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協調フィルタリングを用いた議論支援システム

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Academic year: 2021

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協 調 フ ィ ル タ リ ン グ を 用 い た 議 論 支 援 シ ス テ ム

Discussion support system using collaborative filtering

三 浦 裕 貴

1

行 天 啓 二

2

大 城 英 裕

2

Yu ki Mi ura

1

,Keij i Gyoh t en

2

,Hidehi ro Oh ki

2

1

大 分 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

1

Graduate School of Engineering, Oita University

2

大 分 大 学 工 学 部

2

Faculty of Engineering, Oita University

A b s t r a c t : At p r e s e n t , m a n y d i s c u s s i o n s ys t e ms c a n e n a b l e u s e r s t o e xp r e s s t h e i r o p i n i o n s . O n t h e other hand, it is d ifficult for the existing syste ms to aggregate and su mma rize the user s’ op inio ns. T he r e fo r e , I n t h i s s t ud y, we p r o p o s e a s ys t e m t h a t a l l o ws t he a g g r e ga t i o n o f t h e i r o p i n i o n s . O ur s ys t e m a c t u a l i z e s t h e o p i n i o n a g g r e g a t i o n b y g r o up i n g u s e r s wi t h s i mi l a r o p i n i o n s . T he s i mi l a r i t y o f t he u s e r s i s c a l c u l a t e d u s i n g c o l l a b o r a t i v e f i l t e r i n g .

1 はじめに

近年,Web 技術の発達に伴い,時間的・空間的に離 れたユーザが議論する場を提供するシステムが開発さ れてきた.その具体例として,電子掲示板,Twitter, および Facebook などが挙げられる.既存のシステムで は,多くの人が意見を発信し,共有することは可能であ る.しかし,意見の集約を可能とするシステムは十分に 存在するとは言えない.既存の議論システムにおい て は,人手により意見を集約するものや,意見の発する場 を提供するだけのものも少なくはない.意見の発信・共 有・集約によって議論が成立するという観点に基づけ ば,これら一連のプロセス全体を支援するシステムが 求められているといえる[1]. 本研究の目的は,意見の発信・共有・集約を同一のシ ステムで行えるようにすることである.これら 3 つをオ ンラインシステムとして実現する ために,議論が終了 するまでにオンライン議論とオフライン議論ではどの ような違いがあるかを検証した.オフライン議論では, 互いの意見を話し合いながら集約することができる . しかし,オンライン議論は他者と議論を深めることや, 同調者と議論することが難しいため ,それぞれの意見 を集約するということに関して劣ると考え られる.そ こで,意見集約をサポートし,意見の発信・共有・集約 を同一のシステムで行うことができるオンライン議論 システムを提案する.提案システムは,協調フィルタリ ングを用いてユーザ間の類似度を算出し ,似た意見を 持つユーザをグループ化することにより ,意見集約を 支援することを特徴とする. 本論文では,2 章で議論についての検証と,前述した オフライン議論,オンライン 議論の違いについて論じ る.オンライン議論の形式を明らかにするために,本シ ステム開発以前に実施したプロタイプ実験について 3 章で論じ,ここで得られた実験結果と課題について述 べる.これらを踏まえた提案手法について 4 章で論じ, 提案システムについての概要を 5 章で論じる.最後に 6 章でまとめを述べる.

2 議論システム

議論とは,互いの意見を述べて論じ合う事とされて いる.本章では,既存のオンライン議論システムについ て述べ,オフライン議論との違いについて論ずる.

2.1 オンライン議論システム

現在,Web 上でユーザ同士が議論をすることができる サ イ ト や ツ ー ル は 非 常 に 多 い . 例 え ば ,SYNCLON ³ [2],COLLAGREE[1]はオンラインで一般に公開されてい るため,多くの人々に利用されている. 一方,これらのシステムでは,時間的な拘束が無いこ 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B502-05 − 23 −

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とからユーザが議論に集中して臨むことがなく,発言 が活発化せずに議論が半端な状態で終了してしまうこ とが多いという問題がある.また,管理人と呼ばれるそ のサイトの設立者や,または,その議論の発信者によっ て,進行を行っていかなければならないという問題点 もある.時間に制約がないために,常に議論内容をチェ ックしなければならず,進行者にかかる負担は大きい.

2.2 オフライン議論との違い

オフラインで行われる議論とは,大きな部屋を使用 し,同じ空間に同時刻に多人数が意見を交わすことで ある.オフライン議論,オンライン議論における議論開 始から終了までのプロセスの違いを図 1 に示す. 図 1:オンラインとオフライン議論の違い 図 1 に示すように,オフライン議論では,意見集約の フェーズが,議論の流れの中に存在する.一方で,オン ライン議論では,そのようなフェーズが設けられるこ とは少ない.また,参加人数の変化についても違いがあ る.時間と場所に制約があるオフライン議論では,常に 人数は一定である.一方,オンライン 議論では,参加者 の興味が持続せず,議論終了までに議論に参加し続け る人数は減り続ける傾向にある. 以上のことから,意見集約,興味持続という点に対し て,2 つの議論の形式は,大きく異なっていることがわ かる.

3 プロトタイプ実験

3.1 プロトタイプシステム

意見の発信・共有・集約を同一のオンライン議論シ ステム上で行うためには,オンライン議論における議 論の形式を明らかにしなければならない.そこで,予備 実験として,意見集約を目的としたオンライン議論の プロトタイプシステムを構築し ,ユーザにその評価を してもらった.ユーザのプロタイプシステムに対する 意見に基づき,オンライン議論システムにおける議論 の形式を設計する.プロタイプシステムの概要を図 2 に 示す. 図 2:プロタイムシステムの概要 プ ロ ト タ イ プ シ ス テ ム は オ ー プ ン ソ ー ス で あ る

OpenPNE*を用い,独自で開発した Plugin として Web 上に

展開した.主な機能を図 2 に示す.プロトタイプでは,議 題作成からコメントまで,ユーザが自由に意見を発信 することができる.また,ユーザ同士の投票による採決 という形式を用いて,意見集約の サポートシステムを 実装した.

3.2 実験

実験では, オンライン議論の課題を発見するために, 議論を人手によって進行した.プロトタイプシステム での実験の様子を図 3 に示す.実験では,筆者が所属す る研究室メンバー13 人を対象にし,「大分市を活性化す るにはどうしたよいか」という議題について議論して もらった.プロトタイプシステム上で の議論実施時間 は 30 時間と設定した. 図 3:プロタイプシステム実験[結果表示] *手嶋屋が中心となって開発しているオープンソース の SNS エンジン

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図 3 は,ユーザの賛成・反対の投票数によって得られ た評価の高さに基づいてコメントをソートした結果を 表している.実験後に実施したアンケートでは,「議論 の進行が誰であるかが分かりにくい」「議論の論点が わかりづらく他者と共感しづらい」といった評価があ った.また,30 時間という実験時間の中で,ユーザの議 論に対する興味は時間が経つにつれて薄れていく傾向 があることもわかった.この結果は,論点のばらつきと 関係があると考えられる. プロタイプ実験により,議論の論点を明確にするこ とと,ユーザの議論参加意欲を継続することが課題で あることを認識した.

4 提案手法

4.1 議論の流れ

提案するシステムでは,議論開始から議論終了まで 人手を使わずに議論を進行することを基本としている. 提案手法を用い た議論では,各ユーザが議題に対して 意見を発信し,同様な考えを持っているユーザ同士を グループ化する.グループ化後は各グループが同一画 面上で議論ができる GUI に移行し,他者協調と興味持続 を図る議論の形式を用いる.プロトタイプ実験での課 題点である論点のばらつき については,このグループ 化により解決するものと考えている. グループ化する手法として,本論文では協調フィル タリングを用いることを提案する.協調フィルタリン グによる他ユーザとの類似度計算により ,数値が近い ユーザ同士をグループ化していくものである.

4.2 協調フィルタリング

協調フィルタリングとは,ユーザの行動履歴から,あ るユーザと嗜好の類似したユーザを自動的に推論する 技術のことである.表 1 に簡単な例を示す. 表 1:旅行者と旅先情報 中国 ドイツ カナダ ロシア インド 旅行者① 2 1 0 2 1 旅行者② 1 0 0 3 0 旅行者③ 0 0 3 1 2 旅行者④ 0 0 2 0 5 表 1 は,旅行者の旅先と渡航回数を表している.この データに対して,相関のある旅行者の対応情報は表 2 の ようになる. 表 2:旅行者の相関関係 旅行者① 旅行者 ② 旅行者③ 旅行者④ 旅行者① 1.0 0.7333 -0.7333 -0.4647 表 2 では,表 1 から求めた旅行者①とその他の旅行者 の相関関係を表している.ここでは,ピアソンの偏差積 率相関係数を使って相関係数を計算している .𝑥𝑖𝑗はあ る国𝑖への旅行者𝑗の渡航回数を表す.ピアソンの偏差積 率 相 関 係 数𝑟𝑗𝑘は , 旅 行 者 𝑗と𝑘の 渡 航 回 数 の 共 分 散 の 𝑆𝑗𝑘,𝑗と𝑘の渡航回数の分散𝑆𝑗2,𝑆𝑘2によって以下の式で定 義される. 𝑟𝑗𝑘= 𝑆𝑗𝑘 𝑆𝑗𝑆𝑘= 1 𝑛 ∑ (𝑥𝑛𝑖=1 𝑖𝑗− 𝑥̅ )(𝑥𝑗 𝑖𝑘− 𝑥̅̅̅)𝑘 √1 𝑛 ∑ (𝑥𝑛𝑖=1 𝑖𝑗− 𝑥̅ )𝑖2√1𝑛 ∑ (𝑥𝑛𝑖=1 𝑗𝑘− 𝑥̅̅̅)𝑘 2 (1) 提案システムでは,各コメントに対するユーザ情報に 基づき,ユーザ間の相関関係を類似度として計算する. コメントに対するユーザの 評価項目(表においての数 値 )に は ,コ メ ン ト に 対 し て の 返 信 ,ア ク セ ス 履 歴 ,賛 成・反対の投票数を使用する.グループのクラスタリン グには k 平均法を用いる.

4.3 グループ議論

グループ化後は,各グループが同一画面上で同時に 議論をする.ユーザを少人数のグループに分割するこ とで,グループへの帰属意識を高めて議論への興味を 維持させ,ユーザの議論参加意欲を維持するという問 題点を解決する.他グループの議論の進行も同時に観 察できることも議論活性化につながると考えている.

5 システム概要

本システム,JSP,Servlet,MySQL を用いて実装した. 図 4 は本システム構成の全体図である. 図 4:議論支援システム全体図 クライアントからリクエストさ れた命令は,アプリ ケーションサーバ内のサーブレットプログラムで処理 される.処理に必要なデータは,サーブレットプログラ

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ムの SQL 命令文に基づいて MySQL データベースから取 得され,クライアントのブラウザに結果表示される.デ ータベースには,ユーザ情報 と各議論のコメントが テ ーブルによって管理されている .協調フィルタリング の評価項目である,コメントに対しての返信,アクセス 履歴,賛成・反対の投票数も,それぞれテーブルによっ て管理されている. 図 5 は実際に使用する議論システムの GUI である. 議題に対してユーザが意見を発信することができる . 他ユーザのコメントに対する返信,賛成・反対ボタンに よる投票,コメント全文の閲覧などが可能である.それ らの結果をもとに類似度を提案手法により計算し,図 5 の中盤にある group ボタンを押すことによりグループ 化処理を実行する. 図5:システムの GUI グループ化後は,類似ユーザ同士が各グループ内で 発言するグループ議論が進行される.同一画面で各グ ループが議論をするためにグループ議論は図 6 のよう になる. 図 6:グループ議論イメージ図

6 まとめ

オフライン議論とオンライン議論の形式について着 目し,Web 上でオフライン議論と同様な議論を可能にし, 議論を自動で進行することができるシステムを提案し た. 本システムは,ブラウザ上の議論であるため,ユーザ の操作を簡単にする補助システムを開発する必要があ る.また,通信のタイムラグによる不快感も解消しなけ ればならない.ユーザの操作を補助するシステムとし てキーワード掲示機能を実装する 予定である.通信の タイムラグによる不快感の問題 については,非同期通 信を用いて解決できると考えている.

7 参考文献

[1] 奥村 命,伊藤 孝行,伊藤 孝紀,秀島 栄三:多 人数参加型のワークショップ実現のためのコラボレー ション支援システム COLLAGREE の試作と大規模評価 者実験:情報処理学会研究報告書 Vol.2013-ICS-171 No.18 [2]http://synclon3.com/

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