3.
電子論文と電子投稿――
,
PostScript
,
L
A
TEX
など
奥 村 晴 彦 (松阪大学)
e-Papers and e-Prints: PDF, PostScript, L
ATEX, and all that
OKUMURA HaruhikoMatsusaka University, Matsusaka 515-8511, Japan
(Received 25 October 2001)
Abstract
This tutorial explains how to prepare PDF and PostScript manuscripts for online submissions to journals and e-Print archives using either LATEX or your favorite word-processing software.
Keywords:
PDF, PostScript, EPS, TEX, LATEX
3.1
はじめに
もともと原稿はワープロソフトなどで電子的に作成す るので,紙に出力してやりとりするより,そのままメー
ルに添付して送るほうが確実である.Webで公開した
り,オンライン投稿する機会も増えた.
だが,Microsoft Word(以下Word)などの非公開形式
のファイルは基本的に信用できない.環境(機種やOS, 日本語対応の有無など)やバージョンの違いによるト ラブルが頻発する.同じバージョンでも何種類かのリビ ジョンがあり,リビジョンが違うと文字ずれが生じたり, 修正して保存しただけでファイルが壊れることもある. マクロウイルスを媒介する危険もある.このため,PDF やPostScript(PS)といった標準交換形式が推奨されて いる.しかし,PDFやPostScriptでも,作り方を間違え ば,ファイルサイズが必要以上に大きくなる,ギザギザ な文字になる,印刷時にエラーになるなどのトラブルが 生じ得る. 本稿では電子原稿の作り方のコツを解説する.前半で
author’s e-mail: [email protected]
はWordなどのアプリケーションソフトを使った安全な PDFやPostScriptの作り方,後半ではLATEXなどのフ リーソフトだけで良質のPDFやPostScriptを作る方法 を述べる.
3.2
PostScript
と
講座
コンピュータの利用技術
155アプリ ケーション EPSファイル PSファイル Distiller Distiller (PSプリンタドライバ) Acrobat dviファイル dvipdfm テキストファイル dvips PDFファイル LATEX pdfTEX Fig. 1 PostScript,PDF関連ソフト. にテキストファイルであり∗1,データ圧縮しやすい.後
述のe-Print archiveではPSをgzipで圧縮した形式で提 供している.
そ の PSを 単 純 化・改 良 し た も の が PDF(Portable
Document Format)である.PDFはアドビシステムズ∗2
が無償配布するAcrobat Readerで閲覧・印刷できる. Acrobat ReaderはWindows,Mac,Linux,Solarisなど 多様な環境をサポートする.フリーソフトGhostscript などでもPDFを読むことができる.
Fig. 1はいろいろなソフトでPSやPDFを作成する
過程を示したものである.Wordなどを使用する場合は,
この図の上半分がワークフローになる.図中のAcrobat
Distillerは,アドビシステムズの製品Adobe Acrobatに
含まれるPDF作成ソフトである(PageMakerにも同梱さ れている.無償のAcrobat Readerには含まれない).大 学などではAcrobat,PageMaker,Illustrator,Photoshop を合わせたAdobe Publishing Collectionをアカデミック 価格で買うのが賢い買い方である. 図の下半分はフリーソフトのLATEXなどを使うワー クフローである.慣れてしまえばこちらのほうがPSや PDFが簡単に作成できる.本稿もLATEXで作ったもの である.LATEXなどについては本稿の後半で解説する.
3.3
の作成法
可搬性に優れたPDFといえども,作成法が間違ってい れば,ファイルサイズが必要以上に大きく(重く)なった り,ギザギザな文字になったり,エラーになったりする. ここでは Wordなどのアプリケーションソフトで安 全かつ軽いPDF を簡単に作成する方法を述べる.特 にWindowsについて述べるが,Macintoshでも同様で ∗1PSファイルはバイナリ形式にもできるが,可搬性を考えればテ キスト形式のほうがよい. ∗2 日本法人のWebサイトはhttp://www.adobe.co.jp/ ある. まず考え方を説明しておく.安全にするためには,す べての使用フォント(フォントファイル全体ではなく, 実際に使った文字だけ)をPDFに埋め込む(embedす る).こうしておけば,どんな環境でも文字化けしない.よく「使用フォントはTimesとHelveticaとSymbolに 限る」などとしている文章を見かけるが,これでは複雑 な数式が書けない.実際に使った文字だけが埋め込まれ るので,フォント埋め込みを禁じる理由はない. ただ,和文フォントについては,文字数が多く,サブ セット埋め込みでもかなり重くなるため,論文では原則 として埋め込まない. さて,まず原稿を書くパソコンにAdobe Acrobat全体 または少なくともAcrobat Distillerをインストールして おく.最新版は5.0であるが,4.0でもかまわない∗3. あらかじめ[スタート]―[設定](―[コントロール パネル])―[プリンタ]でAcrobat Distillerを右クリッ クし「通常使うプリンタに設定」してからWordなどの アプリケーションソフトを起動する.これがレイアウト を崩さないコツである∗4. TrueType フ ォ ン ト( の サ ブ セ ッ ト )は ,Type 42 (Windows NT/2000ではNative TrueTypeと呼ばれる)
という形式でPDFファイルに埋め込む.そのための設 定の確認をしておこう.Acrobat Distillerを右クリック し,Windows NT/2000なら[プロパティ]―[全般]― [印刷設定]―[詳細設定]でPostScriptオプションの左 の[+]をクリックし,TrueTypeフォントダウンロード オプションを「自動」(または「Native TrueType」)にす る.Windows 98などなら[プロパティ]―[フォント] ―[フォントの送信方法]で「Type 42」にする.ついで に[プロパティ]の[全般]―[印刷設定]―[詳細設定] で[PostScriptオプション]―[PostScript出力オプショ ン](Windows 98などでは[プロパティ]―[PostScript] ―[PostScript出力形式])を「エラーが軽減するよう最 適化」にする. さらに,[スタート]―[プログラム]―Acrobat Distiller でDistillerを立ち上げ,[ファイル]―[環境設定]で 「PDF ファイルの保存先を確認」をオンにする.さら に「Distillerで変換後にPDFを表示」もオンにしてお ∗3Macintosh版4.0では和文TrueTypeフォントの埋め込みができ ない. ∗4Acrobat 4.0まではPDFWriterというデバイスもインストール されたが,5.0では標準ではインストールされない.いずれにし ても,PDFWriterではなくDistillerを使う. 156
けば便利である.[OK]を押してDistillerの起動画面
に戻り,「ジョブオプション」を確認する.画面で見
るだけのPDF 作成ならCJKScreen(Acrobat 4.0では
CJKScreenOptimized)でよいが,画像(2値画像以外)
は72 dpi(dots per inch)になってしまう.できればプ
リンタ出力用のPrint(PrintOptimized)にしたい.Press
(PressOptimized)はイメージセッタ出力用である.論文 投稿用なら,特に指示がない場合はPrintでよかろう. [設定]―[ジョブオプション]―[一般](4.0では[詳 細設定])でデフォルトページサイズが米国のレターサ イズになっている.プリンタドライバに渡されるページ サイズが優先されるので,本来ここを変更する必要はな いが,アプリケーションがページサイズをドライバに渡 さないことがあるので,念のため設定しておく.A4判 なら縦29.7 cm,横21.0 cmである(本会誌は縦28.3 cm のA4変形).さらに,[設定]―[ジョブオプション]― [カラー]([色])で「カラー変更なし」(「色の変換しな い」)にする.設定内容を「名前を付けて保存」しておく と便利である.設定が終わればDistillerは[×]で閉じ ておく.以上は一度やっておけばよい. さて,いよいよWordなどのアプリケーションソフ トを立ち上げる.フォント一覧にプリンタのアイコン の付いたフォント(デバイスフォント,プリンタフォ ント)が現れるはずである.和文については,これら だけを使うのが軽いPDFを作るコツである.特に,多 書体を必要としない論文では,本文用の「リュウミン L-KL」(Ryumin-Light),見出し用の「中ゴシックBBB」 (GothicBBB-Medium)に限る.これらはPostScriptで 最も一般的なフォント名であるが,もちろんWindows には搭載されていないので,画面上ではMS明朝,MS ゴシックで代用される∗5. さらに,海外の人にも読んでもらう欧文のPDFを作成 するには,和文フォントは一切用いないのが原則である. 和文フォントでも埋め込むかアウトライン化すれば,原 理的には海外でも読めるはずであるが,現実にはエラー が起こりやすく,嫌がられる. つい∞,→,◦Cなどは和文フォントを使いたくな るが,Symbolフォントまたは数式用フォントを使うべ きである.Wordなら[挿入]―[記号と特殊文字]で Symbolフォントから選ぶ.全角スペースももちろん使 わない. ∗5 モリサワのViewFontを購入すればリュウミンなどが低解像度 ながらWindowsで直接表示できる. 和文フォントを選んだ状態でEnterキーを押しただけ でも,和文フォントを使ったことになることもある.そ こで,ソフトを立ち上げたらすぐに日本語入力をオフに し,フォントを欧文フォントに切り替える.特に指示が なければ本文はTimes New Roman,見出しはArialにす
る.ArialはHelveticaとほぼ同じ形のフォントである. テキストだけでなく,挿入する図についても,和文フォ ントが紛れ込まないように十分注意する.特にExcelの グラフ軸の数字がMS Pゴシックのままになっているこ とが多いが,必ずArialなどに変更する. 米国に投稿する場合は,用紙がA4ではなくレターサ イズであることが多いので,用紙設定も確認する. 文書を書き上げたら,確認のため印刷プレビューし, 印刷メニューでプリンタ名がAcrobat Distillerになって いることを確認して,印刷する.PDFファイル名を聞い てくるので,フォルダを確認し,安全のため半角英数字 だけでファイル名を付ける∗6. Distillerの設定で「変換後にPDF を表示」がオンに なっていれば,ここでAcrobatが起動してPDFが表示 される. Acrobat で 全 ペ ー ジ を ス ク ロ ー ル し 表 示 し た 後 で , [ファイル]―[文書のプロパティ]―[フォント]で使 用フォントを確認しよう.欧文フォントの「実際のフォ ント」(4.0では「使用フォント」)が(後述の欧文基本 14書体を除いて)すべて「埋め込みサブセット」または 「埋め込み」となっており,和文フォントの「オリジナ ルフォント」(4.0では「PDFのフォント」)が上述の2 書体になっていれば合格である.デバイスフォント以外 の和文フォントを使った場合は,それらが「埋め込みサ ブセット」となっていることを確認する.欧文論文では 和文フォントが使われていないことを確認する.できれ ば,Acrobatの入っていない別マシンに英語版Acrobat Readerをインストールして確認する. ファイルサイズについても確認する.サイズが大きす ぎる場合,写真などビットマップグラフィックを含むな ら,Distillerの[設定]―[ジョブオプション]の[圧 縮]タブで解像度(「次の解像度を超える場合」の前と後 いずれも)を下げる.[一般]タブの解像度はビットマッ ∗6Macintoshでよく行われている2001/10/25のような斜線を含 むファイル名は,WindowsやUNIXでは開くこともできない. スペースも含めない.アンダーバー(_)は使ってもかまわない. Macintoshの場合は拡張子は必須でないが,WindowsやUNIX では拡張子がないとファイルタイプがわからなくなる.必ず拡 張子pdfを付ける.
プの解像度とは無関係である. グラフなどのベクトルグラフィックスも,点を多く取 り過ぎている(パスが複雑すぎる)と重くなる.グラフ 作成ツールや描画ツールで簡略化する. 紙に印刷する場合は,WordではなくAcrobatの印刷メ ニューで,プリンタ名を物理的なプリンタに変えてから 印刷する.印刷ダイアログで「用紙サイズに合わせ……」 はオフにしておかないと,仕上がりが若干小さくなるこ とがある.「2バイトフォントのダウンロード」や「画像 として印刷」も通常はオフにする.Acrobat 5.0では,画 面や非PSプリンタ出力にはMS明朝より精緻な小塚明 朝が使われるので,そのままWordから印刷するのとは 一味違った仕上がりになる. フォントについてさらに補足しておく. 和文論文でも,英数字は欧文フォントで統一する.一 般には明朝体とTimes New Roman(Times),ゴシック 体とArial(Helvetica)を合わせる∗7.◦Cや%などの単 位記号も欧文フォントにする. アプリケーションソフトでMS明朝やMSゴシックを 使ってしまった場合にも,リュウミンL-KLや中ゴシッ クBBBに置き換えることができる.[スタート]―[設 定]―[プリンタ]でAcrobat Distillerを右クリックし, [プロパティ]―[デバイスの設定]―[フォント代替 表],または[プロパティ]―[フォント]で「フォント 置き換えテーブルを使用」にして[テーブルの編集]を 確認する(変更できないドライバもある). MS P明朝,MS Pゴシックのようなプロポーショナル フォントは使わない.どうしても使いたいなら埋め込む (重くなる). 和文の太字も使わない.欧文では,たとえばTimes選 択時に[B]ボタンを押せばTimes Boldという別フォン トになるが,和文では[B]は文字飾りの扱いになり,重 ね打ちになって見苦しくなる.影付き,中抜きなどの文 字飾りも用いない.和文の斜体フォントも使わないほう がよい.もし中ゴシックBBBより太いフォントを使い たいなら,見出ゴMB31といった別フォントを用いる. ただし,投稿論文では,こういったことは編集者に任せ るべきで,著者が勝手に行うものではない. いわゆる外字(JIS漢字以外の文字)は使わない.JIS ∗7 明朝体はどちらかといえばTimes系よりCentury系と相性が良 いが,Century系はAcrobatの欧文基本14書体(後述)には含 まれない.また,Times系の数式フォントのほうが普及してい るので,理系論文ではTimes系を使うことが多い.
Fig. 2 MathType(右下).左下はWordに貼り付けたもの. 上はMathTypeからTEXに変換したものをクリップ ボード経由でエディタに貼り付けたもの. X 0208:1983/1990/1997(いわゆる83/90/97JIS)∗8の文 字に限るのが安全である.①のような丸囲み数字は使わ ない.ローマ数字はI,II,III,IV,Vのように英字を並 べて表す.これは代替手段ではなく,欧文での正しい書 き方である.IIIのように詰めて組む必要はない. システム依存文字はこれ以外に(株)の合字など多数あ る.これらはWindowsとMacintoshでコード点がまっ たく違うので,メールやWebでも使用してはならない. 半角カナ類も避ける.
3.4
Word
での数式
Officeツールの数式エディタは,標準インストールで は入らないが,ぜひCD-ROMから追加インストールし ておきたい.これはMathType∗9という商品のサブセッ ト版である.数式を多用するならMathTypeをオンライ ン購入するとよい.最近MathType for Windows 5.0が 出た(Fig. 2).MathTypeの数式に満足できないなら,MathTypeか
ら数式をTEX形式(後述)に変換してクリップボードに
出力できる.Preferences―TranslatorsでTranslation to other language(text)を選び,TranslatorにTeX –
AMS-LaTeXを選ぶ.これで数式を選択してコピーし,テキス
トエディタ(メモ帳など)に貼り付けると,AMS-LATEX 形式で数式が書き込まれる.これを必要ならば手で修正
し,TEXとdvipsでEPS形式に変換してWordなどに
∗8 芝野耕司編著『JIS漢字辞典』(日本規格協会,1997年) ∗9http://www.dessci.com/
挿入する(あるいはこの際Wordを捨ててLATEXに移行 する). TEX形式への変換に特化したTeXaideという無償の ツールも同社から配布されている.Mathematicaなどで もTEX出力が可能である.これらソフトのTEX出力は 完璧ではない.手で若干修正するとさらに見栄えがよく なる. TEXは数式を多用する者にとって避けては通れない関 門であるので,後で詳しく解説する.
3.5
PS
ファイルの作成
Adobe Acrobatを持っていれば,いったんPDFにし た文書をAcrobatで開き,[ファイル]―[名前を付けて 保存](Acrobat 4.0では[書き出し])でPS形式で保存 できる. しかし,PSファイルを書き出すだけであれば,Adobe Acrobatを買わなくても,PSプリンタドライバさえあ れば簡単にできる.さらに,Acrobat Distillerがあれば, PSファイルをダブルクリックするだけでPDFに変換で きる.この方法でPDFを作れば,後述の欧文基本14書 体は埋め込む必要がなくなる.ただし,TrueTypeフォン トはビットマップになってしまう.このことを利用すれ ば,欧文用PSプリンタドライバに出力し,和文フォン トだけビットマップのPDFも作成できる. Windowsにも一般的なPSプリンタドライバが含まれ ているが,大学などの研究機関なら,ネットワークにつな がったPSプリンタがあるはずなので,それに添付され ているドライバをインストールする.あるいは,アドビ システムズのトップページからサポート→ダウンロード とたどって最新のドライバをダウンロードする.これを そのままインストールすれば,Windowsなら[スタート] ―[設定]―[プリンタ]にGeneric PostScript Printerと いう欧文専用の仮想プリンタのアイコンができる.イン ストールの過程でPPD(PostScript Printer Description)ファイルを指定できるので,適当な日本語PSプリンタ 用のPPDファイルを指定すれば,日本語対応のPSプリ ンタドライバになる.各種PSプリンタ用のPPDファ イル(拡張子ppd)がアドビシステムズまたはプリンタ メーカーからダウンロードできる. プリンタドライバがインストールできたら,アプリ ケーションソフト(Wordなど)を立ち上げる前に,[ス タート]―[設定]―[プリンタ]でそのプリンタのアイ コンを右クリックして「通常使うプリンタに設定」する. このようにしてから,アプリケーションソフトを立ち 上げれば,フォントリストの中にデバイスフォント(プリ ンタフォント)が現れる.Times,Helvetica,Courier など,日本語対応のPSプリンタならこれに少なくとも リュウミンL-KL,中ゴシックBBBが加わる.これらの デバイスフォントを使って書けば,PSファイルにはフォ ント名と文字コードしか入らないので,軽いPSファイル ができる.ただし,TrueTypeフォントを使うと,ビット マップ化されてType 3形式で埋め込まれるので,ギザギ ザな輪郭になる.TrueTypeをデバイスフォントに置き 換える設定もできる.もしAdobe Type Manager(ATM) と,埋め込み可能なPS Type 1フォントがインストール されていれば,それもきれいに使える. 日本語PSプリンタドライバなら,明朝体のリュウミ ンL-KL,ゴシック体の中ゴシックBBBを使えば,軽い PSファイルができ,日本語環境では美しい表示・印刷が できるが,非日本語環境では文字化けしてしまう. なお,あとでPDF化することを考えれば,デバイス フォントのうちなるべく次のAcrobat欧文基本14書体 を使うのがよかろう. • Times-Roman • Times-Italic • Times-Bold • Times-BoldItalic • Helvetica • Helvetica-Oblique • Helvetica-Bold • Helvetica-BoldOblique • Courier •
Courier-Oblique
• Courier-Bold •Courier-BoldOblique
• Symbol(Ωω∞ƒ→∂©など) • ZapfDingbats(✄✎①❶➀➊など)ただしWordなどの上ではTimesと Helveticaはそ
れぞれ Windowsの Times New,Arialで代用される.
Acrobat 4.0以降では,画面表示と非PSプリンタでの印
刷に,Monotype社のMT Times New,MT Arialがそれ ぞれ用いられる.これらはTimes,Helveticaとは微妙な
違いがある.たとえばAのイタリック体を見れば違いが
よくわかる.AがTimes,AがTimes Newである. 本文に使うTimes-Romanは,アプリケーションのフォ ントリストにはプリンタアイコンの付いた「Times」と
いう名前で代表して示される.これで[B]ボタンを押
せばTimes-Bold,[I]ボタンを押せばTimes-Italic,両 方を押せばTimes-BoldItalicになる. 見出しに使うHelvetica,コンピュータプログラムなど を表す等幅フォントCourierについては,[I]ボタン で出る斜めの書体はイタリックではなくオブリーク(斜 体)と呼ばれる. PSファイルには拡張子psを付ける.Windowsでは 保存時にファイルの種類が「プリンタファイル(*.prn)」 になっているとprn という拡張子が勝手に補われて filename.ps.prnといった名前になってしまう. UNIX(Linuxなども)ではPSプリンタが標準であり, 印刷のできるアプリケーションソフトで出力先をファイ ルとすればPSファイルができる. PSファイルはPDFに変換しなくてもそのままPSプ リンタに送れば美しい印刷ができる.また,フリーソフ トのGhostscriptを使えば画面表示や非PSプリンタで の出力も可能である.標準的なPSファイルはテキスト ファイルであるので,エディタでフォント名を一括置換 するといった荒業も可能である.また,圧縮しやすいの で,gzip∗10(拡張子gz)などで圧縮すればWebで公開 するのにも便利である.
3.6
EPS
ファイルの作成
PSファイルは一般に複数ページの文書を収めたもの であるが,一つの図だけをPS形式(を幾分限定したもの)で収めたものがEPS(Encapsulated PostScript,カプセ
ル化されたポストスクリプト)ファイルである.EPSは DTPで図表を保存する標準形式である.後述のLATEX に挿入する際にもEPSを用いる. Illustrator や CorelDRAW など多くの描画ソフトは EPS形式で出力できる.Illustratorはデザイナ向けの定 番描画ソフトであるが,慣れないと操作が難しい.他に Visio,花子など,選択肢は多い.フリーソフトも少数だ が存在する.計算機指向の読者ならMetaPost言語で図 形を記述すれば軽いEPSが作れる.直接EPSをエディ タで書く荒業もある.簡単な図ならWord付属の「Word 図」で十分である.「ペイント」ではビットマップになっ てしまう. 「Word図」やExcelなど一般のアプリケーションソ フトからEPS出力するには,Acrobatを使うのが簡単 である.Distillerプリンタに印刷してまずPDFを作り, ∗10 オリジナルのgzipはhttp://www.gzip.org/からダウンロー ドできる.gzip形式をサポートする圧縮ソフトは他にもある. Acrobatで開いてトリミングツールで切り出し,[ファイ ル]―[名前を付けて保存](または[書き出し])でEPS 形式を選ぶ.[設定]でPostScriptレベル2にすると安 全である. Acrobatがなくても,PSプリンタドライバを使えば EPS出力できる.Windowsなら[スタート]―[設定]― [プリンタ]で適当なPSプリンタを選び,[プロパティ] の[全般]―[印刷設定]―[詳細設定]でPostScriptオ プションのPostScript出力オプション(Windows 95/98 などでは[プロパティ]―[PostScript]のPostScript出 力形式)を「簡易PostScript(EPS)」(「カプセル化された PostScript」)にする.原理的にはこれでいいはずである が,実際には枠(バウンディングボックス)が正しくな いことがある.これを修正する荒業として,EPSファイ ルをエディタで開き,先頭付近に%%BoundingBox: 23 18 819 577のように書かれたものを見つけて,数値を 適宜シフトする.この4個の数値はそれぞれ左下隅のx 座標とy座標,右上隅のx座標とy座標で,単位はポイ ント(1/72インチ)である. EPSはPSの一形式であるので,PSを作る際の注意事 項がすべてEPSにも該当する.たとえばExcelでグラ フ軸の数字にMS Pゴシックを使わず,Arialなどの欧 文フォントにする. EPSファイルにプレビュー用の画像を付けることもで きるが,後述のLATEXに挿入する際には付けないほうが よい.なお,WordなどへはEPS挿入するより,EPSを
Illustratorで開いてコピーし,Wordで「形式を選択して
貼り付け」で拡張メタファイル(EMF)形式で貼り付け
るほうが楽である.
UNIX(Linuxなども)では,ドローソフトtgif∗11や
グラフ化ソフト gnuplot,ペイント・レタッチソフト GIMP∗12 など,多数のソフトがEPS出力をサポートし
ている.MS-DOS時代から使われているNgraphもEPS
にできる.gnuplotでは,tgifのobj形式で出力すれば, tgifでグラフを編集できる.TEX,LATEXで作った表な ども簡単にEPS化できる∗13.これらのツールは基本的
∗11Fig. 1はtgifで描いたものである.
∗12Figs. 2,4はLinuxのVMware上で動作するWindows 2000 の画面をGIMPでキャプチャした.GIMPでEPS出力もでき るが,いったんPNG形式で保存してconvert -colorspace gray -density 75x75 swp.png eps2:swp.epsとしてEPS にした.
∗13Y=pagestyle{empty}で表などを作りdvipsに-Eオプション を与えればEPS出力になる.Fig. 3はdvips -Ppdf -E mt. dvi -o mt.epsなどとしてEPSにした.
に安全である. Illustratorからはデバイスフォントが選べない.軽く するためには,MS明朝,MSゴシックで書いておき, フォントデータを含めず保存し,テキストエディタで 開いて,MS-MinchoをRyumin-Light,MS-Gothicを GothicBBB-Mediumに一括置換すればよい.%%EOFの 後は消してもかまわない.軽くする必要がなければ, フォントデータを含めて保存する.
3.7
PS
→
の変換
PS形式のファイルをPDF化するには,Acrobatがイ ンストールされていれば単にPSファイルのアイコンを ダブルクリックするだけでAcrobat Distillerが立ち上が り,PDFに変換される. Ghostscript 付属のツール ps2pdfを使っても PS → PDF変換ができるが,現状では和文はギザギザになる. 研究室の一つのマシンだけにAcrobatがインストール されているなら,そのマシンでAcrobat Distillerを起動 して「監視フォルダ」を設定しておけば,そのフォルダ (“in”フォルダ)にftpまたはWindowsのファイル共有 でPSファイルをアップロードすると,“out”フォルダに PDFファイルが生成される.これはぜひお勧めしたい便 利な使い方である.3.8
TEX
,
L
ATEX
TEXはコンピュータ科学の大御所Donald Knuthが開 発した くみはん 組版言語である.テックスと読むと笑われ,奇抜 な読み方をするほど尊敬される.日本ではしばしばテフ と読まれるが,英語圏ではむしろテックに近い.ドイツ 語圏ではテヒに聞こえる.TEXと書けない場合はTeX と書く(TEXやTexではなく).TEXは1970年代末か ら開発され,1990年には仕様が固定された. LATEXは,このTEXを拡張する形で作られた文書処理 システムである.これもラテフ,ラテック,レイテックな どの読み方がある.頭のLAは作者Leslie Lamportの姓 に因む.LATEXと書けない場合はLaTeXと書く.1980 年代半ばから論文を書くために世界中で広く使われてい る.1993年にはPostScriptとの親和性を高めた現バー ジョンのLATEX 2ε(ツー・イー)が作られた.LATEX 2ε と書けない場合はLaTeX2eと書く. 日本語対応のpTEX(ピーテック),pLATEX(ピーラ テック)は(株)アスキーがUNIX版を開発し,無償で ソース配布している.Windows版は近畿大学の角藤 亮 氏が,Macintosh版は慶應大学の内山孝憲氏が作成され ている.これらを含め,以下で述べるTEX関連ソフト は特に断らない限りすべてフリーソフトである. American Physical Society(APS)のPhysical Review などに投稿するためのREVTEXもLATEXに基づくシス テムである.2001年8 月に待望のLATEX 2εベースの REVTEX 4が出た. LATEX(REVTEXなども含めて)は,SGMLやXML と同じ発想で作られたシステムであり,「タイトル」「著 者名」「アブストラクト」といった文書の構成要素を指定 していくことにより文書を構造化する.オマケとして, TEXの高度な組版機能で美しい印刷ができる.ただ,こ のオマケが大きすぎて,LATEXの中からTEXの組版命 令がすべて使えてしまうので,凝り性のユーザはついそ れを使って見栄えを「改良」してしまう. だが,これをされると編集者はたいへん困る.まず体 裁の統一が保たれなくなる.また,LATEXで書かれたも のであっても,最終的にLATEXで印刷して終わりにな るわけではない.文書の構成要素を抽出してデータベー ス化したり,最近ではTEX以外のシステム(たとえば 3B2∗14)で処理することも多いが,著者の「改良」によっ て変換作業に支障を来たす.APSのCompuscript Guide
for REVTEX 4∗15でも強調されているように,TEXの低
レベル命令だけでなく,LATEXの命令も見栄えを制御す るものは投稿論文には使ってはならない.逆に言えば, 投稿論文用にはLATEXのサブセットしか使わないので, 習得が容易である.
TEX,LATEX関連の情報は私のWebサイト∗16で入手 できる.質問用の掲示板TEX Q & Aも用意しているの で,ぜひ利用されたい.
3.9
L
ATEX
の周辺ソフト
TEX,LATEXは,dvi(device independentに因む)と
いう形式の中間ファイルを出力する(拡張子dvi).伝
統的には,これを dvioutや xdviといったソフトで表 示・印刷する.あるいは,dvips(dvipsk),dvi2psなど といったツールでPSに変換し,PSプリンタで印刷す る.Ghostscriptを使えばPSの画面表示や非PSプリン タへの出力もできるし,Acrobat DistillerなどでPDF化 できる. ∗14http://www.3b2.com/ ∗15http://publish.aps.org/revtex4/ ∗16http://www.matsusaka-u.ac.jp/~okumura/texfaq/ 161
最近のGhostscriptはPDFにも対応しており,付属の
ps2pdfスクリプトでPSをPDFに変換できる.ただ,現
状ではPDF化に際して和文フォントはビットマップ化
されてしまう.
TEXやLATEXの文書をPDFに直接変換するpdfTEX もあるが,日本語には未対応である.
dvi を PDF に変換する dvipdfm は,日本語対応版
が九州大学の平田俊作氏によって最近作られた.TEX
(LATEX)とdvipdfmを使えばフリーソフトだけで高品
位の日本語PDFを作ることができる.ただ,dvipdfmは LATEXに埋め込まれたEPSのPDF化をGhostscriptで
行うため,現状ではEPS中の日本語はビットマップに なる. このほか,LATEXと組み合わせて使う文献データベー スツールBIBTEXなど,多数の関連ソフトがある.
3.10
L
ATEX
とフォント
TEX に は フ リ ー の 欧 文・数 式 フ ォ ン ト(Computer Modern)が付いている.TimesやHelveticaなどのPS(Type 1)フォントも使える.本物のTimesなどは商品 であるが,TEXではフォント名と幅情報を使うだけであ る.画面表示や非PSプリンタへの出力には,Timesな どとそっくりのType 1フォントがGhostscriptに付いて いるので,それらを使う.Timesベースの数式フォント も,フリーのmathptmxやTXフォント∗17 から商品の MathTıme∗18やTM Math∗19まで,いくつかの選択肢が ある(Fig. 3). TEXとその周辺ツールで作ったPSやPDFファイル は,設定さえ正しければ,基本フォント以外はType 1形 式で埋め込まれる.和文フォントについては, Ryumin-LightやGothicBBB-Mediumなどの標準的なフォント 名が入るだけで,実体は埋め込まれない.Wordなどと 違い,特に入力時に注意を払わなくても,軽く高品位の PSやPDFができる. ただ,挿入したEPSが原因でトラブルが生じることは ある.これについては「EPSファイルの作成」の項を参 照されたい. ∗17 解 説 が 私 の http://www.matsusaka-u.ac.jp/~okumura/ texfaq/txfonts.htmlにある. ∗18http://www.YandY.com/でオンライン購入できる.使い方の 解 説 が 私 の http://www.matsusaka-u.ac.jp/~okumura/ texfaq/mathtime/にある. ∗19http://www.micropress-inc.com/ Computer Modern:
“¿But aren’t Kafka’s Schloß and Æsop’s Œu-vres often na¨ıve vis-`a-vis the dæmonic phœ-nix’s official rˆole in fluffy souffl´es?”
1 = ω 2 p k2 ∞ −∞ ∂ ˆf0(vx)/∂vx vx− ω/k dvx TX Fonts:
“¿But aren’t Kafka’s Schloß and Æsop’s Œuvres often na¨ıve vis-`a-vis the dæmonic phœnix’s o ffi-cial rˆole in fluffy souffl´es?”
1=ω 2 p k2 ∞ −∞ ∂ ˆf0(vx)/∂vx vx− ω/k dvx MathTıme:
“¿But aren’t Kafka’s Schloß and Æsop’s Œuvres often na¨ıve vis-`a-vis the dæmonic phœnix’s offi-cial rˆole in fluffy souffl´es?”
1=ω 2 p k2 ∞ −∞ ∂ ˆf0(vx)/∂vx vx− ω/k dvx Fig. 3 TEXの欧文フォントの比較
3.11
L
ATEX
のインストールと使い方
TEX,LATEXは多くのLinuxディストリビューショ
ンに標準で入っており,まともな日本語版のディストリ ビューションなら,日本語の通るものがそのままで使え るはずである.Windowsについては,かつてはインプレ スのTEX for Windowsがよく使われたが,LATEX 2εに未 対応で,過去のものとなってしまった.今ならWindows には角藤氏の配布されているもの∗20,Macには内山氏の 配布されているもの∗21 を使うことになろう.LATEXの 入門書∗22 にもCD-ROMの形で収められているものが あり,インストールは容易である. 特にAcrobatが入っていないマシンには,PS閲覧ツー ルGhostscriptおよびそのフロントエンドGSview,およ びPDF化ツールdvipdfmも是非ともインストールして おきたい. ∗20http://www.fsci.fuk.kindai.ac.jp/~kakuto/ win32-ptex/ ∗21http://macptex.appi.keio.ac.jp/~uchiyama/ macptex.html ∗22 たとえば拙著『[改訂版]LATEX 2ε美文書作成入門』(技術評論 社,2000年11月).2001年11月に修正第2刷が出た. 162
3.12
Rapid Communications
への投稿
2001 年10月からプラズマ・核融合学会誌にRapid Communications(RC)カテゴリーが新設された∗23.査 読を通れば投稿から最短30日で掲載される. ここではこのRCへの投稿論文をLATEXで作成する 方法を説明する. ま ず 学 会 の Web サ イ ト か ら RC 用 の LATEX (LATEX 2ε)スタイルファイルjspf-rc.styとサンプル 原稿RCsampleTeX.texをダウンロードする.このサ ンプル原稿をまずはLATEXで処理してみる.WinShell などのフロントエンドを用いるのが簡単だが,ここで はWindowsのMS-DOSプロンプト(コマンドプロンプ ト)またはUNIX端末でコマンドを打ち込む方式で説明 する. カレントディレクトリにRCsampleTeX.texを置いて latex RCsampleTeX と打ち込む(日本語を含む文書ならlatex ではなくplatexを使う).多少のエラーはEnter(Return)キー を押して次に進む.最後に “LaTeX Warning: Label(s) may have changed. Rerun to get cross-references right” という表示が出れば,再度 latex RCsampleTeX と打ち込む.これでRCsampleTeX.dviが生成される. PDF変換用のPSを生成するには,角藤氏のWindows 版では dvips -Ppdf RCsampleTeX(欧文の場合) dvipsk -Ppdf RCsampleTeX(和文の場合) と打ち込む.これでRCsampleTeX.psができる.これ をDistillerで処理すればPDFになる.正しいオプショ ン(この場合-Ppdfまたは-Pdl)を与えないとギザギ ザの文字になる. Distillerがない場合は dvipdfm RCsampleTeX と打ち込んでdviをPDFに変換する. あとはサンプル文書RCsampleTeX.texを書き直して 自分の原稿を書き込む. サンプル文書を見ればわかるように,LATEXの文書は ∗23http://jspf.nifs.ac.jp/journal/RC/ Y =documentclass. . . で始まり Y =end{document} で終わる.%から行末まではコメント(注釈)であり,出 力されない.メールでLATEX文書をやりとりする場合, ワードラップがオンになっていると,コメントの途中で 改行されて不要な文字が出力されてしまうことがある. RCへの投稿には,頭に次の組版指定を書き込む.こ れはフリーのTimesベースのTX Fontsを使う場合で ある. Y =documentclass[a4paper,twocolumn,fleqn]{article} Y =usepackage{amsmath} Y =usepackage{txfonts} Y =usepackage[dvips]{graphicx} Y =usepackage{jspf-rc} Y =begin{document} このようにLATEXの組版指定コマンドはY=で始まる. この記号はもともと\(バックスラッシュ,逆斜線)で あるが,日本語環境では円印として表示される.本稿で は日本語環境を仮定してY=と書いている. a4paperは A4 用紙指定,twocolumn は 2 段組指 定,fleqnは数式を中央揃えではなく左揃えにする指 定である.これらは投稿規定に合わせるために必須であ る.amsmathは高度な数式を記述するためのパッケー
ジ(American Mathematical Societyが作成したもので, 別名AMS-LATEX)である.これがインストールされて いなければ,エラーになるので,この行(Y=usepackage {...})全体を消す.
txfontsはTX Fontsを使う指定である.TX fontsが インストールされていなければエラーになる.この場 合,この行を Y =usepackage{mathptmx} Y =usepackage[scaled]{helvet} に変えてみる.txfontsほどではないが,数式を含めて ほとんどのフォントがTimesベースになる.これでも エラーになるならば,mathptmxを timesに変えてみ る.数式だけTEX標準のComputer Modernフォントに なるが,数式には定評のあるフォントであるし,このよ うな組合せの学会誌も存在する.これでもエラーになる なら,該当行を削除れば本文も数式もComputer Modern フォントになる.とりあえずこのままにして,編集部に 任せればよかろう. 163
graphicxはEPS形式の図を挿入するパッケージで, 図を入れない場合は不要である.そしてjspf-rcはプ ラズマ・核融合学会のRCスタイルの指定である. これら以外にY=usepackage{cite} と書けば文献引 用時に[1,2,3]といった連番が[1–3]に縮められる. これらの頭書き(とタイトルなどの形式)だけ置き換 えれば,同じ原稿が他学会投稿用の形式に組み直される のがLATEXの便利なところである. さて,次にタイトルを書き込む: Y
=title{A Sample Rapid Communication} タイトルが長い場合は改行位置をY=Y=で指定できる.
Y
=title{A Sample Y=Y= Rapid Communication} 次は著者名と所属である.Y=sup{...}はここでは上 付き,Y=Y=は強制改行である.
Y
=author{ODA NobunagaY=sup{1}, HASHIBA HideyoshiY=sup{2}} Y
=affiliation{Y=sup{1}University of Aduchi, Aduchi 000-0000, Japan Y=Y= Y =sup{2}University of Nagahama, Nagahama 000-0000, Japan} 次は日付とメールアドレスである. Y =date{(Received 1 October 2001 / Accepted 5 October 2001)} Y =email{[email protected]} アブストラクト,キーワードである. Y =begin{abstract} The purpose of ... Y =end{abstract} Y =keywords{Rapid Communications} これらの宣言が一通り終わったところで,タイトル出 力のコマンドを書く. Y =maketitle 後は本文を普通に書くだけである.ワープロソフトと 異なり,改行は無視される(行末が欧文文字なら改行は 欧文スペースと同等に扱われる).段落の区切りには空 の行を入れる.要するに,電子メールの流儀で書けばい いわけである. 数式は次のような形式で書く. Y =[ E = mc^2 Y =] 数式番号を付けるなら次のようにする. Y =begin{equation} E = mc^2 Y =end{equation} 数式を書くルールは適当な入門書を参照されたい.ある いは前述のMathTypeまたはTeXaideのようなツールを 使って数式を書き,数式全体を選択してコピーし,テキ ストエディタに貼り付けてもよい. 図はすべてEPS形式で取り込む.たとえばzu.eps を取り込むには次のようにする. Y =begin{figure}[htbp] Y =centering Y =includegraphics[width=8cm,clip]{zu.eps} Y
=caption{A sample figure} Y
=label{fig:zu} Y
=end{figure}
[htbp]は図の挿入個所の優先順位がhere(その場
所),top(ページ上部),bottom(ページ下部),page (ページ全体)の順であることを示す.width=8cmは図 の幅を8 cmにする.clipは図の外枠の外側に万一ゴミ があった場合にクリッピングする.Y=caption{. . . } は 図の説明である.Y=label{. . . }は図に参照用ラベルを貼 るコマンドで,こうしておけば本文中で
As is shown in Fig.~Y=ref{fig:zu}, ...
のように参照すれば図番号が自動で挿入される.なお, 細かいことであるが,Fig.~の~は改行を許さないス ペースである.図番号の直前では改行を許さないのが通 常である. 最後に参考文献である. Y =begin{thebibliography}{9} Y =bibitem{Kru}
M. D. Kruskal and R. M. Kulsrud, Phys.Y= Fluids Y
=textbf{1}, 265 (1958). Y
=bibitem{Spi}
L. Spitzer, Jr., Y=textit{Physics of Fully Ionized Gases} (Interscience Publishers, New York, 1959), p.~20.
Y
=bibitem{Tan}
S. Tanaka, to be published in Jpn.Y= J.Y= Appl.Y= Phys. Y=textbf{22} (1983). Y
=end{thebibliography} 164
Y
=begin{thebibliography}の後の{9}は,文献番 号が1桁であることを示す.2桁まで許すなら{99}と する.
Phys. FluidsをPhys.Y= Fluidsのように書くのは,こ のピリオドが文末のピリオドではなく,スペースが文間 スペースの幅ではなく語間スペースの幅であることを示 すためである.Y=textbf{. . . }はボールド体,Y=textit {. . . }はイタリック体の指定である. こうしておいて,本文にY=cite{Kru}と書くと,引用 番号が[1]のように出力される.文献を追加・削除・並 べ替えすると,引用番号も自動的に変わる.
3.13
プレプリントサーバへの投稿
1991年以来物理学の電子化プレプリントを集め続けているe-Print archive∗24は,LATEXなどの形式で投稿・ 蓄積し,PS,PDFなどの形式に変換して提供している. 文献中にcond-mat/9806042のような形式で引用され ているのがこれである. 推奨される投稿形態はLATEX(図はEPS)であるが, HTML(図はPNG,GIF)や,Wordなどで書いてPDF 化したもの,Mathematica Notebook形式のものも受け 付けられるようになった. LATEXはLATEX 2εが標準であるが,ファイルの先頭 に%&latex209と書いておけば古いLATEX 2.09で処理 される.挿入する図はプレビューを含まないテキスト形 式のEPSとする.あらかじめlatexコマンド(platex ではなく)で処理し,dvipsコマンドでPS化できるこ
とを確認しておく.Webで簡単にアップロードできる.
アップロードするのはLATEXファイル(*.tex)とEPS だけである.dvi,PS,PDF形式は自動生成される.
投稿の詳細はHelpのTo Submit a Paperを熟読され たい.
3.14
Scientific Word
など
HTMLのタグを直接書ける人なら,それとほぼ1対1 に対応しているLATEXのコマンドを直接書くのは簡単で あろう.それでも,入力補助のためのツールがあれば便 利である.古くからあるEmacsエディタ上のAUC TeX
やYaTeXはそういったツールである.秀丸エディタな
∗24http://arXiv.org/,旧称Los Alamos e-Print Server(http: //xxx.lanl.gov/).中心人物Paul Ginspargの異動のため, 本 拠 地 が LANLか らCornellに 移 っ た .日 本 の ミ ラ ー サ イ トhttp://jp.arXiv.org/は京大基研にあり,http://xxx. yukawa.kyoto-u.ac.jp/の名でも知られている.
Fig. 4 Scientific WorkPlace
どにも同様の入力支援マクロが用意されている. マウスで簡単に使えるWindows上のLATEXエディタ としてWinShell∗25などがある.もっとワープロソフト 感覚で使えるものとしてLyX∗26が有名である.もとも とはUNIXのソフトであるがWindows版も出ている. 以上はフリーソフトである.商品としてはScientific Wordや,それに数式処理・数値計算・グラフィックのた
めのソフトMaple Vを組み込んだScientific WorkPlace
(Fig. 4)がある.いずれもライトストーン∗27 が日本語 版を販売している.
3.15
スキャニングについて
論文の電子化とは少し違う話であるが,すでに紙の形 で配布されてしまったものを電子化するにはスキャナ が欠かせない.コンシューマ向けのスキャナで十分であ る.CIS(contact image sensor)を使ったものは薄く安 価であるが,遅く,製本した論文は綴じ部分がうまくスキャンできない.CCDセンサのものを用意したい.で
きればADF(auto document feeder)を装着できる機種 がよい. 通常の文献はモノクロ2値画像でよい.解像度は,一 般的なファクスのファインモードがほぼ200 dpiである ことから,200 dpiでまず大丈夫である. 通常の欧文論文誌で100キロバイト/ページ以下が目 安である.