<論説>フランス法における虚偽表示と団体設立行為--民法上の組合に対する民法九四条の適用に向けて
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(2) 近時、仮装の共同企業体(ペーパー・ジョイント)をめぐる裁判例において、このような問題が提起されている。. 函館地判平成一二年ニ月二四日判例時報一七ニ三号一 O ニ頁. [事案の概要] A、もおよび巴は、平成六年の年度当初に Aを代表者とする建設共同企業体を結成し、翌平成七年三. 月に B (北海道)から住宅新築工事の発注を受けた。 Xは、同年同月、 Aから本件工事の一部である外溝工事の発注. を受け、本件下請契約を締結した。 Xは同年一 O月末までに本件下請工事を完成して引き渡したが、 その後 Aは和議. 申請を行い、 Xに対して本件下請工事代金一三三九万円のうち三九万円を支払ったが、残代金一三O O万円の支払を. していない。その一方で Yらは、本件工事にかかる利益配当金として、 Aからそれぞれ約四八六万円を受領している。. そこで Xが、本件共同企業体を構成する Yらに対して、商法五一一条一項によってYらが連帯債務を負うと主張し て、下請残代金等の支払を求めて訴えを提起した。. この裁判においては、本件共同企業体が民法上の組合か、それとも実体のないペーパー・ジョイントにすぎず、本. 件共同企業体を結成する旨の協定等は虚偽表示として民法九四条により無効となるのか、という問題が、争点の一つ となった。. 一部の構成員のみが施工に当たり、他の構成員は施工. ﹁ペーパー・ジョイント﹂とは、函館地裁判決によれば、次のようなものである。﹁表面上は、共同企業体による共 同施工の形態をとりつつ、実際は、構成員間の取引によって、. には全く関与せずに、もっぱら、施工に当たった会社から見込み利益相当額を名義料的に受け取る形態をいい、これ. を法的にみると、共同事業を営むという民法上の組合として共同企業体の本質を失い、組合契約たり得ないものであ. -26-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(3) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. る。﹂﹁このペーパー・ジョイントは、かねてから一部にその存在を指摘され、これは、施工には何ら関与せず、仕事. を全くしないにもかかわらず利益を得るという不当な結果を招き、建設業界全体をスポイルするおそれが強いとの批. 判がなされていた。﹂﹁このようなことを背景として、建設省計画局長から主要な公共工事発注機関に対して、昭和五. 二年一一月一 O日に、共同企業体の適正な活用について:::通達(建設省計振発第一五三号)が出されていた。﹂. また、このようなペーパー・ジョイントが結成される背景についても、函館地裁判決は言及している。﹁ Yら及び. Aは、平成六、 七年当時、 いずれも北海道の発注する工事に関して、五000万円以上一億二 000万円未満の建築. 工事を請け負う資格がある Bランクに位置付けられていた建築業者であった。こうした Bランクの業者が数社集まっ. て共同企業体を構成すると、 Aランクの業者しか請負資格のない一億二 000万円以上の建築工事を請け負うことが. できる。﹂﹁北海道では、当時、毎年度末に、北海道が発注する工事に指名願いを提出した Bランクの業者に対し、共. 同企業体を結成するように指導を行っていた。この共同企業体の企業の組み合わせ及び当該共同企業体の構成員のど. れを代表者とするかは、北海道が進めて決められるのが実情であった。﹂﹁そして、北海道が共同企業体に発注する工. 事に関して、その一部において、共同企業体として工事を落札しても、共同企業体の構成員全員が共同して人員や機. 械等を配置する等、人的、物的に直接関与して受注した工事を施工するのではなく、共同企業体の代表者が単独で直. 接関与して施工し、他の構成員は、 工事の施工に直接関与しなくとも、出資割合に応じた利益配当を受けることがで. きるという運用がなされていた。これは、共同企業体の方式が、北海道から広く受注資格を得る利益がある一方で、. 各構成員が、 工事に直接関与する方法で、共同して施工に当たるとすると、経費が余計にかかることや、利益配当の. 割合に応じて各構成員の人的、物的な役割の分担を決めることが困難であるということが挙げられる。﹂. 27-.
(4) Xは、本件共同企業体は民法上の組合としての実体を有し、現に活動していたのであるから、 ペーパー・ジョイン. トとは異なる、としたうえで、﹁組合契約たる性質を有する共同企業体の設立合意については、その団体性に鑑みて、. 民法九四条一項の適用はないものと解すべきである。﹂﹁仮に組合契約に同項が適用されるとしても、 Xは善意の第三. 者であり、同条二項により Xに対してはその無効を対抗することができない﹂と主張した。. これに対して Yらは、﹁本件共同企業体は、表面上は共同企業体による共同施工の形態をとっているが、実際には A. のみが施工に当たり、 Yらは資金、人員、機械等を全く拠出せず、すなわち、 工事には一切関与せず、単に Aから利. 益額の各二五パーセントを Yらが受け取る約束のいわゆるペーパー・ジョイントである。﹂﹁よって、本件協定等は通. 謀虚偽表示として民法九四条一項により無効である。 なお、 X主張のように、組合契約に民法の意思表示に関する規. 定が全面的に排除されるという理由は認められない﹂と主張し、また Xは、本件下請契約締結時に Yらの資力や信用. 度について何らの関心も示していなかったのであるから、民法九四条二項で保護される第三者には該当しない、と反 諭した。. [判旨]請求認容。﹁ペーパー・ジョイントは、共同事業を営むという民法上の組合としての共同企業体の本質を全. て失っており、組合契約の合意を欠くものであり、 工事の遂行によって利益が出た場合に限り配当を受ける合意がな. される場合であっても、それは、 いわゆる利益配当契約といえても、組合契約たり得ないと解されるのである。﹂. そして本件における諸事情を考慮すると、﹁AとYらは、本件共同企業体の結成について、実質的にも、民法上の. 組合契約の締結をしていたことを肯認することができ、本件共同企業体は、民法上の組合としての実体を有するもの. として結成され、運営されていたものと認められるのであって、本件共同企業体の結成の合意や本件協定等が通謀虚. -28-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(5) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 偽表示であり、本件共同企業体は単なるペーパー・ジョイントに過ぎない旨の Yらの主張は採用することができない ことは明らかである。﹂. この函館地裁判決では、問題とされた共同企業体は実体を有しておりペーパー・ジョイントではないと判断された. ため、民法九四条が民法上の組合の設立行為に対して適用されるのか、という問題についての判示はなされなかった。. しかしながら、事案自体はペーパー・ジョイントであると判断されてもおかしくない事案であり、その場合には当. -29-. 然、民法上の組合の設立行為に対する民法九四条適用の可否について判断を下す必要が生じることになる。. 前記函館地裁判決以外にも、ペーパー・ジョイントに名義を貸与した企業に対する、共同企業体の債権者からの支 払請求が争点となった裁判例が、 いくつか存在する。. 東京高判昭和五六年四月二七日判例タイムズ四五ニ号一 O O頁. 、 Aとは従来取引が (東京都)から都営住宅建築工事を落札した。しかし Yは. [事案の概要]比較的大手企業である Aと中小金業である Yは、昭和五一年二月に Aを代表者とする﹁A Y建設共 同企業体﹂を結成し、入札の結果、. 独で工事一切を施工し、 Yは何らの責任も負わない旨の覚書が A Y間で交わされた (Yは、出資をせず、利益配当を. 事見積額を大幅に下回る額であった。そのため同年三月、既に締結された建設共同企業体協定にかかわらず、 Aが単. なかったことから本件工事の落札には消極的であり、また落札価格は Aが単独で決定した金額であり、かつ適正な工. B.
(6) 受けず、 工事を担当せず、わずかに Y名の入った現場用の保護シiト約一 O枚を Aの求めにより Aに貸与したに止 まったことが認定されている)。. 、 Aの支払能力について調査したところ、かなり大規模な会社 Aは本件工事の一部の下請を Xに申し入れた。 Xは. であって信用できると判断し、この申し入れを受け入れた。なお Xは、本件建設工事がBから本件共同企業体に発注 ﹂. されたことを知っていたが、本件共同企業体の名称に﹁ A の文字が上に置かれていることから、 Aが本件共同企業. 体を構成する主力業者であると認識しており、 Yに関しては、通常取引の対象としない小規模の会社として関心を持. たず、その信用度について何らの調査もしなかった。また下請契約締結の際、 AはA単独名義の注文書を Xに交付し、. Xも、宛先を A単独名義とした工事費見積書や注文請書を Aに交付した。さらに、下請代金支払いのため Xに交付さ. れた約束手形も A単独名義であった。ただし、 Aは本件工事現場に本件共同企業体の施工である旨の工事標識板を掲. 、げ、建築中の建物に、 A名の入った保護シlトに交ぜて Y名の入った保護シiトを張り廻していた(ただし Y名の保. 護シlトを張ったのは本件下請工事完了後である)。また Xが作成、提出した本件下請工事の完了報告書には、総合施 工業者として本件共同企業体名が記載されていた。. 、 Bから工事代金の一部(約七000万円)を受領したにもかかわらず、昭和五二年一月に破産宣告を その後 Aが. 受けたため、 Yは、本件建築工事は Aが単独で施工していた旨を Bに対して報告したうえで、あらためて残工事を請 け負い、 工事を完成させた。. Aの破産宣告によって前記約束手形が不渡りとなったため、 XがYに対して、下請残代金(約五O O万円) の支払. いを求めて訴えを提起した。第一審(東京地判昭和五四年一月二二日判例集未登載)においては Xの請求が棄却され. -30-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(7) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. たようである。. 、 Aが本件共同企業体を代表して本件下請契約を締結した(または、締結したと見なすべきである) Xが控訴。 Xは. こと、および、 ペーパー・ジョイントは違法な存在であり、第三者に対してはその善意、悪意を問わず一切主張する ことができないこと、を主張した。. [判己旦控訴棄却。まず前者の主張について、 Aは自己のためにする意思をもって本件下請契約を締結したのであ. り、本件共同企業体のためにするものであることを示すような言動や態度をとってはいないと判断して Xの主張を斥. けたうえで、後者の主張について次のように判示した。﹁甲型の共同企業体が本来全構成員一体となって工事を共同. 施工する形態のものであることは前示のとおりであり、同企業体として受注した工事の施工につき構成員聞の合意に. より右と異なる定めをしても、各構成員が当該請負契約に基づき注文者に対し負担する責任に何ら変動をもたらすも. のでないことは、 いうまでもないところである。しかし、そのことから直ちに、右に述べたような構成員間の合意や. それによる工事施工の実態を第三者に対して主張することは全く許されないものとすることは、妥当ではない。﹂本件. 共同企業体が結成された経緯等を考慮すると、﹁この種の共同企業体は、業者がその技術力や資本力等を結集すべく任. 意かつ自主的に結成する本来の形態のものと異なり、 Bが中小建設業者の受注機会の増大を図るため業者に共同企業. 体を組ませてこれに官公庁工事を発注するという政策をとったことにより、 その受注のために結成されたものであっ. て、その結成については Bが当該工事につき選定した限られた業者の中から短期間内に相手を選んで共同企業体を組. まなければならないという制約があることや、技術力、資本力等に相当の格差がある業者が共同企業体を組むものと. されていることなどの事情から、この種の共同企業体には、その協定書として標準共同企業体協定書(甲型)がその. -31-.
(8) まま用いられていても、実際には、右協定書に定める合同計算、共同施工等の原則どおりに運営されないものが多く、. いわゆるペーパージョイントと目される共同企業体も少なくない実情であった(全体の約七割がペーパージョイント. であるとする新聞記事すらあった)ことが認められる。右の実態に即して考えると、本件共同企業体においてその受. 注工事を構成員聞の合意により Aが単独で施工するものとしたことが、注文者の Bに対する債務不履行となることは. あるとしても、右合意による工事施工の実態を第三者である Xに対し主張しえないとすべきほどの違法性を帯びるも のとは断じ難﹂い。. なお Xは、本件共同企業体の外観を信じて本件下請契約を締結したから、この信頼は保護されるべきである旨も主. 張したが、裁判所は、 Xが本件下請契約締結に当たって Aの支払能力のみを調査し、 Yに関しては何らの調査もしな. かった事実を指摘し、 Xはもっぱら A の支払能力に着目して本件下請契約の締結に応じたのであり、注文者が本件共. 同企業体であると信じ、その信頼に基づいて本件下請契約を締結したとはいい難いとして、 X の主張を斥けている。. Xは上告したが、最高裁判所は控訴審の判断を正当として是認し、上告を棄却している。. 長野地判平成一一年七月七日判例タイムズ一 O 三五号二八六頁. 、 Aを代表とする建設工事共同企業体を結成し、平成七年 [事案の概要]大手会社である Aと地元業者である Yは. 一月に B (住宅・都市整備公団)から体育館(温水プlル棟) の機械設備工事を受注した。. Xは同年三月に、以前から取引のあった Yから本件工事の一部の下請を打診され、同年四月上旬の打ち合わせでは、. 本件共同企業体が請け負った本件工事につきXに仕事を依頼したいこと、本件共同企業体の幹事社は Aであることな. -32-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(9) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 、 Yに対して Y宛の本件工事の見積書を作成、提出した。その後Xは 、 どを Yから聞かされた。これを受けて Xは. から本件工事のうち設備工事についての見積りを依頼され、同年五月に本件共同企業体宛の見積書を Yに提出したと. ころ、 Yから、本件共同企業体の幹事社は Aであるから A へ提出するように、との指示を受けて、本件共同企業体の. 現場事務所長 (Aの従業員)に対して見積書を提出したうえで、その後は Aとの問で工事の範囲や金額などについて. 交渉を続けた。そして同年九月から二一月までの聞に、本件工事の一部を Xが請け負う旨の下請契約が成立した。. その一方で Yは、同年四月二八日には、本件工事にかかる施工権を Aに譲渡し、その施工に参加しないことを決め、. 同年七月に、本件工事にかかる Yの施工権を Aに譲渡して同工事を Aの単独施工とすること、および、 Yが五パiセ. ントの利益配分を受けることを内容とする覚書を Aとの間で取り交わした。その際 Aおよび Yは、本件ペーパー-. ジョイントの合意について他には一切公表しないこと、 Yは本件工事に関連する行事、式典、広告などには参加する ことについても合意した。. Yは、この合意が成立する頃までは本件工事現場に従業員を派遣しており、平成八年一 O月の工事完成まで現場に. は本件共同企業体の看板が掲げられていたうえ、本件工事に関連して行われた式典、 パーティーなどには Y の従業員. O年一月に Yから通知を受けるまで、 ペーパー・ジョイントの合意の存在を知らなかった。. も出席していた。また Yは、この合意に基づき、 Aから約五九O万円の金員を受領している。これに対して Xは、平 成一. 本件下請工事は平成八年一 O月に竣工し、 Xも代金支払いを受けたのだが、 Xは本件下請工事に関連して追加・変. 更工事を行っていたため、この代金の支払いを Aに請求していたところ、 Aは平成九年一 O月に会社更生手続開始決. 定の申立をして事実上倒産した。そこで XがYに対して、この追加・変更工事代金(約一三O O万円) の支払いを求. -33-. Y.
(10) めて訴えを提起し、本件下請契約の相手方は本件共同企業体であること、 ペーパー・ジョイントの合意は公序良俗に. 一一二条に基づいて本件共同企. 反し無効であるか、有効であるとしても権利の濫用に当たり第三者に対抗することができないこと、仮に本件下請契 約が A X間で成立していたとしても、 YはAに対して、商法二三条、民法一 O九条、 業体の構成員として責任を負うこと、を主張した。 [判旨] 一部認容。. 裁判所はまず、本件下請契約締結前に既に A Y間でペーパー・ジョイントの合意が成立していたから、本件下請契. 約の効力は当然には Yに及ぶものではなく、またペーパー・ジョイントの合意を公序良俗違反を理由として無効する. と、ペーパー・ジョイントの合意について悪意の者をも保護する結果となるとして、本件下請契約は A X問で成立し. たものと判断した。そのうえで裁判所は、表見法理に基づく Yの責任について次のように判示した。﹁共同企業体(共. 同施工を目的とするいわゆる甲型共同企業体)が内部的にこれを解消する旨の合意をしたのに、このことを知らない. 取引先が、当該共同企業体との取引であると誤認して、施工権を有する企業と取引行為を行い、かつその誤認につい. て重大な過失がない場合には、商法二三条、民法一 O九条、同一一二条の法意に照らして、当該共同企業体の構成員. は、それがペーパージョイントであることをもって対抗することができないというべきである﹂。そして、本件下請工. 事の打ち合わせにおいて、 YがXに対して、本件下請工事は本件共同企業体が受注した工事であり、本件共同企業体. の幹事社は Aであると説明したこと、 Xが本件共同企業体宛の見積書を Yに提出したところ、 Yから、本件共同企業. 体の幹事社は Aであるから A ヘ提出するよう指示され、 Aに対して提出し直したことや、 A Y間でペーパー・ジョイ. ントの合意を一切公表しないことが合意され、本件共同企業体の存続を仮装する行為がなされていた、などの事実か. -34-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(11) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. ら 、 Xには誤認について過失はなかったものと認定して、商法五一一条に基づいて、 Yに対して本件追加・変更工事 代金の支払いを命じている。. 仮装の団体設立行為に対する民法九四条適用の可否という問題について、判例は、最判昭和五六年四月二八日民集. 三五巻三号六九六頁において、財団法人設立のための寄附行為について民法九四条を類推適用しているが、これは、. 当該寄附行為が虚偽表示であることについて財団債権者が悪意であった事案であり、この判決が直ちに本稿で提起し ている問題の先例たり得るかどうかについては、疑問の余地が残る。. 学説上は、組合契約に際して当事者の制限能力や意思の欠敏等何らかの暇庇があったときに、その暇庇が組合契約. の効力に対していかなる影響を及ぼすかという問題について、組合が事業を開始し第三者と取引関係を生ずる前と、. 取引関係を生じた後とで区別をして、第三者と取引関係を生ずる前には、制限能力および意思表示に関する民法総則. の諸規定がそのまま適用されるのに対して、第三者と取引関係を生じた後は、①制限能力または意思の欠鉄、詐欺、. 強迫などの暇庇のあった者は、 それを理由として組合を脱退することができる、②意思表示の暇庇のために組合員と. なって不利益を蒙ったときには、民法の一般理論に従って返還の請求をすることができる、③しかし、組合と取引し. た第三者に対する関係では、普通の脱退組合員と同様の責任を負わねばならない、④個々の組合員の脱退の結果、残. 存組合員が一人となり、または組合がその目的を達成することができなくなるときは、組合は解散する、と主張する. 見解がある。しかしこの見解では、本稿で提起している問題のように、民法上の組合の設立行為の当事者全員が組合 を設立・運営する意思を有していない場合については、想定されていない。. -35-.
(12) 。巳止と﹂が仮装であったときに虚偽表示として構成しているこ. そこで本稿では、前記問題の解決の示唆を得るために、 フランス法における問題状況を概観する。フランス法にお いては、日本法の民法上の組合に相当する﹁会社 ω (. と、その効果をめぐって判例および学説の集積があること、 ヨーロッパ法による規制も視野に入れて議論が交わされ ていること、などがその理由である。. 仮装会社と虚偽表示﹂)、その効. 不存在概念﹂)、そしてこれらとは別に、 ヨーロッパ法が無効事由. 以下では、まず仮装の民法上の組合が虚偽表示として構成されていること(﹁二 果の具体的な内容について議論があること(﹁. ヨーロッパ法の動向﹂)を概観して、 そこから日本法への示唆を得たい ( ﹁ 五. 。。広志出丘町。)﹂とは、法形式上は有効に設立されているのだが、運営や資産などの点で会社として. 仮装会社と虚偽表示. を限定する傾向にあること(﹁四 びに代えて﹂)。. ﹁仮装会社 ω (. の実体を持たない会社のことをいう。個人営業を隠蔽したり、売買や贈与など他の契約を隠蔽したりする目的で行わ れることが多い。. m. r a。g巳己主 ωが欠けていることから虚偽表示(低自己 色。ロ)に. 学説上は、仮装会社は、会社の成立要件であるえ. 哨 リ. 民 同 該当する、 と理解されている。 ﹁ 02zg♀Zm ω﹂ とは、共同の事業のために協力して活動する意思のことであり、 日 昨 戸 ﹁出資﹂や﹁利益分配および損失分担﹂と並んで、会社設立行為独自の成立要件である。また民貯の昨日。 ω 。 。 目 。s t ω があ. 結. 第5 1巻第 1号. 近畿大学法学. 9d. ρ0.
(13) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. ると評価されるためには、社員が﹁利益および損失に関与する目的で、営業財産の活用について、共通する利益にお. いて、かつ同等の立場で、他の社員と実質的に協力する﹂ことが必要である、とされている。. その一方で、山町内 02zg巳己巳ぽを欠いている会社を虚偽表示と見なすことについては、 一部の学説からの批判があ. る。すなわち、民貯色。 ω 。。目立主 ωを基準とすると、 一OO%子会社や国営化された会社は全て虚偽表示と判断されて. しまうこと、現代の大規模資本会社においては、小口の株主は会社の事業に対する関心を失い、与えられる配当を受 昨日. け取って満足している状態であることを考慮すると、 mR 貯 の 片 山 。 o g ωは存在しないこと、虚偽表示であるかどうか ω 。 は契約成立時を基準として判断されるのに対して、仮装会社であるかどうかは、会社の運営、 つまり契約の履行時が. 基準とされていること、などがその内容である。そのうえでこの見解は、会社の仮装性は、会社の資産や活動と経営. 者個人の資産や活動との混同を中心とした会社の運営面(守口急S S } ) を基準として判断すべきである、と主張する。. そして、仮装会社の債権者が求めているのは、仮装会社を無効にすること(遡及効のない解散) ではなく、真の事業. 主に仮装会社の債務を負担させることであるとして、権利濫用理論(正確には、会社という制度の濫用)と外観理論. に基づいて、会社の仮装性について正当な過誤に陥っていた会社債権者が真の事業主に対して債務の履行を直接に請. ω. 求することを認めている。. これに対して破段院では、仮装会社を虚偽表示として構成することの是非が争われた判決はなく、仮装会社は虚偽 表示に該当するということが前提とされている。. -37-.
(14) 一八九一年に他の数人と共に株式会社を設立した。この会社の資本の五分の三は、 Aが自己. 破殻院一九二七年四月一一日民事部判決 、 [事案の概要] Aは. 一八九三年に離婚、. 一九O五年に Bと再婚し、 Bを包括受遺者に指定して一九一一年. 所有の営業財産を出資したものであり、残り五分の二は、他の者たちが現金で出資をしたものとされた。その一方で、. Aはもと婚姻していたのだが、. V との聞に三人の子を残して一九二二年に死亡。もう一人の子 に死亡した。 Aと vuとの聞には二人の子があり、 Cは 口. 、 Cの三人の子がその相続人となった。 Dは一九一五年に死亡し、 vuと. そこでもが三人の子の代理人として、 vuと共に、遺留分相続人の資格を主張し、設立の際に本件株式会社に対して. 現実に出資をしたのは Aのみであるから、本件株式会社は仮装であり、もっぱら本件営業財産を遺留分相続人の権利. 行使から免れさせ、 Bに株式という形で与える目的で設立されたにすぎない、 と主張して、会社が虚偽表示により無. 効であることの確認、および、本件営業財産が Aの相続財産に属していることの確認を求めて、訴えを提起した。. 原審(パリ控訴院一九二四年四月八日判決)は、 Yらは Aの相続人であり、そして Yらが主張する無効原因は Aの. 仕業であり、 A自身はこの無効訴権を行使することはできなかったであろうから、 Yらは Aが持っていなかった権利. を行使することはできず、したがって Yらの請求を受理することはできない、 と判示した。. これに対してもが破段申立をし、民法典(旧) 一八三二条によって課されている不可欠の諸要件の不遵守を理由と. する会社の無効は公序に関する無効を構成し、その会社の設立者を含む全ての利害関係人によって主張されることが できる等と主張した。. [判己旦原判決破段。﹁ (Yらが提起した)訴えは、現実には、法律によって認められた権利を侵害することを目的. -38-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(15) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. とし、また効果として当然にもたらす行為が、虚偽表示であることを証明することを目的としていた。﹂﹁有効性に関. してこの条文[日会社の定義規定である民法典旧一八三二条。執筆者注︺が規定する不可欠の要件を満たしていない. 会社が被る無効は、公序に関する無効である。この無効は、全ての利害関係人によって、その会社の設立者によって さえ、請求されることができる。﹂. ω. 破接院一九五八年三月三日商事部判決. 一九四四年九月に有限会社 Aを設立し(判決文からは判然とし. -39-. 、 [事案の概要] Xの被用者であったもおよび vuは. ないが、評釈によれば Xも設立当事者の一人だったようである)、 XはAに対して自らが所有する営業財産を出資し. 一九五二年に、 vu が商事裁判所に対して A の解散および清算の宣告を求めて訴えを提起し (Xも訴訟参加してい. Xおよび vuは、商法典四一条により、虚偽表示であることを証人によって証明することはでき. [判己旦破穀申立棄却。﹁商法典四一条によれば、会社証書の内容に加えて、また会社証書の内容に反して、証人に. ないこと、および、控訴院による A の仮装性の証明は不十分であることを主張した。. v u が破段申立をし、. た営業財産を活用していた、と判示した。. O月二四日判決)は、 Yらは、実際には虚偽の会社の外観の下で、 Xの被用者として、 Xが依然として所有者であっ. た旨の確認を求めて訴えを提起した(裁判では、 vuのみが争ったようである)。原審(ボルドー控訴院一九五五年一. 報告に基づいて、 Yらおよび Aに対して、 A の営業財産の所有者は自分のままだったのであり、 Aは仮装会社であっ. る)、裁判所はこの請求を認めて鑑定を命じた。その後、 一九五三年六月に Aは破産宣告を受けた。そこでXが、鑑定. た.
(16) よるいかなる証明も認めることはできないとしても、会社が虚偽表示であることの証明は、民法典二二四一条にかか. わらず、全ての手段によってもたらすことができる。﹂﹁控訴院の確認したところによると、 Xは、会社設立以前は、. 会社によって活用されていた営業財産の所有者であった。 Xは会社設立後に、営業財産の設備および商品のために個. および vuによるいかなる金銭出資や現物出資もなされなかった。 vu 自身も、裁 人名義で保険契約を締結していた。 vu. 判上の証拠調において、会社の仮装性、すなわち、この事業の運営に必要な財産を出資したのは Xのみであり、被用. 者たちからも顧客からも Xが﹃この事業の真の経営者﹄と考えられており、 そして一九五二年七月二五日にもは、顧. 一定の金額. -40-. 客宛ての手紙において、自分自身を、 Xの被用者の資格を持つと理解していた、ということを認めた。﹂﹁これらの最. 終的な確認に基づいて、控訴院は、本件会社が仮装であり、 Xが依然として係争中の営業財産の唯一の所有者であっ た、と結論づけた。﹂. ω. 破殻院一九七O年一月一九日商事部判決. 、 Yらによって有限会社として一九六一年二月に設立され、同年三月には株式会社に組織変更 [事案の概要] Aは. された。そして Yは、法律顧問として Aの設立の際に積極的な役割を果たし、また取締役会に名を連ねていた。ただ. (破産管. しAは、実際には、取締役会が招集されたことがなく、また会計監査役が Aの社員であり監査をしていなかったなど、. 全くの仮装会社であり、真の事業主は別にいたことが認定されている。 Aは一九六二年二一月に破産し、. する損害賠償を求めて、訴えを提起した(訴え提起の後で、 Yと他一名は、会社無効を回避する目的で、. 財人)が、出資の払込の欠如を理由とする Aの無効、 および、会社設立者および Aの運営に関与していた者たちに対. X. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(17) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. を支払っている)。原審(ドゥエl控訴院一九六八年三月二八日判決)は、 Yに積極財産の不足分の賠償を命じた。. Yは破段申立をし、原審が、出資の払込によって会社の無効原因が消滅したことを確認したにもかかわらず、賠償 を命じる根拠として会社が仮装であることを指摘したことは矛盾している、等と主張した。. [判国旦破段申立棄却。﹁ Yの主張に従って、出資払込の欠如を理由とする会社無効訴権が Yらによって実行された. 払込によって消滅したことを認めたうえで、本件有限会社が違法な原因のために無効であったと判示したとしても、. 控訴院は何ら矛盾していない。﹂﹁分析を更に推し進めると、実際には、法律によって要求される手続履践を欠いてい. たことは、発案者たちの考えでは、﹃虚偽表示であり全くの仮装である会社を設立﹄しようという彼らの意思と結び ついている、 と控訴院が考えたとしても、控訴院はいっそう矛盾していない。﹂. このように、フランス法においては、会社としての実体を有しない仮装会社が虚偽表示に該当することについては、. 判例・学説上承認されている。 フランス法において議論の対象となったのは、むしろ、虚偽表示確認訴訟によって会. 社が仮装にすぎないことが確認されたときの効果である。より具体的には、仮装会社は無効であるのか、それとも不 存在であるのか、 という問題である。. -41-.
(18) 不存在概念. 不存在概念と破殻院判例の変遷. 職権で官一告することを許している。そしてこの身柄釈放は、予審対象者が不存在の理由によって勾留されているとき. ﹁刑事訴訟法典二 O 一条二項は、控訴院弾劾部に対して、その提訴の諸条件にかかわらず、予審対象者の身柄の釈放を. 一月四日刑事部判決が、被告人の勾留期間が正当であるかどうかが争われた事件について、次のように判示している。. ω. う性質を持つ概念として、他の分野にも拡張されるようになった。例えば刑事訴訟法の分野では、破段院一九八三年. あり、遡及効が制限されることがなく、裁判所がその宣告をする必要がなく、また消滅時効にかかることもないとい. 無効の中に含まれる﹂とする見解がある一方で、立法者が法律で規定していない重大な暇庇に対して課される制裁で. ω. その後、不存在概念は、その内容の暖昧さを理由として﹁多くの学者によって否定されている概念であり、絶対的. であるために必要不可欠な要素(性が異なる者同士であること)を欠いているゆえに、法的効力を否定された。. ω. 存在﹂という範幡町が新たに提唱されたのである。すなわち向性同士の婚姻は、法規は遵守しているものの婚姻が有効. ていなかったことから、そのような婚姻の法的効力を否定するために、絶対的無効と相対的無効に加えて、婚姻の﹁不. 無効の原則(﹁法文なければ無効なし﹂)が認められていたところ、立法者は向性同士の婚姻を無効原因として規定し. ﹁不存在 ( E o比E88)﹂は、当初は、婚姻の無効に関して一九世紀に提唱された。婚姻法においては、法文による. 1 は、必ずなされなければならない。﹂. ~42-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(19) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 仰. また民法の分野でも、次のような判決が下されている。. ω. 破殻院一九九一年三月五日民事第一部判決. [事案の概要] Aが自動車を購入し、その資金を得るために AとYとの間で貸借契約が締結され、 Yはその自動車. を担保として登記した。その後Aが融資を返済しなかったため、 Yは、新たな所有者となっていた Xの下にあった本. 件自動車を差し押さえた。 Xがこの差押の解除を求めて訴えを提起し、第一審では Xが勝訴したようである。原審. ( カIン控訴院一九八九年五月一八日判決)は、本件貸借契約が Aによって署名されていないこと、および、 Aは当. 時成年無能力であり後見下にあったことを理由として、登記の有効性の確認を求めた Yの主張を認めず、差押の解除 を命じた。. Yが破段申立をし、契約が無効となっても支払われた金額の原状回復義務は存続するのであり、したがってその義 務の履行を保証するための担保も存続する、と主張した。. [判己旦破段申立棄却。﹁控訴院は、 A Y間には同意のいかなる取り交わしも介在しなかったのだから、両者の聞に. 貸借契約は存在しなかった、 とまさに判断した。 Yは不存在の契約のために本件自動車を担保として登記することが できない、と結論した原審の判断は正当であった。﹂. そして会社法の分野でも、成立要件の一つであるえ砂丘芯g 巳 og宏を欠いている会社は無効であると判示した破 倒. 段院判決がある一方で、無効ではなく不存在と見なした破段院判決が、いくつか下されている。. -43-.
(20) Cは五O の持分を、 Aの義母である D. 、 V、 H 一九六八年に B有限会社を設立した。 Bの社員は、 vu. v u は二の持分を所持し、業務執行者であった。. VA 有限会社を運営する一方で、. 破殻院一九七六年六月ニニ日民事第三部判決 、 [事案の概要] Aは v n 、および Cの四人であった。. 、 vuから六O の持分、 vuか に譲渡。 もは六O の持分を丸に譲渡。 vuも六八の持分を丸に譲渡した。その一方で、 vuは. ら三O の持分の譲渡を受け、合計九二の持分を所持することとなった。また、 Dの死去に伴い、 Dが所持していた五. Oの持分は、 A の夫人である九に移転した。. 、 v u. 一九七一年一一月一二日の商事裁判所の. 、 vu 、および Cは、所持する持分の全部または一部を丸と Dに譲渡し に対して訴えを提起し、 vu. VM. 第一審は、 九と Dに対する Yらと Cの持分譲渡、および、. 一九七一年三月と四月の議決を無効であると判示し、そ. の一方で、 もともによるもへの持分譲渡は有効と判示したため、 Xらが控訴するとともに Aも訴訟参加し、 Bは不存. 在であると主張することによって、本件持分譲渡と総会決議が無効であることを黙示的に主張した。. 原審(リヨン控訴院一九七三年一二月一一日判決)は、 Xらの控訴を認容して、次のように判示した。すなわち、. 公序に関する法律の回避がある以上、 Bの設立が虚偽表示であることの宣告を求めるXらの訴えも Aの訴えも、受理. -44-. は業務執行者を解任され、 vuの所持していた持分は丸に譲渡さ 一九七一年三月と四月に招集された Bの総会で、 vu. VM. をその管財人に任命することが決定された。. れた。それにもかかわらずもは、九二の持分の所持人として訴えを提起し、 判決によって、 Bの財産の清算、および、. Y2. M、 vM(Aと九の子で、未成年者。 Aが代理人)、および九 (Aと丸の子で、未成年者。 Aが代理人) そこで、 X、 V. Y1. たのだから、 Bにおいてもはや何の利益も持たない、 ということの確認を求めた。. カt. 第5 1巻 第 1号. 近畿大学法学.
(21) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. することができる。 Bは法律回避を目的とするものとして不存在であり全くの見せかけであって、 Aが、この仮装会. VH. を清算人の地位に止. 社の名前でなされた不正な諸取引の唯一の指導者であった。そして原審は、 Bの財産の清算を宣告しもをこの清算の. 管財人に任命した一九七一年一一月一二日の商事裁判所の判決は無効であるとしたものの、. め 、 B の財産の整理と貸借対照表の作成を命じ、残余財産が生じるときは Aに与え、また必要な場合には A個人の財 産の清算手続を取るよう判示した。. Yらが破段申立をし、原審が Xらの控訴を認容して、持分譲渡および会社の決議の有効性を認めたことは、会社、が. 有効に存在することを前提としているから、会社の不存在を認めたことと矛盾していることや、 Aの訴訟参加を認め たことは、 Aが虚偽表示の当事者であること等を考慮すると不当である、等と主張した。. [判旨]破穀申立棄却。﹁ Aが 、 Bの持分の所持人としては決して姿を現さなかったこと、 Yらが会社の設立に必要. 。。目立丘町を当初から持っていなかったことを認めたこと、したがって Bは全く存在を持たないもので なえ砂丘一。 ω. あったこと、を控訴院は確認した。これらの確認および陳述から、控訴院は、職権で攻撃防御方法を提起することな. く、また係争の枠から外れることもなく、請求および訴訟参加の受理可能性に関しても、また清算に関する諸活動に. 関しても、公序に関する法律の回避の全ての法的な結果について正当に結論づけたのであり、この法的結果は、この. 法律回避に関与したかどうかに関係なく、全ての当事者によって援用されることができる。﹂. 破殻院一九八三年一二月一九日商事部判決. 、 Aと共に、不動産の取得、改修、分譲を目的とする B民事会社を設立した。 Yは Bの業務執 [事案の概要] Yは. -45-.
(22) 行者であったところ、自己が所有する Bの会社持分を Xに譲渡する旨の契約をし、 Xはその代価を支払ったうえ、. は不当である、 と主張した。. 由として、 Bが無効であると主張しているのだから、原審、が Yに対して受け取った代価および出資の返還を命じたの. これに対して Yが破段申立をし、 Xは、単に Bの定款に署名、がなされておらず、また登記もされていないことを理. がって Xは支払った代価および出資の返還を受けることができる、 と判示した。. 返還を求めて訴えを提起した。原審は、 Bは不存在であり、 Bの会社持分を譲渡する旨の債務は原因がない、した. に対して交互計算の形で出資を行った。その後(詳細は不明であるが) XがYに対して、支払った代価および出資の. B. [判己旦破段申立棄却。﹁控訴院判決が会社の無効ではなく、:::会社の不存在を確認した以上は、控訴院判決に対. して向けられた批判には、根拠がない。事実、第三取得者によって提起された訴えは、虚偽表示確認訴訟であって、 無効の訴えではなかった。﹂. ところが破段院商事部は、次に紹介する一九九二年判決によって、仮装会社を無効と見なすという立場を明確に打 ち出して、この混乱に決着をつけている。. 一九七四年に不動産民事会社の定款を作成した。この会社が譲渡税額更正の対象とな. 破殻院一九九二年六月一六日商事部判決 [事案の概要] Xら五名は、. り、徴収決定通知が各社員に対して、その負担部分について発送された。 Xらが Y (租税庁)に対して訴えを提起。. -46-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(23) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. モン Hド Hマルサン大審裁判所は、. 一九八六年一一月二七日判決において、会社の無効および仮装であることを確認. した。 Yはこの判決に対して第三者異議の訴えを提起したが、この訴えは一九八九年一一月一六日の判決によって棄 却された。. 一九八六年一一月二七日判決を会社の仮装性、したがって会社の不存在を確認した判決である. その後一九九O年四月五日の判決によって同裁判所は、 Yが発送した徴収名義を無効とした。また同年五月一 O日 の同裁判所の判決は、. と位置付けたうえで、 Yの訴えを棄却した。 Yが破段申立。. [判己旦破段差戻。﹁仮装会社は無効な会社であって、不存在ではなく、また[原審裁判所は]申立趣意書で要求さ. -47-. れていたように、 Yが確認された無効を対抗することができない善意の第三者でなかったかどうかについて調べな かった﹂。. ω. そしてこの一九九二年判決の立場は、その後も破暖院商事部において維持されている。例えば破段院一九九九年六. 月二二日商事部判決は、その判決文の中で、﹁仮装会社は無効な会社であって、不存在ではない﹂と、前記一九九二年 判決と全く同じ表現を用いている。. 学説の対立. ば前記破段院一九七六年六月二二日民事第三部判決の評釈では、次のように主張されていた。﹁社員であると自称す. 倒. 前記一九九二年判決が下されるまでは、学説上、仮装会社を不存在と見なす見解がいくつか主張されていた。例え. 2.
(24) る者たちについて、 [社員としての]結びつきの存在に関する意思が当初から欠けていたことが確認されるならば、. このとき、その会社は仮装であり、無を隠蔽するだけの全くの見せかけである。その不存在を推論することができる. ω. のであり、結びつきの内容を明らかにする必要はない﹂。また仮装会社について虚偽表示確認訴権を行使した効果と. ω. して、その会社の不存在を裁判上宣告してもらうことがでさることを認める見解が主張された。更には、存在してい. 二 O条の六や民法典一八四二条によって ないものを清算して存在を終了させることの不自然さ、および、商法典L一. 商業・会社登記簿への登記手続が履践されると、その時点から会社が法人格を取得することを根拠として、仮装会社. が法人格を取得するか、少なくとも活動を開始する前であれば不存在と見なすべきであるが、会社が実体を有してお. ω. り、かっその存続が危ういときは、無効と見なすと同時に清算手続を課すべきである、 という見解もあった。. しかしながら、前記一九九二年判決以降は、同判決の文言がきわめて簡潔であったにもかかわらず、学説上も、仮. 装会社を無効と見なし、その根拠として前記一九九二年判決を引用するのが通説となっている。. ところが近時になって、不存在を、制裁としてではなく、行為の性質決定にかかわる不可欠の要素が欠けていると. ω o a 。. きに、その行為が法的に﹁存在しない﹂状態にあることを確認するものである、 という理解を前提として、民同. 。 向 。 SEω が欠けているときは、会社は法的に 2 m伊丹ぽは会社の法的性質決定に不可欠の要素であるから、民同め己目。 ω。 。。ω. は存在しない、そのため﹁無を無効とすることはできない﹂という法諺のとおり、仮装会社は無効ではなく不存在と 見なすべきである、 という主張がなされている。. 無効を支持する見解と、不存在を支持する見解とが対立している点の一つ目は、根拠条文の存否である。まず、会. -48-. 第5 1巻 第 1号. 近畿大学法学.
(25) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 社全般の無効原因に関する民法典一八四四条の一 Oは、次のように規定している。. 民法典一八四四条の一 O第一項. ﹁組合[契約] の無効は、第一八三二条、第一八三二条の一第一項および第一八三三条の規定の違反または契約一 般の無効の事由の一つからでなければ、生じない。﹂. -49-. そして、この民法典一八四四条の一 Oで引用されている各条文は、次のとおりである。. 民法典一八三二条. ﹁組合は、生じることがある利益を分配しまたは節約の利益を受けるために、財産または労務を共同の事業に対して 充てることを契約によって合意する、二人または複数の者によって設立される。. gFロな)によって設立されることができ. 組合は、法律によって規定された場合には、単一人の意思行為 220号. ﹁夫婦は、たとえ組合に対する出資のために、または組合持分の取得のために、共通財産のみを用いるとしても、. 民法典一八三二条の一第一項. 組合員は、損失を分担することを相互に約する。﹂. る.
(26) 二人のみで、または他の者と共に、同一の組合の組合員となり、共同または単独で組合の管理に参加することができ る 。 ﹂. ω. 民法典一八三三条. ﹁組合はすべて、適法な目的を有し、かっ、組合員の共通の利益において設立されなければならない。﹂. 次に、商事会社の無効に関する商法典 L二三五条の一は、次のような規定である。. 商法典 L二三五条の一第一項. ﹁会社の無効、または定款を変更する行為の無効は、本編の明文の規定、または契約の無効について規定する諸法律. からのみ生ずることができる。有限会社および株式会社に関しては、会社の無効は、同意の暇庇からも無能力からも. ω. 生じることができない。ただし設立に当たった社員全員が無能力であった場合はこの限りでない。会社の無効は、民 法典一八四四条の一によって禁止された諸条項の無効からも、生ずることができない。﹂. ω. これらの条文を見れば分かるように、民砂丘町。 8己弘主 ωの欠如は、会社の無効原因として規定されていない。その. ため、不存在を支持する見解は次のように主張している。すなわち、会社無効の制度は通常の無効制度の例外であり、. その解釈や適用は厳格になされるべきである。したがって、会社全般の無効原因に関する民法典一八四四条の一 O. -50-. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(27) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. が山内問。色。 ω 。。目立主ωの欠知を無効原因として挙げていない以上、何回同砂丘目。 ω o s t ω の欠知を無効原因とすることは 。。-. できない。しかしながら、民貯 2zg巳旦巳ぽは会社の存在に不可欠の要素であるから、この制度上の欠触を埋めるた めに、民貯色。 ω 。 。 目 。stω を欠いている仮装会社は不存在と見なすべきである。. この点について無効を支持する見解からは、民法典一八四四条の一 Oで列挙されている民法典一八三二条や一八三. 三条の中にえ貯の昨日。 ω 。 。 目 立ω 宏、が黙示的に規定されているから、民同ゆ内リ昨日。 ω 。 巳 丘 町 同 昨 日ωの欠知は民法典一八四四条の一 O. によって無効原因となる、 という反論がなされている。この反論に対しては、民法典一八三二条や一八三三条は会社. - 51-. 契約の定義規定であるにすぎず、無効の根拠規定ではない、という再反論がある。. 無効を支持する見解と、不存在を支持する見解とが対立している点の二つ目は、虚偽表示確認訴権の消滅時効であ. 産を取り戻すために虚偽表示確認訴権を行使する場合を念頭に置いて、この場合、虚偽表示確認訴権は消滅時効には. これに対して不存在を支持する見解は、真の事業主個人の債権者が、仮装会社に対して出資された真の事業主の資. を求める虚偽表示確認訴権は、虚偽表示の時から三十年で時効消滅することになる。. 二二六二条が適用されるものと理解されている。その結果、無効を主張する見解では、会社が仮装であることの確認. 酬明. 虚偽表示確認訴権は無効訴権ではないから、商法典L 二三五条の九ではなく、訴権一般の消滅時効を規定した民法典. から三年という短期消滅時効が定められているのだが、この条文が対象としているのはあくまで﹁無効﹂訴権であり、. まず会社の無効訴権については、民法典一八四四条の一四および商法典L二三五条の九によって、無効が生じた日. る.
(28) かからない、 と主張する。そしてその理由として次の二点を挙げている。. ﹁ 鉦 m﹂. 一つは、三十年経過すると、真の事業主個. 人の債権者が、仮装会社に対して出資された真の事業主の資産を取り戻すことができなくなる、 という結論は、. ﹁ 鑑 小. であるはずの仮装会社が実体を持つこととなり不当であること、 である。もう一つは、虚偽表示確認訴権は、前記の. ような場合においては、会社が実在しないこと、 つまり﹁無﹂を確認することを目的としているのであるから、. ω. は時効にかからない﹂という法諺があるように、消滅時効にかかることはないこと、 である。. - 52-. またこの二点以外にも、無効の場合には、民法典一八四四条の一五および商法典L二三五条の一 Oによって遡及効. が制限され、清算手続が進められるのに対して、不存在の場合には遡及効があり、また仮装会社は実体を欠いており. ∞ ∞ 設立無効の原因が限定されている。. 打開一切の第一一条では、適用対象が株式会社、株式合資会社および有限会社に限定されているものの、会社の ¥5H¥. 一九六八年三月九日の理事会による E C会社法に関する第一指令. 固有の資産はないから清算は行われない、 という点が、会社の無効と不存在の違いとして主張されている。. ヨーロッパ法の動向. E C指令. 四. 以上のようなフランス圏内の事情とは別に、. 1. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(29) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 会社を規律する国家法制に反して、発起人たる社員数が二名未満たる事実. 発起人たる社員全員の無能力. 会社資本の払込最少額に関する国家法規の不道守. 設立証書もしくは定款における社名、出資、引受資本額または会社目的に関する表示のあらゆる欠敏. 会社目的の不法または公序違反的性格. 設立証書の欠娘、または予防的検査手続もしくは公正証書方式の不遵守. 無効は、次の場合にのみ宣告することを得る。. 無効は、裁判所の判決をもって宣告しなければならない。. 加盟国の法制は、次の要件の下においてのみ設立無効の制度を設けることを得る。すなわち、. 条G D. 得ない。. そしてこの E C指令は、. 社に関しては、会社の無効は、同意の暇庇からも無能力からも生じることができない。ただし設立に当たった社員全. されることとなり、その結果、商法典L二三五条の一第一項が改正されて、前述したような﹁有限会社および株式会. 一九六九年二一月二O日のオルドナンス六九 l 一一七六号によってフランス圏内でも適用. 上記の無効の場合を除き、会社は、不存在、絶対無効、相対無効または取消のいかなる原因にも服せしめることを. f e d. 員が無能力であった場合はこの限りでない。会社の無効は、民法典一八四四条の一によって禁止された諸条項の無効. -53-. 第. b a C.
(30) からも、生ずることができない﹂という文言が加えられた。. 冨 日 目 。 。 ω山口問判決. その後、このような E C指令が、加盟各国の圏内法を解釈する際にどのような意味を持つのか、 という問題に関す る判決が、 ヨーロッパ共同体裁判所で下された。. ( 冨RFS山口問株式会社)がスペインの裁判所に訴えを提起し(訴えの提起に至った事情は不明で. ヨーロッパ共同体裁判所一九九O年一一月一三日判決 [事案の概要]. 株式会社であるところ、 Yの設立行為は虚偽表示であるから法律上の原因がなく、また Aの債権者の権利に対する欺. 同行為であるから、原因のない契約や原因が違法な契約の法的効果を否定したスペイン民法二二ハ一条および二一七. 五条によって、 Yの設立契約は無効である、というのである。これに対して YはXの請求の棄却を求め、その根拠と. して、前記 E C指令一一条が株式会社の無効原因を限定的に列挙しており、その中に法律上の原因の不存在は含まれ ていないことを主張した。 倒. しかしながら、この裁判が行われていた当時、スペインでは前記 E C指令を実施する国内法は、まだ草案が公表さ. れていたにすぎず、制定されていなかった。そこでスペインの裁判所がヨーロッパ共同体裁判所に対して、﹁前記 E C. 指令一一条は、国内において施行されていない段階で、前記条文で列挙されていない原因を理由とする会社無効の宣. -54-. 2. ある)、その裁判の中で Xは次のように主張した。すなわち、被告の一人である YはAを含む三者によって設立された. X. 第5 1巻第 1号 近畿大学法学.
(31) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 告を妨げるために、直接適用することができるか﹂という先決問題の提起をしたのが、本件である。. [判己旦指令は、圏内法として制定されるまでは、加盟国内において効力を生じることはないのが原則だが、しか. し圏内法の解釈にあたっては、加盟国の裁判所は、当該指令が目指す結果を達成するために、指令の法文および目的. に照らして、可能な全てのやり方で解釈を行う義務を負う、という一般論を述べたうえで、会社無効についても次の ように判示した。. ﹁その結果、圏内法を前記指令。∞¥52可の一一条に従って解釈すべきであるという要求によって、株式会社に関す. る国内法の諸規定を、問題とされている当該指令一一条で限定的に明記されている諸事由以外の事由によって株式会 社の無効を宣告することができるようなやり方で解釈することは禁止される。. 当該指令一一条、とりわけその二項b号に対して与えるべき解釈に関しては、この規定が加盟各国の法制度に対し. て、当該指令において限定的に明記されている場合の他に司法上の無効を規定することを禁止していることを、確認. してしかるべきである。そして当該指令が明記している諸事由の中には、会社の目的の違法な性格、または公序に反 すること、が規定されている。. 委員会によると、﹃会社の目的﹄という表現は、設立行為や定款に記載されているような会社の目的をもっぱら対. 象としている、 という意味で解釈されなければならない。その結果、会社無効の宣告は、例えば設立者の債権者を詐. 害するような、その会社が実際に遂行している活動を原因として下されることはできないことになる。. この考え方が採用されなければならない。前記指令g h臼号の前文から分かるように、この指令の目的は、﹃会社. と第三者、ならびに会社と社員との関係における法的安全﹄を確保するために、無効事由と無効宣告の遡及効を制限. -55-.
(32) することであった(前文六番目の理由)。そのうえ、第三者の保護は﹃会社名義でなされた債務負担の非有効化原因. を可能な限り限定している諸規定によって、確保されなければならない﹄。したがってその結果、当該指令一一条で規. 定されている各無効事由は、厳格に解釈される。かような諸事情においては、﹃会社の目的﹄という言葉は、設立行. 為や定款の中に書かれているような、会社の目的にかかわるものとして理解されなければならない。. それゆえ提起された問題に対しては、指令。∞¥同日号の適用領域に入る係争を提起された圏内の裁判所は、前記指令. 一一条に列挙されている諸事由以外の事由を理由とした会社無効の宣告を妨げるために、 この指令の目的に照らして. - 56-. 自国の法律を解釈する義務を負う、と答えてしかるべきである。﹂. フランス園内法と E C指令との関係. 二条末段. 者の意図であったことを証明している。また前記E C指令三条七項が、設立証書の公示手続をしない会社について加. ω. いており、不存在理論が、このような第三者保護を目的とした体系の中に位置を占めることはない、というのが立法. の文言にはっきりと表れている。この事はすなわち、 E C指令の会社無効制度は会社債権者の利益の保護に基礎を置. のような点を指摘している。まず、前記E C指令の立法者が不存在を認めない意図を有していたことは、. ω. では、前記E C指令一一条の下で、不存在概念は認められるか。認められないと解する見解は、その理由として次. (契約一般の無効原因など)を、有限会社や株式会社の無効原因として認めることができると理解されている。. 帥. の反対推論として、前記E C指令一一条では列挙されていないがフランス法では無効原因として認められている事由. このような判決にもかかわらず、フランス国内においては、 E C指令に基づいて改正された商法典L二三五条の一. 3. 第5 1巻第 1号. 近畿大学法学.
(33) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 盟各国がその設立証書の効力を否定することを認めていることから、この条文を根拠として、前記E C指令は無効に. 加えて会社の不存在も黙示的に認めている、と主張する見解があるが、この規定は、設立証書の公示を法人格取得の. ための要件としている加盟国に配慮したものであり、会社の不存在について規定した条文ではない。更に、不存在や. ω (. 臥 5 ) を重要視するヨーロッパ法と軌 2 号臥︺ロユ丘A. 仮装性といった概念は会社の設立行為を契約と見なす旧来の立場に依拠したものであり、前記一九九二年判決が仮装 会社を不存在ではなく無効であると判示したことは、法的安全 を一にしている。. これに対して、前記E C指令の下でも不存在概念は認められると解する見解は、次のように主張する。仮装会社は. g巳己主 ωを欠いているのだから、会社という法的性質決定を受けない、つまり会社ではないのであり、した. -57-. 何回片岡めの片山。. がって前記E C指令の適用対象には含まれない。また不存在は、無効のような制裁ではなく、会社が実体を持たない. という事実状態の確認であるので、これを認めたとしても、会社債権者保護の観点から無効事由を限定している前記. E C指令に抵触することはない。. 結びに代えて. まず、民法上の組合が設立されたが、その組合が個人事業を隠蔽するための仮装であったときは、民法九四条の虚. 解決について論じていく。. 以上のような仮装会社に関するフランス法の判例および学説からの示唆を踏まえたうえで、本稿で提起した問題の. 五.
(34) 偽表示とみるべきである。たしかに、民法上の組合の設立行為の法的性質は通常の契約とは異なるし、また合資会社. 側. の設立行為について、合同行為であることを理由として民法九四条の適用を否定した大審院判決もある。しかしなが. ら、民法九四条は﹁相手方ト通シテ為シタル虚偽ノ意思表示﹂と規定しているにとどまること、また最高裁判所は、. 厳密な意味での契約とはいえない行為についても民法九四条を適用または類推適用していることを考慮すると、民法. 上の組合の設立行為についても民法九四条の適用を肯定すべきである。 フランス法においても、大規模企業や一 0 0. %子会社について虚偽表示に関する民法典一三一二条を適用することについての批判はあるものの、仮装会社を虚偽. 表示と見なすことに対して、行為の法的性質を理由とした批判は見られないのであり、民法上の組合の設立行為の法 的性質がいかなるものか、という点は、民法九四条を適用することの妨げにはならない。. 民法九四条を適用する以上、その効果は﹁無効﹂ である。まず無効となることの根拠であるが、 フランス法では、. 。。目。冨宏、が会社設立行為に不可欠の要素であると理解され、その一方で、条文上はえ貯の昨日。 ω 丘 町 。 丘 町 。 ω 。 己o g去 の 欠. 如が会社設立行為の無効事由として規定されていないことから、この要素を欠いている仮装会社は無効ではなく不存. 在と見なすべきであるという見解が主張されているのであるが、日本法においては、民砂丘町。g巳丘町民宮に相当する要. 素(共同の事業を営む意思)は、民法六六七条一項の中に、民法上の組合の成立要件の一つとして規定されていると 考えることができる。. 設立行為が無効である以上、事実上の事業主に対する代理権授与も無効なので、仮装の民法上の組合と取引関係を. 持った第三者は、商法の適用があるときは民法九四条二項および商法二三条によって仮装の事実について善意・無重. 過失であれば、そして商法の適用がないときは民法九四条二項および一 O九条によって仮装の事実について善意・無. -58-. 第5 1巻 第 1号. 近畿大学法学.
(35) フランス法における虚偽表示と団体設立行為. 過失であれば、名義を貸与した者に対して債務の弁済を請求することができるものと考える。悪意または(重)過失. ある第三者は、民法一一七条類推適用によって、名義借人に対して債務の履行か損害賠償を請求することができるに とどまる。. たしかに、共同企業体は、法形式上こそ民法上の組合であるが、構成員は全て商事会社であり、商事会社同士が民. 法上の組合を設立して商取引を行う、 ということは民法典起草者の想定していなかった事態であるから、少なくとも. 共同企業体に関しては、合名会社の設立無効制度を類推適用すべきかもしれない。しかしながら、共同企業体は、合. 名会社に比べて活動期間が短い場合が多く、しかも第三者の信頼の基礎の一つである設立登記手続がない。したがっ. て、共同企業体の設立無効を合名会社の設立無効と同一視することはできず、第三者保護は前述のような表見法理に よって図るべきである。. 共同企業体の法的性質については、構成員が二社の共同金業体において、一社が倒産した場合であっても他の一社が工事を続. ︿ 注 ﹀. ω. 行する義務を負う点に着目し、﹁権利能力なき社団﹂であると理解すべきである、とする見解があるが(栗田哲男﹁建設業にお ける共同企業体の構成員の倒産﹂判例タイムズ五四三号二五頁(一九八五年))、民法上の組合と解するのが通説(来栖三郎﹃契 約法﹄(有斐閣、一九七四年)六一三頁以下、建設業共同企業体研究会編﹃三訂・建設業共同企業体の解説﹄(建設業振興基金、 一九八一年)五一頁、平井一雄﹁建設共同企業体の法律的性質│判例を素材として﹂ジュリスト八五二号二O五頁以下(一九 八六年)、堀井敬一﹁共同企業体の性質と法律関係﹂塩崎勤 H安藤一郎編﹃新・裁判実務大系2 建築関係訴訟法﹄二二九頁以 下(青林書院、一九九九年)などがある)および判例(最判昭和四五年一一月一一日民集二四巻二一号一八五四頁)である。. ω. 仮装の法人が設立された場合については、法人格否認の法理(形骸事例)の問題として、判例や学説の蓄積があるのだが、 仮装の民法上の組合が設立された場合については、従来議論の対象とはされずにいた。なお、仮装であるか否かの判断基準は、. -59-.
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