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第II部 国際ビジネス教育に対するニーズ : 新潟県の中国アジアビジネス教育を中心にして

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(1)

国際 ビ ジネ ス教 育 に対す るニ 「 ズ

新潟県の中国アジア ビジネス教育 を中心 に して

-姥

(新 潟 経 営 大 学 教 授)

は じめ に

新潟県集積地域企業の国際 ビジネス教育 に対す るニーズを研究す る場合、-問題 は二つある。一つは、 新潟県企業がグローバル経営に対応す る上で どのような課題を抱えているのか ということだ。人材育成 論 に先立 ち、 同県企業 にとっては、そ もそ も 「グローバル経営」 とは何か、 またそれに対応す る場合 の 経営上の課題 は何か、 という問題 を明 らかに してお く必要があるという訳である。 いま一つは、そ うし た経営課題 に取 り組むためにはどのような人材が必要 とされているのか という点である。 まず前者の検 討か ら始めることに しよう。

1

新潟県集積地域企業 のグ ローバル化 と企業経営

ここでは、新潟県集積地域企業の 「グローバル経営」上 の課題を取 り上げる上で、金属加工業企業を 中心に して検討する。 金属加工業企業は、同県企業なかんづ く中越地域の中では極めて重要な役割を担 っ てお り、従 ってそれを研究することは、 同県の他の地域企業 にも重要な示唆を与え るか らである。 そこでまず、 中越地域を中心 とした金属加工業企業経営のマ トリックス分析を試みてみよう。 グロー バル化への対応 と経営戦略上の課題をクロスオーバーさせ ることによって 「グローバル経営」上の課題 を浮 きぼ りにす るためである。 次 いで、そうしたマ トリックス分析に基づいて、金属加工業のみな らず、 同地域 における他の地域産業すなわちニ ッ ト産業や木工家具業を も含めた企業のグローバル ビジネスモ デルを ビジネス圏別 に類型化 し、 中国アジア ビジネスモデルにおける 「市場獲得型 ビジネスモデル」 の 意義を明 らかに してみよう。 第三 に、 グローバル ビジネスモデルに係わるそ うしたビジネスモデルを担 う企業 についての実態分析を再び金属加工業企業を中心 に して行 い、上記のグローバル ビジネスモデル に係わる諸点を検証 してみることに しよう。 最後 に、新潟集積地域および企業が抱える 「グローバル経 営」上の課題 について論点整理を しておこう。 1. グ ロ ー バ /レ化 時 代 に お け る 新 潟 県 金 属 加 工 業 企 業 の 経 常 課 題 - マ ト リ ッ ク ス 分 析 (1) 金属加工業企業経営のマ トリックス 分 析 最初 にマ トリックス分析 という手法に つ い て 説 明 し て お こう。下図をご覧頂 きたい。 タテの欄 は、企 業経営上の戦略課題を整理 した ものであ る

( な お

、金属加工業企

業経営における戦略課題 については、 第Ⅲ部 第 1章 第 1節 [2]

を参照のこと。

)それに対してヨコの欄は、企業経

営を、 グローバル化への 対応 を軸 に して、

第 Ⅰ類型 (

国内生産 ・国内市場型)

、第Ⅱ類型 (

国内生産 ・海外市

場型)、第 Ⅲ類型 (海外生産 ・

国内市場型)そして第Ⅳ類型 (

ボーダレス生産 ・ボーダレス市場型)に類型化

し (参考図 参照)、

それをタイプⅠ (

第 Ⅰ類型) ・Ⅱ (

第Ⅱ類型) ・Ⅲ (

第Ⅲ類型) ・Ⅳ (

第Ⅳ類型)とグ

ローバ

- 3

(2)

1-ル化 ・ボーダ レス化 (注1) の度合 いに応 じて配列 した ものである。 そ して、 当該企業が タテ欄 ・ヨコ 欄 との組み合 わせの中で どのよ うなポジシ ョンにあるのかを明確 に している。その結果、当該企業 の グ ローバル経営上 の戦略課題が一 目瞭然七な るとい う次第である。 以上 の ことか らも明 らかな ように、マ トリックス分析 とは、企業経営上 の課題 と くに戦略課題が企業 経営 のグローバル化 ・ボーダ レス化 によって どのよ うに変化す るかを明確 にす るための経営分析手法 で ある。 では、 こうした方法論 に基 いて、実際 に、新潟県 中越金属加工業企業経営 のマ トリックス分析 を行 っ てみよ う。 その結果 は、以下 の通 りである。 新潟県 中越金属加工業企業経営のマ トリックス分析

J

^

*

A

1

)

'

業経営戦

タイプⅠ タイプⅡ タイプⅢ -タイプⅣ

α

.グループ

β

グループ

Al.A2

.

-

B1.B2

-

.

C

α

1.

.

.

C

β2

-

,

D1

._

.D2

.

.

.

1.

技術革新 ・高儀・シンワ測定・角 田工具製作所 ・遠藤製作所

2.

生産 システム ・角 田工具 ・遠藤製作所 ・高儀 ・角 田工具 ・角 田工具 効率化 .高度化 製作所 ・.シンワ測定 製作所 製作所

3.

マーケテ イング ・角 田工具・旧明道製作所 」高儀・シンワ測定・旧明道 ・角 田工具製作所 4.-ネットワーキング ・旧明通 ・旧明道 (注) aグループ ;ユーザーであるアセ ンブラーの海外進 出に伴 うパーツサ プライヤーの付随的海外 生産基地化 ケーネ βグループ ;独 自の立場での海外生産基地化 ケース (*

1)

〔秦考 ;グ ローバル化 ・ボーダ レス化への対応を基軸 とする企業経営の類型化〕 海 外 市 場 (海外

進 出) (グローバル生産・グローバル市場対象) 一′ ー ノー (国内生産 ・国内市場対象)国内市場 (海外生産基地化)産 企 業 群 生 企 業 群 第 Ⅳ 類 型 外 第 Ⅲ 類 型 海 (出所)姥名保彦 「序」 (新潟経営大学 ・共 同研究 プロジェク ト 『ア ジア企業進 出を巡 る問題点 と課題 一 新潟県 中越集積企業 の 『ボーダ レス経営』研究-

』[

2

0

0

3

1

1

]

)p.

1

0

よ り。 なお、本図のオ リジナルアイディアは (財)新潟経済社会 リサーチセ ンター ・アシケ- ト調査 「世界 に通用す る新潟 の ものづ くりに向けて-進展す るグローバル経済下 における県 内製造業 の現状 と今後

-」

(『セ ンター月報

』[

2

0

0

3

3

月号

]

)p.

1

5

に拠 っている。

- 3

2

(3)

-、

(

2

)

マ トリックス分析が意味するもの 一中越金属加工業企業 の競争力源泉 I 以上 のマ トリックス分析 か ら得 られ る結論 は以下 の通 りであ る。新潟県 の金属加工業企業 におけるグ ローバル経営の場合 も、基本 的には全 国 と同様 の傾 向が窺 える (第 Ⅲ部 第

1

章 第 1節 [2]参照)。 日 本 の中小企業 ・集積地域企業 の典型で もあ る中越金属加工業企業 の ビジネスモデルをマ トリックス分析 か ら観 る限 り、以下の四つの特徴 を指摘す ることができるが、 それ らの特徴か らその ことは容易 に領 け よう。 すなわ ち、一つ は、企業類型 としてはタイプ Ⅰに属す る企業が圧倒 的 に多 い ことである。 しか しなが らこれ らの企業が国際競争力 を喪失 しつつ あるのか と云 えば、必ず しもそ うとは限 らないとい うことで ある。 これ ら企業 の経営戦略上 の課題が、圧倒的 に技術 開発 に置かれてお り、次 いで生産 システムの効 率化 ・高度化 にあ り、 そ して これ らの課題 を達成す るためのネ ッ トワー クの有効活用 にあるか らだ。 二つ には、上記 の技術開発力 に優 れた企業 の中で もさ らにマーケテイ ングカ に秀でた企業 はタイプⅡ として海外市場 の獲得 に果敢 に挑戦 しているこ とである。従 ってタイプ ⅠとⅡとの間 には技術開発力強 化 に取 り組んでいるとい う点で、共通基盤が築かれているとい うことを見逃 してはな らないと云えよう。 この ことは、 タイプ Ⅰ企業 の今後の最大 の課題がマーケテイ ングカ と くに海外 におけるそれを如何 に強 化す るか とい う点 にある、 とい うことを示 唆 している。 三つ には、 タイプⅤ企業すなわち本格的な グローバル企業が少 ない とい うことであ る。 その ことは、 中越地域企業 の海外生産基地化がそ もそ も親企業 の海外進 出の下 で行 われているために、進 出相手市場 における販売すなわち 「内販」力 に欠 けているとい うことを意味 している。要す るに、海外進 出が受動 的 に行 われているとい う訳 だ。 この点 の克服 もまた中越金属加工業企業 の課題 とされなければな らない であろ う。 最後 に、 グローバル化 ・ボーダ レス化 の立 ち後れ と表裏 の関係で、人材育成が著 しく停滞 していると い うこともまた指摘 しておかな くてはな らない。 この ことは逆 に上記 の受動的な対応 と密接 に関わ って お り、悪循環 に陥 る危険性す ら指摘せ ざるを得 ない と云 えよう。 中越金属加工業企業が 日本 の中小企業 ・集積地域企業 の典型 をな しているとすれば、以上 の金属加工 企業 の グローバル化 ・ボーダ レス化 に伴 うビジネスモデル はこ それ 自体、 日本 の中小企業 ・集積地域企 莱 -と りわけ中小製造業企業 -の グローバル ビジネスモデルに_も当て飲 まると考 えて差 し支 えはないで あろ う。 ただ し次 の二点 につ いては、 中越金属加工業企業経営 における ビジネスモデルの特色であるとい うこ とを強調 しておかなければな らないであろ う。 一つ は、角 田工具製作所 の場合 にみ られ るように、すでにタイプⅣの企業 が存在 しているとい うこと である。 同社が タイプⅣ型経営 -すなわち海外市場 において 「生産基地化 +内販化」経営 一に成功 を収 めた最大 の理 由は、 同社 の海外生産基地化が タイプⅢにおけるβグループ型 のそれであ ったが故 である と考え られ る。 二つ には、卸業者 である旧明道社 のネ ッ トワー ク企業 と しての役割である。 同社 は、一方 でいわゆる 「ファブ レス企業」 としてメーカーの技術革新 および生産 システム効率化 ・高度化 に対 して コーディネー ター と して貢献す るとともに、他方 では卸業者 と してのマーケテイ ングカ を発揮す ることによって製 品 の内外 に亘 るマーケテイ ングに対 して重要 な役割を果た しているのである。後述す るよ うに、 同社 は独 白の グローバル ビジネスモデル として 「グローバル ・フ ァブ レス」化 を 目指 していた とい うことが、 そ の ことと大 いに関わ っていた とと云え よう。

- 3

(4)

3-新潟県 中越地域の金属加工業企業が現在 もなお、国内市場 において競争力 を維持 してお り、 さらにそ れを背景 に して海外市場 に対 して も強 い進 出意欲 を抱 いているのは、 こうした同地域特有のグローバル, ビジネスモデルに因 るものである、 とい うことを見落 としてはな らないであろう。

2

.中越地域企業 の 「

グ ローバ ル ビジネスモデル」 とその類型化

(1)中越地域企業の 「グ ローバル ビジネスモデル」の類型化 上記 の中越地域金属加工業企業のマ トリックス分析が示 しているように、 中越地域企業 も 「グローバ ル経営」への対応を次第 に強 めている。 それでは、 中越地域企業 の 「グロ-パル ビジネスモデル」 とは どのような ビジネスモデル として類型化 されるのか。 とくにアジアにおけるビジネス経済圏 との関連で、 その ことを明 らかにす るための作業が必要 となるが、その結果 は下図の通 りである。 〔中越金型加工企業 における 「ビジネス経済圏別グ ローバル ビジネスモデル」

(

*a)

の類型化〕 ビ 日 本 北東 アジア経済圏 東 ア ジア経済圏 アジア経済圏 その他経済圏 ジヽヽ 国 内 (*b ) (NAFTA)(EU) ス 経 済 圏 構成地域 日 本 日本 .朝鮮半 島・中国東北地方・ロシア極東 .モンゴル

S.ASEAN

日本 .中国

.NⅠ

E

S.ASEAN

ン ド日本 .中国

e

t

c

.

.NⅠ

.イ

E

北米 欧 (対象国)_ 中 国 .ロシア .モンゴル ・台湾 .タイ

e

t

c

.

湾.タイ.インド

e

t

c

. e

t

c

.

e

t

c

.

1 生産基地 Ⅰグループ シンワ (建築用事具/ 下村工業 (プラス 遠藤製作所 (ゴル 進出 化 企業群 日本 .大連) [Ⅲ] テ ィツク台所用 アヘ ッ ド等/ 日 (*C) マル ト長谷 (*d) 品/ 日本 .シン 本 」タイ) [Ⅲ] 目-的 別 朝倉家具 (日本 .青 島) [桐 ダ ンス/Ⅲ]. 高橋ニ ッ ト (セ ン) [Ⅲ]ニ ッ 角田製作所 (工具/ 日本一作業.タ 川 (作業工 吉 田家具 (木製家具/ ト生地年産/ 日 イ) [Ⅳ] 具/ 日本) 日本 .p育 島) [Ⅲ] 本 .上海近郊) 市場獲得 Ⅰグループ企業群 マ ックスニ ッ ト社 マル ト長谷川 (作 マル ト長谷川 シンワ (建築用土具/ 日本) [Ⅲ] (ニ ッ ト製品/ 業工具/ タイ) (作 業 工 具

- 3

(5)

4-ス 経 済圏 構成地蔵 . 日 ■本 日本 .・ロシア極東 .モ/・中国東北地方:朝鮮半 島 /ゴル -日本 .中国

S.ASEAN

.NⅠ

E

S.ASEAN

ン ド日本 .中由.

e

t

c

.

-

.NⅠ

.ィ.

E

北米 欧 構 成 ■国 日 本 日本 .韓 国 .北朝鮮 日本 .中国 .韓 国 日本 ..*国.韓国.台 アメリカ ドイツ (対象国) 中 国 .ロシア .モンゴル ・台湾 .タイ

e

t

c

.

湾._タイ_.インド

e

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c

. e

t

c

.

e

t

c

.

( 市場獲得 吉 田家具 (木製家具/ 日本)[Ⅲ] 角 田製作所_(作業 マックスニット社 1 高儀 (家産用工具等/ 日本)[Ⅲ] 耳具/ 日本 .中 (ニ ッ ト製 読 下村工業 1-(プラステイ.ツク/ 日本)[Ⅲ] 国 .韓国 .台湾) 品/ アメ リ き ) 高橋ニ ッ ト (ニ ッ ト生地/ 日本) ・[Ⅳ] カ)[Ⅳ] [Ⅲ] (*d) _マル ト長谷川 (作 第一ニ ットマ-ケテイシダ社 業工具/ 日本 1. (ニ ッ ト製 品/ 日本)[Ⅲ] (*d) 中国 .韓 国 二台 古寺裏作所 (自動車搭載工具/ 日本)[Ⅲ] 遠藤製作所 (ゴル フ_ヘ ツ_ド等/ 日本)[Ⅲ] 湾)[Ⅱ] (*d.)

2

企 莱 大 企 _業 i 中小企業ヽ. Ⅰグループ .シンワ 高儀 遠藤製作所 規 模 別 ・企業群 . 朝倉家具 _(従業員

1

7

5

名) 高橋ニ ッ ト(従業員

4

6

6

名) 角 田製作所(硬業員

3

6

3

名) (従業員

2

0

名)■ 吉 田家具..(従業員

1

1

7

名) 古寺製作所(従業員

3

0

名) 下村工業 ーマ ックスニ ッ ト杜第一ニ ッ トマーケテイ ング社マル ト長谷川(((((従業員従業員従業員従業員従業員

1

1

1

1

2

5

8

0

0

0

6

0

名)名)名)名)名) (従業員

5

4

名)

3

地二 域 全国地域レベル Ⅰグル-プ シンワ (三条市) 高儀 (三条市) 遠藤製作所 レ レベ

企業群 朝倉家具 (白根市) 下村工業 (三条市) (燕 市) ベこ

吉 田家具 (加茂市) 高橋ニ ッ ト 角 田製作所

- 3

(6)

5-(荏) (*a) ビジネス経済圏別 にみたグローバル経営におけるビジネスモデル。なお、「ビジネス経済圏」 については、 ボーダ レス経営研究会編 『中越企業の中国・アジア市場開拓研究 一地域国際 ブ ラン ド戦略の課題

-

』[

2

0

0

5

1

]

[補論

Ⅰ]

「経済圏に対す る二つのアプローチ

」p.

7

1

-7

3

を参照のこと。 (*b) 「北東 アジア経済圏」 はさらに三つの地方経済圏-すなわち環 日本海経済圏 ・環 日本海経済 圏 ・北方経済圏-か らなる。 (*C) 第 Ⅰグループ (第 Ⅰ類型企業 グループ) に属す'る企業群。 なお、

[

Ⅱ]

は第 Ⅱグループ (第 Ⅱ類型企業 グループ) に属す る企業、[Ⅲ]は第Ⅲグループ (第Ⅲ類型企業 グループ) に属 す る企業、[Ⅳ]は第Ⅳ グループ (第Ⅳ類型企業 グループ) に属す る企業である。 (*d) 第Ⅳ グループ企業への移行の可能性がある企業。 (出所)株式会社高儀 ・シンワ測定株式会社 ・株式会社角田工具製作所 ・株式会社遠藤製作所 について は、姥名保彦 「中越金属加工業 における 『ボーダ レス経営』の課題 -アジア金属加工業共生の 途

-

」 (新潟経営大学 ・共 同研究 プロジェク ト 『アジア企業進 出を巡 る間琴点 と課題 一新潟県 中越集積企業の 「ボーダ レス経営」研究-』([2003年

1

1

月])

p.

6

9-7

7

を参照のこと。高橋ニ ッ ト社・第一ニ ッ ト・マーケテイ ング社 ・マ ックスニ ッ ト社 は、姥名保彦 「新潟県ニ ッ ト集積企業 の中国進 出を巡 る課題 一集積地域企業の 『ボーダ レス経営』 におけるビジネスモデルー

(同 上)

p.

1

1

4

-1

1

5

を参照の こと。 さらに株式会社 朝倉家具 ・吉 田家具工業株式会社 については 姥名

『ボーダ レス経営』時代を迎えた木工家具企業」(同上)

p.

1

4

6

-1

4

8

を参照のこと。なお、 株式会社マル ト長谷川 ・株式会社古寺製作所 については、小林禎巳 「三条市内企業の海外市場 戦略- 『中国』 を どのような視点 (生産基地、市場)で捉え るのか-」 (新潟経営大学 ・サテ ライ ト・キ ャンパス ・平成

1

5

年度 ビジネススクール ・ケース研究 [姥名ゼ ミ]修了論文)

p.

2

- 4

を参照の こと。 下村工業株式会社 に関 しては、 中林国治 ビジネススクール ・ヒヤ リング

[

2

0

0

4

.

0

7

.

0

1

]

に拠 る。

- 3

(7)

6-(2ト 中国市場進出における 「市場獲得型 ビジネスモデル」の重要性 と意義 (*1) そこで ここでは、上記の 「グローバル ビジネスモデル」の類型化 に基づいて、中越企業なかんず く金 、」 底加工業企業を事例 として取 り上 げ、 グローバル経営 とくに中国市場進出のための ビジネスモデルのあ り方を探 ってみよう。何故な らば、今 日の製造業企業の中国アジナ進 出は既 に市場獲得型が中心 とな し ているか らだ。すなわち、中国市場進出は、当初は生産基地化を中心 としていたのであったが、その後、 生産基地を活用 した 「内販」が重要性を増 し、今 日では市場獲得その ものが戦略的な課題 とな り始めて いるのである。 中越鞄域の金属加工業企業 もまたその例外ではない筈た。そこで、 中越金属加工業企業 にとって、中国進出において 「市場獲得型 ビジネスモデル」 はどのような意味を持 っているのか という 点をまず明 らかに しておかなければな らない。 そ もそ も 「市場獲得型 ビジネスモデル」 とは何か。 この点を明 らかにす るためには、われわれは、前 述のように、方法論的 としての 「ビジネス経準圏別 グローバル ビジネスモデル」類型化論を中越金属加 工業企業の場合 に実際に当て填 めてみるという作業を必要 としている。前図はその結果である。そこで まず前図に別 して問題 にアプローチす ることに しよう。 同図か らも明 らがなように、全国の場合 に比べて、中越企業の ビジネスモデルは、そ もそ も生産 ・販 売をボーダ レスにかつ グローバルにおこな っている企業すなわち 「グローバル企業」 (いわゆる第Ⅳ類 型企業群 に属す る企業)が少な く、逆 に生産 も販売 も国内に依拠 している 「非 ボーダ レス企業」 (いわ ゆる第 Ⅰ類型企業群 に属す る企業)が圧倒的に多い、 とい う特徴を備えている。 (因みに、燕 ・三条地 域の金属製品関連企業の現地法人を事例 として示 してお くと図表Ⅱ-

1-N

m

lの通 りである。) さらに、 中国に進 出 している場合 にも、市場獲得型企業が少ないということも見逃せない。 中国進出においては このことは大 きな- ンデキ ャップとな りかねない。何故な らば、 中国アジア進 出とりわけ中国進出にお いては、(1)進 出目的 自体が市場獲得型へ移行 しつつある、(ロ)その場合のコス ト競争カ ーとくに中国製品 との競争 におけるコス ト競争カ ー強化のために中国アジアを生産基地 として活用 している、(^)こうした 市場獲得のための生産基地化方式 という日本企業の新たな進 出方式は、大企業のみな らず中小企業の中 国アジア進 出においてす らいまやメイ ンス トリームとな り始めている、国その ことは、 日本製品の競争 力を飛躍的に高めて単 に中国市場のみな らず世界市場 -すなわちそれは、 日本市場 ・北東アジア経済圏 市場 ・束 アジア経済圏市場な どを中心 とす るアジア経済圏市場、 さらには

NAFTA

E

Uな どその他経 済圏市場か らなる一全体の獲得 にも繋が っている、か らだ。 その意味では、中越企業の場合、中国進 出 において市場獲得型企業が少ないということは、中越集積 にとって も看過できない問題なのである。 し か も、中越金属加工業企業の中国進出における 「市場獲得型 ビジネスモデル」 は、単 に中国市場進出の ビジネスモデル としてだけではな く、

FTA

が急展開 している今 日のアジアにおいては、「北東 アジア共 同市場」 さらには 「東 アジア共同市場」への参入問題 にも深 く関わ っているだけに、そのこと (中国進 出において市場獲得型企業が少ないということ)は一層重要な問題 とな らざるをえないのである。か く してわれわれは、「市場獲得型 ビジネスモデル」 における共 同市場論的意義を決 して見落 としてはな ら ないと云えよう。 このように中越金属加工業企業の中国進 出においては、「中国市場獲得型 ビジネスモデル」の確立が 急務なのであるが、その際、 中越金属加工企業のグローバル ビジネスモデルにおける最大の課題が、市 場獲得 +生産基地化 という複合的な進 出モデル一市場獲得 と生産基地化をボーダ レスかつグローバルに 達成 しようとしているという意味でそれはいわゆる 「グローバル経営」 に他な らないのだが-を如何 に 構築す るのか という点 にある、 ということも強調 しておかなければな らないであろう。

-3

(8)

7-図表

Ⅰ- 1-N

0

.1

三条 ・燕地域 の金属製 品関連企業 の現地法人 (事例) 企 業 名 覗 .地 .法 人 設立時期 上海徐氏進 口工具有 限公 司 郡州三条珍珠金属有 限公 司 香 港 ■:ワコ「 トレ⊥デ イングCO.,LTD. 台 湾 :倒椅有 限公 司

㈱遠藤製作所 タ イ :ENDO THAⅠCO.ENDO STAⅠNLESS′,LTD.STEEL CO.,LTD.- 平成元年 ほか ENDO FORGⅠNG CO.,LTD二

下村工業㈱ 中 . 国 :下村 中国奥造廠工場 平成

7

年 時か 香 港 :下村香港有 限公 司 . ㈱ クツ ミ 中 国 :抗州愛龍金属制 品有 限公 司 平成

3

年 -共和工業㈱ - 中 国 :蘇州共和模具有 限公 司 平成

6

年 アメ リカ :共和 シカ ゴ土場 、 昭和

6

1

年 ∴ 山崎金属工業㈱ アメ リカ :YAMAZAKⅠTABLEWARE.,Ⅰnb. -昭和

5

5

年 -(資料)各社 ホームぺ- ジ等 よ り政策銀作成 (出所) 日本政策投資銀行 ・新潟支店 『三条 ・燕地域 の企業活力 の源泉 に学ぶ 一地域産業振興 に向 けて ノ のケーススタデ ィー ー』 (付属資料)

(

2

0

0

4

8

月)

p.

1

7

よ り。

(9)

3

.新潟県金 属加工業企業 の経常課題 -実態分析 (

*

2)

次 に、以上 のグローバル ビジネスモデルが実際の企業経営おいて どのような意味を持 っているのか に つ いて検証す るために、 中越金属加工業企業 を中心 に して実態調査 を行 ってみたが、 その結果 は下記 の 通 りである。 (1) 株式会社 高儀 同社 は三条市 に本社 を置 く金属加工製品の製造 ・販売会社である。創業が慶応

2

年 とい うことか らも 窺 え るように伝統 のある企業である。売上高 は

1

91

億 円

(

2

0

0

2

年度) に達 してお り、 また従業員数 も

4

6

6

名 を数え る中堅規模企業 であ る。事業 内容 は、建築用工具、家庭用工具、電動工具、DIY用品、 ガーデ ニ ング用品等 の企画 ・製造 ・販売 である。 同社 の事業展開は大別す ると次 の五つの事業分野 に区分 され る。第一事業部 は、作業工具、建築工具、 電動工具、利器工 匠具等 の卸売 りな どであ り、全国の金物小売店 を対象 に している。 エ ン ド・ユーザー は専 らプロフェッシ ョナルである。 売上高 は凡 そ

7

0

億 円

(

2

0

0

2

年) に上 るとされ る。 この分野 の製品 は 国内で生産 され、販売 は国内市場 を対象 に している。 第二事業部 は、学校教材、 ギ フ ト用品の卸売 りであ り、対象 は学校教材販売会社、通販 ・カタログ業 者 な どである。 この分野 も国内生産であ り、国内市場 を対象 に している。 第三事業部 は、家庭用工具、電動工具、 ガーデニ ング用 品、家庭金物 な どの卸売 りであ り、対象 は全 国のホームセ ンターであ る。従 って一般 のユーザーを も対象 に してい る。売上高 は最 も大 き く凡 そ

1

0

0

億 円 (同) に達 しているとされ る。注 目され るのは、 この分野 の製 品の凡 そ85%が中国の 自社工場 (無 錫工場) でOEM生産 されてお り、 その全 てが国内市場 で販売 されているとい うことである。 この他、 ネオカ ッ ト事業部 ではノコギ リ、刈 り込 み鉄、高校切 り鉄 の製造 ・組 み立てを行 ってお り、 海外市場 を も販売対象 に している。 売上高 は凡 そ

5

億 円 (同) とされ る。最後 に新規事業分野 と して、 万年 ウ ッ ド (仮称) の製造 ・販売 を企画 しているとの ことである。売上高 は凡 そ

7

億 円 (同) との こと である。 さて以上 の事業展開を類型化す ると以下 の通 りとな る。 海 外 市 場 国 内 市 場 上 図か ら引 き出せ る 「グローバル ビジネスモデル」 に関す る同社 の特色 は次 の二点 である。一つ は、 同社 の場合、事業分野 によって類型化 され るとい うことである。つ ま り事業分野別類型化論 を必要 と し

- 3

(10)

9-ているということである。二つには、第三類型事業群 に属す る第三事業部の事業展開が同社経営の屋台 骨を支えているということである。すなわち、 中国の無錫工場 における

OEM

生産が経営のカギを握 っ ているのである。 同社の 「グローバル ・ビジネスモデル」の核心 は実はこの点 にあると云えよう。 無錫工場の

OEM

生産 はコス ト要因に因 ってお り、 そ うした要因が作用 している限 り、 それは同社 の 収益構造 に大 き く貢献 し、同社 は自社の ビジネスモデルか ら果実を得続 けることができる。 だが問題 は、 抑 中国 とくに同社工場が立地 している長江三角州 における労働市場の変化 -すなわち上海地域を中心 と す る急速な経済発展 による 「華東経済圏」 における労働市場の逼迫化 -、(ロ)日本国内の同業他社の追随 による同社 「グローバル ビジネスモデル」の汎用化 -つま り同社の競争優位性の低下 一、 という二つの 条件変化 に伴 い、そ うしたメ リッ トが低下ない し喪失す る可能性が、同社の ビジネス卓デルには伏在 し ているという点である。従 って、近い将来予想 されるそうした条件変化 に対 して、同社が どのように対 応す るかが同社の今後の経営戦略上の最重要課題 となるもの と観 られる。

(

2

)

シンワ測定株式会社 同社 は

1

9

7

1

年 に設立 された企業である。現在の企業規模 は、売上高が凡そ

3

5

億 円

(

2

0

0

2

年)であ り、 従業員数 は

1

7

5

名である。やは り中堅企業 に属 していると云え よう。事業 内容 は、長 さ計製造 (金属製 直尺 ・曲尺)、工作機械等特殊 目盛 り、写真技術 による特殊表面加工、精密エ ッチ ング、温度 ・湿度計 製造、面状発熱体、各種計測機器、建築用工具などの製造 ・販売である。事業所 は、本社および工場が 三条市および燕市 にあるほか、中国 ・大連 に関連会社 (親和測定有限公司)を持 っている。 同社の特色 は、 この大連子会社を生産基地 として有効 に活用 しているところにある。大連子会社 は、 シンワ測定株式会社の子会社 として

1

9

9

1

年 に 「大連経済技術開発区」 において設立 された比較的新 しい 会社である。大連開発区に設立 したのは、同開発区が輸出型の外資企業 に対 して税制面で様 々な優遇措 置を受 けられる経済技術開発区であったか らだ とのことである。事業内容は、量具 ・工具製造販売であ るとされる 。 現在の従業員 は、正規従業員が約

1

2

0

名の他 に常時パー ト労働者を起用 しているとのこと である。 従 ってかな りの生産規模を有す る企業であると云える。 大連 に企業を設立す るに当たっては、同社 としてはそれを中国国内市場を含む国際マーケテイ ングの 一環 として位置づけていたとされるが、実際にはむ しろ同社の生産基地つま り加工基地 として活用 され、 今 日に至 った とのことである。 しか しなが ら、 同 じ加工基地 とはいえ、時 とともにその性格が変化 して いる。 当初 は、「釆料加工」方式 (つ ま り原材料 は 日本の本社か ら支給 し、それを大連工場で加工 し、 製品ない し仕掛品を再 び本社 に放送 し加工費のみを売買す るという加工方式)であ り、 しか もこの方式 が殆 どであった。従 って純粋 に加工基地 として位置づけられていたのであるが、その後、 この方式 は後 退 し、現在ではそれに代わ って 「進料加工」方式 (つま り原材料を支給 品 として 日本か ら持 ち込むので はな く積極的に中国製の原材料 に移行 し、 また製品および仕掛品の全てを 日本 に搬送す る必要 はないと いう加工方式)が全体の8割 (従 って釆料加工 は2割 となる)を占めるに至 っているとされる。進料加 工方式の場合 には、釆料加工方式 に比べ、内販 (中国国内での販売)が比較的容易で り、その意味では マーケテイ ングの可能性 は高 まっているとの ことである。 (尤 も、だか らといって、現在 もなお大 きな 代金回収 リろクがある以上、今す ぐ内坂 に乗 り出す積 もりはないとのことである。) コス ト面では、何 れにせ よ、大連工場の生産費 (同社の場合 は加工費) は、 日本での生産費 (三条 ・燕工場 における生産 費) に比べ凡そ

1/3

に過 ぎないとのことである。 (日本の消費税 に当たる 「増値税」 については、 同 社の場合凡そ

1

7

%

を支払 っているが、 ここで云 う生産費 とは、直接的な費用以外の こうした諸経費を全

- 4

(11)

0-\\J て含めて?ことである。) 従rって大連工執 事、生産規模如何では、同社 にとって大 きな コス トダウン効果を期待 し得 るというこ とであ り、それ更 け同社 として経営上のメ リッ トが大 きいうことを意味 している。そこで次 にこの点を 確認 しておこう。 同社の売 り上 げ

(

2

0

0

2

年)の中で上位

5

品 目について調べてみると、以下の通 りであ る。曲尺 は売上額が約

6

億円であるが、その うち大連工場調達比率 は凡そ

1

5

%

である。建築用工具は同 じく約6億円であ り、同比率 は約

7

0%

と大半を大連工場 に依存 している。 レーザー ・光学機器は同 じく 約

3

億 円であるが、大連工場 には全 く依存 してはいない。直尺 は同 じく約

2

5

,

0

0

0

万 円であるが、大 連工場比率 は凡そ

8

0%

と殆 どを依存 している。 最後 に水平器 は同 じく凡そ

1

5

,

0

0

0

万 円であるが、 こ れまた大連工場 には依存 していない。 つま り、建築用工具や直尺、曲尺な どの分野では大連工場 に大 き く依存 してお り、 しか もこうした分 野の同社売上比率の高 さか ら観て、結局同社の場合 も、大連工場 は同社経営の屋台骨を支える役割を果 た していると云えるのである。 次 に、大連工場 は今後の同社の ビジネスモデルにおいて どのような意味を持 っているのか ということ メ を探 ってみよう。 この点をクローズア ップす るために、上記

5

品 目のプロダク トサイクルを調べてみる と、 まず汎用品に関 しては、曲尺および直尺 は低落傾向を辿 っているのに対 して (とくに曲尺 について はその傾向が顕著である)、建築用工具 は逆 専こ急増 している。つ ま り同 じ汎用品の中で急速 に代替化が 進展 しているのであるが、それは建築分野 における技術革新を反映 した ものと想定 される。その意味で、 構造的な性格を持 っているものと理解 しておかなければな らないであろう。 しか しなが ら、建築用工具 における大連工場の依存率の高 さか ら観て、同社 にとってはそ うした代替効果が経営の圧迫要因 とは必 ず しもなってお らず、む しろ経営改善効果にす ら繋が っている面があるとのことである。その点か らも、 大連工場が同社経営 に対 して果たす役割は今後 も引き続 き大 きいと考え られよう。他方、 レーザー ・光 学機器および水平器な ど比較的高度 な技術を要す る分野 は増加傾向にあるが (とくに レーザー ・光学器 は大幅に増加 している)、 こうした高度技術分野 は同社 にとて も今後成長分野 に属す るもの と想定 され るが、 こうした分野 についてのコス ト引き下 げ問題が今後登場す る際に、国内生産 と中国生産 との組み 合わせを技術 ・コス ト両面か らどのように考えるのか ということが同社 にとって も重要な経営課題の一 つ として浮上 して くるもの と想定 される。 最後に、 中国市場をは じめとす る国際マーケティ ング戦略を どのように展開す るのか という問題 -そ れは同社 にとっては古 くて新 しい問題で もあるが-が同社 にとって も避 けては通れない課題 として今後 登場 して くるもの と想定 される。上記の

3

5

億 円の同社売 り上 げの殆 どが国内向けであるということは、 同社のグローバル ビジネスモデルがやは り第Ⅲグループに止 まっているということを示 している。だが、 海外市場開拓のためには第Ⅳ グループへの転身が求め られてお り、 とくに中国市場の開拓を 目指す場合 には、そのことが不可欠の課題 となる-ということを指摘 しておきたい。 (3)角田工具製作所 同社 は、新潟県吉 田町に立地す る金属加工 メーカーであるが、 とくに作業工具の企画、製造、販売を 目的 としている。操業 は

1

9

6

4

年であ り、従業員規模 は

5

4

名である。扱 う品 目は、ペ ンチ類 (ペ ンチ、 ラ ジオペ ンチ、強力ニ ッパー、ケーブルカッター、 ミニベ ンチ、 ミニラジオ、 ミニニ ッパー、斜ニ ッパー)、 プライヤ一類 (プライヤー、 ウオーターポンププライヤー)、 レンチ類 (六角 レンチ、T型六角 レンチ)、 ビッ ト類 (各種電動、エアー ビッ ト)、鍛造品 (各種鍛造品、 自動車部品鍛造)である。

14

(12)

1-会社の沿革 を紹介 してお くと、以下の通 りである。

・1

9

6

4

5

月 ;個人操業 プライヤー生産開始。

・1

9

7

2

5

月 ;株式会社角 田工具製作所 を設立、ペ ンチ類生産開始。 _

・1

9

7

9

1

1

月 ;本社吉 田町 に移転。

・1

9

8

2

4

月 ;本社工場ペ ンチ類の

J

I

S表示認定工場 となる。

・1

9

8

6

1

2

月 ;関連会社 (秩) 田中工具製作所設立、 ミニツールの生産。

・1

9

8

8

6

月 ;燕工場操業開始、 プライヤー類、 レンチ類、 ビッ ト類の生産。 ・ 同

1

2

月 ;関連会社 (秩) シグマ工業設立し各種熱間鍛造品の生産。

・1

9

8

9

9

月 ;燕工場 プライヤー類 の

J

I

S表示認定工場 となる。

・1

9

9

1

1

0

月 ;関連会社安塚精工 (秩)設立 ・関連会社 タイツノダツール設立、精密作業工具の生産 お よび各種作業工具の製造販売。

・1

9

9

3

1

1

月 ;タイツノダツール操業開始。

・1

9

9

9

1

0

月 ;タイツノダツール

J

I

S表示認定工場 (従業員数約

2

0

0

名) とな る。 以上の沿革か らも理解 され るように、 同社 もまたアジア と くにタイへの進 出を機 にボーダ レス経営へ と移行 している。 同社 のボーダ レス経営の特徴 は、(j)企画開発を主体 とした燕工場 と生産を担当す るタ イ工場 との コラボ レー シ ョン、(ロ)国内外ユーザーのニーズの変化 に機敏 に対応す る体制を整えている吉 田本社工場 によるコラボ レー シ ョンの高度化 -とい う二つの要素を結 びつ けることによって、 内外両面 に亘 る生産機能 とマーケテイ ング機能 とを上手 くリンクさせなが ら、製品の高付加価値化 を展開 してい る点 にある。 この点を作業工具 の高付加価値化 プロセスについて具体的に観てみると、以下の通 りである。 〔角 田工具製作所のグ ローバル ビジネスモデス〕 ・市場構造 ;一 海外 (輸 出) :

6

割 [横這 い] (うち約

9

0

%

が台湾 ・韓国 ・中国を 中心 とす るア ジア向け輸 出) [ユーザー] :ユーザー動向の変化 - HHHHH- - HHHH一一一 汎用品 (一般 向け ・アマチュア利用型) 高度品 (工場 向け ・プロ利用型) <- --- --- -- 一一--- ---- -I 国内 :

4

割 [横這 い] [ユーザー] :ユーザー動 向の変化 - 日日一日日日- - =一一一日一一

日-

-日日-=・

汎用品 (一般 向け ・アマチュア利用型) -生産構造 ; 高度品 (工場 向け ・プロ利用型) く-- -- =‥- -- -‥- 一一

- -

-国内 :

6

割 [漸減] (高度製品の生産 を中心 としている) 高度製品一部 はタイへ移管す る予定 日- =- - =-- - -I 国内生産 はニーズ高度化 に対応す る開発試作型へ移行予定 海外 (タイ) :

4

割 [漸増] (汎用品及 び半製品を生産 している。 但 し部品 ・原材料 はほぼ全量 日本か ら調達)

-4

2--

- - =-:将来 一日--- 一一一:今後 (現在)-→ - (将来)

J

_

l

(13)

要す るに角 田工具製作所 の グローバル ビジネスモデルは、 グローバル経営の下 で、市場構造 と生産構 造 の変化 をダイナ ミックに捉え ることによって、両者 を上手 くマ主ッチ ングさせなが ら、 同社 の国内外 に おける生産機能 とマーケテイ ング機能双方 を今後 とも有効 かつ積極 的 に活用 しよ うと している ものだ と 云えよ う。 (4) 旧明道株式会社 (注a) 燕市 に本社 を置 いた旧明道株式会社 は、従業員

9

5

名 を擁す る金属加工業者 であ ったが、事業 内容 は、 ハ ウスウエア、 キ ッチ ン用品な ど食生活や住環境 に係 わ る金属製品の企画販売 であ り、 その意味では卸 売 り業 に属 していた。 だが同社 の業態 は、単 な る卸売 り.業者 とい うよ りも工場 を持 たないメーカーすな わち 「フ ァブ レス企業」 と呼んだ方 が適切 であ った。 同社 の歴史 を紹介 してお くと、会社設立 は

1

9

4

7

1

1

5

日であるが、 そ こにはさ らに前史 が横 たわ っ てお り、創業 は

1

9

3

7

5

1

日に遡 る。 同社 は、前会長 である明道太計 巳氏が煙管 (キセル) の製造販 売 を開始 した この時点 を創業 とみな していたか らである。.従 って同社 の沿革 は以下 の通 りとな る。

・1

9

3

7

5

月 ;創業

・1

9

4

7

1

1

月 ;株式会社明道権冶商店 の設立 /㌧J

・1

9

7

2

1

0

月 ;社名 を明道株式会社 と改称

・1

9

7

5

1

0

月 ;燕商業卸 団地 に物流 セ ンターを完成

・1

9

9

6

8

月 ;ホームペー ジ開設

・1

9

9

8

4

月 ;イ ン トラネ ッ ト構築 開始

・2

0

0

0

4

月 ;基幹業務 と情報 システムの連携開始

・2

0

0

2

4

月 ;新基幹 システム運用開始 同社 の以上 の沿革 か らも窺 え るように、卸売 り業者 と しての同社 の歩 みは、 同時 に 「イ ンター ・メデ ィエーター

(

I

nt

e

r

-

me

d

i

a

t

o

r

;取 引仲介業者)」か ら丁 イ ンフォ ・メディエーター

(

I

nf

o

-

me

d

i

a

t

o

r;

情 報仲介業者)」へ の転身 のそれで もあ った とい う点 にまず注 目 しておかな ければな らない。 その ことが 次 に述べ る同社 の 「地域 サプライチ ェー ンネ ッ トワー ク」構想登場 の背景 をな していたのである。 「地域 サプライチ ェー ンネ ッ トワー ク」構想 とは、金属加工集積地域 である県央地域 において、 同社 が 「地域 イ ンフォ ・メディエーター」機能 と 「地域 コーディネーター」機能の双方 を駆使す ることによっ て集積地域企業 間の コラボ レー シ ョンを推進 しよ うとい うものであ った (注b)。要す るにそれは、 同 社 が 「フ ァブ レス企業」化す るための手段 の一つであると同時 に、地域 におけるコラボ レー シ ョン再構 築 の手段 で もあ った。 しか しなが ら、 「地域 サプライチ ェー ンネ ッ トワー ク」 が情報 ネ ッ トワー クシステムであ る限 り、 そ れはあ くまで も手段 に止 まっていた とい うことも見落 とせない。 それ 自体 が、県央地域 の金属加工企業 が直面 している課題 -すなわち地域 ブラ ン ドを確立 して世界市場 に参入 し地域産業 と して生 き残 りを計 るとい う課題 (注C) -の直接的な解決手段 であ る、 とい う訳 ではなか-った。 そ こで同社 は、「地域 サ プライチ ェー ンネ ッ トワー ク」構想 とともに、燕 ブラ ン ドの確立 のために新 たな方途 を打 ち出 した。 それが、「しゃ らくもの (写楽 もの)」 であ った。 「しゃ らくもの」 とは、県央 地域 を中心 とす る7社 の金属加工 メーカーがそれぞれの得意 とす る技術 を駆使 して独 自な製品を開発 ・ 生産 しなが らも、それ らの製 品を国際市場 に売 り込むために一つのブラ ン ドに纏 め上 げた ものであ った。 (それ は丁度、 ドイツの ゾ- リンゲ ン市 が同市 の刃物 メーカーの地域 ブラ ン ドであ◆る "ゾ- リンゲ ン''

- 4

(14)

3-を世界 に冠 た るブラ ン下 に迄育 て上 げることによって同市 の刃物製品のグローバル ・17-ケティ ングに 成功 を収 めた とい うことを想起 させ る。) その意味でそれは、集積地域企業群 によるグローバル ・マー ケティ ング戦略 に係わ っていた。だが こうした戦略を展開す るためには集積地域企業間の コラボ レ⊥ シ ョ ンが不可欠であ り、 さらにその コラボ レー シ ョンを可能 にす るためには 「イ ンフォ ・メディエータ「」 機能 と 「コーディネーター」機能が求 め られ るが、 それ らの機能 を発揮す るのが同社 の役割であ ったの で、 それを支援す る

I

T

が 「地域 サプライチ ェー ンネ ッ トワー ク」 に他 な らなか った。 以上 か らも明 らかな よ うに、 同社 が 「フ ァブ レス企業」化す る とい う意 味 は、 同社 が

I

T

を駆使 して 三つの機能すなわ ちイ ンフォ ・メディエーター機能、 コーディネーター機能 そ してマーケテイ ング機能 を果 たす とい うことであ ったが、 その際重要 な点 は、 これ らの機能が集積地域 内における内延 的展開 と 共 にボーダ レスな展開を求 め られている-マーケテイ ング機能 の場合 は と くにその ことが重要であ った。 つ ま り重層的な展開が求 め られていたのである。 同社の 「フ ァブ レス企業」化がそ うした文脈 において 捉え られなければな らなか った とすれば、 同社 のグーローパル ビジネスモデル における今後 の戦 略的課題 は、文字通 り 「グローバル ファ7hAレス企業」化 であ った と云えよ う。 (注a)明道株式会社 は

2

0

0

5

7月2

3

日付 けで和平 フ レイズ社 と統合 した。 (注b)明道社 の 「地域 サプライチ ェー ンネ ッ トワー ク」構想 に対す る以上 の理解 につ いては、蛇名保 彦 「ア ジア共生型 『ビジネス情報 ネ ッ トワー ク』 の提唱 一新潟経営大学 ビジネスフォーラムの 論点整理 と課題

-

」 (新潟経営大学 ・地域活性化研究所 『地域活性化 ジャーナル』 [第7号])

p.

1

0を参照 の こと。十なお石井泰華氏 は、 さ らにそれ に加 えて 「地域 プライチ ェー ンネ ッ トワー ク」 におけるマーケテイ ング機能 の重要性 を指摘 されている (石井泰幸 「地域情報 ネ ーッ トワー クの現状 と展 開 - コラボ レー シ ョンネ ッ トワー クの展 開

-」

[明治大学経営学研究所 『経営論 集』(第

5

0

)]p.

2

1

0-2

1

8

参照)。 (注C) この点 に関連 して同社 の明道章一前社長 は興味深 い コメ ン トを されている。 「市場 は、少子高 齢化 によ り、先進 国を中心 と し、縮小 してい くことは間違 いない。 また中国な どか らの安 い輸 入 品が 日本 の市場 に進 出 している。 この上 に、外資系 の巨大 な資本 が 日本市場 に参入、資金力 に ものを言 わせ、 さ らに商 品の価格競争力 を激化 させ るのは 目に見 えている。 外資系資本 の、 世界規模 での購買力 の前 で、 い くら輸入 量を主力 に して、価格 を下 げて も、一企業 では限界が あ り、価格競争 ではかなわない。反面、外資系資本 の参入 で商 品構成が均一 にな って、商品選 択 の幅が狭 まるか もしれない。 さ らに、外資や輸入 品の攻勢 に絶対負 けない ものは、 日本人 が 持つ独 自の文化や価値観 だ。 そのためには、企業 の枠 を超 え、燕 ブラン ドと して、全体 の力 を 集約 し、 世界 に発信 す る必要 が あ る

。I

T

は全体 を集約す る道具 だ

(

Ec

hi

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[

2

0

0

2

'

.

0

7

.

2

6

]

よ り) と語 って いる。 要す るに同氏 は、(1)低価格化 を武器 と した中国製 品や外 資の攻勢 が反面 では画一性 とい う陥昇 一それは コモディティー戦 略 (価格 に依拠 した商品化戦 略) が往 々に して陥 る陥葬である一に陥 っていることを喝破 されてお り、(ロ)従 って 日本人が持 つ独 自の文化 や価値観がそれ に対す る最 も有効 な反撃手段 た りうるとい うことを見抜 いてお ら れ、Vl)そ して、燕 ブラ ン ドを世界 に発信す るためには、集積地域企業間の コラボ レー シ ョンが 不可欠 であ るが、「地域 サ プライチ ェー ンネ ッ トワー ク」 はそのための有力 な手段 であ るとい うことを示 唆 されている-のである。

- 4

(15)

4-(

5

)

株式会社 遠藤製作所 同社 は燕市 に本社を置 く金属加工企業である。 同社 の設立 は

1

9

5

0

1

1

月 に遡 る.^従業員規模 は

3

7

2

名 (平成

1

5

4

月現在、なおタイ子会社 は

2

,

5

2

2

名)である.1事業 内容 は、 ゴル フクラブヘ ッ ド、 ステ ンレ ス製品、一一般鍛造 品の製造 ・販売 である。 なお、平成

1

5

3

月 には

JASDAQ

市場で株式 の上場 を行 っ ている。 同社の沿革 を辿 ると次 の通 りである。

・1

9

4

7

2

月 ;創業

・1

9

5

0

1

1

月 ;株式会社設立

・1

9

5

6

2

月 ;金型 内製化

・1

9

5

7

4

月 ;キ ッチ ン用品分野へ進 出

・1

9

5

9

4

月 ;洋食器 ・ハ ウスウエア用品分野へ進 出

.

1

9

6

8

5

月 ;ゴル フ用品分野へ進 出、 ゴル フクラブヘ ッ ドの製造販売開始

・1

9

8

9

4

月 ;ゴル フ事業部 の生産拡大 のために

ENDO THAICO.

,

LTD.

をタイで現地法人 と し て設立

・1

9

9

0

5

月 ;

ENDO THAICO.

,

LTD.

ラカバ ン工場完成

・1

9

9

2

5

月 ;ステ ンレス事業部門の生産拡大のために

ENDO STAI

NLESSSTEEL (

THAI

LAND)

CO.

,

LTD.

をタイ現地法人 として設立

・1

9

9

3

7

月 ;ゴル フ事業部拡張 に伴 い、 ゴル フ事業部第

2

工場 ・鍛造工場を新設

・1

9

9

4

1

2

月 ;

ENDO THAICO.

,

LTD.

ゲ ッ ドゥエイ工場新築

・1

9

9

6

4

月 ;関連会社である株式会社協鍛を通 じて

ENDO FORGI

NG (

TAI

LAND)CO.

,

LTD.

を現地法人 として設立

・2

0

01

1

0

月 ;

ENDO THAICO.

,

LTD.

マ シニ ング工場 として新築

・2

0

0

3

3

;JASDAQ

市場 に株式上場 以上 の経過か らも窺えるように、 同社 は、事業の中核 をなす ゴル フクラブヘ ッ ドをは じめステ ンレス 製品、 自動車等鍛造部品な どの生産拠点 (一部販売拠点を含む)を次第 にタイに移行 してお り、 その意 味ではタイを生産基地 とす る典型的な 「グローバル経営」である。 同社の事業 内容を部門別 にみてみると、 ゴル フ事業が圧倒的に大 き く同社の総売上高

8

9

億 円強 (平成

1

4

9

月期)の うち

8

9%

を占めてお り、 ステ ンレス事業

(

6

.

5%)

、その他事業

(

4.

5%)

を圧倒 している。 上述 した よ うに同社 は子会社 と して

3杜 4

工場 をタイに有 して い るが、 その うち

ENDO THAI

CO.

,

LTD.

(ラカバ ン工 場 、 ゲ ー トウェ イ工 場 ) にお いて は ゴル フ製 品、

ENDO STAI

NLESS

STEEL (

THAI

LAND).

CO.

,

LTD」

においてはステ ンレス製 品、

ENDO FORGI

NG (

THAI

LAND)

CO.

,

LTD」

においては自動車等鍛造部品およびゴル フヘ ッ ド鍛造品をそれぞれ製造 している。

ただ しこの場合、製造工程 の全 てをタイの子会社 に委 ねている訳 で はない。

ENDO STAI

NLESS

STEEL (

THAI

LAND)CO.

,

LTD」

および

ENDO FORGI

NG (

THAI

LAND)CO.

,

LTD」

の場合 に

は全ての製造工程を行 っているが、

ENDO THAICO.

,

LTD.

については、 ゴル フクラブヘ ッ ドの製 造工程 は、燕 の本社工場で金型製作 および鍛造 プ レス等の前工程 を行 い、

ENDO THAICO.

,

LTD.

では溶接、`研磨、 メ ッキ等 の後工程 を行 っている。本社工場 とタイ子会社 との間で製造工程 における分 業関係が必要 とされ る理 由は、 ゴル フクラブヘ ッ ドの製作 には同社独特の技術が用 い られているか らだ。 同社の独 自技術 (注a)とは、抑 メタルヘ ッ ドの材料 となるチタ ン合金を金型 に合わせてプ レス成形す

ー 4

(16)

5-る技術、(ロ)アイア ンヘ ッ ドの材料 であ る軟鉄 を加熟 し叩いて成型す る鍛造工程 -の二つで あ るが、 こう した技術 は今 なお本社工場 内に止 ま ってお り、 タイ工場 には移転 されて はいないのであ る。 従 って、 同社 の場合 もまた、 コス ト削減 を 目的 と した量産型製造工程 を海外 に委 ね、 国内では高度技 術 を要す る製造工程 に特化す るとい う 「グローバル ビジネスモデル」 を取 り入 れ、 それ に依拠 して 「グ ローバル経営」 を行 ってい る。 同社 は以上 の グローバル経営戦 略 -す なわ ち、一方 で高度 な金属加工技術 を駆使 しなが ら、他方 で大 幅な コス トダ ウ ンを実現す る とい う経営戦 略 -の下 で売 り上 げを大 幅 に拡大 して きたのであ る (注b)。 その意 味で同社 は 「グローバル経営」 の成功 によ り ``勝 ち組" とな った集積地域金属加工企業 と して注 目され よ う。 しか しなが ら、以上 のよ うな意 味 での 「グローバル ビジネスモデル」 を同社 が今後 とも保持 しうるか 否 か につ いて は慎重 な判断 を要す る もの と思 われ る。 その理 由 と して は次 の二 つが挙 げ られ よ う。 一 つ は独 自技術 の海外移転 の可能性 で あ る。今後量産工程 が次第 にタイに シフ トす るの に伴 って、 同社 の独 自技術 であ る上記 の高度技術 もまた移転す る可能性 を全 く否定す る訳 にはいかないか らであ る。二 つ に はマーケティ ング戦 略の必要性 で あ る。今後 は、上記 の 「グローバル ビジネ スモデル

に加 えてマーケ テイ ングな どの販売戦 略 - と くに海外販売戦 略 -を強化す ることによ、って タイプⅣ型 の 「グローバル ビ ジネスモデル」 に挑戦す ることもまた経営戦 略上 の課題 とな る可能性 があ るか らだ。 (注a) この独 自技術 こそが同社製 品 に対す る市場 の確保 を可能 に して い る最大 の理 由で あ る。 (注b)同社 の売上高 は、「平成10年3月期 には119億7,079万 円で あ ったが、平成14年3月期 には140億

8

,501万 円に迄拡大 して いる。

4

.新潟県集積地域 お よび企業 の課題 (

*

3)

そ こで以下 では、以上 のマ トリックス分析 および実態分析 が示 唆 して いる点 -す なわ ち中越金属加工 企業 の競争力源泉 -を さ らに引 き出 しかつ一層発展 させ、 しか も、 グローバル ビジネス類型化論 で指摘 されて いる点す なわ ち中国 ア ジア ビジネス と りわ け中国市場獲得 ビジネ スの展 開 においてそれを有効 に 活用 して い くためには、新潟県集積地域 お よび企業 は どの よ うな課題 に取 り組 むべ きなのか とい う問題 を探 ってみ よ う。 で は、上記 の課題 とは何 か。 それ は以下 の通 りで あ る。 す なわ ち、(j)「地域 国際 ブラ ン ド戦 略」、(ロ) ブ レイ クスル ー型技術 開発、仲 情報 ネ ッ トワー クシステムの活用

国新金融 システムの形成、(*)ボーダ レス ・コーディネー ト機能、(,i)人材養成 ・育成 システムーの六つであ る。 そ して こう した課題 に応 え る ためには、産学官協力 とい うフ レーム ワー クを用意 す る必要 が あるだ ろ う。 なお、最後 の人材養成 ・育 成 につ いて は項 を改 めて検討 しよ う。 (1) 「地域国際 ブラ ン ド戦 略」 まず、、産業集積地域企業 の競争力源泉 が変化 しつつ あ るとい う指摘 を見落 と して はな らない。す なわ ち、以前 は、 「価格」、 「品質」、丁技術」、 「販路」 な どが主 た る競争力源泉 で あ ったのだが、 日本経済 の 成熟化 や中国 ・ア ジア諸 国製 品 との競争激化 な ど外部環境 の変化 によ り、新 たに、「ス ピー ド」、「技能」、 「マーケテイ ング」、「サー ビス」 さ らには 「経営力」 な どの新 たな競争力源 泉 が求 め られて い る とい う 指摘 が それであ る (図表

Ⅱ-1-N

α2

参照)。 いわゆ る 「ブラ ン ドカ」 の強化 が不可欠 で あ るとい う訳

1 4

(17)

6-だ (注2)

0

ただ し今 日求め られているのは単なるブラン ドカ強化論ではない。確かにブラン ドカ強化の必要性 自 体 については異存はないが、その場合、次の五っの論点が解明されなけな らない。第

1

の論点は国際ブ ラン ド戦略の重要性である。第2の論点は 「地域 ブラン ド」の性格である。第3の論点は流通業のあ り 方である。第4の論点は ``ものづ くり''っま り製造業 におけるブラン ドカのあ り方である。最後 にブラ ン ド戦略 と 「知価経営」論 との関連性 も見逃せない。 第

1

の論点すなわち国際的なブラン ド戦略の重要性か ら検討 してみよう。 この間題 については、大企 業 と中小企業 とりわけ地域企業 とでは、問題の意味が異なるということをまず理解 してお く必要があろ う。大企業の場合 には、企業 ブラン ドと商品ブラン ドが第

1

義的に重要なのに対 して、中小企業なかん ず く地域企業の場合 には、企業 ブラン ド・商品ブラン ドに先立 ち往 々に して地域 ブラン ドがよ り重要な 意味を持 っているのである (注3)。 ゾ- リンゲ ンの刃物やフィレンツェの繊維製品の場合がその典型 である。 日本の場合 もこうした地域 ブラン ド育成が本格的に動 き出 している。例えば金属加工製品を中 心 に した地域 ブラン ド育成事例 としては、最近の ものだけで もかな りの数 に上 っている (図表Ⅱ-

1-N

0

.

3

参照)。 さらに注 目され るのは、 それを国際的なブラ ン ドとして育成 しようという動 きが出てきて いることである。 いわゆる

JAPAN

ブラン ド育成支援事業」がそれである。 それは中国に対す る 「市 場獲得型 ビジネスモデル」 と深 く関わ って登場 してきている。 例えば、燕商工会議所の 「燕製品 中国 販路開拓 プロジェク ト」および三条商工会議所の

SANJO

発 グローバル ・ブラン ド構築支援 プロジェ ク ト

などがそれである。前者の 「燕 プロジェク ト」 は、 中国向けに高級でデザイ ンの洗練 された洋食 器 ・ハ ウスウエア製品を開発 し、統一 ブラン ドで売 り込 もうというものであるが、それは正 に 「市場獲 得型 ビジネスモデル」の一環 として国際的地域 ブラン ドを確立 しようというもの ものに他な らない (注

4)

。 その成否 は、単 に燕洋食器のみな らず、燕 ・三条地域金属加工製品 とりわけ作業工具、利器工匠 な どの中国市場 -とりわけ消費財市場 一進 出問題 に も大 きな影響を与え るもの と想定 される。 (尤 も、 「燕 プロジェク ト」の場合 には、中国市場の中で も専 ら上海市場 -それ も高級品市場 -の獲得がターゲ ッ トにされているようだが、そ うだ とすれば、 ドイツ製品や韓国製品 とりわけ ドイツ製品 との競合問題 に 対 していま少 し踏み込んだ対応が必要であると考え られ るのだが。)後者 の 「三条 プロジェク ト」 は、 作業工具 な ど金属加工製品の ヨーロッパ市場開拓を 目指 して、「新 ブラ ン ド戦略」 に挑んでいる。 しか しなが らこの場合 もまた、(1)まず海外市場を獲得 し、そ こか ら逆 に国内市場獲得 に向か うという ``逆流 戦略''-すなわちそれは本稿が主張 している第Ⅳ類型 に依拠 した 「グローバル ビジネスモデル」 に他な らない-を背後 に潜 ませている、(ロ)そ うした ``逆流戦略"の一環 として中国市場獲得を も視野 に入れて いる、 とい う点では、燕商工会議所の場合 と同様 に、中国に対す る 「市場獲得型 ビジネスモデル」 に繋 がる 「地域国際ブラン ド戦略」 とみなす ことができよう (注 5)0 では 「地域 ブラン ド」 と 「企業 ブラン ド・商品ブラン ド」 との関係 についてはどうか。第

2

の論点で ある。そ もそ も地域 ブラン ド論 は企業 ブラン ド論を前提 としているということをまず確認 しておかなけ ればな らない。 だが、 中小企業なかんず く地域企業 の取引関係 はその多 くが これまでOEM体制 に組み 込 まれてきた。従 って、中小企業 ・地域企業が独 自ブラン ドを形成す るということは、そ もそ も取引関 係の変更 すなわち下請け的な垂直的取引関係か らパー トナーシップに基づ く水平的取引関係への変更 -を意味す る。そ うした観点 に立てば、 中小企業 ・地域企業 のブラン ド戦略 とは企業の独 自ブラン ド確立 と表裏の関係 にあると云えよう。従 って、「地域 ブラン ド」 の形成 はそ もそ も、地域企業が独 自ブラ ン ドを確立 し、取引関係 における独 自性を発揮す るための突破 口に他な らないということを忘れてはな ら

- 4

(18)

7-ないのである。 (上記 の 「地域国際 ブラ ン ド戦略」 が同時 に "逆流戦略"で もあるとい うのはこの こと に も関わ っている。つ ま り、 "逆流" とは、多 くの地域企業 にとっては、単 に ビジネスモデルのボーダ レス化を意味 しているだけではな く、国際ブラン ド形成を通 じて国内の垂直的取引関係をパー トナーシッ プ型取引関係へ と転換 させ る好機到来を も意味 しているのである。 なお中小企業 ・地域企業のブラン ド 形成 のプロセスについては図表Ⅱ- 1-N0.4を参照の こと。) ところで、集積地域 においては、「地域 ブ ラン ド」方式 を主眼 と している場合 もあれば、

「1

1

ブラ ン ド」方式 を推進 している場合 もある (注

6

)。だが、以上 の文脈か らも明 らかなように、「地域 ブラン ド

方式か

「1

1

ブラ ン ド」方式かが問 題なのではな くて、む しろ両者の関係 こそが問題なのである。つま り、地域 ブラン ドと企業 ブラン ド・ 商品ブラン ドとは、そ もそ も相互補完的な関係 にあ り、決 して代替的な関係だ と捉えてはな らないので あ り、われわれはむ しろ両者 の相乗作用 をこそ狙 うべ きである、 とい うことである。 第

3

の論点すなわちブラ ン ド戦略 と くに地域 ブラ ン ド戦略 と流通業なかんづ く卸売業 との関係 につい てはどうか。 この場合、考慮 され るべ きはと くに新卸売業形成 との関連性である。 この点 に関 して、中 越金属加工集積 における金物卸機能 の変化が注 目され る。すなわち、 この地域 における金物卸機能 は、 従来 は物流 ・販売機能 に特化 していたのであるが、今 日では、市場調査や企画 ・開発な ど川上部門の機 能や、販売 ・アフターサー ビスな ど川下部門における機能を重視す る方 向へ と向かい始 めている (図表 Ⅱ- 1-N0.5参照)。 と くに注 目すべ きは、企画 ・開発 な どの川上部 門へ シフ トす ることによって卸売 り業者が 「ファブ レス企業」化 しつつあることだ。つ ま り 「産地問屋」か ら 「ファブ レス企業」へ と変 -容を遂 げつつ あるとい う訳 だ (注

7)

。上記 の地域 における新 ブラ ン ド戦略が こうした卸売 り業 の業態 変化 と密接 に関わ っていることはこれまた云 うまで もないであろう。 と くに卸売 り業 の 「ファブ レス企 業」イヒは上述 した 「地域国際 ブラン ド戦略」 と密接な関係 を有 している。 そ こでわれわれは両者間の相 乗効果⊥ 「ファブ レス企業」化 と 「地域国際 ブラ ン ド戦略」 との間の相乗効果 -を期待す ことができる であろう (注8)。か くして、 中越金属加工集積 にお亡、てはし「地域国際 ブラン ド戦略」 に関わ って、新 流通 システム下での製販一体型 ブラン ド戦略展開の可能性が生 まれているとい うことにわれわれは注 目 してお くべ きであろう。 第4に製造業 におけるブラン ド戦略に関連 して考えておかなければな らないのは、「工場」 ・ 「本社」 関係 における新 たなあ り方 である。「工場

・ 「本社」関係 とは一体何 を指 しているのか。 日本 の製造 業が 日本独特 のモノづ くり技術体系 によって支え られている以上、 そ うした技術体系を強化す る必要性 があるのは当然 として も、 同時にそ うした 「工場」 における努力 とともに 「本社」が果たす役割 もまた 重視 されなければな らない。 日本の製造業 にとって今後 ます ます重要 となるであろう部品開発力強化や 販売力強化 は主 として 「本社」 によって担われてお り、従 ってブラ ン ド戦略の展開に当た って も、部品 開発力強化 ・ブラン ド再構築 を担 う 「本社

機能 と ``ものづ くり"の基盤を担 う 「工場」 との連携 を不 可欠 としている (注

9

)。 ブラン ド戦略が、 こうした 「工場」 と 「本社」 との新 たな連携関係形成 と表 裏 の関係 にあるとい うことをわれわれは強調 しておかなければな らないであろう。 中越金属加工企業が 「地域国際 ブラン ド戦略」 を展開す る場合、 中越地域が "ものづ くり''拠点である以上、本社機能 の強 化 とい う視点 もまた見落 とされてはな らない論点であると云えよう。 最後 に "ブラ ン ド戦略" は 「知価経営」論 とも関わ っているとい うことを指摘 してお こう。 この点 に 関 して、 まず強調 しておかなければな らないのは、現代 ブラン ド論が新高付加価値化論 に関わ っている とい う点である。 ブラ ン ド戦略の背景 には、付加価値概念その ものの変化を背景 とす る新高付加価値化 論が横たわ っているか らだ。 そ して この新高付加価値化論 は 「知価経営」論 とも深 く関わ っているので

- 4

図表 Ⅱ ‑ 2‑N 0 .1 地 場 産 業 に係 わ る人 材 育 成 ・活 用 の事 例 分 野 地 域 内 容 技術者 の育成 新潟県三条市 来京都大田区 .品川区 ◇平成 1 4 年、三条工業会 は、三条市 .三条商工会議所 と共催で、現役のプロを対象 に、技術 向上 を 目的 に鍛冶職人育成講座 の受講生 を募集o全工程 を3年 (月2回) をか け履修○募集 は12人 に限定○三条鍛冶集 団 ( 鍛冶職人 の団体) をは じめ三条市 の現役 プロが指導o ◇平成 1 5 年 の 6 月 か ら

参照

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