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Academic year: 2021

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タネ堆肥の作り方

- GB-BC の使い方 -

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は じ め に

安定した作物生産のためには、堆厩肥の施用は欠かせません。よい堆厩肥を施用すると、土の物理性、化学 性、微生物性が改善され、作物の栽培しやすい環境が作られます。このような目的のために種々の有機質資 材を堆積し、微生物のはたらきによって分解させることを「堆肥化」といいます。

1.堆肥化の目的

(1)取り扱い易くする。 水分をできるだけ早く減らす(ドロドロ→サラサラ)。発酵蒸散、切り返し。 (2)土・作物に対して安全なモノにする。 糞中の雑草種子、病原菌、寄生虫の卵を死滅化。 (3)品質を一定で安定化させる。 施用後の急激な分解や、作物の窒素飢餓から守る。切り返しをしながら熟成させ、安定化させる。

2.堆肥化の理論

(1)有機物の腐熟過程 堆肥の原料である植物残渣や家畜糞に含まれる有機物の大部分は、タンパク質、炭水化物(糖類、ヘミセ ルロース、セルロース)、リグニンです。これらが微生物の代謝作用で分解され、炭酸ガスと水になった り、微生物の体内に取り込まれたり、縮重合により複雑な化合物になったりします。この結果、黒褐色の 堆肥となり、成分的には窒素の大部分が微生物の菌体またはその遺体として、炭素の大部分は菌体または 腐植として存在しています。この過程を腐熟過程といい、作物にとって最適の条件となったときを「完熟」 といっています。 (2)堆肥化と微生物の役割 ①堆肥化に関与する微生物 堆肥は目に見えない細菌、放線菌、糸状菌や小動物など微小な生物の活発な活動によって作られます。堆 肥作りのための微生物は、大部分が好気性の微生物であり、種類の異なる数多くの微生物が一定の法則を もって現れては消えていきます。これを微生物の遷移といいます。 ②堆肥化の3段階 堆肥化は、微生物的には3つの段階に分けて考えることができます。それは、堆積初期の「糖分解期」、 発熱期の「セルロース分解期」、堆肥の温度が下がったころに起こる「リグニン分解期」です。 ⅰ)糖分解期 この段階では、稲わらや家畜糞尿中のタンパク質、アミノ酸、糖質などの易分解性物質が分解される時 期です。この時期は、好気的に分解し、発育の早い糸状菌や細菌が主となります。この過程で、微生物 の盛んな呼吸による熱が発生し、堆積物の温度が上昇します。 ⅱ)セルロース分解期 次の段階は、セルロース分解期です。セルロース分解が堆肥化の主たる役割になりますが、セルロース はリグニンやヘミセルロースで保護されるような形態をもっているため、これらの除去をする必要があ

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ります。中でもヘミセルロースは、セルロースとリグニンの結合組織的役割をもっているため、これを 効率よく分解する必要があります。速成堆肥を作るとき石灰を加えますが、これは化学的にヘミセルロ ースを分解し、セルロースの微生物分解を助ける方法です。 このセルロース分解期は「発熱期」で、堆肥の温度は60~80℃に上昇していきます。このため一般 の菌は活動できず、ごく限られた種類の高温菌がはたらきます。高温性好気性の放線菌(テルモアクチ ノミセスなど)が、ヘミセルロースを分解し、セルロースをむき出しにします。このとき、酸素を盛ん に吸収して自分のまわりに酸素不足の環境を作ります。そこに嫌気性のセルロース分解菌(クロストリ ジウムなど)がはたらきます。 堆肥化は全体として好気的条件で進行しますが、このように部分的には、嫌気性菌も役割を担っていま す。水分が少なすぎると好気性菌だけしか活動できず、また水分が多すぎると嫌気性菌だけしか活動で きません。このため、水分の過不足に注意をはらうことが大切になります。 ヘミセルロースやセルロースの分解がピークを超えると、堆肥の温度はゆっくりと下降してきます。こ のころからリグニン分解が始まり、次の段階に移っていきます。 ⅲ)リグニン分解期 この段階では、堆肥の骨格が分解する時期で、堆肥は黒褐色のくずれやすい性状になります。リグニン 分解は、主にキノコ(担子菌)の仕事ですが、この時期はセルロースなどの中間分解物も多く、堆肥の温 度も低下しているため他の微生物も非常に多くなります。多くの微生物が現れると、それを食べる小動 物が現れ、さらに、トビムシやミミズも見られるようになります。このように多くの微生物がこの時期 に現れては死に、さらに菌どうしの食いあいもあります。こうして微生物の遺体が蓄積していきます。 この微生物遺体が堆肥の窒素成分の大部分を占めるようになります。 以上に示したように、易分解性物質か らヘミセルロース、セルロース→リグ ニンの順序で分解されていき、それに たずさわる微生物もそれぞれに適合し たものに変化していきます。堆肥は、 単一種の微生物でなく、多くの種類の 微生物によって作られています。

3.完熟堆肥の利用と応用

(1)有機質肥料として圃場還元(経営内利用、持ち出し販売) (2)一部敷料としての利用:肉牛・乾乳牛・育成舎へ(オガコの経費節減) 堆肥の温度 図1.堆肥化過程の微生物変化の模式図 糖分解菌 (細菌・糸状菌) ヘミセルロース・ セルロース分解菌 (放線菌・細菌) リグニン分解菌 (担子菌など) 初 期 ← ← ← ← ← 堆 積 期 間 → → → → → 後 期 高 ← ← 温 度 → → 低 微 生 物 相 糖分解期 セルロース分解期 リグニン分解期

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<タネ堆肥の作り方>

1.目的

完熟堆肥を作るうえで、従来の発酵過程を大幅に短縮し、かつ放線菌を多く含んだ完熟堆肥を短期間で作る 基材とします。 タネ菌:水分調整材としての利用 このことによって、限られたスペースでの堆肥舎内で効率的に完熟堆肥を生産でき、作ったタネ堆肥は、「戻 し菌」として上手く使用すれば、増殖しながら長期間使用できます。しかしながら、微生物であるため、増 殖法や利用方法を間違えると、菌の効果も半減します。

2.調整方法

(1)材料 ①生糞(水分85%、セパレータ処理80%、オガクズ含) ・・・・・・・・・・・・・・ 3t ②タネ菌(商品名:GB-BC) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10Kg ③水分調整材 ⅰ.イナワラ(切断済み)または、乾草(廃棄用、予乾済み) 例1.イナワラ使用の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200~300Kg 例2.乾草(水分50%)使用の場合 ・・・・・・・・・・・・・・ 400~500Kg ⅱ.ゼオライト(pH調整材としても有効) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 150Kg 前後 ⅲ.その他(モミカラ等) ④pH調整材:過燐酸石灰(pH3.0~4.0)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60~100Kg ⑤初期発酵の栄養源:米ぬか(菜種油カス)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30~100Kg (2)方法 ①タネ菌調整:ビニールシートにタネ菌(GB-BC)と米ぬかを混合します。 ②生糞と水分調整材をサンドイッチ式に、①で調整したタネ菌を振りかけながら、ボブキャット等で 積み重ねたあと、充分に混合し、高さを1.3m位の山に積み上げます。 ③山ができたら、ビニールシートかムシロを上にかけます。 (3)堆肥作りのポイント 堆肥発酵を促進する「好気性微生物」の活動に必要な4つの条件 ①空気(通気性) ②温度 ③水分 ④栄養源(有機物)

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(4)作業上の注意 ①空気(通気性) 堆積した材料の中に、いかに充分な空気を入れるかが重要になります。イナワラや乾草のような長い モノを適当な大きさに切断し(細かくしすぎないに注意)、生糞の水分調整と堆積物に通気性(隙間) を与えます。 ②温度 できるだけ、まだ熱のある生糞を利用すると、初期の温度の立ち上がり方が早くなります。熱エネル ギーを無駄にせず、有効に利用します。 ③水分調整 タネ菌を早期に増力させるための重要なことは、水分調整です。水分は50%~60%と極力少なめ に、水分調整材を投入して調整して下さい。 ④C/N比、pH 発酵に必要な炭素率(C/N比)は、30~40です。 牛糞=15.8 イナワラ・モミガラ=74~72 全般的に微生物が活動するpH域は、中性付近(6.5~7.5)です。 *過燐酸石灰を使用して調整して下さい。 牛糞=pH7.0(牛尿=pH8.3) 過燐酸石灰=pH3.0~4.0 ⑤タネ菌の投入 タネ菌の投入は、菌を増殖させるということ以外に菌をその農場固有の原料やその他の微生物環境に 順応させることですから、非常に重要な部分です。タネ菌はまさに「種」を撒く要領で、できるだけ 均一に撒き、撒き終えたらタネ菌とその他の材料を充分に攪拌して下さい。 ⑥初期発酵 山の高さは、1.3m前後にします。高く積みすぎると重さがかかり、山の中の空気が無くなります(空 気の通りが悪くなります)。山の上にシートを掛け(厳冬期は特に、夜間のみシートを毎日かける)、 菌の初期増殖を促します。その後シートを取り除きます。全ての調整が良ければ24時間位で温度が 上昇します。温度が60~70℃に上昇すれば取りあえず成功といえます(70~90℃が放線菌の 活動温度です)。 ⑦切り返し 最初の攪拌から5日後に切り返しを行います。これは、発酵ガスの蒸散と酸素補給、そして菌の増殖 を均一化することが目的です。

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<連続堆肥化処理法>

堆厩肥作りの一つの方法として、生糞とタネ堆肥を混合し、水分調整をしながら処理する方法があります。 作り方は、下図の通りです。堆肥化のためには水分が50~60%程度のものが最も適しているため、「タ ネ堆肥:水分40%程度」と「水分:80%程度」を「1対1」の割合で混合します。水分が高いようであ れば、さらに水分調整材(イナワラ・乾草等)を加えます。 堆肥の温度は、1~2日後に は70℃位になります。5~ 6日経過すると徐々に温度が 下がりはじめるので、下がり はじめたら切り返しを行いま す。およそ2ケ月(切り返し回 数:6~10回)で完熟堆厩肥 ができあがります。このでき あがった約半分を「タネ堆肥」 として再び生糞と混合してい くため、タネ堆肥作りは、最 初の1回だけです。 このように、一度作った製品 を水分調整材として利用する ため、ひとつのサイクルにな ります。これを「連続堆肥化 処理」といいます。

生糞に対する堆肥の添加割 合

生糞水分 堆肥水分 95% 90% 85% 80% 75% 70% 60% 6.00 5.00 4.00 3.00 2.00 1.00 55% 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 0.50 50% 2.00 1.67 1.33 1.00 0.67 0.33 45% 1.50 1.25 1.00 0.75 0.50 0.25 40% 1.25 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 35% 1.00 0.83 0.67 0.50 0.33 0.17 30% 0.86 0.71 0.57 0.43 0.29 0.14 25% 0.75 0.63 0.50 0.38 0.25 0.13 20% 0.67 0.56 0.44 0.33 0.22 0.11 15% 0.60 0.50 0.40 0.30 0.20 0.10 10% 0.55 0.46 0.36 0.27 0.18 0.09 糞尿処理(セパレータ処理) 尿 生糞(水分約80%) 混 合 調整堆肥 完熟堆厩肥 ○ 圃場還元 ○ 持ち出し販売 ○ 一部敷料利用 タネ堆肥 水分50~60% 水分40~50% 水分40%程度 約2ケ月間切り返し 液肥利用 図2.連続堆肥化処理

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畜 糞 堆 肥 腐 熟 度 評 価 表

調 査: 年 月 日 農場名・氏名: 調査員: 住 所: TEL: FAX: 堆 積 場 所: 水 源: 屋 根 の 有 無: 有 ・ 無 微 生 物 資 材: GB-BC 添 加 資 材: オガクズ、 バーク、 イナワラ、 ゼオライト、 米ヌカ、 過燐酸石灰 その他( ) 区 分 配 点 評価点 色 黄~黄褐色(2)、褐色(5)、黒褐色(10) 形 状 現物の形状をとどめる(2)、くずれる(10)、ほぼ認めない(20) 臭 気 糞尿臭が強い(2)、糞尿臭が弱い(5)、堆肥臭(10) 水 分 強く握ると指の間から水分がしたたる → 70%以上(2) 強く握ると手のひらにかなりつく → 60%前後(5) 強く握ると手のひらにあまりつかない → 50%以下(10) 最高温度 50℃以下(2)、50~60℃(10)、60~70℃(15)、70℃以上(20) 堆積期間 家 畜 糞 の み → 20 日以内(2)、20 日~2ケ月(10)、2ケ月以上(20) 作物残渣と混合 → 20 日以内(2)、20 日~3ケ月(10)、3ケ月以上(20) 木質物等と混合 → 20 日以内(2)、20 日~6ケ月(10)、6ケ月以上(20) 切り返し回数 2回以下(2)、3~6回(5)、7回以上(10) なし(5)、あり(10) 完熟:81点以上 中熟:31~80点 未熟:30点以下 合計点 【備考】

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発酵堆肥の農業利用のメリット

各種有機肥料の有用性が叫ばれているが、BC-CPを使用した発酵堆肥の農業利用のメリットは以下通り です。 1.肥料としての安全性 各種有機物が肥料として利用されているが、その利用の仕方、施肥の仕方によっては、病気や害虫の発生 を起こしかねません。その点発酵堆肥は、特に完熟であれば最も安心して施用できます。 2.肥料成分としての要素 完熟は、生あるいは乾燥鶏糞等に、成分としては务りますが、半熟堆肥と組み合わせて施用することによ り、バランスの良い堆肥成分とすることができ、肥料過多による根焼けを防ぐことができます。 3.土壌改良材としての要素 堆肥中の微生物が地下50~60cm 位まで土壌を団粒化させるので、機械深耕の必要が無くなり、根が 深く張り、倒伏が防げ、根に充分な酸素が供給されます。また、機械深耕によって起こるとされる「水も ち・肥もち」の悪さや、ジャガイモのソウカ病から免れることができます。 4.微生物の働きによる要素 堆肥に含まれる放線菌等により、根圏微生物の共生、病菌との拮抗作用により農薬の削減が可能になりま す。効果のみられる主なものは、 ダイコンのイオウ病、タバコのボッコン病、トマトのアオガレ病・イチョウ病 ハクサイ等のネコブ病、イネのイモチ病・モンガレ病、キクのサビ病 等で、同様の線虫フザリウム等による害も防げます。 5.その他 理論的には解明されていませんが、その土地の雑草の発芽時期直前に施肥すると雑草の発芽を押さえられ ます。

土壌病害は依然として深刻な問題

1.薬剤による防除効果に限度がある病害 2.科学農薬の使用量が図られ、結果としてコストダウンが期待できる病害 3.環境問題であり化学農薬の使用が著しく制限を受ける地域、あるいは病害 4.持続的農業を考慮し、減農薬、減化学合成資材の制限をしようとする地域、あるいは作物 5.有機農法(無農薬)を栽培の指標にした場合など 微生物のもつ機能は極めて広く、未知のものも多い。病害防除という場合のみでなく、作物を健全に育てる 栽培技術の一貫として微生物の機能を利用する手法の開発が一層期待されています。

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