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〈論説〉ドイツにおける行政執行と「公益」に関する予備的考察--代執行の迅速な費用徴収可能性

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(1)ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. ドイ ツ に お け る行 政 執 行 と 「 公 益 」 に関 す る予備 的 考察 代執行の迅速 な費用徴収可能性. 重. 本. 哉. 達. は じめ に 第一章. 行 政 行 為 の 即 時 執 行 命 令 と代 執 行 の 費 用. 第一節. 「例 外 」 と して の 即 時 執 行 命 令. 第二節. 即 時 執 行 命 令 の 要 件(特 別 な 公 益 の 存 在 等). 第三節. 即 時 執 行 命 令 が 不 要 な 「公 の 賦 課 金 及 び費 用 」 と代 執 行 の 費 用. 第四節. 即 時 執 行 命 令 を 不 要 とす る特 別 法 と代 執 行 の 費 用. 第二章. 代 執 行 の 費 用 と即 時 執 行 命 令 を 正 当 化 す る 「公 益 」. 第 一・ 節. 財 政 上 の 利 益 と 「公 益 」. 第二節. 検討. 代 執 行 の 費 用 に係 る若 干 の 判 例 と 「公 益 」. おわ りに. は じめ に. (1)本 稿 は,わ が 国 に お け る行 政 代 執 行 法2条 所 定 の いわ ゆ る 「公 益 」 要 件 に関 して,ド. イ ツ法 か ら一 定 の 示 唆 を 得 る た めの 予 備 的 考 察 を 行 う も. の で あ る。 わ が 国 に お け る行 政 代 執 行 法2条. は,. 法 律(法 律 の委 任 に基 く命 令,規 に よ り直 接 に命 ぜ られ,又. 則 及 び 条 例 を 含 む。 〔 以 下 略 〕。). は法 律 に基 き行 政 庁 に よ り命 ぜ られ た 行 為 71.

(2) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. (他人 が代 つ て な す こ との で き る行 為 に 限 る。)に つ いて 義 務 者 が これ を履 行 しな い場 合,他 の 手 段 に よつ て その 履 行 を 確 保 す る こ とが 困 難 で あ り,且 つ その 不 履 行 を 放 置 す る こ とが 著 し く公 益 に反 す る と認 め られ る と き は,当 該 行 政 庁 は,自. ら義 務 者 の な す べ き行 為 を な し,又. は第 三 者 を して これ を な さ しめ,そ の 費 用 を 義 務 者 か ら徴 収 す る こ と が で き る。. と定 め られ て い る。 本 条 は,行 政 代 執 行(行 政 上 の 代 執 行)の 実 体 的 要 件 を規 定 す る もの と位 置 付 け られ るが,そ の 内容 につ いて は,従 来 様 々な 解 釈 上 の 問 題 が 指 摘 され て き た(1)。 中 で も,「 その 不 履 行 を 放 置 す る こ とが 著 し く公 益 に反 す る と認 め られ る と き」 と い う前 記 の 「公 益 」 要 件 につ いて は,少 な くと も行 政 代 執 行 を 実 行 す る こ との 慎 重 さを 行 政 機 関 に求 め る も の で あ る と解 す る こ と はで き る(2)もの の,そ れ 以 上 に意 味 す る と こ ろが 必 ず しも明 確 で は な い(3)。そ の た め,必 要 以 上 に公 務 員 の心 理 に影 響 を 及 ぼ. (1)主 だ った もの と して,本 文 で と り上 げ た 「 公 益 」 要 件 に係 る 問題 の ほ か,① 自主 条 例 に基 づ く義 務 の不 履 行 につ い て行 政 代 執 行 を実 施 す る こ とが 可 能 か と い う問 題,②. 行 政 代 執 行 の 対 象 で あ る代 替 的 作 為 義 務 に該 当 す る義 務 とは 具 体. 的 に ど う い う もの か とい う問 題,③. 本 条 の 「他 の 手 段 」 と は ど うい う もの を 意. 味 す るか と い う問 題 が あ る。 これ らの 問題 の詳 細 に つ い て は,広 岡 隆 『行 政 代 執行法 〔 新 版 〕」(有 斐 閣,1981年)17-24頁. ・53-143頁,津. 田和 之 「行 政 代 執 行. 手 続 を め ぐる法 律 問 題(1)」自治 研 究87巻9号(2011年)85頁[86-95頁]参. 照。. (2)主 に,広 岡 ・前掲 注(1)129-130頁,稲 葉馨 ほか 『行政 法 〔 第2版 〕」(有斐閣,2010 年)166頁[稲. 葉 馨 執 筆]参 照 。 「著 し く」 とい う文 言 にの み 着 目 して 同 旨の 見. 解 を 述 べ る,芝 池 義 一 『行 政 法 総 論 講 義 〔 第4版 補 訂 版 〕」(有 斐 閣,2006年) 203頁 も参 照 。 (3)広 岡 ・前 掲 注(1)127-128頁,津 月17日 訟 月51巻6号1409頁. 田 ・前 掲 注(1)92頁及 び さい た ま地 判 平 成16年3. 等 は,行 政 代 執 行 に よ って 義 務 を 強 制 的 に実 現 す る. こ と は単 な る義 務 の 賦 課 よ り も権 利 ・自由 に対 す る侵 害 の 程 度 が 大 きい の で, 行 政 代 執 行 の対 象 で あ る義 務 を課 す る 際 に要 求 さ れ る 公益 よ り も一 層 大 き い公 益 上 の 必 要 を行 政 代 執 行 に 際 して要 求 す る の が 「 公 益 」 要件 の 趣 旨で あ る と解/. 72.

(3) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. し,行 政 代 執 行 が 行 わ れ る こ とを 過 度 に抑 制 す る結 果 を 生 ん で い る と され る こ とす らあ る④。 そ もそ も,本 条 が規 定 す る行 政 代 執 行 の 要 件 が 不 明 確 で あ る こ とだ けで な く,行 政 代 執 行 に要 した費 用 を 実 際 に徴 収 で きな い こ とが 多 い と指 摘 され て い る こ と等 も災 い して,行 政 代 執 行 が 「機 能 不 全 」 に陥 って い る と,少 な くと も行 政 代 執 行 の 利 用 が 抑 制 され て い る と しば し ば 評 さ れ て い る(5)。そ し て,こ. の よ うに行 政 代 執 行 を実 行 し に くい もの と. み な す 傾 向 に あ るわ が 国 の 現 状 は,ひ いて は関 連 す る判 例 の 蓄 積 を,さ. \ して い る。 筆 者 も基 本 的 に こ の立 場 に 同調 す る が,あ. ら. らゆ る場 合 にそ の よ うな. 趣 旨が 妥 当 す るか につ いて は,疑 問 を抱 い て い る。 とい うの も,行 政 代 執 行 の 基 礎 とな る義 務 賦 課 処 分(以 下 「 基 礎 処 分 」 とい う。)を 発 す るの と ほぼ 同 時 に 「公 益 」 要 件 が 充 足 され る場 合 も想 定 で き るか らで あ る。 な お,「 公 益 」 要 件 の 不 明 確 さ につ い て,塩 野 宏 『行 政 法1〔 第5版 〕』(有 斐 閣,2009年)233頁. も参. 照。 (4)津. 田 ・前 掲 注(1)92頁。 ほ ぼ 同 旨 の見 解 を述 べ る もの と して,宇 賀 克 也 『行 政. 法 概 説1〔. 第4版 〕」(有 斐 閣,2011年)222-223頁. 。 岡 山市 行 政 代 執 行 研 究 会. 『行 政 代 執 行 の 実 務 」(ぎ ょ うせ い,2002年)24-27頁. か ら は,行 政 実 務 が 個 別 事. 案 にお いて この 「公 益 」 要 件 へ の 対 応 に苦 慮 す る様 子 も窺 え る。 な お,「 公 益 」 要 件 を 行 政 代 執 行 の 要 件 の 中で 特 に問 題 視 す る もの と して,平. 川 英 子 「行 政 強. 制 制 度 にお け る代 執 行 の役 割 と そ の機 能 不 全 に 関 す る一 考 察 」 早 稲 田 大 学 大 学 院 法 研 論 集123号(2007年)323頁[331頁],黒. 川 哲 志 「行 政 強 制 ・実 力 行 使 」. 磯 部 力 ほか 編 『行 政 法 の 新 構 想11』(有 斐 閣,2008年)113頁[120頁]及. び小川. 康 則 「地 方 公 共 団 体 に お け る行 政 上 の義 務 履 行 確 保 につ い て」 地 方 自治771号 (2012年)2頁[18頁]が. あ る。. (5)例 え ば,大 橋 洋 一 『行 政 法1現. 代 行 政 過 程 論 」(有 斐 閣,2009年)408-409. 頁,宇 賀 ・前 掲 注(4)226頁参 照 。行 政 代 執 行 の 利 用 が 抑 制 され て い る原 因 と して 考 え られ る諸 事 情 の 詳 細 につ いて は,宇 賀 克 也 「行 政 上 の 義 務 履 行 確 保 の 課 題 と対 策 」 自治 体 法 務 研 究6号(2006年)70頁[71頁],津 (2)等参 照 。 な お,2007年. 田 ・前 掲 注(1)102頁 注. か ら2012年 まで の5年 間 に全 国 で 実 行 され た 行 政 代 執. 行 の 事 例 を 可 能 な限 り一 覧 表 に示 した三 枝 茂 樹 「 実 務 か ら見 た 行 政 代 執 行 の 課 題 」 自治 体 法 務navi49号(2012年)10頁[11-14頁]は,廃. 棄物 の処理及 び. 清 掃 に関 す る法 律 及 び河 川 法 に 関す る行 政 代 執 行 は か な りの頻 度 で 実 行 され て い る と評 して い る。 しか し,そ の評 価 は,手 続 的 観 点 か らす れ ば 即 時 強 制 と同 視 す る こ とが で き る,い わ ゆ る略 式 代 執 行(簡 易 代 執 行)を 相 当 数 含 め た 上 で の もの で あ る。. 73.

(4) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. に言 え ば本 条 の 解 釈 論 の 発 展 を も. その 当否 は別 に して. 停 滞 させ て. しま う と い う悪 循 環 に陥 って い る感 す らあ る。. (2)と. こ ろ で,ド. 制 度 は,わ. イ ツ に お け る 行 政 執 行(Verwaltungsvollstreckung). が 国 に お け る 行 政 上 の 強 制 執 行 制 度 と 淵 源 を 同 じ くす る と さ. れ(6),少 な く と も そ の 分 類(全 罰 に 相 当 す る 強 制 金,③ 権 の 行 政 執 行 の4つ と も,現. 在,ド. 体を①代執行. 〔Ersatzvornahme〕,②. 執行. 直 接 強 制,④. 行 政 上 の 強 制 徴 収 に相 当す る金 銭 債. に 分 け る こ と)に. つ い て 現 在 な お 酷 似 して い る 。 も っ. イ ツ に お け る 行 政 執 行 制 度 は 連 邦 及 び16の ラ ン ト(州)で. そ れ ぞ れ 独 自 に 施 行 さ れ て い る 一 般 法 に よ っ て 主 に 規 律 さ れ て い る(7)。そ れ で も な お,連. 邦 行 政 執 行 法6条1項. 物 の 引 渡 し,作 行 為 は,そ. は,. 為 の 履 行,受. 忍 又 は 不 作 為 に 対 して 向 け られ る 行 政. れ が 不 可 争 で あ る場 合,そ. の 即 時 執 行(sofortigerVollzug). が 命 ぜ ら れ た 場 合 又 は そ の 争 訟 手 段(Rechtsmittel)に (aufschiebendeWirkung)が. 停 止的効 果. 付 与 さ れ て い な い 場 合 に,9条. に よ る強. 制 手 段 を も って 貫 徹 され 得 る。. と定 め られ,こ れ と ほ ぼ 同一 の 規 定 を 全 て の 州 一 般 行 政 執 行 法 か ら読 み 取 る こ とが で き る(8)。これ らは,金 銭 債 権 の 執 行 を 除 く作 為,受. (6)広. 岡 隆 『行 政 上 の 強 制 執 行 の 研 究 』(法 律 文 化 社,1961年)10頁,西. 『間 接 行 政 強 制 制 度 の 研 究 』(信 山社,2006年)39頁 (7)ド. 忍 又 は不. 津政 信. 。. イ ツ にお け る行 政 執 行 法 制 の 現 況 につ いて は,拙 稿 「ドイ ツ にお け る行 政. 執 行 の 規 範 構 造(1)行. 政 行 為 と行 政 執 行 の法 的 関 連性 を 中 心 に. 叢166巻4号(2010年)109頁[113-117頁]参. 」法学論. 照 。 な お,本 稿 で 言 及 す る法 律 の. 内 容 は,全 て2012年12月 末 時 点 の もの で あ る。 (8)拙 稿 ・前 掲 注(7)118頁 。 後 掲 注 ⑫ も参 照 。. 74.

(5) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 作 為 の行 政 執 行 を 適 法 に貫 徹 す る(durchsetzen)た. め に一 般 的 に求 め ら. れ る積 極 的 な 要 件(以 下 「積 極 的 な一 般 要 件 」 と い う。)を 定 め る もの で あ る。 そ して,そ の 要 件 の1つ. に係 る(行 政 行 為 の)即 時 執 行 命 令 につ い. て は,ド イ ツ全 土 で 統 一 的 に適 用 され る行 政 裁 判 所 法80条2項. 停 止 的 効 果 は,次. の 場 合 に 限 り生 じな い 。. 1.公. の 賦 課 金 及 び 費 用(6ffentlicheAbgabenundKosten)の. 2.執. 行 警 察 官 の 停 止 不 能 な(unaufschiebbar)命. 3.そ. の 他,連. 邦 法 律 に よ っ て,又. 定 さ れ て い る 場 合 。 特 に,投. 請 求。 令 及 び措 置 。. は州 法 につ いて 州 法 律 に よ って 規. 資 又 は雇 用 創 出 に係 る行 政 行 為 に対 す. る 第 三 者 の 異 議 審 査 請 求(Widerspruch)及 4.行. が,. び取 消訴 訟 の場 合 。. 政 行 為 を 発 付 し た 行 政 庁 又 は 異 議 審 査 請 求 に つ い て 決 定 しな け. れ ば な ら な い 行 政 庁 が,公 (Uberwiegend)利. 益 又 は 関 係 人(Beteiligte)の. 益 の 下 で,即. 優 越的な. 時 執 行(sofortigeVollziehung)(9). を 特 に命 令 す る場 合 。 州 は,法. 的 救 済 手 段(Rechtsbehelfe)が,行. 政 執 行 にお いて 州 に よ. り連 邦 法 に 基 づ い て な さ れ る 措 置 に 向 け られ て い る 場 合 に 限 り,停. 止. 的 効 果 を 有 しな い 旨 を 定 め る こ と も で き る 。. と い う2文. (9)拙. 稿. を 定 め る 中 で,そ. の1文4号. に よ っ て 主 に 規 律 さ れ て い る(1① 。. 「ド イ ツ に お け る 行 政 執 行 の 例 外 の 諸 相(1)即. 法的構造 う に,連. 時強 制 及 び 略 式 手 続 の. 」 法 学 論 叢169巻1号(2011年)38頁[45-46頁]で 邦行政執行法上の. 判所法上の. 「即 時 執 行. に も か か わ ら ず,同. 「即 時 執 行. 〔sofortigerVollzug〕. 〔sofortigeVollziehung〕. 」 概 念 は,そ. 8.Aufl.(2011),VwVG§6Rn.130-131. 他 に,い. の用語上の差異. 一 の も の と し て 一 般 に 解 さ れ て い る 。Vgl.auchGε. 5α41θろVerwaltungs-VollstreckungsgesetzVerwaltungszustellungsgesetz,. ⑩. 既 に述 べ た よ 」 概 念 と行 政 裁. わ ゆ る二 重 効 果 的行 政 行 為(VerwaltungsaktemitDoppelwirkung)/. 75. 酌 梛6.

(6) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. す な わ ち,即 時 執 行 命 令 は,わ が 国 に お け る執 行 停 止(行 政 事 件 訴 訟 法25 条)の 効 力 に ほ ぼ相 当す る,法 的 救 済 手 段(こ. こで は,異 議 審 査 請 求 及 び. 取 消 訴 訟ql))の 停 止 的 効 果 を 生 じ さ せ な い た め の1つ. の 方 法 と して,主. に. 行 政 訴 訟 法 上 制 度 化 され て い る⑫ もの で あ るが,こ れ に関 す る判 例 の 蓄 積. \ に関 して 行 政 庁 が 受 益 者 の 申立 て に基 づ い て即 時執 行 命 令 を 発 す る こ とが で き る 旨 を 定 め た 行 政 裁 判 所 法80a条1項2号. 及 び2項. 判 所 法 改 正 法 に よ っ て 追 加 さ れ て い る 。 な お,連. が,1990年. の 第4次. 行政裁. 邦 の み な らず 州 に も統 一 的 に. 適 用 され る行 政 裁 判 所 法 に よ って即 時執 行 命 令 が主 に規 律 され て い る こ と に基 づ い て,ド. イ ツに お け る行 政 執 行 法 制 の 統 一 を 促 す 基 盤 は 存 外 に脆 弱 で あ る に. も か か わ ら ず(拙. 稿 ・前 掲 注(7)114頁),積. 極 的 な 一 般 要 件 に つ い て 言 え ば,州. 法 と連 邦 法 と で 歓 迎 す べ き統 一 性 が 維 持 され て い る と評 価 さ れ る こ と もあ る (例 え ば,σ θr肋zび3α4」6乙 。SofortigeVollziehunぎ`und。sofortigerVollzug" inderPraxis,DiePolizei2005,S.185)。 国 の 先 行 研 究 と し て,植. な お,即. 村栄治. 93巻7号(1976年)1007頁[1034-1036頁. ・1040-1041頁],広. 仮 の 救 済 」(有 斐 閣,1977年)203-206頁 の研究. 時 執 行 命 令 に関 す るわ が. 「行 政 訴 訟 に お け る 仮 の 救 済(1)」 法 学 協 会 雑 誌. ・211-220頁,東. ドイ ツ 行 政 裁 判 法 を ふ ま え て. 」(信. 岡隆 條武治. 『行 政 強 制 と. 『行 政 保 全 訴 訟. 山 社,2005年)140-171頁. 等. が あ る。 ⑪. 両 者 の 関 係 及 び近 年 前 者 を撤 廃 す る試 み が一 部 の州 で 行 わ れ て い る こ と につ い て,山. 田洋. 「行 政 不 服 審 査 制 度 の 実 効 性?ド. せて」阿部泰 隆先生古稀記 念. イ ツ にお け る廃 止 論 議 に よ. 『行 政 法 学 の 未 来 に 向 け て 」(有 斐 閣,2012年). 573頁 以 下 参 照 。Vgl.auch17r'64r∫. 酌3c加c1ちEntbehrlichkeitdesVorver-. fahrensnachderVwGOkraftRichterrechts,in:PeterBaumeister/ WolfgangRoth/JosefRuthig(Hrsg.),Staat,VerwaltungundRechtsschutz: FestschriftfUrWolf-RUdigerSchenkezum70.Geburtstag(2011),S.1207ff. ⑫. こ の こ と に 影 響 を 受 け て で あ ろ う,連. 邦 法 の よ う に,積. 極 的 な 一・ 般要件 と し. て 即 時 執 行 命 令 の存 在 を法 的救 済 手 段 の停 止 的効 果 の欠 如 と並 列 的 か つ 明 示 的 に 規 定 す る 一 般 行 政 執 行 法 は,現 ラ イ ン ラ ン ト ・ プ フ ァ ル ツ,テ. 在,ブ. 般 行 政 執 行 法 は,「 作 為 の 履 行,受 は,そ 合 に,強. レ ー メ ン,ハ. ン ブ ル ク,バ. イ エ ル ン,. ユ ー リ ン ゲ ン で 存 在 す る に と ど ま り,他. の 州 一・. 忍 又 は不 作 為 に対 して 向 け られ る行 政 行 為. れ が 不 可 争 で あ る場 合 又 は 争 訟 手 段 に停 止 的 効 果 が 付 与 され て いな い場 制 手 段 を も っ て 貫 徹 さ れ 得 る 。」 と定 あ る ノ ル トラ イ ン ・ヴ ェ ス トフ ァ ー. レ ン 州 行 政 執 行 法55条1項. の よ う に,法. 明 示 的 に 規 定 して い る(拙. 稿 ・前 掲 注(7)124頁. 的救済手段の停止的効果の欠如のみを 注 ω 参 照)。. も っ と も,こ. れ らの. 規 定 の 仕 方 の 違 い に 応 じて 解 釈 論 上 の 違 い が 生 じ る こ と は な い よ う で あ る 。. 76.

(7) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. は. 比較的統一的な視点の下で. 膨 大 な 量 に至 って い る。 そ の 実 体 的. 要 件 の1つ で あ る 「公 益 」 の 存 在 に係 る判 例 の 蓄 積 も また 同様 で あ る。 し た が って,ド. イ ツ行 政 執 行 法 に お け る 代 執 行 を も結 局 正 当化 し得 る この. 「公 益 」 概 念 を 代 執 行 との 関 連 で 分 析 す る こ と に よ り,わ が 国 に お け る行 政 代 執 行 法2条 所 定 の 「公 益 」 要 件 に関 して 少 な か らぬ 示 唆 を 得 られ るか も しれ な い。 も っ と も,本 稿 は,上 記 の 「公 益 」 要 件 の 不 明 確 さ及 び行 政 代 執 行 に要 した費 用 を 実 際 に徴 収 で きな い こ とが 多 い と指 摘 され て い る こ との2点 が 行 政 代 執 行 の 利 用 を 抑 制 す る要 因 と して わ が 国 で 指 摘 され て い る こ と に ま ず 着 目 して,ド. イ ツで は代 執 行 の 費 用 を 迅 速 に,つ ま り,よ り確 実 に徴 収. す る必 要 性 が 即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 を 根 拠 付 け る場 合 が あ る の か と い う点 につ いて の み,若 干 の 判 例 を 中心 に検 討 す る。. (3)そ の た め に,以 下 で は まず,即 時 執 行 命 令 及 びそ れ に関 連 す る諸 制 度 を 上 記 の 検 討 に必 要 な 限 り概 観 し,そ の 過 程 にお いて,代 執 行 の 費 用 徴 収 手 続 に つ い て も瞥 見 す る(第 一 章)。 次 に,上 記 の 検 討 を行 う前 提 と し て 「財 政 上 の 利 益 〔fiskalischeInteressen〕」 と即 時 執 行 命 令 を 正 当 化 す る 「公 益 」 との 関 係 を 検 討 し,そ れ を踏 ま え て,最 後 に,代 執 行 の 費 用 を 迅 速 に徴 収 す る必 要 性 と即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 との 関 係 につ い て 判 示 した若 干 の判 例 を紹 介 しなが ら上 記 の 検 討 を ま とめ,上 記 の 「公益 」 要 件 へ の 示 唆 を 付 言 す る(第 二 章)。. 77.

(8) 近畿大学法学. 第一章. 第一節. 第60巻 第3・4号. 行政行為の即時執行命令 と代執行の費用. 「例 外 」 と して の即 時執 行 命 令. (1)「 は じめ に」(2)で述 べ た よ う に,ド. イ ツ に お け る積 極 的 な一 般 要 件. に深 く関 わ り,か つ,「 公 益 」 の 存 在 を そ の 実 体 的 要 件 の1つ. とす る即 時. 執 行 命 令 は,法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 を 生 じさせ な い た めの1つ の 方 法 と して,ド. イ ツ全 土 で 統 一 的 に適 用 され る行 政 裁 判 所 法 に よ って 主 に制 度. 化 され て い る。 ま た,そ の 停 止 的 効 果 は,1794年. に制 定 され た プ ロ イセ ン. ー 般 ラ ン ト法 に お け る課 税 処 分 に関 す る規 定 に その 萌 芽 を 見 出す こ とが で き,長. ら く法 制 度 上 の 原 則 と して 位 置 付 け られ,な. おか つ,現 行 法 制 度 に. お いて も引 き続 き 「原 則 」 と して 位 置 付 け られ て い る(行 政 裁 判 所 法80条 1項)。 さ ら に言 え ば,た とえ上 記 の停 止 的 効 果 が 当初 生 じな い場 合 で あ って も, 処 分 庁 又 は異 議 審 査 庁 は,原 則 と して 争 わ れ て い る行 政 行 為 の 執 行 を 停 止 す る こ と が で き る(同 法80条4項)。. そ して,裁 判 所 は,申 立 て に基 づ い. て,上 記 の 停 止 的 効 果 を 命 じ,若 し くは回 復 させ る こ とが で き,又 は既 に 行 わ れ た行 政 執 行 の 取 消 し等 を 行 う こ と もで き る(同 法80条5項)⑱ 。. (2)以 上 の よ うな 法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 につ いて,連 邦 行 政 裁 判 所 も そ の 創 設 当 初 か ら,取 消 訴 訟 の 有 す る 停 止 的 効 果 と い う 「遮 断 効. ⑬. 既 に,拙 稿 ・前 掲 注(7)120-122頁 で 述 べ た こ とで あ る。 本 稿 の 以 下 の 叙 述 も, 一 部 そ れ と重 複 す る。 な お,法 的救 済 手 段 の 停止 的効 果 に係 る法 制 度 全 体 を 関 連 条 文 の 訳 出 も含 め て. 的 確 に概 説 す る比 較 的 最 近 の もの と して,山. 司 「 行 政 訴 訟 に関 す る外 国法 制 調 査 年)108頁[116-125頁],湊. ドイ ツ(下)」. 本隆. ジ ュ リス ト1239号(2003. 二 郎 「ドイ ツ に お け る建 築 許 可 の執 行 停 止 」 鹿 児 島. 大 学 法 学 論 集41巻2号(2007年)1頁[4-10頁]が. 78. あ る。.

(9) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 〔Suspensiveffekt〕 は,基 本 法(19条4項1文)に 上 の権 利 保 護 の本 質 的 メ ル ク マー ル の1つ. お いて 保 障 され る行 政 〔einWesensmerkmal〕. であ. る。 と い うの も,行 政 行 為 の 即 時 執 行 の 場 合,経 験 上 比 較 的 長 い時 間 の か か る行 政 裁 判 手 続 を 踏 まえ る と,既 成 事 実 が 創 出 され るの で,訴 え の 遮 断 効 が な けれ ば,行 政 上 の 権 利 保 護 は しば しば虚 弱 な もの にな るだ ろ うか ら で あ る。 その こ と に よ って,独 立 の 裁 判 所 に よ る行 政 行 為 の 審 査 と い う 目 的 は無 に帰 せ られ る。 す な わ ち,行 政 行 為 の 利 害 関 係 人 は,結 果 と して 行 政 裁 判 所 に よ る保 護 を 奪 わ れ るだ ろ う。 基 本 法 に合 致 す る行 政 上 の 権 利 保 護 の 確 保 は,法 治 国 の 基 礎 の1つ. と して,疑. いな く公 益 に よ って 要 請 され. る。ω」 と判 示 して い る。 連 邦 憲 法 裁 判 所 も ま た,「 訴 え の 停 止 的 効 果 は 公 法 上 の 訴 訟 の基 本 原 則 の1つ. 〔einfundamentalerGrundsatz〕. 法19条4項. で あ る。⑮」 と判 示 した り,(基 本. は行 政 訴 訟 に お け る法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 を 例 外 な しに は. 保 障 して いな い と明 言 す る一 方,)「 優 越 的 な 公 の 利 益 は,公 共 の 福 祉 の た め に停 止 不 能 な 措 置 を 適 時 に軌 道 に乗 せ るべ く,個 人 の 権 利 保 護 請 求 権 を 一 時 的 に後 退 させ る こ と を正 当化 す る こ とが で き る(… …) 。 しか し,そ れ は例 外 に止 ま らな けれ ばな らな い。 例 え ば,行 政 行 為 を 一 般 的 に即 時 執 行 可 能 と宣 言 す る こ と に よ って この 原 則 ・例 外 関 係 を 逆 にす る よ うな 行 政 実 務 は,憲 法 と相 容 れ な いで あ ろ う。⑯」 と判 示 した り して い る。 そ して, 少 な くと も即 時 執 行 命 令 との 関 係 で,法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 が 原 則 と して 発 生 す る こ とが 基 本 法 上 の 要 請 で あ るか の よ う に理 解 す る判 例 の 思 考. ⑭BVerwGUrt.v.8.9,1953,BVerwGE1,11(12).も 行 規 定 で あ る1960年 所 法29条. っ と も,本. の 行 政 裁 判 所 法80条. の 前 身 の1つ,1952年. に 関 す る も の で あ る 。本 判 決 に つ い て は,既. 頁 が 詳 し く紹 介 し て い る 。 q5>BVerfGBeschl.v.19.6.1973,BVerfGE35,263(274). q6>BVerfGBeschl.v.13.6.1979,BVerfGE51,268(285).. 79. 判 決 は,現. の連邦行政裁判. に 広 岡 ・前 掲 注qo)214-216.

(10) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. は,基 本 法19条4項. に基 づ く公 権 力 に対 す る実 効 的 な 権 利 保 護 の 要 請 が 取. 返 しの 付 か な い行 政 決 定 を 「で き る限 り」 で 良 いか ら排 除 す る こ とを 保 障 して い る と解 さ れ な が ら も⑰,今 日な お,少. な く と も形 式 的 に は維 持 され. て い る よ う に思 わ れ る⑱。 ま た,行 政 裁 判 所 法 の 体 系 か ら,同 法80条1項. に定 め られ て い る法 的 救. 済 手 段 の 停 止 的 効 果 が 「原 則 」 で あ る と簡 潔 に述 べ る判 例 も今 日な お少 な くな い⑲。. (3)も. っ と も,法 律 に お け る位 置 付 け は 当該 規 定 の 解 釈 に と って 何 物 を. も も た らす もの で はな い と学 説 上 解 され る こ とが あ る⑳上 に,行 政 上 の 義 務 を貫 徹 す る場 合 の 実 効 性 強 化 を 行 政 が 望 ん で い る こ とを 主 な き っか け と して,近 年,総. じて 本 来 例 外 的 な 要 件 と して 位 置 付 け られ て き た行 政 裁 判. 所 法80条2項1文2号. な い し4号 の要 件 が恒 常 的 に(stetig)そ. の意義を. 増 しつ つ あ る と評 価 さ れ る こ と もあ る⑳。 す な わ ち,① 判 例 に よ って 同条 2項1文2号. に い う警 察 法 上 の 措 置 が 広 範 に解 され て い る こ と,② 法 的 救. ⑰. 既 にBVerfGE35,263(274)の. ㈹. 例 え ば,BVerfGBeschl.v.24.10.2003,NJW2003,3618(3619).Vgl.auch κ θr5"η. 述 べ る 点 で も あ る 。. α ααわ,DiezwangsweiseVollstreckungvonEntscheidungender. Verwaltung;Eindeutsch-franz6sischerVergleich(2010),S.459.な ヴ ォ ル フ=リ. ュ ー デ ィ ガ ー. ・ シ ェ ン ケ(村. お, 上 裕 章 訳)「. ドイ ツ 行 政 訴 訟 に お け る. 仮 の 権 利 保 護 」 北 大 法 学 論 集59巻1号(2008年)116頁[127頁]は,憲 所 の 最 近 の 諸 判 決 に お い て そ の よ う な 思 考 は 実 質 的 に 放 棄 て い る 。 q9)例. え ば,OVGKoblenzBeschl.v,28.7.1998,NVwZ-RR1999,27(28);OVG. MUnsterBeschLv.6.7.2010,DVBI.2010,1455. ⑳F磁. 謝c乃3伽c乃,in:FriedrichSchoch/Jens-PeterSchneider/Wolfgang. Bier(Hrsg.),Verwaltungsgerichtsordnung(Stand:22.Sept.2011),§80 Rn.10. (2D言. 羊糸田 は,G1α. αわ,a.a.0.(Fn.18),S.460-484.. 80. 法 裁 判 さ れ て い る と 断 言 し.

(11) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 済 手 段 の 停 止 的 効 果 の 原 則 を 次 第 に 内部 か ら衰 弱 させ るお そ れ の あ る特 別 法 上 の例 外 要 件 が恒 常 的 に 増 加 して い る こ と⑳,③ 欧 州 司法 裁 判 所 の 仮 の 権 利 保 護 に関 す る諸 判 例 がEU法. の執 行 の た め に しば しば即 時 執 行 命 令 の. 活 用 を 支 持 す る傾 向 に あ る こ と㈱ が,同 法80条1項. の 原 則 に対 して 激 し く. 圧 力 を か けて い る と評 され て い るの で あ る。. 第二節. 即 時 執 行 命 令 の 要 件(特 別 な 公 益 の 存 在 等). (1)行 政 裁 判 所 法80条1項. に基 づ く法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 と相 補 的. に対 を な す もの,と 言 う よ りもむ しろ,そ の 停 止 的 効 果 との 原 則 ・例 外 関 係 が 今 日の 学 説 上 に お い て も特 に強 調 さ れ る こ とが あ る⑳(行 政 行 為 の) 即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 の 存 否 を 判 断 す る際 に も,前 節(2)で述 べ た,即 時 執 行 命 令 は一 応 例 外 的 にの み 許 容 され る と い う思 考 が 色 濃 く影 響 を 及 ぼ して い る。 す な わ ち,即 時 執 行 命 令 を 正 当 化 す る 「公 益 」 は,確 立 した判 例 及 び多 数 説 に よれ ば,原 則 と して 行 政 行 為 そ の もの を 正 当 化 す る利 益 を 超 え る特 別 な 公 益 で な けれ ばな らな いの で あ る㈱。 したが って,原 則 と して 行 政 行 為 その もの の 適 法 性 だ けで はそ の 不 可 争. ⑳Vgl.auch3c〃oc1ちin:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.(Fn.20),§80 Rn.127;飽. π伽 αη40.κopρ/W∂. ヶ:R醐. ∫g6r3c乃8η. 舵/Rα. ゲP6'θr∫c舵. 敏 θ,Ve「-. waltungsgerichtsordnung,18.Aufl.(2012),§80Rn.65. ㈱. 山 本. ⑳. α ααわ,a.a.0.(Fn.18),S.472-474.. ・前 掲 注 ⑬118-119頁. 参 照 。. ⑳BVerfGBeschl.v.18.7.1973,BVerfGE35,382(402);BVerfGUrt.v. 16,7,1974,BVerfGE38,52(58);OVGGreifswaldBeschLv.24.1.2006,NVwZRR2007,21(23);αr∫3'o沸. 陥. 伽. τ αηη,in:KlausFinkelnburg/Matthias. Dombert/ChristophKUlpmann,VorlaufigerRechtsschutzimVerwaltungsstreitverfahren,6.Aufl.(2011),Rn.759;ノ. δr83c〃. Eyermann/LudwigFr6hler,Verwaltungsgerichtsordnung,13.Aufl.(2010), §80Rn.35;G1α. αわ,a.a.0.(Fn.18),S.472.. 81. 雁4ちin:Erich.

(12) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. 力 発 生 前 の即 時執 行 を 正 当 化 す る こ と は で き な い と解 され て い る㈱。 も っ と も,時 に行 政 行 為 その もの を 正 当化 す る公 益 と その 即 時 執 行 を 正 当化 す る 「公 益 」 の一 致 が認 め られ る こ と もあ る⑳。 とい うの も,今. 日の 支 配 的. な 見 解 に よれ ば,法 的救 済 手 段 の停 止 的効 果 の発 生 を求 め る公 益 ㈱ や その 排 除 を求 め る 「公 益 」 を は じめ とす る,個 別 具 体 的 な 場 合 に係 る諸 利 益 の 衡 量 こ そ重 要 だ か らで あ る⑳。 上 記 の一 致 が認 め られ る結 果,確. か に,可. 罰 的行 為 を 阻 止 す べ き場 合 ⑳. や 生 態 系 の 不 可逆 的 な損 害 を 回避 す べ き場 合 ⑳ の よ うに,「 公益 」 の重 大 な 侵 害 を伴 う こ とな く行 政 行 為 の 執 行 を 延 期 す る こ とが で きな い場 合 に は, 即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 が通 例 存 在 す る と言 う こ と もで き る㈱。 ま た,法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 が 明 白 に濫 用 され て い る場 合 に は,大 抵 利 害 関 係 人 は不 当 に行 使 され た法 的 地 位 か らで き るだ け長 く経 済 的 利 益 を. ⑳. κ吻. 脚. 肱in:Finkelnburg/Dombert/KUlpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.759.. Vgl.auchBVerfGBeschl.v.15,2.1982,NVwZ1982,241. ⑳. 例 え ば,OVGGreifswald,NVwZ-RR2007,21(23);OVGLnneburg Beschl.v.20.9.2006,NVwZ-RR2007,239(240).Vg1.auch5ch履4',in: Eyermann/Fr6hler,a.a,0.(Fn.25),§80Rn.36;3α416君a.a.0.(Fn.9), VwVG§6Rn.162.特 と さ れ る(κ. に 危 険 防 除 の 場 合 に 双 方 の 利 益 が 一 致 す る こ と が あ る 観 ρ配αη艦in:Finkelnburg/Dombert/KUIpmann,a.a.0.[Fn.25],. Rn,759;5c乃och,in:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.[Fn,20],§80Rn.211)Q こ の こ と と,行. 政 裁 判 所 法80条2項1文2号. が 執 行 警 察 官 の 停 止 不 能 な 命 令 及. び 措 置 に 関 し て 停 止 的 効 果 を 一 般 的 に 排 除 し て い る こ と,そ に 紹 介 さ れ る 同 法80条3項2文. し て,本. の 存 在 等 を 併 せ て 考 慮 す れ ば,警. 文 の 直 後. 察 法 に お け る. 法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 は 容 易 に 排 除 で き る と い う の が 法 律 上 の 建 前 で あ る と 言 え る 。 以 上 の 点 に つ い て,拙. 稿. ・ 前 掲 注(7)121-122頁. (2⑳Vgl.BVerwGE1,11(12). ⑳Vgl.Gloα. 猷a.a.0.(Fn.18),S.472.. ⑳BVerfGBeschl.v.27.4.2005,NVwZ2005,1303(1304). (3DOVGLUneburgBeschl.v.20,9.2006,NVwZ-RR2007,239(241). 舩. κ吻. 〃30鵬in:Finkelnburg/Dombert/Knlpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.762.. 既 に,BVerwGE1,11(12)が. 示 唆 す る 点 で も あ る。. 82. 参 照 。.

(13) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 得 る た め に手 続 を 遅 らせ よ う と努 めて い る と考 え られ るの で,即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 が 常 に存 在 す る と解 す るべ き一 定 の 傾 向 も認 め ら れ よ う㈱。 さ ら に,以 上 の 点 を 踏 まえ る と,即 時 執 行 命 令 を 発 す るた め に は,行 政 行 為 の 不 可 争 力 の 発 生 まで に行 政 執 行 を 実 施 す べ き緊 急 の 必 要 性 が 大 抵 問 題 にな って い る と も言 え よ う。 な お,そ の よ うな 緊 急 の 必 要 性 が 問 題 とな って い る場 合 に は,や や 繰 り返 しにな るが,即 時 執 行 命 令 に よ っ て 切 迫 す る損 害 の 発 生 を 阻 止 す る こ と こ そ問 題 とな って い るの で あ る鱒。 しか し,前 節(2)で紹 介 した連 邦 憲 法 裁 判 所 決 定 が 言 及 して い る よ う に, 行 政 行 為 を 一 般 的 に即 時 執 行 可 能 と宣 言 す る こ と に よ って 法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 と即 時 執 行 命 令 との 原 則 ・例 外 関 係 を 逆 転 させ る よ うな 行 政 実 務 は基 本 的 に基 本 法 と相 容 れ な い で あ ろ う㈲。 とい うの も,基 本 法19条4 項 に基 づ く実 効 的 な 権 利 保 護 の 要 請 を 充 たす た め に は,常 に競 合 諸 利 益 の 衡 量 が 必 要 だか らで あ る㈱。 ま た,そ. うで あ るか らこそ,即. 時執行命令を. 発 す る こ と に と って 専 ら重 要 な の は,結 局 の と こ ろ,個 別 事 案 ご との 特 別 な 事 情 な の で あ る。 この こ と は,① 行 政 裁 判 所 法80条2項1文4号. に よれ. ば,法 的 救 済 手 段 の停 止 的 効 果 を排 除 で き るの は即 時 執 行 が 「特 に」,つ. ⑬5認Z6ろa.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rn.174.な. お,5c加. 疏,in:Schoch/Schneider/. Bier,a.a.0.(Fn.20),§80Rn.150;5c勧'4',in:Eyermann/Fr6hler,a.a.0. (Fn.25),§80Rn.35に. よ れ ば,私. 人 側 の 明 白な 違 法 性 が例 外 的 に の み 即 時 執. 行 命 令 を 正 当 化 す る こ とが で き る。 eのG1α. αわ,a.a.0.(Fn.18),S.473.Vgl.auch3c乃. 雁4',in:Eyermann/Fr6hler,. a.a.0.(Fn.25),§80Rn.35. ㈹BVerfGE51,268(285).運. 転 免 許 の 取 消 しの よ う に,行. 利 益 状 況 が 通 常 存 在 す る 場 合 に,即 否 定 さ れ て い な い 。 も っ と も,そ. 政 に と って 同 様 の. 時 執 行 を 大 量 か つ 一 様 に命 ず る こ と まで は の よ う な 場 合 で も,個. 別事例の特殊性が即時. 執 行 命 令 に不 利 に作 用 す る か否 か を審 査 す る こ とが 常 に行 政 の 義務 で あ る と さ れ る(K吻. 〃2侃η,in:Finkelnburg/Dombert/KUlpmann,a.a.0.[Fn.25],. Rn.760)。 ㈱. κ吻 襯αηη,in:Finkelnburg/Dombert/KUIpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.761.. 83.

(14) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. ま り,個 別 具 体 的 か つ 明 示 的 に命 令 され る場 合 で あ る こ と,及 び② 行 政 裁 判 所 法80条3項. 2項4号. が,. の 場 合,行 政 行 為 の 即 時 執 行 を す る こ との 特 別 な 利 益 を 文. 書 で 理 由付 けな けれ ばな らな い。 急 迫 の 危 険 の 場 合 に,特 に生 命,健 康 又 は財 産 に対 す る不 利 益 が 切 迫 して い る場 合 に,行 政 庁 が 万 一 に備 え て 公 益 の 下 で の 緊 急 措 置 を,そ の よ うな 緊 急 措 置 で あ る こ とを 示 し て 行 う と き,特 別 の 理 由付 け は必 要 な い。. と定 めて,即 時 執 行 命 令 に特 別 の 理 由付 記 義 務 を 原 則 と して 課 して い る こ とか らも支 持 で き る よ う に思 わ れ る。. (2)こ. の行 政 裁 判 所 法80条3項1文. は㊨ の,即 時 執 行 命 令 に係 る理 由付 記. の 内容 につ いて 何 も述 べ て いな い鮒が,本 節(1)で述 べ た こ とを踏 ま え る と, 原 則 と して 行 政 行 為 その もの の 理 由 と は別 の,特 別 の 理 由付 けが 求 め られ て い る と言 え る。 つ ま り,行 政 庁 は,自. らの 見 解 に従 い,個 別 具 体 的 な 場. 合 に一 般 的 な 考 慮 を 超 え て,特 別 な 利 益 を 明 らか にす る本 質 的 な 事 実 上 の 理 由及 び法 的 な 理 由を 主 張 しな けれ ばな らな いの で あ る㊨9。 ⑳. な お,同. 項2文. 制 や い わ ゆ る(行. は,同. 条2項1文2号. 政 執 行 の)略. が 存 在 し て い る こ と,実. 式 手 続(わ. 務 上 は即 時 強. が 国 に お け る 行 政 代 執 行 法3条3項. 所 定 の い わ ゆ る 緊 急 代 執 行 に 相 当 す る も の 。 略 式 手 続 に つ い て は,拙 ツ に お け る 行 政 執 行 の 例 外 の 諸 相(2)・ 完 造. 」 法 学 論 叢169巻2号. 稿. 「ドイ. 即時強 制及 び略式手続 の法 的構. 〔2011年 〕52頁[66-76頁]参. 照)が. 代 わ りに 多 用. さ れ て い る こ と 等 か ら実 務 上 無 意 味 な もの と評 さ れ る こ と も あ る(距4娩a.a.0. [Fn.9],VwVG§6Rn.185;5c伽. 紘in:Eyermann/Fr6hler,a.a.0.[Fn.25],. §80Rn.46)。 ㈱3α416君a.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rn.162. ㈲3c伽. 油,in:Eyermann/Fr6hler,a.a.0.(Fn.25),§80Rn.43;W∫. Erわg配 疏,AllgemeinesVerwaltungsrecht4.Aufl.(2011),§21Rn.6.. 84. 麓'84.

(15) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. ま た,即 時 執 行 命 令 は 申立 て に基 づ いて だ けで な く,職 権 に よ って も発 す る こ とが 可 能 で あ りω,か つ,行. 政 行 為 そ の もの と併 せ て発 す る こ と も. 可 能 で あ れ ば事 後 に発 す る こ と も可 能 で あ るω,原 則 と して義 務 適 合 的 な 裁 量 行 為 で あ る⑰。 この こ とか ら,即 時 執 行 命 令 に係 る理 由付 記 は,裁 量 決 定 の 理 由付 記 に関 す る連 邦 行 政 手 続 法39条1項3文 が 裁 量 行 使 の 際 に 出発 点 と した観 点(Gesichtspunkte)を. に基 づ いて,行 政 庁 も認 識 させ るべ. き と され る。 す な わ ち,こ の こ とか らも,即 時 執 行 命 令 に係 る理 由付 記 は 個 別 具 体 的 な 事 案 に関 係 して いな けれ ばな らず,原 則 と して 行 政 行 為 そ の もの の 理 由 に基 づ くこ と はで きな い と言 う こ とが で き る㈲。 具 体 的 に言 え ば,所 定 の 用 紙 に印 刷 され て い る一 般 的 な 理 由付 け,ス テ レオ タ イ プで 型 通 りの 慣 用 表 現,当 該 行 政 行 為 の 下 で は従 来 常 に即 時 執 行 が 命 じ られ て い る と い う指 摘 及 び単 な る法 律 の 文 言 の 繰 返 し等 は,即 時 執 行 命 令 の 理 由 付 記 と して は原 則 と して 不 十 分 で あ る と一 般 に 解 さ れ て い る㈹。 も っ と も,時 に行 政 行 為 その もの を 正 当化 す る利 益 とそ の 即 時 執 行 を 正 当化 す る利 益 の 一 致 が 認 め られ る場 合 に は,行 政 庁 が 行 政 行 為 そ の もの の 理 由付 けを 参 照 し,そ の 理 由か ら当該 個 別 事 案 にお いて 即 時 執 行 命 令 を 正 ωE酌g配'乃,a.a.0.(Fn.39),§21Rn.5. ωKゆ. 〃2αηη,in:Finkelnburg/Dombert/KUlpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.731. に よ れ ば,異. 議 審 査 請 求 又 は 取 消 訴 訟 の 提 起 前 に 即 時 執 行 命 令 を 発 す る こ と も. 可 能 で あ り,そ. の 場 合,法. な る 。 な お,A4θ1加. ∫4P競. 的 救 済 手 段 は 当 初 か ら 停 止 的 効 果 を 有 さ な い こ と に 」6乙in:HelgeSodann/JanZiekow(Hrsg.),Verwal-. tungsgerichtsordnungGroBkommentar,3.Aufl.(2010),§80Rn.76は, 即 時 執 行 命 令 は 実 務 上. し ば し ば 行 政 行 為 を 発 す る と 同 時 に 発 せ ら れ て い る と 述. べ る 。 ωP厩'1αin:Sodann/Ziekow,a.a.0.(Fn.41),§80Rn.86. Vgl.5α41θ. κa.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rn.162.. 幽5α416κa.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rn.169-172;K配. ρ〃zαηη,in:Finkeln-. burg/Dombert/KUIpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.746-748;Fr'6融61〃2H瞬 Verwaltungsprozessrecht,8.Aufl.(2011),§32Rn.17.. 85. η,.

(16) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. 当化 す る利 益 も明 らか に な る と い う こ とを 明 白 に す れ ば十 分 で あ り㈲,ま た,大 量 に 同種 の 行 政 行 為 を 発 す る場 合 に は,同 種 又 は類 型 ご との 理 由付 記 が 許 容 され て い る㈲。. (3)そ. の他,行. 政 裁 判 所 法80条2項1文4号. に よれ ば,「 関係 人 の 優 越. 的 な 利 益 」 も(行 政 行 為 の)即 時 執 行 命 令 を正 当化 す る こ とが で き㊨,そ の 利 益 の 存 否 を 検 討 す る に あ た って,行 政 庁 は即 時 執 行 命 令 を 求 め る者 の 利 益 と法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 を 求 め る者 の 利 益 を 慎 重 に衡 量 す る義 務 を負 って い る⑱。 また,処. 分 庁 と異 議 審 査 庁 の 権 限 分 配,即. 時執行命令独. 自の 聴 聞 義 務 及 び前 節(1)で言 及 した よ うな 裁 判 所 へ の 申立 て に関 す る教 示 義 務 等 の(行 政)組 織 又 は行 政 手 続 に係 る問 題 につ いて も,判 例 ・学 説 上 争 いが あ る㈹。 も っ と も,本 稿 の 検 討 に と って 何 よ り補 足 す べ き こ と は,法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 を 排 除 す る こ とが 主 目的 で あ る即 時 執 行 命 令 は,即 時 執 行 命 令 が 問 題 とな って い る行 政 行 為 に不 可 争 力 が 生 じて その 行 政 行 為 に関 す る 法 的 救 済 手 段 自体 が 問 題 とな らな くな っ た場 合 に は,も はや 必 要 と され な い と い う こ とで あ る⑳。 行 政 裁 判 所 法80条2項1文1号. ㈲Vgl.3c伽. 及 び2号 並 び に 同. ∫4',in:Eyermann/Fr6hler,a.a.0.(Fn,25),§80Rn,43.. ㈹3α416κa.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rn.172.前. 掲 注 ㈲ も参 照 。. ⑳. 及 び2項. 前 掲 注qo)で 言 及 し た 行 政 裁 判 所 法80a条1項2号. も,「 関 係 人 の 優 越. 的 な 利 益 」 に密 接 に関 わ る規 定 で あ る。 ⑱. κ吻 〃30朋,in:Finkelnburg/Dombert/KUlpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.806; 5choc乃,in:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.(Fn.20),§80Rn.221.. q9さ. しあ た り,Vgl.1凱. 加〃2α 朋,in:Finkelnburg/Dombert/KUIpmann,a.a.0.. (Fn.25),Rn.728-739. ⑳5α41醐a.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rn.72は,こ. の行政行為の不可争力 こ. そ 行 政 執 行 の 原 則 的 な 要 件 で あ り,行 で あ る と 述 べ て い る が,こ (7)126頁 注69参. 政 実 務 に お い て 最 も しば しば 生 じ る要 件. の 見 解 に は 異 論 が あ る こ と に つ い て,拙. 照。. 86. 稿 ・前 掲 注.

(17) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 項1文3号. 及 び2文 に基 づ く個 別 の 規 定 に よ って 法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効. 果 が 一 般 的 に排 除 され て い る場 合 も ま た 同様 で あ る61)。 したが って,即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る特 別 な 公 益 の 存 在 は,原 則 と し て 個 別 具 体 的 な 事 情 に照 ら して 判 断 され な けれ ばな らず,か つ,行 政 行 為 に不 可 争 力 が 生 じた場 合 又 は法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 を 一 般 的 に排 除 す る個 別 の 規 定 が 存 在 す る場 合 に は も はや 問 題 とな らな いの で あ る。 そ こで,以 上 の よ うな 即 時 執 行 命 令 に関 す る諸 制 約 を 踏 まえ た 上 で,ド イ ツで は代 執 行 の 費 用 を 迅 速 に徴 収 す る必 要 性 が 即 時 執 行 命 令 を 正 当 化 す る 「公 益 」 を 根 拠 付 け る場 合 が あ るの か と い う点 につ いて 検 討 す るた め に は,ま ず,代 執 行 の 費 用 に係 る即 時 執 行 命 令 の 存 在 可 能 性 を 明 らか にす る べ く,代 執 行 の 費 用 と法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 を 一 般 的 に排 除 す る個 別 の 規 定 との 関 係,特. に,行 政 裁 判 所 法80条2項1文1号. 及 び 同項2文. に基. づ く特 別 法 との 関 係 を あ らか じめ検 討 して お く必 要 が あ る。 次 節 及 び第 四 節 の 課 題 は ま さ に この 点 に あ る。. (4)な. お,行 政 裁 判 所 法80条2項2文. との 関 連 で 付 言 す る と,法 律 上 定. 義 され て いな い こ とが(行 政 行 為 の)即 時 執 行 命 令 の 法 的 性 質 に関 す る疑 問 を 投 げか けて い る励 が,即 時 執 行 命 令 は行 政 行 為 の 実 体 法 上 の 有 効 性 そ. (5DHα. η∫Eη96仇. α肋/ル 万励 αθ1、4〃/A配. ε5c配. α〃ηαηη/ノ龍r8εηGlo孟 ψ αc乃,Verwaltungs-. VollstreckungsgesetzVerwaltungszustellungsgesetz,9.Aufl.(2011),VwVG §6Rn.9.ま. た,特. 別 法 に よ っ て 即 時 執 行 命 令 が 禁 止 さ れ て い る こ と も あ る. こ と に つ い て,Vgl.5c加c乃,in:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.(Fn.20), §80Rn,222. 働. 具 体 的 に 言 え ば,即 多 数)に. つ い て,Vgl.3c加. 時 執 行 命 令 そ の も の が 行 政 行 為 で あ る か 否 か(消 餉,in:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.(Fn.20),. §80Rn.199;3c勧'4',in:Eyermann/Fr6hler,a.a,0.(Fn.25),§80Rn.33; κ1α配3/oαcん. 伽Gr'go1θ",DieAnordnungdersofortigenVollziehbarkeit. gemaB§80Abs.2Nr.4VwGOalsVerwaltungshandlung(1997),S.66/. 87. 極 説 が.

(18) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. の もの で はな く,あ くまで も訴 訟 法 と密 接 に関 連 す る行 政 行 為 の 執 行 可 能 性(Vollziehbarkeit)と. 関 係 す る もの と思 わ れ る㈱。 ま た,即 時 執 行 命 令. が 発 せ られ た行 政 行 為 に対 す る違 反 行 為 は刑 罰 又 は過 料 の 構 成 要 件 を 実 現 させ る こ とが で き る と共 に,即 時 執 行 命 令 が 発 せ られ た時 点 以 降 に は じめ て,強 制 手 段(代 執 行,強 制 金,直 接 強 制)の 戒 告(Androhung)又 定(Festsetzung)と. は確. い った 行 政 執 行 に お け る措 置 の実 施 が許 容 され る こ. と に な る と解 さ れ て い る勧。 も っ と も,即 時執 行 命 令 そ の もの は行 政 執 行 に お け る措 置 で はな い と解 され て い る㈲。. 第三節. 即 時 執 行 命 令 が 不 要 な 「公 の 賦 課 金 及 び 費 用 」 と代 執 行 の 費 用. (1)行 政 裁 判 所 法80条2項1文1号. 所 定 の 「公 の 賦 課 金 及 び費 用 」 の 請. 求 に係 る法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 は,同 号 に よ って 一 般 的 に排 除 され て い る。 さ らに,同 号 の 「公 の 賦 課 金 及 び費 用 」 に該 当す れ ば,そ の 請 求 に 対 す る法 的 救 済 手 段 につ いて 直 接 裁 判 所 に その 停 止 的 効 果 の 回 復 等 を 申 し 立 て る こ とが 原 則 と して認 め られ な くな る(同 法80条6項)。 の 権 利 保 護 を 求 め る機 会 が 同法80条2項1文2号. 裁 判 所 に仮. な い し4号 所 定 の 諸 類 型. と比 べ て 限 定 され て い るの で あ る6㊧ 。 \-gaな. お,即. 時 執 行 命 令 は い わ ゆ る命 令 的 行 政 行 為 に 対 し て の み な ら ず,形. 的 行 政 行 為 及 び 確 認 的 行 政 行 為 に 対 し て も 発 す る こ と が で き る と 共 に,一 分 に 対 し て も 発 す る こ と が で き る と 一 般 に 解 さ れ て い る(勘'漉 Sodann/Ziekow,a.a.0.[Fn.41],§80Rn.72;Eη861肋. 君4'/A〃/5c配. 成 般処. κin: α競 αηη/. Glo'ψ αc〃,a.a.0.[Fn,51],§6Rn.4)Q (53Vgl.3α41θ 勧GZα. κa.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rn.128.. αわ,a.a.0.(Fn.18),S.474.さ. Rn,137は,行. ら に,5α41ε κa.a.0.(Fn.9),VwVG§6. 政 庁 が 即 時 執 行 命 令 を 発 し た な ら ば,行. 政 庁 は即 時 執 行 可 能 と. な った 行 政 行 為 を 精 力 的 に貫 徹 す るべ きで もあ る と述 べ る。 ⑮5α41ε. κa.a.0.(Fn.10),S.186.そ. の 他,即. 時 執 行 命 令 の 機 能 に つ い て は,. 拙 稿 ・前 掲 注(7)127頁 注 ⑩ の ほ か,Vgl.auch5c肋ch,in:Schoch/Schneider/ Bier,a.a.0.(Fn.20),§80Rn.200. 6⑤. 湊 ・前 掲 注q3)6-7頁. 参照。. 88.

(19) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 同号 の 萌 芽 は,法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 その もの と共 に,1794年. に制. 定 され た プ ロ イセ ンー 般 ラ ン ト法 に お け る課 税 処 分 に関 す る規 定 に見 出す こ とが 可 能 で あ る。 その プ ロ イセ ン法 に お いて 既 に,公 の 資 金 需 要 を 適 時 に(zeitnahe)充. 足 す る た め に,納 付 義 務 者 の 側 か ら提 起 され た 法 的 救 済. 手 段 は徴 収 の 猶 予 と い う結 果 に至 らな い と い う考 え が 規 定 され て いた 。 す な わ ち,既 に初 期 か ら元 々予 定 され て い た財 政 計 画 の た め に納 付 義 務 者 の 権 利 保 護 利 益 を 一 時 的 に お ざな りに して で も,当 該 義 務 者 に対 し,給 付 内 容 が 確 定 す る前 か ら国 家 へ の 給 付 義 務 を 課 す と い う,い わ ゆ る 「事 前 給 付 義 務 〔Vorleistungspflicht〕」 を 課 す 用 意 が で き て い た の で あ る6の 。そ し て,同 号 で も依 然 と して,公 の 賦 課 金 に よ る資 金 調 達 の 確 保 の 利 益 が,一 ・ 般 的 に私 人 で あ る債 務 者 の 停 止 的 効 果 を 享 受 す る利 益 よ りも高 く評 価 され て い る と され て い る鮒。 も っ と も,同 号 の 根 拠 は,公 の 賦 課 金 に よ る資 金 調 達 を 確 保 す る と い う こ とで はな く,公 的 資 金 の 計 画 可 能 性,そ れ か ら,公 の 賦 課 金 決 定 又 は公 の 費 用 決 定 の 法 的 救 済 手 段 に停 止 的 効 果 が 生 じれ ば当 該 決 定 の 名 宛 人 はそ の 間 の 利 息 を 後 に 当該 決 定 の 有 効 性 が 確 定 して も負 担 せ ず に済 む と い う不 合 理 な 利 益 が 生 じて しま う た め,法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 が 一 般 的 に排 除 され て いな けれ ば,当 該 決 定 に対 して 法 的 救 済 手 段 を 用 い る こ とが そ の 名 宛 人 に と って 特 に誘 惑 的 にな る と い う こ と に求 め られ る こ と も あ る⑲。. (2)以 上 の よ うな 同号 の 沿 革 及 び根 拠 を 踏 まえ て,同 号 にお け る 「公 の 賦 課 金 」 と は,公 的 主 体 が その 一 般 的 な 資 金 需 要 充 足 の た め にそ の 高 権 的 権 利 に基 づ いて 要 求 す る給 付,特. (57)GZα (5∂. に租 税 通 則 法(Abgabenordnung)の. α猷a,a.0.(Fn.18),S.462.. α αα猷a.a.0.(Fn.18),S.463.. ⑲Vgl.Hψ. η,a.a.0.(Fn.44),§32Rn.10.. 89. 意.

(20) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. 味 に お け る 租 税 等 の こ と で あ る と一 般 に 解 さ れ て い る ㈹。 ま た,そ. れ らに. 該 当す る た め に は,収 入 を 得 る と い う 目的 が それ に よ って 追 求 され る他 の 目的 と少 な くと も 同等 の 地 位 に あ る と い う こ とが 求 め られ る⑥)。 そ の結 果, 損 害 賠 償 金,罰 金 及 び強 制 金 も 同号 に お け る 「公 の 賦 課 金 」 に は該 当 しな い と一 般 に解 され て い る㈹。 他 方,同 号 に お け る 「公 の 費 用 」 と は,行 政 庁 の 公 法 上 の 職 務 行 為 の た めの 行 政 手 続 に お いて 生 じ,か つ,場 合 に よ って は主 た る行 政 行 為 を 考 慮 す る こ と な く生 じ る 手 数 料(GebUhren)及. び 立 替 金(Auslagen)の. で あ る と 一 般 に 解 さ れ て い る㈹。 そ し て,こ. の 「公 の 費 用 」 に 代 執 行 の 費. 用 ㈹ が 該 当 す る か が ま さ に 問 題 と な り得 る の だ が,学. ㈹. こと. 説 は ほ ぼ 異 論 な く,. ∫choch,in:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.(Fn.20),§80Rn.130-138; 5ch配 畝in:Eyermann/Fr6hler,a.a.0.(Fn.25),§80Rn.19;H嘘 (Fn.44),§32Rn.10.例. え ば,租. 税 通 則 法3条1項. 別 な 給 付 に 対 す る 反 対 給 付 で は な く,法 要 件 に 該 当 す る 全 て の 者 に 対 し,収. 陥a.a.0. に よ れ ば,「 租 税 と は,特. 律 が 給 付 義 務 を そ れ に結 び 付 けて い る. 入 を 得 るた め に公 法 上 の 団 体 が 課 す 金 銭 給. 付 を い う 。 な お,収. 入 を得 る こ とは 付 随 的 な 目的 とす る こ とが で き る。 関 税 及. び 輸 入 課 徴 金 は,こ. の 法 律 の 意 味 に お け る 租 税 で あ る 。」 と 定 義 さ れ て い る 。. ㈹. κ 脈6励. 勧. 乃 ηん6励 配rgin:Finkelnburg/Dombert/Knlpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.681.. ㈹Vgl.F倣61η. 配rgin:Finkelnburg/Dombert/KUlpmann,a,a.0.(Fn,25),Rn.681.. わ配r8in:Finkelnburg/Dombert/Knlpmann,a.a.0.(Fn.25),. Rn,690. 御. ル∫ α励'α3∫cみ81ゐDieKostenderErsatzvornahmegemaBArt.32VwZVG, BayVBI.2005,S.746(747)に vornahme〕. よ れ ば,「 代 執 行 の 費 用. 」 と し て 義 務 者 か ら徴 収 可 能 な の は,代. べ き 作 為 の た め の 費 用,す で あ り,例. え ば,事. 処 理 手 数 料 等)又 の は,代. な わ ち,当. 〔KostenderErsatz-. 執 行 と い う方 法 で 行 わ れ る. 該作為の代替的な執行のための支出全て. 業 者 へ の 委 託 費 用,除. 去 費 用(ス. ク ラ ッ プ費 用 又 は廃 棄 物. は代 執 行 に必 要 な 調 査 に係 る費 用 で あ る。 そ の 限 りで 必 要 な. 執 行 と の 関 連 に お け る 終 局 性(Finalitat)又. さ れ る こ と で あ る 。 し た が っ て,代. は代 執 行 に よ り直 接 惹 起. 執 行 の 実 施 に必 要 な 行 政 行 為 そ の もの に係. る 費 用 又 は 執 行 行 政 庁 の 人 件 費 の よ う な 費 用 は 「代 執 行 の 費 用 」 に 含 ま れ な い 。 Vgl.auchル1∫c加61A〃/Arηo既. π1α 瞬r,PraxishandbuchVerwaltungs-. vollstreckungsrecht,5.Aufl.(2011),§42Rn.1-10.. 90.

(21) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 代 執 行 の費 用 は そ れ に該 当 しな い と解 して い る㈲。 そ の 理 由 と して,① 政 裁 判 所 法80条2項1文1号. 行. の 例 外 的 性 格 か ら要 請 され る費 用 概 念 の 限 定. 的 解 釈 を 無 視 す れ ば,利 害 関 係 人 の 権 利 保 護 利 益 が 不 合 理 に限 定 され て し ま う こ と㊨ ③,② 代 執 行 の費 用 に 関 して 問 題 と な って い る の は具 体 的 に生 じ る経 費 の 立 替 で あ って,公. 的主 体 の一 般 的 な 資 金 需 要 の 充 足 で は な い こ. と㈹,③ 代 執 行 の費 用 は,場 合 に よ って は主 た る行 政 行 為 を考 慮 す る こ と な く発 せ られ る費 用 分 担 命 令 に基 づ く費 用 で は な い こ と㈹,④ 同号 にお け る 「公 の 費 用 」 は国 家 が 予 算 に お け る固 定 費 と して 計 上 す る もの だ が,代 執 行 の 費 用 は それ に該 当 しな い こ と㈹ 等 を挙 げ る こ とが で き る。 判 例 も ま た,単 に判 例 ・学 説 上 ほ ぼ一 致 した見 解 で あ る こ と を理 由 とす る もの㈹ に と ど ま らず,同 号 の 目的 は国 家 の 予 定 通 りの 予 算 執 行 を 保 障 す る こ とで あ るが,代 執 行 の費 用 は そ れ と は無 関係 で あ る と理 由付 け る もの⑳ 等 様 々な もの が 存 在 す る もの の,お. お よ そ学 説 の大 勢 に 同調 して い る⑫。 か つ て,. 代 執 行 の 費 用 を 行 政 裁 判 所 法80条2項1文1号. にお け る 「公 の 費 用 」 に該. 当す る と判 示 して い たバ イエ ル ン(ミ ュ ンヘ ン)高 等 行 政 裁 判 所⑬ も,近 ㈹. 例 え ば,κo〃/3c加. 脈 ε/5c加. η舵,a.a.0.(Fn.22),§80Rn.63;∫choch,in:. Schoch/Schneider/Bier,a,a.0.(Fn.20),§80Rn.144;Eη8θ1加 αo'ψ. αc乃,a.a.0.(Fn.51),§10Rn.12;κ10麗5ルfαr'θ. beiderErsatzvornahmeimVerwaltungsrecht(1976),S.64. (6⑤Vgl.3c〃6〃,a.a.0.(Fn.64),S.749. ㈲P厩'1αin:Sodann/Ziekow,a.a.0.(Fn.41),§80Rn.62. ㈱. ノoαc乃 競E冠. 醒 α朋,SuspensiveffektvonRechtsbehelfengegenVoll-. streckungskostenbescheide?,NVwZ1988,S.508. ㈹5α4」6r,a.a.0.(Fn.9),VwVG§10Rn.50. ⑩VGHMannheimBeschl.v.18.1.1993,NVwZ-RRl993,392;VGHMannheimBeschl.v.5.2,1996,NVwZ-RR1997,74(75). ⑳OVGKoblenz,NVwZ-RR1999,27(28). ⑫. 他 に,OVGBerlin-BrandenburgBeschl.v.23.12.2005,NVwZ-RR2006, 376(377).. ㈲VGHMUnchenBeschl.v.15.11.1993,NVwZ-RR1994,471(472);VGH MunchenBeschl.v.27.6.1994,NVwZ-RR1994,618(619).. 91. ハ沈/4〃/3c配 η5,DieKostentragung. α醜 侃 η/.

(22) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. 年,同 号 の 厳 格 な 解 釈 の 必 要 性 に基 づ いて,代 執 行 の 費 用 は 同号 に お け る 「公 の 費用 」 に該 当 しな い と判 示 す る よ うに な って き て い る㈲。. 第四節. 即 時 執 行 命 令 を 不 要 とす る特 別 法 と代 執 行 の 費 用. (1)代 執 行 の 費 用 は,前 節 で 検 討 した よ う に,行 政 裁 判 所 法80条2項1 文1号. に お け る 「公 の 賦 課 金 及 び費 用 」 に該 当 しな い と して も,同 項1文. 3号 又 は2文 に基 づ いて 制 定 され る特 別 法 に よ って それ に係 る法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 が 一 般 的 に排 除 され る可 能 性 が あ る。 現 に,代 執 行 の 費 用 の 納 付 を 命 じる 「給 付 決 定 〔Leistungsbescheid〕 は即 時 執 行 可 能 で あ る。」 と定 め るザ クセ ン行 政 執 行 法(SachsVwVG)24条3項2文. や,代 執 行 の. 費 用 の 「給 付 決 定 に 向 け られ た 法 的 救 済 手 段 は停 止 的効 果 を 有 さ な い。」 と定 め る テ ユ ー リンゲ ン行 政 送 達 ・執 行 法(ThUrVwZVG)50条5項. のよ. う に,代 執 行 の 費 用 の 給 付 決 定(執 行 費 用 決 定)に 係 る法 的 救 済 手 段 の 停 止 的 効 果 を一 般 的 に排 除 す る規 定 が 存 在 す る。 さ ら に,行 政 執 行 に お け る措 置 に係 る法 的救 済 手 段 の停 止 的 効 果 は,「異 議 審 査 請 求 及 び取 消 訴 訟 は,そ れ が 行 政 執 行 に お いて な され る措 置 に向 け られ て い る限 り,停 止 的効 果 を 有 さ な い。」 と定 め るバ ー デ ン ・ヴ ュル テ ンベ ル ク州 行 政 執 行 法(VwVGBW)12条1文. に類 す る16全 て の 州 法 上 の. 規 定 に よ って(連 邦 法 に基 づ く行 政 執 行 に対 象 を 限 定 す る こ とな く)一 般 的 に排 除 さ れ て い る㈲。 そ こ で,代 執 行 の費 用 の給 付 決定 が 行 政 執 行 に お ㈲VGHMUnchenBeschLv.25.2.2009,NVwZ-RR2009,787(788). ㈲. 本 文 で 引 用 し たVwVGBW12条1文 法21a条,ベ 39条,ブ. レ ー メ ン行 政 裁 判 所 法 施 行 法11条(た. け る 措 置 に つ い て の み 適 用),ハ 政 裁 判 所 法 施 行 法16条,メ 1項2文,ニ. の ほ か,バ. ル リ ン行 政 裁 判 所 法 施 行 法4条,ブ. イ エ ル ン行 政 送 達 ・執 行. ラ ンデ ン ブル ク州 行 政 執 行 法 だ し,金. 銭 債 権 の 行 政 執 行 にお. ン ブ ル ク 行 政 執 行 法75条1項2文,ヘ. ッセ ン行. ク レ ン ブ ル ク ・ フ ォ ー ア ポ ン メ ル ン 公 安 秩 序 法99条. ー ダ ー ザ ク セ ン公 安 秩 序 法64条4項,ノ. レ ン 行 政 裁 判 所 法 施 行 法8条,ラ. ル トラ イ ン ・ヴ ェ ス トフ ァ ー. イ ン ラ ン ト ・ プ フ ァ ル ツ 州 行 政 執 行 法16条5/. 92.

(23) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. け る措 置 と して 位 置 付 け られ るか が 問 題 とな る。. (2)な. お,代 執 行 の 費 用 は,本 節(1)で既 に言 及 して い る よ う に,給 付 決. 定 に よ って 請 求 す る こ とが で き る。 当該 給 付 決 定 は,独 立 の 行 政 行 為 で あ る と共 に,独 立 して 執 行 可 能 で あ り,そ の 帰 結 の1つ. と して,当 該 給 付 決. 定 を 発 す る前 に は費 用 納 付 義 務 者 に独 自 の聴 聞(Anh6rung)の. 機会を与. え な けれ ば な らな い と解 さ れ て い る㈹。 も っ と も,当 該 給 付 決定 の 要 件 と して 行 政執 行 に お け る他 の措 置 の適 法 性 が 判 例 に よ って 求 め られ て お り㈲, 当該 給 付 決 定 と行 政 執 行 に お け る他 の 措 置 との 関 係 は決 して 断 絶 で き る も の で はな い。 さ らに言 え ば,ド イ ツ に お け る代 執 行 法 制 の 大 多 数 に お い て, 行 政 執 行 に お け る最 初 の 措 置 で あ る戒 告 の 中で 義 務 者 に対 して 明 示 され た 代 執 行 の 概 算 費 用 を,代 執 行 の 実 行 前 に請 求 す る こ とが で き る と解 され て お り⑱,少 な くと も戒 告 で見 積 も られ る費 用 に は義 務 者 へ の圧 力 を 強 化 す. \ 項,ザ. ー ル ラ ン ト行 政 裁 判 所 法 施 行 法20条,SachsVwVG11条,ザ. ン ハ ル ト州 行 政 執 行 法53条4項,シ. ク セ ン ・ア. ュ レ ス ヴ ィ ヒ ・ホ ル シ ュ タ イ ン 州 一 般 行 政. 法248条1項2文,ThnrVwZVG30条. が あ る 。 た だ し,厳. 密 に 言 え ば,基. 礎処. 分 と は 独 立 して 事 後 に 行 わ れ る 措 置 の み が 以 上 の 州 法 に よ っ て 即 時 執 行 可 能 に な る と 一・般 に 解 さ れ て い る(3α4Z6κa.a.0.[Fn.9],VwVG§6Rn.211-212)。 ㈹. 例 え ば,Elrわ 群 玖a.a.0.(Fn.39),§19Rn.27.も 「聴 聞 」 と は,わ 与 」 に 近 い(高. が 国 に お け る 行 政 手 続 法 第3章. =高. 木光. 木光. 『条 解. 〕210頁. お,代. 西津政信. 野宏 付決定. 執 行 の費 用. 〔RechtmaBigkeitszu-. 」 が あ る か に つ い て は 若 干 の 争 い が あ る 。 こ の 点 に つ い て,拙. 「ド イ ツ に お け る 行 政 執 行 の 規 範 構 造(2)・ 完. 関連性を中心 に ⑱. ま た,給. 銭 債 権 の 行 政 執 行 手 続 に 基 づ く。. の 給 付 決 定 と 代 執 行 の 基 礎 処 分 と の 間 に 「適 法 性 関 連. 稿. 〕138頁,塩. 参 照)。. ⑰BVerwGUrt.v.13.4.1984,NJW1984,2591(2592).な. sammenhang〕. イ ツ にお け る. 所 定 の 「弁 明 の 機 会 の 付. 『技 術 基 準 と 行 政 手 続 」 〔弘 文 堂,1995年. 行 政 手 続 法 」 〔弘 文 堂,2000年. の 行 政 執 行 は,金. っ と も,ド 第3節. 行 政 行 為 と行 政 執 行 の 法 的. 」 法 学 論 叢167巻1号(2010年)39頁[53-55頁]参. 「行 政 規 制 執 行 改 革 論 」(信 山 社,2012年)64-67頁. い て 概 説 して い る 。. 93. 照。 が,こ. の 点 につ.

(24) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. る付 随 的 機 能 が あ る と され て い る⑲。. (3)そ の よ うな 代 執 行 の 費 用 の 給 付 決 定 を 行 政 執 行 に お け る措 置 と して 位 置 付 け る判 例 は,例 え ば,当 該 給 付 決 定 が 代 執 行 の 実 行 前 に行 わ れ よ う が,実 行 後 に行 わ れ よ うが,代 執 行 に お け る不 可 欠 の 要 素 で あ る こ とを 強 調 す る⑳。 他 方 で,多. 数 の 支 持 を 得 て い る,当 該 給 付 決 定 を 行 政 執 行 に お. け る措 置 と して 位 置 付 けな い判 例 に は,例 え ば,執 行 され るべ き作 為 に係 る費 用 を 伴 う義 務 者 の 負 担 が 代 執 行 の 本 質 的 メル ク マー ル で あ る と述 べ な が ら,強 制 機 能 を 費 用 請 求 自体 が 有 す るの はせ いぜ い それ に よ って 高 額 の 費 用 負 担 に至 る こ と が 推 測 さ れ な け れ ば な らな い 場 合 で あ る が,問 題 と な っ た事 案 が その よ うな 場 合 に該 当す るか は何 も明 らか で はな い と判 断 し た上 で,最 終 的 に,事 前 請 求 の 目的 は専 ら行 政 庁 を 固 有 の 事 前 給 付 か ら解 放 し,か つ,事. 後 徴 収 の リス ク を 減 らす こ と に あ る と判 示 す る もの が あ. る㈹。 端 的 に,一 般 的 な 行 政 執 行 の定 義 に基 づ い て 多数 の見 解 に与 す る学 説 も あ る幽。 以 上 で 検 討 した,代 執 行 の 費 用 の 給 付 決 定 と行 政 執 行 に お け る措 置 との 関 係 につ いて は よ り詳 細 な 検 討 が 求 め られ よ うが,こ. こで は少 な くと も,. ドイ ツで は代 執 行 の 費 用 に係 る(行 政 行 為 の)即 時 執 行 命 令 が 存 在 す る可 能 性 が 認 め られ る こ と,つ ま り,代 執 行 の 費 用 を 迅 速 に徴 収 す る必 要 性 が. ⑲A〃/馳"1α. ψr,a.a,0.(Fn.64),§33Rn,8.西. 津. ・前 掲 注 ⑱64頁. も,ほ. ぼ. 同 旨 の 見 解 を 述 べ て い る 。 ⑳OVGBerlinBeschl.v.3.3.1997,NVwZ-RR1999,156(157);OVGBerlinBrandenburg,NVwZ-RR2006,376(377). 侶DVGHMannheim,NVwZ-RR1997,74(75);OVGKoblenz,NVwZRR1999,27(28-29).Vgl.auchOVGWeimarBeschl.v.12.3.2008, ThUrVGRspr2009,183(183). 圃3cん. 畝a.a.0.(Fn.64),S.749.Vgl.auch翫g8Z加. 磁/A〃/5cみ1α. a.a.0.(Fn.51),§10Rn.15.. 94. 伽. 朋/αo孟. ψ αc1ろ.

(25) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 を 根 拠 付 け る場 合 が あ るか と い う点 を 検 討 す る意 義 が 存 在 す る こ とを 確 認 す る に と ど めて お く。. 第二章. 第一節 (1)ド. 代執行の費用と即時執行命令を正当化する 「公益」. 財 政 上 の 利 益 と 「公 益 」 イ ツで は代 執 行 の 費 用 を 迅 速 に徴 収 す る必 要 性 が(行 政 行 為 の). 即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 を 根 拠 付 け る場 合 が あ るか と い う点 を 検 討 す る 際 に 最 も関 連 す る論 点 と して,「 財 政 上 の 利 益 」 が 即 時執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 を 根 拠 付 け る場 合 が あ るか と い う こ とを 挙 げ る こ と が で き る。 この 「財 政 上 の 利 益 」 と い う概 念 は,ド イ ツ にお いて 定 着 して い る もの の,様. 々な 法 領 域 に お け る公 の 異 な る利 益 を 集 合 的 に表 示 す る もの に過 ぎ. な い と指 摘 され て い る㈱。 も っ と も,か つ て は,そ の よ うな 包 括 的 な 概 念 を いわ ゆ る 国庫 理 論 に基 づ いて 一 様 に私 益 に しか な り得 え な い もの と解 し, 行 政 裁 判 所 法80条2項1文4号. の 意 味 に お け る 「公 益 」 で はな い と断 じる. 学 説 も存 在 した鴎。 と こ ろが,現 在 で は,「 財 政 上 の利 益 」 は公 益 で あ り, か つ,他 の 諸 事 情 との 関 連 に お いて 即 時 執 行 命 令 を 正 当 化 す る 「公 益 」 を 根 拠 付 け る こ と もで き る と解 さ れ㈲,予 定 通 り の 財 政 活 動(geordnete Haushaltswirtschaft)に. 関 す る公 益 で も,そ れ が十 分 に 重 大 で あ る(hin一. ㈱5c加c1らin:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.(Fn.20),§80Rn.217. (84)Pθ'θrH∂. わ6〃6,"Fiskalische"Interessenals"6ffentliche"Interesseni.. S.des§80Abs.2Nr.4VwGO?,DVBI.1967,S.220(220). ㈹Fr∫. θ謝c乃5c乃oc乃,VorlaufigerRechtsschutzundRisikoverteilungim. Verwaltungsrecht(1988),S.1262-1265;K擁. 加 配 侃 η,in:Finkelnburg/. Dombert/KUlpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.772;P碑. 娩in:Sodann/Ziekow,. a.a.0.(Fn.41),§80Rn.88.. 95.

(26) 近畿大学法学. 第60巻 第3・4号. reichendgewichtig)場. 合 に は,即 時 執 行 命 令 を 正 当 化 す る 「公 益 」 を 根. 拠 付 け る こ とが で き る と まで 言 わ れ る状 況 に あ る⑱ ㊧。 それ で もな お,「 財 政 上 の利 益 」 は通 例,行 号 に よ って 考 慮 され て い る⑳。 したが って,例. 政 裁 判 所 法80条2項1文1 え ば,前 章 第 三 節(1)で言 及. した よ うな 利 息 に係 る不 合 理 な 利 益 を 防 止 す る と い う通 例 同号 の 下 で 考 慮 され る利 益 は,即 時 執 行 命 令 を 正 当化 す る 「公 益 」 を 根 拠 付 け るの に十 分 で は な い と さ れ る㈱。 金 銭 債 権 に 向 け られ た行 政 行 為 が,上. 記の利息の利. 益 に関 連 す る公 的 主 体 の 利 益 を 理 由 とす るだ けで は,即 時 執 行 可 能 と は認 め られ な いの で あ る。 ま た,即 時 執 行 命 令 は ま さ に個 別 具 体 的 な 金 銭 債 権 の 実 現 に役 立 た な け れ ば な らず,ま た,そ の た め に発 せ られ るべ き な の で, 遅 滞 な き資 金 流 入(Finanzzufluss)の. た め の単 な る一 般 的 利 益 で は それ を. 正 当化 す る 「公 益 」 と して は不 十 分 で あ る と も解 され て い る㈹。. (2)他. 方 で,迅. 速 な 執 行 が な けれ ば公 法 上 の 金 銭 債 権 の 実 現 が 深 刻 な 危. 険 に さ ら さ れ る よ う な 場 合,例 vonGeldmitteln)の. ㈱. κo〃/3c舵 162頁. は,ニ. え ば,資. 金 の 隠 匿(einBeiseite-Schaffen. お そ れ が あ る場 合 又 は 行 政 行 為 の 名 宛 人 が 破 産 寸 前 の. 脈 ε/5c加 ηん¢a.a.0.(Fn.22),§80Rn.99.東 ー ダ ー ザ ク セ ン(リ. 決 定 を 引 用 した 上 で,「. ュ ー ネ ブ ル ク)上. 條 ・前 掲 注 ⑩161級 行 政 裁 判 所1950年11月15日. 財 政 上 の 利 益 」(「 国 庫 の 利 益 」)は 即 時 執 行 命 令 を 根 拠. 付 け る た あ に 不 十 分 で あ る と 断 じ て い る が,H訪6r1ε,a.a.0.(Fn.84),S.221 に よ れ ば,即. 時 執 行 命 令 を 正 当 化 す る 「公 益 」 と し て. 付 け る 兆 し は,1960年 植 村 ・前 掲 注 ⑩1041頁. 「財 政 上 の 利 益 」 を 位 置. 代 前 半 の 連 邦 行 政 裁 判 所 決 定 等 に 既 に 現 れ て い る 。 ま た, も,特. に 理 由 を 述 べ て は い な い も の の,「 私 人 に 支 払 う 金. 銭 が 後 に 返 還 さ れ る か ど う か と い う経 済 的 利 益 も 「公 益 」 の 一 要 素 に な り得 る 。」 と結 論 付 けて い る。 ⑳. κ吻 配α翫in:Finkelnburg/Dombert/KUIpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.772.. ㈹VGHMannheim,NVwZ-RR1993,392;OVGMUnsterBeschl.v.6.7.2010, DVB1.2010,1455. (89VGHKasselBeschl,v.12.1.1989,NVwZ-RR1989,329.. 96.

(27) ドイ ツ にお け る行 政 執 行 と 「公 益 」 に関 す る予 備 的 考 察. 状 態 に あ る場 合 に は,給 付 決 定 の 即 時 執 行 命 令 の 「公 益 」 が 存 在 す る と解 され る こ と が あ る⑲ ① 。 な お,以 上 の よ うな場 合 は個 別 具 体 的 に確 認 され な けれ ばな らな い⑲1)。 例 え ば,「 財 政 上 の利 益 」 に基 づ いて 即 時 執 行 可 能 と認 め られ た,分 担 金 の 支 払 猶 予 の 撤 回 の 場 合 に は,猶 予 され て いた 金 銭 債 権 の 実 現 が 実 際 に危 う くな って いな けれ ばな らな いの で あ る働。 さ らに一 歩 進 めて,前 章 第 二 節(1)で検 討 した よ う に,即 時 執 行 命 令 が 問 題 とな る場 合 は大 抵 切 迫 す る損 害 の 発 生 を 阻 止 す る緊 急 の 必 要 性 が あ る場 合 で あ る と解 す れ ば,そ こで 問 題 とな る 「財 政 上 の 利 益 」 も また,「 公 益 」 又 は関 係 人 の 優 越 的 な 利 益 の 下 で,特. に公 共 の 安 全 及 び秩 序 に対 す る危 険. を 迅 速 か つ 有 効 に防 除 す る た め に必 要 と され る財 政 的 手 段 を 正 当 化 す る も の と して 位 置 付 け る こ と もで き るだ ろ う㈱。. (3)例 え ば,ホ テル 営 業 で 生 じた廃 棄 物 を 公 の 廃 棄 物 回 収 業 者 に引 き渡 す 際 の 不 作 為 義 務 を 課 す 処 分 の 即 時 執 行 可 能 性 が 争 わ れ た 事 案 につ いて, バ ー デ ン ・ヴ ュル テ ンベ ル ク(マ ンハ イ ム)高 等 行 政 裁 判 所1999年5月31 日決 定 働 は,次 の よ うに判 示 して い る。 す な わ ち,ま ず,上 記 の 処 分 を 維 持 す る こ と に有 利 に働 く点 が 多 い と指 摘 した上 で,「 多 くの 廃 棄 物 占有 者 が 存 在 す る場 合 に看 取 され 得 る,専. ら. コ ス トの 衡 量 に よ って 動 機 付 け られ る 『再 生 利 用 へ の 逃 避 』 は,既 存 の 廃 棄 物 処 理 の 仕 組 み 〔Entsorgungsstrukturen〕. の 維 持 と い う 自治 体 の 利 益. の 保 護 と同 様 に法 律 の 目的 で はな 」 く,「 申立 人 が 既 に循 環 経 済 ・廃 棄 物. ㊤①. κ吻. 〃30鵜in:Finkelnburg/Dombert/Knlpmann,a.a.0.(Fn.25),Rn.773.. (9D5c加c1らin:Schoch/Schneider/Bier,a.a.0.(Fn.20),§80Rn.217. 働VGHManchenBeschl.v.25.5,1987,NVwZ1988,745(746). ㈱Vgl.3α41θ. κa.a.0.(Fn.9),VwVG§6Rnユ63.. ㊦のVGHMannheimBeschl.v.31.5.1999,NVwZ1999,1243.. 97.

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