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〈研修医のための教育講座〉多発性硬化症と視神経脊髄炎

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(1)近畿大医誌(MedJKi nkiUni v)第35巻3,4号. 多発性. 199 ∼204 2 010. 1 9 9. 化症と視神経脊髄炎 宮 本 勝 一. 近畿大学医学部内科学教室(神経内科部門). の相違について議論になっている .. はじめに. 視神経脊髄炎の疾患概念. 中枢神経に炎症性脱髄をくり返す難治性疾患とし て知られる多発性. 化症(Mul , t i pl eScl er os i s , MS). 視神経脊髄炎(NMO)は De vi c病ともよばれ,両. および MSの亜型とも言える視神経脊髄炎(neur -. 側の視神経炎と横断性脊髄炎を数週間以内に連続し. omye l i t i sopt i c a:NMO)について,最新の知見を 用いて概説する.MSには特異的な診断マーカーが ないため,確定診断には他の疾患を完全に除外する. 医 Devi cによって報告された.日本では Devi c病は. 必要があり,専門的な知識と経験が要求される.現. るものは OSMSとして明確に区別されてきた.. 在,MSを治癒させる治療薬はないが,インターフェ ロン・ベータ治療(I FNβ)を発症早期から導入する. ープが NMOの血液中に特異的な自己抗体が存在. ことによって,運動機能や認知機能の障害を抑える. することを発見し NMO-I gGと命名し,その翌年. ことが実証されているため, 早期診断が重要である.. NMOI gGが認識する抗原が,水チャンネル 子の 一つであるアクアポリン4(AQP4)であることが判. 多発性. 化症の疾患概念. て発症する疾患として1 8 9 4 年にフランスの神経内科 単相性で再発がない疾患であると解釈され,再発す その後,20 0 4 年に米国メーヨークリニックのグル. 明した .我が国では新潟大学,東北大学,九州大学. 多発性 化症(MS)は中枢神経(脳・脊髄・視神 経)の炎症性脱髄疾患であり,時間的空間的に多発. などで抗 AQP4抗体測定系が次々と確立され,検証. する病変が特徴である.発症原因は不明であるが,. 症例の大部. 中枢神経に対する自己免疫応答が病態に強く関わっ. た,これまで I FNβが効かない患者群があり,その. ており,ウイルスやバクテリア感染,体質,環境,. 病態が不明であったが,この多くが NMOであるこ. ストレスなどが病気の活動性に影響していると. られている. 我が国の患者数は約1 2 0 00 人と推定され. とが明らかになった.現在,MSと NMOは異なる 病態であり,治療法も区別すべきであるとの意見が. 年々増加しているが, 世界的には欧米の白人に多く,. 大勢を占めるようになっている .. え. が行われたところ,従来 OSMSと診断されていた. 有病率は日本のおよそ1 0 倍である.発症年齢は2 0 歳. NMOの特徴. 代から3 0 歳代が多く,女性が男性の約3倍多い . 症状は個人差があるが,視力障害,複視,感覚障. は NMOであることが判明した .ま. 害,運動麻痺,平衡障害,構音障害,排尿障害など. 40 歳代と MSより1 0 歳ほ NMOの発症年齢は30 ど高く,ほとんどが女性である.また7 0 歳代や8 0 歳. を認める.一般的には1∼2年に1回程度の再発が. 代の高齢発症例もみられる.重症筋無力症,橋本病,. 認められ,再発症状はステロイドパルス治療や場合. シェーグレン症候群などを合併する例が多いため,. によっては自然経過である程度は回復し,寛解とよ. これらの自己免疫疾患と共通した病態であると. ばれる安定期に至る.この再発と寛解を繰り返すの. られている.. が MSの特徴である . 我が国での病型は,大脳病変が主体の c onven-. え. 初発症状としては視力障害が多く,はじめに眼科 を受診する場合も少なくない.失明するような重症. t i onal MS(CMS)と,視神経脊髄病変が主体の (OSopt i cos pi nalMS MS)に 類されている.欧. 例もあるため, 早期の診断と治療開始が重要である.. 米では CMSが大半を占めるのに対し,我が国では. す長い横断性脊髄炎を呈することが多く (図1) ,感. OSMSの割合が多く,OSMS=アジア型 MSと論 じられてきたが,後述する視神経脊髄炎(NMO)と. 覚障害 (しびれ,痛み,感覚低下) ,運動麻痺,排尿. 脊髄炎は MRIで3椎体以上に及ぶ中心灰白質を侵. 障害などの症状で発症する.また前駆症状として吃.

(2) 2 00. 宮. 本. 勝. 一. 逆や吐気を認めることもある.当初,大脳病変は稀. 明らかになり,脳病変で発症する NMOも珍しくな. とされていたが,その後しばしば認められることが. いことがわかってきた.また,大脳病変の. 布や形. 状が MSとは異なり,NMOに特異的な特徴を示す ことも知られるようになってきた . 再発頻度は MSよりもやや多く,平 年に1∼2 回認める.再発時はステロイドパルス治療が有効で あるが, 反応が悪い場合は血液浄化療法を追加する. 再発予防には免疫抑制薬やステロイド薬の内服が有 効である.また,難治例では免疫抑制薬をベースに した間欠的な血漿. 換療法が再発予防に有効である. 場合もある . NMOの大部 は血中抗 AQP4抗体が陽性であ り,MSとの鑑別診断に極めて重要である.測定感度 を高めるために急性増悪期の治療前血清を用いてチ ェックする必要がある.NMOは病理学的に高度の アストロサイト傷害があり病態が MSとは異なる ことが明らかとなっている . MSの診断 MSの治療はなるべく早期に開始したほうが長期 予後が良いというエビデンスがあるため早期診断は 重要である.しかし,我が国の厚生労働省の診断基 図. 表. 視神経脊髄炎の脊髄 MRI (図1) 長軸方向に3椎体以上の長大病変が特徴であ る.横断像では脊髄中心管に った病変であ る.. 準では,MRI画像所見だけではなく臨床症状を伴わ ないと再発とみなされないため,臨床症状が一度だ けの場合,MRI画像上,何度も再発していても時間 的空間的多発を満たさないことになり,MSと診断. Mc Donal dの診断基準(2005年)の概略. 下記1) -4) のいずれかを満たす場合に MSと診断する 1) 2回以上の発作があって,病変を証明する客観的な証拠が2カ所以上ある場合 2) 2回以上の発作があって,病変を証明する客観的な証拠が1カ所しかない場合 空間的多発の証明* が必要 3) 1回の発作と病変を証明する客観的な証拠が2カ所以上ある場合 時間的多発の証明** が必要 4) 1回の発作と病変を証明する客観的な証拠が1カ所しかない場合(c ) l i ni c al l yi s ol at e ds yndr ome 空間的多発の証明* および時間的多発の証明** が必要 *空間的多発の証明 下記1または2の条件が必要 1.MRIにて空間的多発の証明 以下の4項目のうち3項目を満たす ・1個以上の造影病変1個以上,あるいは9個以上の T2高信号病変 ・1個以上のテント下病変 ・1個以上の傍皮質下病変 ・3個以上の脳室周囲病変 2.MRIで MSに矛盾しない2個以上の病変があって,さらに髄液 OCB陽性,または I gG i nde x上昇 **時間的多発の証明 下記1または2の条件が必要 1.MRIにて時間的多発の証明** 以下の項目のいずれかを満たす ・最初の発病から3カ月以降に,最初の症状とは関連のない部位に造影病変を認めた場合 ・最初の発病から3 0 日以降に,新たな T2病変を認めた場合 2.MRI画像が得られない場合,2回目の発作が必要 除外診断の必要性 MSを強く示唆する臨床所見や検査所見があっても MS以外の疾患では説明できないことが重要.

(3) 多発性. 化症と視神経脊髄炎. 20 1. 感度が非常に低いため注意する. NMOの診断 診断基準はまだ統一されていないが典型的な症例 では,①視神経炎と脊髄炎があり,② MSに特徴的 な脳症状がなく,③脊髄病変は3椎体以上の長い病 変で,④高度の髄液細胞増加を認め,そして⑤血清 抗 AQP4抗体が陽性である (表2) .視神経炎または 脊髄炎の一方しか認めない場合でも抗 AQP4抗体 陽性である場合,あるいは抗体陰性でも他のすべて の条件を満たす場合は,NMO不全型として NMO に準じた治療法を選択する . MSとの鑑別は時に困難であるが,表3のような 特徴を頼りに診断してゆく.NMOは文字通り視神 経と脊髄に病変の首座があるが,視神経炎は通常重 図. 多発性. 化症の典型的脳 MRI. 篤であり,一回の再発で失明に至ることもある.ま た,しばしば両側性であり,これは NMOでは視神 経よりも視. 差や視索が傷害されやすいためであ. することはできない.そこで近年,MRI画像所見の 重要性も加味した Mc Donal d診断基準を用いる専. る.脊髄炎は長軸方向に3椎体以上の長い病変,い. 門家が多くなっている (表1) .この診断基準は,臨. めることも稀ではなく,基底核領域や脳幹に多く見. 床症状は無症候であっても一定の条件 を 満 た す. られ,脳内でも縦長の病変がみられる.造影 MRI所 見では雲状造影効果が特徴とされる.髄液検査では. MRI所見があれば MSと診断することが可能であ るため,より早期での診断が可能である .ほとんど. わゆる長大病変が特徴である (図1) .大脳病変を認. の MS病変は MRIにて描出することが可能であ. MSで高頻度に認める OCBはたいてい陰性であ る.以上のような特徴が少しでも該当する場合は,. り,多くの急性期病変はガドリニウム造影効果を伴. 血液検査にて抗 AQP4抗体を測定する.. っており再発病変の検索にも有用である (図2) .逆. MSの治療. に MRIで脳病変が全く認められない場合は診断の 見直しが必要である. 診断には,中枢神経(脳・脊髄・視神経)におい. 根治できる治療法は現在のところ存在せず,厚生 労働省の. 費負担制度特定疾患に指定されている.. て2か所以上の病変を見出す必要がある(空間的多. 再発予防は I FNβが主流となっており,発症早期の. 発) .症状から推定したり,MRIで2か所以上の脱髄. 治療開始が病気の進行を抑えることが実証されてい. 斑を認めたり,視覚誘発電位などを用いて2か所以. る.無治療では発症後2 0 年程度で脳萎縮が進行し,. 上の障害を証明する.その上で,1か月以上の間隔 をあけて病巣が生じている証拠が必要となる(時間. 運動障害や認知機能障害が問題になるが,I FNβの 早期治療開始によりその予後が改善する (図3) .以. 的多発) .さらに重要なことは,MSには決定的な診. 下に病型別に治療法を述べる.. 断マーカーが存在しないので,MS以外の病気の可 能性が完全に否定されない限り確定診断はできな い.神経ベーチェット病,神経スイート病,神経サ ルコイドーシス,全身性エリテマトーデス,橋本脳 症などは鑑別疾患として除外診断しておく必要があ る.また,悪性リンパ腫や神経膠腫などの腫瘍性疾 患との鑑別に苦慮することもある. 髄液検査ではオリゴクローナルバンド(OCB)が MSの 約 8 割 で 陽 性 に な る た め 診 断 に 有 用 で あ る .しかし,他の中枢神経疾患でも陽性になるため 注意が必要である.OCBは等電点電気泳動法による 測定が必要であり,従来のアガロース電気泳動法は. 表. 0 0 6 年 Wi NMOの診断基準(2 nge r c huk). 1) 3) の全てを満たす場合に NMOと診断する 1)視神経炎による症状がある 2)脊髄炎による症状がある 3)以下の3つのうち2つを満たす a)脊髄 MRIにて3椎体 以上の病巣がある b)脳 MRIが Pat y診断基準を満たさない Pat yの診断基準 ・T2強調画像で 3mm 以上の脳病巣が4つ以 上 ・T2強調画像で 3mm 以上の脳病巣が3つ以 上で,そのうち1つ以上は傍側脳室にある c)抗アクアポリン4抗体陽性.

(4) 2 02. 表. 宮. 本. 勝. 一. MSと NMOの特徴 古典的多発性. MS/NMO全体からみた頻度. 化症(CMS). 視神経脊髄炎(NMO). 6 0%. 3 0 %. 男女比. 1:3. 1:1 0. 発症年齢. 25歳前後にピーク 50歳以上はまれ. 3 5 歳前後にピーク 高齢発症あり. 人種差. 白人に多い. なし. 視力障害の特徴. 中心暗点. 失明,水平性半盲,両側性障害. 脊髄障害の特徴. 片側の感覚障害・運動障害 レルミッテ徴候. 横断性障害,強いしびれ・痛み,有痛性 筋痙攣. 大脳病変の特徴. 眼振,小脳失調∼記憶障害,核間性眼球 吃逆・嘔吐,視床下部障害,意識障害 運動障害. 主な合併症. なし. シェーグレン症候群,橋本病. 血清抗 AQP4抗体. 陰性. 陽性. 髄液オリゴクローナルバンド. 約8 0%で陽性. たいてい陰性(約1 0%で陽性). 造影 MRI病変の特徴. オープンリング状造影効果. 雲状造影効果. 再発予防治療. I FNβ. 経口ステロイド薬. 脳萎縮は発症早期から始まっているとされるため, I FNβ治療は早期に開始し継続することが長期的な 予後改善のために重要である.海外の報告では,初 回増悪(c l i ni c al l yi s ol at e ds yndr ome:CI S)の時 期から2 0年間追跡調査すると約6割は臨床的に確実 な MS (Cl i ni cal l yDef i ni t eMS:CDMS)に至るが, CI Sの時期から治療を開始すると CDMSへの移行 する割合を顕著に抑制できたという . 図. 多発性. 化症の臨床経過. 3)後遺症の軽減など 痙性,しびれ,排尿障害など慢性期の種々の後遺. A 再発寛解型(r el aps i ngr emi t t i ng)MS 急性増悪と寛解を繰り返す病型であり,急性増悪. 症に対する対症療法が必要である.体温が上昇する. の後は軽快(寛解)するが,後遺症を残す場合もあ. 徴候) ,長時間の入浴,過度の運動,発熱,熱い食物. る.寛解期に症状の増悪はない.再発を繰り返すと. 摂取などは注意が必要である.また適切なリハビリ. 重症度が増していく傾向がある.. テーションはいずれの時期でも重要であり適宜施行. と一過性に増悪することがしばしばあり(ウートフ. する. 1 )急性期治療. 病気に対する不安,気. の変動や抑うつなどはま. 軽症の再発では自然経過で寛解することもある. れではなく,カウンセリング,精神療法,薬物療法. が,通常はステロイドパルス療法(メチルプレドニ. などが必要な場合がある.家族や職場の理解を得る. ゾロン1 0 0 0mgx35 日間点滴静注)により早期の機. ことも大切である.. 能回復を図る.ステロイドパルス療法を数クール施 行しても無効の場合には血液浄化療法を試みる.後 療法としてプレドニゾロンを 1 2週間程度漸減投与. )MS B 慢性進行型(c hr oni cpr ogr e s s i ve 二次進行型 MSは,再発寛解型としてある期間経. することもある .. 過した後に徐々に病状が進行していく型であり,通 常は半年から1年以上にわたり神経症状が持続的に. 2 )再発予防 再発予防や進行抑制効果のある薬剤を Di s eas e. 増悪することを意味する.欧米からは,約8割の症 例で二次進行型 MSへの移行がみられるとの調査. (DMT)といい,免疫調整薬で Modi f yi ngThe r apy ある I FNβ(隔日皮下注の I FNβ-1 bと週一回筋注. にみられるとの報告や,発症から平. のI FNβ-1 a)が本邦で承認されている.軸索障害や. 行型 MSに移行する,などの報告がある.治療は. 結果や,発症3年後あたりからみられ1 0 年で約半数 1 9 年で二次進.

(5) 多発性. 化症と視神経脊髄炎. 20 3. I FNβがある程度は有効である .発症時から慢性 進行する一次進行型 MSは本邦では稀である.現時. 表. 点で有効な治療法はない.. 1)メチルプレドニゾロン10 0 0mg×3日間(ステロ イドパルス治療) ・ある程度症状の改善がみられる場合は再度パルス 治療を試みる ・症状の改善がみられない場合は単純血漿 換(週 2回,合計4回∼7回) 2)パルス治療後は後療法としてプレドニゾロン内服 を 1mg/ kgで開始する ・3日毎に1 0mgずつ漸減し,1 5 ∼2 0mg/ 日まで減 量する. C 新しい治療薬 現在わが国では,免疫グロブリン静注療法と経口 薬 FTY72 0の臨床治験が進行中である .FTY7 2 0 はリンパ組織からのリンパ球の遊走を抑制するとい う新しい作用機序の免疫抑制薬であり,経口内服薬 という点からも大変注目されている.また近日, [Copaxone](合成ペプチド) gl at i r amerace t at e や nat [Tys (接着因子 VLA4に対す al i zumab abr i] る抗体)などの治験も本格的に開始される予定であ る . D 欧米での MS治療指針 Fi r s tl i neの治療薬は,I FNβと gl at i r ame rac e t at eである.これらの治療が無効の場合には Se c ond l i neの 薬 剤 と し て,nat al i zumabや mi t ox-. 当院における NMO治療方針. 急性期. 再発予防 1)プレドニゾロン内服は1 0 ∼1 5mg/ 日を維持量と し約半年間継続する 2)半年以上再発ない場合は,月に 1mgずつ減量す る 3)ステロイドの副作用が問題になる場合は,イムラ ン,シクロスポリン,タクロリムスなどを併用して プレドニゾロン内服量を減量する. (本邦では保険適応外)を用いるが,頻回の ant r one 再発や急性増悪が続くような活動性の高い症例では. 今後の課題. 初めから Se c ondl i neの治療も行われる.Thi r dl i ne の治療としては Fi r s tl i neと免疫抑制剤(アザチオ プリン,シクロホスファミドなど)の併用療法があ. これまで我が国では,CMSと OSMSを厳密に 区別せず,双方合わせて MSとして議論されてき た.しかし,OSMSの大部 が MSとは病態が全く. り,さらにこれら無効の場合の Four t hl i neの治療. 異なる NMOであったことが判明し,OS-MSを含. として造血幹細胞移植療法 が実施されている.欧. めた従来のデーターは再検証をすることが必要であ. 米の治験では,r i t uxi mab(CD2 0抗体)や al e mt -. る.治療ガイドラインも MSとしてひとまとめに論. (CD52抗体)などのモノクローナル抗体を uz umab 用いた治療が注目されている .. じられてきたが,MSと NMOでは治療方針が異な ることが明らかとなった今,双方を鑑別することは. NMOの治療 急性期治療としては,ステロイドパルス療法を行 うが,無効時には血漿. 必須であり,少しでも診断に迷う場合は抗 AQP4抗 体を積極的に測定すべきである.また,MSと NMO はいずれも症状の軽い早期から長期にわたって継続. 換療法を行う.パルス治療. 的に治療することが重要であるが,わが国での治療. の後は経口プレドニゾロンの後療法を行うことが多. の選択肢は限られるため,DMT 候補薬剤の治験を 推進してゆく必要がある.. く,漸減後に維持量(少なくとも1 5mg/ 日)にて経 過観察する.NMOの DMT は確立していないが,経 口ステロイド(プレドニゾロン 5 1 5mg/日)の長期 投与が再発率を低下させ ,アザチオプリンやシク ロホスファミドなどの免疫抑制薬の併用も有効であ. おわりに MSは病初期には症状が軽微であり,MRI画像が 脳梗塞に類似しているため,そのまま放置されてい. る.欧米では r i t uxi mabの高い再発予防効果が注目 されている .当院での標準的治療を表に示す(表. たり,抗血小板薬が投与されていたりと,適切に診. 4).. ているが明らかなリスクファクターがない症例,め. 断治療されていないことが多い.脳梗塞と診断され. なお NMOに対する I FNβは,有効性がはっきり. まいや四肢の痺れを繰り返している若年症例など. せず投与が中止される症例が多く,I FNβ投与後早 期に広範な大脳病変が出現する症例もあるため ,. は,一度,MSを疑い専門医に紹介していただきたい. 最近では NMO不全型を含め抗 AQP4抗体陽性症 例に対して I FNβは投与されなくなっている.. である.. と思う.本稿が研修医の皆さんの参. になれば幸い.

(6) 2 04. 宮. 文 1.小副川学(2008 )多発性 の診断と治療. 本. 勝. 一 11.Wi nger chuk DM,We i ns henke r BG ( 200 8) Neur -6 omyel i t i sopt i ca.Cur rTr eatOpt i onsNeur ol10:55 6. 献 化症の臨床疫学.多発性. 化症. 新興医学出版社;11 -18. 12.Sel l e bj e r g F,Bar nes D,Fi l i ppi ni G,Mi dgar d R, / Mont al banX,Ri eckmannP,Sel majK,Vi s s e rLH,So. 2.Pol manCH,Rei ngol dSC,EdanG,Fi l i ppiM,Har t ung. ) EFNS gui r e ns e n PS (20 05 del i ne on t r eat ment of. HP,KapposL,Lubl i nFD,Met zLM,Mc Far l andHF,O. mul t i pl es cl er os i sr el aps e s:r epor tofan EFNS t as k. Connor PW,Sandber gWol l hei m M,Thomps on AJ, Wei ns henke rBG,Wol i ns kyJS(20 05)Di agnos t i ccr i t er 05 r i a f or mul t i pl e s cl er os i s:20 evi s i ons t o t he -84 McDonal dCr i t er i a .AnnNe ur ol5 8:8 40 6 3. 発性. 岡. ,吉良潤一(20 08)多発性. 化症の診断と治療. 化症の病型診断.多. 新興医学出版社;271 -27 7. 4.LennonVA,Wi nge r c hukDM,Kr yz erTJ ,Pi t t oc kSJ, Lucc hi net t iCF,Fuj i har aK,Nakas hi maI ,Wei ns henke r )A s BG (20 04 e r um aut oant i body mar ke ri n ne ur omye l i t i s opt i c a:di s t i nc t i on f r om mul t i pl es cl er os i s . Lancet36 4:210 6-2 11 2 5.宮本勝一(20 08)アクアポリンと NMO アクアポリン抗 体の特異性.Cl :76776 9 i ni c alNeur os ci ence26 6.Takahas hiT,Fuj i har a K,Nakas hi ma I ,Mi s u T, Mi yazawa I ,Nakamur a M,Wat anabe S,Shi ga Y, Kanaoka C,Fuj i mor iJ,Sat o S,I t oyama Y ( 200 7). f or c eont r eat mentofmul t i pl es c l e r os i sr e l aps es .EurJ -94 Neur ol:939 6 13.Goodi n D (2 00 4) The I nt e r f er on Be t a-1 b 16Year Longt er m Fol l owupSt udy:Cl i ni c alModer nPhys i c i an 2 4:19 03190 5 14.Ravor i sM ( 20 06) Sec ondar y pr ogr e s s i ve mul t i pl e s c l e r os i s:cur r e nt knowl e dge and f ut ur e c hal l e nge . -3 Lanc etNeur ol5:343 54 15.宮本勝一(200 9)多発性 化症の新規治療薬開発.特集: 多発性. 化症―病態解明と治療戦略の最前線.カレントテ. ラピー. 2 7:6570. 16.宮本勝一(200 8)多発性 動向と日本.多発性. 化症の新薬開発の現状:世界の. 化症の診断と治療. 新興医学出版. 社:27 1-2 77 17.Bos t erA,Edan G,Fr ohman E,J ave d A,St uve O,. Ant i aquapor i n-4 ant i body i si nvol ved i nt he pat h-. Ts e l i sA,Wei nerH,Wei ns t oc kGut t man B,Khan O ( 20 08)I nt e ns ei mmunos uppr es s i oni npat i ent swi t hr ap-. ogenes i sofneur omye l i t i sopt i c a:as t udyonant i body t i t r e.Br ai n13 0:123 5-1 24 3. i dl ywor s e ni ngmul t i pl es cl e r os i s:t r e at me ntgui del i nes f ort hecl i ni c i an.LancetNe ur ol7:17 3183. 7.Nakas hi ma I ,Fuj i har a K,Mi yaz awa I ,Mi s u T,. 18.Mur )Emer ar oP,Bi e l e kovaB (2 007 gi ngt he r api esf or. Nar i kawaK,Nakamur aM,Wat anabeS,Takahas hiT,. -69 mul t i pl es c l e r os i s .Neur ot her apeut i cs4:6 76 2 19.Wat anabe S,Mi s u T,Mi yazawa I ,Nakas hi ma I ,. Ni s hi yama S,Shi ga Y,Sat o S,Wei ns he nker BG, I t oyamaY ( 20 06)Cl i ni calandMRIf e at ur e sofJ apanes e pat i ent swi t hmul t i pl es cl er os i spos i t i vef orNMOI gG. -10 JNe ur olNe ur os ur gPs ychi at r y77:1073 75 8.Mi ( ) yamot oK,Kus unokiS 200 9I nt er mi t t e ntpl as mapher es i s pr eve nt sr ec ur r e nc ei n ne ur omyel i t i s opt i ca. TherApherDi al1 3:50 5-5 08 9.Mi s uT,Fuj i har aK,Kaki t aA,KonnoH,Nakamur a M,Wat anabeS,Takahas hiT,Nakas hi maI ,Takahas hi )Los H,I t oyamaY (20 07 sofaquapor i n-4i nl es i onsof neur omye l i t i sopt i ca:di s t i nct i onf r om mul t i pl es c l e r os i s .Br ai n13 0:122 4123 4 1 0.宮本勝一,楠. 進(200 9) オリゴクローナルバンド・I gG インデックス・ミエリンベイシック蛋白.臨床検査データブ ック2 00 9-2 010 医学書院:67 4-6 75. Shi gaY,Fuj i har aK,I t oyamaY ( 200 7)Lowdos ecor t i c os t er oi dsr educer e l aps esi nneur omye l i t i sopt i ca:a r e t r os pe ct i veanal ys i s .Mul tSc l r13:96 8-9 74 20.Cr eeBA,Lamb S,Mor gan K,Chen A,WaubantE, Ge nai nC ( 200 5)Anopenl abe ls t udyoft heef f e ct sof r i t uxi mabi nne ur omyel i t i sopt i c a.Ne ur ol ogy64:127 0 12 72 21.Shi mi z u Y,Yokoyama K,Mi s u T,Takahas hiT, ) Fuj i har a K,Ki kuchiS,I t oyama Y,I wat a M (20 08 Deve l opmentofe xt e ns i vebr ai nl es i onsf ol l owi ngi nt er f er onbe t at her apyi nr el aps i ngneur omyel i t i sopt i caand l ongi t udi nal l ye xt e ns i vemyel i t i s . JNeur ol255:305 3 07.

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