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ニューラルネットワークによる流体界面の曲率計算

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 79 回全国大会. 1E-01. ニューラルネットワークによる流体界面の曲率計算 笠 晃一 福岡工業大学 情報工学部. 1.はじめに コンピュータグラフィックスにおける液体の表 現に流体力学が使用されることが多いが,表面張 力の計算は流体力学でも困難な問題の一つとされ ている.それは表面張力の計算に流体界面におけ る曲率の計算が不可欠であるが,曲率計算の精度 を上げることが難しいからである.特に VOF 法は 数値流体力学の主流をなしているが,この手法に おいて曲率を精度よく求めることは困難である. そこで本研究ではニューラルネットワークを用い て曲率計算を行うことを試みた.その結果,他の 手法に比べ特に曲率が大きい場合に精度よく曲率 が求められることが明らかになった.なお,この 研究はニューラルネットワークをプログラミング パラダイムやプログラミングツールの一種とみな す考え方 [1] の一例でもある.すなわち,曲率を 求めるアルゴリズムを別に開発せずとも,曲率を 求め得ることが示されている.. 2.これまでの研究 数値流体力学における気液二相流の表現は,レ ベルセット法を用いるものと VOF 法を用いるもの に大別できる.レベルセット法の場合は符号付き 距離関数のゼロ点集合として気液界面を表現し, VOF 法の場合は微小セルにおける液体の割合を使 用して気液界面を表現する.しかし,レベルセッ ト法を使用すると体積が保存されないことが知ら れており,VOF 法の方が気液二相流解析手法の主 流をなしているため,ここでは分野を VOF 法に限 定して研究を実施した. VOF 法 に お い て 曲 率 を 求 め る 手 法 は,VOF 関 数を元にしてレベルセット法の符号付き距離関数 を作成し,これから曲率を計算するというものが 一般的である.すなわち,VOF 関数 φ (x,t) を元に して次のような関数を作成する.. f (x,t) = φ (x,t) − 0.5 (1) そして,関数 (1) が界面近傍で近似的にレベルセッ ト関数になっているものと見なし,これからさら Curvature calculation for fluid interfaces using neural network Koichi Ryu Fukuoka Institute of Technology. 4-23. に符号付き距離関数を作成し,曲率を求めるので ある.近似的なレベルセット関数から符号付き距 離関数を求める手法は再初期化と呼ばれ,様々な 手法が開発されている.代表的な手法に Russo と Smereka によるもの [2] があるが,関数 (2) をレ ベルセット関数とみなした時点で誤差が混入する ため,曲率の精度はあまりよくない. Cummins らは VOF 関数を使用して各セルにお いて液面を再構築し,これを用いて符号付き距離 関数を作成することにより曲率を計算するという 手法 [3] を提案した.この手法は再初期化を用い る手法より高精度であるが,精度が液面を再構築 する方法に大きく依存し,液面の再構築を高精度 で実行するのは大きな負荷となる. レベルセット法の符号付き距離関数を利用しな い手法もある.Meier らは,当該セルを含む 3 × 3 のステンシルにおける VOF 関数から特徴量を計 算し,特徴量の3次多項式から曲率を求めるとい う手法 [4] を提案した.2次元の場合の特徴量は 1 番目が当該セルの VOF 値であり,2 番目が当該 セルの界面法線ベクトルが水平線または垂直線と なす角度である.そして,3番目がステンシル内 の VOF 値の総和から,ステンシルの各セルに当該 セルの再構築平面を適用したときの VOF 値の総和 を引いたものである.したがって,この手法も液 面の再構築を必要とするし,精度もそれほど高く ない. 高さ関数法 [3] は2次元の場合,3 × 7 のステ ンシルにおいて長い方向に VOF 値の和を求め,こ れらの和から曲率を計算するというもので,特に 曲率が小さい場合に精度が高くなる.しかし,ス テンシルが大きすぎるため,ステンシルの中に2 つ の 界 面 が 入 る 場 合 が あ る し, ま た パ タ ー ン に よっては曲率が計算不能なこともある.. 3.ニューラルネットによる曲率計算 ニューラルネットワークの関数近似能力に関す る 定 理 と し て,Cybenko の 普 遍 性 定 理 が よ く 知 られている.これは,3層ニューラルネットワー クの隠れ層の素子数を増やせば任意の関数をいく ら で も 近 似 で き る と い う も の で あ る. 本 研 究 で は,当該セルを含む 3 × 3 のステンシルにおける VOF 値を入力とし,曲率を出力とする関数を3層 ニューラルネットワークを使用して近似すること を試みた.図 1 にその様子を示す.隠れ層の素子. Copyright 2017 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 79 回全国大会. R=. j+1 j. x. 曲率 出力層 1個. j-1 i-1. i+1. i VOF 値. 1. 円の中心. y 図2 学習データ. 入力層 9個. 隠れ層 100 個. 図1 ニューラルネットワークの構成. 数は 100 個であるが,まだ最適化されていない. 隠れ層の素子の出力の計算式は次の通りである.. ⎛ 9 ⎞ h j = S ⎜ ∑ w ji fi ⎟ ⎝ i=1 ⎠. (2). S(x) =. (3). 1 1+ exp(−x). 図3 曲率計算手法の L2 誤差の比較. また,出力層の素子の出力の計算式は次のような 単なる隠れ層の出力の線形和であり,(3) 式のシ グモイド関数は使用していない.それは,連続関 数の近似にはその方が適しているからである. 100. ok = ∑ w! k j h j j=1. (4). 間の短縮と3次元への拡張が挙げられる.計算時 間の短縮には隠れ層の素子数を減少させることが 有効であるが,精度が低下するのを防ぐために, 畳み込みニューラルネットワークを使用したり層 の数を増加させたりする必要があると思われる.. 参考文献. 学習データとして図 2 に示すものを用いた.こ れは 3 × 3 のステンシルの中心セルの様子を図示. したものである.学習に使用した x , y , α およ び κ の値を次に示す.. x / Δx = 0 ∼ 1 (0.2 刻み) y / Δy = 0 ∼ 1 (0.2 刻み) α / π = 0 ∼ 0.25 (0.05 刻み) κ Δx = −1 ∼ 1 (0.1 刻み). ただし,これだけの学習データだと学習不足にな. ることが明らかになったため,学習点 (x, y) を若 干追加した. 学 習 後 の ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 用 い て, 様々な半径を持つ円の曲率計算を試みた.これは 学習外データである.結果の L2 誤差を他の手法 の L2 誤差とともに図 3 に示す.特に曲率が大き い場合にニューラルネットワークを用いる手法で よい結果が得られていることが分かる.. [1] 丸山宏 : プログラミングパラダイムとしての 深層学習 , 情報処理 , Vol.57, No.10 (2016). [2] G. Russo and P. Smereka : A Remark on Computing Distance Functions, Journal of Computational Physics, Vol.163, pp.51-67 (2000). [3] S. J. Cummins, M. M. Francois and D. B. Kothe : Estimating curvature from volume fractions, Computers and Structures, Vol.83, pp.425–434 (2005). [4] M . M e i e r , G . Y a d i g a r o g l u , B . L . S m i t h : A novel technique for including surface tension in PLIC-VOF methods, European Journal of Mechanics B/Fluids, Vol.21, pp.61-73 (2002). [5] G . Cybenko : Ap p r o xima tio ns by s uperpositions of sigmoidal functions, Mathematics of Control, Signals, and Systems, 2 (4), pp.303-314 (1989).. 4.おわりに 3層のニューラルネットワークを使用した曲率 計算法について述べた.今後の課題として計算時. 4-24. Copyright 2017 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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参照

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