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I. はじめに理学療法士および作業療法士の臨床実習は, 指定規則で定められた 93 単位のカリキュラムのうち 18 単位, つまり全体の約 2 割を占める重要な科目の一つである. また, 臨床の場で, 臨床実習指導者のもと, 学生が学内の講義および演習で学んだ知識や技術を統合させる

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(1)

臨床実習指導者における研修会への参加経験と

学生指導および評価能力に対する自信の程度の関係

Relationships between Clinical Supervisors’ Experience of Participating

in Seminars on Clinical Training and Degrees of Self-confidence

in Student Guidance and Evaluation

木村 愛子

1)

  内田 芙美佳

1)

  堀江 貴文

1)

  鈴木 哲

1)

Aiko KIMURA, RPT1), Fumika UCHIDA, RPT1), Takafumi HORIE, RPT1), Tetsu SUZUKI, RPT1)

1) Department of Physical Therapy, Shimane Rehabilitation College: 1625-1 Minari, Okuizumo-cho, Nita-gun, Shimane 699-1511,

Japan TEL +81 854-54-0001 E-mail: kimura@shima-reha.jp

Rigakuryoho Kagaku 32(5): 651–655, 2017. Submitted Apr. 7, 2017. Accepted May 25, 2017.

ABSTRACT: [Purpose] To clarify the relationship between clinical supervisors’ experience of participating in

seminars on clinical training and degrees of self-confidence in student guidance and evaluation. [Subjects and Methods] A questionnaire survey was conducted, involving a total of 86 physical/occupational therapists who attended a clinical supervisor meeting to examine their experience of participating in seminars on clinical training and degrees of self-confidence in student guidance and evaluation related to the cognitive, psychomotor, and emotional areas. [Results] Therapists with experience of participating in 1) clinical clerkship seminars and 2) seminars for certified or specialized physical/occupational therapists showed significantly higher degrees of self-confidence in student guidance and evaluation related to the 1) cognitive/psychomotor and 2) emotional areas, respectively, than those without such an experience. [Conclusion] There may be an association between the experience of participating in seminars on clinical training and degree of self-confidence in student guidance and evaluation.

Key words: clinical training, clinical supervisor education, seminar participation experience

要旨:〔目的〕臨床実習指導者の臨床実習教育関連研修会への参加経験と,学生指導および評価能力に対する自信の 程度との関係を検討した.〔対象と方法〕対象は臨床実習指導者会議に参加した理学療法士,作業療法士86人とした. 質問紙にて,研修会への参加経験の有無,認知・精神運動・情意領域における学生指導および評価能力に対する自信 の程度を調査した.〔結果〕クリニカルクラークシップ関連研修会への参加経験者は,認知・精神運動領域において, 認定・専門理学療法士,作業療法士の研修会への参加経験者は情意領域において,未経験者よりも学習指導および評 価能力に対する自信の程度が有意に高かった.〔結語〕研修会への参加経験と学生指導および評価能力に対する自信 の程度は関連する可能性が示唆された. キーワード:臨床実習,臨床実習指導者教育,研修会参加経験 1) 島根リハビリテーション学院 理学療法学科:島根県仁多郡奥出雲町三成 1625-1(〒 699-1511)TEL 0854-54-0001 受付日 2017 年 4 月 7 日  受理日 2017 年 5 月 25 日

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間の4年次臨床実習Ⅱ・Ⅲの臨床実習指導者を対象とし た臨床実習指導者会議に参加した理学療法士,作業療法 士86人に対して質問紙調査を実施した.回収した質問 紙の回答欄に欠損のあった13人を対象から除外し,73 人を本研究の対象とした.研究の趣旨・参加は任意であ ることを口頭および書面で説明し,同意を得た.また, 島根リハビリテーション学院倫理審査委員会の承認を得 たうえで実施した(承認番号:29). 2.方法 対象者に下記の質問項目を記載した質問紙を配布 した. 対象者には,基本属性として年齢,性別に加え,職種, 経験年数,勤務する施設の種類を記載させた. 臨床実習指導者が過去に参加した学生指導および評価 に関する研修会を調査するために,先行研究5,10)を参考 に,新人教育プログラム内の臨床実習に関する講習, CCSに関する研修会,コーチングに関する研修会,認 定・専門理学療法士または作業療法士に関する研修会を 挙げ,「参加経験あり」,「参加経験なし」で回答させた. 臨床実習における学生指導および評価能力に対する自 信の程度を,認知領域,精神運動領域,情意領域ごとに 「臨床実習におけるあなたの学生指導または評価能力の 自信の程度について伺います.以下の質問について選択 肢から最もあてはまるものを選びご記入ください」とい う質問項目にて,5段階(5点:とても自信がある,4 点:やや自信がある,3点:どちらでもない,2点:あ まり自信がない,1点:自信がない)で測定した. 統計的処理にはSPSS ver. 21を使用した.各測定およ び評価項目における基本統計量を算出した.また,認知 領域,精神運動領域,情意領域間における臨床実習指導 者の学生指導および評価能力に対する自信の程度の差を, Friedman検定にて検討した.加えて,臨床実習指導者 の経験年数と,認知領域,精神運動領域,情意領域ごと の学生指導および学生評価能力に対する自信の程度との 関係をSpearmanの順位相関係数を用いて検討した.さ らに対象者を各研修会への参加経験の有無で2群に分 け,認知領域,精神運動領域,情意領域ごとに学生指導 および評価能力に対する自信の程度の差をWilcoxon順 位和検定を用いて検討した.それぞれ有意水準は5%と した.

III.結 果

対象者86名のうち,有効回答が得られた73名をそ の後の検討に使用した(有効回答率84.9%).有効回答 が得られた73名のうち,理学療法士45名,作業療法 士28名であった.男性は51名(69.9%),女性は22名 (30.1%),理学療法士または作業療法士としての経験年

I.はじめに

理学療法士および作業療法士の臨床実習は,指定規則 で定められた93単位のカリキュラムのうち18単位, つまり全体の約2割を占める重要な科目の一つである. また,臨床の場で,臨床実習指導者のもと,学生が学内 の講義および演習で学んだ知識や技術を統合させる貴重 な場となっており,その教育の質の維持および向上が求 められている1-4) 臨床実習教育の質に関与する因子の一つとして,臨床 実習指導者自身の学生指導能力に対する自信の程度が挙 げられている5,6).菊池7)は,臨床実習指導者の学生指 導に対する自信の低さは,その役割の遂行を阻害し,結 果として学生への臨床実習教育効果を低下させることを 報告している.しかし,学生指導に対して自信がもてな い臨床実習指導者は多く5,6,8),そのため,臨床実習指導 者に対して新人教育プログラム内の臨床実習に関する講 習,コーチングに関する研修会,クリニカルクラーク シップ(clinical clerkship:以下,CCS)に関する研修 会など,臨床実習教育能力の向上を目的とした様々な研 修会が開催されている9,10) 臨床実習における教育目標は,「認知領域:専門職に 関する知識の想起や解釈,問題解決」,「精神運動領域: 専門職の技能など」,「情意領域:社会人・専門職として の態度・行動」の3領域に分類され,教育手法および到 達度評価として用いられている10,11).しかしながら, 臨床実習指導者の学生指導および評価能力に対する自信 の程度を,認知領域,精神運動領域,情意領域の点から 調べたものは見当たらず,どの領域で自信の程度が低い のかは明らかでない.さらに,理学療法士および作業療 法士を対象とし,臨床実習教育に関する研修会への参加 経験の有無と,臨床実習指導者の学生指導および評価能 力に対する自信の程度との関係を調べた報告は見当たら ない.これらのことが明らかになれば,臨床実習指導者 の学生指導および評価能力に対する自信の向上につなが る効果的な研修会開催のための基礎資料となる. そのため本研究は,臨床実習指導者の質の向上を目的 とした研修会開催のための基礎資料とすることを目的と し,臨床実習指導者の認知領域,精神運動領域,情意領 域ごとの学生指導および評価能力に対する自信の程度を 調べ,3領域間で自信の程度に差があるかどうかを検討 した.また,臨床実習指導者の臨床教育に関する研修会 への参加経験の有無と学生指導および評価能力に対する 自信の程度との関係を検討した.

II.対象と方法

1.対象 A養成校の3週間の3年次臨床実習I,および20週

(3)

差はみられなかった.臨床実習指導者の経験年数と精神 運動領域の学生指導能力に対する自信の程度との間に正 の相関がみられた(表2). 臨床実習指導者が参加した研修会として最も多かった 項目は新人教育プログラム内の臨床実習に関する講習で, 66人(参加率90.4%)であった.次に多かった項目は, コーチングに関する研修会で,28名(参加率38.4%) であった.最も参加経験の少なかった項目は認定・専門 理 学 療 法 士 ま た は 作 業 療 法 士 の 研 修 会 で,13名 (17.8%)であった.次に少なかった項目はCCSに関す る研修会で,16名(21.9%)であった(表3). CCSに関する研修会へ参加経験のある者は,ない者 に比べ,認知領域および精神運動領域の学生指導能力に 対する自信の程度,同領域における学生評価能力に対す る自信の程度が有意に高かった.認定・専門理学療法士 または作業療法士の研修会へ参加経験のある者は,ない 者に比べ,情意領域における学生指導能力に対する自信 の程度,同領域における学生評価能力に対する自信の程 度が有意に高かった.その他の研修会において,参加経 験のある者とない者との間に測定項目の得点の有意な差 はみられなかった(表4).

IV.考 察

本研究では,臨床実習指導者の認知領域,精神運動領 域,情意領域ごとの学生指導や評価能力に対する自信の 程度を調べ,3領域間で自信の程度に差があるかどうか を検討した.加えて,臨床実習指導者の臨床教育に関す る研修会への参加経験の有無と学生指導および評価能力 に対する自信の程度との関係を検討した. その結果,対象者の学生指導および評価能力に対する 自信の程度の平均得点は,情意領域,認知領域,精神運 動領域で2.9点から3点と低かった.また,対象者の学 生指導および評価能力に対する自信の程度は,認知領域, 精神運動領域,情意領域間で有意な差はみられなかった ことから,臨床実習指導者は認知領域,精神運動領域, 情意領域のどの領域においても同等に学生指導および評 価能力に対する自信が低いことが示唆された.理学療法 士および作業療法士を対象とした臨床実習指導経験者の 数は10.2 ± 5.1年(平均値±標準偏差)であった.そ の他の基本属性および各測定項目の基本統計量を表1に 示す.対象者の学生指導および評価能力に対する自信の 程度は,認知領域,精神運動領域,情意領域間で有意な 表1 対象者の基本属性およびその他の測定項目 年齢 33.7 ±6.8 歳 性別(男/女) 51人/22人 職種(PT/OT) 48人/38人 経験年数 10.3±5.2年 施設区分  病院 44人(60.3%)  診療所 6人( 8.2%)  社会福祉施設 23人(31.5%)  教育・研究施設 0人( 0.0%)  行政関係施設 0人( 0.0%)  健康産業施設・営業施設 0人( 0.0%)  その他 0人( 0.0%) 学生指導能力に対する自信の程度  認知領域 2.8±0.8 点  精神運動領域 2.8±0.8 点  情意領域 2.9±0.8 点 学生評価能力に対する自信の程度  認知領域 2.8±0.7 点  精神運動領域 2.9±0.7 点  情意領域 2.9±0.8 点 n=73.平均値±標準偏差. 表2  臨床実習指導者の経験年数と,学生指導および評 価能力に対する自信の程度との間の相関係数(r) 学生指導能力に対する自信の程度 経験年数  認知領域 0.21  精神運動領域 0.23*  情意領域 -0.02 学生評価能力に対する自信の程度  認知領域 0.02  精神運動領域 0.01  情意領域 0.04 平均値±標準偏差.*:p<0.05. 表3 過去の研修会への参加経験のある者とない者の割合 研修会種別 あり なし 新人教育プログラム内の講習 66人(90.4%) 7人( 9.6%) コーチングに関する研修会 28人(38.4%) 45人(61.6%) CCSに関する研修会 16人(21.9%) 57人(78.1%) 認定・専門PT・OT 13人(17.8%) 60人(82.2%) あり:参加経験あり,なし:参加経験なし,CCS:クリニカルクラーク シップ,認定・専門PT・OT:認定・専門理学療法士または作業療法士.

(4)

る13).そのため,CCSの研修会への参加経験が,認知 領域と精神運動領域の学生指導および評価能力に対する 自信の高さにつながったのではないかと考えた. 認定・専門理学療法士または作業療法士に関する研修 会への参加経験のある者は,ない者に比べ情意領域にお ける学生指導および評価能力に対する自信の程度が有意 に高く,認定・専門理学療法士または作業療法士に関す る研修会への参加は情意領域における学生指導および評 価能力に対する自信の高さに関連する可能性が示唆され た.認定・専門理学療法士または作業療法士に関する研 修会への参加は,医学の知識と技術の習得に常に努める とともに,その進歩・発展に尽くす医療専門職として社 会に対する責任を果たすことにつながり,理学療法士・ 作業療法士の生涯学習としてプロフェッショナリズムの 観点からも重要である14,15).生涯学習は情意領域と関 連すると考えられ,認定・専門理学療法士または作業療 法士に関する研修会は,情意領域が高い理学療法士が参 加すると考えられる.以上から,情意領域が発達してい る者ほど認定・専門理学療法士または作業療法士に関す る研修会に参加した経験があり,このことが情意領域に おける学生指導および評価能力に対する自信の高さに繋 がったのではないかと考えた. 新人教育プログラム内の臨床実習に関する講習への参 加経験のある者とない者の間に,学生指導および評価能 力に対する自信の程度の差は無く,新人教育プログラム 内の臨床実習に関する講習への参加は,学生指導および 評価能力の自信の程度と関連しない可能性が示唆され た.理学療法士の新人教育プログラムは全15単位で構 成され,臨床実習指導に関する講座はわずか1単位であ る.さらに,このプログラムは新人療法士に働きかける 教育システムであるため16,17),外発的な動機で受講し た可能性が考えられる.そのため学生指導および評価能 力の自信の程度に関連しなかったのではないかと考 えた. コーチングに関する研修会への参加経験のある者とな い者の間に,学生指導および評価能力に対する自信の程 度に有意な差は無く,コーチングに関する研修会への参 自信の程度を調査した研究において、臨床実習指導者の およそ20%から29.4%が指導者としての自信がないと 考えていることを報告しており7,12),本研究と同様の結 果を報告している.また,看護師240人を対象とした 研究において,66.1%の指導者が実習目標の到達度の判 断において自信がなく不安があると答えている8) 次に各研修会の参加率について,新人教育プログラム 内の臨床実習に関する講習への参加率が90.4%と最も 高く,それ以外の本研究で調査した研修会への参加率は, コーチングが38.4%,CCSに関する研修会が21.9%, 認定理学療法士・作業療法士の研修会が17.8%と低い ことが示された.松崎ら5)の研究においても,臨床実 習指導者において臨床実習教育に関する研修会への低い 参加率が報告されている.また,臨床実習指導者の経験 年数と,学生指導に対する精神運動領域の自信の程度と の間に正の相関がみられたが,その他の項目において有 意な相関はみられなかったことから,理学療法士または 作業療法士として経験年数を経ることによって,全ての 領域の学生指導および評価能力に対する自信の程度を高 めることにはつながらない可能性が示唆された.以上の ことから,経験年数に関わらず,臨床実習指導者の教育 に関する研修会への参加率を高め,臨床実習指導者の学 生指導および評価能力に対する自信の程度の向上を図る 必要性を考えた. CCSに関する研修会へ参加経験のある者は,ない者 に比べ,認知領域および精神運動領域の学生指導および 評価能力に対する自信の程度が有意に高く,CCSに関 する研修会への参加は認知領域および精神運動領域の学 生指導および評価能力に対する自信の高さに関連する可 能性が示唆された.CCSに関する研修会へ参加した者 は,自らの臨床実習教育の能力を高めようとする意志の もと受講していると考えられ,このような動機が自信の 程度の高さに関連したのではないかと考えた.また,従 来の実習と比べてCCSは,助手として診療参加するこ とで指導の機会が増え,技術項目の細分化によって指導 内容が明確化される.加えて,見学・模倣・実施の段階 付けによって評価基準が明確となることが考えられ 表4 研修会への参加経験のある者とない者間における学生指導および評価能力に対する自信の程度の比較 新人教育プログラム内の講習 コーチング CCS 認定・専門PT・OT あり(n=66) なし(n=7) あり(n=28)なし(n=45) あり(n=16)なし(n=57) あり(n=13)なし(n=60) 学生指導能力に対する自信の程度  認知領域 2.8 ± 0.8 3.0 ± 0.6 2.9 ± 0.9 2.8 ± 0.7 3.2 ± 0.6 2.7 ± 0.8* 3.1 ± 1.1 2.7 ± 0.7  精神運動領域 2.8 ± 0.8 3.0 ± 0.8 2.9 ± 0.8 2.7 ± 0.7 3.3 ± 0.6 2.7 ± 0.8* 2.9 ± 0.8 2.8 ± 0.8  情意領域 2.9 ± 0.8 3.0 ± 0.6 2.9 ± 0.9 2.9 ± 0.7 3.2 ± 0.7 2.8 ± 0.8 3.2 ± 1.1 2.8 ± 0.7* 学生評価能力に対する自信の程度  認知領域 2.8 ± 0.7 3.0 ± 0.8 2.9 ± 0.9 2.8 ± 0.6 3.2 ± 0.5 2.8 ± 0.7* 3.0 ± 1.0 2.8 ± 0.6  精神運動領域 2.9 ± 0.7 3.1 ± 0.7 3.0 ± 0.9 2.8 ± 0.6 3.3 ± 0.6 2.8 ± 0.7* 2.9 ± 1.0 2.9 ± 0.7  情意領域 2.9 ± 0.8 3.1 ± 0.7 3.0 ± 1.0 2.9 ± 0.6 3.3 ± 0.7 2.8 ± 0.8 3.2 ± 1.1 2.8 ± 0.7* 平均値 ± 標準偏差.略称は表3と同様.

(5)

引用文献 1) 小林 賢:臨床実習の課題と対応―臨床の立場から―.理 学療法学,2010, 37: 341-342. 2) 後藤清恵:臨床実習指導者及び学生の資質.理学療法学, 2004, 31: 241-243. 3) 河野仁志,村田和香,真木 誠・他:臨床実習教育上の問 題点のありかの検討.北海道大学医療技術短期大学部紀要, 1993, 6: 55-69. 4) 山根 寛,小西紀一,赤松智子・他:作業療法における臨 床教育のあり方.京都大学医療技術短期大学部紀要,1998, 18: 15-23. 5) 松崎秀隆,原口健三,吉村美香・他:学習理論に基づく臨 床実習教育に向けて.理学療法科学,2015, 30: 777-781. 6) 菊池延子:実習指導者の立場より.理学療法学,1985, 12: 353-359. 7) 菊池昭江:看護専門職における自律性と学生指導役割との 関連.日本看護科学会誌,1999, 19: 47-54. 8) 川崎裕美,大川明子,大谷五十鈴・他:臨床実習指導者の 学生指導に対する不安内容の検討―臨床実習指導者と短期 大学助手の不安内容の比較から―.広島県立保健福祉短期 大学紀要,2000, 5: 99-104. 9) 奈良 勲:教育学シリーズ I―理学療法教育論.理学療法と 作業療法,1978, 12: 43-47. 10) (公社)日本理学療法士協会:臨床実習の手引き(第 5 版). 日本理学療法士協会,東京,2006, pp1-87. 11) 平上二九三:吉備国際大学の新たな理学療法士教育の展開. 吉備国際大学保健科学部紀要,2009, 19: 25-31. 12) 八木範彦,津野良一,浜田和範・他:兵庫県下における 臨床実習に関するアンケート調査.理学療法学,1984, 11: 211-214. 13) 中山法一,加納 則:クリニカル・クラークシップにおけ る学生評価.理学療法学,2001, 28: 198-202. 14) 山本武志,河口明人:医療プロフェッショナリズム概念の検討. 北海道大学大学院教育学研究員紀要,2016, 126: 1-17. 15) 井関 茜,沖田一彦,島谷康司:理学療法士のプロフェッショ ナリズムの分析―日本の理学療法学生へのアンケート結果 に基づいて―.理学療法科学,2014, 29: 599-604. 16) (公社)日本理学療法士協会:http://www.japanpt.or.jp/(閲 覧日2017年4月6日). 17) (一社)日本作業療法士協会:http://www.jaot.or.jp/(閲覧日 2017 年 4 月 6 日). 18) 田邊素子:1 ページ講座:理学療法関連用語~正しい意味 がわかりますか.理学療法ジャーナル,2013, 47: 721. 19) 東中須恵子,神郡 博:精神看護学実習が臨地実習指導者 に及ぼす影響―K 病院の指導者の意識から―.弘前学院大 学看護紀要,2007, 2: 41-48. 加は学生指導および評価能力に対する自信の程度と関連 しない可能性が示唆された.コーチングは,役職者や チームリーダーに必要なマネジメントスキルの一つであ る.そのため,コーチングに関する研修会に参加した者 は,臨床実習指導者としての能力向上のほかに参加動機 があった可能性がある.また,コーチングとは自発的行 動を促進するためのコミュニケーション技法である18) しかしながら臨床実習の到達目標は,基本的な知識,思 考法,技術,態度を得ることであるため,知識や技術が 未熟な学生には,自発的な行動に加え,必要な情報,行 動を教授するティーチングスキルが求められる.そのた め,臨床実習教育におけるコーチングだけでは学習効果 が十分でなく,ティーチングが必須であることが報告さ れている10).これらのことから,コーチングの研修会 への参加経験が直接実習指導者の学生指導および評価に 対する自信の向上につながりにくかったのではないかと 考えた. 今回の調査から,CCS,認定理学療法士・作業療法士 の研修会への参加経験のある者とない者の間に学生指導 および評価能力に対する自信の程度の差が認められたが, これらの平均得点の差の範囲は0.4点から0.6点と少な かった.このことから,従来の臨床実習指導者を対象と した教育研修会に加え,臨床実習指導者の学生指導およ び評価能力に対する自信の向上につながる研修会の開催 や臨床実習指導者教育システムの構築が必要であること を考えた. 本研究は,単一の養成校の臨床実習指導者を対象とし, かつ対象者のほとんどが同一県内の病院・施設に所属し ていた.そのため,この結果が他の養成校や地域で適用 できるかは定かではない.また,本研究で調査した CCSやコーチングなど以外にも臨床実習指導者の学生 指導および評価能力向上を目的とした研修会は多々開催 されていることから,教育に関する研修会の種類につい て精査する必要がある.加えて,臨床実習体制,他のス タックからの支援など,環境が臨床実習指導者の学生指 導に対する不安感に影響を及ぼすという報告もあること から19),研修会のみならず環境も影響を与えている可 能性がある.今後,調査項目を追加し検討していく必要 がある.

参照

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