大気の観測2
“大気中微量成分
”
第12回環境RS
1.大気汚染
2.オゾン
3.エアロゾル+黄砂
1大気環境に影響を与える様々な物質 (海洋研究開発機構)
1.大気汚染
大気中微量成分は幾つかの典型的な地球環境問題と深い関連がある オゾンホール 雲粒変化 プランクトン 化学反応 酸性雨 温室効果 対流圏オゾン 2代表的な大気汚染物質
(1) 硫黄酸化物(SOx) (2) 窒素酸化物(NOx) (3) 一酸化炭素 (4) 浮遊粒子状物質(SPM; Suspended Particle Matter),微小 粒子状物質(PM2.5) (5) 光化学オキシダント(O3等) など 化石燃料(石炭や石油)の燃焼→酸化物 炭素や水素の他、硫黄・窒素・酸素などを含む代表的な大気汚染
・四日市喘息,ロンドンスモッグ←SO2による呼吸器疾患.一次汚染物質による被害 ・ロサンゼルスの光化学スモッグ←二次汚染物質(NOxが紫外線によって反応したとき に二次的に生成されるO3など)による被害ガスの吸収スペクトル
放射・吸収の強度∝大気中の分子の個数 吸収スペクトルは、気圧と分子の熱運動速度 によって広がりを持つ。大気微量ガスの測定
20km 地表 8km各高度の
吸収スペクトル
[0-1000GHz]
電磁波は物質を通過する 際、物質に特有の波長帯 が吸収されて弱められる。 3 対流圏では微量ガスのスペクトル(ある波長の信号強度)を観測することが難しい。成層 圏以上の高度(20kmなど)ではO3および微量ガスによる多数のスペクトルが観測可能。環境省大気汚染物質広域監視システム
環境基準に即したものになっているか大気の状態を調べる “そらまめ君”(空をマメに観測)*一般環境大気測定局(一般局)
住宅地など一般的な生活空間における大気汚染の状況を常時監視.*自動車排気ガス測定局(自排局)
自動車走行による排出物質に起因する大気汚染の考えられる交差点,道路及び 道路端付近の大気を対象にした汚染状況を常時監視. 大気科学物質: 二酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、光化学オキシダント、 SPM、PM2.5、風向風速、気温など(http://soramame.taiki.go.jp) 例えば、NO2の有効測定局数(FY29)は、一般局1,463局、自排局409局 大気汚染物質の測定方法:光散乱法,吸光光度法,化学発光法など そらまめ君の説明: http://soramame.taiki.go.jp/index/setsumei/koumoku.html 4大気汚染状況
(平成29年度環境白書) SO2, NO2: 年平均値は一般局、自排局ともに 環境基準のほぼ100%を達成。 SO2の非達成は桜島の噴火等の自然要因など SO2と違い、NO2は固定発生源+移動発生源 から排出。産業公害→環境劣化問題 5 前駆物質(窒素酸化物NOxや揮発性有 機化合物VOC)の減少⇔光化学オキシ ダントの漸増・広域化,光化学スモッグ現 象の発生増加(←越境汚染,NOによる O3消失量の減少等).NO2とSPMによる 大気汚染は大都市地域を中心に依然と して深刻な状態6 (環境省,FY28, 29)
光化学オキシダント Ox
FY26 環境基準達成局数 1,189局中1局のみ.極めて低い水準. Ox濃度の環境改善効果を評価するための指標* の域内最高値の経年変化 高濃度域のOxの改善 Ox濃度が注意報レベルの0.12ppm 以上となった測定局は,主に大都市 およびその周辺部に位置 Ox(昼間の日最高1時間値)の年平均値の推移 注意報レベル(0.12ppm 以上)の濃度が出現した 測定局(一般局)の分布 * 日最高8時間値の年間99パーセンタイル 値移動平均←気象要因の年々変動を抑制 (広域大気汚染や気象条件の変化など;注 意報等に影響)FY267 石炭・石油火力発電所からのSOx排出原単位(1kWh 発電量あたりのSOx 排出量)の国際比較 (若林・杉山, 2007) 日本におけるSOX関連の大気 汚染対策 1968 大気汚染防止法制定 1969 SO2環境基準 1970 公害国会(K値規制全 国化等環境法整備) 1972 三重県公害防止条例 (総量規制) 1974 大気汚染防止法改正・ 総量規制方式導入 技術開発(排煙脱硫設備)+税制優遇措置(日本開発銀行からの低金利の特 別融資→設備+硫黄分の少ない重油の輸入+新技術輸入)+規制(大気汚染 防止法.はじめは緩め→引き上げ)+協定(事業所と自治体→より厳しい公害 対策) ボトムアップアプローチ ↔ トップダウンアプローチ 1975年に測定局の80%以上で環境基準を達成 ↔ 各国 90年代後半
SO
Xの減少
衛星による微量成分ガスの測定
SCIAMACHYはヨーロッパESAの衛星 ENVISATに搭載されている大気測定用スペ クトロメーター。O3, SO2, NO2, CO, CO2, CH4, H2Oなど多種の化学種を測定。 2002/3~2012/4 地球に入射する太陽光は様々な周波 数の電磁波であり、大気の各成分に よって吸収される周波数帯が異なる。 8SCIAMACHYによる対流圏NO2カラム密度の観測結果 日本にはアジアから多くのO3やNOxなどが運ばれており、北米や欧州からのO3 も日本に到達していることが分かってきた。さらに、人口の都市集中により、人口 1000万人以上の巨大都市(メガシティ)が増加し、これらの都市からの大気汚染 物質の排出が半球規模で影響を与えつつある。
2003
グローバル化 する大気汚染 2004年5月 ~2005年4月 (Martinら) 9 Richter, et al. (2005): "Increase in troposphericnitrogen dioxide over China observed from space",
衛星から見た最近の東 アジア大気汚染の推移 (Richter et al. 2005) アジアからの大気汚染物質の排出量は1990年 代に北米や欧州からの排出量と並び、21世紀 に入ってこれらを上回って増加を続けている。 NO2は対流圏オゾン(光化学スモッグ) のもととなる物質として重要な役割を 果たす。 10 北米、ヨーロッパ、アジア 3大陸における二酸化窒 素排出量の過去約30年 間の傾向(Akimoto, 2005) 東アジアにおける窒素酸化 物NOxの経年変化 (cNIES)
11
最近の東アジアの大気汚染レベル
変動
(千葉大 入江, 2016) 背景 中国:NOx等の排出量の増加↔国家レベルでの 大気汚染対策(2011年:NOx排出量削減を含む 第12次5ヵ年計画が施行,等) 日本:原発事故→火力発電への転換OMI (Ozone Monitoring Instrument, NASA/Aura
搭載, 2004~)による解析結果 中国では2011年以降,年6%減少.広域.↔人口 2%増加,エネルギー需要増加.日本では2013年 (韓国2012年)からNO2汚染レベルがやや悪化. NO2の大気中カラム濃度の年増加量 総じて,2015年の東アジア域におけるNO2の 汚染レベルは5年前のレベルに回復している (環境汚染は他にもあるが) 日本や韓国の NO2存在量は中 国の1/20程度
1839 シェーンバインによるオゾンの発見 1920 ドブソンが上空のオゾンを測定する測器を開発→オゾン層の発見
2.オゾン
12 UV1とUV2の強度比→オゾン量を推定.光学くさび(光の照度を減少させる機器)を 用いて,UV2の照度を減少させてUV1と同じ照度にする. UV2の減少量から強度 比を求める.2つの紫外線の照度は、2つの入射口から入ったUV1とUV2を回転セク ターで交互に取り出し,それぞれの紫外線の照度を光電子増倍管で測定する. オゾンに吸収されやすい 紫外線(UV1) オゾンに吸収されに くい紫外線(UV2)ドブソン分光光度計の測定原理
オゾンの量→ドブソンユニット(DU):標準気圧(1atm, 0℃) の地表に集めた場合の厚さとする単位(1mm=100DU)【オゾンとオゾン層破壊に関する理解の進展】
1930 オゾンの生成・消滅メカニズム(チャップマン) 50年代 成層圏を作り出すオゾンが大気構造や気候変動に重要であることか ら、世界気象機関WMOは50年ほど前からオゾン観測の必要性を訴え、日本 は昭和基地などで観測を始めた 1970 人工物質フロンが大気中にあることを大気観測から発見(ラブロック) 70年代前半 フロンによる成層圏オゾン破壊説(ローランドとモリーナ) 1976 ローランドらのオゾン層破壊説が正しいことを大規模な研究プロジェクト で確認(アメリカ科学アカデミー) 1985, 1983 南極上空の大気観測から南極オゾンホールを発 見(ハレーベイ→ファーマン1985, 昭和基地→忠鉢1983) ニンバス7号衛星に積んだTOMS(オゾン全量マップ測定スペ クトロメーター)の観測データの再解析(NASA)→南極大陸を ほぼ覆うオゾン減少(オゾンホール)が確認 ローランドとモリーナ 131987 オゾン層を破壊する物質に
関するモントリオール議定書採択
+その後の規制強化
14 2016年10月 モントリオール議定書第28回締約国会議@ルワンダ 代替フロン(ハイドロフルオロカーボンHFC;業務用冷蔵庫の冷媒など に使用)の生産量を先進国は2036年までに85%削減で合意.発展 途上国も遅れて削減. 日本:一昨年,フロン回収・破壊法をフロン排出抑制法に改正し,ノン フロン機器への切り替えを推進. 成層圏のオゾン層破壊物質の 濃度予測(オゾン層破壊の科 学アセスメント.WMO 2014)対策
15 モントリオール議定書によるオゾン層破壊物質の規制がないと仮定した場合のオゾン 全量の予測値の分布。45N-90Nの1-4月および90S-45Sの9-11月の領域と期間で、そ れぞれオゾン全量が最低値を示した日の分布を示す。オゾン全量が220 m atm-cm以 下を示す領域を黒の斜線で示す。(国立環境研究所 秋吉) 北半球中高緯度(上)および南半球中高緯度(下)のオゾン全量分布の経年変化 オゾン量の回復,オゾン層破壊の収束に関する報告(NASA, 2015)
オゾンホール
16 オゾンホールの面積の推移 80年代~90年代半ばに急激 に拡大(全量の減少:30%超) 南半球の春にオゾンホールが出現 オゾンホール の季節変化 2018年10月の月平均 オゾン全量偏差 南緯60度以南 の下部成層圏 (高度約20km, 50hPa)の温度 2017 Season NASA Ozone Watch (220m atm-cm以下の領域がオゾンホール)なぜ10月頃に南極にオゾンホールがみられるのか?
1.大規模な大気の流れ(ブリューワー・ドブソン循環)によってフロンが集積→上部 成層圏(約40km)で紫外線で分解→塩素原子→上部成層圏でオゾンを破壊→下 部成層圏に輸送→塩化水素・硝酸塩素など比較的安定な化合物に変化 2.南半球冬季の極渦(西風)内の気温は-80度以下に低下→きわめて冷たい下部 成層圏に特別な氷雲(極域成層圏雲PSC;水蒸気・硝酸・硫酸などが粒子化)が 生成 3.雲の表面で活発な化学反応(不均一反応,異相反応)が起き、不安定な塩素化 合物(塩化水素・硝酸塩素→塩素分子)が生成 4. 南半球の春(10月頃)が来ると、光に敏感な塩素分子は紫外線によって分解さ れ(光解離)、塩素原子(活性塩素)が放出 5.PSC粒子が成長するとPSCに取り込まれたNOxが大気中から除去され(脱窒)、 活性塩素の安定化が阻害→オゾン破壊の連鎖反応を促進
PSC
1718 +2011年 北極オゾンホール
高緯度域の最低気温の年変化
PSC発生 の目安 2011年の冬季〜初春にかけては、-78℃を下回る低 温期が長く継続し、下部成層圏(高度18〜20Km)の 化学的に破壊されたオゾン量が、南極オゾンホール に匹敵する規模となった(Manney et. al, 2011)。冬季の北半球高緯度は、南極よりもオゾン全量が 平均的には〜100 m atm-cmほど多いため、 オゾン破 壊が南極オゾンホールに近い規模だったとしても、破 壊が進んだあとの春季のオゾン全量は、 南極オゾン ホールほどには低下しない。(気象庁)
オゾン層は30億年前から4億年前くらいにか けて今の濃度になったと推定されている 地球上に生命が誕生したのは35億年前の 海の中 有害なUVが吸収されて陸上に生物が進出 したのは4億年前 フロンは60-80年代の30年間によく使われた 1億倍の時間をかけて変化してきた地球 環境の急激な変化→地球環境問題 19 Aqua/AIRSによるオゾンデータ 10月の南極域のオゾン分布 UVの変化 O3増加⇔エアロゾルの減少, 天候の変化(雲量の減少) 2018年 1979年
3.エアロゾル
+黄砂
エアロゾル: 大気中に浮遊する微小な 液体または固体の粒子 エアロゾルの把握→気候(雲の形成)や 物質循環の理解,健康問題との関連 エアロゾル↔黄砂 変動の大きいエアロゾルをとらえるには、 周期的に広域を観測するRSが必要。大気 エアロゾルの自動計測を地球規模で実施 するネットワークも構築されている。 NASA/AERONET 20 MODISデータの解析結果(例) 黄砂ひまわり観測データから算出したエアロゾル光学的厚さ
エアロゾルの推定
地球大気モデルでの放射計算か ら得られた再現値と衛星観測値 を比較→差の最も小さいシミュ レーション値を与えるエアロゾル 分布を選択 21 ta (0.55 µm) 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.8 0.7 0.5 0.6 Level-3 Monthly, September 2000エアロゾルの光学的厚さの分布
(Kaufman et al. NASA GSFC, University of Lille)
エアロゾル量の分布とともに、粒子 の大きさの情報から、エアロゾルの 種類も推定できる。代表的な種類と して、砂塵エアロゾル、焼き畑起源 の有機炭素性エアロゾル、人為起 源エアロゾルがある。
雲域でのエアロゾル量
は推定が難しい
黄砂の影響
・ 発生源地域周辺の農業生産や生活環境に深刻な被害を与える。 ・ 大気中に浮遊し、黄砂粒子を核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の 気候に影響を及ぼす。 ・ 海洋へも降下して、海洋表層のプランクトンへのミネラル分の供給を通して海 洋の生態系にも大きな影響を与えていると考えられている。 越境大気汚染・広域大気汚染のひとつである中国からの黄砂の飛来は、経年変 化は明瞭ではないものの、近年、頻度と被害が甚大化しており、急速に広がりつ つある過放牧や農地転換による土地の劣化等との関連性も指摘されている。 22 黄砂は単なる自然現象から、森林減少、土地の劣化、砂漠化といった人為的 影響による側面も持った環境問題として認識が高まっている。ライダー
(LIDAR: Light Detection And Ranging) レーザー光線を上空に発射→浮遊する粒子状物質の反射波 を測定・解析→通過する黄砂を地上で計測 黄砂と黄砂以外の粒子状物質(大気汚染物質など)を区別し、 それらの鉛直分布をリアルタイムで観測できる ライダーは電波より波 長の短い紫外線、可 視光、近赤外線を利 用している。小さなエ アロゾルや雲粒の検 出に向いている。 23 ライダーの分布ライダーによる観測例
ライダーの偏波観測
多くのエアロゾルは液滴(球形)↔黄砂は不規則な形(非球形) ライダー→垂直偏波成分の観測による散乱体の形の情報→大気 汚染物質(硫酸塩など)と黄砂とを区別→黄砂の高度や量、動き 偏光面 偏波面 (電場の 振動面)黄砂粒子
24垂直偏波
成分
散乱光 自然光:偏光に規則性なし. 偏光サングラス:垂直偏波を通す. (水平偏波は水面や雪面でよく反射する) 送信波 受信波 ↔調光レンズエアロゾルライダーによる黄砂の観測結果の例(2006年4月) 散乱比と偏光解消度の時間高度断面図
ライダーによる大気観測の例
地上~上空1kmの黄砂の量を表示。 地上付近でも黄砂が多いときは、 キャラクターが現れる。
環境省黄砂飛来情報
気象庁黄砂情報
←目視による視程の観測 その他にも気象庁では、予測モデルの運用や ライダー観測、衛星によるエアロゾル光学的厚 さの観測などを行っている。 26衛星搭載ライダー
1994年のスペースシャトルに搭載 2006年からCALIPSOによる長期観測 27 CALIPSOによる 計測 CALIPSOによるサハラ砂漠 起源のダストの観測 2007/5/8-9にタクラマカン砂漠で 発生したダストが13日で世界を 一周する様子 全球エアロゾル 輸送モデル SPRINTARSモデル
によるエアロゾルの推定
土壌性ダスト(黄砂)の予想分布東アジア域における黄砂・大気
汚染物質分布の推定分布
硫酸塩エアロゾル(大気汚染物質)の予想分布化学天気予報システムCFORS
(九州大学、国立環境研究所): 気象庁(気温・風など)+衛星観測(地表面 状態など)→汚染排出源分布の推定→エア ロゾルや微量気体の推定 黄砂や硫酸塩エアロゾルの起源の推定, 翌々日までのリアルタイム予測 硫酸塩エアロゾル: 化石燃料の燃焼で 発生したSOxが空気中で水などと結合し て発生。大気汚染や酸性雨の原因となる。 28ひまわり8号→大気浮遊物質の動的観測
JAXAひまわりモニタ(JAXA/気象研/九大 2018/10/31) 29気象研・九大の数値モデル(MASINGAR)に
おけるデータ同化の効果
シベリア大規模森林火災起源の煤が北海道・東北 に飛来した事例(JAXA 2018) 24時間予測→この事例では29%改善 検証 同化 今後はしきさい(GCOM-C), いぶき2号(GOSAT-2), EarthCAREも組み込む予定最後に
オゾン層の状態は回復傾向にあるが,オゾンは依然として地球環境の診断に 不可欠な調査対象である。温暖化問題との関連が注目されている(二つの問 題を混同しないように)。 大気微量ガスの観測は、対象とするガス特有の波長帯の吸収(特定の電磁波 の通りにくさ)の測定から行われることが多い。 国際的な観測網に加えて、衛星搭載ライダー等による新しい観測も展開されて いる。大気中微量ガスや微量の固体粒子の分布や変動、気候に与える影響の 解明などが期待される。非静力学気象化学モデル(NHM-Chem)などの開発 にもエアロゾルの性質の理解が重要である。 大気汚染問題は過去の産業公害だけではない。 現代でも国内外で多くの課題を抱えている。 そらまめ君を使って東海地方の大気の汚染度を 調査し、大気の性質が動的に変化していることを 感じてみよう。 砂塵嵐 30References 岩坂泰信(2003):「大気環境学」, 岩波書店. 岩坂泰信(1990):「オゾンホール」, 裳華房. 有田正光(2000): 「大気圏の環境」, 東京電機大学出版局 富永健ほか(1990): 「フロン地球を蝕む物質」, 東京大学出版会. 定方正毅(2000): 「中国で環境問題に取り組む」, 岩波書店. 横田達也(2013):「GOSATおよびGOSAT2によるCO2観測」,気象学会2013年度秋季大会シンポ 若林・杉山(2007):「排出権取引制度の実効性に関する事例研究レビュー」,電中研調査報告 杉山ら(2011):「気分のエコでは救えない!データから考える地球温暖化」,日刊工業新聞社 Akimoto (2003): Global aiquality and pollution. Science, 302, 1716-1719
Uno et al. (2009): Asian dust transported one full circuit around the globe, Nature Geoscience, Vol.2, No. 8, DOI:10.1038/NGEO0583
Richter et al. (2005): Increase in tropospheric nitrogen dioxide over China observed from space. Nature, 32, 129-132
Martin et al. (2006): Evaluation of space-based constraints on global nitrogen oxide emissions with regional aircraft measurements over and downwind of eastern North America. J. Geophys. Res., 111, D15308
Takagi et al. (2011): On the benefit of GOSAT observations to the estimation of regional CO2 fluxes. SOLA, 7, 161-164 環境省,環境白書・循環型社会白書 http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/index.html 国立環境研究所(NIES)環境数値データベース http://www.nies.go.jp/igreen/ 四日市公害資料館 http://www.city.yokkaichi.mie.jp/kankyo/kogai.htm 環境省黄砂飛来状況 http://soramame.taiki.go.jp/dss/kosa/index.html 化学天気予報システム http://www-cfors.nies.go.jp/~cfors/index-j.html 31
Extra Slides
一酸化炭素 酸素欠乏 二酸化炭素 温室効果 メタン 温室効果 亜酸化窒素 温室効果 六フッ化硫黄 温室効果 ヒドロフルオロカーボン 温室効果 パーフルオロカーボン 温室効果 ヒドロクロロフルオロカーボン オゾン層破壊、 温室効果 クロロフルオロカーボン(フロ ン) オゾン層破壊、 温室効果 硫黄酸化物(SO2, SO3, SOx) 酸性雨 窒素酸化物(NO, NO2, NOx) 酸性雨 硫酸 酸性雨 硝酸 酸性雨 硫酸アンモニウム 酸性雨 硝酸アンモニウム 酸性雨 光化学オキシダント 光化学スモッグ アクロレイン 光化学スモッグ アセトアルデヒド 光化学スモッグ ベンゼン 発ガン性 トリクロロエチレン 発ガン性 テトラクロロエチレン 発ガン性 ベンゾピレン 発ガン性 3-ニトロベンズアントロン 変異原性 ダイオキシン 発ガン性など
大気中の微量ガス成分
(微量成分ガスの名前と環境上の性質) 33石油は、原油やガソリンを含めた液体の炭化水素の総称。常温、常圧で液体であり、火をつければ燃える炭素と 水素の化合物。 ・ 原油はそのままでは燃料として利用できないので蒸留する。軽い成分から順に、ガソリン、灯油、軽油、重油の順 番で精製される。 ・現在先進国では液体で扱いやすい石油が燃料の主流 ・石油の燃焼から出る二酸化窒素→免疫力低下。呼吸器系疾患増加。光化学スモッグ ・ 石油の由来は生物の化石であるという説が有力 ・40年程度で枯渇すると推定されている.サウジなどの中東に偏在
化石燃料
について
34 石炭とは古代の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、長い間地熱や地圧を受けて変質した物質。植 物化石のようなもの。他の化石燃料である石油や天然ガスに比べて、燃焼した際の二酸化炭素排出量が多い。 • 石炭は政情の安定した国に多く埋蔵されている。旧ソ連23%、アメリカ25%、中国12%、オーストラリア9%、イン ド8%、ドイツ7%など(変動) ・石炭は埋蔵量が比較的多く、世界で幅広く採掘が可能。近年はエネルギー安全保障の観点から使 用量が増大している。 ・110年ほど採掘できると推定されている。 ・自国内に豊富な石炭資源を有する中国は、全エネルギーのうち7割以上を石炭が占めている。 •石炭の害:二酸化硫黄やすす→呼吸器系疾患増加 • 世界の石炭埋蔵量の半分は、汚染につながりやすい褐炭。水分や不純物の多いもっとも低品位な褐色の石炭。 褐炭は輸送効率とエネルギー効率の悪さから、世界市場での取引は少ない。二酸化炭素排出量が多く、環境負 荷が大きい。代表的な大気汚染(1)
松尾 (2001)四日市喘息(1962-1972)
ロンドンスモッグ(1952)
→二酸化硫黄SO
2による呼吸器疾患(気管 支炎や肺炎など) ロンドンのスモッグは数千人の人々の過剰死 をもたらした冬の都市大気汚染の典型事例。 二酸化硫黄やばい煙などの一次汚染物
質
(直接排出された化学物質)による被害。こ のように、湿った冬に排気ガス(一次汚染物 質)が直接的に作用して起こる現象はロンドン 型スモッグという。スモッグ(smog=smoke+fog)
は、霧が 発生するような風が弱く、多湿な空気塊がた まりやすい気象条件下で人間活動による排 煙が閉じ込められることによって生じる。 硫黄酸化物は化石燃料に含まれる硫黄分が燃焼することにより発生。 自然界では火山ガスなどに含まれる。 35ロサンゼルスの光化学スモッグ
(1940年代)
→光化学オキシダント
による視程の悪化、眼に対する刺激 • 光化学オキシダントとは、車などから排出される窒素酸化物NOxなどが紫外 線によって反応したときに二次的に生成される酸化性物質の総称(9割以上がオ
ゾン
)→光化学スモッグの原因 • これは夏
に一次汚染物質に太陽光が作用することによって生成される二次汚 染物質による大気汚染現象(光化学スモッグ)。一次汚染物質による環境被害が 発生源近くで起こるのに対して、二次汚染物質による環境被害は風によって輸送さ れ、広域に渡ることが特徴。 ・ オゾンの人体に与える悪影響:環境基準を越すと刺激臭と視覚の低下、やがて 呼吸困難や脈拍増加を引き起こし、20ppmを越えると2時間で肺水腫で死亡するこ とがある(対流圏にあるオゾンは有害!) • 空気中の窒素と酸素が反応して窒素酸化物ができるのは、高温・高圧で燃焼す るため。また燃料に含まれた窒素化合物から窒素酸化物となる場合もある。 ・ 暑くて弱風のときに起きやすく、ロスやメキシコシティだけでなく、日本でも光化学 スモッグの被害が顕在化するようになってきている。代表的な大気汚染(2)
36東アジアの大気汚染問題
・ 主な産業公害を引き起こす硫黄酸化物は脱硫装置が未整備である開発 途上国で特に問題視され、例えば中国で総排出量が大きい。 ・ 中国では、光化学スモッグの発生日が200日/年を越える地域が幾つもあ る。年間40万人以上が大気汚染の影響により過剰死している。都市住民 の1/3が人の健康に影響を及ぼす程度の汚染度の都市で生活しており、1 億1600万人が非常に危険な程度と言われる汚染度の都市に住んでいる。 ・ 大気汚染には国境は関係ない。→国際的な連携が重要(東アジア12カ国 では、国を越えて酸性雨現象を監視する観測網が構築されている)。 ・ 大気汚染物質は健康問題以外でも、気候変動を起こす可能性が指摘さ れている。→広域に渡る観測と世界規模での規制の強化が必要。 3738
1980
1990
2000
持続可能性追求型モデル 対策強化型モデル2020
現状推移型モデル窒素酸化物NOxの過去の推移と将来予測
(cNIES) エネルギー対策や環境対策を 適度に進めたシナリオ。排出 量は3種類のシナリオの中位 燃料消費や環境対策が 現状のまま推移し排出量 が最も増加するシナリオ エネルギー対策や環境対策 を強力に進めることにより、 排出量が最も少ないシナリオ・オゾン(ozone) は成層圏に多 く分布し(大気中の約90%)、地 球の気候を形成する上で重要な 役割を果たしている。 ・オゾン濃度の高いところをオ ゾン層と呼ぶ。 ・オゾンが紫外線との反応で分 解されるときに熱が放出される。 この熱で成層圏が暖められる。 1840年に雷雨のときに現れる気体を発見。ギリシャ語で匂いを意味する言葉か らオゾンとつけられた。酸化作用が強く、水道水の殺菌・消毒などにも使われて いる。生物にとっては有毒である。光化学スモッグのときに発生し、大気汚染物 質となる。
オゾン層
39大気汚染と自然変動について
粒子状物質の多い曜日 降水量の多い曜日 TRMMデータを使用した夏の嵐に 関する論文(Bell et al. 2008) 平日の大気汚染が週末より平日 に 多 く の 雨 を 降 ら せ て い る 。 1998-2005のアメリカ南東部の 降雨量は、火曜から木曜までが 多い。午後の雨だけ見ると、最 多の火曜の雨は土曜の1.8倍。 アメリカ環境保護局の大気中の 粒子状物質のデータでも週半ば にピークに達する傾向あり。 大気汚染は雲の発生や降水活 動にも影響を与えている。 40Bell et al. (2008): Midweek increase in U.S. summer rain and storm heights suggests air pollution Invigorates rainstorms. J. Geophys. Res., 113, D02209.