ都市史研究に重要な貢献をなすものといえ るが、なお追究を要する点も存在する。第一に、前提となる近世社会について、他者の研究に依拠し た一般的理解にとどめることなく、自らの実証によって検討を加えることが求められる。第二に、「公 共圏」の概念化とその有効性については、いまだ着想のレベルにとどまっており、さらなる緻密な理 論化とその有効性に関する検証が求められる。第三に、各章の間に分析対象や検証レベルの面でやや 不統一が見られる。たとえば、第五章の分析手法には他章との関係で違和感が残ること、中央レベル の動向を分析対象とした第七章の検証が全体の問題設定とは必ずしも照応していないこと、などがそ れである。 しかし、これらはいずれも今後の課題とすべき事柄であって、本論文の意義を低めるものではない。 したがって、博士(文学)の学位を授与するに値するものと判定される。 公開審査会開催日 2009年12月15日 審査委員資格 所属機関名称・資格 博士学位名称 氏 名 主任審査委員 早稲田大学文学学術院 教授 博士(文学)早稲田大学 大日方純夫 審査委員 早稲田大学文学学術院 教授 安在 邦夫 審査委員 早稲田大学学術院 教授 文学博士(早稲田大学) 深谷 克己 審査委員 早稲田大学文学学術院 准教授 博士(文学)京都大学 鶴見 太郎 審査委員

参照

関連したドキュメント

 大正期の詩壇の一つの特色は,民衆詩派の活 躍にあった。福田正夫・白鳥省吾らの民衆詩派

 当社は、APからの提案やAPとの協議、当社における検討を通じて、前回取引

通常は、中型免許(中型免許( 8t 限定)を除く)、大型免許及び第 二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当す

ヨーロッパにおいても、似たような生者と死者との関係ぱみられる。中世農村社会における祭り

市民的その他のあらゆる分野において、他の 者との平等を基礎として全ての人権及び基本

第二の,当該職員の雇用および勤務条件が十分に保障されること,に関わって

(1) 学識経験を有する者 9名 (2) 都民及び非営利活動法人等 3名 (3) 関係団体の代表 5名 (4) 区市町村の長の代表