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218 Propionibacterium acnes を起因菌とした人工弁感染性心内膜炎の 1 例 須磨谷いづみ 1) 佐々木裕夏 1) 齋藤千恵 1) 戸口明宏 1) 金綱英夫 2) 福山光和 1) 大塚喜人 1) 医療法人鉄蕉会亀田総合病院 1) 医療法人鉄蕉会亀田クリニック 2) 症例 78

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Academic year: 2021

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【症例】78 歳男性。5 年前に重症大動脈弁狭窄症と心室中 隔欠損症に対して大動脈弁置換術(Magna#21)、心室中隔閉 鎖術を施行された。入院3 日前より労作時の呼吸苦・絞扼 感が現れ、症状が改善しないため当院を受診し、心不全加 療目的にて入院となった。 【経過】入院17 日前に他院で施行された経胸壁心エコー図 では大動脈弁逆流を認めなかったが、入院翌日施行した経 胸壁心エコー図では重症大動脈弁逆流を認めた。入院5 日 目に施行した経食道心エコー図では重症大動脈弁逆流と大 動脈弁右冠尖に2 つの紐状エコーが認められ、生体弁右冠 尖の穿孔、破損および疣腫を疑った。原因不明の労作時呼 吸苦で重症大動脈弁逆流がここ2-3 週間の経過で急激に出 現しており、感染性心内膜炎もしくは何らかの原因で人工 弁機能不全を来しており、それが症状の原因と考え手術の 方針となった。入院8 日目に血液培養を 3 セット採取し、 入院9 日目に 3 セット中 1 セット、1 本のみ陽性となり、 入院13 日目 に Propionibacterium acnes が同定されたが感 染性心内膜炎の起因菌としては極めてまれで、コンタミネ ーションも考えられ、さらに血液培養3 セット採取した。 全身状態は非常に安定しており、この時点で抗菌薬治療は せず、経過観察となった。入院20 日目 3 セット中 3 セット からP.acnes が同定され、Duke の診断基準の大項目 2 項目 を満たし、感染性心内膜炎と診断され、抗菌薬治療を開始 した。入院26 日目大動脈弁置換術(Magna EASE #21)を施行 した。手術後も抗菌薬治療を続け経過良好にて入院68 日目 に退院となった。 【手術所見】大動脈弁無冠尖はR/N ステント側に離開して おり、全ての弁尖に疣種が付着していた。摘出された弁か らもP.acnes が検出された。 【まとめ】今回の起因菌であるP.acnes は皮膚常在菌で、 結膜、外耳、デンタルプラーク中にも検出される弱毒菌で ある。初回の血液培養はコンタミネーションも考えたが、 心エコー図で人工弁の異常による重症大動脈弁逆流を認め ており、血液培養を再度採取し、P.acnes による人工弁感染 性心内膜炎を診断することができた。 連絡先0470-92-2211(内戦 5354)

Propionibacterium acnes を起因菌とした人工弁感染性心内膜炎の 1 例

◎須磨谷 いづみ1)、佐々木 裕夏1)、齋藤 千恵1)、戸口 明宏1)、金綱 英夫2)、福山 光和1)、大塚 喜人1) 医療法人 鉄蕉会 亀田総合病院1)、医療法人 鉄蕉会 亀田クリニック2)

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【症例】 17 歳女性 【主訴】発熱、食欲不振 【既往歴】特になし(直近の歯科治療、静注薬物の常用な どなし) 【現病歴】8 月 9 日から発熱、近医を受診し解熱剤を処方 されるも38℃から解熱せず、8 月 30 当院入院となった。 【経過】心電図は洞性頻脈 (120bpm) CTにて両肺に多発性で空洞性の肺膿瘍(+)、右肺動脈内に 血栓が疑われ、経胸壁心エコー検査を施行した。三尖弁、 中隔尖に13×16mm の可動性の疣贅が付着しており、中等 度の三尖弁逆流が認められた。 翌日、経食道心エコーを 施行し、三尖弁中隔尖に多房状の疣贅を認め、大動脈無冠 尖直下の心室中隔瘤が疑われた。また、大動脈弁、僧帽弁 など他の弁に明らかな疣贅は認められなかった。 MEPN、VCM を開始し、8 月 30 日提出の血液培養からは staphylococcus aureus が同定され CEZ に変更となった。 抗生剤開始後解熱したが、9 月 28 日に再び 38℃台の発熱、 直後の経胸壁心エコー多房性の疣贅の一つが消失していた。 10 月 2 日に WBC14800 CRP25 と炎症反応が上昇し、胸部 レントゲンでは左肺に肺炎が示唆される、すりガラス様の 陰影が認められた。この時の血液培養は陰性であった。 LVFX が開始され 2 日目から解熱、炎症反応もおさまった。 後の10 月 15 日の胸部 CT では新たに左肺に膿瘍がみられ た。 全身状態の改善と肺膿瘍呼吸機能の改善を待ち10 月 31 日、 疣贅の除去及び三尖弁形成術が施行された。術中の所見で は心室中隔欠損、心室中隔瘤は認めなかった。 【結語】若年女性の三尖弁位感染性心内膜炎が原因で塞栓 性多発性肺膿瘍を発症した一例を経験した。経胸壁心エコ ー図にて疣贅の継時的変化を観察し病態把握に有効であっ たので報告する 【連絡先】0297-74-5551(内線:1287)

若年女性に発生した三尖弁感染性心内膜炎の一例

◎窪木 暁子1)、野崎 千恵子1)、細谷 和佳1) JA とりで総合医療センター1)

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[はじめに]非細菌性血栓性心内膜炎(以下 NBTE)とは、末 期疾患、消耗性疾患や血液疾患等において、心臓弁膜上に 無菌性の血栓性疣贅が生じることをいう。今回我々は、脳 塞栓症の原因検索で施行した経胸壁心臓超音波検査で僧帽 弁に可動性のある低輝度構造物を認め手術を施行し、 NBTE と診断された症例を経験したので報告する。 [症例]48 歳、女性。2014 年 9 月、左下同名半盲を主訴に当 院紹介受診。 [既往歴]2013 年 9 月に呂律が回らないエピソードがあった が、頭部CT で異常所見なく症状軽快。 [検査所見]心電図:HR 72、正常洞調律。 経胸壁心臓超音波:僧房弁両尖の弁尖中央部に可動性のあ る低輝度構造物(前尖:18×13mm、後尖:12×8mm)を認め、疣 贅または腫瘍等が疑われる。MR 軽度、MS は認めない。左 室収縮能良好。その他の弁に異常所見なし。 経食道心臓超音波:僧房弁A2/P2 を中心に腫瘤像あり。表 面は不規則で、一部乳頭状にも見える。 頭部MRI:両側後頭葉(右>左)に新鮮梗塞巣あり。 血液培養:3回施行され、いずれも陰性。 血液培養陰性で、大きな疣贅だがMR は軽度であることか ら、感染性心内膜炎の否定はできないが乳頭状線維弾性腫 の可能性も強く疑った。当院心臓血管外科に転科後、僧房 弁置換術が施行された。 [病理所見]僧房弁は線維化、粘液様の変性を伴い、結節状 隆起部ではフィブリン塊を示し好中球浸潤は一部少数のみ で、器質化も疑われるという所見であった。 [考察]NBTE 症例の 70%では、疣贅は直径 3mm 以下でかつ 多発性にみられるといわれているが、今回の症例では 10mm を超える大きな疣贅であったため、比較的稀な症例 であった。心臓超音波検査で疣贅を認め、血液培養が陰性 や塞栓症の合併がある症例では、NBTE も念頭に置いて検 査を行う必要がある。 [まとめ]NBTE をもたらすといわれる明らかな基礎疾患を有 さない症例を経験した。        0956-24-1515(6140)

心臓超音波検査で鑑別に苦慮した非細菌性血栓性心内膜炎の一例

◎樋口 ちひろ1)、谷川 真亨1)、難波 明子1)、山村 紀子1)、井手 理絵1)、石田 裕子1)、松尾 由美1) 佐世保市立総合病院1)

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【症例】67 歳女性.中等度大動脈弁閉鎖不全症で近医通院 中であった.2013 年 10 月,腰痛が出現し整形外科を受診, 椎体圧迫骨折疑いで保存的に加療された.その後腰痛に加 えて食欲不振・労作時呼吸困難感が徐々に出現.11 月下旬, 呼吸困難が増悪し当院を受診,心不全にて緊急入院となっ た.入院時より左第4 肋間胸骨左縁に LevineⅢ/Ⅵの汎収縮 期雑音を聴取していた. 心エコーでは左室・左房の拡大,大動脈弁無冠尖の弁瘤を 伴う高度大動脈弁逆流,無冠尖側の中隔瘤様像と右心への シャント血流,三尖弁に付着した10mm 大の疣贅を認めた. 血液培養で連鎖球菌を検出し,感染性心内膜炎と診断.入 院5 日目に大動脈弁置換術,三尖弁置換術,瘻孔閉鎖術を 施行.術中所見では大動脈弁無冠尖・右冠尖の疣贅付着お よび高度の破壊所見,大動脈弁無冠尖・右冠尖交連部の左 室から右房への交通,三尖弁の全ての弁尖に疣贅付着を認 めた. 【考察】感染性心内膜炎で見られる心臓内の合併症で,感 染が弁輪部を超えて周辺組織に広がり形成された膿瘍が心 筋組織に浸潤し,心腔間に瘻管が形成されると心内シャン トが生じる.本症例では,経胸壁心エコーで大動脈弁周辺 からの左→右シャント血流,大動脈弁,三尖弁に疣贅を認 めた.しかし,大動脈弁付近から右心系へ穿孔した部分の 構造は複雑であり,大動脈弁逆流や三尖弁逆流も存在して いたため,エコーでの感染性心内膜炎の病態把握に苦慮し た.その後施行した経食道エコーで,左室から右房への血 流を確認することができた. 【結語】心エコーは感染性心内膜炎の診断に重要であり, 合併症の有無を診断するにも有効である.心内シャントを 合併した感染性心内膜炎は比較的まれであり報告する.       連絡先:0852-24-2111(内線 2260)

心内シャントを合併した感染性心内膜炎の

1 症例

◎杤木 達也1)、高野 智晴1)、佐伯 菜穂子1)、北尾 政光1)、栁原 清孝2)、城田 欣也2) 松江赤十字病院 検査部1)、松江赤十字病院 循環器内科2)

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【はじめに】感染性心内膜炎(IE)は弁膜や心内膜に細菌集 簇を含む疣腫(vegetation)を形成し,敗血症,弁膜や弁周囲 組織の破壊,疣腫による塞栓症を引き起こす重篤な疾患で ある.今回,我々はIE を疑い,経過観察中に vegetation が 出現してきた症例を経験したので報告する. 【症例】50 歳,男性.20XX 年 2 月 19 日起床時に右股関節 痛が出現.近医にて非ステロイド性抗炎症薬を処方された. 2 月 22 日夜間に悪寒を伴った 37.7℃の発熱出現.翌日近医 を受診し血液検査にてCRP 4.5 mg/dl と高値であったが,白 血球上昇なく抗炎症薬で経過観察となった.2 月 24 日より 39.8℃の発熱を認め,その後も高熱が持続するため,精査 目的にて当院総合診療科に紹介受診となった. 【入院時現症】意識清明,体温40.1℃,血圧 142/82 mmHg,心拍 96/分,脈拍不整,心雑音なし,呼吸音正常. 【心エコー検査】2/27 LVDd 57mm, LVDd 36mm, EF 65% ,大 動脈弁は三尖ありRCC 弁尖の軽度肥厚,カラードプラでは RCC 弁尖側から M 弁 AML 側へ偏位した逆流ジェットを認 めた.明らかなvegetation は認めなかった.3/7 LVDd 62mm, LVDs 41mm, EF 62%,大動脈弁は前回に比べ RCC 弁尖の肥 厚が目立ち逆流ジェットはRCC 弁尖と弁腹付近からの 2 カ 所あり,逆流も前回より増悪傾向でSevere AR.3/22 LVDd 62mm, LVDs 44mm, EF 55%,大動脈弁は拡張期に RCC 側か ら左室側に等輝度で8×4mm の可動性付着物を認め vegetation が疑われた.逆流ジェットはさらに増悪し Severe AR. 【経過】血液培養検査にてStreptococcus pnuemoniae が検出 された.ガイドラインに準じてPCG + GM 投与,炎症反応 改善を認めたが,大動脈弁逆流は手術適応と判断し,後日 大動脈弁置換術となった. 【結語】本症例は,初診時からIE も疑って心エコー検査を 実施したが,初回検査では明らかなIE を疑う所見は得られ なかった.しかし経時的に観察する過程で逆流ジェットの 増悪とvegetation を認めた.IE を疑う症例においては,1 回の心エコー検査でIE の所見が得られずとも,経時的に観 察することが重要である. 連絡先:092-852-0700(内線 1101)

経時的な観察が有用であった感染性心内膜炎の一症例

◎畠 伸策1)、安達 知子1)、伊藤 美智子1)、宮﨑 明信1)、橋爪 勇次1)、的野 千裕1)、因幡 朱理2) 独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター1)、独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター2)

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