• 検索結果がありません。

   一過去10年間の症例を中心として一

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "   一過去10年間の症例を中心として一"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

59

し,その発生機序を解明する目的で,S.C.Cの頚動脈内 注入,および,脳波の同時記録を行なった.

 対象は5才より33才までの20例とし,全例フローセソ 麻酔下に筋弛緩剤を使用した.

 S・C.Cの初回投与例では,脈拍数は初めから増加し,

心室性期外収縮に移行した例もある.

 反復投与時には,注入後一時脈拍数は減少し再び増加 する。血圧は全例注入後上昇がみられた.

 カルボゲン,シンキaリンとも投与後に脈拍数の増加 と血圧の上昇を認めた.

 ガラミンおよびマイラキセンの投与例では,脈拍数の 増加,結節性調律,期外収縮を認めた、マイラキセソ投 与の1例は結節性頻脈と著明な血圧の下降を認めた.い ずれも血圧の上昇はみられなかった.

 脳波の変化は脱分極性の筋弛緩剤の使用時にのみ見ら れ,脱分極三筋弛緩剤と,非脱分極性筋弛緩剤では,同

じように脈拍数の増加,不整脈の発生が起こってもその 発生機序が異っているのではないかと考えられる.

 またS.C.Cの頚動脈内投与の結果から,これが中枢に 直接作用するものとは考えられない.

 今後,各種筋弛緩剤の循環系に及ぼす影響について,

その発生機序を追究したい.

 18.卵巣に発生せる絨毛上皮腫の1例

   (第二病院産婦人科)吉田 茂子・杉崎那美子       百貫 敦司・○小林光子

 卵巣に発生する絨毛上皮腫は,極めて稀有な疾患であ り,予後不良とされている.最:近私達は,子宮外妊娠に よる後血腫の疑いのもとに開腹手術を行なったところ,

左卵巣の充実性腫瘍を認め,病理組織学的に卵巣絨毛上 皮腫と診断された症例を経験した.

 症例は,32こ口主婦で,自然流産1回,人工流産3回,

正常分娩1回の既往妊娠があり,最終妊娠は,昭和42年 1月,妊娠2ヵ月で某医で人工中絶術を受け,その際卵 巣腫大を指摘されたが,正常妊娠だといわれた.昭和43 年4月,下腹痛,出血を主訴として来院.最終月経は昭 和43年3月25日より3日間,子宮は正常大であり,左ダ グラス窩穿刺陰性であったが,子宮外妊娠の疑いのもと に昭和43年5月7日開腹した.腹腔内に血性腹水を小量 認め,左側卵巣は手拳大で充実性腫瘍であったので,悪 性腫瘍を疑い,子宮全山出術および付属器別出術を施行

した.病理組織学的診断は,左側卵巣絨毛上皮腫で,両 側の卵管,対側の卵巣および子宮には異常を認めなかっ た.術後6日目のフリードマン反応50単位陽性で,術後

3日目よりMethotrexateとExalを投与している.術

後22日目のフリードマン反応は50単位陰性となった.胸 部撮影では術前術後ともに異常を認めず,現在術後54E

目であるが,経過良好である.

 19.担癌生体における補体価の変動について    (癌免疫に関ずる第1報)

   (第二病院外科)

       坪井 重雄・梶原 哲郎・井上 久司        ○阿部倉恒・鎌田 哲郎・:丸野敏次郎        国吉  昇

 癌細胞が宿主細胞と異なっていれば,生体がこれを非 自己と認識しうるのではないかとの仮説に立ち,癌の免 疫学的解析の緒口を見出そうと努めている.動物実験腫 瘍においては癌細胞を移植した時に初めて癌細胞抗原が 入るわけである.担癌生体では細胞が癌化する過程にお いて連続的にしかも病名確定以前より抗原の侵襲を受 けており生体が免疫学的に慣れが生じているとも考えら れ,動物実験をそのまま人間の癌に平行させて考えるこ

とはできない.仮に生体が癌細胞を非自己と認めるとし ても,その抗体は極めて微量であろう事は容易に考えら れれる.故に感度の高い手技が必要となって来る.われ われは手始めに担癌生体の補体価を各種条件下で測定す る事にした.Immune adherenceにおいては検出できる 最小抗体窒素量がG.0005μgであり感度が極めて高く微 量の抗体を解明していく上で適切であると考えたからで

ある.

 癌患者の溶血補体価およびImmune adherenceを経 過を追って測定した結果

 1)癌患者の溶血補体価は特別のパターンを示さない が転移病巣を有する患者では平均値がやや高い.

 2)マイトマイシン(MMC)衝撃療法を行なった患

者の溶血補体価は漸減の傾向を示し化学療法による宿主

の抵抗性の減弱が示唆される.

 3)MMC大量衝撃療法後の骨髄移植によって補体価

はMMC投与前に復するか,もしくは著明な増加を来し た.この事実から骨髄移植の適切な時期について,およ び移植細胞が受入れられたかどうかの判定に1つの理論 的根拠を得た.その他若干の知見を得たので合せて報告

した.

 20.慢性腎不全の臨床的観察

   一過去10年間の症例を中心として一

       (三神内科)竹宮 敏子

 1956年より1966年に至る当内科入院患者中,慢性腎炎

一 585 一

(2)

t60

による腎不全30症例につき,初発症状,罹患期間,死 因,血圧,貧血,・尿量:および尿所見,血清理化学的検査

(総タンパク,AIG, NPNないしBUN,クレアチニ ン,Na, K, Cl,総コンステローールなどについて2〜3 の検討を行なった.尿タンパクと血清タンパクとの間,

およびNPN(BUN)と各種電解質代謝との問には,

特に相関関係はみられず,NPN(BUN)と貧血の程

度との間には可成りの程度に逆相関をみた.加えて腎不 全の積極的対策として行なった腹膜潅流施行3例につい てその臨床的効果を報告した.

 21.Addison,s戯seaseの1例

      (小坂内科)○小田桐玲子・

       大森 安恵・小坂 樹徳

 肥満を伴ったAddison s diseaseの1例を報告した.

患者は19才の男子.主訴:肥満,全身倦怠感.既往歴:

幼児期ツ反応陽性.陳旧性肺結核を指摘さる.その他特 記すべきことなし.現病歴:13才頃より肥りだし,16 才頃より色素沈着徐々に出現.昭和41年某医大でAd−

dison s diseaseを疑われ精査したが,17K S,OHCS の軽度低下認めるのみで確診されず,1年後当科入院.

 入院時所見:肥満(身長164cm,体重77.5㎏)全身皮 膚および口腔粘膜に色素沈着著明.

 検査所見:頭部X−Pでトルコ鞍に異常なく,胸部で右 陳旧性葉間肋膜炎,その他異常なく,腹部に石灰沈着等 認められず,血液,尿,血清理化学的検査で二三を認めえ ず,Robinson Power Kepler A<L1,01eesky test予

備試験1分間1.5cc,本試験(Hydrocortison 609服 用)1分間1.5ccであり, Thorn testで減少率40%,

尿中17−KS 1.3〜3.2mg/day,17−OHCS 1.0〜3.7 mg/dayと三値を示し,血中コルチゾールはβ1−24 A C

T H負荷によるラピドテストで無反応型を呈し,また

ACTH−Z80単位筋注4日間でも尿中17KS,OHCS,

血中コルチゾール低下と無反応型であった.メトピロン

テストにおいても尿中KS,OHCSの差は認められな

かった.その他,甲状腺機能,腎・肝機能,血清,尿中 電解質にも異常なし.準準容力の軽度低下を認めた.

 経過:Hydr・cortison 10皿9と陳気性肺結核の治療併用 により,全身倦怠感消失,色素沈着軽度減少が認められ た.現在外来で経過観察中である.

22.いわゆるオロナイン皮膚炎について        (皮膚科)大野 圭子

薬物性皮膚炎の原因としては多くの薬剤が挙げられて いるが,近年,皮膚科領域では市販のオPナイン軟膏

による皮膚障害が問題になっている.本症は,頚部,顔 面に好発し,高度の枇早早落屑を見る特異の皮膚所見を 呈するが,当教室における症例に基づき,その臨床症 状,経過,原因,治療などを報告した.

 23.大動脈弁下部狭窄症の1治験例        (第一外科)榊原  任・新井 達太       桧山 輝男・松室 正智・○横須賀達也

 大動脈弁下部狭窄は極めて稀な疾患といわれている が,最近診断技術の進歩と共に,本邦でも,その報告を 散見するようになった.しかし,左心室と大動脈間の圧 差が著しい症例が少ないためか,本邦におけ る手術例は

3,4例に止まり,文献によるその成功例はみられな

い.

 最近,われわれは大動脈弁下部狭窄症の1治験例を持 つたのでここに報告した,

 患者は20才男子で,主訴は易字性の他,特にない.A CGやカテーテル所見で明かに狭窄を認め,特に左心カ テーテル所見では,圧差が左室と大動脈の間で,90㎜Hg を示した.手術は体外循環下,大動脈遮断後,大動脈 横切開で入り,冠動脈かん流を併用し,狭窄部切開は Morrowの方法にしたがった.なおこの症例には,本 症の他,心室中隔欠損症,左冠動脈優位,軽度大動脈弁 閉鎖不全等を合併していたが,いずれも術前検査の評価 で治療の対象にならないものであった.術後の経過は良 好であり,術後カテーテル,ACGによって,手術の良 否が評価された.

 24.弁膜症の自然歴について(第2報)

   (心研内科)

       広沢弘七郎・近藤 瑞香・渋谷  実        坂本  敦・村崎芙蓉子・○下重康子・

       赤松 曙子・高橋 早苗・三須 玲子・

       井下千佳子・庄野  元

 われわれは弁膜症の自然歴について,今回はその心疾 患別心電図所見の経過について調査検討した.心電図 は,1)血行力学的負荷と,2)心不全,肺水腫,その 他の二次的な病態,3) リウマチ熱,心筋炎の再燃等の 影響を受けて重症度に従い次第に悪化してゆく,なかで

も血行力学的負荷は最:も目立つ.

 〔疾患別〕僧帽弁狭窄症(MS):血行力学的負荷は まず多くの例において心房群では,左心型Pとして現わ れ,病期の進展と共に心房性期外収縮の発生を経て心房 細動に移行してゆく.心房細動はすでに中等症において 認められ,中にはこれを契機として心不全等,臨床症状

一 586 .

参照

関連したドキュメント

ストレスを強く感じる個人特性のひとつとし て, Friedman と Rosenman によって提唱され た、心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患患者

しか し復帰 したアミノ酸はホ ミノイ ドの中で も異なってい た.エクソン 4 は Cy sに富む繰 り返 し配列で L DL と結 合す る部位の立体構造を維持 していると考 えられてい る.この Cy

 狭心症や心筋梗塞のような虚血性心疾患は、死亡原因の中でも常に上位

次に、左前冠動脈造影で左前下行枝に90パーセ

患者背景は 4 群間に有意差を認めなかった。麻酔維持期で、体動が見られた症例数は PS 群が全症例の 20

 本症例は44歳の女性が、心原性突然死を来し た一例であった。剖検結果では冠動脈3枝のい

症例:69歳、男性。主訴は特になし。肝障害で通院中、肝

 症例は44才男性,左側顎関節部の放散性疹痛を主