なぜ合併の合意形成は行われ
なかったのか
*
合併不成立地域における協議過程の検証
宮下 量久
** * 本論文は公共選択学会第 13 回全国大会において報告した論 文を大幅に修正したものである.討論者の中島正人教授(大 東文化大学),座長の西川雅史教授(青山学院大学)やフロア の方から貴重な意見を頂戴した.また,草稿段階から黒川和 美教授(法政大学),中澤克佳准教授(東洋大学)より有益な 助言を賜った.なお,本研究で使用した『市町村税課税状況 等の調』の入手において,西川雅史教授(青山学院大学)か らご助力をいただいた.記して感謝の意を申し上げたい.な お,本稿に残された課題はすべて筆者の責任に帰するもので ある. ** 著者は(株)PHP 研究所,E-mail: [email protected] ※ 本稿は 2011 年 12 月受理. 経済の成熟化とともに,自動車利用の普及や公 共交通ネットワークの充実が進んだことで,市民 は行政区域を日常的に越えるようになっている. 行政需要が広域化することで,公共部門は複数の 行政区域にわたる諸問題に直面しつつある.公共 部門における枠組みは,市民の行政需要の広域化 に合わせて再編・見直しに迫られているといえる. 実際,総務省 では「定住自 立圏」,国土 交通省 では「21 世紀生活圏」という圏域が設定され, 各市町村間の政策連携を促す検討が進められてき た 1).「平成の大合併」では,各地域がある一定 規模の人口や財政力を確保するため,市町村の集 約化が行われてきた.これまでの市町村合併に関 する研究では,上村・鷲見 (2003),西川 (2002), 林 (2002),宮崎 (2006a,b) など,歳出削減効 果と最適都市規模についての検証が数多くなされ ている.これらの研究は,合併前市町村の多くが 費用を最小化する人口規模以下であることを示し ている.市町村合併によって歳出削減効果が期待 できることに,概ね合意が得られていると考えて も良い2). ただし,これらの合併に関する研究では,どの ような地域で合併がなされやすいのか,もしくは, 合併がなされなかったのかといった,地域間の政 策連携に向けた合意形成過程についての検証がな されていない.市町村がどのような形態の合併を 選択したのか,どこの自治体と合併したのかとい う,合併に至るまでの地域の選択行動を検証した 研究は,筆者が知る限り,広田 (2007) と宮下・ 中澤 (2009) のみである. 広田 (2007) では,合併成否の要因について分 析しているが,合併の結果だけに着目しているた め,合併協議会から成立までの住民の合意形成コ スト(期間)の差異について検証されていない.ま た,合併の選択要因となる変数として社会的・財 政的変数が用いられているものの,市町村の政策 1) 広域自治体については,現行の都道府県制度から道州制移 行の議論が進められてきた. 2) ただし,林 (2004) が指摘しているように,合併の歳出削 減効果は地域特性に依存する.に住民の意向を反映する指標としてしばしば用い られる,所得やその分布状況について考慮されて いない. 一方で,宮下・中澤 (2009) は,この点に留意 して,『市町村税課税状況等の調』(総務省自治税 務局)を用いて市町村別に所得分布のジニ係数な どを算出し,合併に向けた合意形成コストの要因 について検証している.そこでは,合併協議期間 を地域間の合意形成コストとみなして,合併成立 地域を対象とした検証を行っている.しかし,合 併の成立過程に分析の主眼が置かれているために, 地域間の合意形成に至らなかった合併不成立地域 の検証は行われていない.合併不成立の要因を検 証することは,各自治体が地域間の政策課題を解 決する際に,考慮すべき要素を明確にすると思わ れる. 「市町村合併の特例に関する法律改正」(以下, 旧合併特例法)では,1999 年 7 月から 2004 年度 末までの間に,地方交付税の合併算定替の延長, 議員退職年金特例,合併特例債の創設,市要件の 緩和などにより,市町村合併の推進が図られた. これらの合併促進策があるにもかかわらず,旧合 併特例法期間内に設置された合併協議会のうち合 併合意に至らなかった協議会は 3 割以上に及ぶ 3).これらの協議会は合併するために設置されな がらも,合併しないという合意に至ったのはなぜ だろうか. 合併 不成 立と いう 合意 形成 には ,政 府の 合併 による優遇措置よりも優先すべき地域の事情が要 因としてあったことを意味する.このため,「な ぜ地域間の合意形成が行われたのか」という合意 形成要因を明確にするよりも,「なぜ地域間の合 意形成が行われなかったのか」という合意不成立 の要因を特定することのほうが,地域間で合意形 成をする上で,その障害や問題を特定するのに有 益と考える.政府が検討する複数の行政区域間の 政策連携における制度設計を考える上でも,新た な視座を提供すると思われる.さらに,異なる地 域間の合意形成の問題は,都道府県などの広域的 3) 旧合併特例法期間内に設置された合併協議会は 900 あり, そのうち合併に至らなかった合併協議会は299 あった. 行政区域間や,国家間の合意形成の問題にも共通 する論点を検証することにもつながるだろう.こ れらのこと踏まえて,本稿の目的は合併不成立に 至るまでの協議期間に着目することで,地域間の 合意形成に必要な要因や条件を検討することにあ る. 基礎 的自 治体 は地 方分 権の 受け 皿に なる こと が求められている.今後,市町村の役割が強化さ れることは,住民の意思や選好が市町村の公共サ ービスへ直接的に反映される機会をつくることに なる.市町村間における合意形成コストの違いが 生じるメカニズムについて定量的に検証すること は,今後の地域政策の決定過程のあり方を検討す る上で有益であると考える. 本稿の構成は以下の通りである.まず,第 2 節において旧合併特例法期限内で設置された各地 域の合併協議期間データを構築し,市町村合併の 合意形成過程の傾向を把握する.第 3 節では, 国内外の市町村合併に関する先行研究を紹介し, 本稿における位置づけを明確にする.また,合併 不成立を決定付ける本稿の仮説と諸要因の整理を 行う.第 4 節では,合併不成立の要因を特定す るために推定を行う.第 5 節で,本稿における 結論と今後の課題を述べる. 2. 合併協議会設置から合併合意形成までの期間 の検証 2.1 市町村合併までの合意形成過程と検証範囲 1999 年 7 月から施行された旧合併特例法では, 複数の市町村が合併するために,合併協議会の設 置が定められていた.合併に至るまでには,任意 の協議会や研究会が各地域で存在するが,旧合併 特例法に準じたものは法定協議会として設置され る. なお ,市 町村 合併 の任 意協 議会 や研 究会 につ いて,全国すべての地域を把握することは困難で ある.このため,本稿では総務省自治行政局合併 推進課のホームページ等でデータ収集可能である, 法定協議会の設置から合併に至るまでの過程に着 目して検証を行う.
2.2 法定協議会の協議期間 法定 協議 会は ,住 民発 議に よっ て設 置さ れる 場合や行政や議会が推進役を務める場合など様々 である.総務省「市町村の合併に関する研究会」 における『市 町村合併法定 協議会運営マ ニュア ル』では,合併に係る法定協議会の開催期間の平 均は約20.2 ヵ月と記されている.2001 年に「市 町村合併法定協議会運営マニュアル研究会」がま とめた協議会運営マニュアルでは,合併協議会の 開催期間について,合併準備期間を含めて 20 ヵ 月,合併協議会設置準備も含めれば 22 ヵ月を提 案していた.つまり,法定協議会の設置から市町 村合併が成立するまでに,概ね 2 年弱を要して い た と い え る . 上 村 ・ 鷲 見 (2003) や 宮 崎 (2006a) でも,これらの事実から法定協議会の設 置から合併に至るまでの期間を 2 年であること を前提として検証がなされている. 総務省自治 行政局合併推 進課のホーム ページ 「合併相談コーナー」や,合併市町村が作成した ホームページを閲覧できる「合併デジタルアーカ イブ」で得られたデータを基に,協議期間別に法 定協議会の度数分布を表したのが図 1 である 4). なお,分析対象としている協議会は,同じ制度の 下で検証する必要性を考慮して,旧合併特例法が 施行された1999 年 7 月以降から,旧合併特例法 の期限となる2005 年 3 月 31 日までに設置され た協議会である5). 図 1 の縦軸は各協議期間に該当する法定協議 会の割合を示している.また,法定協議会を設置 したものの,合併には至らなかった協議会も併記 している 6).合併成立まで至った法定協議会に注 4) 総 務 省 「 合 併 相 談 コ ー ナ ー 」 2008.11.23 参 照 < http: //www.soumu.go.jp/gapei/index.html>,総務省自治行政局合 併推進課「合併デジタルアーカイブ」2008.11.23 参照<http: //www.gappei-archive.org/> 5) 協議会運営マニュアルが想定する 2 年弱よりも短い期間で 合併し,旧合併特例法の期限内に該当するケースや,法定協 議会は旧合併特例法の期間内に設置されたものの,協議が長 期化して期間外で合併しているケースがある。したがって, 合併成否の時期で分析対象となる法定協議会を抽出すること は困難であるため,法定協議会の設置時期に着目して該当す る法定協議会をデータとしてまとめている. 6) 協議を休止しているが,事実上解散している協議会も多く 存在するため,本稿では,休止のケースも合併不成立として 扱っている. 目すると,700 日以上 800 日未満に該当する法 定協議会が 17.3%ほど該当し,合併が成立した 協議会の中では最多である.したがって,合併し ている協議会 については, 先行研究や総 務省の 『市町村合併法定協議会運営マニュアル』とおり, 約2 年を要しているといえる.また,400 日以上 500 日未満で合併している協議会も 16.6%ほど存 在しており,1 年程度で合併している地域も多い ことがわかる. 一方で,合併が不成立に終わった法定協議会で は,300 日以上 400 日未満に該当する協議会が, 約 20%と最も多い.合併が成立した協議会が最 も多かった 700 日以上 800 日未満では,合併が 不成立であった協議会はわずか 3%程度しか存在 しない.したがって,合併が不成立であった法定 協議会の多くは約 1 年で協議を終了しており, 合併が成立した協議会と比べると短い.この協議 期間の違いについては,さらに検証する必要があ るが,合併が成立した法定協議会と不成立であっ た法定協議会では,協議期間に大きな差異がある ことは明確である. また,合併不成立の協議会は,100 日未満で協 議を終了する地域が 5%ほどあれば,1,000 日以 上も協議したにもかかわらず,合併の合意には至 らなかった協議会が 4%ほど存在する.合併不成 立の合意形成過程は,合併成立地域よりも協議会 によって大きな違いがあると予想される. 以上をまとめると,合併が成立した地域は,総 務省が提示するとおり協議期間は概ね 2 年以内 で合意形成が行われている.一方で,合併不成立 となった地域は,合併協議を 1 年程度で終了さ せて,合併見通しの立たない段階で協議を早期に 打ち切っていると推測される.ただし,3 年近く 協議した末に合併不成立の合意に至る地域も存在 しており,協議期間の差異は合併成立地域よりも むしろ大きいといえる.合併不成立までにいたる 合意形成期間の差異に影響を及ぼした要因を特定 することは,地域間の合意を形成する上で,考慮 すべき条件や課題を明確にすると思われる. 次節では,市町村合併に関する先行研究を検証 し,本稿の位置づけと検証すべき諸仮説を整理す
図 1 合併協議会の期間別の度数分布 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 100日未満 100日以上 200日未満 200日以上 300日未満 300日以上 400日未満 400日以上 500日未満 500日以上 600日未満 600日以上 700日未満 700日以上 800日未満 800日以上 900日未満 900日以上 1,000日未満 1,000日以上 協議会割合 合併不成立 合併成功 る. 3. 市町村合併における合意形成 3.1 先行研究 海外 にお ける 合併 要因 に関 する 研究 は, 主に アメリカを中 心にいくつか 存在する.例 えば, Brasington (1999・2003a,b) では,オハイオ 州の学校区の合併要因について検証されている. Brasington (1999) の大都市部での検証では,所 得水準や人種の違いは合併に影響はないという指 摘がなされている.一方で,サンプルにおいて学 校 区 の 大 き さ や 所 得 水 準 の 違 い を 考 慮 し た Brasington (2003 a,b) の検証では,所得の相 違や地区内の人種の構成比が学校区合併に影響す る こ と を 明 ら か に し て い る 7). さ ら に , Brasington (2000b) では,合併不成立の要因と して地域における社会資本整備の差異が寄与する ことを確認している. Lichter et al. (2007) では,アメリカ南部の小 さな町の間でも,低所得で黒人割合の大きい地域
7) また,Dur and Staal (2008) では,都市と村の 2 地域から なる地方公共財供給モデルを構築し,合併に関する理論研究 を行っており,隣接地域への地方公共財のスピルオーバー効 果の程度によって,合併は決定することを明らかにしている. は合併に際して,排除されていることが実証的分 析から明らかにされている. また,Austin (1999) では,1950 年から 1960 年の間で実施された大都市郊外の合併の経済的・ 政治的要因について中位投票者モデルを構築し, 実証的見地から検証している.そして,カウンテ ィの公債発行における借入金などの財政的要因が 有意な結果であり,中位所得や平均所得も有意で あった.合併によって人口動態などが変化するこ とに住民は反応しており,政治的要因も存在する ことを示唆している.さらに,非白人比率が高い 地域ほど合併する傾向にあり,経済的側面だけで なく政治的・人種的側面が合併に影響することを 明らかにしている. わ が 国 の 市 町 村 合 併 に つ い て は , 塩 津 ・ 原 田・伊多波 (2001) ,西川 (2002) ,林 (2002・ 2004) ,上村・鷲見 (2003) ,竹本・高橋・鈴木 (2005) ,宮崎 (2006a,b) など,主に歳出削減 効果と最適自治体規模(費用最小人口規模)を検 証するという観点からの研究蓄積が多い 8).これ らの先行研究では合併までの成立過程に注目する のではなく,既存の自治体財政データから最適規 8) 未合併地域における財政行動に関する研究としては,山下 (2011) がある.
模(費用最小人口規模)を算出し,合併前の自治 体財政の非効率性や合併後の効果を検証している. 一方,前節で示したように,合併の成否によって 協議期間は大きく異なっている.自治体の合併に 対するインセンティブの差異や合併に至るまでの 合意形成過程を取り扱った研究はほとんど存在し ていない. 合併 のイ ンセ ンテ ィブ を考 慮し てい る例 とし て,西川 (2002) は,面積が合併インセティブを 醸成する上で,有意な要因であることを示してい る.また,宮崎 (2006a) は,効率的自治体ほど 2004 年度末の旧合併特例法期限を考慮して,合 併がなされていることを定量的分析から明らかに している 9).ただし,これらの研究では,前述の とおり,市町村歳出の検証に主眼が置かれており, 市町村の合併選択過程や要因を特定しているわけ ではない.合併要因についての検証がなされてい る研究には,広田 (2007) と宮下・中澤 (2009) がある. 広田 (2007) では,「平成の大合併」における 各地域の合併選択行動を,Logit モデルを用いて 分析を行っている.そして,合併成立に至った市 町村は15 歳未満・65 歳以上人口割合が高く,面 積が小さい市町村であることを示している.また, 交付税割合が高い自治体ほど合併している傾向が 明らかにされており,「平成の大合併」における 財政措置を期待して各地域は合併したと主張して いる.しかし,前節で明らかなように,合併にい たる市町村間の合意形成期間は,合併の成否によ って大きく異なっていた.つまり,市町村の合併 の意思決定を対象とする場合,「合併成立・不成 立」だけではなく,「合併成立・不成立に至るま での合意形成過程,合意形成コスト」を検証する 必要があると考える. そこで,宮下・中澤 (2009) では,前節で見た 合併にいたる合意形成過程に着目し,それに影響 を与えうる要因を定量的に分析している.その結 果,合併協議地域内の所得格差が大きいほど合併 9) 宮崎 (2006a) では、各自治体の費用関数を推定し,他の市 町村よりも一人当たり歳出が小さい場合に,効率的な財政運 営がなされていると定義している. 協議の長期化をもたらすことや,協議地域の合併 インセンティブは財政状況ではなく,政令指定都 市などに昇格し,権限や業務が都道府県などから 移譲されることで存在することなどが明らかにさ れている.ただし,宮下・中澤 (2009) では,合 併成立地域に分析の焦点が当てられており,前節 の図 1 で見られたような合併不成立に向けた協 議期間の差異に関する要因までは十分に検証がな されていない. 特に,図 1 からも明らかなように,合併が成 立した合意形成よりも不成立にいたる合意形成過 程のほうが多様であった.合併不成立の合意形成 要因について特定化することは,空間的に拡大し た市民の行政需要に対応するために,各自治体が 政策連携を模索していく上で,配慮すべき課題や 地域特性を把握するのに有益であると思われる. 3.2 合意形成を困難にする仮説 宮下・中澤 (2009) の検証結果を踏まえると, 合併不成立の合併協議会内における所得格差が協 議期間や合併の成否に影響していると推測される. 所得は地域選好の代表値としてしばしば用いられ る.所得格差が合併協議地域内で存在すれば,合 併への地域選好にも違いが生じると思われる.結 果として,合併協議地域内の所得格差が大きいほ ど,合併協議は長期におよび,合併合意に至らな い可能性がある. 総務省の「市 町村の合併に 関する研究会 」は, 合併の成否は各自治体の財政規模に対する基金割 合が影響したことを指摘している 10).基金は将 来的な財政需要を考慮して各自治体によって積み 立てられたストックといえる.合併前の各自治体 にあった基金は,合併後に他自治体と共有する資 源になる.合併協議地域で基金の規模が大きけれ ば,合併協議に参加する各自治体は合併後の基金 の使途についても合意しなければならない.つま り,合併協議会の構成自治体で基金が大きいほど, 合併協議は長期化すると思われる.最終的には, 合併協議が決裂することも考えられるだろう.そ 10) 総務省「市町村の合併に関する研究会」による報告書『平 成の大合併の評価・検証・分析』.
の一方で,合併協議会の構成自治体で基金が少な ければ,合併協議は早期に決着すると思われる. 合併協議地域で基金が少ないことは財政的余裕が ないことを意味するため,旧合併特例法の財政措 置を期待して,合併の合意形成はなされやすいか もしれない. 合併協議地域のストックには,地方債務現在高 もある.合併協議地域で地方債現在高が多いこと は,合併協議の障害になる可能性がある.各自治 体は合併後に多くの地方債現在高を抱えることを 見越して,合併を断念すると考えられる.合併協 議において,各自治体が合併で財政環境を改善し ようと考えるならば,地方債現在高の多い合併協 議会を早期に解散させるだろう.その一方で,合 併協議に参加する各自治体は財政状況を改善する ために,旧合併特例法の財政措置を得ようと早期 に合併合意することも予想される.
さらに,Buchanan and Tullock (1962) では, ある集団における合意形成において,個人が協議 に参加する場合に負担しなければならない意思決 定費用と,協議に参加しない場合に,他人が協議 した結果を我慢しなければならないと予想される 外部費用の 2 つの費用概念を検討している 11). このうち,本稿で検証を行っている市町村合併の 協議期間は意思決定費用に該当すると思われる. そして,Buchanan and Tullock (1962) におけ る合意形成の費用の考え方に従うと,合併協議に 参加する自治体数が増加するにつれて,合併協議 期間も増加することが推測される.
また,Alt and Lowry (1994) では,アメリカ 各州の首長と議会の関係において,党派が異なる 際に歳出が拡大し,財政赤字に陥ることを実証分 析から示している12).また,Roubini and Sachs
(1989) では,OECD 各国を対象に,国政レベル の連立政権が誕生することで,政党間の利害対立 を調整できずに,拡張的な財政政策に陥ることを 11) そして,これら 2 つの費用を合算して,合意形成に伴う費 用として,相互依存費用としている.この相互依存費用は意 思決定に関わる人数に対して下にU 字型の形状をしており, 最適な意思決定規模が存在することが示されている. 12) わが国の地方自治体に関する研究には,近藤・宮本 (2010) や宮下 (2009) などがある. 検証している.つまり,これらの研究が共通に示 唆するのは,政治的党派の違いによって,合意形 成が困難であるという点である.合併協議地域間 で首長の党派的違いがあることで,合併協議が長 期化し,合併不成立になることも予想される 13). 次節 では ,こ れら の諸 仮説 につ いて 実証 分析 より明らかにする. 4. 実証分析 4.1 データと分析手法 本稿では,市町村合併の協議期間の差異に影響 を与える要因を分析するために,Austin (1999) や広田 (2007) ,宮下・中澤 (2009)などで用い られているモデルを基に推定を行う. i i i i i i i i i i i i i age shinsetsu d d d d city tokurei chukaku seirei space poli pop r num chiho kikin kofu city inc ndoku ta futsu inc ave gini c e β β β β β β β β β β β β β β β β β β β β β β β + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + = 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 i 11 i 10 i 9 i 8 i 7 i 6 5 4 3 2 i 1 0 04 _ 03 _ 02 _ 01 _ _ _ _ log (1) ) 04 _ 03 _ 02 _ 01 _ _ _ _ ( ) 1 _ ( 17 16 15 14 13 12 i 11 i 10 i 9 i 8 i 7 i 6 5 4 3 2 i 1 0 i i i i i i i i age d d d d space poli pop r num chiho kikin kofu city inc ndoku ta futsu inc ave gini gappei n P e β β β β β β β β β β β β β β β β β β + + + + + + + + + + + + + + + + + + Φ = = (2) ただし, i gappei n _ = 13) 実際,神奈川県相模原市は,2007 年 3 月 11 日藤野町と城 山町を編入合併したが,当初,城山町は2006 年 3 月に相模原 市へ編入合併をした津久井町,相模湖町と同時に合併する予 定であった.しかし,相模原市の保守系市長と城山町の革新 系町長の合併協議が不調に終わり,城山町の住民による町長 のリコールを経て合併が成立している.このような事例は, 1 協議会が合併しなかったとき 0 協議会が合併したとき
推定手順として,まず,(1) 式では,合併協議会 の協議日数 (c ) を被説明変数に用いて,市町村i 間の合意形成に要する期間(コスト)の要因を検 証する.前節で見たように合併成立と不成立の協 議期間では,その差異は明らかであった.合併の 成否によって,協議期間に影響を及ぼす要因も異 なると思われる.そこで,合併成立と不成立地域 を別のサンプルとして OLS による推定を行う. さらに,合併不成立の要因について検証するため に , 合 併 不 成 立 を 表 す ダ ミ ー 変 数 (n _gappeii) を被説明変数に用いて,Logit 推定を (2) 式で推 定する. なお,本稿で分析対象とする地域は 1999 年に 施行された旧合併特例法期間内に設置された合併 協議会であり,i は合併協議会を示す.また,各 変数とも合併協議会の構成市町村ごとに変数を再 構築している. 上記 推定 式の 説明 変数 につ いて 述べ てい く. まず,ginii はジニ係数であり,海外の先行研究 や宮下・中澤 (2009) で示されている合併要因と して,所得格差の影響について検証する.本稿で 用いているジニ係数は,「仮に合併成立した後の 新自治体における所得分布のばらつき」を指して いる.本稿では『市町村税課税状況等の調』(総 務省自治税務局)の市町村別・所得階層別所得デ ータより,各合併協議会(予想されるすべての合 併自治体)におけるジニ係数を全合併協議会につ いて算出した 14).所得水準の差異が選好の差異 と繋がるならば,合併後に予想される所得分布の 拡大は,合意形成への障害となると考える. 次に,ave _inciは合併協議会地域全体の平均所 得をあらわしている.平均所得(課税対象所得の 平均値)は市町村レベルで所得水準の指標として 一般的に用いられている変数である.ジニ係数と 合わせて各地域の所得水準の高低が合併の合意形 成に与える影響を検証するために変数として考慮 している. 全国他の地域にも存在することが予想される. 14) ジニ係数は,合併協議会を構成する市町村ごとの基データ を合算し,サンプル数と同数の 900 にのぼる合併協議会それ ぞれについて算出している. 合併 協議 地域 のジ ニ係 数の 相違 は単 なる 所得 格差だけでなく,協議地域内の行財政基盤の差異 も表す.所得水準の低い自治体は,協議会に参加 している他自治体の所得水準の方が高ければ,合 併後に自治体の行財政基盤の強化や,公共サービ スの向上を期待すると思われる.一方で,所得水 準の高い自治体は,協議地域の中で他自治体の所 得水準の方が低ければ,合併が成立した場合,自 地域の行財政基盤を協議相手地域ともシェアする ことになり,合併をあまり好ましく思わないかも しれない.これらの所得に関する仮説をまとめる と,合併協議地域のジニ係数が高く所得格差が大 きければ,合併協議が難航して合併が成立しない か,成立したとしても,合併協議が長期に及ぶこ とが予想される. さらに,Brasington (2000b) で示唆されてい たように,社会資本整備の地域差が合併不成立に 影響していることから,本稿では,普通建設事業 費,および,その単独事業費の合併協議地域内の 差異を考慮する 15).具体的には,合併協議会の 中で,普通建設事業費,または単独事業費につい て,最大自治体と最小自治体の歳出格差を算出し ている.特に,普通建設事業費の中で単独事業費 まで考慮するのは,単独事業を多く行っていた自 治体は,各種社会資本について他地域との共有化 を嫌って,合併に踏み切られない場合もあると考 えられるからである 16). また ,合 併協 議会 の構 成市 町村 のう ち, 平均 所得が上昇する自治体数の割合を示す変数として, i city inc _ を加えている.合併協議自治体の中で, 合併前の自治体の所得水準よりも,合併地域全体 の所得水準の方が高くなる地域が多ければ,合併 による便益を受ける地域は多いことになる.所得 格差が大きくても合併協議は円滑に進むことにな る. 15) 分析データには普通建設事業費と単独事業費を用いており, これらはフローである.社会資本整備のストックにおける地 域差を見るためには,別データを構築する必要があるが,こ れは今後の検討課題にさせていただきたい. 16) ジニ係数,普通建設事業費の合併協議内格差,単独事業費 の合併協議内格差は,相関関係が高いため、実際の推定では 各変数を使い分けて検証している.
kofui は,前節での議論から各自治体の財政状 況が合併協議に反映されると推測されるため,広 田 (2007) でも用いられている各地域の交付税割 合を変数として用いる. また ,前 節で 検討 した よう に, 合併 協議 会地 域における財政ストックは,合併不成立の要因に なる可能性が高い.このため,合併協議各地域の 財政ストックを表す変数として,標準財政規模に 対 す る 基 金 割 合 (kikini) と 地 方 債 現 在 高 割 合 (chihoi) を考慮する.
前述のBuchanan and Tullock (1962) の合意 形成の費用概念が適合するのかを検証するために, 自治体数を numi として説明変数に加えている. 意思決定者が多くなれば,意思決定コストは上昇 する.つまり,協議に参加する自治体数が多けれ ば,合併成立の可能性は低くなるか,合併協議は 長期に及ぶと思われる.ただし,合併協議の自治 体数が多かったとしても,規模の突出している自 治体が存在すれば,合併協議の中心的役割を担い, 他の小規模自治体は大規模自治体の決定に追従す ることも考えられる.このような合併協議地域の 中での力関係を検証するために,合併協議地域の 全人口に占める,人口規模最大である自治体の人 口割合を,r _popiとして説明変数に用いる.
さ ら に ,Alt and Lowry (1994) や Roubini and Sachs (1989) の研究から示唆されるように, 市町村合併において各地域の政治的党派の違いが 合併協議に与えるケースも考えられる.特に,協 議地域の首長間で党派的差異が存在することで, 合併は不成立であるか,成立したとしても長期に 渡ることが推測される.これらのことを考慮する ために,polii では,合併協議に参加している首 長間で党派的違いが一自治体でもあれば 1,同一 であれば 0 のダミー変数を説明変数に加えてい る.なお,曽我・待鳥 (2007) では,既存政党へ の不信感を避けるために,1990 年代以降の選挙 時に政党から応援・支持をあえて受けない無党派 首長が増加してきたことを示唆している.無党派 首長は無党派であることで既存党派とは異なるこ とを明示した上で当選を果たしていることから, 本稿では無党派であることを他党派と区別して一 党派と見なしている.例えば,保守系市長と無党 派市長は党派が異なるものとして本稿では扱い, データ構築をしている. 西川 (2002) では面積が合併インセンティブを 醸成する上で重要あると示唆していることから, 説明変数として面積 (spacei) を加えている.面 積が広いほど,合併への機運は醸成されにくく, 合併不成立となるか,協議期間は長期に及ぶこと が予想される. また ,合 併へ のイ ンセ ンテ ィブ とし て, 各自 治体は政令指定都市・中核市・特例市への昇格を 目指して,基準人口を越えるために周辺地域と合 併することが考えられる.政令指定都市などへの 昇格に伴い,主に都道府県からの業務や権限が合 併後の市へ移譲される.合併地域の政策担当者が 業務や権限の拡大を目指す行動は,Niskanen な どの官僚モデルを想定すれば,容易に検討可能で ある.したがって,これらの合併インセンティブ を考慮して,合併後に政令指定都市,中核市,特 例市に昇格を果たしている地域には,それぞれ 1, その他は 0 のダミー変数を,seireii,chukakui, tokureii として加えている.町村にとって,市へ 昇格することも合併する上で重要な選択であり, 協議期間や合併の成否に影響を与えたと思われる. このため,上記の政令指定都市,中核市,特例市 を除いたケースで,新設の市は1,その他は 0 の ダミー変数として,cityi も加えている. なお ,各 種市 への 昇格 ダミ ーは 合併 成立 地域 を対象としたデータである.合併不成立地域では, 合併後に各種市に昇格することが,合併の合意形 成を困難にしたことも考えられ,推定においてこ のような点を考慮する必要がある.例えば,合併 後に各種市へ昇格することで,合併地域は業務・ 権限の拡大と合わせて財政的負担を強いられるこ とも想定できる 17).協議地域が各種市へ昇格す る規模に達していた場合,合併成立とは反対に, 合併不成立地域は権限・業務の負担拡大を避けよ 17) 脚注 11 の相模原市の事例で考えると,2010 年 4 月の政令 指定都市への移行と同時に,神奈川県から県債償還金として 約 250 億円の負担を相模原市が引き受けることで,神奈川県 と相模原市の間で合意されていた.
うとして,協議を長期化させたことも考えられる. そのため,合併不成立地域における新たな変数と して,合併協議会に参加する自治体の人口規模を 合 計 し て ,70 万人以上の場合は政令指定都市 (n_seireii) , 30 万 人 以 上 の 場 合 は 中 核 市 (n_chukakui) , 20 万 人 以 上 の 場 合 は 特 例 市 (n_tokureii),3 万人以上の場合は市 (n_cityi) とみ なして,ダミー変数を構築している 18).合併不 成 立 地 域 を (1) 式で推定する際には,seireii,
chukakui,tokureii,cityi の代わりに,n_seireii,
n_chukakui,n_tokureii,n_cityi を変数として加え
ている.これらの変数に該当する地域で,重複す るものはない. さらに,合併特例債の発行などを許可している 1999 年から施行された旧合併特例法の期限が各 協議会の合意形成に影響を与えている可能性もあ る.総務省の『市町村合併法定協議会運営マニュ アル』では,合併には 2 年程度を要するとされ ている.2004 年度末まで 2 年以内に迫った場合, 旧合併特例法の財政措置を期待して協議期間を短 縮して各地域は合併を成立させることが考えられ る.宮崎 (2006a) では 1999 年の旧合併特例法 期限から 2 年前から合併している自治体ほど効 率的自治体であることを示している.これらの議 論を踏まえ,協議開始時期と合併協議期間や合併 成否の関係性を見るために,推定モデルに検証可 能 な 年 度 ダ ミ ー と し て ,d_01, d_02, d_03, d_04 を加えている.特に,合併不成立地域につ いては,旧合併特例法期限が迫るにつれて期限内 合併の見込みがない場合,早期に合併協議を打ち 切り,他の合併協議を模索する可能性も考えられ る. また,合併成立地域の推定では,合併形式を考 慮する必要がある.新設合併は 2 つ以上の自治 体が対等関係にあり,新自治体を形成するケース であるため,ある自治体が中心となって周辺自治 体を吸収する編入合併よりも,協議は長期に及ぶ ことが考えられる.したがって,推定するにあた 18) これらの変数は,合併成立地域、もしくは,合併不成立地 域のどちらかにしか該当しないので,合併不成立の要因を検 証する (2) 式の推定では,変数として加えていない. って,合併成立地域のうち新設合併を選択してい る地域には1,その他の場合は 0 としたダミー変 数 (shinsetsui) を加えている 19). 最後に,各地域の社会環境要因として ageiに は 65 歳 以 上 人 口 比 率 を 加 え て い る . Austin (1999) などの海外の研究では,人種などの各地 域の明示的な特性の違いが,合併の成否に大きな 影響を与えていた.「市町村の合併に関する研究 会」でも,高齢者が多い地域ほど合併に消極的で あることなどが指摘されていることから,本稿で も地域特性を表す変数として年齢構成を考慮する 20).なお,これまでのデータの出所や各変数の 作成方法と記述統計量はそれぞれ,表 1 と表 2 で示されている. 4.2 推定結果 推定結果は表 3 に示すとおりである.結果の 詳細を見ていくと,まず,合併協議会内の所得格 差の程度を表すジニ係数が,協議期間を被説明変 数とした OLS による推定で合併成立・不成立に かかわらず,正の有意な結果を得ている.また, Logit 推定でも正の有意な結果を得ている.つま り,合併協議地域内での所得格差が大きいほど, 合併成立・不成立に向けた協議日数は長期化して いる.さらに,合併の成否で考えれば,所得格差 が大きいほど合併不成立になることを示している. ただし,各合併協議会の平均所得や合併後の所得 増加自治体割合は,いずれの推定でも有意な結果 は得られなかった.合併協議会の所得水準は,合 併の合意形成に影響を与えていないといえる. 合併 協議 地域 内で の普 通建 設事 業費 ,単 独事 業費の格差については,合併不成立地域の協議日 数を被説明変数とした OLS 推定のうち,単独事 業費を用いた場合に正の有意な結果を得ている. このことは,単独事業費の協議内における差異が 19) 協議自治体の構成を一部変更して合併するケースや,ある 合併協議会を解散したあとに協議参加した自治体がひとつも 合併しないケースなどがあり,合併不成立地域についても場 合分けをする余地があると思われる.ただし,この点を考慮 した推定は,本稿の分析範囲を大きく超えるため,今後の検 討課題とさせていただきたい. 20) 総務省「市町村の合併に関する研究会」による報告書『平 成の大合併の評価・検証・分析』.
表 1 変数の作成方法 変数名 単位 作成方法 出所 合併協議日数 日 合併協議会設置から合併成立日,もしくは協議会解散日までの日数 総務省HP「合併デジタルアーカイブ」 ジニ係数 係数 合併協議に参加している自治体のジニ係数 『市町村税課税状況等の調』 平均所得 万円 課税対象所得(1999 年)/人口(1999 年) 『市町村税課税状況等の調』, 『住民基本台帳人口要覧』 普通建設事業費格差 % (協議会のうち最大普通建設事業費-最小普通建設事業) /(協議会のうち最大普通建設事業費+最小普通建設事業費)×100 『市町村別決算状況調』 単独事業費格差 % (協議会のうち最大単独事業費-最小単独事業費) /(協議会のうち最大単独事業費+最小単独事業費)×100 『市町村別決算状況調』 所得増加自治体割合 % 合併後に平均所得が増加すると思われる自治体数 /合併協議自治体数×100 『市町村税課税状況等の調』, 『住民基本台帳人口要覧』 歳入に占める交付税 割合 % {普通交付税+特別交付税(1999 年)}/総歳入(1999 年)×100 『市町村別決算状況調』 基金割合 % 合併協議自治体の基金(1999 年)/標準財政規模(1999 年)×100 『市町村別決算状況調』 地方債現在高の割合 % 合併協議自治体の地方債現在高(1999 年)/標準財政規模(1999 年)×100 『市町村別決算状況調』 合併協議自治体数 自治体数 合併協議に参加している全自治体数 総務省HP「合併デジタルアーカイブ」 協議会における最大 自治体の人口割合 % 協議会における最大自治体の人口 /合併協議に参加している全自治体人口×100 『住民基本台帳人口要覧』 首長の党派的違い ダミー 合併協議に参加している全自治体の中で,首長の党派が異なる=1,その他=0 『全国首長名簿』 面積 ha 合併協議に参加している全自治体の面積 『全国都道府県市区町村別面積調』 政令指定都市 昇格ダミー ダミー 合併成立後、政令指定都市に昇格,もしくは, 合併不成立地域は人口70 万人以上の場合=1,その他=0 総務省HP 「合併デジタルアーカイブ」 中核市昇格ダミー ダミー 合併成立後、中核市に昇格,もしくは, 合併不成立地域は人口30 万人以上の場合=1,その他=0 総務省HP 「合併デジタルアーカイブ」 特例市昇格ダミー ダミー 合併成立後、特例市に昇格=1,もしくは, 合併不成立地域は人口20 万人以上の場合=1,その他=0 総務省HP 「合併デジタルアーカイブ」 新設市ダミー ダミー 合併成立後,新設合併した市,もしくは, 合併不成立地域は人口3 万人以上の場合=1,その他=0 (上記の政令指定都市,中核市,特例市と重複しないもの) 『住民基本台帳人口要覧』 2001 年度 ダミー 2001 年度協議開始=1,その他=0 総務省HP 2002 年度 ダミー 2002 年度協議開始=1,その他=0 総務省HP 2003 年度 ダミー 2003 年度協議開始=1,その他=0 総務省HP 2004 年度 ダミー 2004 年度協議開始=1,その他=0 総務省HP 新設合併ダミー ダミー 新設合併=1,その他=0 総務省HP 65 歳以上人口比率 % 65 歳以上人口(1995)/総人口(1995)×100 『国勢調査報告』
表 2 記述統計量 変数名 平均値 標準偏差 最小値 最大値 合併協議日数 537.730 242.185 46.000 1,532.000 ジニ係数 0.337 0.018 0.278 0.431 平均所得 119.416 23.105 63.399 186.982 普通建設事業費格差 56.321 26.491 0.061 98.723 単独事業費格差 59.139 27.102 0.000 98.717 所得増加自治体割合 58.900 14.508 25.000 92.857 歳入に占める交付税割合 30.617 11.493 2.020 55.713 基金割合 12.170 7.869 0.188 74.559 地方債現在高の割合 178.124 45.729 49.405 375.806 合併協議自治体数 3.538 1.900 2.000 14.000 協議会における最大自治体の人口割合 63.475 19.760 16.259 99.775 首長の党派的違い 0.324 0.468 0.000 1.000 面積 36,683 31,975 1,331 296,058 政令指定都市昇格ダミー 0.010 0.100 0.000 1.000 中核市昇格ダミー 0.007 0.081 0.000 1.000 特例市昇格ダミー 0.010 0.100 0.000 1.000 新設市ダミー 0.312 0.464 0.000 1.000 政令指定都市昇格ダミー(合併不成立地域) 0.008 0.088 0.000 1.000 中核市昇格ダミー(合併不成立地域) 0.020 0.140 0.000 1.000 特例市昇格ダミー(合併不成立地域) 0.019 0.136 0.000 1.000 新設市ダミー(合併不成立地域) 0.227 0.419 0.000 1.000 2001 年度協議開始ダミー 0.024 0.155 0.000 1.000 2002 年度協議開始ダミー 0.229 0.420 0.000 1.000 2003 年度協議開始ダミー 0.406 0.491 0.000 1.000 2004 年度協議開始ダミー 0.329 0.470 0.000 1.000 新設合併ダミー 0.487 0.500 0.000 1.000 65 歳以上人口比率 19.364 5.218 7.934 40.796
大きいほど合併協議は長期に及んでいることにな る.特に,自地域負担の大きい単独事業費でこの ような傾向が見られることから,自地域への公共 投資額の差異が地域間合意の障害になると考えら れる.ただし,Logit 推定において,有意な結果 は得られていないため,合併協議地域内の単独事 業費の差は,ジニ係数と異なり,合併不成立を決 定付ける要因ではないといえる. 合併 協議 地域 の財 政状 況を 表す 変数 とし て用 いた,協議会地域の歳入に占める交付税割合は, 合併不成立地域で協議日数を被説明変数にとった 場合,正の有意な結果を得ている.一方で,財政 上のストックを表す標準財政規模における基金割 合は有意な結果を得ていない.総務省「市町村の 合併に関する研究会」で示されたような合併協議 地域の基金が協議に与える影響を把握できなかっ たことから,変数の作り方について再考の余地が あると思われる.また,合併成立地域の推定で, 地方債現在高割合が高いほど協議日数が長くなる 結果が得られている.合併不成立の要因を検証し ているLogit 推定でも,地方債現在高割合が有意 な結果を得ている.ただし,これらの結果は同じ 被説明変数を用いていても,有意な場合とそうで ない場合があるため,財政的な変数について頑健 な結果と結論付けることは難しい. 広田 (2007) では,歳入に占める交付税割合が 高いほど,市町村合併がなされていることを示し ている.一方で,宮崎 (2006a) では,1999 年の 旧合併特例法期限が近づくにつれて,財政上効率 的自治体が合併していることが検証されている. 先行研究においても,財政状況による合併の合意 形成への影響について,統一的見解は存在してい ない.広田 (2007) で,1999 年の財政支援措置 がなされた旧合併特例法期間内で,各地域の財政 状況が合併成否を決する重要な要因であったと指 摘している.しかし,本稿の推定結果では,各地 域の財政状況が合併の成否ばかりでなく,協議期 間に関しても影響を及ぼしたとは必ずしもいえな い. さら に, 合併 協議 に参 加す る自 治体 数は 全推 定 で 有 意 な 結 果 は 得 ら れ な か っ た .Buchanan and Tullock (1962) が示唆するような,意思決 定者数と意思決定費用の関係は,合併協議の合意 形成過程には適合しないといえる.また,協議地 域内で人口最大自治体の人口割合は,協議日数を 被説明変数とした OLS 推定において,合併不成 立地域では有意な結果を得ていない.一方で,合 併成立地域を対象とした推定では,負の有意な結 果を得ている.さらに,合併不成立の検証を行っ ているLogit 推定でも,負の有意な結果を得てい る.宮下・中澤 (2009) では,合併協議地域の中 で人口最大自治体の人口割合が大きいほど,合併 する結果を得ていた.これらの結果から,合併協 議地域の中で人口の大きな自治体が存在すれば, 合併協議は短期期間で済み,結果として合併が成 立していると解釈できる. 合併協議会を構成する自治体首長の党派の違い は,合併不成立地域に限定した場合の推定のみ, 正の有意な結果を得た.複数地域間での合意形成 において,首長の党派が異なる場合には合併協議 は長期におよび,最終的には合併協議は決裂して 終わっているといえる.他の推定では有意な結果 が得られず,合併不成立地域にサンプルを絞った 場合のみの結果であることを考慮すると,地域間 の合意形成において,首長の党派がその成否に大 きく寄与していると解釈できる.ただし,Logit 推定では有意な結果は得られておらず,合併不成 立までを決める要因とは必ずしもいえない. また ,面 積は どの 推定 にお いて も有 意な 結果 は得られず,西川 (2002) で示唆されるような合 併成立に向けた協議の醸成に関して,面積の影響 は受けていないと思われる. ただ し, 面積 同様 に合 併イ ンセ ンテ ィブ を検 証するために説明変数として加えた,合併後の各 種市への昇格ダミーは,興味深い結果を得ている. まず,合併の不成立地域と成立地域では,係数の 符号が反対になっている.特に,合併不成立地域 では,政令指定都市,中核市,特例市のダミー変 数がすべて正の有意な結果を得ている.各種市へ 昇格することについて,合併成立地域では慎重に 議論が行われたことが伺える.さらに,係数に着 目すると,概ね上位の市になるほど,係数は大き
くなっている.これら各種市への昇格ダミーの結 果を考えると,合併不成立の場合,合併後の権限 や業務拡大の可能性は,合併成立地域とは異なり, かえって協議を長期化させているといえる 21). ただし,上述の各種市への昇格ケースを除いた新 設の市になる合併協議地域では,合併の成否にか かわらず,有意な結果は得られなかった. 旧合 併特 例法 期限 を考 慮し た協 議開 始に 対す るダミー変数は,協議日数を被説明変数として検 証している OLS 推定で,合併不成立地域に限定 した場合,期限である 2004 年度に近いほど係数 はマイナスへと大きくなっている.合併成立地域 でも,2003 年度から 2004 年度にかけて,係数 が負の方向に大きくなっている.また,合併不成 立地域はどの年度ダミーも有意である一方で,合 併成立地域では,2003 年度,2004 年度で有意と なっている.つまり,合併成立・不成立にかかわ らず,各協議地域では旧合併特例法期限に近づく につれて,協議期間を短縮しているといえる.特 に,合併不成立地域は,すべての年度ダミーで有 意な結果を得られていることから,どの開始年度 でも合併成立地域と比べて協議期間を早期に終え る傾向にあると思われる. 合 併 成 否 を 検 証 し て い る Logit 推 定 で は , 2003 年度協議開始ダミーまですべて正の有意な 結果を得ている.また,係数も 2003 年度が最も 大きな値である.合併には約 2 年を要すること が,総務省のマニュアルで想定されている.合併 不成立の協議地域の多くは,旧特例法期限 2 年 前の2003 年度から協議しているものの,結果と して,合併の合意形成には至っていないことがわ かる. なお ,新 設合 併ダ ミー は, 合併 成立 地域 のみ の推定となっており,有意な結果は得られなかっ た. 最後に,地 域特性要因と して推定に用 いた, 21) この理由として,追加的な歳出拡大や地域の大規模化によ って行政と住民との近接性が損なわれる懸念などが考えられ る.ちなみに,合併の不成立と成立地域における歳入に占め る交付税割合の平均値は,それぞれ31%と 30%であり,財政 面での大きな差異はなかった.推定結果の更なる解釈は,今 後の課題とさせていただきたい. 65 歳 以 上 人 口 比 率 で は , 合 併 成 否 に 関 す る Logit 推定では 65 歳以上人口比率が負の有意な 結果であった.ただし,総務省「市町村の合併に 関する研究会」で指摘されるように,高齢者が多 いほど合併不成立になるような結果は得られてい ない. 5. 結論と今後の課題 本稿では,市町村合併の合意形成過程のうち合 併不成立地域に着目し,合併の協議期間と不成立 の決定要因を定量的に検証した.わが国の市町村 合併の歳出削減に関する研究蓄積の豊富さに比べ て,合併の決定要因に関する研究は筆者が知りう る限り広田 (2007) ,宮下・中澤 (2009) のみで あり,合併不成立地域の協議期間については十分 に検証されていなかった.地方分権下で市町村間 の合意の機会が今後増えることを想定すると,本 稿は地域間の合意形成に関して新たな視点を提供 できたと思われる. 推定 結果 から 得ら れた 知見 を整 理す ると ,合 併協議地域内の所得格差が大きいほど,合併協議 は長期化し,合併不成立にいたっていた.また, 合併不成立地域では,地域間で単独事業費に格差 が存在すると,協議が長期化していた.社会資本 整備における地域差も合併の合意形成に寄与して いたといえる.ただし,協議地域の合併に対する インセンティブは,基金や地方債現在高などの財 政状況と必ずしも関連性があるとはいえない. 合併 協議 地域 内の 人口 規模 の違 いに 着目 する と,協議地域の中で最大自治体の人口が大きいほ ど,合併協議は結果として早期に決着しているこ とが明らかとなった.一方で,合併協議地域内の 首長の党派が異なると合併協議は長期化し,最終 的に合併不成立となっていた.さらに,合併不成 立地域では,政令指定都市などに昇格し,都道府 県などからの権限や業務の移譲が想定されること で,かえって協議は長期化していた.地域によっ ては国・都道府県からの権限移譲などについて慎 重に検討する傾向にあることを示唆する結果と思 われる.また,2004 年度末までの旧合併特例法
表 3 推定結果
分析手法 OLS OLS OLS OLS OLS OLS
対象地域 合併不成立 合併不成立 合併不成立 合併成立 合併成立 合併成立 変数名 (1) (2) (3) (4) (5) (6) ジニ係数 4.148 * 2.165 ** (1.69) (2.38) 平均所得 0.033 0.056 0.095 0.010 0.001 0.000 (0.16) (0.26) (0.45) (0.10) (0.01) (0.00) 普通建設事業費格差 0.002 0.000 (0.93) -(0.05) 単独事業費格差 0.003 * 0.000 (1.93) -(0.11) 所得増加自治体割合 0.000 0.001 0.000 -0.001 -0.001 -0.001 (0.16) (0.23) (0.08) -(0.74) -(0.55) -(0.53) 歳入に占める交付税割合 0.010 0.011 * 0.011 * 0.001 0.000 0.000 (1.63) (1.75) (1.85) (0.58) (0.18) (0.17) 基金割合 -0.005 -0.005 -0.005 0.002 0.002 0.002 -(0.84) -(0.87) -(0.89) (1.22) (1.10) (1.10) 地方債現在高の割合 -0.001 -0.001 -0.001 0.001 0.001 * 0.001 * -(0.82) -(0.57) -(0.77) (1.43) (1.83) (1.83) 合併協議自治体数 -0.017 -0.024 -0.032 0.013 0.014 0.014 -(0.71) -(0.92) -(1.35) (1.28) (1.27) (1.28) 協議会における最大自治体の人口割合 -0.001 0.000 0.000 -0.002 ** -0.002 * -0.002 * -(0.30) -(0.10) -(0.13) -(2.35) -(1.68) -(1.71) 首長の党派的違い 0.125 * 0.129 * 0.136 * -0.002 0.002 0.002 (1.70) (1.73) (1.84) -(0.07) (0.05) (0.06) 面積 -0.020 -0.032 -0.026 -0.009 -0.009 -0.009 -(0.43) -(0.65) -(0.55) -(0.37) -(0.39) -(0.39) 政令指定都市昇格ダミー 0.504 ** 0.489 ** 0.451 ** -0.245 * -0.218 -0.218 (2.42) (2.25) (2.16) -(1.73) -(1.56) -(1.56) 中核市昇格ダミー 0.476 *** 0.484 ** 0.476 ** -0.099 -0.061 -0.061 (2.58) (2.63) (2.60) -(1.14) -(0.70) -(0.70) 特例市昇格ダミー 0.315 * 0.301 * 0.311 * -0.304 ** -0.318 *** -0.318 ** (1.92) (1.84) (1.92) -(2.31) -(2.43) -(2.43) 新設市ダミー 0.156 0.138 0.146 0.008 0.016 0.016 (1.44) (1.30) (1.40) (0.20) (0.40) (0.41) 2001 年度協議開始ダミー -0.775 *** -0.816 *** -0.830 *** -0.153 -0.160 -0.160 -(4.08) -(4.26) -(4.33) -(0.73) -(0.76) -(0.76) 2002 年度協議開始ダミー -0.854 *** -0.888 *** -0.883 *** -0.095 -0.114 -0.114 -(5.05) -(5.20) -(5.16) -(0.73) -(0.89) -(0.89) 2003 年度協議開始ダミー -1.101 *** -1.131 *** -1.137 *** -0.190 -0.212 * -0.212 * -(6.88) -(7.02) -(7.10) -(1.48) -(1.69) -(1.69) 2004 年度協議開始ダミー -1.756 *** -1.779 *** -1.773 *** -0.591 *** -0.611 *** -0.611 *** -(9.56) -(9.67) -(9.64) -(4.57) -(4.84) -(4.83) 新設合併ダミー 0.054 0.043 0.042 (1.00) (0.74) (0.76) 65 歳以上人口比率 0.013 0.007 0.009 -0.002 -0.004 -0.004 (1.18) (0.74) (0.94) -(0.59) -(1.00) -(1.01) 定数項 5.268 *** 6.609 *** 6.344 *** 5.934 *** 6.717 *** 6.720 *** (3.79) (5.74) (5.67) (8.97) (11.36) (11.34) Adi R2 0.348 *** 0.344 *** 0.351 *** 0.396 *** 0.391 *** 0.391 *** サンプル数 299 299 299 601 601 601 注1) 丸括弧内はt値.なお、OLS による推定は White の一致性を持つ標準誤差を用いている. 注2) ***は1%,**は 5%,*は 10%水準で有意.
表 3 推定結果の続き
分析手法 Logit Logit Logit
対象地域 全地域 全地域 全地域 変数名 (7) (8) (9) ジニ係数 3.937 *** (3.25) 平均所得 -0.081 -0.086 -0.099 -(0.62) -(0.67) -(0.77) 普通建設事業費格差 -0.001 -(1.33) 単独事業費格差 -0.001 -(1.56) 所得増加自治体割合 -0.001 -0.001 -0.001 -(0.87) -(0.49) -(0.43) 歳入に占める交付税割合 0.004 0.001 0.002 (1.42) (0.54) (0.58) 基金割合 -0.003 -0.003 -0.003 -(1.10) -(1.16) -(1.15) 地方債現在高の割合 0.000 0.001 * 0.001 * (0.94) (1.69) (1.77) 合併協議自治体数 0.000 0.010 0.010 -(0.01) (0.75) (0.75) 協議会における最大自治体の人口割合 -0.006 *** -0.005 *** -0.005 *** -(5.09) -(3.81) -(4.02) 首長の党派的違い 0.006 0.014 0.014 (0.16) (0.37) (0.37) 面積 0.006 0.012 0.011 (0.25) (0.47) (0.45) 2001 年度協議開始ダミー 0.491 ** 0.474 * 0.471 * (1.96) (1.89) (1.88) 2002 年度協議開始ダミー 0.479 ** 0.450 * 0.440 * (2.06) (1.94) (1.90) 2003 年度協議開始ダミー 0.568 ** 0.535 ** 0.531 ** (2.45) (2.31) (2.30) 2004 年度協議開始ダミー 0.403 * 0.376 0.369 (1.73) (1.62) (1.59) 65 歳以上人口比率 -0.018 *** -0.022 *** -0.023 *** -(3.30) -(4.20) -(4.24) 定数項 -1.012 0.317 0.395 -(1.21) (0.44) (0.55) Pseudo R2 0.074 0.066 0.067 Prob.chi2 75.8 *** 69.2 *** 69.7 *** [0.000] [0.000] [0.000] サンプル数 900 900 900 注1) 丸括弧内はt値,[ ]内はp値. 注2) ***は1%,**は 5%,*は 10%水準で有意. 注3) Logit 推定の上段数値は限界効果を表している.
期限と合併協議の関係性について検証したところ, 合併成立・不成立にかかわらず,合併協議は短縮 して合意形成を行っていた.合併不成立地域も旧 合併特例法期限に合わせて協議を行っていたこと がうかがえる. 最後に,本稿の課題をいくつか挙げると,合併 不成立地域の細分化を検討する必要があるだろう. ある合併協議会が解散しても,協議自治体の一部 が新たな協議会を設置して合併協議を始める場合 もある.分析手法については,1999 年から 2004 年度末の旧合併特例法期間内に協議された期間を 被説明変数として本稿は検証しているが,特例法 期間内のどの時点から協議が開始され,終了しい ているのかについて,十分な検証がなされていな い.この課題に対しては,サバイバル分析などで 検証する余地があると思われる. 参考文献
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(みやした ともひさ)
Reasons for Municipalities Not to Agree to A Merger Plan
Tomohisa Miyashita
This paper empirically investigates economic and political factors in municipal mergers in Japan.
First, municipalities can’t reach the agree-ment on a merger, when the income gap is large among the members in the merger coun-cil.
Second, financial support from the central government does not always motivate the mu-nicipalities to make a merger, while a consid-erable political conflict among mayors prolongs merger talks in the council.
Third, the populous municipality tends to merge with the less populated, because it can take the initiative in the council.
Contrary to the prior studies, neither the size, the number , nor the demography of mu-nicipalities is statistically significant on the probability of merging.