香川大学農学部学術報告 算35巻 欝2号141∼148,1984
β−ラクトグロブリンと尤−・カゼインの加熱
に よ る複合体の形成官 辺 豊 紀,瀬 戸 正 三
COMPLEX FORMAT工ON BETWEENβ−LACTOGLOBUL工N
AND/C−CASE工N BY HEATING
ToyokiMIYABE and Syozo SETO
On thecomplexformationbetweenβ−1actoglobulin(β1g)andJC−CaSein(fC)uponheating,the e王fectsof
(1)heatingtemperatureand time,(2)mixingratio,(3)SHgroups concerningthe participated percentages
Ofβ1g toJCWere Studiedby discMgelelectrophoresis.(1)Effects of heating temperatureand time:Theparticipatedpercentages ofβ1g toIC(al:1mixing
ratio,Weight)rose rapidlyfrom65℃,reaChingthemaximumat85℃;this participatedIateWaS820%
and decreasedslightlyover85℃.Themaximumvalues ofthe participatedratewere97.5%at85℃,87.O
at90℃,and835%at95℃byheatingfor20min.Andtheparticipatedrate decreasedover85℃lor15
min…(2)Effect of mixingIatio:The complex formationinduced upon heatingincreasedlinearly fromOVer O750famixing ratio ofβ1gper〟1andreached up tol75h(3)Effect o董SH gIOuPS:Blocking
the proteins withN−ethylmaleimide(NEM),NEM−β1greVealed two bands producedby the cutting o董a
disul土idebonduponheatingat85℃for20min。Itwas presumedthat oftwo bands,OneOfslowmobiト itywas concernedwith the complex董ormation.The participated rateofβ1g to〟inamixing system of
NEMMJC and non−NEM−βIg(85℃,20min)was the same to amiⅩtu‡e Ofboth ofnon−NEMproteins,and OfNEM−β1gand non−NEMhJC decreased to40%・
加熱により β−ラクトグロブリンと 〟−カゼインの間で接合体を形成する際の β−うクトグロブリンの 〟−カゼイン に対する関与率について(1)加熱温度・時間,(2)混合比,(3)SH基の影響をディスクゲル電気泳動法で調べた。 (1)加熱温度・時間の影響:β−ラクトグロブリンの 〟−カゼインに対す−る関与率は,混合比(蛮風比)1:1の場 合,65℃から急速に上昇し始め,85℃でmaximumに達した。この関与率は820%であった。85℃を超えるとこの関 与率はやや低下した。また,この関与率のmaximum値は,20分間の加熱の場合,85℃で975%,90℃で87.0%, 950cで83。5%であった。85℃,15分を超えると,この関与率は低下した。(2)混合比の影智:〟一カゼイン1に対する β−ラクトグロブリンの混合比(β1g:〟)が0.75以上になると,加熱による複合体の形成は直線的に増加し,1け75まで 増加した。(3)SH基の影響:SH基をN−エチルマレイミド(NEM)でブロックした場合,85℃,20分の加熱で, NEM処理β−テクトグロブリンはS−S結合の切断により,2つのバンドが現われた。NEM処理β−ラクトグロブ リンのバンドのうち,移動皮の遅い部分が複合体の形成に関与したものと考えられた。また,NEM処理〟−・カゼイ ンと未処理β−ラクトグロブリンの混合系とNEM処理β−ラクトグロブリンと未処理〟−カゼインの混合系の2つの 系を85℃,20分加熱した場合,β−ラクーグロブリンの〟−カゼインに対する関与率は,前者の場合は,未処理同志の 混合系と同じであり,後者の場合でほ,この関与率は40%に減少した。 緒 ロ ZITTLEら(1)はさきに加熱処理が 〟−カゼインと.β−テクトグロブリンの問で複合体形成を惹き起すことを証明し たが,これほα一カゼインとβ−テクトグロブリンを一備に加熱したときに相互作用が起るという研究者達(2・3・4) の指 摘を確めたものである。ZITTJLE ら(1〉はβ−ラクトグロブリンのスルフヒドリル基(SH基)の露出によることを指
香川大学農学部学術報告 欝35巻 算2号(1984) 142 指した。その後,TRAUIMANら(4)ほ脱脂乳の加熱中にSH基をブロックする作用が起り,これはα−カゼインと共 に,電気泳動的に移動するβ−ラクトグロブリンのバンドの形が変化し,また前処理によって無糖練乳の安定化が妨 げられることを指摘した。また,SAWYERら(5)は複合体の形成が,N−・エチルマレイドのようなSH基の修飾剤によ って,β−ラクトグロブリンA,Bともに投合体を形成し難いことをチゼリウス電気泳動法でしらべた。LoNGら(6)は 沈降定数,HARTMANら(7)も各種乳措蛋白質と〟−カゼインの間の相互作用をディスク電気泳動で分析,中西ら(8)は α−ラクトアルブミンと〟−かぜインの問の会合の可能性の指摘,山内(9)は未分割の乳滑空自質の加熱変化を電気泳動 法でしらべ,β−ラクトグロブリンと α−ラクトアルブミニンの聞に新しいバンドが出現すること,そしてこの生成は糖 矧こよって抑制されることを報貸した。また,土井ら(10)は糖合盛の大きい〟−カゼイン画分が複合体形成能が大であ ること,その他スルフヒドリル基以外の態合の関与(11)についても報告されている。 木研究ほ,加熱により β十テクトグロブリンと 〝−カゼインの問で複合体を形成する際の β−ラクトグロブリンの 〟−カゼインに対する関与率について,加熱温度・時間,混合比,SH基などの影響を調べたので,その結果を報告す る。 実 験 方 法 1い 〝一カピインの分離・精製(12) 新鮮生乳に60℃の水を撹拝しながら加え,30∼35℃に加温し,クリ・−ムセパレーターで脱脂し,水で3倍に稀釈し て,1N酢酸ソ・−ダと10%酢酸ソーダでpH4い6とした。低温主に一・昼夜放置,炉過してカゼインを得た。全力ゼイ ンを6.6モル尿素溶液に溶解し,7N硫酸と尿素溶液の2倍鼠の水を加えてpHl.5 とした。2時間放置後,12,000 工pmで遠心分離し,上澄液に硫酸アンモニウムを11に対して132gを加えた。次に,ワットマンNo巾1で吸引炉 過し,沈澱物(粗〟−カゼイン)を苛性ソ1−すで溶解し,pH7.0の1%溶液としたのち,2倍盈のエクノ・−ルを加え, 酢酸アンモニウム1モルを含む75%エタノールを沈澱が生成する・まで加えた。12,000rpmで遠心分離して得た〟−カ ゼインの沈澱物を04N苛性ソ・−ダ溶液で溶解したのち,pH3.7の水で透析後,凍結乾燥した。 2β−ラクトグロブリンの分離・精製(13) ホエ・・−を56%アムモニア水でpH65に調節し,100mlにつき 20gの無水硫酸ソ・−ダを加え,2時間放置後, 12,000rpmで遠心分離した。この上澄液を濃硫酸でpH2。0として遠尤、し,上澄液を14%アンモニア水でpH60 に調節し,100Inl当り,20gの硫酸アンモニウムを徐々に加え,2時間後,12,000Tpmで遠心し,β−ラクトグロブリ ンの沈澱物をpH5‖2の水で透析後,凍結乾燥した。 3,ディスク電気泳動(14〉 試薬 A液:1N塩酸48ml,TRIS366g,TEMEDO.46mlを水で100mlとした.pH8.9”B液:1N塩酸4…8 mi,TRIS59.8g,TEMED2.3mlを水で100mlとした。PH6…7。C液:アクリルアミド30g,BISO‖8gを水で100 mlとした。D液:アクリルアミド10g,BIS25gを水で100mlとした。E液:リボフラビン4mgを水で100mlと したo F液(楷用絞衝液):TRIS6g,グリシン288gを水で11とした。固定染色液はアミドブラック1g,脱色液は 7%酢酸溶液を用いた.細孔ゲル用試薬は過硫酸アンモニウム0,14gを水で100mlとした。細孔ゲル溶液の組成は A2ml,C4ml,C4ml,水2mlで,租孔ゲル溶液の組成は,Blmi,D2ml,Elmi,水4mlである。楷用級衝液はF を10倍に稀釈して使用した。ディスク電気泳動(ポリアクリルアミド電気泳動)の泳動条件は200∼300V,2mA/1 チ.ユ.−ブで,細孔ゲルヘBPBが30∼35mm泳動したとき終了とした。泳動後,ゲルをアミドブラック10Bの固定 染色液で約30分間染色した。次に,ゲルを7%酢酸溶液で自然脱色を行った。 3各種蛋白質の純度の検定 分離・精製した〟−カゼインとβ−ラクトグロブリンをディスク電気泳動にかけ,Toyo−DMU25型宥瀞メ・一夕ー付 デンソトロ・−ルで測定した。 4.セファローズ2Bによるゲル濾過 カラム(値径2”5cmX長さ80cm)にPH6.8,0.05Mりん酸授街液の溶離水を入れ,ゲルをつめた。ゲルが安定
官辺豊紀,瀬戸正三:β−ラクトグロブリンと〟−カゼインの複合体形成 143 しないうちに次のゲルをつめて70cmの高さとし,流速を10ml/hIに調節して,溶離水500mlを流してゲルを洗 浄した○カラムヘッドの溶離水を除き,試料を注射器で注入した。フラクションコレクタt−ほ,Toyo−SF−100P型を 使用した020℃で流速10ml/hI−で5ml■ずつ分画し,溶離水500mlを流して終了した。流出液は280nmの吸光度 を求めて蛋白質の流出曲線を作成した。日立181型分光光度計を使用した。 (a)〟−カゼインおよびβ−ラクトグロブリンのゲル炉過:蛋白質濃度は10mg/mlになるように〟一カゼインとβ− テクトグロブリンをpH68,0.05Mりん酸綬衝液(イオン強度0.1)で溶解した。それぞれ15mlをセファロ・−ズ 2Bでゲル炉過した。 (b)〝−カゼインとβ十ラクトグロブリン混合物のゲル炉過:蛋白質濃度を10mg/mlの〟一カゼインおよびβ−ラク トグロブリンを・15mlずつ混合した○この雨空白質の重量比1:1の混合物の3mlをセファロ−ズ2Bでゲル炉過 した。援衝液は(a)項のものと同じである。 41デンシトロールによるβ−ラクトグロブリンの標準曲線の作成 β−ラクトグロブリンをpH68,005Mりん教授衝液(イオン強度0.1)で,濃度10mg/mlになるように溶解した ものを試験管に入れ,85℃±1,20分間加熱した○加熱後,直ちに冷水申で反応を停止させた。これを0へ′10伽gの 浪皮範閉でディスク電気泳動にかけ,泳動後,アミドブラック10Bで2時間染色した。染色後,電気脱色を行った。 これらのゲルをToyo−DMU25型積算メータ・一什デンシトロ−ルで測定した○フィルターー・621nm,スリット5L.10, 感度1∼4,チャ−トスピード1:10.吸光度621nmの積分曲線の高さとの関係をグラフにプロットして標準曲線 を作成した。 5.蛋白質混合物の加熱と未反応βうクトグロブリンの電気泳動による測定 (a)〟一カゼインとβ−ラクトグロブリン混合物(重畳比1:1)の加熱温度の影響:さきと同じ綬衝液で浪皮10mg/ mlになるように〝一カゼインとβ−ラクーグロブリンを壷屋比1:1の割合,すなわち各々2mlずつ混合し,試験管 申で各温度250,650,700,800,850,900,95℃で20分間加熱して反応させた。冷水中で反応停止後,試料をマイク ロシリンジで1伽1とり,ディスク電気泳動にかけ,アミドブラック10Bで染色して,デンシトロ・−ルで未反応の β−テクトグロブリンを測定した○次に,同様の方法で850,900,95℃で5,1q,15,20分間加熱して電気泳動にか け,未反応のβ−ラクトグロブリンを測定した。 (b)β−ラクトグロブリンの添加盈を変えた場合の85℃加熱温度の影響:さきと同じ綬衝液で5mg/mlになるよう に,かカゼインとβ−ラクトグロブリンを溶解したものを下記の混合比(重鼠比)で実験を行った。すなわち,〟一カ ゼイン1に対して,β−ラクトグロブリンを0.5,0…75,1,1い5,2,3の割合で混合し,試験管で85℃±1で20分間加 熱した0冷水中で反応停止後,試料をマイクロンリンジで1恥1とり,電気泳動にかけ染色後,未反応の β嶋テクト グロブリンを測定した。 ¢lジスルフィド基の反応 〟−カゼインとβ−ラクトグロブリンをさきの綬衝液で,濃度10mg/mlになるように溶解し,2mlずつ混合して試 験管中で85℃,20分間加熱して反応させ,冷水中で反応停止後,2−メルカプトエタノ・−ルを1ml加えて約3時間撹 絆しながら反応させた。これをワルポ・−ル氏酢酸援衝液中で透析した。透析後,電気泳動にかけた.次に,〟−カゼイ ンをpH68,0い05Mりん教授衝液に,濃度10mg/mlになるように溶解し,この20mlに20mgのN−エチルマレ イミド(NEM)を加えて,撹拝しながら低温室で叫昼液反応させたのち,pH5.6のワルポ・−ル氏酢酸塩政衝液中で 透析し0 これを凍結乾燥した0 β−ラクトグロブリンも同様に,40mgのNEM添加反応後,凍結乾燥した。次に NEM処理〟−カゼインと未処理β−ラクトグロブリンおよびNEM処理β−ラクトグロブリンと未処理〟−カゼイン の2つの混合系を1:1の重鼠比で,さきと同じ綬衝液に溶かし,試験管で85℃,20分間加熱してのち,電気泳動に かけた。 実 験 結 果 1い 各種蛋白質の純度の検定 分離・精製したβ−ラクトグロブリンと〟一カゼインをディスク電気泳動にかけ,得られたパタ・−ンをデンシトメ・−
香川大学農学部学術報告 欝35巻 第2号(1984) 144 タ・−で測定したプロフィルの結果を滞1図に示した0 この図のように,両蛋白質とも単一のピ・−クが得られた。β ̄ ラクトグロブリンの純度は97.4%,〝−カゼインほ980%であった0 2.〟一カゼインとβうクトグロブリンの混合系の セファロー・ズ2Bによるゲル罪過 〟−・カゼインと β−−ラクトグロブリンの混合系をセファ ロ・−ズ2Bでゲル炉過したが,温度20℃での流出曲線を みた場合,フラクションNo.70にピークをもつ単一バ ク−ンが得られた(第3図)。これは第2図に示した〝− カゼインと β一ラクトグロブリンを別個に流したピーーク の位置と同じであった。またフラクションNol64,65, No.69,70,No..77,78の部分のディスク電気泳動図 をみても,〟−カゼインと β−ラクトグロブリンのバンド 以外に複合体形成のバンドほ現われなかった○つまり, _
LJ
Fig.,1= PuIityexaminationo董N−CaSeln and β−1actoglobulin;Disc−gel electrophoretic patterns were recorded on a densitometeI;A, 〟−CaSein,B,β−1actoglob111in 5 4 ∈u へJ つ} 1 0什、
ab 遍[No64・鵬 Ll+llNo69,70 リ耳諾慧£N。)
Starting 王∋PB line Fig\3“Chromatography ofal:1mixture ofunheated β−1actoglobulin and〟−CaSejn On a Sepharose2B column and disc−
gelelectrophoretic patterns of several
fractions;a,lC−Ca舐in;b,β−1actoglobu− 1inい Thisisthe same proceduretoFig 2.60 70 80 90
Fractionnumber
Fig\2.Chromatographyot unheatedβ−1actoglo−
bulin and K−CaSein on a Sepharose 2B
column.Thel.5mlo土proteins(10mg/ ml,0.05M phosphate buf壬er,pH6.8) wasused on column,2.5×80cm,equili−brated with O.05M phosphate;p ,β−
1actoglobulin;””,K−CaSeinIThisisthe pIO董ilesofthe e壬fluentof proteins done
individually
n
l:1mjxtures of both proteins Tablel.Percentβ−1actoglob111ininteracted withlC−CaSei
ior20min;e王壬ect of heatingtemperature On a
85 1 90 95
Heatingtemperature,OC I25I65I70I75l80
Interactedβ−1actoglobulin wascalculated董romtheheightofintegralcurvesbydeterminingthe
concentration o王disc−gelelectrophoretic patternswithdensitometerlAstandard curveofβ−1acto−
globulinwasused・FiguresshowthecontentinlOplofsarmples
官辺豊紀,瀬戸正三:かラクトグロブリンと〟−カゼインの投合体形成 145 両蛋白質の混合物は加熱しないと複合体ほ形成しないことが認められた。 3.加熱による複合体形成の隙の〟一カゼインに対するβ−ヲクトグロブリンの関与率 〟−カゼインとβ−テクトグロブリンの混合系(混合比1:1,重盗比)を250∼95℃の箪囲で20分間加熱して反応さ せた結果,〝−カゼインに対するβ−ラクトグロブリンの関与率は,65℃から急に上昇し始め,85℃になってピ−クに 達した0このときの関与率は820%であった0しかし,85℃を超えると,この関与率はやや低下した。つまり,雨空 白賀の複合体の形成は,混合比が1:1(壷鼠比)の場合,65′・膚85℃の問で行なわれることがわかった。また,85℃ を超えて,この関与率がやや低くなるのほ,β−ラクトグロブリン同志が会合するためではないかと考えられた(欝1 表,節4図)0次に,〟−カゼインとβ−ラクトグロブリンの混合系(混合比1:1,重患比)を850,900,95℃で,5, 10,15,20分間加熱して反応させた結果は第2表,欝5図に示した。〟−カゼインに対する β−ラクトグロブリンの関 与率は,85℃,15分を超えると低下した◇加熱時問が10分以下でほ85℃,20分よりも95℃の方が関与率はやや高かっ た0この関与率は,20分間の加熱で85℃で820%,90℃で800%,95℃で785%であった(欝2表,欝5図)。この β−ラクトグロブリンの関与率の可能性のmaximum値は85℃で97.5%,90℃で870%,95℃で835%であった(第 5図)。 0 0 0 0 即 6 4 pむ︶U巴む︶ut u弓qO−営︶Uヱも訳 0 0 6 8 PU︶U巴3∈欄Uニn名句○︶0悪・q訳 0 0 4 2 −Cや 005 010 015 O 20 1 ・ 0 20 40 60 80 100 Heating temperature,Oc Figh4.Per centβ−1actoglob111ininteractedin a l:1mixture of β一1actoglobuljn andJ仁一
CaSein after heatingat various temperaN
tures for20min.Totalproteinconcent− ration,10mg/ml;Dissolvedin O.05 M phosphate bllHer,p打6.8.
min
Fig5.Per centβ−1actoglobulininteractedin a
l:1mixture o董 β−1actoglobulin andJC1−
CaSein after heatingat85O,90O,and950C
for various timesTotalprotein concen−
tration,10mg/ml;Dissolvedin O。05Mphosphate buifer;−IO−・,85OC;−・×一,
900C;−・●−,950C
Table2・Percentβ−1actoglobulininteractedwithJC−CaSein after heating;Effectof heat−
ingtime on al:1mixtures ofboth proteins
Calculated董rom theheighto董integralcurvesofelectrophoretic patternsassametoTablel.
香川大学農学部学術報告 欝35巻 欝2号(1984)
Table3.Ratios of complex董ormed byinteraction betweenβ一1actoglobulin andlC−CaSein by heating at850C王or20min;Effect ofincreasingβ−1actoglobulin
146 β1gル in complex I・atio β1g,nOt interacted ELg β1gin COmplex 〝g 〝1n COmplex 〝g Mixing工・atios 〃 〃 〃 〃 此 〃 l l l l l l g g g g g ロb l l l l l l β β β β β β 5 5 7 5 0 0 1 1 2 3 4 6 2 4 6 0 4 5 8 1 3 5 0 0 0 1 1 1 ︻〇 3 7 9 8 2 5 1 3 7 2 8 1 7 8 5 2 2 4 5 6 7 0 0 0 0 0 0 5 5 5 5 5 5
FiguIeSShow the contentinlO plof samples
4小 βうクトグロブリンの混合比の増加と複合体 形成の関係 〟−カゼインの1に対して,β−ラクトグロブリンを0.5 −3の範囲の重盈混合比で,85℃,20分間加熱した場合 の結果は第3表,算6凰に示した。この結果の通り,〟1 に対する β−ラクトグロブリンの混合比が0.75以上にな ると,両蛋白質によって形成された複合体中のβ1g/〟比 は,1/‡・atioの値が1.34(0175β】g:1〟)を超えると直 線的に増加し,175(3β1g:1〟)のβ1か〟比まで複合 体を形成することが認められた。 5ジスルフィド結合の役割 〟ニカゼインとβ−ラクトグロブリンの混合系を85℃, 20分間加熱した場合,ディスク電気泳動図は,〟一カゼイ ンのバンドの部分のHlが広がり,β十テクトグロブリンは 変性して,移動虔が小さくなった。この南蛮自賛の混合 系を加熱して,メルカプトエタノールで処理した場合 は,〟−カゼインの部分のバンドの巾の広がりは消失し た。つまり,ジスルフィド結合(S−S結合)の切断によ り,投合体を形成し難かったものと推察された。NEM 処理 〝−カゼイン単独のバンドは未処理〟と変りがなか 記一d∈こじ亡t巳\題屯.ぐ−1巾∝ 05 10 15 20 l 一 応 Fig”6.Ratiosofβ−1actoglobulin/N−CaSeinin COmplex壬ormed士or・Various mixing ratjosofβ一1actoglobulinand〟−CaSein heated at850Cfo工20minTotalpro− tein concentrations,5mg/ml ったが,NEM処理β十ヲクトグロブリン単独では2つのバンドが現われた○つまり,加熱変性し易いβ−ラクトグ ロブリンがNEM処矧こよって,−S−S一浩合が切断されて,2つの分子に分れたものと思われた0また,NEM処理 〟−カゼインと未処理β−ラクトグロブリン混合系では,〝−カゼインのバンドの巾の広がりを生じ,複合体の形成が推 察された。NEM処理β−ラクトグロブリンと未処理〝−カゼインの混合系でも,〟−カゼインのバンドの巾が広がり, β−ラクーグロブリンの移動皮が大となったので,複合体形成をしたものと考えられた。この場合,NEM処理で生 じる β−ラクトグロブリンのバンドは1本となったので,移動皮の遅い部分が複合の形成に関与したのでほないかと 考えられた。 また,NEM処理〟−カゼインと未処理β−ラクトグロブリンの混合系とNEM処理β1テクトグロブリンと未処理 〟一カゼインの混合系の2つの系を85℃,20分間加熱した場合,β−ラクトグロブリンの〟一カゼインに対する関与率 ほ,前者の場合はNEM未処理〟一カゼインと同じで,後者では,この関与率は40%に減少した。したがって,β−ラ クトグロブリンのSH基がNEMによって100%修飾されることが可能であれば,この関与率は0%になることも考 えられるが,この関係ほSH甚だけではないと思われる。
官辺皇紀,瀬戸正三:β−・ラクトグロブリンと〟−カゼインの複合体形成 147
Fig7.Disc−gelelectrophoretic patterns ofal:1miⅩtureS Ofβ−1acto−
globulin andJC−CaSeinasaHected by heating oneorbothof the
proteins:a,Kunheated;b,JC heated;C,β1gunheated;d,β1g heated;e,JC plusβ1gunheated;f,K plusβ1gheated;g,NEM・− N plus NEM−β1gheated;h,NEM−〝heated;i,NEM−β1gheated ;j,NEM−K plusβ1g heated;k,〝PlusNEM−β1gheated..Thesewe‡e heated at850C董or20min
考 察 α−カゼインと β一ラクトグロブリンを‥一腰に加熱すると相互作用が起ることが指摘(2,3・4) されて以来,ZITTLE ら(1)は〟−カゼインとβ−ラクトグロブリンの問で複合体が形成されることを証明した。そして,β−ラクーグロブリ ンのスルフヒドリル基が露出することを指摘したが,この考えに対する証明はなかった。TRAUTMANら(4)はさきに 脱脂乳の加熱申にSH基をブロックする作用があるために,α−カゼインとともに電気泳動的に移動す−るβ−ラクトグ ロブリンのバンドの形が変化し,また前処理による無糖練乳の安定化が妨げられることを指摘した。SAWYERら(5) は複合体の形成は,N−エチルマレイミドのようなSH基の化学修飾剤によっでマスキングすることにより,β−ラク トグロブリンA,Bともに抑制されることをチゼリウス電気泳動法で調べ,雨空白質問のS−S結合の形成によるこ とを示唆した。LoNG ら(のほ,pH65,イオン強度002のリン酸緩衝液で,加熱条件と複合体形成の関係を調べ, 接合体はβ−ラクトグロブリンを単独に加熱し,未加熱と加熱〝−カゼインの混合物でも生成するが,沈降定数は両者 の混合物を加熱した場合と異っているとしている。HARTMAN(7〉は各種乳漕蛋白質と混合し,牛乳と同じ塩組成の溶 液中で74.5℃またほ85℃,30分の加熱後,ディスク電気泳動によって分析し,かカゼインと β−ラクトグロブリンの 問で複合体を形成することを確認している。この条件で〟−カゼインはα−テクトアルブミンおよび血摘アルブミンと 会合することはないとしているが,中西ら(8)はαケラクトアルブミンと 〟−カゼインの間の会合の可能性を指摘して いる。−・方,山内(9)は未分割の乳酒蛋白質を各棟温度で10分間ずつ加熱したときの変化を電気泳動法でしらべ,65 ℃の加熱で免授グロブリンに相当する峰が消失することを認めた。また,75℃加熱でβ−ラクトグロブリンと α−ラ クトアルブミンの中間に新しいピ・−クが現われ,このピ・−・クの生成は,グルコ・−ス,乳糖,しょ楯などの糖類によっ て抑制されることを観察している。 また,ZITTLEら(1)は〟−カゼインと β−ラクトグロブリンの混合物を中性で90℃,15分間加熱すると複合体を形 成することを敵性側の電気泳動,超遠心分析,レンネット凝固法などで証明した。またβ−ラクトグロブリンの遊離 のSH基がこの後合体の形成と関係が参るとしている。β−ラクトグロブリンはもともと熟変性によって,等電点の pH50で不溶性となるが,中性でもカルシウムイオンの存在する場合は凝集する(15)。FARRELLら(17〉 によると, β−ラクトグロブリンの不安定性の原因の1つほ,ユニークな配列である 一Cys−Cys一によるとしているo McKENZIE の著書(18〉によると,同氏は残基69はβ−ラクトグロブリンの遊離SH基で,一方,残基70はS−S結合であるので, 強い塩基あるいほ加熱にさらすと,ジスルフィド交換を促進し,変性に導くと報告している。また同氏はSH 基修 飾剤がβ−ラクトグロブリンの安定性を増加することを証明した。TowNENDら(19)は自然状態において,この残基は 部分的にうもれているので,変性ほこのSH基を全部,露出するために起るとした。またカルポペプチダーゼやミヨ グロビン(20)のような分子はカゼインミセル申へ入りこむことができるので,β−ラクトグロブリンも同様にジスルフ ィド結合投合体の形成を惹き起して−,ミセル申へ侵入する。このように,β−ラクトグロブリンと 〟一カゼインの間の 複合体の形成はカゼインミセルの安定性を変化させるものである。津郷,山内の著書(21)によると,牛乳を加熱した ときに活性化されるSH基ほ主としてβ{ラクトグロブリンの変性に由来するもので,ニトロプルシド法,チアミン ジサルファイド法,電気滴定法などによって測定されている.この加熱によるSH基の活性化は加熟嗅の生成原因に もなり,またコナミルクの抗酸化性にも寄与する。 本実験では,〟−カゼインとβ−ラクトグロブリンの問で投合体を形成する際に,〝一カゼインに対するβ−ラクトグロ
香川大学農学部学術報告 欝35巻 欝2号(1984) 148 プリンの関与率について,加熱温度・時間,混合比,SH基の影響についてしらべた。混合比が1:1(重畳比)の場 合,65℃から急に上昇始め,85℃でmaximumに達した。これはLoNGら(6〉の実験でも,加熱温度68℃以上で投合 体が形成されることを示唆している0著者らの実験では,〝に対するβ−ラクトグ で,85℃を超えると,この関与率はやや低くなった。つまり,85℃を超えるとジスルフィド交換がこの時点から行わ れなくなって,β−ラクトグロブリン自体が変性して,β−ラクトグロブリン同志の会合を惹き起したものと考えられ た。そこで,両蛋白質の加熱温度を85℃以上にした場合の加熱時間とこの β⊥ラクトグロブリンの関与率を調べた結 果では,85℃,15分を超えると低下することがわかった。加熱温度95℃では10分加熱しても,まだ85℃,20分よりも 関与率は高かった。そして,このβ−ラクトグロブリンの〝−カゼインに対する関与率は,混合比(1:1,患鼠比)の 場合,最高値が85℃で975%まで可能であることがわかった。また,南蛮白質によって形成された複合体中の β1g/ 〟の比率は1/Ⅰatio砥が1.34(0…75β1g:1〝)を超えると直線的に増加し,この値が1.75(3β1g:1〟)まで複合体 の形成が可能であることがわかった。つ■まり,〟−カゼイン1に対して−,β−ラクトグロブリン3(壷鼠比)まで結合が 可能である。したがって,前述のように,多くの研究報告から,両者の複合体の形成に−SH≠−S−S−交換反応が関 与していることば明らかであるが,ただ単にこのSH基だけが関与しているとは考えられない。また,メルカプトエ タノ・−ル(NEM)で,SH基をブロックした場合,ジスルフィド結合の切断により,複合体を形成し難いことは,他 の研究者の結果と同じであった。〝一カゼインほNEM処理によって,バンドの変化がないのに比べて,NEM処理 β−ラクトグロブリンは2つのバンドが現れるので,変性を受け易すかった。GoucH ら(16〉によると,β−ラクトグロ ブリンの遺伝的変異体A,Bのうち,Bの方がAよりも変性し易いという。このことと関係があるのかどうかはっき りわからない。また,NEM処理JCと未処理β1gでは,β−ラクトグロブリンのNへの関与率は,未処理同志の関与 率と同じであったが,NEM処理β1gでは関与率が40%に減少したので,熟変性し易いβ一ラクトグロブリンが650 から85℃の問で,SH基などの変化を惹き起す際に肝カゼインと複合体を形成するが,SH基が100%修飾可能であ れば,この関与率も0%になることも考えられるが,両者の接合体形成の関係は,前述のように,ジスルフィド結合 だけではないと思われるので,今後の課題である。最近,土井ら(10)によると,〟−カゼイン中の糖鎖の複合体形成へ の影響が,70℃加熱によって検討され,糖含藍の大きいかカゼイン画分はど,複合体の形成能が大であるとしてい る。 引 用 文 献 (12)ZITT}LE,C.A,THOMPSON,M.P・,CusTER,.T・ H”and CERBULIS:T肋ir・y Sti。,42,1877
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